本発明のインクカートリッジは、インクを貯蔵するインクタンクと、インクタンクに接続されたジョイントとを備えており、ジョイントは、インクタンクと外部とを連通するインク流路が形成された外枠と、外枠内に収容された弾性材料からなるシール部材とから構成されており、シール部材は、インク流入口を有するインク供給管が挿入されるとインク流入口よりもインク供給管の根元側においてインク供給管の外周と接触してインク流路を閉じる筒状部と、インク供給管が前記筒状部に挿入されていないときには外枠におけるインク供給管の挿入方向とほぼ平行に延びる内壁と当接して前記インク流路を閉鎖し、インク供給管が筒状部に挿入されると外枠の内壁から挿入方向とほぼ直交する方向に離隔してインク流路を開放する弁部とを有しており、シール部材を含む全ての構成部材が可燃材料からなる。
本発明においては、シール部材が一体成型されていることが好ましい。これによると、シール部材の部品点数が1つとなるためインクカートリッジの製造コストを低減することができる。
本発明において、外枠は樹脂からなり、シール部材は可撓性樹脂からなることが好ましい。これによると、外枠及びシール部材が樹脂で構成されているため、ユーザは使用済みインクカートリッジを可燃ゴミとしてさらに処分しやすくなる。
本発明においては、シール部材の少なくとも一部が、接着剤により外枠に固定されていることが好ましい。これによると、外枠、及びシール部材を確実に接続することができる。
または、本発明においては、シール部材の少なくとも一部が、外枠と係合して固定されていることが好ましい。これによると、外枠、及びシール部材を係合させることにより容易に接続することができるため、インクカートリッジの製造コストの低減を図ることができる。
別の観点から見て本発明のインクカートリッジは、インクを貯蔵するインクタンクと、インクタンクに接続されたジョイントとを備えており、ジョイントは、インクタンクと外部とを連通する大気流路が形成された外枠と、外枠内に収容された弾性材料からなるシール部材とから構成されており、シール部材は、大気流出口を有する大気導入管が挿入されると大気流出口よりも大気導入管の根元側において大気導入管の外周と接触して大気流路を閉じる筒状部と、大気導入管が筒状部に挿入されていないときには外枠における大気導入管の挿入方向とほぼ平行に延びる内壁と当接して大気流路を閉鎖し、大気導入管が筒状部に挿入されると外枠の前記内壁から挿入方向とほぼ直交する方向に離隔して大気流路を開放する弁部とを有しており、シール部材を含む全ての構成部材が可燃材料からなる。本発明によると、弾性材料の弾性力によって大気流路を閉鎖しているため、従来のインクカートリッジで用いていた金属の弾性体は不要となる。また、シール部材以外のインクカートリッジの構成部品も金属材料を用いることなく可燃材料で構成できるため、ユーザは使用済みインクカートリッジを分解などの作業を要することなくそのまま可燃ゴミとして処分することができる。
以下、本発明に係る第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、第1の実施の形態によるインクカートリッジを含むインクジェットプリンタの部分概略図である。尚、インクカードリッジ1は断面構造を示している。また、図2は図1に示すインクカートリッジの部分拡大図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ101は、記録用紙Pに向けてインクを吐出するためのインクジェットヘッド5と、インクジェットヘッド5に吐出されるインク(図中I)を貯蔵するためのインクカートリッジ1と、インクジェットヘッド5をガイド7に沿って一方向(紙面に対して垂直方向)に且つ直線的に往復移動させるキャリッジ6と、記録用紙Pをインクジェットヘッド5の移動方向に対して垂直方向に且つインクジェットヘッド5のインク吐出面に対して平行に搬送するための搬送機構8と、インクジェットヘッド5内のエアや高粘度化したインクを吸引するためのパージ装置9とを備えている。パージ装置9は、インクジェットヘッド5の駆動軌道上における記録用紙Pのさらに外側に配置されており、インクジェットヘッド5のインク吐出面に対して接近/離隔する方向に移動可能で且つインクジェットヘッド5のインク吐出面に装着されるパージキャップ10と、インクを吸引するための吸引ポンプ11とを備えている
このインクジェットプリンタ101においては、インクカートリッジ1に貯蔵されたインクが供給チューブ4を介してインクジェットヘッド5に供給される。インクジェットヘッド5はキャリッジ6により往復駆動されるとともに、搬送機構8に搬送される記録用紙Pに対してノズルからインクを吐出することにより、記録用紙P上に所望の画像を形成する。そして、インクジェットヘッド5は所定の時間経過する毎にキャリッジ6によりパージ装置9のパージキャップ10上に移動され、その後にパージキャップ10がインクジェットヘッド5のインク吐出面と接するように移動される。この状態で吸引ポンプ11が駆動され、インクジェットヘッド5のノズルからエアや高粘度化したインクが吸引される。
