JP4464933B2 - 取付配管の補修方法 - Google Patents

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本発明は、桝を介して本管に接続される取付配管等の各種配管の補修に関し、特にインナーフィルムとアウターフィルムとの間に樹脂を配置し、エアーによってインナーフィルムとアウターフィルムを反転させつつ取付配管内にそれらを配置し、ついでUVランプ等の光(紫外線等)を照射させて樹脂を硬化させる配管の補修方法およびその方法に使用する補修材に関する。
図9は従来の取付配管の補修方法を示す説明図である。
この取付配管8は桝7と本管6との間に敷設されており、これらの内部に配置される補修材19は、夫々長尺で筒状の柔軟なインナーフィルム1とアウターフィルム2と、両フィルム間にその全長に渡って介装された未硬化の樹脂とを具備するものである。そして補修材19の先端を閉塞すると共に、後端部をライニング補修機13の機材エルボ12の開口に取付け、内部にエアーを供給しつつ反転させながら、それを取付配管8内に進入させ、その先端を本管6に突出させる。そしてこの補修材19内に紫外線ランプ等を挿入し、光硬化性の樹脂を硬化させる。次いで、本管6の先端から突出した部分と、桝7内に突出した部分と、を切断し、配管の補修を完成するものである。
このような従来の補修材19を用いた配管補修方法は、特に、本管6内に突出した硬化樹脂部分を切断するのが面倒である欠点があった。即ち、本管6内に作業者が入れない場合がしばしばあり、その本管6内に突出した部分を特別な機械により切断する必要が生じることがあった。さらには、インナーフィルム1とアウターフィルム2との間に介装される未硬化の樹脂の使用量が不必要に多くなり、補修材がその分だけ高価にならざるを得なかった。
そこで本発明は、係る課題を解決することを目的とする。
請求項1に記載の本発明は、夫々長尺で筒状の軟質なインナーフィルム(1) とアウターフィルム(2) と、両フィルム(1) (2) 間に介装された未硬化の樹脂と、を具備し、内部に気体を供給して樹脂を硬化させる配管の補修材(19)を用いて、先端が本管(6) に接続され、後端が桝(7) に接続される取付配管(8) の内部を補修する配管の補修方法において、
被補修用の取付配管(8) の補修長さを測長する工程と、
その測長による取付配管(8) の長さに略一致する樹脂部(3) の長さを有する前記補修材(19)を用意すると共に、その補修材(19)の長手方向の中間部のみに樹脂部(3)を存在させ、その先端部と後端部には、そのフィルムの直径以上に渡り樹脂が存在しない前部樹脂無し部(4) 、後部樹脂無し部(5) となるようにする工程と、
前記桝(7) の側からその補修材(19)を前記取付配管(8) 内に挿入し、その前部樹脂無し部(4) を取付配管(8) の先端から突出させると共に、
その補修材(19)の後部樹脂無し部(5) を前記桝(7) 内に位置して、樹脂部(3) を硬化させる工程とを具備し
前記取付配管(8) の補修長さを測長する工程は、一端が閉塞される柔軟な袋状でその外周に目盛り寸法が記入されたメジャー測長パイプ(15)を用い、その内部にエアーを供給して、内外面を反転させつつ、それを取付配管(8) に挿入し、メジャー測長パイプ(15)の先端が本管(6)に達したとき、前記目盛りから、取付配管の長さを測長することを特徴とする取付配管の補修方法である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、
前記樹脂部(3) が取付配管(8) の桝(7) 側の開口縁まで存在するようにし、その樹脂の硬化後に桝(7) 側の開口縁から突出した硬化樹脂を切断することとした取付配管の補修方法である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2において、
インナーフィルム(1) の先端部にワイヤまたは紐等の可撓性の条材(9) を取付た状態で、
前記補修材(19)の内部に気体を送り、インナーフィルム(1) とアウターフィルム(2) とを反転しつつそれを前記取付配管(8) 内に挿入し、
その樹脂の硬化後に前記条材(9) を引っ張ることによりインナーフィルム(1) を取り除くこととした取付配管の補修方法である。
請求項4に記載の本発明は、請求項1〜請求項3のいずれかの補修方法において
