JP4465918B2 - 蓄熱装置を備えた内燃機関 - Google Patents

蓄熱装置を備えた内燃機関 Download PDF

Info

Publication number
JP4465918B2
JP4465918B2 JP2001145217A JP2001145217A JP4465918B2 JP 4465918 B2 JP4465918 B2 JP 4465918B2 JP 2001145217 A JP2001145217 A JP 2001145217A JP 2001145217 A JP2001145217 A JP 2001145217A JP 4465918 B2 JP4465918 B2 JP 4465918B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat storage
cooling water
storage device
heat
heat medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001145217A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002339752A (ja
Inventor
功 後藤
邦彦 林
克彦 蟻沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2001145217A priority Critical patent/JP4465918B2/ja
Publication of JP2002339752A publication Critical patent/JP2002339752A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4465918B2 publication Critical patent/JP4465918B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Air-Conditioning For Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱装置を備えた内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内燃機関は、燃焼室周辺の温度が所定温度に達していない状態、いわゆる冷間状態で運転されると、燃焼室に供給される燃料が霧化し難くなるとともに、燃焼室の壁面近傍における消炎が発生するため、始動性の低下や排気エミッションの悪化が誘発される。
【0003】
そこで、内燃機関が運転中に発する熱を蓄えておき、その蓄えた熱を機関停止中、または、機関始動時に内燃機関に供給して内燃機関の温度を上昇させる蓄熱装置を備えた内燃機関が知られている。しかし、この蓄熱装置に蓄えられる熱量は限られているので、この限られた熱量を効率よく使用することが重要となる。
【0004】
例えば、特開平6−185359号公報では、シリンダブロックに冷却水を導入する第1冷却水路と、この第1冷却水路とは独立してシリンダヘッドに冷却水を導入する第2冷却水路と、この第2冷却水路に接続された蓄熱装置とを備えている。
【0005】
このように構成された内燃機関の蓄熱装置では、内燃機関が冷間状態のときには蓄熱装置に蓄えられていた熱が冷却水を媒体として第2冷却水路を通じてシリンダヘッドに集中的に導入される。このように、上記のシリンダブロックに冷却水を導入する第1冷却水路と、この第1冷却水路とは独立してシリンダヘッドに冷却水を導入する第2冷却水路と、この第2冷却水路に接続された蓄熱装置とを備えた内燃機関は、該蓄熱装置に蓄えられた熱をシリンダヘッドに集中的に導入することにより、限られた熱を効率よく内燃機関に伝達し、以て、エミッション性能の改善及び燃費性能の向上を実現しようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の内燃機関の蓄熱装置では、保守等で該蓄熱装置の内部から冷却水を一旦除去し、その後再度冷却水を注入するときに蓄熱装置内部や冷却水通路に残留した空気を完全に除去するためには面倒な作業が伴う。一方、第1冷却水通路及び第2冷却水通路はヒータコア等の他の部材にも通じているため、蓄熱装置や冷却水通路に空気が残留した状態で該蓄熱装置を作動させると、前記残留した空気が冷却水とともに該ヒータコア等に達して該ヒータコア等の内部に滞留する虞がある。蓄熱装置を備えた内燃機関では、冷却水通路が複雑化する傾向にあるので一旦ヒータコア等に入り込んだ空気は簡単には除去できず、この空気を除去するためには面倒な作業が伴う。また、ヒータコア等に滞留した空気を除去しないと、ヒータコア等の熱交換率が低下する虞がある。
【0007】
本発明は、以上の問題を解決するためになされたものであり、蓄熱装置を備えた内燃機関において、蓄熱装置以外の部材の内部に気体が流入することを防止し、また、蓄熱装置内部に滞留した気体の除去を容易に行うことができる技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明の蓄熱装置を備えた内燃機関は、以下の手段を採用した。即ち、熱媒体が持つ熱を蓄える蓄熱手段を備えた内燃機関であって、
熱媒体を所定の圧力で吐出する熱媒体吐出手段と、
前記内燃機関と前記熱媒体吐出手段と前記蓄熱手段とに熱媒体を循環させる蓄熱循環通路と、
前記蓄熱循環通路と一部を共有し熱媒体が循環する熱媒体循環通路と、
前記蓄熱手段に蓄えられた熱媒体を内燃機関へ供給する熱供給手段と、
前記蓄熱循環通路と共有された個所以外の前記熱媒体循環通路の少なくとも1個所を遮断する遮断弁と、
前記蓄熱循環通路に残留している気体を前記蓄熱循環通路の外部に排出させる排出口と、
前記排出口から気体を排出させるときに前記遮断弁により前記熱媒体循環通路を遮断し且つ前記熱媒体吐出手段により熱媒体を前記蓄熱循環通路に循環させる気体排出制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
このように構成された蓄熱装置を備えた内燃機関では、例えば、保守等を行ったときに蓄熱循環通路や当該蓄熱循環通路に介在する蓄熱手段及び熱媒体吐出手段に例えば空気のような気体が残留することがある。
【0010】
そのようなときに熱媒体吐出手段が熱媒体を吐出すると、蓄熱循環通路や当該蓄熱循環通路に介在する蓄熱手段及び熱媒体吐出手段に残留した気体は、熱媒体とともに蓄熱循環通路を循環する。排出口に気体が到達すると、この気体は蓄熱循環通路の外部に排出される。ここで、排出口は、気体を排出する機能と熱媒体を注入する機能とを備えても良い。また、排出口から気体を排出するときに、当該排出口に熱媒体が循環している必要はない。
【0011】
ところで、蓄熱循環通路に熱媒体が循環すると、熱媒体とともに前記残留した気体が熱媒体循環通路に流入する虞がある。熱媒体循環通路には例えばヒータコア等が介在し、熱媒体とともに気体が当該ヒータコア等に一旦流入してしまうと、排除するには面倒な作業と長い時間を要する。そのようなときには、前記遮断弁は蓄熱循環通路と共有された個所以外の熱媒体循環通路の少なくとも1個所を遮断して、蓄熱循環通路に残留した気体が前記熱媒体循環通路に循環することを防止する。気体排出制御手段は、前記熱媒体吐出手段が熱媒体を吐出しているとき、即ち蓄熱循環通路に熱媒体が循環されているときに遮断弁により熱媒体循環通路を遮断する。
【0012】
上記課題を達成するために本発明の蓄熱装置を備えた内燃機関は、以下の手段を採用した。即ち、熱媒体が持つ熱を蓄える蓄熱手段と、
熱媒体が循環する循環系と、
前記蓄熱手段に蓄えられた熱媒体を内燃機関へ供給する熱供給手段と、
前記循環系に残留している気体を前記循環系の外部に排出させる排出口と、
熱媒体を所定の圧力で吐出する熱媒体吐出手段と、
少なくとも前記蓄熱手段及び前記吐出手段を含む前記循環系の一部の上流側と下流側とを連通させる連通路と、
前記連通路を遮断する連通路遮断弁と、
前記排出口から気体を排出させるときに前記連通路遮断弁を開弁し且つ前記熱媒体吐出手段により熱媒体を循環させる気体排出制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
