JP4462747B2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、点火コイルの一次巻線に供給される一次電流の断続により二次コイルに発生する点火用高電圧を点火プラグに印加して、点火プラグにて火花放電を発生させ、混合気を燃焼させる内燃機関用点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関において、混合気の正常な燃焼を得るために必要な火花エネルギの大きさは、内燃機関の種類によってはもちろん、エンジン回転数やエンジン負荷などの運転状態によって異なることが知られている。ここで、火花エネルギは、火花放電で流れる放電電流の大きさおよび火花放電の継続時間として表すことができる。
【0003】
例えば、アイドリング運転等の低回転低負荷時では、燃焼室への混合気の充填量は少なく、混合気の乱流(スワール流やタンブル流)の流速も遅いため、混合気の燃焼は非常に緩慢に進む。したがって、低回転低負荷時に安定した燃焼を得るためには、火花エネルギを大きくして、混合気の燃焼を助ける必要がある。一方、高回転高負荷時では、燃焼室への混合気の密度が高く、また、混合気の乱流の流速も速いため燃料が均一に撹拌されることから、比較的小さい火花エネルギで充分である。
【0004】
また、混合気の空燃比が異なる場合においても、必要な火花エネルギの大きさは異なり、例えば、リーンバーンエンジン等で行われる、空燃比20以上の希薄空燃比での運転時には、燃料の密度が低く混合気への着火性が悪くなるため、火花エネルギを大きくする必要がある。
【0005】
このため、従来の内燃機関用点火装置では、火花エネルギが不足することのないよう、内燃機関の様々な運転状態の中で必要とされる最大の火花エネルギを供給できるようにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、こうした従来の点火装置では、必要最大の火花エネルギより少ない火花エネルギで運転可能な状態(例えば、高回転高負荷時)では、火花エネルギの供給が過剰になり、この過剰分は混合気への着火性に良好な影響をもたらすことがなく、点火プラグの電極消耗を早めてしまう。さらに、別の問題として、内燃機関では高回転高負荷となる運転条件下ほど、また希薄空燃比で燃焼を行うほど、混合気の乱流の流速が速くなるが故に、火花エネルギが低下する火花放電の後半時において、火花が流速下流に流されて、やがて火花放電が遮断され、再度発生するといった現象(多重放電)を引き起こし易い。このような現象下では、火花が流速下流に集中し、かつ電極温度が急激に上昇することから、点火プラグの電極の溶融やスパッタリングが促進され、特に流速下流側の電極ばかりが消耗する、所謂偏消耗が発生し、点火プラグの寿命を無駄に縮めてしまうことに繋がる。
【0007】
一方、近年、内燃機関用点火装置では、点火プラグに点火用高電圧を印加するために点火コイルの一次巻線への通電・非通電を切り換えるスイッチとして、パワートランジスタ等の半導体素子からなるスイッチング素子を使用する、所謂フルトランジスタ型の点火装置が一般的になっている。そして、こうしたフルトランジスタ型の点火装置では、内燃機関の運転状態に応じて、火花放電(点火時期)前の一次巻線への通電時間を制御(換言すれば、スイッチング素子の駆動時間を制御)することにより、火花エネルギとして用いるために点火コイルに蓄積する磁束エネルギを混合気の燃焼に必要な量に制御することができる。
【0008】
しかし、火花放電前の点火コイルの一次巻線への通電時間を短くした場合、点火コイルに蓄積される磁束エネルギが小さくなるので、スイッチング素子による一次電流の断続によって二次巻線に発生する点火用高電圧も低くなってしまう。この結果、上記のような通電時間の制御では、例えば、内燃機関の高回転高負荷時のように、火花エネルギは比較的小さくてもよいが、火花放電を発生させるために必要な電圧が高くなる運転条件下においては、二次巻線に発生する点火用高電圧が低下してしまい失火を招く虞がある。
【0009】
そこで、本出願の発明者は、特願平11−41717号にて示すように、火花放電前の点火コイルの一次巻線への通電時間を制御するのではなく、火花放電遮断用スイッチング手段を用いて火花放電中に再度一次巻線への通電を行うことで、火花放電を強制的に遮断する内燃機関用点火装置を発明した。そして、この内燃機関用点火装置によれば、一次巻線への断続により二次巻線に発生する点火用高電圧の電圧値を低下させることなく、内燃機関の運転状態に適した火花放電継続時間で火花放電を遮断することで、火花エネルギを最適な値に制御することが可能となる。
【0010】
なお、このように火花放電を遮断するために一次電流を再通電した後、その再通電による一次電流が継続して流れると、火花放電遮断用スイッチング手段の発熱量が大きくなり、また、無駄な電力を消費することになるため、通電を停止することが望ましい。しかし、再通電により一次巻線に流れる一次電流を急激に遮断した場合、再び火花放電が発生してしまい、内燃機関の運転に支障を来してしまうおそれがある。
【0011】
そこで、特願平11−41717号では、再通電により一次巻線に流れる一次電流を断続するにあたって、火花放電が発生しないように一次電流を減少させる電流調整手段として、例えば、コンデンサなどの容量素子を火花放電遮断用スイッチング手段に直列接続させることで、不必要な火花放電の発生や無駄な電力消費を抑えることができる。
【0012】
但し、一般に内燃機関用点火装置においては、内燃機関の始動時や発電器のトラブルなどの影響によって電源装置が出力する電源電圧が変動することがあり、電源電圧が変動すると点火コイルに蓄積される磁束エネルギが変化することになる。つまり、例えば、内燃機関に備えられた電源装置が出力する電源電圧が定格値よりも上昇した場合、通常よりも大きな一次電流が一次巻線に流れることになり、点火コイルに過剰な磁束エネルギが蓄積されることになる。
【0013】
そのために、特願平11ー41717号に示された点火装置では、点火コイルに過剰な磁束エネルギが蓄積されることがあると、火花放電の遮断を行うときに点火コイルに残されている過剰な磁束エネルギにより、火花放電遮断用スイッチング手段に過電流が流れ、当該火花放電遮断用スイッチング手段にかかる負荷が増大し、耐久性を低下させる他、電流調整手段としてのコンデンサに過剰な電荷が蓄積され、最悪の場合、コンデンサが破損してしまう虞がある。このように、電流調整手段が破損すると再通電による一次電流は急激に遮断され、一回の内燃機関の燃焼行程中に複数の火花放電が発生し、点火プラグの電極消耗を促進させてしまう他、火花放電遮断用スイッチング手段の耐久性低下に伴う装置自体の信頼性を損ねる虞がある。
【0014】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、火花放電前の点火コイルの一次巻線への通電時間を制御することなく、点火プラグに供給する火花エネルギを必要最小限に設定して点火プラグの無駄な消耗を抑え、また、点火コイルに蓄積される磁束エネルギの変動による構成機器の破損を防ぐことが可能な内燃機関用点火装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、直流電源装置と、この直流電源装置により電源電圧が印加されることで一次電流が流れる一次巻線と、内燃機関に装着された点火プラグと閉ループを形成する二次巻線とを有する点火コイルと、一次巻線に直列接続され、一次巻線に流れる一次電流を断続するためのスイッチング手段と、点火時期を制御する点火指令信号を出力し、スイッチング手段にて一次巻線に流れる一次電流を断続して二次巻線に点火用高電圧を発生させ、点火プラグに火花放電を発生させる点火制御手段と、を備えた内燃機関用点火装置であって、内燃機関の運転状態に基づいて、点火プラグにおける火花放電継続時間を設定する火花放電継続時間設定手段と、火花放電継続時間を制御する火花放電遮断指令信号を出力する火花放電遮断制御手段と、点火プラグにて火花放電が発生してから、火花放電遮断指令信号に従い一次巻線に一次電流を再通電し、この火花放電を遮断させる火花放電遮断用回路と、を備えるとともに、さらに、点火制御手段による一次巻線への通電によって点火コイルに蓄積される磁束エネルギをほぼ一定に維持するエネルギ制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
このように構成された本発明の内燃機関用点火装置は、火花放電継続時間設定手段が内燃機関の運転状態に基づいて混合気を燃焼させるのに必要な火花放電継続時間を設定し、火花放電遮断制御手段が火花放電継続時間に応じて火花放電遮断指令信号を制御している。そして、火花放電遮断指令信号に従い、火花放電遮断用回路を作動させ、一次巻線に一次電流を再通電することで点火プラグの火花放電を強制的に遮断する。
【0017】
つまり、本発明の内燃機関用点火装置は、一次巻線への一次電流の再通電により火花放電を強制的に遮断して火花放電継続時間を制御することで、点火プラグに供給される火花エネルギを内燃機関の運転状態に応じて制御している。なお、火花放電中に一次電流を再通電することにより、二次巻線で発生した起電力の消費に伴い低下する磁束が再び増えようとするため、点火コイルは磁束が低下する状態を維持する方向に起電力を発生(すなわち、火花放電時とは逆極性の電圧が発生)し、火花放電が遮断される。
【0018】
このため、本発明の内燃機関用点火装置によれば、火花放電前の一次巻線への通電時間を長く設定して十分な磁束エネルギを点火コイルに蓄積することで、内燃機関のあらゆる運転条件下で確実に火花放電を発生できる電圧値を有する点火用高電圧を二次巻線に発生できると共に、さらに、火花放電継続時間を内燃機関の運転状態に応じて制御することで点火プラグに過剰な火花エネルギが供給されるのを防ぐことができる。
【0019】
ここで、内燃機関の高回転高負荷時のように、火花エネルギが少なくてよい運転条件下では、火花放電継続時間を短く制御することにより、高い点火用高電圧にて点火プラグを確実に火花放電させつつ、点火プラグへの火花エネルギの過剰な供給を抑え、多重放電の発生を抑制することができる。逆に、内燃機関の低回転低負荷時のように、混合気が着火しにくい運転条件下では、火花放電継続時間を長く制御して、混合気を確実に燃焼させることができる。つまり、内燃機関の運転状態に基づき、火花放電継続時間を最適に制御することにより、多重放電の発生、点火プラグの電極の消耗を抑え、点火プラグの寿命を延ばすことができ、また失火の発生を抑えることもできる。
【0020】
なお、本発明の内燃機関用点火装置では、点火プラグの火花放電を強制的に遮断するにあたり、火花放電継続時間を制御する火花放電遮断指令信号に従い、火花放電遮断用回路を作動させている。この火花放電遮断用回路は、具体的には、請求項2に示すように、火花放電遮断指令信号に従い一次巻線に一次電流を再通電する火花放電遮断用スイッチング手段と、この火花放電遮断用スイッチング手段に直列接続され、一次巻線への再通電が開始されてから点火プラグに火花放電が発生しないように該一次巻線に流れる一次電流を減少させる電流調整手段とを有し、一次巻線に流れる一次電流を断続する前記スイッチング手段に並列接続される再通電用回路、を備えることにより構成することができる。
【0021】
このように、点火プラグの火花放電を強制的に遮断するにあたり、火花放電遮断指令信号に従い、再通電用回路を構成する火花放電遮断用スイッチング手段をスイッチング駆動させ、一次巻線に再通電を行っている。そして、再通電により一次巻線に流れる一次電流については瞬時に遮断されるのではなく、再通電用回路を構成する電流調整用手段により、点火プラグにて火花放電が発生しないように減少させている。つまり、電流調整手段により、点火プラグの火花放電を遮断するために一次巻線への再通電を開始した後、火花放電が発生しないように再通電時の一次電流を緩やかに減少させ、再通電停止時に二次巻線に高電圧が発生するのを防止している。
また、請求項3に示すように、電流調整手段は、一次巻線とスイッチング手段との接続端から火花放電遮断用スイッチング手段までの通電経路上に備えられており、再通電用回路は、電流調整手段と一次巻線との間に直列接続される抵抗と、アノードが抵抗と一次巻線との接続端に接続され、カソードが抵抗と電流調整手段との接続端に接続されて抵抗と並列接続されるダイオードと、を備える、という構成としてもよい。
【0022】
なお、火花放電遮断用回路としては、上述の再通電用回路を構成する以外に、一次巻線の両端にサイリスタや機械式のリレーといったスイッチング素子を並列接続し、火花放電継続時間を制御する火花放電遮断指令信号に従って、このスイッチング素子により一次巻線の両端を短絡させて、一次巻線を再通電するといった構成を図ってもよい。
【0023】
また、本発明の内燃機関用点火装置では、エネルギ制御手段が、点火制御手段による一次巻線への通電によって、点火コイルに蓄積される磁束エネルギをほぼ一定に維持させるようにしている。これにより、主に電源電圧の変動に起因して点火コイルに蓄積される磁束エネルギが変動する場合にあっても、エネルギ制御手段が点火コイルに蓄積される磁束エネルギがほぼ一定に維持し得るので、火花放電遮断時に点火コイルに過剰な磁束エネルギが蓄積されて火花放電遮断用回路を構成する火花放電遮断用スイッチング手段等の構成機器を破損させたり、耐久性を低下させたりすることがなく、装置自体の信頼性を高めることができる。
【0024】
したがって、本発明(請求項1)に記載の内燃機関用点火装置によれば、内燃機関の運転状態に基づく火花放電遮断により点火プラグへの火花エネルギを制御することで、点火プラグの無駄な電極消耗を抑えることができ、また点火制御手段による一次巻線への通電時に点火コイルに過剰な磁束エネルギが蓄積されることがないので、火花放電遮断を行うための火花放電遮断用回路の構成機器が破損してしまうといったことを防ぐことができる。そして、火花放電遮断指令信号に従い作動する火花放電遮断用回路と、エネルギ制御手段とを組み合わせることによって、点火コイルに蓄積される磁束エネルギの変動による影響を抑え、点火プラグにおける火花放電を内燃機関の運転状態に基づいて遮断する動作をより確実に行うことが可能となり、装置自体の信頼性を向上させることができる。
【0025】
