JP4463409B2 - 搬送装置及び真空処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体基板等を真空処理槽内に搬入したり、搬出して所定の位置に搬送するための搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子に関し、超微細高精度化が要求されており、このような半導体素子を製造する装置には、スループットを向上させること、また装置を設置するための床面積を小さくすること等が要求されている。
【0003】
このため、搬送室を中心としてその周囲に複数の処理室を配し、ゲートバルブを介して連結することによって種々の基板処理を真空中で一貫して行うことができるマルチチャンバ装置及び搬送装置が提案されている(例えば、特許第2733799号公報、特許第2808826号公報等参照)。
【0004】
図9は、従来の搬送装置(例えば、特開平4−279043号公報参照)の要部構成を示す平面図である。
図9に示すように、この搬送装置100においては、図示しない駆動源の回転動力が、駆動軸101及びこの駆動軸101に取り付けられた駆動ギア102に伝達され、さらに、駆動ギア102及びこの駆動ギア102と噛み合う従動ギア103を介して従動軸104に伝達されるようになっている。
【0005】
駆動軸101には第1のアーム105が取り付けられ、この第1のアーム105の先端部には、回転軸106を中心として回転可能な第3のアーム107が取り付けられている。
【0006】
一方、従動軸104には第2のアーム108が取り付けられ、この第2のアーム108の先端部には、回転軸109を中心として回転可能な第4のアーム110が取り付けられている。
【0007】
第3のアーム107には上記回転軸106と同心的に回転可能な動プーリ111が取り付けられ、この動プーリ111は、駆動軸101と同心位置に固定された固定プーリ112とベルト113によって連結されている。なお、動プーリ111と固定プーリ112との直径比は1:2である。
【0008】
第3のアーム107と第4のアーム110の先端部には、それぞれ拘束ギア116、114が回転可能に取り付けられ、これら拘束ギア116、114は、噛み合った状態で基板載置台115に取り付けられている。
【0009】
このようなリンク機構を有する従来の搬送装置100においては、駆動軸101を回転させることにより、駆動軸101と従動軸104の中心を結ぶ直線に水平面内で直交する直線(以下「搬送ライン」という。)lに沿って基板載置台115が移動し、第1のアーム105と第2のアーム108の開き角が180度となる位置(以下「死点位置」という。)を通過する。
【0010】
また、この搬送装置100は、駆動軸101及び従動軸104は図示しない支持台に回転可能に取り付けられ、この支持台を他の駆動源(図示せず)によって回転させることにより基板載置台115が駆動軸101を中心として旋回するように構成されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の搬送装置100においては、駆動軸101を中心として基板載置台115を回転させる構成となっているため、第1〜第4のアーム105、107、108、110を死点位置まで縮めた状態で旋回させた場合に、基板載置台115はアームの中心位置、すなわち、駆動軸101と従動軸104の中心軸を結ぶ直線mと上記搬送ラインlの交点Oを中心に旋回しない構成となっている。
【0012】
このため、従来技術においては、最小旋回半径を小さくすることができず、搬送室の内径を小さくすることができないので、半導体製造装置を小さくすることができないという課題がある。
【0013】
また、半導体製造装置のスループットを向上させるためには、搬送装置の動作速度を大きくすることが効果的であるが、従来技術においては、一つの駆動源を用いて駆動軸101及び従動軸104を動作させるようにしているため、回転動力の伝達ロス等によって駆動源の動作トルクが不足し、動作速度が速くならないという課題がある。
【0014】
