JP4464758B2 - 渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ - Google Patents
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Description
そこで、従来では、これに対処するものとして、可撓性を有するフィルム基板の表面に複数の探傷コイルのパターンを印刷配線により形成したマルチコイル式プローブがある(例えば、特許文献1参照。)。また、上記のフィルム基板を円柱状の軸体に巻き付け、軸受を介してこの軸体を支持軸に回転可能に支持したマルチコイル式プローブがある(例えば、特許文献2参照。)。
また、従来では、複数の探傷コイルと各探傷コイルに対応する距離センサとをプリント基板に設けたマルチコイル式プローブがあり(例えば、特許文献4参照)、距離センサからの距離信号に基づいて検出コイルの探傷信号を補正することにより、傷の検出に対する斜めリフトオフの影響を無くしている。
さらに、プリント基板に探傷コイルのパターンを形成する場合には、分解能が高く、高い感度を有する探傷コイルを形成することが困難であるという問題もある。また、プリント基板を利用した構成の場合には、相互に隣り合う探傷コイルのパターンの影響によってノイズが発生する虞もある。
さらに、特許文献4に記載のマルチコイル式プローブにおいては、別途距離センサを設けているため、マルチコイル式プローブを構成する部材点数が多くなり、その製造コストが高くなるという問題がある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、導線を巻回するタイプの探傷コイルを用いて安価に製造でき、かつ、各探傷コイルと検査対象面との間隔のばらつきを無くして検査精度の向上を図れる渦流探傷装置のマルチコイル式プローブの提供を目的としている。
また、この傷の検出の際には、手で把持しない保持部が湾曲し、手で把持する固定部はこの湾曲に追従することがないため、容易に保持部を検査対象面に追従させることができる。
この場合、付勢手段により探傷コイルを直接押圧する場合には、探傷コイルを保持部の内部に埋める必要が無くなるため、コーティング層を湾曲させた際に各探傷コイルに発生する応力を抑制することができる。また、各探傷コイルを付勢手段により直接押圧しているため、検査対象面に向けて各探傷コイルを確実に押し付けることができる。
この場合、揺動部により固定部に対する探傷コイルの向きを変更させることができるため、各探傷コイルの端面を確実に検査対象面に追従させることができる。
この場合、付勢手段は、各探傷コイルを押圧すると共に探傷コイルに電力を供給する役割を果たすため、探傷コイルに電力を供給するための別途配線が不要となる。したがって、マルチコイル式プローブの構成部品を減らしてその製造効率を向上させることができる。
この場合、保持部を検査対象面に接触させる前の状態においては、回転付勢手段により2つのハウジングの相対回転位置を所定位置に保持できるため、第1のハウジングを把持しなくても、安定した状態で保持部を検査対象面に接触させることができる。
この場合、ハウジング付勢手段により2つのハウジングの相対距離を変化させることができるため、連結部の付勢手段により吸収しきれない大きな湾曲面が検査対象面に存在しても、手で把持する第2のハウジングをこの湾曲面に追従させることなく、第1のハウジング及び保持部を検査対象面に確実に追従させることができる。
また、前記易変形部が、少なくとも前記保持部の前面、若しくは該前面とは反対側に位置する背面から窪んで形成された切欠部からなるものでもよい。
さらに、マルチコイル式プローブは導線を巻回するタイプの探傷コイルにより構成されているため、マルチコイル式プローブを安価に製造することができる。
図1に示すように、この実施の形態に係るマルチコイル式プローブ1は、電源回路及び制御部を内蔵する探傷装置本体3と、マルチコイル式プローブ1及び探傷装置本体3を相互に接続するケーブル5と共に渦流探傷装置7を構成するものである。探傷装置本体3には、電源スイッチ等の各種操作スイッチ4が設けられると共に、表示装置である液晶モニター6が設けられている。
マルチコイル式プローブ1は、図2に示すように、検査対象面T1に接触させるコイルユニット9、ケーブル5に接続される固定部11及び、これらコイルユニット9と固定部11とを相互に連結する連結部13とを備えている。