次にインクジェットヘッド5及びインクカードリッジ1について詳細に説明する。インクジェットヘッド5は、インクを吐出するノズルが多数形成されているインク吐出面を有しており、図示しない制御装置に制御されてインク供給チューブ4から供給されたインクを各ノズルから吐出する。インク供給チューブ4は一方の端部がインクジェットヘッド5に接続されており、他方の端部が合成樹脂からなるインク供給管41に接続されている。インク供給管41は、インクカードリッジ1に接続される先細り形状を有する管であり、封止されている管の先端の半球面部44の周囲方向に沿うように形成されている複数のインク流入口42と、インク流入口42を介して外部と連通している管内インク流路43とを備えている。
インクカートリッジ1は、合成樹脂で形成された略直方体状のケースであり、インク(図中I)を貯蔵するためのインクタンク11と、インク供給管41を接続するためのジョイント部12とを備えている。インクタンク11は、インクカートリッジ1の内壁によって区画されたインクが充填される空間であり、大気流入流路13と、インク流出流路14とを備えている。大気流入路13は、インクタンク11の上面に形成されているとともに、インクタンク11と大気とを連通させてインク流出流路14からインクが流出するにともなって大気を導入させる流路である。インク流出流路14は、インクタンク11の底面に形成されているインクを流出させるための流路であり、インクタンク11とジョイント部12の内部空間とを連通させている。
ジョイント部12は、インクカートリッジ1の内壁により構成されている外枠15と、外枠15の内部空間に配置されているシール部材16とを備えている。外枠15は、その内部空間であるインク流路17と底面の開口部である挿入口18とを備えている。つまり、インク流路17はインク流出流路14を介してインクタンク11と連通しているとともに、挿入口18を介して外部と連通している。また、図2に示されるように、挿入口18には外枠15とシール部材16とを係合させるための座グリ18aが形成されている。
シール部材16は、インク供給管41との接続の有無により、インク流路17を開放または遮断するための一体成型されたゴム(可撓性樹脂)部材であり、膨大弁19と、板状弁20と、筒状部21と、閉鎖部25とを備えており、図2から明らかなように、インサート成型により全体を一体成型することが可能な形状を有している。膨大弁19は、インク流出流路14の開口外径より膨大な膨大部23及び膨大部23を支持する支持部22を備えているとともに、インク流出流路14のインクタンク11内部側に膨大部23を配している弁である。支持部22は、インク流出流路14を通過して垂直方向に延在している。板状弁20は、インク流路17の水平方向(インク供給管41の挿入方向と垂直な方向)の内径よりも若干大きい外径を持つ円盤形状を有している弁である。また、板状弁20の外縁近傍は、インク流路17内に形成されている台座15aにインクタンク11側から支持されている。筒状部21は、筒形状を有しているとともに、その内周面にインク供給管41の外周面が密着してインク供給管41の外周を密封するためのものである。また、筒状部21には、密着したインク供給管41のインク流入口42を介して管内インク流路43とインク流路17とを連通させるためのシール部材インク流路24を備えている。閉鎖部25は、外枠15の挿入口18に形成された座グリ18aと係合することによりインク流路17を閉鎖している。尚、以上説明したとおりインクカートリッジ1の構成要素は、ゴム又は合成樹脂からなっており、インクカートリッジ1は可燃性材料のみから構成されている。
次にジョイント部12の動作について図2を参照しつつ詳細に説明する。図2は、図1におけるジョイント部12の拡大図である。尚、図2(a)は、ジョイント部12にインク供給管41が接続されていない状態を、図2(b)は、ジョイント部12にインク供給管41が接続された状態を示している。また、図中の矢印51はインクの流れを示している。
図2(a)に示すように、ジョイント部12にインク供給管41が接続されていないときには、シール部材16の膨大弁19の膨大部23が支持部22に作用する収縮方向の弾性力でインク流路17側に引き込まれ、膨大部23の下方部(閉鎖部61)がインク流出流路14のインクタンク11側の開口部に密接した位置(閉鎖位置)に変位することによりインク流出流路14を閉鎖している。このとき、膨大部23自体が弾性を有していることにより、膨大部23とインク流出流路14のインクタンク側の開口部とはその弾性を利用して隙間なく密着される。さらに、シール部材16の板状弁20が自己の伸長方向に作用する弾性力によりその周縁(閉鎖部62)をインク流路17の内壁に対して水平方向から密着する位置(閉鎖位置)に変位させている。このとき、板状弁20の周縁自体が弾性力を有していることにより、板状弁20の周縁とインク流路17の内壁とは、その弾性力を利用して隙間なく密着される。これにより、インク流路17内が閉鎖され、シール部材16のシール部材インク流路24にまでインクが行き渡ることがない。