このような課題を解決するためには、同心状に配設した第1及び第2の駆動軸に対して2つの独立した駆動源の回転動力を伝達させることも考えられるが、その場合、関節機構を構成する拘束ギア114、116が2個並列に配されているので、上記第3のアーム107の第1のアーム105に対する回転角と、第4のアーム110の第2のアーム108に対する回転角は、それぞれ第1のアーム105及び第2のアーム108の回転角に比例しない。そのため、第1及び第2のアーム105、108の回転運動に第3及び第4のアーム107、110の回転運動に同期せず、基板載置台115の移動が困難になってしまう。
【0015】
その一方、このような課題を回避するためには複雑な補正機構を設けなければならず、部品点数が増加するとともに組立工程も煩雑になってしまう。
【0016】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、簡素な構成で旋回半径を小さくすることができ、しかも搬送速度が大きい搬送装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、一端部に駆動軸を有し、該駆動軸が同心状に配設された第1及び第2のアームと、前記第1及び第2のアームの他端部に、当該一端部が回転可能に連結された第3及び第4のアームと、前記第1又は第2のアームの駆動軸の回転動力を前記第3又は第4のアームに伝達するための動力伝達機構と、前記第3及び第4のアームの他端部に設けられた支軸を同心状に配設するとともに、当該支軸に対して互いに逆位相の回転動力を与えるように構成された姿勢制御機構を有する関節機構部とを備え、前記動力伝達機構は、前記第1又は第2のアームの駆動軸に固定された駆動ギアと、前記第3又は第4のアームの一端部の支軸に固定された従動ギアと、前記第1又は第2のアームに回転可能に取り付けられ前記駆動ギアと噛み合う駆動伝達ギアと、前記第1又は第2のアームに回転可能に取り付けられ前記従動ギアと噛み合う従動伝達ギアとを有し、前記駆動伝達ギアと前記従動伝達ギアとを同位相で回転させるための一対の棒状のリンク部材が、当該駆動伝達ギア及び当該従動伝達ギアに取り付けられていることを特徴とする搬送装置である。
また、請求項2記載の発明は、請求項記1載の発明において、前記動力伝達機構は、前記第1又は第2のアームの駆動軸に固定された駆動プーリと、前記第3又は第4のアームの一端部の支軸に固定された従動プーリと、前記第1又は第2のアームに回転可能に取り付けられた駆動伝達プーリ及び従動伝達プーリとを有し、前記駆動プーリと前記駆動伝達プーリとに動力伝達ベルトが8字状に巻き掛けられるとともに、前記従動プーリと前記従動伝達プーリとに動力伝達ベルトが8字状に巻き掛けられ、さらに、前記駆動伝達プーリと前記従動伝達プーリとを同位相で回転させるための一対の棒状のリンク部材が、当該駆動伝達プーリ及び当該従動伝達プーリに取り付けられていることを特徴とする。
また、請求項記載の発明は、請求項1又は2のいずれか1項記載の発明において、前記第1、第2、第3及び第4のアームのアーム長が同一であることを特徴とする。
【0018】
請求項1及び請求項2記載の発明の場合、第1及び第2のアームの駆動軸が同心状に配設されていることから、第1〜第4のアームを死点位置に配置した状態における最小旋回半径を従来技術に比べて小さくすることが可能になる。
また、本発明によれば、第3及び第4のアームの他端部の支軸も同心状に配設されていることから、アーム長を変化させるための複雑な補正機構を用いることなく第3及び第4のアームに駆動軸の回転動力を与えることができ、その結果、簡素な構成で第1〜第4のアームの動作速度を速くすることが可能になる。
しかも、本発明にあっては、第3及び第4のアームの支軸に対して互いに逆位相の回転動力を与えるように構成されていることから、例えば関節機構部に取り付けたキャリアが回転してしまうことなく所定の搬送ラインに沿って直進性良く移動させることができ、また、死点位置近傍においてもキャリアを円滑に移動させることができる。
さらに、本発明によれば、簡素な構成の動力伝達機構によって駆動源の動力が確実に効率良く各アームに伝達されるので、より円滑かつ高速で動作させることが可能になる。
特に、請求項記載の発明によれば、一対の棒状のリンク部材を備えるリンク部材によって駆動ギアと従動ギアを同位相で回転させるようにしたことから、例えばベルトを使用した場合のようなテンションの調整が必要なく、組立及び調整が簡単な搬送装置を提供することが可能になる。