このように構成された蓄熱装置を備えた内燃機関では、例えば、保守等を行うと前記循環系または蓄熱手段に例えば空気のような気体が残留することがある。このようなときに、前記熱媒体吐出手段が熱媒体を吐出すると、循環系及び蓄熱手段に残留した気体は、熱媒体とともに循環系を循環する。気体が前記排出口に到達すると気体は当該排出口から循環系の外部へ排出される。しかし、循環系は蓄熱手段以外の部材にも接続されているので、このような部材に気体が循環されると、排出口により排出されるまでに長い時間を要する。そこで、前記連通路は少なくとも前記蓄熱手段及び前記吐出手段を含む前記循環系の一部の上流側と下流側とを連通させる。このような連通路を設けると熱媒体は他の部材に循環せずに連通路を流通して繰り返し蓄熱手段を循環するため、前記蓄熱手段に滞留した気体は他の部材に循環することなく排出口から排出される。この連通路は、循環系に残留した気体を排出するとき以外は連通路遮断手段により遮断されている。
【0014】
前記熱媒体導入制御手段は、循環系に残留した気体を排出口から排出させるときに、前記熱媒体吐出手段により熱媒体を循環させるとともに前記連通路遮断弁を開弁して他の部材に気体が循環することを防止する。
【0015】
本発明においては、前記熱媒体吐出手段に熱媒体を導入する熱媒体導入手段を具備することができる。
【0016】
このようにすると、前記熱媒体吐出手段に気体が滞留している場合にも、該熱媒体吐出手段に熱媒体を供給することができるので、該熱媒体吐出手段は熱媒体の吐出を早期に開始することができる。
【0017】
本発明においては、前記熱媒体吐出手段は、任意に作動可能であっても良い。熱媒体吐出手段は、前記したような制御手段により制御されるが、任意に作動可能であると、例えばユーザー自身でメンテナンスを行う場合などに蓄熱手段等に残留した気体を容易に除去することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の蓄熱装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る内燃機関の蓄熱装置を車両駆動用のガソリン機関に適用した場合を例に挙げて説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態に係る内燃機関の蓄熱装置を適用するエンジン1とその冷却水が循環する冷却水通路(循環通路)A、B、Cとを併せ示す概略構成図である。循環通路に示された矢印は、エンジン1が運転されているときの冷却水の流通方向である。
【0019】
図1に示すエンジン1は、水冷式の4サイクル・ガソリン機関である。
【0020】
エンジン1の外郭は、シリンダヘッド1a、シリンダヘッド1aの下部に連結されたシリンダブロック1b、シリンダブロック1bの更に下部に連結されたオイルパン1cを備えて構成される。
【0021】
シリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bには冷却水が循環するための通路であるウォータジャケット23が設けられている。このウォータジャケット23の入口には、冷却水をエンジン1外部から吸い込み、エンジン1内部に吐出させるウォータポンプ6が設けられている。このウォータポンプ6は、エンジン1の出力軸の回転トルクを駆動源として作動するポンプである。即ち、ウォータポンプ6は、エンジン1が運転されているときに限り作動する。
【0022】
エンジン1に冷却水を循環させるための通路は、ラジエータ9を循環する循環通路A、ヒータコア13を循環する循環通路B、蓄熱装置10を循環する循環通路Cに分別される。各循環通路の一部には他の循環通路と共有されている個所がある。
【0023】
循環通路Aは、主に、冷却水の熱をラジエータ9から放出させることにより、冷却水の温度を低下させる機能を有する。
【0024】
循環通路Aは、ラジエータ入口側通路A1、ラジエータ出口側通路A2、ラジエータ9、ウォータジャケット23で構成されている。シリンダヘッド1aには、ラジエータ入口側通路A1の一端が接続され、ラジエータ入口側通路A1の他端は、ラジエータ9の入口に接続される。
【0025】
ラジエータ9の出口には、ラジエータ出口側通路A2の一端が接続され、ラジエータ出口側通路A2の他端はシリンダブロック1bに接続されている。ラジエータ9の出口からシリンダブロック1bに至るラジエータ出口側通路A2上には、冷却水の温度が所定温度になると開弁するサーモスタット8が設けられている。また、ラジエータ出口側通路A2とシリンダブロック1bとは、ウォータポンプ6が介在して接続されている。
【0026】
ラジエータ9の上部には該ラジエータ内に冷却水を注入し、また、ラジエータ9内に滞留する空気を放出するための冷却水注入口40が備えられている。
【0027】
循環通路Bは、主に、冷却水の熱をヒータコア13から放出させることにより、車室内雰囲気温度を上昇させる機能を有する。
【0028】
循環通路Bは、ヒータコア入口側通路B1、ヒータコア出口側通路B2、ヒータコア13、ウォータジャケット23で構成されている。ヒータコア入口側通路B1の一端は、ラジエータ入口側通路A1の途中に接続される。ヒータコア入口側通路B1の一部で、シリンダヘッド1aからこの接続部までの通路は、ラジエータ入口側通路A1と共有される。又、ヒータコア入口側通路B1の他端は、ヒータコア13の入口に接続される。ヒータコア入口側通路B1の途中にはECU22からの信号により開閉する遮断弁31が介在する。ヒータコア13の出口には、ヒータコア出口側通路B2の一端が接続され、ヒータコア出口側通路B2の他端は、ラジエータ出口側通路A2の途中のサーモスタット8とウォータポンプ6との間に接続されている。この接続部からシリンダブロック1bまでの通路及びウォータジャケット23は、ラジエータ出口側通路A2と共有される。
【0029】
循環通路Cは、主に、冷却水の熱を蓄え、又、この蓄えた熱を放出してエンジン1を温める機能を有する。
【0030】
循環通路Cは、蓄熱装置入口側通路C1、蓄熱装置出口側通路C2、蓄熱装置10、ウォータジャケット23で構成されている。蓄熱装置入口側通路C1の一端は、ヒータコア出口側通路B2の途中に接続される。シリンダヘッド1aからこの接続部までの通路は、循環通路A及びBと共有される。一方、蓄熱装置入口側通路C1の他端は、蓄熱装置10の入口に接続される。蓄熱装置10の出口には、蓄熱装置出口側通路C2の一端が接続され、蓄熱装置出口側通路C2の他端は、ラジエータ入口側通路A1の途中に接続される。エンジン1の内部では、循環通路A及びBとウォータジャケット23を一部共有する。又、蓄熱装置10の入口及び出口には、冷却水を図1中の矢印方向にのみ流通させるための逆止弁11が設けられている。更に、蓄熱装置入口側通路C1の途中で、且つ、逆止弁11の上流側には、電動ウォータポンプ12が介在している。
【0031】
蓄熱装置10は、外側容器10aと内側容器10bとの間に真空の断熱空間が設けられ、該蓄熱装置10の内部には冷却水が内部へ流入するときに通過する冷却水注入管10c、冷却水が外部へ流出するときに通過する冷却水注出管10dが設けられている。 このように構成された循環通路では、循環通路Aにおいては、エンジン1が運転中には、クランクシャフト(図示省略)の回転トルクがウォータポンプ6の入力軸へ伝達されると、ウォータポンプ6は、クランクシャフトから該ウォータポンプ6の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で冷却水を吐出する。一方、エンジン1が停止中にはウォータポンプ6が停止するので、冷却水が循環通路Aを循環することはない。
【0032】