前記補修材(19)は、その長手方向の中間部のみに樹脂部(3) として存在し、その先端部と後端部には、そのフィルムの直径以上に渡り樹脂が存在しない前部樹脂無し部(4) 、後部樹脂無し部(5) となるようにし
その後部樹脂無し部(5) の長さが、被補修用の取付配管(8) に連通する桝(7) の深さまたはそれ以上であり、樹脂部(3) の存在する長さが被補修用の取付配管(8) の補修長さに略一致するものを使用した取付配管の補修方法である。
本発明の補修方法は、被補修用の取付配管8の補修長さを側長し、その長さに一致する樹脂部3を用意し、桝7側からその補修材19を取付配管8内に挿入し、その前部樹脂無し部4を取付配管8の先端から突出させると共に、後部樹脂無し部5を桝7内に位置して樹脂部3を硬化させるものであるから、必要最小限の樹脂部3で取付配管8の補修部分を確実に且つ効率良く補修することができる。
そして、前記取付配管(8) の補修長さを測長する工程は、一端が閉塞される柔軟な袋状でその外周に目盛り寸法が記入されたメジャー測長パイプ(15)を用い、その内部にエアーを供給して、内外面を反転させつつ、それを取付配管(8) に挿入し、メジャー測長パイプ(15)の先端が本管(6)に達したとき、前記目盛りから、取付配管の長さを測長するから、その測長誤差を極めて少なくすることができる。そのため、さらに必要最小限の樹脂部3で取付配管8の補修部分を確実に且つ効率良く補修することができる。
これは、メジャー測長パイプが柔軟で、袋状に形成されているため、取付配管の屈曲に馴染んで延長されるからである。また、取付配管に曲がりが多いと、後に補修材19を取付配管内に挿入する際、その反転ができない場合が生じる。このメジャー測長パイプは、その反転が可能か否かの予備確認ができる。
上記補修方法において、取付配管8の桝7側の開口縁まで樹脂部3が存在するようにしてその樹脂の硬化後に、桝7の開口縁から突出した硬化樹脂を切断することができる。このようにすることにより、取付配管8の入口まで樹脂で補修することができる。それと共に、その切断作業は容易に行い得る。
上記補修方法において、インナーフィルム1の先端にワイヤまたは紐等の条材9を取付け、樹脂の硬化後に条材9を引っ張ることによりインナーフィルム1を取り除くことができる。それによって不要なインナーフィルム1を容易に取り除き、取付配管8内に完全な補修面を形成させることができる。
上記補修方法において、後部樹脂無し部5の長さを被補修用の取付配管8に連通する桝7の深さまたはそれ以上とし、樹脂部3の存在する長さを被補修用の取付配管8の補修長さに一致させると、桝7の入り口から補修材を挿入し、その補修材に必要最小限の樹脂部3を用いて被補修用の取付配管8を効率良く、経済的に補修することができる。
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の第1の補修材19であって、取付配管内に敷設前の非反転状態を示すものである。即ち、この状態では長尺で筒状の柔軟なインナーフィルム1が外側に配置され、同様のアウターフィルム2が内側に同軸に配置されている。そしてインナーフィルム1の長手方向中間部のみに、この例では光硬化性の未硬化の樹脂部3がアウターフィルム2とインナーフィルム1との間に配置されている。この樹脂部3が配置される位置には円筒状のガラス繊維よりなるガラスパイル11またはポリエステル繊維の円筒状織布が介装され、このガラスパイル11等に樹脂材が塗布される。
また、この例ではアウターフィルム2の先端は樹脂部3の先端までであり、そこから先には存在しない。これに対してインナーフィルム1は樹脂部3よりも先端に延長されている。
なお、インナーフィルム1とアウターフィルム2との長さを同一とし且つ、樹脂部3の先端の境においてアウターフィルム2を切断しておいてもよい。
樹脂部3の長さLは、被補修用の取付配管8の補修長さに略一致するように配置される。また、樹脂部3より後部に存在する後部樹脂無し部5の長さは、桝7の深さより少し長めのものとされる。さらに前部樹脂無し部4の長さは、インナーフィルム1の直径以上で且つ、その部分が本管6内に突出したことをカメラ等で十分確認できる長さとする。
(配管補修方法)
このような補修材19を用いて配管を補修する方法につき述べる。