なお、本発明の内燃機関用点火装置において、点火コイルに蓄積される磁束エネルギをほぼ一定に維持するエネルギ制御手段は、具体的には請求項4に示すように、直流電源装置から出力される電源電圧値を検出し、該電源電圧値に基づき一次巻線への通電開始を遅らせるための通電開始遅延時間を設定するとともに、点火制御手段による該一次巻線への通電開始時期を該通電開始遅延時間だけ遅らせる通電開始時期遅延手段、を備えることにより構成することができる。つまり、本発明の内燃機関用点火装置では、内燃機関の運転状態に応じて出力される点火指令信号が出力されたときに単に一次巻線への通電を開始するのではなく、直流電源装置から出力される電源電圧値に応じて、火花放電前の一次巻線への通電開始時期を遅延させる制御を行うように、エネルギ制御手段は構成されているのである。
【0026】
こうした通電開始時期遅延手段を実現するには、点火制御手段による点火指令信号の制御に拘わらず、スイッチング手段をオフ状態に強制的に維持できればよく、例えば、スイッチング手段に入力される点火指令信号の状態を、スイッチング手段がオフ状態となるように、強制的に維持できればよい。そして、スイッチング手段をオン状態にするために点火制御手段から点火指令信号が出力された後、通電開始遅延時間が経過するまでの間、通電開始時期遅延手段は、点火指令信号の状態をスイッチング手段がオフ状態となる状態に強制的に加工するのである。これにより、通電開始時期遅延手段による加工後の点火指令信号がスイッチング手段に入力されることにより、スイッチング手段は点火制御手段から制御することができなくなり、点火制御手段による通電開始時期に一次巻線への通電が行われなくなる。
【0027】
そして、通電開始遅延時間が経過した後に、通電開始時期遅延手段がスイッチング手段に入力される点火指令信号の強制的な制御を停止すると、スイッチング手段は、点火制御手段によって制御可能となり、スイッチング手段は点火制御手段による制御に基づきオン状態となる。これにより、一次巻線への通電が開始されることになり、点火制御手段によって決定された通電開始時期から通電開始遅延時間が経過した後に、一次巻線への通電開始時期を遅延させることができる。
【0028】
これにより、この通電開始時期遅延手段は、電源電圧値に応じて通電開始遅延時間を設定することから、電源電圧が変動した場合でも、点火コイルに蓄積される磁束エネルギをほぼ一定に維持することが可能となる。
なお、通電開始遅延時間については、電源電圧値が高くなるほど長くなるように、逆に電源電圧値が低くなるほど短くなるように設定されているとよい。また、通電開始時期遅延手段は、一次巻線への通電開始時期のみを制御するものであり、一次電流の遮断時期、つまり点火時期を変更することはなく、点火時期は点火制御手段によって決定されるため、通電開始時期遅延手段を設けたことにより、点火時期に影響が及ぶことはない。
【0029】
ところで、点火制御手段は、例えば、CPU,RAM,ROM,入出力部を主体とするマイクロコンピュータ(以下、マイコンともいう)からなる主制御装置(ECU)の内部処理として実現するのが一般的である。そして、近年の内燃機関に備えられる主制御装置では、点火制御のみならず、内燃機関各部に設けられたセンサ(例えばクランク角センサ等)からの入力に基づき、燃料噴射量,空燃比,燃料噴射時期等の多くの制御処理を実行しており、主制御装置における内部処理の負荷はかなり高くなっている。
【0030】
このため、既存の各制御処理に加えて、火花放電を遮断するための一連の処理や一次巻線への通電開始時期を遅延させるための処理を主制御装置にて実行する場合、処理負荷が上昇して正常に各制御処理を実行できなくなる虞がある。
特に、気筒数が多い内燃機関においては、各気筒毎に独立して実行すべき制御処理が増加することになるため、さらに処理負荷が上昇することになる。
【0031】
そこで、複数の気筒を備える内燃機関に用いられる上述(請求項4)の内燃機関用点火装置は、請求項5に記載のように、各気筒に装着された点火プラグに対応して、点火コイル、スイッチング手段および火花放電遮断用回路とが、気筒毎に設けられ、点火制御手段は、火花放電継続時間設定手段を備える主制御装置であって、内燃機関の運転状態に基づいて、各気筒の点火時期と火花放電継続時間を設定し、点火時期に応じた基準点火指令信号を生成する主制御装置と、通電開始時期遅延手段と火花放電遮断制御手段を備える信号処理装置であって、主制御装置から出力された基準点火指令信号を入力し、この基準点火指令信号による一次巻線への通電開始時期を通電開始遅延時間だけ遅らせた形の点火指令信号としてスイッチング手段に出力すると共に、主制御装置にて設定された火花放電継続時間に基づき、火花放電遮断用回路に出力するための火花放電遮断指令信号を生成する信号処理装置と、を各々備えるとよい。
【0032】
つまり、主制御装置において内燃機関の運転状態に応じて基準点火指令信号を生成する処理を行い、信号処理装置において基準点火指令信号に基づきスイッチング手段に対して出力する点火指令信号を制御する処理を行うことで、火花放電を発生させるための処理を実行して火花放電を発生させるのである。
【0033】
また、主制御装置にて火花放電継続時間を設定する処理を行い、信号処理装置にて火花放電遮断用回路を制御するための処理を行うことで、火花放電を遮断するための処理を実行して、点火プラグへの供給エネルギを制御するのである。
このように、火花放電を発生させるための処理や火花放電を遮断するための処理を、主制御装置と信号処理装置とに分散して実行することで、主制御装置における処理負荷の上昇を抑制するのである。
【0034】
さらに、電源電圧の変動に応じて一次巻線への通電開始時期を遅延させるための処理を信号処理装置にて実行し、点火コイルに蓄積される磁束エネルギをほぼ一定に維持することで、主制御装置における処理負荷が上昇するのを抑えつつ、火花放電遮断用回路の構成機器を保護することができる。
【0035】
よって、本発明(請求項5)によれば、火花放電を発生させるための処理や火花放電を遮断するための処理を、主制御装置と点火駆動装置とに分散して実行するため、主制御装置における処理負荷の上昇を抑えることができ、主制御装置における各制御処理を正確に実行する事が可能となる。
【0036】
なお、信号処理装置は、基準点火指令信号を点火指令信号として直接スイッチング手段に出力する信号経路を備えるとともに、必要に応じて基準点火指令信号をスイッチング手段に出力する信号経路を遮断する信号遮断手段を備える構成とすることでも、一次電流の通電開始時期を遅延させることができる。つまり、信号遮断手段によって信号経路を遮断すれば、基準点火指令信号に応じて点火指令信号が出力されることが無くなり、基準点火指令信号による通電開始時期から通電開始遅延時間が経過した時点で信号経路を再び接続すれば、一次巻線への通電開始時期を遅延させることができる。
【0037】
また、このような信号処理装置であれば、何らかの原因により信号処理装置が正常動作しなくなった場合であっても、信号経路は接続状態であるから、主制御装置からの基準点火指令信号によりスイッチング手段を直接制御できるため、少なくとも火花放電を発生させることができ、内燃機関の運転を継続することが可能となる。
【0038】
ここで、上述のように主制御装置と信号処理装置とに分散して処理を行う場合、基準点火指令信号と火花放電継続時間を主制御装置から信号処理装置に通知するための配線(信号経路)をそれぞれ設ける必要がある。しかし、主制御装置および信号処理装置の実装効率を上げるためには、入力端子あるいは出力端子の数を少なくして占有面積を小さくすることが望ましい。
【0039】
そこで、主制御装置にて設定した火花放電継続時間を信号処理装置に通知するには、例えば、請求項6に記載のように、主制御装置は、火花放電継続時間設定手段にて設定した火花放電継続時間を信号処理装置に通知するために、基準点火指令信号の信号形態を点火時期を通知する形を維持しつつ火花放電継続時間の情報を含む形に変化させ、信号処理装置は、主制御装置から出力された基準用点火指令信号から火花放電継続時間を読み取り、この火花放電継続時間に基づき火花放電遮断指令信号を生成するとよい。
【0040】
つまり、主制御装置から信号処理装置に対して基準点火指令信号を通知するための信号経路のみを設けて、火花放電継続時間の情報を含む形に基準点火指令信号の信号形態を変化させることで、主制御装置から信号処理装置に対して点火時期とともに火花放電継続時間を通知するのである。なお、基準点火指令信号は、点火時期を通知する形を維持することから、火花放電継続時間を通知するために信号形態が変化することにより、信号処理装置に対して誤った点火時期が通知されることはない。
【0041】
これにより、主制御装置と信号処理装置との間に火花放電継続時間のみを通知するための配線を設ける必要がなくなり、入力端子あるいは出力端子の数を少なくすることができ、内燃機関用点火装置の構成を簡略化することができる。
なお、基準点火指令信号の信号形態を変化させるにあたっては、例えば、点火時期と火花放電前の一次電流通電時間とを表すパルス信号として基準点火指令信号を出力する場合においては、パルス信号のパルス幅を変化させることで火花放電継続時間を通知すると良い。つまり、通常の基準点火指令信号とはパルス幅が異なる通知用基準点火指令信号を用いて主制御装置から信号処理装置に対して火花放電継続時間を通知するのである。
【0042】
そして、例えば、通知用基準点火指令信号の連続出力回数に対応する火花放電継続時間、あるいはパルス幅の大きさに対応する火花放電継続時間に関する規則を予め定めておき、主制御装置は、この規則に従い通知用基準点火指令信号を用いて火花放電継続時間を信号処理装置に対して通知する。
【0043】
すると、信号処理装置では、火花放電遮断制御手段が、通知用点火指令信号の連続出力回数、あるいはパルス幅の大きさから火花放電継続時間を読みとるのである。このあと、火花放電遮断制御手段が、火花放電が発生してから火花放電継続時間が経過した時点で火花放電を強制的に遮断するのである。
【0044】
よって、本発明(請求項6)に記載の内燃機関用点火装置によれば、主制御装置と信号処理装置との間に火花放電継続時間のみを通知するための配線を設ける必要がなくなり、内燃機関用点火装置の構成を簡略化でき、実装効率を向上させることができる。
【0045】
なお、通知用点火指令信号のパルス幅については、火花放電前の一次電流通電時間に相当することから、過度に短くなると火花放電を発生できなくなる虞があるため、少なくとも火花放電が発生可能な最短の長さよりも長いパルス幅を設定することが望ましい。
【0046】
ところで、複数の気筒を備えた内燃機関では、各気筒のピストンは同一のクランク軸に連接されて往復運動することから、各気筒の火花放電発生時期(すなわち、点火時期)の順番は一定である。このように、複数備えられた各気筒の点火順序は予め定まることから、ある特定の気筒の点火時期を検出した後、全気筒の点火時期を表す信号が入力される毎に、予め定められた順番で各気筒に備えられた点火プラグに火花放電を発生させることで、内燃機関を運転することが可能となる。
【0047】
そこで、複数の気筒を備えた内燃機関に設けられる内燃機関用点火装置の信号処理装置は、請求項7に記載のように、少なくとも火花放電遮断制御手段としての処理と通電開始時期遅延手段としての処理とを実行する信号処理制御手段と、主制御装置が出力する気筒毎の基準点火指令信号のうちの1つを信号処理制御手段に入力する第1信号経路と、主制御装置が出力するすべての基準点火指令信号を合成して1つの合成点火指令信号として信号処理制御手段に入力する第2信号経路と、を備え、信号処理制御手段は、第1信号経路から基準点火指令信号が入力される時期を基準として、第2信号経路から合成点火指令信号が入力される毎に、予め定められた気筒順に点火指令信号を出力するとよい。
【0048】
つまり、信号処理装置内の信号処理制御手段には、第1信号経路を経由して特定の気筒の点火時期を識別するための基準点火指令信号が入力され、また、第2信号経路を経由して全気筒の点火時期を表す合成点火指令信号が入力される。
このため、信号処理制御手段は、予め定められた1つの気筒に対応する基準点火指令信号を基準として、合成点火指令信号が入力される毎に、予め定められた順番に応じた各気筒に対して点火指令信号を出力することで、各気筒における火花放電を適切な時期に発生させて、内燃機関を運転することができる。
【0049】
これにより、信号処理制御手段にすべての基準点火指令信号を入力する必要がなくなるため、3気筒以上の内燃機関については、信号処理制御手段に備えられる入力端子、すなわち基準点火指令信号を入力するための入力端子が、内燃機関の気筒数よりも少ない場合でも、各気筒に対して適切な時期に点火指令信号を出力することが可能となる。
【0050】
よって、本発明(請求項7)に記載の内燃機関用点火装置によれば、信号処理装置に備えられる信号処理制御手段における入力端子を削減でき、信号処理制御手段の実装密度を向上させることができる。
なお、合成点火指令信号は、基準点火指令信号の少なくとも1つがオン状態となるときにオン状態となるように、すべての基準点火指令信号の論理和(OR)を表すように設定すると良い。
【0051】
ところで、上述(請求項1から請求項7のいずれか)の内燃機関用点火装置は、請求項8に記載のように、燃料として気体燃料を用いるガスエンジンに用いられることで、より効果を発揮する。
つまり、気体燃料は、液体燃料(例えばガソリン)に比べて絶縁性が高いため、ガスエンジンにおいて燃料への着火を確実に行うためには、ガソリンエンジンに比べて相対的に高い点火用高電圧を発生させて、強い火花放電を発生させる必要がある。従って、気体燃料を用いるガスエンジン向けの点火コイルとしての最大二次電圧(点火用高電圧)発生能力は、ガソリンエンジン向けのそれよりも高く設定しておく必要がある(例えば、ガソリンエンジン向けの点火コイルとしての最大二次電圧が30[kV]以上とすれば、ガスエンジン向けのそれは40kV以上に設定)。
【0052】
そのため、ガスエンジンにおいては、燃料へ確実に着火できるように、一次巻線への通電・遮断時の電流値は比較的大きく設定されている。よって、ガスエンジンではガソリンエンジンに比べ、点火プラグへの不要な火花エネルギの供給量が多くなることが考えられ、点火プラグの寿命をより短くしてしまう虞がある。
【0053】
また、ガスエンジンでは、例えば、電源電圧が高くなる方向に変動した場合、一次巻線に供給される一次電流はさらに大きくなり、スイッチング手段としてトランジスタを用いる場合にそのトランジスタに流れる電流がさらに大きくなって、トランジスタの発熱量が増大してトランジスタが破壊される可能性が高くなる。このため、ガスエンジンに本発明の上記内燃機関用点火装置を備えて、点火コイルに蓄積される磁束エネルギをほぼ一定に維持させることで、トランジスタに過剰な電流が長時間流れることがなくなり、スイッチング手段としてのトランジスタが過剰に発熱してしまうのを防ぐことができる。