請求項記載の発明によれば、バックラッシュが生じないので、駆動源の動力が効率良く各アームに伝達され、より円滑な高速動作を行うことが可能になる。
請求項記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1項記載の発明において、前記第3及び第4のアームの支軸に対して与えられる逆位相の回転動力の大きさが同一であることを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、より完全にキャリアの回転を阻止することが可能になる。
請求項記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1項記載の発明において、前記姿勢制御機構が、前記第3及び第4のアームの支軸間において逆位相の回転動力を伝達する逆位相動力伝達機構を有することを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、簡素な構成で確実に第3及び第4のアームの支軸間において逆位相の回転動力を伝達することが可能になる。
請求項記載の発明は、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の搬送装置を用いて真空処理槽内の搬送を行うように構成されていることを特徴とする真空処理装置である。
請求項記載の発明によれば、小型で処理対象物の搬送速度の大きい真空処理装置を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る搬送装置の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る搬送装置の第1の実施の形態の構成を示す平面図である。
図1に示すように、本実施の形態の搬送装置1は、例えば真空処理槽(図示せず)内における処理対象物の搬送を行うもので、同心状に配設した第1及び第2の駆動軸11、12を有し、これら各駆動軸11、12は、独立した第1及び第2の駆動源M1、M2からそれぞれ時計回り方向又は反時計回り方向の回転動力が伝達されるように構成されている。
【0021】
第1の駆動軸11には第1のアーム21が固定され、第2の駆動軸12には、第2のアーム22が固定されている。
【0022】
第1及び第2のアーム21、22の先端部には、例えば軸受け(図示せず)を用いて第3及び第4のアーム23、24が、支軸23a、24aを中心としてそれぞれ回転自在に取り付けられている。
【0023】
これら第3及び第4のアーム23、24は、その先端部が、後述する姿勢制御機構を有する関節機構部3に取り付けられている。
【0024】
なお、本実施の形態においては、第1〜第4のアーム21〜24の長さ(回転軸間の距離)が、全て同一の長さに設定されている。以下、第1〜第4のアーム21〜24全体を適宜アーム20と総称する。
【0025】
また、本実施の形態においては、第2のアーム22と第3のアーム23との間に後述する動力伝達機構8が設けられている。
【0026】
図2(a)は、本実施の形態の関節機構部における姿勢制御機構の構成を示す側断面図、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面を示す構成図、図2(c)は、図2(a)のB−B線断面を示す構成図である。
【0027】
図1及び図2(a)に示すように、関節機構部3は箱状の本体部30を有し、この本体部30には、半導体ウェハ2を載置するためのキャリア31が取り付けられている。
【0028】
本実施の形態の場合は、本体部30に対して第1及び第2の駆動軸11、12側に第1のキャリア31aが設けられるとともに、本体部30を挟んで180度回転対称側に第2のキャリア31bが設けられ、これにより2枚の半導体ウェハ2を同時に載置できるようになっている。
【0029】
そして、本実施の形態においては、関節機構部3の本体部30内に、以下に説明する姿勢制御機構4が配設されている。
【0030】
図2(a)に示すように、この姿勢制御機構4は、円筒状の第1〜第3の拘束プーリ41、42、43を備えている。
【0031】
