JP4465237B2 - 化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧料に関する。さらに詳しくは、塗布時の伸び、感触性および透明感に優れた化粧料に関する。
従来、ファンデーション、白粉、ほほ紅、アイシャドー、アイブロー等のメイキャップ化粧品やボディーパウダー、ベビーパウダー等のボディー化粧品、ロ−ションや乳液等の皮膚用化粧品等の化粧料には、塗布時の伸び、感触性、滑り性、均一性を改良する目的で粒子径が0.1〜50μmの球状の微粒子が添加されている。
例えば、平均粒子径が30μm以下である球状ポリウレタン微粉末を含有してなる化粧料(特許文献1)、(メタ)アクリレートモノマー、エチルアクリレートモノマーおよび多官能ビニルモノマーを含有するモノマー混合物を懸濁重合させることにより得られる化粧料用アクリル共重合体微粒子(特許文献2)、特定のポリエチレン系樹脂球状微粒子を含む化粧料(特許文献3)等が知られている。
しかしながら、ポリウレタン樹脂、アクリル共重合体は、弾力性に優れているため塗布時の伸び、感触性に優れているものの、透明感にやや劣っている。一方、ポリエチレン系樹脂は、塗布時の伸び、感触性および透明感共に優れているものの、ポリエチレン系樹脂はやや硬く、弾力性に劣っているため、塗布時の伸び、感触性はさらに改良の余地がある。
特開平5−262622号公報 特開2001−151626公報 特開2002−370920公報
本発明の目的は、塗布時の伸び、感触性および透明感共に優れた化粧料を提供することにある。
すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が5〜30重量%であるエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子を含む化粧料に関する。
本発明によると、塗布時の伸び、感触性および透明感共に優れた化粧料を提供することができる。
本発明に用いられるエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体〔「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。以下同じ。〕としては、例えば、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸プロピル共重合体等のエチレン/メタクリル酸エステル共重合体;エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸プロピル共重合体等のエチレン/アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、安価で汎用的に使用できるとともに、得られた化粧品の塗布時の伸び、感触性および透明感に優れている観点から、エチレン/メタクリル酸エステル共重合体、とりわけエチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体が好適に用いられる。
前記エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体中の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合は5〜30重量%、好ましくは7〜28重量%である。(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が5重量%未満の場合、得られる化粧料の感触性が悪くなるおそれがある。また、(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が30重量%を超える場合、得られる化粧料の塗布時の伸びが悪くなるおそれがある。
前記エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の曲げ剛性率は、10〜120MPa、好ましくは20〜80MPaであることが望ましい。曲げ剛性率が10MPa未満の場合、得られる化粧料の塗布時の伸びが悪くなるおそれがある。また、曲げ剛性率が120MPaを超える場合、得られる化粧料の塗布時の感触性が悪くなるおそれがある。ここで、曲げ剛性率とは、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の弾力性を示すものであり、ASTM D747−70に従って測定することができる。
本発明に用いられるエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子の製造方法としては、例えば、まず、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体を、該樹脂が溶解しない溶媒、例えば水中で分散剤や乳化剤とともに融点以上の温度で溶融、撹拌した後、融点未満まで冷却して球状の微粒子が分散した分散液を得る。次いで、得られた分散液を濾過、乾燥することにより、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子を得る方法等が挙げられる。なお、本発明において用いられるエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子の球状とは真球に対して10%程度の歪みを許容した球体を含んでいても良い。
前記エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子の体積平均粒子径は、3〜50μm、好ましくは4〜30μmであることが望ましい。体積平均粒子径が3μm未満の場合、得られる化粧料の塗布時の伸びが悪くなるおそれがある。また、体積平均粒子径が50μmを超える場合、得られる化粧料の塗布時の感触が悪くなるおそれがある。