【0054】
よって、請求項8に記載のように、気体燃料を用いるガスエンジンに対して請求項1から請求項7のいずれかに記載の内燃機関用点火装置を適用すれば、点火コイルに蓄積される磁束エネルギの変動によるスイッチング手段の過剰な発熱を防止できるという効果を発揮させることができる。
【0055】
また、ガスエンジンのうち、定置型ガスエンジンに備えられる内燃機関用点火装置には、例えば、電力会社から供給される商用電源などの交流電圧(例えば、100[v]あるいは200[v])を、変圧器,整流器および平滑回路などを用いて直流電圧に変換し、こうして得られる直流電圧を用いて一次巻線への通電電流を発生させて、点火用高電圧を発生させているものがある。
【0056】
そして、こうした商用電源を用いた定置型ガスエンジンの内燃機関用点火装置では、一次巻線へ印加される電圧の変動が発生しやすく、スイッチング手段が過剰に発熱して破壊される虞がある。つまり、電力会社から供給される電力に対する電力需要は季節毎に変化しており、この電力需要の変化が要因となって、商用電源の交流電圧値は、季節毎(例えば夏と冬)に異なる値を示すのである。なお、商用電源の交流電圧値は、予め定められた許容範囲内で変動している。
【0057】
このように、許容範囲内ではあるものの、電力会社から供給される商用電源の交流電圧値が変動することにより、変換後の直流電圧の電圧値も季節毎に異なる値を示すことになり、定置型ガスエンジンでは、一次巻線への通電電流を発生するための電源電圧が季節毎に変化することになる。
【0058】
前述したように、ガスエンジンでは、燃料への着火性が最も劣る場合を考慮して一次電流の通電時間を決定することから、直流電圧の電圧値が低くなる(換言すれば、一次電流が最も小さくなる)季節の電圧値を基準として、一次電流の通電時間が設定される。これに対して、直流電圧の電圧値が高くなる季節においては、電圧値が低い時期に適した通電時間で通電されるにもかかわらず一次電流が大きくなるため、スイッチング手段における発熱が過剰となる可能性が高くなってしまう。
【0059】
従って、定置型ガスエンジンに対して上記の内燃機関用点火装置を適用し、点火コイルに蓄積される磁束エネルギをほぼ一定に維持させて、トランジスタに過剰な電流が長時間流れるのを避けることで、スイッチング手段を保護するという効果をより発揮することができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面と共に説明する。
まず、図1に、実施例の内燃機関用点火装置の概略構成を表す構成図を示す。なお、本実施例の内燃機関用点火装置は、燃料として気体燃料を用いる定置型ガスエンジンに備えられた内燃機関用点火装置である。また、この定置型ガスエンジンは3個の気筒を備えている。
【0061】
図1に示すように、実施例の内燃機関用点火装置1は、商用電源の交流電圧を変換して放電用の直流電圧(例えば電源電圧12V)を出力する直流電源装置11と、一次巻線L1と二次巻線L2とを備えた点火コイル13と、一次巻線L1と直列接続されたnpn型トランジスタからなる主制御用トランジスタ15と、二次巻線L2と閉ループを形成するとともに中心電極17aと接地電極17bとの間に火花放電を発生する点火プラグ17と、一次巻線L1に一次電流を再通電することで点火プラグ17に発生した火花放電を強制的に遮断する再通電用回路51と、点火プラグ17に火花放電を発生させるために主制御用トランジスタ15に点火指令信号を出力し、また、火花放電を遮断するために再通電用回路51に火花放電遮断指令信号を出力する信号処理装置21と、内燃機関の運転状態に応じて基準点火指令信号と火花持続信号を信号処理装置21に出力する内燃機関制御用の電子制御装置(以下、ECUと呼ぶ)31と、直流電源装置11から出力される電源電圧を検出する電源電圧検出回路33と、を備えている。
【0062】
これらのうち、主制御用トランジスタ15は、点火コイル13の一次巻線L1への通電・非通電を切り換える半導体素子からなるスイッチング素子であり、本実施例の内燃機関用点火装置1はフルトランジスタ型の内燃機関用点火装置である。
【0063】
なお、本実施例の内燃機関用点火装置における上記構成のうち、直流電源装置11,電源電圧検出回路33,信号処理装置21,およびECU31以外の各構成要素は、各気筒ごとに備えられているが、図1では図面を見易くするために、第1気筒に対応する構成要素を記している。
【0064】
そして、図1に示すECU31は、内燃機関の運転状態に基づいて、内燃機関の火花放電発生時期(点火時期)、燃料噴射量、エンジン回転数等を総合的に制御するために備えられており、CPU,RAM,ROMおよび入出力部を主要部とするマイクロコンピュータ(以下、マイコンともいう)にて構成されている。そして、ECU31は、第1気筒,第2気筒,第3気筒のそれぞれに対応した第1基準点火指令信号IG1,第2基準点火指令信号IG2,第3基準点火指令信号IG3と、全気筒に共通の火花放電継続時間を表す火花持続信号Scとを、信号処理装置21に対して出力する。
【0065】
また、信号処理装置21は、定電圧(例えば、5[v])を出力する定電圧電源からの電力供給により駆動するマイコンにて構成される信号処理制御回路23と、第1基準点火指令信号IG1,第2基準点火指令信号IG2,第3基準点火指令信号IG3をそれぞれ信号処理制御回路23に入力するための信号経路を形成する第1IG信号入力回路25,第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225と、火花持続信号Scを信号処理制御回路23に入力するための信号経路を形成する火花持続信号入力回路27とを備えている。
【0066】
そして、信号処理装置21に備えられた信号処理制御回路23は、第1気筒に対応する主制御用トランジスタ15に対して第1点火指令信号Sa1を出力し、第2気筒および第3気筒に対応する主制御用トランジスタに対しては、それぞれ第2点火指令信号Sa2および第3点火指令信号Sa3を出力する。また、信号処理制御回路23は、第1気筒に対応する再通電用回路51に対して第1火花放電遮断指令信号Sb1を出力し、第2気筒および第3気筒に対応する再通電用回路に対しては、それぞれ第2火花放電遮断指令信号Sb2および第3火花放電遮断指令信号Sb3を出力する。
【0067】
次に、直流電源装置11は、変圧器,整流器,平滑回路などを備えており、商用電源からの交流電圧(例えばAC100[v])を変圧,整流および平滑化することで、直流電圧(例えば電源電圧12[v])に変換している。
また、電源電圧検出回路33は、例えば直列接続された2個の抵抗で構成されており、この抵抗による電源電圧の分圧Vs(2個の抵抗の接続点の電位)を信号処理装置21(詳細には、信号処理制御回路23)に対して出力する。なお、電源電圧検出回路33に備えられる2個の抵抗のそれぞれの抵抗値は、直流電源装置11が出力する電源電圧値の変動範囲に対応する分圧Vsの変動範囲が、信号処理制御回路23の入力端子における入力レンジの許容範囲内となるように決定されている。これにより、分圧Vsは、信号処理制御回路23の入力レンジの下限値から上限値までに適した範囲内(例えば、0〜5[v])で電源電圧の電圧値に応じて変動する。
【0068】
このため、信号処理制御回路23は、入力される分圧Vsに、電源電圧検出回路33に備えられた2個の抵抗の各抵抗値により決定される分圧Vsに対する電源電圧の比率を乗じることで、電源電圧値を検出することができる。
そして、信号処理制御回路23は、この分圧Vsに基づいて検出した電源電圧値に応じて通電開始遅延時間を設定し、第1基準点火指令信号IG1がハイレベルとなった時点から通電開始遅延時間が経過した時点で、第1点火指令信号Sa1をハイレベルに変化させて主制御用トランジスタ15を駆動することで、一次巻線L1への通電を開始する。
【0069】
なお、この信号処理制御回路23にて実行される通電開始時期遅延制御処理の処理内容については後述する。
次に、図1において第1気筒に対応して備えられた点火コイル13,主制御用トランジスタ15、点火プラグ17、再通電用回路51について説明する。
【0070】
まず、点火コイル13の一次巻線L1の一端は直流電源装置11の正極に接続され、他端は主制御用トランジスタ15のコレクタ15cに接続されている。また、二次巻線L2の一端は、整流素子Dを介して、直流電源装置11の正極に接続されている一次巻線L1の一端に接続され、他端は点火プラグ17の中心電極17aに接続されている。さらに、点火プラグ17の接地電極17bは、直流電源装置11の負極と同電位のグランドに接地されており、主制御用トランジスタ15のベース15bは信号処理制御回路23における第1点火指令信号Sa1の出力端子に接続され、主制御用トランジスタ15のエミッタ15eは、直流電源装置11の負極と同電位のグランドに接地されている。
【0071】
このため、主制御用トランジスタ15のベース15bに入力される第1点火指令信号Sa1がローレベル(一般にグランド電位)である場合には、主制御用トランジスタ15にベース電流は流れず、主制御用トランジスタ15はオフ状態となり、主制御用トランジスタ15を通じて一次巻線L1に一次電流i1が流れることはない。また、第1点火指令信号Sa1がハイレベル(例えば、定電圧電源からの供給電圧5[v])である場合には、主制御用トランジスタ15はオン状態となり、直流電源装置11の正極側から点火コイル13の一次巻線L1を通り、主制御用トランジスタ15を介して直流電源装置11の負極側に至る一次巻線L1の通電経路を形成し、一次巻線L1に一次電流i1が流れる。
【0072】
したがって、第1点火指令信号Sa1がハイレベルとなり一次巻線L1に一次電流i1が流れている状態の時に、第1点火指令信号Sa1がローレベルになると、主制御用トランジスタ15がターンオフし、一次巻線L1への一次電流i1の通電を停止(遮断)することになる。すると、点火コイル13の磁束密度が急激に変化して二次巻線L2に点火用高電圧が発生し、この点火用高電圧が点火プラグ17に印加されることで、点火プラグ17の電極17a−17b間に火花放電が発生する。
【0073】
尚、点火コイル13は、主制御用トランジスタ15にて一次巻線L1に流れる一次電流i1を断続することにより、点火プラグ17の中心電極17a側にグランド電位よりも低い負の点火用高電圧を発生させるように構成されている。そして、点火プラグ17での火花放電に伴い二次巻線L2に流れる二次電流i2は、点火プラグ17の中心電極17aから二次巻線L2を通って、一次巻線L1側に流れる。また、二次巻線L2と一次巻線L1との接続部分には、二次巻線L2から一次巻線L1側に電流が流れるのを許容し、逆方向への電流の流れを阻止するために、ダイオード等からなる整流素子Dが設けられている。本実施例では、整流素子Dとして、アノードが二次巻線L2に、カソードが一次巻線L1に接続されたダイオードを設けており、整流素子Dの動作によって、主制御用トランジスタ15のターンオン時(一次巻線L1への通電開始時)に二次巻線L2に電流が流れるのが阻止される。
【0074】
次に、再通電用回路51は、エミッタ85eが接地され、ベース85bが信号処理制御回路23における第1火花放電遮断指令信号Sb1を出力する端子と接続され、コレクタ85cがコンデンサ87の一端(電極)に接続されるとともにダイオード83を介して接地されたnpn型のトランジスタ85を備えている。そして、ダイオード83は、アノードが接地され、カソードがトランジスタ85のコレクタ85cに接続されている。また、コンデンサ87は、トランジスタ85との接続端(電極)とは反対側の接続端(電極)が、抵抗91を介して一次巻線L1と主制御用トランジスタ15のコレクタ15cとの接続端に接続されている。さらに、ダイオード89が抵抗91に並列接続されており、ダイオード89は、アノードが抵抗91と一次巻線L1との接続端に接続され、カソードが抵抗91とコンデンサ87との接続端に接続されている。
【0075】
そして、信号処理制御回路23から出力される第1火花放電遮断指令信号Sb1がローレベルである場合には、再通電用回路51内のトランジスタ85がオフ状態となり、再通電用回路51が、直流電源装置11の正極から一次巻線L1に向かう方向に一次電流i1を流すことはない。
【0076】
また、第1火花放電遮断指令信号Sb1がハイレベルである場合、再通電用回路51内のトランジスタ85がオン状態となり、再通電用回路51が、直流電源装置11の正極側から点火コイル13の一次巻線L1を通って直流電源装置11の負極側に至る、一次巻線L1の通電経路を形成し、一次巻線L1に一次電流i1を流す。このとき、一次巻線L1からコンデンサ87に流れ込む電流は、ダイオード89を通じて流れる。
【0077】
そして、通電経路に流れる一次電流i1によってコンデンサ87に電荷が蓄積されるに従い、一次電流i1は緩やかに減少し、コンデンサ87に、一次巻線L1のインダクタンスとコンデンサ87の容量とで決まる一定の時定数にて、所定量の電荷が蓄積されると、コンデンサ87に電流が流れなくなり、一次電流i1を遮断する。
【0078】
ただし、コンデンサ87が、一次巻線L1側に接続された電極を正極性として直流電源装置11の電圧より大きい電位差で充電されている場合、第1火花放電遮断指令信号Sb1がハイレベルであっても、一次電流i1は流れないため、予めコンデンサ87に蓄積された電荷を放電させておく必要がある。そこで、本実施例では、第1火花放電遮断指令信号Sb1がローレベルのときに、点火用高電圧を発生させるための第1点火指令信号Sa1をハイレベルにする、すなわち、主制御用トランジスタ15をオン状態とすることで、コンデンサ87が充電されている電荷を放電させることができる。
【0079】
つまり、主制御用トランジスタ15をオン状態とすると、主制御用トランジスタ15、抵抗91、コンデンサ87、ダイオード83による閉ループが形成され、コンデンサ87に蓄積された電荷によって、この閉ループに電流が流れることにより、コンデンサ87は放電される。このとき、コンデンサ87が放電する電流は、ダイオード89ではなく抵抗91を通じて流れるため、通電経路に流れる電流値が小さくなり、主制御用トランジスタ15に流れる電流量が抑制されることになる。これにより、コンデンサ87に蓄積された電荷を放電させる時に伴う主制御用トランジスタ15の発熱を小さく抑えることが可能となる。
【0080】