前記ウォータポンプ6から吐出された冷却水は、ウォータジャケット23を流通する。このときに、シリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bと冷却水との間で熱の移動が行われる。シリンダ2内部で燃焼により発生した熱の一部は、シリンダ2の壁面へ伝わり、更にシリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bの内部を伝わってシリンダヘッド1a及びシリンダブロック1b全体の温度が上昇する。シリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bに伝わった熱の一部は、ウォータジャケット23内部の冷却水に伝わり、当該冷却水の温度を上昇させる。また、その分熱を失ったシリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bの温度は低下する。このようにして、温度が上昇した冷却水は、シリンダブロック1bからラジエータ入口側通路A1へ流出する。
【0033】
ラジエータ入口側通路A1へ流出した冷却水は、当該ラジエータ入口側通路A1を流通した後ラジエータ9に流入する。ラジエータ9では、外気と冷却水との間で熱交換が行われる。温度が高くなっている冷却水の熱の一部は、ラジエータ9の壁面へ伝わり、更にラジエータ9の内部を伝わってラジエータ9全体の温度が上昇する。ラジエータ9に伝わった熱の一部は、外気に伝わり、当該外気の温度を上昇させる。また、その分熱を失った冷却水の温度は低下する。その後、温度が低下した冷却水は、ラジエータ9から流出する。
【0034】
ラジエータ9から流出した冷却水は、ラジエータ出口側通路A2を流通してサーモスタットに到達する。ここで、サーモスタット8は、ヒータコア出口側通路B2を流通する冷却水の温度が所定温度に達すると内蔵されたワックスの熱膨張により自動的に開弁する。即ち、ヒータコア出口側通路B2を流通する冷却水の温度が所定温度に達していなければ、ラジエータ出口側通路A2は遮断され、該ラジエータ出口側通路A2内部の冷却水はサーモスタット8を通過することはできない。
【0035】
サーモスタット8が開弁しているときには、当該サーモスタット8を通過した冷却水はウォータポンプ6に流入する。
【0036】
このようにして、冷却水の温度が高くなったときに限りサーモスタット8が開弁し冷却水がラジエータ9を循環する。ラジエータ9で温度が下降した冷却水は、ウォータポンプ6からウォータジャケット23へ吐出され再度温度が上昇する。
【0037】
一方、ラジエータ入口側通路A1を流通する冷却水の一部は、ヒータコア入口側通路B1に流入する。
【0038】
ヒータコア入口側通路B1に流入した冷却水は、当該ヒータコア入口側通路B1を流通して、遮断弁31に到達する。遮断弁31は、ECU22からの信号により、エンジン1の運転中には開弁され、エンジン1の停止中には閉弁される。エンジン1の運転中には、冷却水は遮断弁31を通過してヒータコア入口側通路B1を流通しヒータコア13に到達する。
【0039】
ヒータコア13は、車室内で空気と熱交換を行い、熱の移動により昇温された空気は図示しない送風機により車室内を循環し、車室内雰囲気温度が上昇する。その後、冷却水は、ヒータコア13から流出し、ヒータコア出口側通路B2を流通し、ラジエータ出口側通路A2と合流する。このときに、サーモスタット8が開弁しているときには、循環通路Aを流通する冷却水と合流してウォータポンプ6へ流入する。一方、サーモスタット8が閉弁しているときには、循環通路Bを流通してきた冷却水がウォータポンプ6に流入する。
【0040】
このようにして、ヒータコア13で温度が下降した冷却水は、再度ウォータポンプ6からウォータジャケット23へ吐出される。
【0041】
以上述べたように構成されたエンジン1には、当該エンジン1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)22が併設されている。このECU22は、エンジン1の運転条件や運転者の要求に応じてエンジン1の運転状態を制御し、又、エンジン1の運転停止中にはエンジン1の昇温制御(エンジンプレヒート制御)を行うユニットである。
【0042】
ECU22には、クランクポジションセンサ27、冷却水温度センサ(図示省略)等の各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号がECU22に入力されるようになっている。
【0043】
ECU22は、電動ウォータポンプ12、遮断弁31等を制御することが可能なように、これらが電動ウォータポンプ12、遮断弁31等と電気配線を介して接続されている。
【0044】
ここで、図2に示すように、ECU22は、双方向性バス350によって相互に接続されたCPU351と、ROM352と、RAM353と、バックアップRAM354と、入力ポート356と、出力ポート357とを備えるとともに、前記入力ポート356に接続されたA/Dコンバータ(A/D)355を備えている。
【0045】
前記入力ポート356は、クランクポジションセンサ27のようにデジタル信号形式の信号を出力するセンサの出力信号を入力し、それらの出力信号をCPU351やRAM353へ送信する。
【0046】
前記入力ポート356は、冷却水温度センサ(図示省略)、バッテリー30等のように、アナログ信号形式の信号を出力するセンサのA/D355を介して入力し、それらの出力信号をCPU351やRAM353へ送信する。
【0047】
前記出力ポート357は、電動ウォータポンプ12、遮断弁31等と電気配線を介して接続され、CPU351から出力される制御信号を、前記した電動ウォータポンプ12、遮断弁31等へ送信する。
【0048】
前記ROM352は、蓄熱装置10からエンジン1に熱を供給するためのエンジンプレヒート制御ルーチン、保守等で冷却水を注入するときに循環通路及び蓄熱装置10から空気を排除する空気排出制御ルーチン等のアプリケーションプログラムを記憶している。
【0049】
前記ROM352は、上記したアプリケーションプログラムに加え、各種の制御マップを記憶している。前記制御マップは、例えば、エンジン1の運転状態と基本燃料噴射量(基本燃料噴射時間)との関係を示す燃料噴射量制御マップ、エンジン1の運転状態と基本燃料噴射時期との関係を示す燃料噴射時期制御マップ等である。
【0050】
前記RAM353は、各センサからの出力信号やCPU351の演算結果等を格納する。前記演算結果は、例えば、クランクポジションセンサ27がパルス信号を出力する時間的な間隔に基づいて算出される機関回転数である。これらのデータは、クランクポジションセンサ27がパルス信号を出力する都度、最新のデータに書き換えられる。
【0051】
前記バックアップRAM354は、エンジン1の運転停止後もデータを記憶可能な不揮発性のメモリである。
【0052】
次に、エンジン1の昇温制御(以下、「エンジンプレヒート制御」と称する。)についてその概要を説明する。
【0053】
エンジン1の運転中に、ECU22が電動ウォータポンプ12に信号を送り、当該電動ウォータポンプ12を作動させると、循環通路Cに冷却水が循環する。
【0054】
ヒータコア出口側通路B2を流通する冷却水の一部は、蓄熱装置入口側通路C1に流入し、当該蓄熱装置入口側通路C1を流通して電動ウォータポンプ12に到達する。電動ウォータポンプ12は、ECU22からの信号により作動して、所定の圧力で冷却水を吐出する。
【0055】
電動ウォータポンプ12から吐出された冷却水は、蓄熱装置入口側通路C1を流通して逆止弁11を通過し、蓄熱装置10に到達する。冷却水注入管10cから蓄熱装置10の内部に流入した冷却水は、冷却水注出管10dから蓄熱装置の外部へと流出する。
【0056】
蓄熱装置10の内部に流入した冷却水は、外部から断熱された状態となり保温される。蓄熱装置10から流出した冷却水は、逆止弁11を通過し、蓄熱装置出口側通路C2を流通してラジエータ入口側通路A1に流入する。
【0057】
このように、蓄熱装置10の内部には、エンジン1で昇温された冷却水が流通し、蓄熱装置10の内部は温度の高い冷却水で満たされる。そして、エンジン1が停止した後、ECU22が電動ウォータポンプ12の作動を停止すれば、蓄熱装置10に温度の高い冷却水を蓄えることができる。蓄えられた冷却水は、蓄熱装置10の保温効果により温度の低下が抑制される。
【0058】
エンジンプレヒート制御は、ECU22にトリガー信号が入力されたときに、ECU22が起動して開始される。
【0059】