かくして得られたエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子の配合割合は、特に限定されるものではないが、化粧料全体量に対して1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%であることが望ましい。エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子の配合量が1重量%未満の場合、塗布時の伸び、感触性に優れた効果が十分に発揮できないおそれがある。また、30重量%を超える場合、経済的でなく、また却って塗布時の感触性を悪化させるおそれがある。
以下に、製造例、実施例および比較例を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
製造例1
500mL容の撹拌機付き耐圧容器にエチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂(メタクリル酸メチルの含有割合10重量%、融点100℃、曲げ剛性率69MPa)100g、重量平均分子量15500のエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体(旭電化工業株式会社の商品名:プルロニックF108)15gおよび水135gを仕込み密閉した。引き続き、毎分500回転で撹拌しながら、180℃まで昇温した。容器内を180℃に保って30分間撹拌した。次いで、50℃まで冷却してエチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂の水分散体を取り出し、水分散体を濾過、乾燥してエチレン/メタクリル酸メチル共重合体の球状粒子を得た。得られたエチレン/メタクリル酸メチル共重合体の球状粒子0.1gを水10gに分散させ、電気検知式粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製の商品名コールターマルチサイザー)にて体積平均粒子径を測定したところ11.9μmであった。また、電子顕微鏡で50〜300倍に拡大し、粒子形状を目視にて観察したところ真球状であった。
製造例2
製造例1において、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂(メタクリル酸メチルの含有割合10重量%、融点100℃、曲げ剛性率69MPa)に代えて、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂(メタクリル酸メチルの含有割合20重量%、融点86℃、曲げ剛性率39MPa)を用いた以外は製造例1と同様にして、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体の球状粒子を得た。得られたエチレン/メタクリル酸メチル共重合体の球状粒子の体積平均粒子径を製造例1と同様に測定したところ8.6μmであった。また、製造例1と同様に、粒子形状を観察したところ真球状であった。
製造例3
製造例1において、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂(メタクリル酸メチルの含有割合10重量%、融点100℃、曲げ剛性率69MPa)に代えて、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂(メタクリル酸メチルの含有割合25重量%、融点79℃、曲げ剛性率20MPa)を用いた以外は製造例1と同様にして、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体の球状粒子を得た。得られたエチレン/メタクリル酸メチル共重合体の球状粒子の体積平均粒子径を製造例1と同様に測定したところ8.4μmであった。また、製造例1と同様に、粒子形状を観察したところ真球状であった。
製造例4
製造例1において、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂(メタクリル酸メチルの含有割合10重量%、融点100℃、曲げ剛性率69MPa)に代えて、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体樹脂(メタクリル酸エチルの含有割合25重量%、融点82℃、曲げ剛性率25MPa)を用いた以外は製造例1と同様にして、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体の球状粒子を得た。得られたエチレン/メタクリル酸エチル共重合体の球状粒子の体積平均粒子径を製造例1と同様に測定したところ10.4μmであった。また、製造例1と同様に、粒子形状を観察したところ真球状であった。
製造例5
製造例1において、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂(メタクリル酸メチルの含有割合10重量%、融点100℃、曲げ剛性率69MPa)に代えて、低密度ポリエチレン樹脂(融点107℃、曲げ剛性率160MPa)を用いた以外は製造例1と同様にして、ポリエチレン樹脂の球状粒子を得た。得られたポリエチレン樹脂の球状粒子の体積平均粒子径を製造例1と同様に測定したところ10.2μmであった。また、製造例1と同様に、粒子形状を観察したところ真球状であった。
製造例6