一方、図2(b)に示すように、ジョイント部12にインク供給管41が接続されるときには、挿入されたインク供給管41の先端の半球面部44がシール部材16の板状弁20のインクタンク11と反対側の面の中央近傍(被押圧部63)に接触し、さらにインク供給管41が押圧されることにより板状弁20の中央部(変形部64)が半球面部44の曲面形状に従ってインクタンク11側に凸になるように弾性変形する。変形部64がインクタンク11側に凸になるように弾性変形すると、支持部22がインクタンク11側に押し上げられる。支持部22が押し上げられるとこれに支持されているとともにインク流出流路14のインクタンク11側の開口部を閉鎖していた膨大部23の閉鎖部61もインクタンク11側に押し上げられた位置(離隔位置)に変位され、インク流出流路14のインクタンク11側の開口部が開放される。同時に、変形部64がインクタンク11側に凸になるように弾性変形すると、自己の弾性力でインク流路17の内壁に対して水平方向に密着させていた板状弁20の閉鎖部61が、これを支持しているインク流路17内に形成されている台座に沿うようにインク流路17の内壁から離脱する位置(離隔位置)に変位する。これによりインク流路17が開放される。
膨大弁19及び板状弁20がインク流路17を開放することにより、インクタンク11内に貯蔵されているインクがインク流出流路14を経由してインク流路17に流入する。尚、このときシール部材16の閉鎖部25が、外枠15の挿入口18に形成された座グリと係合して密着しているため、インク流路17に流入したインクが外枠15とシール部材16との間から漏れ出ることはない。インク流路17に流入したインクは、シール部材インク流路24に流入し、さらにインク供給管41のインク流入口42を介して管内インク流路43に流入する。尚、このとき筒状部21がインク供給管41の外周を密封しているため、シール部材16とインク供給管41との間からシール部材インク流路24に流入したインクが漏れ出ることはない。管内インク流路43に流入したインクは、インク供給チューブ4内を通過してインクジェットヘッド5に供給される。その後、インク供給管41がジョイント部12から抜出され接続が解除されると、板状弁20の変形部64は、自身の弾性力により図2(a)に示す元の形状に復帰する。これに伴って膨大部23及び閉鎖部62は閉鎖位置に復帰してインク流出流路14及びインク流路内を閉鎖する。
このとき、半球面部44が板状弁20の被押圧部63から離されれば膨大部23及び閉鎖部62は直ちに閉鎖位置に復帰できるためインク供給管41が完全に抜出される前に流路14、17を閉鎖することができ、抜出に伴う液漏れを防止することができる。
以上説明した第1の実施の形態においては、膨大弁19及び板状弁20が、膨大弁19及び板状弁20自身の弾性力によってインク流出流路14及びインク流路17を閉鎖しているため、従来のインクカートリッジで用いていたバネ等の金属の弾性体は不要となる。さらにインクカートリッジ1が全て合成樹脂及びゴムにより構成されている。これによりユーザは使用済みインクカートリッジ1を可燃ゴミとして処分することができる。
また、一体成型された単一のシール部材16により、挿入されたインク供給管41の周囲からインクが漏れ出さないように密封する機能、インク供給管41が挿入されない状態でインク流出流路14及びインク流路17と密着し、これらの流路を液漏れなく閉鎖する機能、並びにインク供給管41が抜出されたときにインク流出流路14及びインク流路17を開放状態から閉鎖状態に切り換える機能の3つの機能を実現できるため、従来に比べて部品点数が削減されて大幅なコストダウンを図ることができる。
また、シール部材16が一体成型されているため、インクカートリッジ1の製造コストを低減することができる。
加えて、シール部材16が膨大弁19及び板状弁20によりインク流路17を2重に閉鎖するため、確実にインク流路17を閉鎖することができる。
また、シール部材16の閉鎖部25と、外枠15の挿入口18に形成された座グリ18aとで容易に係合することができるため、インクカートリッジの製造コストの低減を図ることができる。
また、インクタンク11内部に配された膨大弁19によりインク流出流路14をインクタンク11の内部側から閉鎖する構成を備えたことで、通常の使用環境とは異なる極端な環境変化が生じたときであってもインク漏れを確実に防止することができる。すなわち、昼夜の温度差が大きい地域や飛行機の機上などの環境ではインクタンク11の内圧が外圧(大気圧)よりも極端に高まる状況が起こり、インクはインクタンク11から漏れ出すように圧力を受けるが、このとき、膨大部19は、インクタンク11の内圧を受けてインク流出流路14のインクタンク側の開口部により密着するため、膨大部19の閉鎖作用も高まることとなり、インク漏れを防止することができるのである。