第1の拘束プーリ41は、上記第3のアーム23の第1のアーム21に連結された側の端部と反対側の端部に固定され、本体部30の例えば上部に設けられた支軸33aを中心として回転するように構成されている。そして、この第1の拘束プーリ41によって、第3のアーム23は、後述する搬送ラインLを含む平面と平行に回転するようになっている。
【0032】
また、第2の拘束プーリ42は、第4のアーム24の第2のアーム22に連結された側の端部と反対側の端部に固定され、本体部30の例えば下部に設けられた支軸34aを中心として回転するように構成されている。そして、この第2の拘束プーリ42によって、第4のアーム24は、搬送ラインLを含む平面と平行に回転するようになっている。
【0033】
そして、これら第1及び第2の拘束プーリ4142は、回転軸O1が同心となるように配置されている。
【0034】
さらに、第3の拘束プーリ43は、本体部30内において、第1及び第2の拘束プーリ41、42と所定の距離だけ離れた位置に、支軸35aを中心として回転するように構成されている。
【0035】
ここで、第3の拘束プーリ43の回転軸O2は、上記第1及び第2の拘束プーリ41、42の回転軸O1と平行になるように構成されている。
【0036】
また、第1〜第3の拘束プーリ41、42、43の直径は、いずれも同一となるように設定されている。
【0037】
また、図2(a)(b)に示すように、第1の拘束プーリ41と第3の拘束プーリ43に対して拘束ベルト44が巻き掛けられるとともに、第1及び第3の拘束プーリ41、43上において例えば止めねじ45を用いて拘束ベルト44を第1及び第3の拘束プーリ41、43に対して固定するように構成されている。そして、このような構成により、第1の拘束プーリ41と第3の拘束プーリ43との間において、同位相で回転動力が伝達されるようになっている。
【0038】
一方、図2(a)(c)に示すように、第2及び第3の拘束プーリ42、43については、一対の拘束ベルト46、47を8の字状にたすき掛けし、第2及び第3の拘束プーリ42、43上において例えば止めねじ48を用いて拘束ベルト46、47を第2及び第3の拘束プーリ42、43に対して固定するように構成されている。
【0039】
そして、このような構成を有する逆位相動力伝達機構40により、第2の拘束プーリ42と第3の拘束プーリ43との間において、逆位相で回転動力が伝達されるようになっている。
【0040】
本実施の形態において第3のアーム23を所定の方向に角度θだけ回転すると、その回転動力は、第1の拘束プーリ41及び拘束ベルト44を介して同位相で第3の拘束プーリ43に伝達され、さらに、第3の拘束プーリ43の回転動力は、拘束ベルト46、47を介して位相を逆転させて第2拘束プーリ42に伝達される。その結果、第2拘束プーリ42に固定された第4のアーム24は、第3のアーム23と逆方向に角度θだけ回転することになる。
【0041】
一方、図1に示すように、動力伝達機構8は、第2のアーム22の回転軸である第2の駆動軸12に対して同心状に第1の伝達ギア(駆動ギア)81が固定されており、また、第3のアーム23の回転軸である支軸23aに対して同心状に第2の伝達ギア(従動ギア)82が固定されている。
【0042】
さらに、第1のアーム21には、第1の伝達ギア81と噛み合う第3の伝達ギア(駆動伝達ギア)83と、第2の伝達ギア82と噛み合う第4の伝達ギア(従動伝達ギア)84が、それぞれ回転可能に取り付けられている。
【0043】
これら第1〜第4の伝達ギア81〜84は、それぞれ歯数及び径が同一のものが用いられている。
【0044】
さらに、第3の伝達ギア83と第4の伝達ギア84が同位相で回転するように、一対の棒状のリンク部材85、86が第3及び第4の伝達ギア83、84に取り付けられている。
【0045】
そして、このような構成を有する動力伝達機構8により、第2のアーム22を駆動するための第2の駆動軸12の回転動力が、同位相で第3のアーム23に伝達されるようになっている。
【0046】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
【0047】
まず、第1のアーム21と第2のアーム22の開き角が180度の状態、即ち死点位置にある状態から、第1のアーム21と第2のアーム22の開き角が小さくなるように第1の駆動軸11と第2の駆動軸12を逆方向に所定の角度θだけ回転させると、第1のアーム21と第2のアーム22は、それぞれ逆方向に同一の角度θだけ回転する。