コイルホルダ本体19には、厚さ方向(Z軸方向)に貫通する略円筒状の収容孔23が複数形成されており、これら収容孔23に各々探傷コイル15が収容されている。これら収容孔23は、図3に示すように、コイルホルダ本体19の長手方向(X軸方向)に沿って2列に、かつ各列の収容孔23がオフセットするように配置されている。なお、各探傷コイル15は、図2に示すように、その周縁部を収容孔23の内周面に接着剤Gで固定することによりコイルホルダ本体19に対して固定されている。ここで使用する接着剤Gとしては、例えば、UV接着剤、瞬間接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコン系接着剤等、硬化後に適度な弾性を有するものが挙げられる。
コーティング層21は、シリコンゴムやテフロン(登録商標)等の弾性変形可能な樹脂をシート状に形成したものであり、コイルホルダ本体19に形成された断面視略矩形状の凹部25に接着して固定されている。このコーティング層21の表面21aはコイルホルダ本体19の表面19aと共に、検査対象面T1に対向する保持部17の前面17aを構成している。また、このコーティング層21の裏面21bは、コイルホルダ本体19の収容孔23に収容された探傷コイル15の端面15aにも接触している。
はじめに、図3に示すように、収容孔23、凹部25及びテーパ部27を有するコイルホルダ本体19を形成しておく。この収容孔23の内径は、探傷コイル15の外径寸法よりも大きく形成されている。次いで、平坦面に形成された表面31aから突出する段部29を備えた治具31を用意し、前記表面31aと平行な平坦面に形成された段部29の搭載面29aから突出する複数の位置決めピン33にそれぞれ探傷コイル15を取り付ける。これら位置決めピン33は、コイルホルダ本体19の収容孔23と同様に、段部29の長手方向(X軸方向)に沿って2列に、かつ各列の位置決めピン33がオフセットする位置に配されている。
各位置決めピン33の外径は、探傷コイル15の内径よりも微少に小さく形成されている。すなわち、例えば、探傷コイル15の内径が1.08mmの場合には位置決めピン33の外径を1.06mmとしておく。したがって、各探傷コイル15をそれぞれの位置決めピン33に取り付けることにより、隣り合う探傷コイル15を等間隔に保持できる。
そして、この状態において、接着剤Gにより各探傷コイル15とコイルホルダ本体19とを固定する。ここで、コイルホルダ本体19は弾性を有しているため、接着の際には各探傷コイル15を搭載面29aに押し付けながら行うことが好ましい。これにより、Z方向に関して複数ある探傷コイル15の端面15aの位置を確実に揃えることができる。
最後に、探傷コイル15を固定したコイルホルダ本体19を治具31から取り外し、図2に示すように、コーティング層21を凹部25に接着することによりコイルユニット9の製造が終了する。
なお、この製造の際には、コイルホルダ本体19を治具31に載置した後に、探傷コイル15を位置決めピン33に取り付けるとしても構わない。
ベローズ部41には、その伸縮方向(Z軸方向)の両端に開口する平面視略矩形状の開口部41a,41bが設けられている。一方の開口部41aは固定部11の開口部39に取り付けられ、他方の開口部41bはコイルユニット9に取り付けられている。ここで、他方の開口部41bは、コイルユニット9により閉塞されているため、固定部11及びベローズ部41の内方空間は外方に露出しない状態となる。
各ピン47は、ベローズ部41の一方の開口部41aに固定された板状部材48に取り付けられている。すなわち、板状部材48にはその厚さ方向に貫通する挿通孔48aが形成されており、各ピン47がこの挿通孔48に挿通している。これにより、各ピン47は、板状部材48や固定部11に対してZ軸方向のみに移動可能となっている。
なお、各コイルスプリング45の一端は、この板状部材48の表面48bに配されているため、コイルスプリング45は板状部材48とコイルホルダ本体19とをZ軸方向に引き離すように付勢することになる。また、この板状部材48の中央部分には、その厚さ方向に貫通する略矩形状の孔48cが形成されており、この孔48cを介してコイル基板37と各探傷コイル15との電気接続用の配線を通すことができる。
また、固定部11の内方空間に配される各ピン47の他端には、板状部材48の挿通孔48aの径よりも大きいフランジ部47aが形成されており、ピン47が挿通孔48aから抜け出ることを防止している。