本制御実行開始条件となるトリガー信号には、例えば、ドア開閉センサ(図示省略)が発信する運転席側のドアの開閉信号が挙げられる。車両運転者が、車両に搭載されたエンジン1を始動するには、その前に車両のドアを開いて乗車する動作が当然に伴う。そこで、車両のドアが開けられたと検知した場合には、ECU22が起動してエンジンプレヒート制御を行い、車両運転者がエンジン1を始動するときにはエンジン1が温まった状態にあるようにする。
【0060】
ECU22は、蓄熱装置10に蓄えられた温度の高い冷却水をエンジン1の停止中に循環通路Cに循環させ、当該エンジン1の昇温制御を行う。
【0061】
図3は、エンジン1の停止中に蓄熱装置10からエンジン1に熱が供給されるときの、冷却水が循環する通路とその流通方向を示した図である。蓄熱装置10からエンジン1に熱が供給されているときのウォータジャケット23における冷却水流通方向は、エンジン1が運転されているときの冷却水流通方向とは反対となる。ここで、エンジンプレヒート制御実行中には、遮断弁31はECU22により閉弁される。
【0062】
電動ウォータポンプ12は、ECU22からの信号に基づいて作動し、所定の圧力で冷却水を吐出する。吐出された冷却水は、蓄熱装置入口側通路C1を流通して逆止弁11を通過し、蓄熱装置10に到達する。このときに蓄熱装置10に流入する冷却水は、エンジン1の停止中に温度が低下した冷却水である。
【0063】
蓄熱装置10の内部に貯留された冷却水は、冷却水注出管10dを介して蓄熱装置10から流出する。このときに蓄熱装置10から流出する冷却水は、エンジン1の運転中に蓄熱装置10に流入し、当該蓄熱装置10により保温された温度の高い冷却水である。蓄熱装置10から流出した冷却水は、逆止弁11を通過し、蓄熱装置出口側通路C2を流通してシリンダヘッド1aに流入する。ここで、エンジン1の停止中には、ECU22からの信号により遮断弁31は閉弁されるため、ヒータコア13には冷却水が循環することはない。また、冷却水温度がサーモスタット8の開弁温度よりも高いときには、蓄熱装置10からエンジン1へ熱の供給を行う必要が無いためエンジンプレヒート制御は行われない。即ち、エンジン1の停止中に冷却水の循環が行われるのは、サーモスタット8が閉弁しているときに限られる。従って、エンジンプレヒート制御中にヒータコア13及びラジエータ9に冷却水が循環して熱交換が行われることにより冷却水の温度が低下することはない。
【0064】
シリンダヘッド1aに流入した冷却水は、ウォータジャケット23を流通する。ウォータジャケット23では、シリンダヘッド1aと冷却水との間で熱交換が行われる。冷却水が持つ熱の一部は、シリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bの内部を伝わりエンジン1全体の温度が上昇する。また、その分熱を失った冷却水の温度は低下する。
【0065】
このようにして、ウォータジャケット23で熱の移動が行われて温度が低下した冷却水は、シリンダブロック1bから流出し、蓄熱装置入口側通路C1を流通して電動ウォータポンプ12に到達する。
【0066】
このように、ECU22は、エンジン1の始動に先立ち電動ウォータポンプ12を作動させることにより、シリンダヘッド1aの昇温(エンジンプレヒート制御)を行う。
【0067】
ところで、本実施の形態で適用するシステム、即ちエンジン1及び蓄熱装置10間を循環する冷却水により両部材1、10の熱交換を行うシステムでは、蓄熱装置10内の冷却水を一旦排出して該蓄熱装置10を取り外した後に、保守等を行い再度組み付けることが行われる場合がある。このように一旦冷却水を排出すると、循環通路C及び蓄熱装置10の内部に空気が入り込み、再度冷却水を注入しても容易にはこの空気を除去することができなくなる。
【0068】
一方、循環通路Cはヒータコア13等の他の部材に通じる循環通路と一部共有する個所があるため、蓄熱装置10や循環通路Cに空気が残留した状態で電動ウォータポンプ12を作動させると、前記残留した空気が冷却水とともに該ヒータコア13等に達して該ヒータコア13内部に滞留する虞がある。ヒータコア13等は、車両への搭載を考えると該ヒータコア13等へ循環する循環通路は、比較的高い位置を通らなくてはならない場合があり、また、蓄熱装置を備えたエンジンでは、循環通路が複雑化する傾向にあるので一旦ヒータコア13等に入り込んだ空気は簡単には除去できず、この空気を除去するためには面倒な作業が伴う。また、ヒータコア13等に滞留した空気を完全に除去することができないと、ヒータコア13等の熱交換率が低下する虞がある。
【0069】
そこで、本実施の形態では、蓄熱装置10及び循環通路Cに空気が残留している場合には、遮断弁31を閉弁してヒータコア13及び循環通路Bに空気が入り込むことを防止しつつ、冷却水の循環を行い冷却水注入口40から空気を排出する。
【0070】
次に、保守等で冷却水を冷却水注入口40からラジエータ9に注入するときに循環通路及び蓄熱装置10から空気を除去する空気排出制御についてその概要を説明する。
【0071】
蓄熱装置10の保守等により内部の冷却水を排出された当該蓄熱装置10に冷却水を注入するときには、先ず遮断弁31が開弁される。ここで、エンジン1の停止状態では、遮断弁31はECU22が信号を送るまで開弁されるようにしても良い。また、このときには、電動ウォータポンプ12は停止されている。
【0072】
冷却水を冷却水注入口40からラジエータ9内に注入すると、冷却水はラジエータ9からラジエータ入口側通路A1及びラジエータ出口側通路A2へ流出する。ここで、蓄熱装置10及びヒータコア13は、冷却水注入口40よりも低い位置にあることが望ましい。そして、冷却水は循環通路B及び循環通路Cを流通してヒータコア13及び蓄熱装置10にも流入するとともに、これらの部材から空気を押し出す。この空気は、冷却水とは逆の方向に流通し、冷却水注入口40から大気中へ放出される。冷却水注入口40に冷却水を注入し続けると、該冷却水注入口40の上面まで冷却水で満たされるが、このときには、まだ循環通路及び蓄熱装置10の内部には空気が残留している虞がある。
【0073】
空気排出制御は、車室内またはエンジンルームに設けられたスイッチ41が入れられたときに、ECU22が起動して開始される。
【0074】
スイッチ41が入れられると、ECU22は、電動ウォータポンプ12を作動させ、同時に遮断弁31を閉弁させる。電動ウォータポンプ12により冷却水が吐出されると、冷却水は循環通路C及び蓄熱装置10内に残留した空気とともに循環通路Cを流通する。冷却水及び空気がラジエータ入口側通路A1に到達すると、重力の作用により空気は上方の冷却水注入口40に向かって流通し、また、冷却水はエンジン1方向に流通する。このようにして、冷却水注入口40へ到達した空気は大気中へ放出されるとともに、冷却水注入口40の上面まであった水面の位置が放出された空気の分だけ低下する。そして、再び冷却水注入口40に冷却水を注入して該冷却水注入口40の上面まで冷却水で満たす。
【0075】
電動ウォータポンプ12を連続して作動させ、上記のように冷却水注入口40の水面の位置が低下する度に冷却水を注入することを繰り返すと、循環通路及び蓄熱装置10内に残留していた空気が次第に除去されていく。
【0076】
冷却水注入口40の水面の位置が低下しなくなくなった場合には、循環通路及び蓄熱装置10内の空気の排除が完了したとしてスイッチ41を切る。スイッチ41を切ると、電動ウォータポンプ12が停止されると同時に遮断弁31が開弁される。
【0077】
このように、電動ウォータポンプ12を作動させ、更に遮断弁31を閉弁させて冷却水を循環させることにより循環通路及び蓄熱装置10に残留した空気を排除することができる。
【0078】
ここで、従来の蓄熱装置を備えたエンジンでは、保守等で循環通路及び蓄熱装置内に空気が残留しても、蓄熱装置10以外の部材にこの残留した空気が循環することを考慮せずに、この空気を循環通路及び蓄熱装置ないから排除しようとしていた。その結果、ヒータコア等の部材に空気が流入してしまい、それらの空気を総て排除するのに時間を要した。
【0079】
その点、本実施の形態に係る蓄熱装置を備えたエンジンでは、電動ウォータポンプ12の作動と遮断弁31の閉弁を同期させているので、空気が他の部材に流入することを防止することができ、保守等で循環通路及び蓄熱装置に空気が残留した場合にも早期に該空気を排除することが可能となる。