製造例1において、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂(メタクリル酸メチルの含有割合10重量%、融点100℃、曲げ剛性率69MPa)に代えて、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂(メタクリル酸メチルの含有割合33重量%、融点70℃、曲げ剛性率8MPa)を用いた以外は製造例1と同様にして、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体の球状粒子を得た。得られたエチレン/メタクリル酸メチル共重合体の球状粒子の体積平均粒子径を製造例1と同様に測定したところ7.1μmであった。また、製造例1と同様に、粒子形状を観察したところ真球状であった。
実施例1
製造例1で得られたエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子15重量%、酸化チタン8重量%、セリサイト45.2重量%、タルク10重量%、雲母チタン2重量%、ベンガラ2重量%、黄酸化鉄3.5重量%、群青1重量%、ステアリン酸アルミニウム1重量%、ジメチルポリシロキサン5重量%、スクワラン7重量%、パラベン0.2重量%および香料0.1重量%からなる粉体をヘンシェルミキサーを用いて混合し、これに油分を加えてさらに混合した。これを中皿に充填し、固形ファンデーションを得た。
実施例2〜4および比較例1〜2
表1に示す製造例2〜6で得られたエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体またはポリエチレン樹脂の球状粒子を用いた以外は実施例1と同様にして固形ファンデーションを得た。
実施例5
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン1.2重量部、テトラオレイン酸ポリオキシソルビトール1.3重量部、モノステアリン酸グリセリル1.3重量部、ステアリン酸0.5重量部、ビフェニルアルコール0.9重量部、パルチミン酸セチル0.5重量部、スクワラン5重量部、2−エチルへキサン酸セチル4重量部およびポリメチルシロキサン0.5重量部を80℃以上に加温して混合した(A溶液)。同様に、1,3−ブチレングリコール10重量部、キサンタンガム0.2重量部および精製水69.2重量部を80℃以上に加温して混合した(B溶液)。
得られたA溶液とB溶液を徐々に混ぜ合わせ、引き続き50℃まで冷却した後、製造例1で得られたエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子を全体量に対して5重量%となるように加えて、さらに撹拌混合を行ない乳液を得た。
実施例6〜8および比較例3〜4
表1示す製造例2〜6で得られたエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体またはポリエチレン樹脂の球状粒子を用いた以外は実施例5と同様にして乳液を得た。
評価
各実施例および各比較例で得られた固形ファンデーションおよび乳液の使用感を10名の評価パネラーが乳液を顔面に塗布し、その時の乳液の伸び、感触性(異物感、ソフト感)、透明感について良いと感じたパネラーの人数を集計し、以下の基準で評価した。結果を表1に示した。
評価基準
◎:非常に良い(良いと感じた人数が10人)
○:良い(良いと感じた人数が8〜9人)
△:やや悪い(良いと感じた人数が6〜7人)
×:悪い(良いと感じた人数が5人以下)
Figure 0004465237
表1より、各実施例のエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子を含む化粧料は、伸び、感触性(異物感、ソフト感)、透明感共に優れていることがわかる。一方、(メタ)アクリル酸エステルを含有しないポリエチレン樹脂の球状粒子を含む比較例1および3の化粧料は、伸び、感触性(異物感)、透明感に優れているが、感触性(ソフト感)に劣っていることがわかる。また、(メタ)アクリル酸エステルの含有量が多いエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子を含む比較例2および4の化粧料は感触性(ソフト感)に優れているが、伸び、感触感(異物感)、透明感に劣っていることがわかる。
本発明の化粧料は、塗布時の伸び、感触性および透明感共に優れているため、ファンデーション、口紅、ほほ紅、アイライナー、アイシャドー、まゆずみ、マスカラ、粉おしろい、ダスティングパウダー、クリーム、ローション、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、乳液、化粧水、制汗剤等に好適に利用することが可能である。


Claims (5)

  1. (メタ)アクリル酸エステルの含有割合が5〜30重量%であるエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子を含む化粧料。
  2. エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の曲げ剛性率が10〜120MPaである請求項1記載の化粧料。
  3. エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の球状粒子の体積平均粒子径が3〜50μmである請求項1または2に記載の化粧料。
  4. エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、エチレン/メタクリル酸エステル共重合体である請求項1ないし3いずれか1項に記載の化粧料。
  5. エチレン/メタクリル酸エステル共重合体が、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体またはエチレン/メタクリル酸エチル共重合体である請求項4記載の化粧料。


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