なお、このピン47は、コイルスプリング45に挿通させているため、コイルスプリング45をZ軸方向のみに伸縮させるようになっている。
なお、検査対象面T1が平坦面である場合には、保持部17を弾性変形させることなく、その前面17a全体を検査対象面T1に接触させることができる。
また、この際には、保持部17の裏面19bが凸状となるため、X軸方向に関する保持部17の中途部が、保持部17の両端部よりも固定部11側に近づくことになる。すなわち、保持部17の中途部に配されたコイルスプリング45は、両端部に配されたコイルスプリング45よりも縮められることになる。
また、この際には、保持部17の裏面19bが凹状となるため、X軸方向に関する保持部17の両端部が、保持部17の中途部よりも固定部11側に近づくことになる。すなわち、保持部17の両端部に配されたコイルスプリング45は、中途部に配されたコイルスプリング45よりも縮められることになる。
なお、この傷の検出の際に、コイルスプリング45が縮んだ場合には、ピン47がコイルスプリング45の縮み量に合わせて固定部11側に移動することになる。さらに、この際に、ピン47と保持部17との相対的な向きに変化が発生した場合には、この変化に合わせてボールジョイント49が保持部17の内部で揺動する。
また、検査対象面T1が曲面に形成されていても、コイルスプリング45の付勢力により保持部17を弾性変形させると共に、探傷コイル15を検査対象面T1に押さえつけることができるため、保持部17の前面17aと検査対象面T1とを容易に且つ確実に密着させることができ、探傷コイル15を検査対象面T1に確実に追従させることができる。
また、保持部17の移動方向の前方に検査対象面T1から突出する突起等の障害物が存在しても、テーパ部27によって保持部17の前面17aまで滑らかに案内されるため、障害物の有無にかかわらず保持部17を検査対象面T1に対して滑らかに移動させることができる。
さらに、連結部13のベローズ部41によって、付勢手段を配した固定部11とコイルユニット9との隙間空間、及び固定部11の内方空間が、外方に対して覆い隠されるため、これらの空間内に塵埃が侵入することを防止して、探傷コイル15、コイル基板37及びこれらを相互に接続する配線の保護を図ることができる。
さらに、コーティング層21は、コイルホルダ本体19に接着固定する構成としたが、これに限ることはなく、例えば、コイルホルダ本体19と同じ材料で一体的に形成するとしても構わない。
さらに、コイルホルダ本体19は、シリコンゴムやテフロン(登録商標)等の弾性変形可能な樹脂から形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも弾性変形可能な弾性材料から形成されていればよい。すなわち、コイルホルダ本体19は、例えば、ポリウレタンから形成されるとしても構わない。
また、探傷コイル15は、ドーナツ型の空芯コイルによって構成されるとしたが、これに限ることはなく、例えば、多角形型や8の字型の空芯コイルによって構成されるとしても構わない。
また、探傷コイル15は空芯コイルによって構成されるとしたが、これに限ることはなく、芯を有する構成であっても構わない。
図7に示すように、マルチコイル式プローブ51の付勢手段53は、その両端をそれぞれ保持部17の裏面19aと板状部材48の表面48bとに接着等により取り付けられた弾性体55を備えている。この弾性体55は、ゴム等の樹脂材料からなり、図8(a)に示すように、その両端と比較して中途部55aが細く形成された、所謂くびれを有する略円柱形状に形成されている。
このマルチコイル式プローブ51では、第1の実施形態と同様の効果を奏する。また、付勢手段53を弾性体55のみで構成することができるため、ピンやボールジョイント等、付勢手段53に要する部品点数を少なくして、マルチコイル式プローブ51の製造の工程数や製造コストの削減を図ることができる。
また、例えば、図8(c)に示すように、弾性体55Eは、その両端と比較して中途部55fを太く形成すると共に、その長手方向に貫通する孔55gを形成して略円筒形状をなすとしても構わない。なお、中途部55fにおける孔55gの内径は、両端における孔55gの内径よりも大きく形成されている。
これら構成の場合には、弾性体55B,55Eの中途部55d,55fの肉厚が薄くなるため、中途部55d,55fを容易に変形させることが可能となる。