【0080】
以上説明したように、本実施の形態によれば、容易に循環通路及び蓄熱装置に残留した空気を排除することができる。
<第2の実施の形態>
図4は、本実施の形態に係る内燃機関の蓄熱装置を適用するエンジン1とその冷却水が循環する冷却水通路(循環通路)A、B、Cとを併せ示す概略構成図である。循環通路に示された矢印は、エンジン1が運転されているときの冷却水の流通方向である。
【0081】
本実施の形態に係る蓄熱装置を備えた内燃機関は、第1の実施の形態に係る蓄熱装置を備えた内燃機関と比較して以下の点で相違する。
【0082】
本実施の形態に係る蓄熱装置を備えた内燃機関は、蓄熱装置入口側通路C1と蓄熱装置出口側通路C2とを連通する連通路C3を設けた。連通路C3には、冷却水の注入及び残留した空気の排出が可能な冷却水注入弁34が介在する。また、蓄熱装置出口側通路C2と連通路C3との接続部には三方弁35が設けられている。この三方弁35はスイッチ41またはECU22からの信号により、蓄熱装置出口側通路C2と連通路C3とを連通させ、または蓄熱装置出口側通路C2とヒータコア入口側通路B1とを連通させる。
【0083】
更に、逆止弁11と三方弁35との間には冷却水を循環通路外部へ排出可能な排水弁33が設けられている。ここで、冷却水注入弁34は蓄熱装置10よりも高い位置に設けることが望ましく、また、排水弁33は、蓄熱装置10よりも低い位置に設けることが望ましい。
【0084】
尚、本実施の形態においては、対用対象となるエンジン1やその他ハードウェアの基本構成については、第1の実施の形態と共通なので説明を割愛する。
【0085】
このように構成された蓄熱装置10を備えたエンジン1では、蓄熱装置10及び循環通路から空気を排除するとき以外のときには、三方弁35により、蓄熱装置出口側通路C2とヒータコア入口側通路B1とが連通される。このときの冷却水の循環方法や循環方向は第1の実施の形態と同一である。
【0086】
ところで、本実施の形態で適用するシステム、即ちエンジン1及び蓄熱装置10間を循環する冷却水により両部材1、10の熱交換を行うシステムでは、蓄熱装置10内の冷却水を一旦排出して該蓄熱装置10を取り外した後に、保守等を行い再度組み付けることが行われる場合がある。このように蓄熱装置10から一旦冷却水を排出すると、循環通路C及び蓄熱装置10の内部に空気が入り込み、再度冷却水を注入しても容易にはこの空気を除去することができなくなる。また、電動ウォータポンプ12に空気が滞留していると、該電動ウォータポンプ12を作動させても本来の吐出能力を発揮させることが困難となる。
【0087】
一方、循環通路Cはヒータコア13等の他の部材に通じる循環通路Bと一部共有する個所があるため、蓄熱装置10や循環通路Cに空気が残留した状態で電動ウォータポンプ12を作動させると、前記残留した空気が冷却水とともに該ヒータコア13等に達して該ヒータコア13等の内部に滞留する虞がある。このヒータコア13等は、車両への搭載を考えるとヒータコア13等を循環する循環通路は、比較的高い位置を通らなくてはならない場合があり、また、蓄熱装置を備えたエンジンでは、循環通路が複雑化する傾向にあるので一旦ヒータコア13等に入り込んだ空気は簡単には除去できず、この空気を除去するためには面倒な作業が伴う。また、ヒータコア13等に滞留した空気を完全に除去することができないと、ヒータコア13等の熱交換率が低下する虞がある。
【0088】
また、蓄熱装置10及び循環通路に残留した空気を除去するには、電動ウォータポンプ12を作動させて、冷却水とともに空気を循環させ、空気の排出口からこの空気を排出することが有効であるが、電動ウォータポンプ12は、ECU22からの信号により作動するので、ユーザー等が任意に作動させることができず、前記空気の除去を容易に行うことができない。
【0089】
そこで、本実施の形態では、冷却水注入弁34を設けることにより電動ウォータポンプ12に冷却水を注入しつつ、該電動ウォータポンプ12内の空気を該冷却水注入弁34を介して除去し、電動ウォータポンプ12から早期に冷却水を吐出させることを可能とした。
【0090】
これ以降、三方弁35により蓄熱装置出口側通路C2と連通路C3とを連通させ、更に電動ウォータポンプ12を作動させると冷却水及び空気は、連通路C3を流通して繰り返し蓄熱装置10を循環するので、その他の部材に空気が流入することを防止しつつ、空気を冷却水注入弁34から放出させ除去することができる。
【0091】
次に、循環通路及び蓄熱装置10から空気を除去する空気排出制御についてその概要を説明する。
【0092】
図5は、空気排出時の冷却水の流通路と、その流通方向を示す図である。
【0093】
蓄熱装置10の保守等により該蓄熱装置10内の冷却水を除去する場合には、遮断弁31を開弁する。ここで、エンジン1の停止状態では、遮断弁31はECU22が信号を送るまで開弁されるようにしても良い。また、このときには、電動ウォータポンプ12は停止されている。
【0094】
冷却水を冷却水注入弁34から注入すると、冷却水は連通路C3及び蓄熱装置入口側通路C1を流通して電動ウォータポンプ12に到達する。ここで、蓄熱装置10及び電動ウォータポンプ12は、冷却水注入弁34よりも低い位置にあることが望ましい。そして、冷却水は電動ウォータポンプ12から空気を排除し、この排除された空気は、冷却水とは逆の方向、即ち冷却水注入弁34へ向かって流通し、冷却水注入弁34に到達するとそこから大気中へ放出される。このようにして、電動ウォータポンプ12内に滞留した空気を排除することができるので、該電動ウォータポンプ12が作動されたときに早期に冷却水の吐出が開始される。冷却水注入弁34に冷却水を注入し続けると、該冷却水注入弁34の上面まで冷却水で満たされるが、このときには、まだ循環通路及び蓄熱装置10の内部には空気が残留している虞がある。
【0095】
空気排出制御は、車室内またはエンジンルームに設けられたスイッチ41が入れられたときに、ECU22が起動して開始される。このときに、警告灯(図示省略)を点灯させてもよい。
【0096】
スイッチ41が入れられると、ECU22は、電動ウォータポンプ12を作動させ、同時に三方弁35は蓄熱装置出口側通路C2と連通路C3とを連通させる。電動ウォータポンプ12により冷却水が吐出されると、冷却水は蓄熱装置10内に滞留した空気とともに連通路C3を流通する。このようにして、冷却水注入弁34へ到達した空気は大気中へ放出されるとともに、冷却水注入弁34の上面まであった水面の位置が放出された空気の分だけ低下する。そして、再び冷却水注入弁34に冷却水を注入して該冷却水注入弁34の上面まで冷却水で満たす。
【0097】
電動ウォータポンプ12を連続して作動させ、上記のように冷却水注入弁34の水面の位置が低下する度に冷却水を注入することを繰り返すと、循環通路及び蓄熱装置10内に残留していた空気が次第に除去されていく。
【0098】
冷却水注入弁34の水面の位置が低下しなくなくなった場合には、循環通路及び蓄熱装置10内の空気の排除が完了したとしてスイッチ41を切る。スイッチ41を切ると、電動ウォータポンプ12が停止されると同時に三方弁35により蓄熱装置出口側通路C2とヒータコア入口側通路B1とが連通される。このときに、警告灯が点灯されているときには、警告灯を消灯する。
【0099】
このように、電動ウォータポンプ12を作動させ、更に三方弁35により蓄熱装置出口側通路C2と連通路C3とを連通させて冷却水を循環させることにより循環通路及び蓄熱装置10に残留した空気を除去することができる。
【0100】
ここで、従来の蓄熱装置を備えたエンジンでは、保守等で循環通路及び蓄熱装置内に空気が残留しても、蓄熱装置10以外の部材にこの残留した空気が循環することを考慮せずに、この空気を循環通路及び蓄熱装置内から排除しようとしていた。その結果、ヒータコア等の部材に空気が流入してしまい、それらの空気を総て排除するのに時間を要した。
【0101】