次に本発明に係る他の実施の形態について以下に順次説明するが、第1の実施の形態と共通する構成、作用、及び動作についてはその説明を一部省略する。先ず、本発明に係る第2の実施の形態によるインクカートリッジについて図3を参照しつつ説明する。図3は、第2の実施の形態によるインクカートリッジの断面図である。尚、図中矢印52はインクの流れを、矢印53は大気の流れを示している。
尚、第2の実施の形態によるインクカートリッジは、第1の実施の形態において説明したインクジェットプリンタ101に適用される。そこで、第2の実施の形態にかかる図面において、第1の実施の形態と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
インクカートリッジ1Aは、合成樹脂で形成された略直方体状のケースであり、インク(図中I)を貯蔵するためのインクタンク11と、合成樹脂からなるインク供給管41を接続するためのジョイント部12と、大気を導入するための大気導入管41Aを接続するためのジョイント部12Aとを備えている。インクタンク11は、インクカートリッジ1Aの内壁によって区画された空間であり、大気流入流路13Aと、大気誘導流路49と、インク流出流路14とを備えている。大気流入路13Aは、インクタンク11の底面に形成されているとともに、インクタンク11と大気とを連通させてインク流出流路14からインクが流出するにともなって大気を導入させる流路である。また、大気流入路13Aは大気誘導流路49とジョイント部12Aの内部空間とを連通させている。大気誘導流路49は、筒形状を有するとともに大気流入路13Aから流入した大気をインクタンク11の上面近傍に誘導する流路である。大気誘導流路49を備えることにより、インクタンク11内に流入した大気が貯蔵されているインク内を通過することがなくなるため、大気導入にともなってインクが泡立つのを防止することができる。インク流出流路14は、インクタンク11の底面に形成されているインクを流出させるための流路であり、インクタンク11とジョイント部12の内部空間とを連通させている。
ジョイント部12の詳細については、第1の実施の形態におけるジョイント部12と実質的に同等であるため詳細な説明は省略する。
ジョイント部12Aは、インクカートリッジ1Aの内壁により構成されている外枠15Aと、外枠15Aの内部空間に配置されているシール部材16Aとを備えている。外枠15Aは、その内部空間である大気流路17Aと底面の開口部である挿入口18Aとを備えている。つまり、大気流路16Aは大気流入路13Aを介してインクタンク11と連通しているとともに、挿入口18Aを介して外部と連通している。また、挿入口18Aには外枠15Aとシール部材16Aとを密着係合させるための座グリ18Aaが形成されている。
シール部材16Aは、合成樹脂からなる大気導入管41Aとの接続の有無により、大気流路17Aを開放または遮断するための一体成型されたゴム(可撓性樹脂)部材であり、膨大弁19Aと、板状弁20Aと、筒状部21Aと、閉鎖部25Aとを備えている。膨大弁19Aは、大気流入路13Aの開口外径より膨大な膨大部23A及び膨大部23Aを支持する支持部22Aを備えている。大気流入路13Aのインクタンク11内部側に配置されている弁である。また、支持部22Aは、大気流入路13Aを通過して垂直方向に延在している。板状弁20Aは、大気流路17Aの水平方向の内径よりも若干大きい外径を持つ円盤形状を有している弁である。また、板状弁20Aの外縁近傍は、大気流路17A内に形成されている台座15Aaにインクタンク11側から支持されている。筒状部21Aは、筒形状を有しているとともに、大気導入管41Aと密着して大気導入管41Aの外周を密封するためのものである。また、筒状部21Aは、密着した大気導入管41Aの大気流出口42Aを介して管内大気流路43Aと大気流路17Aとを連通させるためのシール部材大気流路24Aを備えている。閉鎖部25Aは、外枠15Aの挿入口18Aに形成された座グリ18Aaと係合することにより大気流路17Aを閉鎖している。
ジョイント部12Aの大気流路17Aを閉鎖及び開放する動作については、ジョイント部12のインク流路17を閉鎖及び開放する動作と実質的に同等であるため詳細な説明は省略する。そして、膨大弁19A及び板状弁20Aが大気流路17Aを開放することにより、大気供給チューブ4A内を通過して大気導入管41Aの管内大気流路43Aに流入した大気は、シール部材大気流路24Aを介して大気流路17Aに流入する。大気流路17Aに流入した大気は、大気流入路13Aを介して大気誘導流路49に流入する。大気誘導流路49に流入した大気は、大気誘導流路49に誘導されてインクタンク11の上方に供給される。