図9に示すように、マルチコイル式プローブの連結部63は、第1の実施形態において示したベローズ部41の代わりに、保持部65と一体的に形成されたカバー部(被覆部)67を備えている。すなわち、カバー部67は、保持部65と同じ弾性変形可能な樹脂材料から形成されている。このカバー部67は、保持部65側に配された撓み部69と、固定部11側に配された接続部71とを備えている。
接続部71は、固定部11のハウジング35に取り付けるように構成されており、その肉厚は撓み部69よりも厚く形成されている。すなわち、接続部71は、撓み部69と比較して弾性変形し難い形状となっているため、カバー部67をハウジング35に対して容易に取り付けることができる。
このマルチコイル式プローブによれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。また、連結部63のカバー部67を保持部65と一体的に形成することにより、保持部65に対するカバー部67の取付工程が不要となるため、マルチコイル式プローブの製造工程を簡略化して、製造効率の向上を図ることができる。
このマルチコイル式プローブ71の保持部73は、図11(a)に示すように、その前面73aを保持部73の長手方向(X軸方向)に湾曲する凸状の曲面に形成して、構成されている。このマルチコイル式プローブ71では、保持部73を凹状の曲面からなる検査対象面T1に接触させる際に、保持部73の弾性変形の量を少なくできるため、保持部73の前面73aと検査対象面T1とをさらに容易に密着させることができる。
この構成の場合には、検査対象面T1に沿うように保持部17を湾曲させる際に、各切欠部75〜78を弾性変形させればよいため、探傷コイル15に応力が発生することを抑制し、保持部17,65,71を容易に湾曲させることができる。
なお、上述した切欠部75〜78は、保持部117,65,71の前面17a,65a,71a及び背面13bに形成されるとしたが、これに限ることはなく、前面17a,65a,71a若しくは裏面19b,65b,73bのいずれか一方に形成されるとしても構わない。
この構成においては、検査対象面T1に沿って保持部17,65,71を湾曲して相互に隣り合う探傷コイル15の間隔が変化しても、曲げセンサ79の検出結果に基づいて探傷コイル15からの検出信号を補正することにより、検査対象面T1の実際の傷と探傷コイル15において検出した傷の情報との間で生じる微少な差をなくすことができ、より正確な傷の検出を行うことができる。
また、例えば、図16(c)に示すように、保持部17,65,71の前面17aが凸状となった場合には、前面17aにおいて隣接する探傷コイル15間の距離Lが長くなる。この状態においては、曲げセンサ79が、裏面19b,65b,73bと共に凹状に縮み、前述の距離Lが長くなったことを検出する。そして、曲げセンサ79の検出結果に基づいて各探傷コイル15からの検出信号を補正する。
図17に示すように、マルチコイル式プローブ81の保持部83は、探傷コイル15の端面15a側に配されたシート状のコーティング層85を備えている。このコーティング層85は、傷の検査時にその前面85aが検査対象面T1に直接接触するようになっている。すなわち、保持部83は、第1の実施形態において示したコイルホルダ本体19を含まない構成となっている。各探傷コイル15は、前記前面85aとは反対側に位置するコーティング層85の裏面(背面)85bに接着剤等により固定されている。
コイルスプリング89は、その長手方向の一端が固定部11側に配され、他端が探傷コイル15の裏面15b側に配されており、ピン91、中間部材93、ボールジョイント95及び探傷コイル15を固定部11から離間する方向に付勢している。なお、ピン91の一端は、第1の実施形態と同じ板状部材48に取り付けられている。
ボールジョイント95は、ピン91を中間部材93に対して探傷コイル15の裏面15bに沿う軸線回りに揺動可能とするものである。すなわち、探傷コイル15は、このボールジョイント95により固定部11に対して前記軸線回りに揺動可能となっている。
円板部96の外縁部には切欠部96aが形成されており、探傷コイル15の導線15cはこの切欠部96aを介しての外方に引き出すことができるように構成されている。
突出部97は、その外径と略同じ内径寸法を有する探傷コイル15の孔15dに挿入されており、少なくとも探傷コイル15とピン91やボールジョイント95との相対的な位置決めをできるようになっている。また、突出部97の先端部97aはコーティング層85の裏面85bに当接しているため、コーティング層85に対するピン91やボールジョイント95の位置決めを容易に行うことができる。