【0048】
ここで、第1〜第4のアーム21〜24は、リンク機構を構成しており、また、第1〜第4のアーム21〜24はアーム長が等しいので、この回転に伴い、第3のアーム23は第1の拘束プーリ41の支軸33aを中心として所定の角度θだけ回転し、第4のアーム24は、第2の拘束プーリ42の支軸34aを中心として第3のアーム23と反対方向へ角度θだけ回転する。
【0049】
その結果、これら第1及び第2の拘束プーリ41、42の支軸33a、34aは、第1及び第2の駆動軸11、12の中心と上記支軸33a、34aの中心を結ぶ直線(以下「搬送ライン」という。)L上を移動する(図1参照)。
【0050】
この場合、上述したように、第3のアーム23と第4のアーム24は、逆位相で同一の角度θだけ回転しているので、関節機構部3の本体部30が支軸33a、34aを中心として回転してしまうことはない。したがって、関節機構部3の本体部30に取り付けたキャリア31は、搬送ラインL上を直進性良く移動する。
【0051】
これに対し、キャリア31を元の位置に戻す場合には、第1の駆動軸11と第2の駆動軸12を上記方向と逆方向に所定の角度θだけ回転させる。これにより、上述した動作と反対の動作が行われ、第1のアーム21と第2のアーム22が死点位置に戻る。
【0052】
他方、第1の駆動軸11と第2の駆動軸12を同じ方向へ回転させた場合には、キャリア31は、第1の駆動軸11及び第2の駆動軸12を中心として同方向に回転する。
【0053】
次に、本実施の形態においてキャリア31が死点位置を通過するときの動作について説明する。
ここでは、第1のアーム21と第2のアーム22の開き角が死点位置における180度から少し小さくなった状態を考える。
【0054】
この状態において、第1のアーム21と第2のアーム22の開き角が大きくなるように、第1の駆動軸11を所定の方向に角度θだけ回転させ、第2の駆動軸12をこれと逆方向に角度θだけ回転させる。
【0055】
その際、第3のアーム23と第4のアーム24は、相互に逆方向の回転動力が与えられており、また、第3のアーム23の第1のアーム21に対する回転角と、第4のアーム24の第2のアーム22に対する回転角の大きさは、それぞれ第1のアーム21と第2のアーム22の回転角の大きさの2倍であるため、第3のアーム23及び第4のアーム24が第1のアーム21と第2のアーム22に対して回転移動することになり、その結果、キャリア31は円滑に死点位置を通過する。
【0056】
図3(a)〜(d)及び図4(e)〜(g)は、本実施の形態を用い、真空処理槽内において処理済みの半導体ウェハを未処理の半導体ウェハと入れ替える動作を示す説明図である。
【0057】
ここでは、図3(a)に示すように、第1のキャリア31a上に未処理の半導体ウェハ2aがあり、第2のキャリア31b上には半導体ウェハ2がない状態を考える。
【0058】
まず、第1〜第4のアーム21〜24を死点位置に配置した状態で旋回させることにより、第2のキャリア31bを、真空処理槽(図示せず)内の所定の位置に配置された処理済みの半導体ウェハ2の方向に向ける。
【0059】
次いで、図3(b)に示すように、アーム20を伸ばして第2のキャリア31bをウェハ受け渡し位置50に移動させ、さらに、図3(c)に示すように、処理済みの半導体ウェハ2を第2のキャリア31b上に載せてアーム20を初期位置に戻す。この状態では第1及び第2のキャリア31a、31b上に半導体ウェハ2が載置されている。
【0060】
そして、図3(d)及び図4(e)に示すように、アーム20を180度旋回させ、第1のキャリア31aをウェハ受け渡し位置50に向け、アーム20を伸ばして第1のキャリア31aをウェハ受け渡し位置50に移動させる。
【0061】
その後、図4(f)に示すように、第1のキャリア31a上にある未処理の半導体ウェハ2aを受け渡し、さらに、図4(g)に示すように、第1のキャリア31aを初期位置に戻す。
【0062】