先ず、被補修用の取付配管8の長さを図3の如く測長する。この例では、取付管延長測定器22を用いそのメジャー測長パイプ15を桝7から取付配管8内に挿入し、メジャー測長パイプ15の先端を本管6に突出させるまで延長する。このメジャー測長パイプ15は、柔軟な袋状に形成され、その外周に目盛り寸法が記入されている。そして、内部にエアーを供給して、補修材と同様に内外面を反転させつつ取付配管8に挿入される。そこで本管6内に配置したカメラ16により、メジャー測長パイプ15の先端が本管6に達したことを確認する。そしてメジャー測長パイプ15の外周に設けた目盛りから、取付配管8内の長さおよび桝7内の長さを側長する。
このような、メジャー測長パイプ15を用いるのは、次の理由による。即ち、取付配管8は通常、それ特有の曲がり部(30度、60度、90度)が数カ所存在する。そのため、通常のメジャーで測長すると、曲がり部分で大きな誤差が生じる。ところが、メジャー測長パイプ15は袋状に形成されているため、取付配管8に馴染んで延長され、測長誤差を極めて少なくできる。また、取付配管8に曲がり部が多いと、後に補修材19を取付配管内に挿入する際、その反転ができない場合が生じる。メジャー測長パイプ15はその予備確認ができる。
次に、アウターフィルム2の長さを取付配管8内の長さと桝7の長さより少し長めにし、アウターフィルム2の外周にガラスパイル11を配置する。
ガラスパイル11の長さは取付配管8の長さと同一とし、ガラスパイル11には耐蝕性に優れているエポキシアクリレート樹脂(ビニールエステル樹脂)に光硬化開始材を配合したものを配置する。一例として、光硬化開始材は波長300〜400nmの紫外線(UV)領域で強い吸光度をもつものである。
そして、このような光硬化性樹脂を含むガラスパイル11によって、補修材19の中間部に樹脂部3を形成する。そして樹脂部3の後部の後部樹脂無し部5の長さは、桝7の深さよりも少し深くしておく。また、樹脂部3の前方にはインナーフィルム1のみからなる前部樹脂無し部4を形成し、その先端を絞り、そこをボビン10によって閉塞する。そしてそのボビン10には、ワイヤや紐等の条材9の端部を締結固定しておく。
次いで、図4に示す如く補修材19をライニング補修機13の機材エルボ12の開口からライニング補修機13内部に挿入し、エアータンク14内のドラム14bに補修材19の先端に接続された条材9を取り付けて、ハンドル14aを回転することにより、その条材9および補修材19をドラム14bに巻き付ける。そして、補修材19の後端を機材エルボ12から僅かに突出させ、その部分を折り返して締結バンド20により機材エルボ12に補修材19の後端部を締結固定する。
次いで、分岐部18の開口を閉塞すると共に、コンプレッサ17からのエアーをエアータンク14を介して供給し、補修材19を伸張させると共にインナーフィルム1とアウターフィルム2とを反転させつつ、桝7から取付配管8内に進入させる。このとき、ドラム14bに巻かれた補修材19が巻き戻される。そして、その補修材19の先端のインナーフィルム1のみが本管6内に突出したことを確認する。このとき、樹脂部3の先端は本管6の開口と同一または僅かに取付配管8側に位置される。そして内部には条材9が挿通され、その端部がエアータンク14のドラム14bに係止されている。
次いで、分岐部18の開口を開放し、そこから先端にTVカメラを有する光硬化装置23(UVランプを有する)をその分岐部18および機材エルボ12を介して、取付配管8の補修材19内に挿入し、樹脂部3を光により硬化させる。そしてその光硬化装置23を引き抜いた後に、ハンドル14aを回転して条材9をドラム14bに巻き取ると共に、補修材19のインナーフィルム1を巻き取る。次いで、桝7内に突出した樹脂部3の後端部をカッターで切断し、取付配管8の補修を完了する。
図6はその取付配管8の断面図であり、取付配管8の内面に樹脂部3が一例として厚さ3mm程被覆されている。なお、樹脂部3と取付配管8との間に存在するアウターフィルム2は防水性のフィルムであり、そのアウターフィルム2は樹脂部3と取付配管8との間に密着されている。
次に、図7は本発明の補修材19の他の例であって、この例が図1と異なる点は、内面側にインナーフィルム1が配置され、外面側にアウターフィルム2が配置され、両者間に樹脂部3が設けられたことである。また、インナーフィルム1の先端のボビン10の外面には、係止部材24が設けられている。そして、インナーフィルム1の内面側に条材9が設けられている。さらにこの例では、アウターフィルム2の長さが樹脂部3の長さに略整合する。