また、各探傷コイル15をコイルスプリング89により直接押圧しているため、検査対象面T1に向けて各探傷コイル15を確実に押し付けることができる。
さらに、ボールジョイント95により固定部11に対する探傷コイル15の向きを変更させることができるため、各探傷コイル15の端面15aを確実に検査対象面T1に追従させることができる。
また、付勢手段87は、コイルスプリング89、ピン91、中間部材93及びボールジョイント95を備えるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも各付勢手段87が探傷コイル15に直接接続されていればよい。すなわち、付勢手段87は、例えば、空圧シリンダ等の空気の圧縮力を利用したものから構成されるとしてもよい。
さらに、付勢手段87は、例えば、図20に示すように、ゴム等の樹脂材料からなる弾性体(揺動部)99と、弾性体99及び探傷コイル15の間に配された中間部材(押圧部)101とを備えるとしても良い。
また、この弾性体99に接続される中間部材101としては、前述と同様に、図21(a)に示すように、突出部103の長さが探傷コイル15の長さよりも短く形成されたものでもよい。
これらの構成の中間部材101では、突出部103の長さが探傷コイル15の長さよりも長いため、探傷コイル15の長手方向の長さ寸法にばらつきがあっても、弾性体99、中間部材101の長さ寸法の精度に応じて、固定部11に対するコーティング層85の表面85aの位置出しを容易に行うことができる。すなわち、コーティング層85の表面85aを容易に平坦面に形成することができる。なお、図21(a)〜(c)に示した中間部材101の形状は、第5の実施形態の中間部材93に適用しても構わない。
図22,23に示すように、マルチコイル式プローブ111の付勢手段113は、固定部11側に固定された支持部115と、支持部115から突出する複数のアーム部117とを備えている。
したがって、連接部121は、例えば、図26,27に示すように、U字状やS字状に湾曲していても構わないし、図28に示すように、螺旋状に形成されていてもよい。
このように連接部121を形成した場合には、湾曲した部分や螺旋状に形成した部分において容易に弾性変形できるため、各探傷コイル15の端面15aをより確実に検査対象面T1に追従させることができる。
なお、上述した実施形態において、アーム部117,131の先端部119,139は中間部材に接着等により固定されるとしたが、これに限ることはなく、中間部材に当接するのみとしてもよい。
これら構成の場合には、第1の揺動部147及び第2の揺動部151の撓みによって探傷コイル15が、円板部141と共にコーティング層85に向かう方向(Z軸方向)に付勢されることになる。また、第1の揺動部147が捻れることにより、探傷コイル15が、円板部141や第2の揺動部151と共にY軸を中心として揺動することになる。さらに、第2の揺動部151が捻れることにより、探傷コイル15が、円板部141と共にX軸を中心として揺動することになる。
これら信号用配線155及びこれに連結される接続端部159と、グランド用配線157及び連結される接続端部159とにより、各探傷コイル15から引き出される一対の導線15cに電気接続される一対の配線部が構成されている。
第1及び第2の揺動部161,163は、その撓みにより各探傷コイル15をコーティング層85に向けて付勢するように構成されている。また、第1の揺動部161は、その捩れによってY軸を中心として探傷コイル15を揺動させるように、第2の揺動部163は、その捩れによってX軸を中心として探傷コイル15を揺動させるように、それぞれ構成されている。
なお、ここに示す中間部材167は、第2の揺動部163との接触によって探傷コイル15が傷つくことを防止しており、また、探傷コイル15と第2の揺動部163とが接触して電気的に短絡することを防止するために、絶縁材料から形成されている。
なお、上記の構成においては、各信号用配線155及び各接続端部159、グランド用配線157及び複数の接続端部159がエッチングにより形成されるとしたが、これに限ることはなく、例えば、固定部11に対してインサート成形されるとしてもよい。
図34,35に示すように、マルチコイル式プローブ171の固定部173は、連結部13を介してコイルユニット9に接続されるアルミ製の第1のハウジング175と、第1のハウジング175及びコイルユニット9の配列方向(Z軸方向)に直交する直交軸線L1を中心として、第1のハウジング175に対して揺動可能に連結された第2のハウジング177とを備えている。