したがって、再通電用回路51は、コンデンサ87が放電された状態で、かつ点火プラグ17での火花放電中に、第1火花放電遮断指令信号Sb1がローレベルからハイレベルに変化されると、一次巻線L1に一次電流i1の再通電を開始して点火プラグ17の火花放電を遮断し、時間経過に従い一次電流i1を緩やかに減少させていき、最終的に一次電流i1を遮断する。そして、同気筒において次の点火用高電圧を発生させるべく再度第1点火指令信号Sa1がハイレベルになることで、コンデンサ87に蓄積された電荷が放電されて、次の火花放電遮断に備える。
【0081】
なお、上述した主制御用トランジスタ15、およびトランジスタ85は、マイコンで構成される信号処理制御回路23が出力する小さな電流で、比較的大きな一次電流i1を通電させるため、電流増幅率が大きくなくてはならない。そのため、実際には、主制御用トランジスタ15、およびトランジスタ85は、図2に示す回路図のように構成されている。つまり、主制御用トランジスタ15およびトランジスタ85は、npn型の第1トランジスタTr1と、pnp型の第2トランジスタTr2と、npn型の第3トランジスタTr3、の3個のトランジスタを備えている。以下の説明では、主制御用トランジスタ15を例として、回路構成を説明する。
【0082】
そして、図2に示すように、第1トランジスタTr1は、ベースが抵抗R1に接続され、ベースとエミッタが抵抗R2により接続され、エミッタが接地されて、コレクタが抵抗R3を介して第2トランジスタTr2のベースに接続されている。ここで、抵抗R1における第1トランジスタTr1のベースとの接続端の反対側の端部は、主制御用トランジスタ15としてのベース端子に相当する。
【0083】
また、第2トランジスタTr2は、ベースとエミッタが抵抗R4により接続され、エミッタが定電圧を供給するための電源ラインLVに接続され、コレクタとエミッタがダイオードD1により接続され、コレクタが抵抗R5を介して接地されている。なお、ダイオードD1は、アノードが第2トランジスタTr2のコレクタに接続され、カソードが第2トランジスタTr2のエミッタに接続されている。
【0084】
さらに、第3トランジスタTr3は、ベースが抵抗R6を介して第2トランジスタTr2のコレクタに接続されており、エミッタが主制御用トランジスタ15としてのエミッタ端子15eに相当し、コレクタが主制御用トランジスタ15としてのコレクタ端子15cに相当する。
【0085】
そして、ベース端子15bに入力される信号がハイレベルである場合には、第1トランジスタTr1のベース−エミッタ間に電位差が発生してベース電流が流れることにより、第1トランジスタTr1がオン状態になる。このように第1トランジスタTr1がオン状態となると、電源ラインLVから抵抗R4,抵抗R3を通じて電流が流れ、第2トランジスタTr2のベース−エミッタ間に電位差が発生してベース電流が流れることにより、第2トランジスタTr2がオン状態になる。そして、第2トランジスタTr2がオン状態となると、電源ラインLVから第2トランジスタTr2のコレクタを通じて供給される電流が抵抗R6を介して第3トランジスタTr3のベースに流れるため、第3トランジスタTr3がオン状態となる。
【0086】
また、ベース端子15bに入力される信号がローレベルである場合には、第1トランジスタTr1はオフ状態となり、第2トランジスタTr2もオフ状態となる。このため、電源ラインLVからの電流が第3トランジスタTr3に流れ込むことがなく、第3トランジスタTr3もオフ状態となる。
【0087】
このため、図2に示す回路は、ベース端子15bに入力される信号がハイレベルである場合には、コレクタ端子15cとエミッタ端子15eとの間が導通した(短絡された)状態となり、ベース端子15bに入力される信号がローレベルである場合には、コレクタ端子15cとエミッタ端子15eとの間が導通していない(開放された)状態となる。
【0088】
つまり、図2に示す回路は、1個のnpn型トランジスタと同様の動作をすることになり、また、3個のトランジスタの組み合わせにより、この回路の電流増幅率は大きくなる。よって、主制御用トランジスタ15は、図2に示す回路図のように構成することで、信号処理制御回路が出力する小さな電流により駆動されて、一次電流i1を通電させることが可能となる。
【0089】
また、トランジスタ85も同様に図2に示すように構成されており、ベース85bが主制御用トランジスタ15のベース15bに相当し、エミッタ85eがエミッタ15eに、コレクタ85cがコレクタ15cにそれぞれ相当している。
ここで、本実施例の内燃機関用点火装置1における3気筒分の一次コイル駆動回路,再通電用回路,点火コイル,点火プラグを含めた概略構成図を図4に示す。なお、第1一次コイル駆動回路15は図1における主制御用トランジスタ15に相当するものであり、第1点火コイル13は図1における点火コイル13に相当し、第1点火プラグ17は図1における点火プラグ17に相当し、第1再通電用回路51は図1における再通電用回路51に相当する。
【0090】
図4に示すように、信号処理制御回路23から出力される第1点火指令信号Sa1,第2点火指令信号Sa2,第3点火指令信号Sa3は、それぞれ第1一次コイル駆動回路15,第2一次コイル駆動回路115,第3一次コイル駆動回路215に入力される。また、信号処理制御回路23から出力される第1火花放電遮断指令信号Sb1,第2火花放電遮断指令信号Sb2,第3火花放電遮断指令信号Sb3は、それぞれ第1再通電用回路51,第2再通電用回路151,第3再通電用回路251に入力される。
【0091】
そして、第1気筒に対応して備えられる第1一次コイル駆動回路15および第1再通電用回路51は、第1点火コイル13に接続され、第1点火コイル13の一次巻線L1への通電・非通電を制御することで、第1点火コイル13に接続された第1点火プラグ17における火花放電の発生および遮断を行う。
【0092】
また、第2気筒に対応する第2一次コイル駆動回路115および第2再通電用回路151は、第2点火コイル113に接続され、第3気筒に対応する第3一次コイル駆動回路215および第3再通電用回路251は、第3点火コイル213に接続される。さらに、第2点火コイル113には第2点火プラグ117が接続され、第3点火コイル213には第3点火プラグ217が接続される。
【0093】
なお、第2一次コイル駆動回路115および第3一次コイル駆動回路215は図1における主制御用トランジスタ15と同様に構成され、第2点火コイル113および第3点火コイル213は図1における点火コイル13と同様に構成され、第2点火プラグ117および第3点火プラグ217は図1における点火プラグ17と同様に構成され、第2再通電用回路151および第3再通電用回路251は図1における再通電用回路51と同様に構成されている。
【0094】
これにより、第2気筒および第3気筒においても第1気筒と同様に、それぞれ第2点火プラグ117および第3点火プラグ217における火花放電の発生および遮断が行われる。そして、本実施例の内燃機関用点火装置1は、このように構成されて、3気筒のそれぞれにおける火花放電の発生・遮断を行うことで、内燃機関の運転を行う。
【0095】
ここで、図1に示す第1気筒に対応する回路図における、第1基準点火指令信号IG1,第1点火指令信号Sa1,点火プラグ17の中心電極17aの電位Vp,第1火花放電遮断指令信号Sb1,一次巻線L1に流れる一次電流i1,主制御用トランジスタ15に流れる電流i4,コンデンサ87に流れる電流i3,の各状態を表すタイムチャートを図3に示す。
【0096】
図3に示す時刻t1にて、第1基準点火指令信号IG1がローからハイレベルに切り換わり、そのあと、電源電圧検出回路33により検出された電源電圧値に基づき、信号処理制御回路23にて設定される通電開始遅延時間Tsが経過した時刻t2にて、第1点火指令信号Sa1がローからハイレベルに切り換わると主制御用トランジスタ15がオン状態となり、点火コイル13の一次巻線L1に一次電流i1が流れ始める。そして、時刻t1を起点として設定された通電時間が経過した時刻t3にて、第1基準点火指令信号IG1の状態変化に伴い第1点火指令信号Sa1がハイからローレベルに切り換わると、点火コイル13の一次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断され、点火プラグ17の中心電極17aに負の点火用高電圧が印加される。これにより、中心電極17aの電位Vpが急峻に低下し、点火プラグ17の電極17a−17b間に火花放電が発生する。
【0097】
また、主制御用トランジスタ15がオン状態となる時刻t2では、コンデンサ87,抵抗91,主制御用トランジスタ15,ダイオード83により閉ループが形成される。そして、同気筒における前回の燃焼サイクルでの火花放電の強制遮断の際に再通電された一次電流によってコンデンサ87に蓄積された電荷が放電されるため、コンデンサ87から抵抗91,主制御用トランジスタ15,ダイオード83の順に電流i4が流れる。なお、図3では、コンデンサ87に流れる電流i3を、抵抗91からコンデンサ87に向かう方向を正方向としており、この時流れる電流i3は負の電流として表される。
【0098】
そして、このとき、主制御用トランジスタ15のコレクタには、電流i3と一次巻線L1に流れる一次電流i1とが流れ込むため、主制御用トランジスタ15に流れる電流i4は、一次電流i1と電流i3とを重ね合わせた電流波形となる。なお、電流i3において負の値となる方向の電流が主制御用トランジスタ15に流れ込むときには、電流i4としては正の値となる方向の電流が流れることになる。
【0099】
ここで、主制御用トランジスタ15の発熱を抑えるためには、電流i4の大きさを小さく抑えることが望ましく、電流i3の大きさを抑えるとよい。よって、電流i3が小さくなるように、抵抗91の抵抗値を決定するとよい。ただし、第1点火指令信号Sa1がハイレベルである時間(時刻t2からt3までの時間)内に、コンデンサ87が完全に放電できる抵抗値に設定することが望ましい。
【0100】
そして、点火プラグ17における火花放電が継続している図3における時刻t4にて、第1火花放電遮断指令信号Sb1がローからハイレベルに切り換わると、トランジスタ85がターンオンして、直流電源装置11の正極側から点火コイル13の一次巻線L1、再通電用回路51を通って直流電源装置11の負極側に至る通電経路を形成し、一次巻線L1に一次電流i1が再通電される。それにより、点火プラグ17における火花放電が強制的に遮断されることになる。このとき、再通電用回路51の内部での通電経路は、ダイオード89、コンデンサ87、トランジスタ85によって形成され、コンデンサ87に電荷が蓄積されるに従い、一次電流i1が緩やかに減少し、コンデンサ87に所定量の電荷が蓄積されて完全に充電されると、一次電流i1に電流が流れなくなる。
【0101】
なお、時刻t3までに、コンデンサ87に蓄積された電荷は放電されているため、時刻t4でのコンデンサ87は、火花放電を遮断するのに必要な大きさの一次電流i1を流すことが出来る。
このように、第1点火指令信号Sa1の状態変化に応じた一次電流i1の遮断によって点火用高電圧が発生している(換言すれば、点火プラグ17にて火花放電が発生している)ときに、第1火花放電遮断指令信号Sb1の状態変化に応じて再度一次電流i1を通電すると、点火コイル13における磁束の変化方向が反転し、逆極性の電圧が二次巻線L2に発生することになる。そして、火花放電時とは逆極性の電圧が発生した場合、前述の整流素子Dによって電流が流れることが阻止されるため、火花放電を発生させることができなくなる。
【0102】
これらのことから、図3に示すように、点火プラグ17の中心電極17aの電位Vpが充分低いために電極17a−17b間で火花放電が生じている場合に、第1火花放電遮断指令信号Sb1に従い再通電用回路51により一次巻線L1への再通電を行うようにすれば、点火プラグ17の中心電極17aの電位Vpを上昇させて、火花放電を強制的に遮断させることが出来る。
【0103】
また、本内燃機関用点火装置1では、内燃機関の運転状態に応じて設定される一次巻線L1への通電開始時期(図3における時刻t1)から、直流電源装置11が出力する電源電圧に応じて設定された通電開始遅延時間だけ遅延させた時刻(図3における時刻t2)において、一次巻線L1への通電を開始する。そして、通電開始遅延時間は信号処理制御回路23において設定されており、信号処理制御回路23における通電開始遅延時間の設定処理の説明については後述する。
【0104】
次に、ECU31において実行される点火制御処理について説明する。
なお、ECU31は、前述したように内燃機関の火花放電発生時期、燃料噴射量、アイドル回転数等を総合的に制御するためのものであり、以下に説明する点火制御処理の他に、内燃機関の吸入空気量(吸気管圧力),回転速度,スロットル開度,冷却水温,吸気温等、機関各部の運転状態を検出する運転状態検出処理や、燃料噴射時期で燃料を吸気管内に供給するための燃料制御処理などを行っている。
【0105】
そして、点火制御処理は、内燃機関の始動後、例えば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出するクランク角センサからの信号に基づき、内燃機関が、吸気,圧縮,燃焼,排気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で実行される。なお、点火制御処理は、各気筒毎に実行されており、以下の説明では、第1気筒に対応する点火制御処理について説明する。
【0106】
内燃機関が始動されて点火制御処理が開始されると、まず、別途実行される運転状態検出処理にて検出された内燃機関の運転状態を読込み、読み込んだ運転状態に基づいて予め設定されたマップあるいは計算式を用いて、内燃機関の運転状態に適した点火時期を設定し、今回の燃焼サイクルにおける点火時期を設定する。なお、点火時期を設定するための上記マップあるいは計算式は、例えば、内燃機関のエンジン回転速度やエンジン負荷などの運転状態をパラメータとして、内燃機関の運転状態に応じた点火時期を設定するように構成するとよい。
【0107】
続いて、点火制御処理では、設定された点火時期を基準として、この点火時期よりも所定時間だけ早い時刻で第1基準点火指令信号IG1をハイレベルに変化させる。ここで、所定時間とは、火花放電前の一次電流通電時間のことであり、着火性の劣る運転条件においても確実に燃料に着火できる火花放電を発生させるため、つまり、高い点火用高電圧を発生させるために、一次電流通電時間には点火コイルに十分な磁束エネルギを蓄積できる時間が予め設定されている。これにより、火花放電が発生してから自然に終了するまでの火花放電継続時間も十分長くなり、例えば、低回転低負荷などの着火性の劣る運転状態においても、火炎核の成長を助けて混合気を確実に燃焼させることができるようになる。