以上説明した第2の実施の形態においては、膨大弁19、19A及び板状弁20、20Aが、膨大弁19、19A及び板状弁20、20A自身の弾性力によってインク流路17、大気流路17Aを閉鎖しているため、従来のインクカートリッジで用いていたバネ等の金属の弾性体は不要となる。さらにインクカートリッジ1Aが全て合成樹脂及びゴムにより構成されている。これによりユーザは使用済みインクカートリッジ1Aを可燃ゴミとして処分することができる。
次に、本発明に係る第3の実施の形態によるインクカートリッジについて図4を参照しつつ説明する。図4は、第3の実施の形態によるインクカートリッジのジョイント部の断面図である。図4(a)は、ジョイント部12Bにインク供給管41が接続されていない状態を、図4(b)は、ジョイント部12Bにインク供給管41が接続された状態を示している。図中の矢印54はインクの流れを示している。
尚、第3の実施の形態によるインクカートリッジ1Bは第1の実施の形態において説明したインクジェットプリンタ101に適用される。また、インクカートリッジ1Bはジョイント部12Bにおいてのみ第1の実施の形態と相違している。そこで、第3の実施の形態にかかる図面において、第1の実施の形態と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
ジョイント部12Bは、インクカートリッジ1Bの内壁により構成されている外枠15Bと、外枠15Bの内部空間に配置されているシール部材16Bとを備えている。外枠15Bは、その内部空間であるインク流路17Bと底面の開口部である挿入口18Bとを備えている。つまり、インク流路17Bはインク流出流路14Bを介してインクタンク11と連通しているとともに、挿入口18Bを介して外部と連通している。また、挿入口18Bには外枠15Bとシール部材16Bとを係合させるための座グリ15Baが形成されている。
シール部材16Bは、合成樹脂からなるインク供給管41との接続の有無により、インク流路17Bを開放または遮断するための一体成型されたゴム(可撓性樹脂)部材であり、板状弁20Bと、筒状部21Bと、閉鎖部25Bとを備えている。板状弁20Bは、インク流路17Bの水平方向の内径よりも若干大きい外径を持つ円盤形状を有している弁である。また、板状弁20Bの外縁近傍は、インク流路17B内に形成されている台座15Bbにインクタンク11側から支持されている。筒状部21Bは、筒形状を有しているとともに、インク供給管41と密着してインク供給管41の外周を密封するためのものである。また、筒状部21Bには、密着したインク供給管41のインク流入口42を介して管内インク流路43とインク流路17とを連通させるためのシール部材インク流路24Bを備えている。閉鎖部25Bは、外枠15Bの挿入口18Bに形成された座グリ15Baと係合することによりインク流路17Bを閉鎖している。
次にジョイント部12Bの動作について詳細に説明する。図4(a)に示すように、ジョイント部12Bにインク供給管41が接続されていないときには、シール部材16Bの板状弁20Bが自己の弾性力によりその縁(閉鎖部62B)をインク流路17Bの内壁に対して水平方向(インク供給管41の挿入方向と垂直な方向)に密着した位置(閉鎖位置)に変位させることにより、インク流路17Bを閉鎖している。これによりシール部材16Bのシール部材インク流路24Bにまでインクが行き渡ることがない。
一方、図4(b)に示すように、ジョイント部12Bにインク供給管41が接続されるときには、挿入されたインク供給管41の先端の半円球面部44がシール部材16Bの板状弁20Bのインクタンク11と反対側の面の中央近傍(被押圧部63B)に接触し、さらにインク供給管41が押圧されることにより板状弁20Bの中央部(変形部64B)がインクタンク11側に凸になるように弾性変形する。変形部64Bがインクタンク11側に凸になるように弾性変形すると、自己の弾性力でインク流路17Bの内壁に対して水平方向に密着させていた板状弁20Bの閉鎖部62Bが、これを支持しているインク流路17B内に形成されている台座に沿うようにインク流路17Bの内壁から離脱した位置(離隔位置)に変位され、インク流路17Bが開放される。
板状弁20がインク流路17Bを開放することにより、インクタンク11内に貯蔵されているインクがインク流出流路14Bを経由してインク流路17Bに流入する。尚、このときシール部材16Bの閉鎖部25Bが、外枠15Bの挿入口18Bに形成された座グリ15Baと係合して密着しているため、インク流路17Bに流入したインクが外枠15Bとシール部材16との間から漏れ出ることはない。インク流路17Bに流入したインクは、シール部材インク流路24Bに流入し、さらにインク供給管41のインク流入口42を介して管内インク流路43に流入する。尚、このとき筒状部21Bがインク供給管41の外周を密封しているため、シール部材16Bとインク供給管41との間からシール部材インク流路24Bに流入したインクが漏れ出ることはない。管内インク流路43に流入したインクは、インク供給チューブ4内を通過してインクジェットヘッド5に供給される。