以上述べたように本実施の形態によれば、第1及び第2のアーム21、22の駆動軸11、12が同心状に配設されていることから、第1〜第4のアーム21〜24を死点位置に配置した状態における最小旋回半径を従来技術に比べて小さくすることが可能になる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、第3及び第4のアーム23、24の他端部における支軸33a、34aも同心状に配設されていることから、アーム長を変化させるための複雑な補正機構を用いることなく第3及び第4のアーム23、24に駆動軸11、12の回転動力を与えることができ、その結果、簡素な構成で第1〜第4のアーム21〜24の動作速度を速くすることができる。
【0064】
しかも、本実施の形態にあっては、第3及び第4のアーム23、24の他端部における支軸33a、34aに対して互いに逆位相の回転動力を伝達するように構成されていることから、関節機構部3の本体部30に取り付けたキャリア31を回転させずに所定の搬送ラインLに沿って直進性良く移動させることができ、また、死点位置近傍においてもキャリア31を円滑に移動させることができる。
【0065】
さらに、本実施の形態によれば、動力伝達機構8によって駆動源M1、M2の動力が効率良く各アーム21〜24に伝達されるので、より円滑かつ高速で動作させることが可能になる。
【0066】
図5は、本実施の形態における姿勢制御機構の他の例を示す断面図である。
図5に示すように、本例においては、上述した第3のアーム23の第1のアーム21に連結された側の端部と反対側の端部に第1のベベルギア51が固定され、この第1のベベルギア51は本体部30の例えば上部に設けられた支軸33aを中心として回転するように構成されている。そして、この第1のベベルギア51によって、第3のアーム23は、搬送ラインLを含む平面と平行に回転するようになっている。
【0067】
また、第4のアーム24の第2のアーム22に連結された側の端部と反対側の端部に第2のベベルギア52が固定され、この第2のベベルギア52は本体部30の例えば下部に設けられた支軸34aを中心として回転するように構成されている。そして、この第2のベベルギア52によって、第4のアーム24は、搬送ラインLを含む平面と平行に回転するようになっている。
【0068】
そして、これら第1及び第2のベベルギア51、52は、回転中心軸Oが同心となるように配置されている。
【0069】
さらに、本体部30の例えば内壁部30aには、上記支軸33a、34aと直交する支軸36aを中心として回転可能な第3のベベルギア53が設けられ、この第3のベベルギア53は、上述した第1及び第2のベベルギア51、52と噛み合うように構成されている。
【0070】
そして、このような構成により、第3のアーム23と第4のアーム24との間において、逆位相で回転動力が伝達されるようになっている。
【0071】
本例においても、関節機構部3の本体部30が支軸33a、34aを中心として回転してしまうことはないので、関節機構部3の本体部30に取り付けたキャリア31を、搬送ラインL上を直進性良く移動させることができる。
【0072】
図6は、本実施の形態における姿勢制御機構の更に他の例を示す断面図である。
図6に示すように、本例においては、図5に示すベベルギア51〜53の代わりに、第1及び第2のクラウンギア61、62とピニオンギア63を組み合わせることによって、第3のアーム23と第4のアーム24との間において逆位相で回転動力を伝達するように構成されている。
【0073】
本例においても、関節機構部3の本体部30が支軸33a、34aを中心として回転してしまうことはないので、関節機構部3の本体部30に取り付けたキャリア31を、搬送ラインL上を直進性良く移動させることができる。
【0074】
図7(a)〜(c)は、本実施の形態における姿勢制御機構の更に他の例を示す断面図である。
図7(a)〜(c)に示すように、本例においては、上述した第3のアーム23の第1のアーム21に連結された側の端部と反対側の端部に第1の平ギア71が固定され、この第1の平ギア71は本体部30の例えば上部に設けられた支軸33aを中心として回転するように構成されている。そして、この第1の平ギア71によって、第3のアーム23は、搬送ラインLを含む平面と平行に回転するようになっている。
【0075】
また、第4のアーム24の第2のアーム22に連結された側の端部と反対側の端部に第2の平ギア72が固定され、この第2の平ギア72は本体部30の例えば下部に設けられた支軸34aを中心として回転するように構成されている。そして、この第2の平ギア72によって、第4のアーム24は、搬送ラインLを含む平面と平行に回転するようになっている。