【0108】
なお、実際に一次巻線L1への通電が開始されるのは、第1基準点火指令信号IG1がハイレベルに変化してから通電開始遅延時間が経過した時点(図3に示す時刻t2)である。すなわち、信号処理制御回路23が第1点火指令信号Sa1をハイレベルに変化させた時点で、主制御用トランジスタ15がオン状態となり、一次巻線L1への通電が開始される。
【0109】
そして、点火制御処理では、第1基準点火指令信号IG1をハイレベルに変化させてから一次電流通電時間が経過した点火時期にて、第1基準点火指令信号IG1をローレベルに変化させる。これと同時に、信号処理制御回路23は、第1点火指令信号Sa1をローレベルに変化させて、主制御用トランジスタ15をオフ状態にする。こうして主制御用トランジスタ15をオフ状態にすることで一次電流i1を急峻に遮断し、誘導起電力である点火用高電圧を二次巻線L2に発生させて、点火プラグ17に火花放電を発生させる。
【0110】
よって、点火制御処理は、内燃機関の運転状態に応じて点火時期を設定し、この点火時期から予め定められた一次電流通電時間だけ早い通電開始時期で第1基準点火指令信号IG1をハイレベルに変化させる。このあと、一次電流通電時間が経過した時点、すなわち、内燃機関の運転状態に応じて設定した点火時期で第1基準点火指令信号IG1をローレベルに変化させて、点火プラグ17の電極間に火花放電を発生させ、燃料を燃焼させるように処理を行っている。
【0111】
次に、ECU31において実行される火花放電継続時間設定処理について説明する。なお、火花放電継続時間設定処理は、内燃機関が始動されると同時に起動されて処理を開始する。また、本実施例の内燃機関用点火装置における火花放電継続時間設定処理は、各気筒ごとに実行されるのではなく、全気筒共通の火花放電継続時間を設定するように処理を行う。
【0112】
そして、この火花放電継続時間設定処理が開始されると、まず、内燃機関が十分に暖機された運転状態であるか否かを判断し、暖機が不十分であると判定される間は、火花放電継続時間を0[sec ]に設定する。
なお、十分に暖機されているか否かの判断は、例えば、内燃機関の冷却水温度あるいは潤滑油温度が、それぞれ予め設定された暖機完了判定用の規定値より高いか否かを判断することにより行う。
【0113】
そして、内燃機関の運転が継続して行われて内燃機関の温度が上昇して、内燃機関が十分に暖機されたと判断されると、別途実行される運転状態検出処理にて検出された内燃機関の運転状態(エンジン回転数およびエンジン負荷など)を読込み、読み込んだ運転状態に基づいて予め設定されたマップあるいは計算式を用いて、内燃機関の運転状態に適した火花放電継続時間Tcを設定する。なお、設定に用いるマップもしくは計算式は、少なくともエンジン回転速度およびエンジン負荷などをパラメータとして、内燃機関の運転状態に適した火花放電継続時間Tcが設定されるように、予め幾つかの測定データ等に基づいて定められている。
【0114】
このあと、火花放電継続時間設定処理では、内燃機関の運転状態を読み込み、マップあるいは計算式を用いて火花放電継続時間Tcを設定するという上述の一連の処理を、一定周期で実行する。また、火花放電継続時間設定処理では、火花放電継続時間Tcを更新する毎に、信号処理装置21に対して火花放電継続時間Tcを通知するための火花持続信号Scを出力する。この火花持続信号Scとしては、例えば、浮動小数点形式のデータとして火花放電継続時間Tcの値を表す信号を用いるとよい。
【0115】
このように、火花放電継続時間設定処理は、内燃機関の運転状態に応じた火花放電継続時間Tcを設定し、火花持続信号Scを用いて火花放電継続時間Tcを信号処理装置21に通知する処理を行う。
次に、信号処理装置21に備えられた信号処理制御回路23にて実行される点火信号制御処理について説明する。なお、次の説明では第1気筒に対応する点火信号制御処理について説明するが、第2気筒,第3気筒に対応する点火信号制御処理についても同様の処理を行っている。
【0116】
この点火信号制御処理は、内燃機関が始動されるとともに起動されて、第1IG信号入力回路25を介してECU31から入力される第1基準点火指令信号IG1の状態に応じて、第1点火指令信号Sa1の状態を設定する処理を行う。
つまり、点火信号制御処理は、ECU31での点火制御処理において内燃機関の運転状態に応じて設定された一次巻線L1への通電開始時期および点火時期にて、一次巻線L1への通電および遮断が行われるように、第1点火指令信号Sa1の状態を変化させる処理を行う。
【0117】
このように、第1点火指令信号Sa1の状態は、基本的に点火信号制御処理によって決定されるが、次に説明する通電開始時期遅延制御処理によってローレベルに設定される場合には通電開始時期遅延制御処理による制御が優先されて、第1点火指令信号Sa1は強制的にローレベルに維持される。なお、第2点火指令信号Sa2,第3点火指令信号Sa3についても同様である。
【0118】
次に、信号処理制御回路23にて実行される通電開始時期遅延制御処理について、図5に示すフローチャートに従い説明する。なお、通電開始時期遅延制御処理は、内燃機関が始動されるとともに各気筒ごとに起動されて処理を実行する。なお、次の説明では、第1気筒に対応する通電開始時期遅延制御処理について説明する。
【0119】
そして、通電開始時期遅延制御処理が開始されると、まず、S110では、カウンタNに0を代入してカウンタNのリセットを行う。なお、このカウンタNは、電源電圧を検出するタイミングを判定するために用いられるカウンタである。
次に、S120では、通電開始遅延時間Tsに初期値を設定する。この初期値は、始動直後の内燃機関の運転状態に適した値に設定することが望ましく、内燃機関の始動直後は内燃機関の温度が低く、燃料への着火性が劣る運転状態であることから、一次電流通電時間が長くなるような値あるいは通電開始遅延時間Tsが0[sec ]となるように、通電開始遅延時間Tsを設定すると良い。
【0120】
続くS130では、ECU31から出力される第1基準点火指令信号IG1の立ち上がり方向(ローレベルからハイレベル)の状態変化が発生したか否かを判定しており、肯定判定されるとS140に移行し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行することで、第1基準点火指令信号IG1が状態変化するまで待機する。つまり、S130では、ECU31で実行される点火制御処理において設定される一次巻線L1への通電開始時期であるか否かを判定している。
【0121】
そして、S130で肯定判定されるとS140に移行し、S140では、第1点火指令信号Sa1をローレベル状態に設定する(図3における時刻t1)。これにより、主制御用トランジスタ15のベースに入力される第1点火指令信号Sa1は、強制的にローレベルに維持される。つまり、主制御用トランジスタ15は、ECU31からの指令に拘わらず、オフ状態を維持することになる。
【0122】
次に、S150では、第1基準点火指令信号IG1の状態変化が発生してから(S130で肯定判定されてから)の時間経過を計測するためのタイマーカウントを開始する。
続くS160では、S150でカウントを開始したタイマー値が、通電開始遅延時間Ts以上であるか否かを判定しており、肯定判定されるとS170に移行し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行することで、タイマー値が通電開始遅延時間Ts以上になるまで待機する。つまり、S160では、第1基準点火指令信号IG1の状態変化が発生してから(S130で肯定判定されてから)、通電開始遅延時間Tsが経過したか否かを判定している。
【0123】
そして、S160で肯定判定されるとS170に移行し、S170では、第1点火指令信号Sa1をローレベルに設定するのを終了する(図2における時刻t2)。これにより、第1点火指令信号Sa1は、点火信号制御処理によって状態が決定されることになり、ECU31から出力される第1基準点火指令信号IG1がハイレベルである場合、第1点火指令信号Sa1はハイレベルとなり、主制御用トランジスタ15がオン状態となって一次巻線L1に一次電流i1が流れ始める。
【0124】
なお、この後、ECU31にて別途実行される前述の点火制御処理により第1基準点火指令信号IG1がハイレベルからローレベルに変化することで、第1点火指令信号Sa1がローレベルに変化して一次電流i1が遮断されて、点火プラグ17の電極間に火花放電が発生する(図3における時刻t3)。
【0125】
また、S170の処理が実行されてS180に移行すると、S180では、S150で開始したタイマーカウントを停止し、続くS190では、タイマー値に0を代入して、タイマーをリセットする。
次のS200では、カウンタNに1を加算する(カウンタNをインクリメントする)ことで、カウンタNを更新する。
【0126】
続くS210では、カウンタNが5以上であるか否かを判定しており、肯定判定されるとS220に移行し、否定判定されるとS130に移行する。なお、本通電開始時期遅延制御処理は、同気筒における5回の燃焼サイクルに1回の割合で電源電圧の検出を行っており、S210では電源電圧を検出する燃焼サイクル(タイミング)であるか否かを判定している。
【0127】
そして、S210で否定判定されるとS130に移行し、S130では、ECU31にて設定される次の燃焼サイクルにおける通電開始時期を検出する。その後、カウンタNが5以上になるまで、すなわち、S210で肯定判定されるまでは、S130からS210までの処理を繰り返し実行することで、同一の通電開始遅延時間Tsを用いて各燃焼サイクルにおける通電開始時期の遅延処理を行う。
【0128】
そして、同一の通電開始遅延時間Tsを用いた通電開始時期の遅延処理を繰り返し行い、カウンタNが5以上になると、S210で肯定判定されてS220に移行する。すると、S220では、電源電圧検出回路33から入力される分圧Vsに基づき、電源電圧値を算出する。つまり、検出した分圧Vsに、電源電圧検出回路33に備えられた2個の抵抗の各抵抗値により決定される分圧Vsに対する電源電圧の比率を乗じることで、電源電圧値を算出するのである。
【0129】
続くS230では、S220で算出された電源電圧値に基づいて、電源電圧値をパラメータとするマップあるいは計算式を用いて、通電開始遅延時間Tsを設定する。なお、このS230における算出処理に用いる上記マップあるいは計算式は、点火コイル13に蓄積される磁束エネルギがほぼ一定となるように、つまり、電源電圧値に応じて最適な通電開始遅延時間Tsが算出されるように、予め実施した測定結果などに基づいて構成されている。具体的には、電源電圧値が高くなるほど通電開始遅延時間が長くなるように、また、電源電圧値が低くなるほど通電開始遅延時間が短くなるように構成されている。
【0130】
続くS240では、電源電圧を検出するタイミングを判定するために用いられるカウンタNに0を代入することで、カウンタNをリセットする。そして、S240での処理が終了するとS130に移行する。
そして、この後の通電開始時期遅延制御処理では、S230にて設定された通電開始遅延時間Tsを用いて、一次電流i1の通電開始時期の遅延制御を実行する。その後、S130からS210までの処理を繰り返し実行し、同一の通電開始遅延時間Tsを用いて同気筒にて5回の燃焼サイクルにおける通電開始時期の遅延処理を行うとS210で肯定判定されて、再びS220からS240までの処理が実行されることにより、通電開始遅延時間Tsが更新される。
【0131】
このように、通電開始時期遅延制御処理は、内燃機関の起動直後は予め定められた通電開始遅延時間Tsの初期値に基づいて一次電流i1の通電開始時期の制御を行い、その後、同気筒における5回の燃焼サイクルに1回の割合で電源電圧の検出を行い、検出した電源電圧に基づいて通電開始遅延時間Tsを更新する。そして、通電開始時期遅延制御処理では、最終的に設定されている通電開始遅延時間Tsに基づいて、一次巻線L1への通電開始時期の遅延制御を行っている。
【0132】
次に、信号処理制御回路23にて実行される火花放電遮断制御処理について、図6に示すフローチャートに従い説明する。
なお、火花放電遮断制御処理は各気筒毎に1燃焼サイクルに1回の割合で実行されており、内燃機関が始動された後、各気筒に対応する基準点火指令信号IGが立ち上がり方向(ローレベルからハイレベル)に変化すると同時に起動されて、処理を開始する。以下の説明では、第1気筒に対応する火花放電遮断制御処理について説明する。
【0133】
そして、この火花放電遮断制御処理が開始されると、まず、S550では、ECU31から火花持続信号Scによって通知される火花放電継続時間Tcを読み込み、このあとの処理で用いる火花放電継続時間Tcとして決定する。なお、火花持続信号Scは、常にECU31から信号処理制御回路23に出力されており、火花放電遮断制御処理は、S550の処理を実行することで火花放電継続時間Tcの値を取り込み、火花放電の遮断を行う。
【0134】
そして、続くS560では、第1基準点火指令信号IG1の状態変化(ハイレベルからローレベル)に基づいて点火時期に達したか否かを判断しており、肯定判定されるとS570に移行し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行することで待機する。このあと、第1気筒の点火時期となりS560で肯定判定されてS570に移行すると、続くS570では現在時刻tを時刻変数T2に代入し、点火時期の時刻を記憶する。
【0135】
続くS580では、現在時刻tから時刻変数T2を差し引いた値(t−T2)が、S550で決定された火花放電継続時間Tcに等しいか否かを判断しており、肯定判定されるとS590に移行し、否定判定されると同ステップを繰り返し実行することで待機する。つまり、S580では、S560で検出された点火時期から火花放電継続時間Tcが経過した火花放電遮断時期を検出している。
【0136】
そして、火花放電遮断時期に達してS580で肯定判定されると、S590に移行し、S590では火花放電遮断動作を行う。具体的には、第1火花放電遮断指令信号Sb1をハイレベルに変化させて再通電用回路51を動作させることにより、一次巻線L1に電流(一次電流i1)を再度流すことで、火花放電を強制的に遮断する。それから、S590は、第1火花放電遮断指令信号Sb1をハイレベルに変化させることで再通電用回路51を動作させた後、一次電流i1が流れなくなるか電流値が小さくなるように予め設定された所定時間が経過すると、第1火花放電遮断指令信号Sb1をローレベルに変化させて、同ステップでの処理を終了するとともに、火花放電遮断制御処理を終了する。