以上説明した第3の実施の形態においては、板状弁20B自身の弾性力によって板状弁20Bがインク流路17Bを閉鎖しているため、従来のインクカートリッジで用いていたバネ等の金属の弾性体は不要となる。さらにインクカートリッジ1Bが全て合成樹脂及びゴムにより構成されている。これによりユーザは使用済みインクカートリッジ1を可燃ゴミとして処分することができる。また、シール部材16Bを、全体が略筒状の簡易な形状として構成できるためその成型が容易である。
また、シール部材16Bの板状弁Bを弾性変形させるという小さい押圧力で容易にインク流路17Bを開放させることができる。
次に、本発明に係る第4の実施の形態によるインクカートリッジについて図5を参照しつつ説明する。図5は、第4の実施の形態によるインクカートリッジのジョイント部の断面図である。図5(a)は、ジョイント部12Cにインク供給管41が接続されていない状態を、図5(b)は、ジョイント部12Cにインク供給管41が接続された状態を示している。図中の矢印55はインクの流れを示している。
尚、第4の実施の形態によるインクカートリッジ1Cは第1の実施の形態において説明したインクジェットプリンタ101に適用される。また、インクカートリッジ1Cはジョイント部12Cにおいてのみ第1の実施の形態と相違している。そこで、第4の実施の形態にかかる図面において、第1の実施の形態と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
ジョイント部12Cは、インクカートリッジ1Cの内壁により構成されている外枠15Cと、外枠15Cの内部空間に配置されているシール部材16Cとを備えている。外枠15Cは、その内部空間であるインク流路17Cと底面の開口部である挿入口18Cとを備えている。つまり、インク流路17Cはインク流出流路14Cを介してインクタンク11と連通しているとともに、挿入口18Cを介して外部と連通している。また、挿入口18Cには外枠15Cとシール部材16Cとを密着係合させるための座グリ18Caが形成されている。
シール部材16Cは、合成樹脂からなるインク供給管41Cとの接続の有無により、インク流路17Cを開放または遮断するための一体成型されたゴム(可撓性樹脂)部材であり、膨大弁19Cと、筒状部21Cと、閉鎖部25Cとを備えている。膨大弁19Cは、インク流出流路14Cの開口外径より膨大な膨大部23C及び膨大部23Cを支持する支持部22Cを備えているとともに、インク流出流路14Cのインクタンク11内部側に配置されている弁である。また、支持部22Cは、インク流出流路14Cを通過して垂直方向に延在している。筒状部21Cは、インク供給管41と密着するとともにインク供給管41の外周を密封するためのものである。また、筒状部21Cには、密着したインク供給管41のインク流入口42を介して管内インク流路43とインク流路17Cとを連通させるためのシール部材インク流路24Cを備えている。閉鎖部25Cは、外枠15Cの挿入口18Cに形成された座グリ18Caと係合することによりインク流路17Cを閉鎖している。
次にジョイント部12Cの動作について詳細に説明する。図5(a)に示すように、ジョイント部12Cにインク供給管41が接続されていないときには、シール部材16Cの膨大弁19Cの下面(閉鎖部61C)が支持部22Cの弾性力でインク流路17C側に引き込まれた位置(閉鎖位置)に変位され、インク流出流路14Cのインクタンク11側の開口部を閉鎖している。これによりインク流路17Cが閉鎖され、シール部材16Cのシール部材インク流路24Cにまでインクが行き渡ることがない。
一方、図5(b)に示すように、ジョイント部12Cにインク供給管41が接続されるときには、挿入されたインク供給管41の先端の半球面部44が膨大弁19Cの支持部22Cをさらに支持する板状部におけるインクタンク11と反対側の面の中央近傍(被押圧部63C)に接触し、さらにインク供給管41が押圧されることにより板状部の中央部(変形部64C)がインクタンク11側に凸になるように弾性変形する。変形部64Cがインクタンク11側に凸になるように弾性変形すると、支持部22Cがインクタンク11側に押し上げられる。支持部22Cが押し上げられるとこれに支持されているとともにインク流出流路14Cのインクタンク11側の開口部を閉鎖していた膨大弁19Cの閉鎖部61Cもインクタンク11側に押し上げられた位置(離隔位置)に変位され、インク流出流路14Cのインクタンク11側の開口部が開放される。これによりインク流路17Cが開放される。