【0076】
そして、これら第1及び第2の平ギア71、72は、回転中心軸Oが同心となるように配置されている。
【0077】
さらに、本体部30の上部に第1の平ギア71と噛み合う第3の平ギア73が設けられるとともに、本体部30の下部に上記第2の平ギア72及び第3の平ギア73とそれぞれ噛み合う第4の平ギア74が設けられている。
【0078】
そして、これら第1〜第4の平ギア71〜74の噛み合いにより、第3のアーム23と第4のアーム24との間において、逆位相で回転動力が伝達されるようになっている。
【0079】
本例においても、関節機構部3の本体部30が支軸33a、34aを中心として回転してしまうことはないので、関節機構部3の本体部30に取り付けたキャリア31を、搬送ラインL上を直進性良く移動させることができる。
【0080】
図8は、本発明の他の実施の形態の構成を示す平面図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分については同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0081】
図8に示すように、本実施の形態においては、第1〜第4の伝達ギア81〜84の代わりに各々第1〜第4の伝達プーリ81A〜84Aが設けられている。
【0082】
そして、第1の伝達プーリ(駆動プーリ)81Aと第3の伝達プーリ(駆動伝達プーリ)83Aとに動力伝達ベルト87が8字状に巻き掛けられるとともに、第2の伝達プーリ(従動プーリ)82Aと第4の伝達プーリ(従動伝達プーリ)84Aとには動力伝達ベルト88が8字状に巻き掛けられている。
【0083】
さらに、第3の伝達プーリ83Aと第4の伝達プーリ84Aが同位相で回転するように、一対の棒状のリンク部材85、86が第3及び第4の伝達プーリ83A、84Aに取り付けられている。
【0084】
そして、このような構成を有する動力伝達機構8Aにより、第2のアーム22を駆動するための第2の駆動軸12の回転動力が、同位相で第3のアーム23に伝達されるようになっている。
【0085】
本実施の形態においても、動力伝達機構8Aによって駆動源M1、M2の動力が効率良く第1〜第4のアーム21〜24に伝達されるので、より円滑かつ高速で動作させることが可能になるとともに、プーリとベルトを用いているので、バックラッシュがなく、安定した動作が可能になる。
【0086】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述した姿勢制御機構のプーリとベルトの代わりにスプロケットとチェーンを用いることも可能である。
【0087】
また、上述した実施の形態では、第2のアームと第3のアームとの間に動力伝達機構を設けるようにしたが、第1のアームと第4のアームの間にも同様の動力伝達機構を設けることもできる。
【0088】
さらに、第1の実施の形態では、リンク部材を用いて第1のギアと第2のギアを同位相で駆動させるようにしたが、ギア列のみでこれらを同位相で駆動させるように構成することも可能である。
ただし、バックラッシュを小さくするという点からは、上記実施の形態のようにリンク部材を用いて第1及び第2の伝達ギアを同位相で駆動させることが好ましい。
【0089】
さらにまた、本発明の搬送装置は例えば真空処理装置を始めとして種々の装置に用いることができ、本発明の範囲を逸脱しない限り、適宜変更することができるものである。
【0090】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、簡素な構成で旋回半径を小さくすることができ、しかも搬送速度が大きい搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る搬送装置の第1の実施の形態の構成を示す平面図
【図2】(a):同実施の形態の関節機構部における姿勢制御機構の構成を示す側断面図
(b):図2(a)のA−A線断面を示す構成図
(c):図2(a)のB−B線断面を示す構成図
【図3】(a)〜(d):同実施の形態を用い、真空処理槽内において処理済みの半導体ウェハを未処理の半導体ウェハと入れ替える動作を示す説明図(その1)