【0137】
このように、火花放電遮断制御処理は、ECU31から通知される火花放電継続時間Tcを読み取り、点火時期から火花放電継続時間Tcが経過した火花放電遮断時期で、第1火花放電遮断指令信号Sb1を出力して再通電用回路51を動作させて火花放電を強制的に遮断する。
【0138】
なお、本実施例の内燃機関用点火装置では、主制御用トランジスタ15が特許請求の範囲に記載のスイッチング手段に相当し、ECU31にて実行される点火制御処理、および信号処理制御回路23にて実行される点火信号制御処理が点火制御手段に相当し、トランジスタ85が火花放電遮断用スイッチング手段に相当し、コンデンサ87が電流調整手段に相当し、ECU31にて実行される火花放電継続時間設定処理が火花放電継続時間設定手段に相当し、信号処理制御回路23にて実行される火花放電遮断制御処理が火花放電遮断制御手段に相当し、通電開始時期遅延制御処理が通電開始時期遅延手段に相当する。また、ECU31は特許請求の範囲における主制御装置に相当し、信号処理装置21は信号処理装置に相当し、信号処理制御回路23は信号処理制御手段に相当する。
【0139】
以上説明したように、本第1実施例の内燃機関用点火装置1では、ECU31から出力される第1基準点火指令信号IG1,第2基準点火指令信号IG2,第3基準点火指令信号IG3に基づき、信号処理装置21が第1点火指令信号Sa1,第2点火指令信号Sa2,第3点火指令信号Sa3を出力して主制御用トランジスタ15を動作させている。そして、主制御用トランジスタ15をオン・オフさせることで点火コイル13の二次巻線L2に発生した点火用高電圧を点火プラグ17に印加して、点火プラグ17の電極17a−17b間に火花放電を発生させている。この後、本内燃機関用点火装置は、内燃機関の運転状態に基づきECU31にて設定した火花放電継続時間Tcが経過した時点で、信号処理装置21が第1火花放電遮断指令信号Sb1,第2火花放電遮断指令信号Sb2,第3火花放電遮断指令信号Sb3を出力して再通電用回路51を動作させて一次巻線L1に再度一次電流i1を流すことにより、火花放電を強制的に遮断する。
【0140】
そして、本実施例の内燃機関用点火装置によれば、内燃機関の高回転高負荷時のように、火花エネルギが少なくてよい運転条件下では、火花放電継続時間を短く制御することにより、高い点火用高電圧にて点火プラグを確実に火花放電させつつ、点火プラグへの火花エネルギの過剰な供給を抑えることができる。逆に、内燃機関の低回転低負荷時のように、混合気が着火しにくい運転条件下では、火花放電継続時間を長く制御して、混合気を確実に燃焼させることができる。つまり、内燃機関の運転状態に基づき、火花放電継続時間を最適に制御することにより、多重放電の発生、点火プラグの電極の消耗を抑え、点火プラグの寿命を延ばすことができ、また失火の発生を抑えることもできる。
【0141】
また、本実施例の内燃機関用点火装置1では、ECU31にて実行される点火制御処理が一次巻線L1への通電を開始するために第1基準点火指令信号IG1をハイレベル状態にして出力しても、必ずしも第1基準点火指令信号IG1が出力されるタイミングで一次巻線への通電が開始されるのではない。つまり、信号処理制御回路23にて実行される通電開始時期遅延制御処理により第1点火指令信号Sa1がローレベルに維持される間は、第1基準点火指令信号IG1の状態に依らず、主制御用トランジスタ15がオフ状態に維持されるため、一次巻線L1への通電が行われない。
【0142】
そして、第1基準点火指令信号IG1がハイレベルとなった後、電源電圧値に応じて設定された通電開始遅延時間Tsが経過すると、通電開始時期遅延制御処理による第1点火指令信号Sa1のローレベル状態への設定が終了する。このタイミングで、第1基準点火指令信号IG1の状態に応じて第1点火指令信号Sa1がハイレベルになり、一次巻線L1への通電が開始されるのである。
【0143】
すなわち、本内燃機関用点火装置では、通電開始時期遅延制御処理を実行することで、電源電圧値に応じて一次巻線L1への通電時期を遅延させ、電源電圧の変動が生じた場合でも点火コイル13に蓄積する磁束エネルギをほぼ一定に制御している。このため、本実施例の内燃機関用点火装置では、電源電圧の変動の影響により過剰な磁束エネルギが点火コイルに蓄積されるのを防ぐことができ、火花放電遮断時に、許容量を超えた電荷がコンデンサ87に供給されるのを防ぐことができる。
【0144】
なお、通電開始時期遅延制御処理は、一次巻線への通電開始時期のみを制御するものであり、点火時期を変更することはなく、本内燃機関用点火装置は、ECU31で実行される点火制御処理にて決定された点火時期で火花放電が発生するよう動作する。
【0145】
次に、上記実施例(以下、第1実施例という)よりも、信号処理制御回路23における入力端子が少ない内燃機関用点火装置を、第2実施例として以下に説明する。なお、第2実施例は、第1実施例と比べて信号処理装置21のみが異なることから、異なる部分を中心に説明する。そして、第2実施例の内燃機関用点火装置における信号処理装置21を図7に示す。
【0146】
図7に示すように、第2実施例の信号処理装置21は、信号処理制御回路23と、第1IG信号入力回路25,第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225、火花持続信号入力回路27に加えて、IG信号合成回路29を備えている。
【0147】
このIG信号合成回路29は、第1IG信号入力回路25,第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225から、それぞれ第1基準点火指令信号IG1,第2基準点火指令信号IG2,第3基準点火指令信号IG3が入力される。また、IG信号合成回路29は、信号処理制御回路23に対して合成点火指令信号IGMを出力する。
【0148】
そして、IG信号合成回路29は、入力される3個の基準点火指令信号IGのうち少なくとも1個がハイレベルであるときには合成点火指令信号IGMをハイレベルに設定し、3個の基準点火指令信号のすべてがローレベルであるときには合成点火指令信号IGMをローレベルに設定する。
【0149】
また、信号処理制御回路23には、ECU31が発信元となる信号としては、第1基準点火指令信号IG1と、火花持続信号Scと、合成点火指令信号IGMの3個の信号が入力される。このため、ECU31が第1気筒に対する火花放電を発生させるために第1基準点火指令信号IG1を状態変化させる際には、第1基準点火指令信号IG1とともに合成点火指令信号IGMが状態変化を示す事になる。これに対して、ECU31が、第2気筒あるいは第3気筒に対する火花放電を発生させるために第2基準点火指令信号IG2あるいは第3基準点火指令信号IG3を状態変化させる際には、合成点火指令信号IGMのみが状態変化を示す事になる。
【0150】
ここで、本内燃機関用点火装置が設けられた内燃機関では、例えば、第1気筒,第2気筒,第3気筒の順番に火花放電を発生させることが決まっている。このことから、信号処理制御回路23は、第1基準点火指令信号IG1および合成点火指令信号IGMが同時に状態変化をした場合には、第1気筒に対する基準点火指令信号と判断して、合成点火指令信号IGMの状態変化に応じて第1点火指令信号Sa1を状態変化させる。その後、合成点火指令信号IGMが状態変化した場合には第2気筒に対する基準点火指令信号と判断して、合成点火指令信号IGMの状態変化に応じて第2点火指令信号Sa2を状態変化させる。さらにその後、合成点火指令信号IGMが状態変化した場合には、第3気筒に対する基準点火指令信号と判断して、合成点火指令信号IGMの状態変化に応じて第3点火指令信号Sa3を状態変化させる。
【0151】
つまり、第2実施例の信号処理制御回路23は、第1気筒に対応する第1基準点火指令信号IG1を基準として、合成点火指令信号IGMが入力される毎に、例えば、第1気筒,第2気筒,第3気筒の順番に点火指令信号を出力することで、各気筒における火花放電を適切な時期に発生させている。
【0152】
このため、第2実施例の内燃機関用点火装置によれば、信号処理制御回路23にすべての気筒に対応する基準点火指令信号を入力する必要がないため、第1実施例に比べて入力端子が少ない信号処理制御回路を用いて、内燃機関を運転することができる。
【0153】
したがって、本第2実施例の内燃機関用点火装置によれば、信号処理装置に備えられる信号処理制御回路における入力端子を削減でき、信号処理制御回路の占有面積が小さくなるため、実装密度を向上させることができる。
なお、本第2実施例の内燃機関用点火装置では、第1IG信号入力回路25が第1信号経路に相当し、IG信号合成回路29が第2信号経路に相当する。
【0154】
次に、上記第1実施例よりもECU31から信号処理装置21への信号経路が少ない内燃機関用点火装置1を、第3実施例として説明する。そして、図8に、第3実施例の内燃機関用点火装置の概略構成図を示す。
図8に示すように、第3実施例の内燃機関用点火装置1は、信号処理装置21と電源電圧検出回路33と一次コイル駆動回路と点火コイルと点火プラグと再通電用回路と、を備えており、また、図示しない直流電源装置11とECU31を備えている。なお、一次コイル駆動回路と点火コイルと点火プラグと再通電用回路については、第1気筒から第3気筒に対応してそれぞれ3個ずつ備えられている。
【0155】
そして、第3実施例の内燃機関用点火装置は、第1実施例と比べて信号処理装置21およびECU31における火花放電継続時間Tcの通知に関する構成および処理内容が異なることから、異なる部分を中心に説明する。
まず、ECU31は、火花持続信号Scを出力するための出力端子は設けられておらず、第1基準点火指令信号IGSc1,第2基準点火指令信号IGSc2,第3基準点火指令信号IGSc3の、3個の信号を信号処理装置21に対して出力する出力端子が設けられている。
【0156】
そして、ECU31は、内燃機関の運転状態に応じて設定した火花放電継続時間Tcを、通常の基準点火指令信号とはパルス幅が異なる通知用基準点火指令信号を用いて信号処理制御回路23に通知する。例えば、火花放電継続時間Tcに対応する通知用基準点火指令信号の連続出力回数を予めマップとして定めておき、内燃機関の運転状態に応じて設定した火花放電継続時間Tcに対応する回数だけ通知用基準点火指令信号を出力するのである。
【0157】
なお、通知用基準点火指令信号の連続出力回数は、気筒ごとの区別をしてカウントするのではなく、例えば、連続回数3回の通知用基準点火指令信号を出力する際には、第1基準点火指令信号IGSc1,第2基準点火指令信号IGSc2,第3基準点火指令信号IGSc3を、それぞれ通常時とはパルス幅の異なる通知用点火指令信号として連続出力することで3回とカウントすればよい。
【0158】
また、内燃機関の運転状態は、ミリ秒単位の短い周期で行われる火花放電の間に大きく変化することは無いため、火花放電継続時間Tcの通知周期は、複数回(例えば、100回)の燃焼サイクルに1回の周期で行うよう構成されている。
次に、信号処理装置21は、マイコンにて構成される信号処理制御回路23と、第1基準点火指令信号IGSc1,第2基準点火指令信号IGSc2,第3基準点火指令信号IGSc3をそれぞれ信号処理制御回路23に入力するための信号経路を形成する第1IG信号入力回路25,第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225と、を備えている。
【0159】
ここで、本第3実施例では、基準点火指令信号を用いて火花放電継続時間Tcを通知することから、第1IG信号入力回路25,第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225は、それぞれ、第1実施例における火花持続信号入力回路としての役割も担っている。
【0160】
次に、信号処理制御回路23において実行される火花放電継続時間読込処理について説明する。なお、この火花放電継続時間読込処理は、内燃機関が始動されると同時に起動されて処理を開始し、また、各気筒ごとに実行されるのではなく、全気筒共通の火花放電継続時間を読み込む処理を行う。
【0161】
そして、火花放電継続時間読込処理が開始されると、まず、パルス幅に基づいて、入力される基準点火指令信号の論理和(OR)信号が通知用基準点火指令信号であるか否かを判定する。このとき、通知用基準点火指令信号であると判定すると、この後、通常の基準点火指令信号が入力されるまでに、通知用基準点火指令信号が入力される回数をカウントする。
【0162】
そして、通常の基準点火指令信号が入力されて、通知用基準点火指令信号の連続出力回数が確定すると、ECU31に備えられた前述のマップに設定されている火花放電継続時間Tcと通知用基準点火指令信号の連続出力回数との対応関係に基づき、確定した通知用基準点火指令信号の連続出力回数から火花放電継続時間Tcを読み取る。
【0163】
このあと再び、パルス幅に基づいて、入力される基準点火指令信号の論理和(OR)信号が通知用基準点火指令信号であるか否かの判定を行い、上述の一連の処理を繰り返すことで、ECU31から通知される火花放電継続時間Tcを読み込み、火花放電継続時間Tcを更新する。そして、100回の燃焼サイクルに1回の割合で通知される火花放電継続時間Tcを読み取るごとに、火花放電継続時間Tcを更新する。
【0164】
また、第3実施例の信号処理制御回路23では、図6に示す第1実施例の火花放電遮断制御処理とは、S550における処理内容が異なる火花放電遮断制御処理が実行される。つまり、第3実施例において実行される火花放電遮断制御処理のS550では、火花持続信号Scからではなく、火花放電継続時間読込処理により更新される火花放電継続時間Tcを読込み、このあとの燃焼サイクルで使用する火花放電継続時間Tcとして決定する。そして、このあと火花放電遮断制御処理では、第1実施例のS560からS590までの処理と同様の処理を行うことで、点火時期から火花放電継続時間Tcが経過した時点で火花放電遮断動作を行い、火花放電を強制的に遮断する。
【0165】