膨大弁19Cがインク流路17Cを開放することにより、インクタンク11内に貯蔵されているインクがインク流出流路14Cを経由してインク流路17Cに流入する。尚、このときシール部材16Cの閉鎖部25Cが、外枠15Cの挿入口18Cに形成された座グリ18Caと係合して密着しているため、インク流路17Cに流入したインクが外枠15Cとシール部材16Cとの間から漏れ出ることはない。インク流路17Cに流入したインクは、シール部材インク流路24Cに流入し、さらにインク供給管41のインク流入口42を介して管内インク流路43に流入する。尚、このとき筒状部21Cがインク供給管41の外周を密封しているため、シール部材16Cとインク供給管41との間からシール部材インク流路24Cに流入したインクが漏れ出ることはない。管内インク流路43に流入したインクは、インク供給チューブ4内を通過してインクジェットヘッド5に供給される。
以上説明した第4の実施の形態においては、膨大弁19C自身の弾性力によって膨大弁19Cがインク流路17Cを閉鎖しているため、従来のインクカートリッジで用いていたバネ等の金属の弾性体は不要となる。さらにインクカートリッジ1Cが全て合成樹脂及びゴムにより構成されている。これによりユーザは使用済みインクカートリッジ1Cを可燃ゴミとして処分することができる。
また、インク流路17Cの開放時において、膨大弁19Cの変形が少ないため、膨大弁19Cの耐久性を向上させることができる。
また、上述した第1の実施の形態と同様に、インクタンク11内部に配された膨大弁19Cによりインク流出流路14Cをインクタンク11の内部側から閉鎖する構成であるため、第1の実施の形態の場合と同様に、環境の変化に強いインクの漏れ出し防止機構を実現することができる。l
次に、本発明に係る第5の実施の形態によるインクカートリッジについて図6を参照しつつ説明する。図6は、第5の実施の形態によるインクカートリッジのジョイント部の断面図である。図6(a)は、ジョイント部12Dにインク供給管41が接続されていない状態を、図6(b)は、ジョイント部12Dにインク供給管41が接続された状態を示している。図中の矢印56はインクの流れを示している。
尚、第5の実施の形態によるインクカートリッジ1Dは第1の実施の形態において説明したインクジェットプリンタ101に適用される。また、インクカートリッジ1Dはジョイント部12Dにおいてのみ第1の実施の形態と相違している。そこで、第5の実施の形態にかかる図面において、第1の実施の形態と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
合成樹脂からなるインク供給管41Dは、インクカードリッジ1に接続するための筒形状を有する管であり、その先端に形成された開口部であるインク流入口42Dと、インク流入口42Dを介して外部と連通している管内インク流路43Dとを備え、先端に向けて徐々に先細りとなる形状となっている。
ジョイント部12は、インクカートリッジ1Dの内壁により構成されている外枠15Dと、外枠15Dの内部空間に配置されているシール部材16Dとを備えている。外枠15Dは、その内部空間であるインク流路17Dと底面の開口部である挿入口18Dとを備えている。つまり、インク流路17Dはインク流出流路14Dを介してインクタンク11と連通しているとともに、挿入口18Dを介して外部と連通している。また、外枠15Dのインクタンク11側の内壁には、インク流路17D側に凸となっている有底筒形状を有する凸部15Daが形成されており、インク流出流路14Dは凸部15Daの外周面を貫通するように形成されている。
シール部材16Dは、インク供給管41Dとの接続の有無により、インク流路17Dを開放または遮断するための一体成型されたゴム(可撓性樹脂)部材であり、筒状弁19Dと、筒状部21Dと、閉鎖部25Dとを備えている。筒状弁19Dは、インクタンク11側に先細りとなる筒形状を有しているとともに、その内周面が外枠15Dの凸部15Daの外周面に密着する弁である。筒状部21Dは、インク供給管41Dの外周面と密着するとともにインク供給管41Dの外周を密封するためのものである。そして、筒状部21Dは筒状弁19Dと連続する1つの筒形状を形成しており、筒状弁19Dとの境界領域においてインク供給管41Dと係合する内側面に隆起部が形成されている。閉鎖部25Dは外枠15Dの挿入口18Dと接着剤により接着されており、これによりインク流路17Dが閉鎖されている。
次にジョイント部12Dの動作について詳細に説明する。図6(a)に示すように、ジョイント部12Dにインク供給管41Dが接続されていないときには、シール部材16Dの筒状弁19Cの内側(閉鎖部65D)が自己の弾性力で外枠15Dの凸部15Daの外周に押しつけられた位置(閉鎖位置)に変位され、インク流出流路14Dを閉鎖している。これによりインク流路17Dにまでインクが行き渡ることがない。
一方、図6(b)に示すように、ジョイント部12Dにインク供給管41Dが接続されるときには、挿入されたインク供給管41Dの先端近傍の側壁部がシール部材16Dの筒状部21Dに形成されている隆起部(被押圧部63D)に接触し、さらにインク供給管41Dが挿入方向に押圧されるとインク供給管41Dの外周面が被押圧部63Dを押し広げる。これにより筒状弁19D(変形部64D)が、閉鎖部65Dを広げる位置(離隔位置)に変位させるように弾性変形する。これにより、インク流出流路14Dが開放され、これに連通するインク流路17Dが開放される。