【図4】(e)〜(g):同実施の形態を用い、真空処理槽内において処理済みの半導体ウェハを未処理の半導体ウェハと入れ替える動作を示す説明図(その2)
【図5】 同実施の形態における姿勢制御機構の他の例を示す断面図
【図6】 同実施の形態における姿勢制御機構の更に他の例を示す断面図
【図7】(a)〜(c):同実施の形態における姿勢制御機構の更に他の例を示す断面図
【図8】 本発明に係る搬送装置の第2の実施の形態の構成を示す平面図
【図9】 従来の搬送装置の要部構成を示す平面図
【符号の説明】
1…搬送装置 2…半導体ウェハ 3…関節機構部 4…姿勢制御機構 8…動力伝達機構 11…第1の駆動軸 12…第2の駆動軸 20…アーム 21…第1のアーム 22…第2のアーム 23…第3のアーム 24…第4のアーム 33a、33b…支軸 40…逆位相動力伝達機構 41…第1の拘束プーリ 42…第2の拘束プーリ 43…第3の拘束プーリ 44、46、47…拘束ベルト 81…第1の伝達ギア(駆動ギア) 81A…第1の伝達プーリ(駆動プーリ) 82…第2の伝達ギア(従動ギア) 82A…第2の伝達プーリ(従動プーリ) 83…第3の伝達ギア(駆動伝達ギア)、83A…第3の伝達プーリ(駆動伝達プーリ) 84…第4の伝達ギア(従動伝達ギア) 84A…第4の伝達プーリ(従動伝達プーリ) 85、86…リンク部材

Claims (6)

  1. 一端部に駆動軸を有し、該駆動軸が同心状に配設された第1及び第2のアームと、
    前記第1及び第2のアームの他端部に、当該一端部が回転可能に連結された第3及び第4のアームと、
    前記第1又は第2のアームの駆動軸の回転動力を前記第3又は第4のアームに伝達するための動力伝達機構と、
    前記第3及び第4のアームの他端部に設けられた支軸を同心状に配設するとともに、当該支軸に対して互いに逆位相の回転動力を与えるように構成された姿勢制御機構を有する関節機構部とを備え
    前記動力伝達機構は、前記第1又は第2のアームの駆動軸に固定された駆動ギアと、前記第3又は第4のアームの一端部の支軸に固定された従動ギアと、前記第1又は第2のアームに回転可能に取り付けられ前記駆動ギアと噛み合う駆動伝達ギアと、前記第1又は第2のアームに回転可能に取り付けられ前記従動ギアと噛み合う従動伝達ギアとを有し、前記駆動伝達ギアと前記従動伝達ギアとを同位相で回転させるための一対の棒状のリンク部材が、当該駆動伝達ギア及び当該従動伝達ギアに取り付けられていることを特徴とする搬送装置。
  2. 前記動力伝達機構は、前記第1又は第2のアームの駆動軸に固定された駆動プーリと、前記第3又は第4のアームの一端部の支軸に固定された従動プーリと、前記第1又は第2のアームに回転可能に取り付けられた駆動伝達プーリ及び従動伝達プーリとを有し、前記駆動プーリと前記駆動伝達プーリとに動力伝達ベルトが8字状に巻き掛けられるとともに、前記従動プーリと前記従動伝達プーリとに動力伝達ベルトが8字状に巻き掛けられ、さらに、前記駆動伝達プーリと前記従動伝達プーリとを同位相で回転させるための一対の棒状のリンク部材が、当該駆動伝達プーリ及び当該従動伝達プーリに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
  3. 前記第1、第2、第3及び第4のアームのアーム長が同一であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の搬送装置。
  4. 前記第3及び第4のアームの支軸に対して与えられる逆位相の回転動力の大きさが同一であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の搬送装置。
  5. 前記姿勢制御機構は、前記第3及び第4のアームの支軸間において逆位相の回転動力を伝達する逆位相動力伝達機構を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の搬送装置。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の搬送装置を用いて真空処理槽内の搬送を行うように構成されていることを特徴とする真空処理装置。
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