図8はこれらの配置状態を示す説明図である。
この例の補修材19は、図1の例と異なり、被補修配管内に反転されることなくそのまま挿入されるものである。そのために一例として、環状の係止部材24がボビン10の外面に設けられ、それに図示ない可撓性挿入体の先端の係合部材が係止されて、被補修配管内に押し込まれるものである。
本発明の補修材19の説明図であって、反転前の状態を示す。 図1の樹脂部3における説明図。 本発明の補修方法の第1工程を示す説明図。 同補修方法の第2工程を示す説明図。 同補修方法の第3工程を示す説明図。
本補修方法によって補修された取付配管8の断面説明図。 本発明の補修材19の他の例の説明図であって、配管に挿入前の状態を示す。 図7の樹脂部3における説明図。 従来型補修方法の説明図。
符号の説明
1 インナーフィルム
2 アウターフィルム
3 樹脂部
4 前部樹脂無し部
5 後部樹脂無し部
6 本管
7 桝
8 取付配管
9 条材
10 ボビン
11 ガラスパイル
12 機材エルボ
13 ライニング補修機
14 エアータンク
14a ハンドル
14b ドラム
15 メジャー測長パイプ
16 カメラ
17 コンプレッサ
18 分岐部
19 補修材
20 締結バンド
21 エアーホース
22 取付管延長測定器
23 光硬化装置
24 係止部材

Claims (4)

  1. 夫々長尺で筒状の軟質なインナーフィルム(1) とアウターフィルム(2) と、両フィルム(1) (2) 間に介装された未硬化の樹脂と、を具備し、内部に気体を供給して樹脂を硬化させる配管の補修材(19)を用いて、先端が本管(6) に接続され、後端が桝(7) に接続される取付配管(8) の内部を補修する配管の補修方法において、
    被補修用の取付配管(8) の補修長さを測長する工程と、
    その測長による取付配管(8) の長さに略一致する樹脂部(3) の長さを有する前記補修材(19)を用意すると共に、その補修材(19)の長手方向の中間部のみに樹脂部(3)を存在させ、その先端部と後端部には、そのフィルムの直径以上に渡り樹脂が存在しない前部樹脂無し部(4) 、後部樹脂無し部(5) となるようにする工程と、
    前記桝(7) の側からその補修材(19)を前記取付配管(8) 内に挿入し、その前部樹脂無し部(4) を取付配管(8) の先端から突出させると共に、
    その補修材(19)の後部樹脂無し部(5) を前記桝(7) 内に位置して、樹脂部(3) を硬化させる工程とを具備し
    前記取付配管(8) の補修長さを測長する工程は、一端が閉塞される柔軟な袋状でその外周に目盛り寸法が記入されたメジャー測長パイプ(15)を用い、その内部にエアーを供給して、その内外面を反転させつつ、それを取付配管(8) に挿入し、メジャー測長パイプ(15)の先端が本管(6)に達したとき、前記目盛りから、取付配管の長さを測長することを特徴とする取付配管の補修方法。
  2. 請求項1において、
    前記樹脂部(3) が取付配管(8) の桝(7) 側の開口縁まで存在するようにし、その樹脂の硬化後に桝(7) 側の開口縁から突出した硬化樹脂を切断することとした取付配管の補修方法。
  3. 請求項1または請求項2において、
    インナーフィルム(1) の先端部にワイヤまたは紐等の可撓性の条材(9) を取付た状態で、
    前記補修材(19)の内部に気体を送り、インナーフィルム(1) とアウターフィルム(2) とを反転しつつそれを前記取付配管(8) 内に挿入し、
    その樹脂の硬化後に前記条材(9) を引っ張ることによりインナーフィルム(1) を取り除くこととした取付配管の補修方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかの補修方法において
    前記補修材(19)は、その長手方向の中間部のみに樹脂部(3) として存在し、その先端部と後端部には、そのフィルムの直径以上に渡り樹脂が存在しない前部樹脂無し部(4) 、後部樹脂無し部(5) となるようにし、
    その後部樹脂無し部(5) の長さが、被補修用の取付配管(8) に連通する桝(7) の深さまたはそれ以上であり、樹脂部(3) の存在する長さが被補修用の取付配管(8) の補修長さに略一致するものを使用した取付配管の補修方法
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