なお、第3実施例の火花放電遮断制御処理についても、第1実施例と同様に、各気筒毎に1燃焼サイクルに1回の割合で実行されており、内燃機関が始動された後、各気筒に対応する基準点火指令信号IGが立ち上がり方向(ローレベルからハイレベル)に変化すると同時に起動されて処理を開始する。
【0166】
ここで、第3実施例の内燃機関用点火装置1における第1気筒から第3気筒のそれぞれに対応する基準点火指令信号、各気筒の基準点火指令信号の論理和(OR)信号、および各気筒に対応する点火プラグ17の中心電極17aの電位のタイムチャートを図9に示す。
【0167】
図9に示すように、時刻t33から時刻t36の間にECU31から出力された基準点火指令信号の論理和(OR)信号は、通常の基準点火指令信号のパルス幅Tnよりも長いパルス幅Tspkの通知用基準点火指令信号であり、火花放電継続時間Tcを更新することを示している。このため、時刻t37以降に発生する火花放電では、自然に火花放電が終了するまでの火花放電継続時間Ttaよりも短い火花放電継続時間Ttbで火花放電が遮断されている。そして、時刻t37以降に発生する火花放電は、次の火花放電継続時間Tcの更新が行われるまで、点火時期から火花放電継続時間Ttbが経過した時点で火花放電が強制的に遮断される。
【0168】
次に、第3実施例よりも、信号処理制御回路23における入力端子が少ない内燃機関用点火装置を、第4実施例として以下に説明する。なお、第4実施例は、第3実施例と比べて信号処理装置21のみが異なることから、異なる部分を中心に説明する。そして、第4実施例の内燃機関用点火装置における信号処理装置21を図10に示す。
【0169】
図10に示すように、第2実施例の信号処理装置21は、信号処理制御回路23と、第1IG信号入力回路25,第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225に加えて、IG信号合成回路29を備えている。
ここで、本第4実施例では、第3実施例と同様に、基準点火指令信号を用いて火花放電継続時間Tcを通知することから、第1IG信号入力回路25,第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225は、それぞれ、火花持続信号入力回路としての役割も担っている。
【0170】
そして、IG信号合成回路29は、第1IG信号入力回路25,第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225から、それぞれ第1基準点火指令信号IGSc1,第2基準点火指令信号IGSc2,第3基準点火指令信号IGSc3が入力される。また、IG信号合成回路29は、信号処理制御回路23に対して合成点火指令信号IGScMを出力する。
【0171】
なお、IG信号合成回路29は、入力される3個の基準点火指令信号のうち少なくと1個がハイレベルであるときには合成点火指令信号IGScMをハイレベルに設定し、3個の基準点火指令信号のすべてがローレベルであるときには合成点火指令信号IGScMをローレベルに設定する。
【0172】
また、信号処理制御回路23には、ECU31が発信元となる信号としては、第1基準点火指令信号IGSc1と、合成点火指令信号IGScMの2個の信号が入力される。このため、ECU31が第1気筒に対する火花放電を発生させるために第1基準点火指令信号IGSc1を状態変化させる際には、第1基準点火指令信号IGSc1とともに合成点火指令信号IGScMが状態変化を示す事になる。これに対して、ECU31が、第2気筒あるいは第3気筒に対する火花放電を発生させるために第2基準点火指令信号IGSc2あるいは第3基準点火指令信号IGSc3を状態変化させる際には、合成点火指令信号IGScMのみが状態変化を示す事になる。
【0173】
ここで、本内燃機関用点火装置が設けられた内燃機関では、例えば、第1気筒,第2気筒,第3気筒の順番に火花放電を発生させることが決まっている。このことから、信号処理制御回路23は、第1基準点火指令信号IGSc1および合成点火指令信号IGScMが同時に状態変化をした場合には、第1気筒に対する基準点火指令信号と判断して、合成点火指令信号IGScMの状態変化に応じて第1点火指令信号Sa1を状態変化させる。その後、合成点火指令信号IGScMが状態変化した場合には第2気筒に対する基準点火指令信号と判断して、合成点火指令信号IGScMの状態変化に応じて第2点火指令信号Sa2を状態変化させる。さらにその後、合成点火指令信号IGScMが状態変化した場合には、第3気筒に対する基準点火指令信号と判断して、合成点火指令信号IGScMの状態変化に応じて第3点火指令信号Sa3を状態変化させる。
【0174】
つまり、第4実施例の信号処理制御回路23は、第1気筒に対応する第1基準点火指令信号IGSc1を基準として、合成点火指令信号IGScMが入力される毎に、例えば、第1気筒,第2気筒,第3気筒の順番に点火指令信号を出力することで、各気筒における火花放電を適切な時期に発生させている。
【0175】
このため、第4実施例の内燃機関用点火装置によれば、信号処理制御回路23にすべての気筒に対応する基準点火指令信号を入力する必要がないため、第3実施例に比べて入力端子が少ない信号処理制御回路を用いて、内燃機関を運転することができる。
【0176】
また、信号処理制御回路23では、合成点火指令信号IGScMのパルス幅を判定することで通知用基準点火指令信号の連続出力回数をカウントし、火花放電継続時間Tcを読み込む処理を行う。このため、合成点火指令信号IGScMから通知用基準点火指令信号を判定できるため、信号処理制御回路23の内部で3気筒分の基準点火指令信号の論理和(OR)を求める処理を省略することができ、信号処理制御回路23における処理負荷の上昇を抑えることができる。
【0177】
したがって、本第4実施例の内燃機関用点火装置によれば、信号処理装置に備えられる信号処理制御回路における入力端子を削減でき、信号処理制御回路の占有面積が小さくなるため、実装密度を向上させることができる。また、信号処理制御回路における処理負荷の上昇を抑制することができる。
【0178】
なお、本第4実施例の内燃機関用点火装置では、第1IG信号入力回路25が第1信号経路に相当し、IG信号合成回路29が第2信号経路に相当する。
次に、ECU31から入力された基準点火指令信号を直接一次コイル駆動回路に出力するよう構成された信号処理装置21を備える内燃機関用点火装置を、第5実施例として説明する。そして、図11に、第5実施例の内燃機関用点火装置の概略構成図を示す。
【0179】
図11に示すように、第5実施例の内燃機関用点火装置は、信号処理装置21と電源電圧検出回路33と一次コイル駆動回路と点火コイルと点火プラグと再通電用回路と、を備えており、また、図示しない直流電源装置11とECU31を備えている。なお、一次コイル駆動回路と点火コイルと点火プラグと再通電用回路については、第1気筒から第3気筒に対応してそれぞれ3個ずつ備えられている。
【0180】
そして、第5実施例の内燃機関用点火装置は、第3実施例と比べて信号処理装置21における構成および処理内容が異なることから、異なる部分を中心に説明する。
まず、信号処理装置21は、マイコンにて構成される信号処理制御回路23と、第1基準点火指令信号IGSc1,第2基準点火指令信号IGSc2,第3基準点火指令信号IGSc3をそれぞれ信号処理制御回路23に入力するための信号経路を形成する第1IG信号入力回路25,第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225と、第1基準点火指令信号IGSc1,第2基準点火指令信号IGSc2,第3基準点火指令信号IGSc3を直接それぞれ第1一次コイル駆動回路15,第2一次コイル駆動回路115,第3一次コイル駆動回路215に対して出力するための信号経路を遮断するための第1点火指令信号遮断回路35,第2点火指令信号遮断回路135,第3点火指令信号遮断回路235と、を備えている。
【0181】
そして、信号処理装置21は、各気筒に対応して、IG信号入力回路から出力される基準点火指令信号を直接一次コイル駆動回路に対して出力するための信号経路が設けられている。
また、信号処理装置21における第1IG信号入力回路25から第1一次コイル駆動回路15にかけての信号経路には、第1点火指令信号遮断回路35が設けられている。この第1点火指令信号遮断回路35は、外部からの指令信号が入力されない時には、第1IG信号入力回路25から第1一次コイル駆動回路15にかけての信号経路を接続する状態(接続状態)となり、外部からの指令信号が入力される時には、第1IG信号入力回路25から第1一次コイル駆動回路15にかけての信号経路を遮断する状態(遮断状態)となるよう構成されている。そして、第1点火指令信号遮断回路35は、信号処理制御回路23からの第1通電開始遅延信号Sd1が入力されており、この第1通電開始遅延信号Sd1がローレベルの時に接続状態となり、第1通電開始遅延信号Sd1がハイレベルの時に遮断状態となる。
【0182】
さらに、第2IG信号入力回路125,第3IG信号入力回路225から第2基準点火指令信号IGSc2,第3基準点火指令信号IGSc3をそれぞれ第2一次コイル駆動回路115,第3一次コイル駆動回路215に通知するため信号経路には、第2点火指令信号遮断回路135および第3点火指令信号遮断回路235が設けられている。そして、第2点火指令信号遮断回路135には信号処理制御回路23からの第2通電開始遅延信号Sd2が入力され、第3点火指令信号遮断回路235には信号処理制御回路23からの第3通電開始遅延信号Sd3が入力されて、それぞれの通電開始遅延信号に基づいて接続状態あるいは遮断状態となる。
【0183】
そして、信号処理制御回路23は、第3実施例と同様に、第1基準点火指令信号IGSc1,第2基準点火指令信号IGSc2,第3基準点火指令信号IGSc3のうち、通常時とはパルス幅の異なる通知用点火指令信号から、火花放電継続時間Tcを読み込む処理を行う。また、読み込んだ火花放電継続時間Tcに基づき、第1気筒に対応する再通電用回路51に対して第1火花放電遮断指令信号Sb1を出力し、さらに、第2気筒および第3気筒に対応する再通電用回路に対しては、それぞれ第2火花放電遮断指令信号Sb2および第3火花放電遮断指令信号Sb3を出力する。これにより、ECU31から通知された火花放電継続時間Tcを用いて、各気筒の火花放電遮断を行う。
【0184】
また、信号処理制御回路23は、点火指令信号(Sa1,Sa2,Sa3)を出力することはなく、第1点火指令信号遮断回路35,第2点火指令信号遮断回路135,第3点火指令信号遮断回路235から、各一次コイル駆動回路に出力される信号が、それぞれ第1点火指令信号Sa1,第2点火指令信号Sa2,第3点火指令信号Sa3に相当する。
【0185】
そして、信号処理制御回路23は、第1通電開始遅延信号Sd1,第2通電開始遅延信号Sd2,第3通電開始遅延信号Sd3を出力することで、第1点火指令信号Sa1,第2点火指令信号Sa2,第3点火指令信号Sa3の状態を強制的にローレベルに維持することができる。つまり、信号処理制御回路23は、ECU31から基準点火指令信号が入力される時期に一次電流の通電が開始されるのを阻止して、一次電流の通電開始時期を遅延させることができる。
【0186】
次に、信号処理制御回路23にて実行される通電開始時期遅延制御処理について説明する。
なお、第5実施例の通電開始時期遅延制御処理は、図5に示す第1実施例の通電開始時期遅延制御処理と処理内容はほぼ同じであるが、S140と、S170における処理内容が異なることから、異なる部分を中心に説明する。
【0187】
まず、第5実施例におけるS140では、第1通電開始遅延信号Sd1をハイレベルに設定することで、第1点火指令信号遮断回路35を遮断状態として、第1一次コイル駆動回路15に第1基準点火指令信号IGSc1が入力されないようにする。すなわち、第1基準点火指令信号IGSc1により第1点火指令信号Sa1が制御されないようにすることで、ECU31からの指令に拘わらず、第1一次コイル駆動回路15をオフ状態に維持し、一次電流の通電を強制的に禁止するのである。
【0188】
そして、通電開始遅延時間Tsが経過したS170では、第1通電開始遅延信号Sd1をローレベルに設定することで、第1点火指令信号遮断回路35を接続状態として、第1一次コイル駆動回路15に第1基準点火指令信号IGSc1が入力されるようにする。すなわち、第1基準点火指令信号IGSc1により第1点火指令信号Sa1が制御されるようにすることで、第1一次コイル駆動回路15をオン状態に維持し、一次電流の通電を開始するのである。
【0189】
また、第5実施例の通電開始時期遅延制御処理は、第1実施例と同様に、内燃機関の起動直後は予め定められた通電開始遅延時間Tsの初期値に基づいて一次電流i1の通電開始時期の制御を行い、その後、5回の燃焼サイクルに1回の割合で電源電圧の検出を行い、検出した電源電圧に基づいて通電開始遅延時間Tsを更新する。さらに、通電開始時期遅延制御処理では、最終的に設定されている通電開始遅延時間Tsに基づいて、一次巻線L1への通電開始時期の遅延制御を行っている。
【0190】
ここで、図12に、第5実施例の内燃機関用点火装置における第1気筒に対応する部分の構成図を示す。
図12に示すように、第5実施例の内燃機関用点火装置1は、直流電源装置11と、点火コイル13と、主制御用トランジスタ15と、点火プラグ17と、再通電用回路51と、信号処理装置21と、電子制御装置(以下、ECUと呼ぶ)31と、電源電圧検出回路33と、を備えている。
【0191】
なお、点火コイル13は図11における第1点火コイル13に相当し、主制御用トランジスタ15は図11における第1一次コイル駆動回路15に相当し、点火プラグ17は図11における第1点火プラグ17に相当し、再通電用回路51は図11における第1再通電用回路51に相当する。また、第2気筒および第3気筒についても、点火コイル、一次コイル駆動回路、点火プラグ、再通電用回路は、それぞれ図12における点火コイル13、主制御用トランジスタ15、点火プラグ17、再通電用回路51と、同様に構成されている。
【0192】
そして、信号処理装置21は、マイコンにて構成される信号処理制御回路23と、第1IG信号入力回路25と、第2IG信号入力回路125と、第3IG信号入力回路225と、npn型の信号遮断用トランジスタ39と、抵抗37と、を備えている。なお、信号遮断用トランジスタ39および抵抗37は、図11における第1点火指令信号遮断回路35に相当する。なお、図12には図示しないが、信号処理装置21には、第2気筒および第3気筒に対応する信号遮断用トランジスタと抵抗とがそれぞれ備えられている。