なお、この第1のハウジング175の開口部176と連結部13のベローズ部41や板状部材48との間には、開口部176の周縁に配される矩形環状のシール部材174が挟み込まれるようになっている。このシール部材174によって第1のハウジング175と連結部13との隙間を確実に埋めることができる。
梁部材185の長手方向(X軸方向)の中央には、マルチコイル式プローブ171を操作する際に手で把持するハンドル部184が設けられており、このハンドル部184の先端部にケーブル5の端部が取り付けられている。また、このハンドル部184の内部にはその長手方向にケーブル5の配線が挿通されており、梁部材185の厚さ方向に貫通する孔185aを介してケーブル5の配線と第1のハウジング175から延びるケーブル181とが相互に接続されている。
軸受部189は、レール部材187の長孔187aに対して、Z軸方向に移動可能に取り付けられる摺動部材195と、摺動部材195に形成された孔195aに取り付けられた軸受197とを備えている。
これらレール部材187、摺動部材195及びコイルばね191により、2つのハウジング175,177の相対距離を変更可能に連結すると共に、これら2つのハウジング175,177を相互に離間させる方向に付勢するハウジング付勢手段192が構成されている。
この板バネ182及び軸体180をそれぞれ溝195bや孔195aに挿入した状態で軸体180をその軸線L1回りの一方向に回転させた際には、板バネ182の基端部が溝195bから孔195a側に出て撓むことになる。板バネ182がこのように撓んだ状態においては、板バネ182にその基端部を溝195bに収容させる方向に付勢力が働くため、軸体180は、前記一方向とは逆方向に回転して元の所定位置に戻ることになる。
これら軸体180の板バネ182及び摺動部材195の溝195bにより、2つのハウジング175,177の相対回転位置が所定位置に向かうように、2つのハウジング175,177を相互に軸線L1回りに付勢する回転付勢手段194が構成されている。
すなわち、この軸受197は、図36に示すように、内輪197a及び外輪197bの間に玉197cを設けた所謂玉軸受からなり、軸体180を内輪197aと共に外輪197bに対して軸線L1回りに回転させることができる。また、玉197cに接触する内輪197aの外周面197dは、内輪197aの厚さ方向にわたって凸曲面をなしており、外輪197bの中心軸線に対して内輪197a及び軸体180を揺動させることができるようになっている。なお、特に図示はしていないが、この軸受197には、玉197cを内輪197aと外輪197bとの間に保持する保持器が設けられている。
上記のように軸受197を構成しておくことにより、第1のハウジング175の両端に配された摺動部材195がそれぞれ独立してレール部材187の軌道187b上を移動して、各アーム部183に対する軸体180の直交軸線L1の向きが変わっても、軸受197の内輪197aを軸体180の向きに追従させることができる。
また、コイルユニット9を検査対象面T1に接触させる前の状態においては、回転付勢手段194により2つのハウジング175,177の相対回転位置を所定位置に保持できるため、第1のハウジング175を把持しなくても、安定した状態でコイルユニット9を検査対象面T1に接触させることができる。
特に、ハウジング付勢手段192の各コイルばね191により第1のハウジング175の両端がそれぞれ独立して付勢されているため、図38に示すように、検査対象面T1が前述の移動方向に直交するコイルユニット9の長手方向に大きく湾曲していても、第2のハウジング177に対して第1のハウジング175を傾斜させてコイルユニット9を検査対象面T1に確実に追従させることができる。したがって、手で把持する第2のハウジング177をこの湾曲した検査対象面T1に追従させることなく、容易に傷の検査を行うことができる。
また、コイルユニット9及び連結部13の構成は第1の実施形態と同じとしたが、これに限ることはなく、第2実施形態から第6実施形態を含め、前述した内容のいずれであっても構わない。
この実施の形態に係るマルチコイル式プローブ201は、第1の実施形態と同様に渦流探傷装置7にケーブル5を介して接続されるものであり、図40,41に示すように、コイルユニット203と、略コ字状の門型に形成された把持部(固定部)205と、把持部205に対してコイルユニット203をその中心軸線L3回りに回転可能に連結する連結部207とを備えている。