その点、本実施の形態に係る蓄熱装置を備えたエンジンでは、電動ウォータポンプ12の作動と遮断弁31の閉弁及び三方弁35の切替を同期させているので、空気が他の部材に流入することを防止することができ、保守等で循環通路及び蓄熱装置に空気が残留した場合にも早期に該空気を排除することが可能となる。また、電動ウォータポンプ12は、エンジン1停止中に作動させることができるので、エンジン1停止中に蓄熱装置10内の空気を排出することができる。
【0102】
以上説明したように、本実施の形態によれば、容易に循環通路及び蓄熱装置に残留した空気を排除することができる。
【0103】
尚、本実施の形態では、排水弁33を備えているため蓄熱装置10の保守等のときに予め蓄熱装置10内の冷却水を排出することができる。また、蓄熱装置10や電動ウォータポンプ12の脱着時には、三方弁35によりエンジン1内の冷却水が多量に漏出することを防止できる。
<第3の実施の形態>
図6は、本実施の形態に係る内燃機関の蓄熱装置を適用するエンジン1とその冷却水が循環する冷却水通路(循環通路)A、B、Cとを併せ示す概略構成図である。循環通路に示された矢印は、エンジン1が運転されているときの冷却水の流通方向である。
【0104】
本実施の形態に係る蓄熱装置を備えた内燃機関は、第2の実施の形態に係る蓄熱装置を備えた内燃機関と比較して以下の点で相違する。
【0105】
本実施の形態に係る蓄熱装置を備えた内燃機関は、蓄熱装置入口側通路C1とラジエータ出口側通路A2とを連通する連通路C4を設けた。この連通路C4によりサーモスタット8が閉弁状態であっても蓄熱装置入口側通路C1とラジエータ出口側通路A2との間を冷却水が流通できる。連通路C4には、ECUからの信号により開閉する連通路遮断弁36が介在する。この連通路遮断弁36はスイッチ41によっても開閉可能である。
【0106】
尚、本実施の形態においては、対用対象となるエンジン1やその他ハードウェアの基本構成については、第2の実施の形態と共通なので説明を割愛する。
【0107】
このように構成された蓄熱装置10を備えたエンジン1では、蓄熱装置10及び循環通路Cから空気を排除した後に、三方弁35により蓄熱装置出口側通路C2とヒータコア入口側通路B1とを連通させ、連通路遮断弁36を開弁すると、循環通路A、B、C及び循環通路に接続された各部材に滞留する空気を除去できる。
【0108】
ところで、本実施の形態で適用するシステム、即ちエンジン1及び蓄熱装置10間を循環する冷却水により両部材1、10の熱交換を行うシステムでは、前記したように蓄熱装置10内の冷却水を一旦除去して該蓄熱装置10を取り外した後に、保守等を行い再度組み付けることが行われる場合がある。このように一旦冷却水を除去すると、循環通路C及び蓄熱装置10の内部に空気が入り込み、また、ヒータコア13等にも空気が入り込む虞があり、再度冷却水を注入しても容易にはこの空気を除去することができなくなる。
【0109】
一方、循環通路A、B及びヒータコア13、ラジエータ9等に滞留する空気は、エンジン1を運転させてウォータポンプ6により冷却水を循環させなくては除去することができない。
【0110】
そこで、本実施の形態では、連通路C4を設け、更に電動ウォータポンプ12を作動させることにより、エンジン1停止中においてもヒータコア13及びラジエータ9に冷却水を循環させることを可能とし、それらの部材に滞留する空気を除去するようにした。
【0111】
次に、エンジン1停止中に循環通路、蓄熱装置10、ラジエータ9、及びヒータコア13から空気を除去する空気排出制御についてその概要を説明する。
【0112】
図7は、空気排出時の冷却水の流通路と、その流通方向を示す図である。
【0113】
第2の実施の形態と同様にして蓄熱装置10内の空気を冷却水注入弁34から放出した後に、遮断弁31が開弁され、三方弁35により蓄熱装置出口側通路C2とヒータコア入口側通路B1とが連通され、連通路遮断弁36が開弁される。このときには電動ウォータポンプ12は作動したままである。また、保守等で注入される冷却水は、一般にサーモスタット8の開弁温度よりも低い温度なのでサーモスタット8は閉じたままである。ここで、ウォータジャケット23を流通する冷却水の流通方向は、エンジン1の運転時と反対方向となる。
【0114】
各部材に滞留した空気は、冷却水とともに循環し、冷却水注入口40に到達するとそこから大気中へ放出される。そして、冷却水注入口40の上面まであった水面の位置が放出された空気の分だけ低下するので再び冷却水注入口40に冷却水を注入して該冷却水注入口40の上面まで冷却水で満たす。
【0115】
上記のように冷却水注入口40の水面の位置が低下する度に冷却水を注入することを繰り返すと、循環通路に介在する各部材に残留していた空気が次第に除去されていく。
【0116】
冷却水注入口40の水面の位置が低下しなくなくなった場合には、循環通路及び各部材内の空気の排除が完了したとしてスイッチ41を切る。スイッチ41を切ると、電動ウォータポンプ12が停止され空気排出制御が終了される。このときに、警告灯が点灯されているときには、警告灯を消灯させる。
【0117】
このように、連通路C4を設けることによりエンジン1停止中でも各部材に冷却水を循環させることができる。
【0118】
ここで、従来の蓄熱装置を備えたエンジンでは、保守等で循環通路及びそれに介在する各部材内に空気が残留していても、エンジン1の始動後でなくてはその空気を除去することができなかった。その結果、エンジン1が始動できる状態にない場合には前記空気の除去を行うことができず保守等を行うときの作業性を悪化させていた。
【0119】
その点、本実施の形態に係る蓄熱装置を備えたエンジンでは、電動ウォータポンプ12を作動させ、冷却水を循環させることができるのでエンジン1の停止中においても循環通路及びそれに介在する各部材に滞留する空気を排除することができる。
【0120】
以上説明したように、本実施の形態によれば、エンジン1の停止中に容易に循環通路及び蓄熱装置に残留した空気を排除することができる。
【0121】
【発明の効果】
本発明に係る蓄熱装置を備えた内燃機関は、蓄熱手段に滞留した気体が他の部材に循環することを防止できる。
【0122】
従って、本発明に係る蓄熱装置を備えた内燃機関によれば、蓄熱装置に滞留した気体の除去を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係る内燃機関の蓄熱装置を適用するエンジンとその冷却水が循環する冷却水通路とを併せ示す概略構成図である。
【図2】 ECUの内部構成を示すブロック図である。
【図3】 第1の実施の形態に係るエンジン停止中の蓄熱装置からエンジンに熱が供給されるときの、冷却水が循環する通路とその流通方向を示した図である。
【図4】 第2の実施の形態に係る内燃機関の蓄熱装置を適用するエンジンとその冷却水が循環する冷却水通路とを併せ示す概略構成図である。
【図5】 第2の実施の形態に係るエンジン停止中の蓄熱装置等から空気を除去するときの、冷却水が循環する通路とその流通方向を示した図である。
【図6】 第3の実施の形態に係る内燃機関の蓄熱装置を適用するエンジンとその冷却水が循環する冷却水通路とを併せ示す概略構成図である。
【図7】 第3の実施の形態に係るエンジン停止中のヒータコア等から空気を除去するときの、冷却水が循環する通路とその流通方向を示した図である。
【符号の説明】
1・・・・エンジン
1a・・・シリンダヘッド
1b・・・シリンダブロック
1c・・・オイルパン
2・・・・シリンダ
6・・・・ウォータポンプ
8・・・・サーモスタット
9・・・・ラジエータ
10・・・蓄熱装置
10a・・外側容器
10b・・内側容器
10c・・冷却水注入管
10d・・冷却水注出管
11・・・逆止弁
12・・・電動ウォータポンプ
13・・・ヒータコア
22・・・ECU
23・・・ウォータジャケット
27・・・クランクポジションセンサ
30・・・バッテリー
31・・・遮断弁
33・・・排水弁
34・・・冷却水注入弁
35・・・三方弁
36・・・連通路遮断弁
40・・・冷却水注入口
41・・・スイッチ
A・・・・循環通路
A1・・・ラジエータ入口側通路
A2・・・ラジエータ出口側通路
B・・・・循環通路
B1・・・ヒータコア入口側通路
B2・・・ヒータコア出口側通路
C・・・・循環通路
C1・・・蓄熱装置入口側通路
C2・・・蓄熱装置出口側通路
C3・・・連通路
C4・・・連通路