筒状弁19Dがインク流路17Dを開放することにより、インクタンク11内に貯蔵されているインクがインク流出流路14Dを経由してインク流路17Dに流入する。インク流路17Dに流入したインクは、インク供給管41Dのインク流入口42Dを介して管内インク流路43Dに流入する。尚、このとき筒状部21Dがインク供給管41Dの外周を密封しているため、シール部材16Dとインク供給管41Dとの間からインク流路24Dに流入したインクが漏れ出ることはない。管内インク流路43Dに流入したインクは、インク供給チューブ4内を通過してインクジェットヘッド5に供給される。
以上説明した第5の実施の形態においては、筒状弁19Dが自己の弾性力によってインク流路17Dを閉鎖しているため、従来のインクカートリッジで用いていたバネ等の金属の弾性体は不要となる。さらにインクカートリッジ1Dが全て合成樹脂及びゴムにより構成されている。これによりユーザは使用済みインクカートリッジ1Dを可燃ゴミとして処分することができる。
また、外枠15D及び筒状弁19Dの構造が簡単であるためインクカートリッジの製造コストの低減を図ることができる。
また、閉鎖部25Dが外枠15Dの挿入口18Dと接着剤により接着されているため、外枠15Dとシール部材16Dとを確実に接続することができる。
第5の実施の形態においては、筒状部21Dは筒状弁19Dと連続する1つの筒形状を形成しており、筒状弁19Dとの境界領域においてインク供給管41Dと当接する内側面に形成された隆起部を被押圧部63Dとする構成であるが、このような構成に限定されるものではない。例えば、図7(a)に示すように、筒状弁19Eの内径を筒状部21Eの内径よりも狭くして、筒状弁19Eの筒状部21E側の端部を被押圧部63Eとする構成でもよい。この場合、図7(b)に示すように、ジョイント部12Eに合成樹脂からなるインク供給管41Eが接続されるときには、挿入されたインク供給管41Eの先端部がシール部材16Eの被押圧部63Eに接触し、さらにインク供給管41Eが押圧されることにより筒状弁19E(変形部64E)が、外側に凸となるように弾性変形する。変形部64Eが、外側に凸となるように弾性変形すると、インク流出流路14Eが開放されることによりこれに連通するインク流路17Eが開放される。尚、この場合は、インク供給管41Eは先細り形状である必要はない。
筒状弁19Eがインク流路17Eを開放することにより、インクタンク11内に貯蔵されているインクがインク流出流路14Eを経由してインク流路17Eに流入する。インク流路17Eに流入したインクは、インク供給管41Eのインク流入口42Eを介して管内インク流路43Eに流入する。管内インク流路43Eに流入したインクは、インク供給チューブ4内を通過してインクジェットヘッド5に供給される(矢印57)。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、第1〜第5の実施の形態においては、シール部材16、16A〜16Eは一体成型されたゴム部材であるが、このような構成に限定されるものではなく、分割して成型されたゴム部材でもよいし、ゴム以外の可撓性樹脂により成型された部材でもよい。
また、第1〜第5の実施の形態においては、シール部材16、16A〜16Eが被押圧部を押圧する構成であるが、他の部材を介在させて被押圧部を押圧するような構成でもよい。
また、第1〜第5の実施の形態においては、シール部材16、16A〜16Eは、膨大弁19、19A、19C、板状弁20、20A、20B、及び筒状弁19D、19Eによる弁機構を備える構成であるが、このような構成に限定されるものではなく、金属以外の可燃性弾性材料により形成されるのであれば、他の弁機構を備える構成でもよい。
また、第1〜第4の実施の形態においては、閉鎖部25、25A〜25Cと外枠15、15A〜15Cとを係合することにより外枠15、15A〜15Cとシール部材16、16A〜16Cとを接続する構成であり、第3の実施の形態においては、閉鎖部25Dと外枠15Dとを接着剤により接着することにより外枠15Dとシール部材16Dとを接続する構成であるが、このような構成に限定されるものではなく、両者を係合させるとともに接着剤により接着することにより接続してもよい。
尚、上述した第1〜第5の実施の形態においては、インクカートリッジ1、1A〜1Dの構成部材の全てを可燃材料(ゴム又は合成樹脂)から構成することで、ユーザが使用済みのカートリッジを分解等することなくそのまま可燃ゴミとして処分できるようにしたものであるが、自治体によってはゴム等を不燃ゴミとして取り扱っているところもあるため、そのような自治体においてカートリッジ1、1A〜1Dを処分する場合は、インクカートリッジ1、1A〜1Dからシール部材16、16A〜16Dを取り外して分別すべきである。