はじめに、図42に示すように、複数の収容孔215を有する円筒状のコイルホルダ本体211を形成しておく。この収容孔215の内径は、探傷コイル15の外径寸法よりも大きく形成されている。次いで、コイルホルダ本体211の外周面211aに対応する凹面204と、この凹面204から突出する複数の位置決めピン206を備えた治具208を用意し、各収容孔215内に位置決めピン206が配されるようにコイルホルダ本体211を凹面204に配する。そして、各探傷コイル15の孔に位置決めピン206を挿通させるように、各収容孔215にそれぞれ探傷コイル15を収容する。
ここで、これら位置決めピン206は、収容孔215と同様に、凹面204の周方向にわたって等しい間隔をおいて複数列配置されており、各列の位置決めピン206は凹面204の長手方向に等間隔に並べられている。また、周方向に隣り合う位置決めピン206の列は、互いにオフセットするように配置されている。したがって、探傷コイル15を各位置決めピン206に取り付けることにより、隣り合う探傷コイル15を等間隔に保持できる。
この押圧部材210を取り付けた状態においては、図43に示すように、バネ部214の先端が探傷コイル15の裏面15bに当接し、このバネ部214の付勢力によって各探傷コイル15が、治具208の凹面204に押し付けられることになる。その後、この押圧部材210による探傷コイル15の押し付けを保持したままで、接着剤により各探傷コイル15とコイルホルダ本体211とを固定する。なお、押圧部材210による押し付けを行う際には、バネ部214の先端と探傷コイル15の裏面15bとの間に板状の中間部材を配して、探傷コイル15の保護を図ることが好ましい。
このコイルユニット203を製造する際に、押圧部材210を用いて各探傷コイル15をコイルホルダ本体211に固定する場合には、全ての探傷コイル15を同時に凹面204に押し付けることができるため、コイルユニット203の製造時間を短縮できる。
連結部207は、コイルユニット203の長手方向(中心軸線L3方向)の両端部に設けられた一対の軸体221と、各軸体221をアーム部材219に対して中心軸線L3回りに回転可能に連結する軸受223とを備えている。
一方の軸体211は、一方のアーム部219の先端部に固定された読取部227と共に検査対象面T1に概ね対向して配された複数の探傷コイル15に電力を供給したり、これら探傷コイル15からの信号を取得してケーブル5から探傷装置本体3に伝達するロータリトランス229を構成している。
このように構成された一方の軸体221と読取部227とを相対的に回転させた際には、第2の円柱部233と読取部227との間で、検査対象面T1に対向する複数の探傷コイル15に供給する電力や、探傷コイル15から出力される信号の伝達が行われる。
そして、この際には、マルチコイル式プローブ201の移動方向前方に位置する検査対象面T1に大きな湾曲面が存在しても、保持部209が検査対象面T1上を転がるため、保持部209の外周面209aを確実にこの湾曲面に追従させることができる。
なお、外方に露出するコーティング層213の外周面209aが上述した傷の検査で摩耗してその厚さ寸法が不均一になった場合、すなわち、検査対象面T1からの距離が探傷コイル15毎に異なった場合に、このコーティング層213を取り外すことにより、別のコーティング層213が新たに外方に露出することになる。この状態においては、各探傷コイル15と検査対象面T1との距離が等しくなる。
さらに、導線を巻回するタイプの探傷コイル15を用いているため、マルチコイル式プローブ201を安価に製造することができる。
さらに、複数のコーティング層213は、中心軸線L3回りに重ねて巻き付けられ、一層ずつ取り外し可能となっているため、長時間にわたって検査対象面T1と各探傷コイル15との距離を容易に均一に保つことができる。
また、傷の検査に際してコーティング層213が摩耗することが少ない場合には、コーティング層213を複数重ねて巻き付ける必要はなく、一層だけコイルホルダ本体211の外周面211aに巻き付けるとしても構わない。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
9,203 コイルユニット
11,173 固定部
13,207 連結部
15 探傷コイル
15a 端面
15b 裏面