Claims (4)

  1. 熱媒体が持つ熱を蓄える蓄熱手段を備えた内燃機関であって、
    熱媒体を所定の圧力で吐出する熱媒体吐出手段と、
    前記内燃機関と前記熱媒体吐出手段と前記蓄熱手段とに熱媒体を循環させる蓄熱循環通路と、
    前記蓄熱循環通路と一部を共有し熱媒体が循環する熱媒体循環通路と、
    前記蓄熱手段に蓄えられた熱媒体を内燃機関へ供給する熱供給手段と、
    前記蓄熱循環通路と共有された個所以外の前記熱媒体循環通路の少なくとも1個所を遮断する遮断弁と、
    前記蓄熱循環通路に残留している気体を前記蓄熱循環通路の外部に排出させる排出口と、
    前記排出口から気体を排出させるときに前記遮断弁により前記熱媒体循環通路を遮断し且つ前記熱媒体吐出手段により熱媒体を前記蓄熱循環通路に循環させる気体排出制御手段と、
    を備えたことを特徴とする蓄熱装置を備えた内燃機関。
  2. 熱媒体が持つ熱を蓄える蓄熱手段と、
    熱媒体が循環する循環系と、
    前記蓄熱手段に蓄えられた熱媒体を内燃機関へ供給する熱供給手段と、
    前記循環系に残留している気体を前記循環系の外部に排出させる排出口と、
    熱媒体を所定の圧力で吐出する熱媒体吐出手段と、
    少なくとも前記蓄熱手段及び前記吐出手段を含む前記循環系の一部の上流側と下流側とを連通させる連通路と、
    前記連通路を遮断する連通路遮断弁と、
    前記排出口から気体を排出させるときに前記連通路遮断弁を開弁し且つ前記熱媒体吐出手段により熱媒体を循環させる気体排出制御手段と、
    を備えたことを特徴とする蓄熱装置を備えた内燃機関。
  3. 前記熱媒体吐出手段に熱媒体を導入する熱媒体導入手段を具備したことを特徴とする請求項2に記載の蓄熱装置を備えた内燃機関。
  4. 前記熱媒体吐出手段は、任意に作動可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の蓄熱装置を備えた内燃機関。
JP2001145217A 2001-05-15 2001-05-15 蓄熱装置を備えた内燃機関 Expired - Fee Related JP4465918B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001145217A JP4465918B2 (ja) 2001-05-15 2001-05-15 蓄熱装置を備えた内燃機関