【0193】
また、第1IG信号入力回路25は、ECU31からの第1基準点火指令信号IGSc1を信号処理制御回路23に出力すると共に、抵抗37を介して主制御用トランジスタ15に対しても出力する。なお、抵抗37から主制御用トランジスタ15に入力される信号を第1点火指令信号Sa1と呼ぶこととする。
【0194】
次に、信号遮断用トランジスタ39は、ベースが信号処理制御回路23における第1通電開始遅延信号Sd1の出力端子に接続され、エミッタがグランドに接地され、コレクタが抵抗37と主制御用トランジスタ15のベース15bとの接続点に接続されている。
【0195】
そして、信号遮断用トランジスタ39のベースに入力される第1通電開始遅延信号Sd1がローレベル(一般にグランド電位)である場合には、信号遮断用トランジスタ39にベース電流は流れず、信号遮断用トランジスタ39はオフ状態となる。このとき、主制御用トランジスタ15のベース15bに入力される第1点火指令信号Sa1は、ECU31が出力する第1基準点火指令信号IGSc1の状態に基づいて状態が決定される。つまり、信号遮断用トランジスタ39がオフ状態であるときには、主制御用トランジスタ15は、ECU31からの第1基準点火指令信号IGSc1によって、オン状態あるいはオフ状態に制御される。
【0196】
また、第1通電開始遅延信号Sd1がハイレベル(例えば、定電圧電源からの供給電圧5[v])である場合には、信号遮断用トランジスタ39にベース電流が流れ、信号遮断用トランジスタ39はオン状態となる。このとき、第1点火指令信号Sa1は強制的にローレベルに維持されることになり、ECU31が出力する第1基準点火指令信号IGSc1の状態に基づいて第1点火指令信号Sa1の状態が決定されることはない。つまり、信号遮断用トランジスタ39がオン状態であるときには、主制御用トランジスタ15は、ECU31からの第1基準点火指令信号IGSc1に拘わらず、オフ状態を維持することになる。
【0197】
よって、信号処理制御回路23から出力される第1通電開始遅延信号Sd1がローレベルであるときには、主制御用トランジスタ15は、ECU31からの指令(第1基準点火指令信号IGSc1)に基づいてオン状態あるいはオフ状態が決定される。また、第1通電開始遅延信号Sd1がハイレベルであるときには、主制御用トランジスタ15は、ECU31からの指令(第1基準点火指令信号IGSc1)に依らず常にオフ状態となる。
【0198】
ここで、図13に、図12に示す第5実施例の内燃機関用点火装置における、第1基準点火指令信号IGSc1,第1点火指令信号Sa1、第1通電開始遅延信号Sd1、一次電流i1,点火プラグ17の中心電極17aの電位Vp、の各状態を表すタイムチャートを示す。
【0199】
図13における時刻t1にて、第1基準点火指令信号IGSc1がローからハイレベルに切り換わると、これに同期して、かつ電源電圧検出回路33にて検出された電源電圧の分圧Vsに基づいて第1通電開始遅延信号Sd1がローからハイレベルに切り換わり、これにより第1点火指令信号Sa1はローレベルに維持されるため、一次巻線L1に一次電流i1は流れない。そして、通電開始遅延時間が経過した時刻t2にて、第1通電開始遅延信号Sd1がローレベルに切り換わると第1点火指令信号Sa1がローからハイレベルに切り換わり、主制御用トランジスタ15がオン状態となって一次電流i1が流れ始める。
【0200】
さらに時間が経過して点火時期である時刻t3になると、第1基準点火指令信号IGSc1がハイからローレベルに切り換わり、主制御用トランジスタ15がオフ状態となる。これにより、一次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断され、点火プラグ17の中心電極17aに負の点火用高電圧が印加されて、その電位Vpが急峻に低下し、点火プラグ17の電極17a−17b間に火花放電が発生する。そして、別途設定された火花放電継続時間が経過した時刻t4にて、第1火花放電遮断指令信号Sb1(図13では図示省略)がハイレベルとなり、火花放電が強制的に遮断される。
【0201】
このように、本第5実施例では、第1基準点火指令信号IGSc1がハイレベルとなっても、第1通電開始遅延信号Sd1がハイレベルであるときには一次電流i1が流れることはないため、第1通電開始遅延信号Sd1によって、一次電流i1の通電開始時期が遅延可能となることが判る。これにより、本第5実施例の内燃機関用点火装置における一次電流通電時間は、ECU31によって設定される一次電流通電時間(時刻t1から時刻t3)よりも短い時間(時刻t2から時刻t3)となることが判る。
【0202】
なお、信号処理制御回路23は、一次巻線L1への通電開始時期のみを制御するものであり、点火時期を変更することはなく、点火時期はECU31によって決定される。このため、信号処理制御回路23により点火時期に影響が及ぶことはない。
【0203】
以上説明したように、本第5実施例の内燃機関用点火装置によれば、電源電圧値に応じて一次巻線L1への通電時期を遅延させることで、電源電圧の変動が生じた場合でも点火コイル13に蓄積する磁束エネルギをほぼ一定に制御することができる。このため、本実施例の内燃機関用点火装置では、電源電圧の変動の影響により過剰な磁束エネルギが点火コイルに蓄積されるのを防ぐことができ、火花放電遮断時に、許容量を超えた電荷がコンデンサ87に供給されるのを防ぐことができる。
【0204】
また、何らかの原因により、信号処理制御回路23から第1通電開始遅延信号Sd1が出力できない状態となっても、信号遮断用トランジスタ39はオフ状態となるため、ECU31によって主制御用トランジスタ15が制御されて一次電流i1の通電および遮断の制御が行われることから、内燃機関の運転を継続することが可能である。
【0205】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、直流電源装置としては、商用電源からの交流電圧を変化して直流電圧を出力する直流電源装置ではなく、充電された電気エネルギを直流電圧として出力するバッテリを用いても、本発明の内燃機関用点火装置を実現できる。
【0206】
また、上記実施例では、5回の燃焼サイクルに1回の割合で電源電圧を検出して通電開始遅延時間Tsを更新しているが、この更新周期は、例えば、10回の燃焼サイクルに1回でも良く、電源電圧の変動が発生する可能性に応じて最適な更新周期を設定するとよい。
【0207】
さらに、燃料として気体燃料を用いるガスエンジンに限定することはなく、例えばガソリンなどの液体燃料を用いる内燃機関において本発明の内燃機関用点火装置を適用してもよい。
また、上記実施例では、通知用基準点火指令信号の連続出力回数で火花放電継続時間を通知する方法が記載されているが、火花放電継続時間Tcに対応するパルス幅の大きさを予めマップとして定めておき、1つの通知用基準点火指令信号のパルス幅の大きさによって火花放電継続時間を通知するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の内燃機関用点火装置における第1気筒に対応する部分の構成図である。
【図2】 主制御用トランジスタ15およびトランジスタ85の詳細構成を表す回路図である。
【図3】 第1実施例の内燃機関用点火装置の各部の状態を表すタイムチャートである。
【図4】 第1実施例の内燃機関用点火装置の概略構成図である。
【図5】 通電開始時期遅延制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】 火花放電遮断制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】 第2実施例の内燃機関用点火装置における信号処理装置21の構成図である。
【図8】 第3実施例の内燃機関用点火装置の概略構成図である。
【図9】 第3実施例の内燃機関用点火装置の各部の状態を表すタイムチャートである。
【図10】 第4実施例の内燃機関用点火装置における信号処理装置21の構成図である。
【図11】 第5実施例の内燃機関用点火装置の概略構成図を示す。
【図12】 第5実施例の内燃機関用点火装置における第1気筒に対応する部分の構成図である。
【図13】 第5実施例の内燃機関用点火装置の各部の状態を表すタイムチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関用点火装置、11…直流電源装置、13…点火コイル、15…主制御用トランジスタ、17…点火プラグ、21…信号処理装置、23…信号処理制御回路、25…第1IG信号入力回路、27…火花持続信号入力回路、29…IG信号合成回路、31…電子制御装置(ECU)、33…電源電圧検出回路、51…再通電用回路。

Claims (8)

  1. 直流電源装置と、
    該直流電源装置により電源電圧が印加されることで一次電流が流れる一次巻線と、内燃機関に装着された点火プラグと閉ループを形成する二次巻線とを有する点火コイルと、
    前記一次巻線に直列接続され、前記一次巻線に流れる一次電流を断続するためのスイッチング手段と、
    点火時期を制御する点火指令信号を出力し、前記スイッチング手段にて前記一次巻線に流れる一次電流を断続して二次巻線に点火用高電圧を発生させ、前記点火プラグに火花放電を発生させる点火制御手段と、を備えた内燃機関用点火装置であって、
    内燃機関の運転状態に基づいて、前記点火プラグにおける火花放電継続時間を設定する火花放電継続時間設定手段と、
    前記火花放電継続時間を制御する火花放電遮断指令信号を出力する火花放電遮断制御手段と、
    前記点火プラグにて火花放電が発生してから、前記火花放電遮断指令信号に従い前記一次巻線に一次電流を再通電し、該火花放電を遮断させる火花放電遮断用回路と、を備えるとともに、
    さらに、前記点火制御手段による一次巻線への通電によって前記点火コイルに蓄積される磁束エネルギをほぼ一定に維持するエネルギ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 前記火花放電遮断用回路は、
    前記火花放電遮断指令信号に従い前記一次巻線に一次電流を再通電する火花放電遮断用スイッチング手段と、
    該火花放電遮断用スイッチング手段に直列接続され、前記一次巻線への再通電が開始されてから前記点火プラグに火花放電が発生しないように該一次巻線に流れる一次電流を減少させる電流調整手段とを有し、前記スイッチング手段に並列接続される再通電用回路、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
  3. 前記電流調整手段は、前記一次巻線と前記スイッチング手段との接続端から前記火花放電遮断用スイッチング手段までの通電経路上に備えられており、
    前記再通電用回路は、
    前記電流調整手段と前記一次巻線との間に直列接続される抵抗と、
    アノードが前記抵抗と前記一次巻線との接続端に接続され、カソードが前記抵抗と前記電流調整手段との接続端に接続されて前記抵抗と並列接続されるダイオードと、
    を備えること、
    を特徴とする請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
  4. 前記エネルギ制御手段は、
    前記直流電源装置から出力される電源電圧値を検出し、該電源電圧値に基づき前記一次巻線への通電開始を遅らせるための通電開始遅延時間を設定するとともに、前記点火制御手段による該一次巻線への通電開始時期を該通電開始遅延時間だけ遅らせる通電開始時期遅延手段、を備えたこと、
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の内燃機関用点火装置。
  5. 複数の気筒を備える内燃機関に用いられる請求項4に記載の内燃機関用点火装置であって、
    各気筒に装着された前記点火プラグに対応して、前記点火コイル、前記スイッチング手段および前記火花放電遮断用回路とが、気筒毎に設けられ、
    前記点火制御手段は、
    前記火花放電継続時間設定手段を備える主制御装置であって、内燃機関の運転状態に基づいて、各気筒の前記点火時期と前記火花放電継続時間を設定し、該点火時期に応じた基準点火指令信号を生成する主制御装置と、
    前記通電開始時期遅延手段と前記火花放電遮断制御手段を備える信号処理装置であって、前記主制御装置からの前記基準点火指令信号を入力し、当該基準点火指令信号による前記一次巻線への通電開始時期を前記通電開始遅延時間だけ遅らせた形の点火指令信号として前記スイッチング手段に出力すると共に、前記主制御装置にて設定された前記火花放電継続時間に基づき、前記火花放電遮断用回路に出力するための前記火花放電遮断指令信号を生成する信号処理装置と、を各々備えることを特徴とする内燃機関用点火装置。
  6. 前記主制御装置は、前記火花放電継続時間設定手段にて設定した火花放電継続時間を前記信号処理装置に通知するために、前記基準点火指令信号の信号形態を前記点火時期を通知する形を維持しつつ前記火花放電継続時間の情報を含む形に変化させ、
    前記信号処理装置は、前記主制御装置から出力された前記基準用点火指令信号から前記火花放電継続時間を読み取り、該火花放電継続時間に基づき前記火花放電遮断指令信号を生成すること、
    を特徴とする請求項5に記載の内燃機関用点火装置。
  7. 前記信号処理装置は、少なくとも前記火花放電遮断制御手段としての処理と前記通電開始時期遅延手段としての処理とを実行する信号処理制御手段と、
    前記主制御装置が出力する気筒毎の前記基準点火指令信号のうちの1つを前記信号処理制御手段に入力する第1信号経路と、
    前記主制御装置が出力するすべての前記基準点火指令信号を合成して1つの合成点火指令信号として前記信号処理制御手段に入力する第2信号経路と、を備え、
    前記信号処理制御手段は、前記第1信号経路から前記基準点火指令信号が入力される時期を基準として、前記第2信号経路から前記合成点火指令信号が入力される毎に、予め定められた気筒順に前記点火指令信号を出力すること、
    を特徴とする請求項5または請求項6に記載の内燃機関用点火装置。
  8. 前記内燃機関は、燃料として気体燃料を用いるガスエンジンであること、を特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の内燃機関用点火装置。
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