15c 導線
17,65,73,83,209 保持部
17a,65a,73a,85a 前面
19b,65b,73b,85b 裏面(背面)
21,85,213 コーティング層
27 テーパ部
41 ベローズ部(被覆部)
43,53,87,113, 付勢手段
67 カバー部(被覆部)
75〜78 切欠部(易変形部)
79 曲げセンサ
93,101,123,167 中間部材(押圧部)
95 ボールジョイント(揺動部)
99 弾性体(揺動部)
121 連接部(揺動部)
139 揺動部
147,161 第1の揺動部
151,163 第2の揺動部
175 第1のハウジング
177 第2のハウジング
192 ハウジング付勢手段
194 回転付勢手段
205 把持部(固定部)
209a 外周面(前面)
223 軸受
L1 直交軸線
T1 検査対象面
Claims (10)
- 導線を巻回してなる複数の探傷コイルと、前記複数の探傷コイルの端面を検査対象面に対向する前面側に向けた状態で前記複数の探傷コイルを自身の厚さの範囲内に支持する保持部と、を有するコイルユニットと、
前記検査対象面に前記コイルユニットを接触させる際に把持する固定部と、
前記保持部を押圧して前記複数の探傷コイルを前記固定部から離間させる方向に付勢する付勢手段を有し、前記コイルユニットと前記固定部とを連結する連結部と、
を備え、
前記保持部は、弾性変形可能な弾性材料を用いて可撓性を有するように形成され、前記複数の探傷コイルは、前記コイルユニットが前記検査対象面に接触したときに、前記検査対象面と非接触状態を保持するように配置されていることを特徴とする渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。 - 前記保持部が、前記探傷コイルの端面側に配され、かつ前記検査対象面に接触させるシート状のコーティング層を有し、
前記付勢手段が、前記探傷コイルに直接接続されていることを特徴とする請求項1に記載の渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。 - 前記付勢手段が、
前記端面の反対側に位置する前記探傷コイルの裏面に当接する押圧部と、
該押圧部と前記固定部との間に設けられ、前記固定部に対して前記押圧部及び前記探傷コイルを前記裏面に沿う基準軸線回りに揺動可能とする揺動部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。 - 前記押圧部及び前記揺動部が一体的に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。
- 前記付勢手段が、導電性を有し、前記各探傷コイルから引き出される一対の導線に電気接続される一対の配線部を備えることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。
- 前記固定部が、
前記連結部を介して前記コイルユニットに接続される第1のハウジングと、
前記第1のハウジング及び前記保持部の配列方向に略直交する直交軸線を中心として、前記第1のハウジングに対して揺動可能に連結される第2のハウジングと、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。 - 前記直交軸線を中心とする前記2つのハウジングの相対回転位置が所定位置に向かうように、前記2つのハウジングを相互に前記直交軸線回りに付勢する回転付勢手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。
- 前記2つのハウジングの相対距離を変更可能に連結すると共に、これら2つのハウジングを相互に離間させる方向に付勢するハウジング付勢手段を備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。
- 前記保持部のうち、少なくとも前記前面に沿う一方向について相互に隣り合う前記探傷コイルの間に、弾性変形可能な易変形部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。
- 前記易変形部が、少なくとも前記保持部の前面、若しくは該前面とは反対側に位置する背面から窪んで形成された切欠部からなることを特徴とする請求項9に記載の渦流探傷装置のマルチコイル式プローブ。
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