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001145217A JP4465918B2 (ja) 2001-05-15 2001-05-15 蓄熱装置を備えた内燃機関

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002339752A JP2002339752A (ja) 2002-11-27
JP4465918B2 true JP4465918B2 (ja) 2010-05-26

Family

ID=18991067

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001145217A Expired - Fee Related JP4465918B2 (ja) 2001-05-15 2001-05-15 蓄熱装置を備えた内燃機関

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4465918B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002339752A (ja) 2002-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6520136B2 (en) Warm-up control device for internal-combustion engine and warm-up control method
JP4432272B2 (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP2001140644A (ja) 内燃機関の冷却装置
JP4465918B2 (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP2003003843A (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP4306099B2 (ja) 蓄熱装置を有する内燃機関及び熱媒体の供給制御装置
JP4239368B2 (ja) 蓄熱装置を有する内燃機関
JP4238543B2 (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP2009121319A (ja) エンジン冷却装置及びその運転方法
JP2010112238A (ja) 内燃機関の冷却装置
JPS6036750Y2 (ja) 内燃機関の冷却装置
JPH1172020A (ja) 内燃機関の冷却系エア抜き構造
JP2001206049A (ja) 内燃機関の冷却装置
JP2004353499A (ja) 冷却水の温度制御装置
JP2002276420A (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
KR100303513B1 (ko) 자동차의냉각장치
JP2002138833A (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
KR101046454B1 (ko) 차량용 연소식 히터의 고장 및 소음 방지 구조
JP2010174785A (ja) 内燃機関の冷却装置
JP2002242637A (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP4029797B2 (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP2002349369A (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP4059162B2 (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP2001355798A (ja) 水素充填装置および水素充填方法
JPS63100271A (ja) エンジンの暖機促進装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080418

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100202

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100215

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130305

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130305

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140305

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees