JP2002048038A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

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JP2002048038A
JP2002048038A JP2000231270A JP2000231270A JP2002048038A JP 2002048038 A JP2002048038 A JP 2002048038A JP 2000231270 A JP2000231270 A JP 2000231270A JP 2000231270 A JP2000231270 A JP 2000231270A JP 2002048038 A JP2002048038 A JP 2002048038A
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combustion engine
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JP2000231270A
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Hiroshi Inagaki
浩 稲垣
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火花エネルギを制御するべく一次電流の通電
により火花放電を遮断する内燃機関用点火装置におい
て、一次電流の通電による温度上昇を抑えることによ
り、点火コイルなどが破損するのを防ぐ。 【解決手段】 図4に示す内燃機関用点火装置1におい
ては、一次電流i1の大きさに応じて電流制限トランジ
スタ23がオン状態となると、主制御トランジスタ17
のベースに流れる電流が減少し、主制御トランジスタ1
7の電流増幅率の関係から、一次電流i1の電流値が減
少する。そして、電流制限用抵抗21の両端電圧、電流
制限トランジスタ23の駆動電圧、主制御トランジスタ
17の電流増幅率との関係に基づき、一次電流i1は一
定の値で安定する。このように通電後の一次電流i1を
一定値以下に制限することで、過大な一次電流が流れる
ことによる温度上昇を防いでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点火プラグに対し
て点火コイルにて発生した点火用高電圧を印加して当該
点火プラグにて火花放電を発生させた後、火花放電を強
制的に遮断する内燃機関用点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関において、混合気の正常な燃焼
を得るために必要な火花エネルギの大きさは、内燃機関
の運転状態によって異なることが知られている。ここ
で、火花エネルギは、火花放電で流れる放電電流(二次
電流)の大きさおよび火花放電の継続時間として表すこ
とができる。
【0003】例えば、アイドリング運転等の低回転低負
荷時では、燃焼室への混合気の充填量は少なく、混合気
の乱流(スワール流やタンブル流)の流速も遅いため、
混合気の燃焼は非常に緩慢に進む。したがって、低回転
低負荷時に安定した燃焼を得るためには、火花エネルギ
を大きくして火炎核の成長を助け、混合気の燃焼を助け
る必要がある。一方、高回転高負荷時では、燃焼室への
混合気の充填量は多く、混合気密度が高いことから、燃
焼は早く進むため、比較的小さい火花エネルギで充分で
ある。
【0004】このため、従来の内燃機関用点火装置で
は、火花エネルギが不足することのないように、内燃機
関の様々な運転状態の中で必要とされる最大の火花エネ
ルギを供給できるようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、こうした従来
の内燃機関用点火装置は、必要最大の火花エネルギより
少ない火花エネルギで運転可能な状態では、火花エネル
ギの供給が過剰になり、この過剰な火花エネルギの供給
は、混合気への着火性に何等寄与しないばかりか、点火
プラグの電極温度が過剰に上昇して、その電極の消耗を
早めてしまう。
【0006】また、別の問題として、内燃機関では高回
転高負荷となる運転条件下ほど、混合気の乱流の流速が
強く(速く)なるが故、火花エネルギが低下する火花放
電の後半時において、火花が流速下流に流されて、やが
て火花放電が吹き消えて再度発生する、所謂、多重放電
がある。そして、多重放電が発生する現象下では、火花
が流速下流に集中し、かつ、電極温度が急激に上昇する
ことから、点火プラグの電極材の溶融やスパッタリング
が促進され、特に流速下流側の電極ばかりが消耗する、
所謂偏消耗が発生し、点火プラグの寿命を無駄に縮めて
しまうことにつながる。
【0007】これに問題に対して、特公昭57−599
14号公報においては、点火プラグによる火花放電中
に、点火コイルの一次巻線を再通電して一次電流を再度
流すことで上記火花放電を強制的に遮断する内燃機関用
点火装置が提案されている。そして、この公報に記載さ
れた内燃機関用点火装置によれば、火花放電の継続時間
を短縮することで、点火プラグの電極が無駄に消耗され
るのを抑えることができる。
【0008】一方、近年、内燃機関用点火装置では、パ
ワートランジスタ等の半導体素子からなるスイッチング
素子(主制御スイッチング素子)により点火コイルの一
次巻線への通電・非通電(遮断)を切り換える、所謂フ
ルトランジスタ型の点火装置が普及してきている。そし
て、フルトランジスタ型の点火装置においては、主制御
スイッチング素子を用いて一次電流の通電・非通電を容
易に制御できるため、火花放電の発生中に上記主制御ス
イッチング素子を駆動制御して一次巻線への再通電を行
うことにより、火花放電の継続時間を強制的に遮断する
ことが可能である。
【0009】しかし、上述したフルトランジスタ型の点
火装置においては、点火プラグの火花放電を遮断するた
めに一次巻線に通電した後、次の燃焼サイクルの点火の
ための一次電流遮断時まで一次電流の通電を継続して行
うと、一次電流値の上昇に伴って主制御スイッチング素
子や点火コイルの温度が過度に上昇(発熱)して、焼損
を招く虞がある。
【0010】つまり、主制御スイッチング素子の駆動に
より流れる一次電流は、一次巻線の巻線抵抗およびイン
ダクタンスにより定まる時定数に従い電流値が上昇して
いき、最終的には、巻線抵抗と電源電圧により定まる電
流値(所謂、飽和電流値)に到達する。そして、例え
ば、巻線抵抗が1[Ω]で電源電圧が14[V]である
場合、一次電流は約14[A]という飽和電流値に達す
ることとなり、この飽和電流の継続的な通電による温度
上昇によって、スイッチング素子や点火コイルの焼損に
至る可能性は高くなる。
【0011】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
のであり、火花エネルギを制御するべく一次巻線への通
電により点火プラグの火花放電を遮断するフルトランジ
スタ型の内燃機関用点火装置において、主制御スイッチ
ング素子や点火コイルなどの温度上昇を抑えることを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の発明は、一次巻線の一端
が電源装置に接続され、二次巻線が点火プラグと共に閉
ループを形成する点火コイルと、点火コイルの一次巻線
に直列に接続され、電源装置から一次巻線に流れる一次
電流を通電・遮断する主制御スイッチング素子と、主制
御スイッチング素子を駆動制御して一次電流を通電・遮
断することにより、点火コイルの二次巻線に点火用高電
圧を発生させて、点火プラグにて火花放電を発生させる
駆動制御手段と、を備え、駆動制御手段が、内燃機関の
運転状態に基づいて設定され、かつ火花放電によって混
合気を燃焼させるのに要する火花放電継続時間に応じ
て、主制御スイッチング素子を駆動することにより、点
火コイルの一次巻線に通電して、火花放電を強制的に遮
断する内燃機関用点火装置であって、通電時に流れる一
次電流を飽和電流値より小さい値に維持するための電流
制限手段、を備えたことを特徴とする。
【0013】まず、この内燃機関用点火装置では、主制
御スイッチング素子を駆動制御手段により駆動制御する
ことで、電源装置から一次巻線に供給される一次電流を
通電・遮断し、二次巻線に点火用高電圧を発生させ、点
火プラグにて火花放電を発生させている。そして、この
駆動制御手段は、内燃機関の運転状態に基づき設定さ
れ、かつ点火プラグの火花放電によって混合気を燃焼さ
せるのに要する火花放電を自然終了する前に強制的に遮
断している。
【0014】なお、火花放電継続時間については、内燃
機関の運転状態に基づき設定するようにしており、火花
エネルギが少なくてもよい運転条件下(例えば、高回転
高負荷時)では、火花放電継続時間を短く設定すること
で、火花エネルギの過剰な供給を抑えることができる。
逆に、内燃機関の低回転低負荷時のように混合気が着火
しにくい運転条件下では火花放電継続時間を長く設定す
ることで、混合気を確実に燃焼させることが可能とな
る。さらに、上記のように高回転高負荷時に火花放電継
続時間を短くすることで、高回転高負荷時といった混合
気の乱流の流速が強い(速い)条件下において、多重放
電の発生を有効に抑えることができる。つまり、高回転
高負荷時の運転条件下では、混合気への着火性は良好で
あり火花エネルギが小さくても着火できるため、火花放
電継続時間を短く設定し、火花放電の後半時に発生しや
すい多重放電の発生前に火花放電を遮断して、多重放電
の発生を抑えるのである。
【0015】ここで、この内燃機関用点火装置では、点
火プラグの火花放電を強制的に遮断するにあたって、上
記火花放電継続時間に応じて、駆動制御手段により主制
御スイッチング素子を駆動して、一次巻線に通電してい
る。そして、その通電時に一次電流通電経路に流れる一
次電流(一次電流値)を、電流制限手段によって飽和電
流値より小さい値に維持している点が注目すべき点であ
る。つまり、本内燃機関用点火装置では、電流制限手段
により、火花放電を遮断するために一次巻線を通電する
ことで流れる一次電流を、飽和電流値より小さい値に維
持することで、一次電流値の上昇に伴い主制御スイッチ
ング素子や点火コイルが過度に発熱することを防いでい
るのである。
【0016】よって、本発明(請求項1)の内燃機関用
点火装置によれば、点火プラグの火花放電を内燃機関の
運転状態に基づき設定される火花放電継続時間に応じて
遮断すべく一次巻線を通電した後、その通電時に流れる
一次電流を、電流制限手段により飽和電流値より小さい
値に維持することによって、点火プラグの電極消耗を抑
制しつつ、主制御スイッチング素子や点火コイル等が過
度に温度上昇(発熱)するのを抑えることができる。そ
して、このように温度上昇を抑えることにより、主制御
スイッチング素子や点火コイル等が焼損するのを防ぐこ
とができ、内燃機関用点火装置の動作を正常に維持する
ことができる。
【0017】そして、こうした内燃機関用点火装置のう
ち、主制御スイッチング素子がトランジスタで構成され
ている内燃機関用点火装置については、請求項2に記載
のように、電流制限手段が、トランジスタのベース電流
を制限することで、点火コイルの一次巻線への通電時に
流れる一次電流を飽和電流値よりも小さい値に維持する
とよい。
【0018】つまり、トランジスタには電流増幅作用が
あり、コレクタ−エミッタ間に流れる電流は、ベース電
流に比例した大きさ(ベース電流に電流増幅率hFEを乗
じた値)となることから、主制御スイッチング素子であ
るトランジスタのベース電流を制御することにより、一
次電流を制御することができる。
【0019】よって、本発明(請求項2)の内燃機関用
点火装置によれば、主制御スイッチング素子であるトラ
ンジスタのベース電流を制限することで、点火コイルの
一次巻線への通電時に流れる一次電流を飽和電流値より
も小さい値に維持することができ、トランジスタや点火
コイル等が過度に温度上昇するのを抑えることができ
る。これにより、トランジスタや点火コイル等が焼損す
るのを防ぐことができ、内燃機関用点火装置の動作を正
常に維持することができる。
【0020】また、上述(請求項1)の内燃機関用点火
装置は、請求項3に記載のように、電流制限手段が、一
次電流の通電経路に直列接続された抵抗素子と、この抵
抗素子に並列接続されて、外部からの指令に基づき短絡
状態または開放状態となる通電経路スイッチング手段
と、点火コイルの一次巻線への通電が開始された後、通
電経路スイッチング手段を開放状態にして、抵抗素子を
通じて一次電流を流し、そのあと、次の燃焼サイクルに
おける点火のための一次電流遮断時の所定時間前まで
に、通電経路スイッチング手段を短絡状態にして、通電
経路スイッチング手段を通じて一次電流を流す通電経路
制御手段と、を備えたこと、つまり、本内燃機関用点火
装置は、一次電流の通電経路として、抵抗素子からなる
抵抗値の高い通電経路と、通電経路スイッチング手段か
らなる抵抗値の低い通電経路とを備えており、抵抗値の
異なる2つの通電経路を備えることになる。
【0021】そして、点火コイルの一次巻線への通電時
において、通電経路制御手段が通電経路スイッチング手
段を開放状態に駆動制御して、抵抗値の高い通電経路に
一次電流を流すことにより、一次電流値を減少させて飽
和電流値よりも小さい値に維持するのである。なお、抵
抗素子の抵抗値は、一次電流が飽和電流値より小さい値
に維持されるように設定されている。
【0022】そのあと、次の燃焼サイクルにおける点火
のために、一次電流遮断時の所定時間前までに、通電経
路制御手段が、通電経路スイッチング手段を短絡状態に
する事で、通電経路スイッチング手段を通じて一次電流
が流れることになる。つまり、抵抗値の低い通電経路に
一次電流が流れることで、経路損失を抑えることがで
き、次の燃焼サイクルにおける点火プラグの火花放電に
要する磁束エネルギを点火コイルに蓄積する際に、電力
損失を低減することができる。
【0023】なお、ここでいう一次電流遮断時は、点火
プラグにおける火花放電の発生時期であり、ここでいう
所定時間とは、通電経路スイッチング手段を短絡状態と
した後、火花放電に要する磁束エネルギを点火コイルに
蓄積するのに要する所要時間のことである。
【0024】よって、本発明(請求項3)の内燃機関用
点火装置によれば、抵抗素子からなる抵抗値の高い通電
経路に点火コイルの一次巻線への通電時における一次電
流を流すことで、通電時の一次電流値を飽和電流値より
も小さくすることができ、主制御スイッチング素子や点
火コイル等が過度に温度上昇するのを抑えることができ
る。このように温度上昇を抑えることにより、主制御ス
イッチング素子や点火コイル等が焼損するのを防ぐこと
ができ、内燃機関用点火装置の動作を正常に維持するこ
とができる。
【0025】また、次の燃焼サイクルにおける点火のた
めの一次電流遮断時(点火プラグにおける火花放電の発
生時期)の所定時間前においては、通電経路スイッチン
グ手段からなる抵抗値の低い通電経路に一次電流を流す
ことで、火花放電に必要な磁束エネルギを点火コイルに
蓄積することができ、これにより点火プラグにて火花放
電を確実に発生させることができ、失火の発生を抑える
ことができる。
【0026】ここで、主制御スイッチング素子や点火コ
イル等の温度上昇をより良好に抑制するには、点火コイ
ルの一次巻線への通電開始時から一次電流値を小さく維
持することが効果的であるが、この通電開始時の一次電
流値が小さくなりすぎると、点火コイルにおける磁束の
変化方向を変えることができず、二次巻線に発生する誘
導電圧(点火用高電圧)を低下させることができず、点
火プラグにおける火花放電を遮断できない虞がある。
【0027】そこで、上述(請求項1から請求項3のい
ずれか)の内燃機関用点火装置は、請求項4に記載のよ
うに、一次巻線に流れる一次電流の電流値を変化させる
一次電流変更手段を備え、一次電流の通電開始から一定
時間が経過した後、所定期間の間、一次電流変更手段が
一次電流の電流値を低下させるとよい。
【0028】つまり、一次電流の通電開始から一定時間
が経過するまでは、電流制限手段により定められる電流
制限値を上限として一次電流を流すことで火花放電を確
実に遮断し、その後所定期間の間、一次電流変更手段が
一次電流値を低下させることで、より効果的に温度上昇
を抑制するのである。なお、ここでの一定時間について
は、一次電流の通電開始から火花放電の遮断までに要す
る時間を設定すればよく、また、ここでの所定期間につ
いては、一次電流値を低下させるのを停止してから次の
点火時期までの期間が、火花放電の発生に必要な磁束エ
ネルギを点火コイルに蓄積することができる期間以上と
なるように設定するとよい。
【0029】よって、本発明(請求項4)によれば、確
実に火花放電を遮断することができるため、点火プラグ
の無駄な電極消耗を抑えることができる。また、一次電
流変更手段が、所定期間の間、一次電流値を低下させる
ことで、通電による温度上昇をより効果的に抑えること
ができ、主制御スイッチング素子や点火コイルの焼損を
防ぐことができる。
【0030】次に、上述の請求項1または請求項4に記
載の内燃機関用点火装置は、請求項5に記載のように、
燃料として気体燃料を用いるガスエンジンで使用するこ
とで、より効果を発揮する。気体燃料は、液体燃料であ
るガソリンに比べて絶縁性が高いため、相対的に火花放
電電圧が高くなる。従って、気体燃料を用いるガスエン
ジン向けの点火コイルとしての最大二次電圧発生能力
は、ガソリンエンジン向けのそれよりも高く設定してお
く必要がある(例えば、ガソリンエンジン向けの点火コ
イルとしての最大二次電圧が30kV以上とすれば、ガ
スエンジン向けのそれは40kV以上に設定)。そこ
で、点火コイルの設計としては、一次巻線と二次巻線と
の一次/二次の巻き数比および巻き数を増やすこと、或
いは遮断するための一次電流値を上げることが必要にな
る。
【0031】しかしながら、このように点火コイルを設
計することで、最大二次電圧発生能力は上昇するが、同
時に火花エネルギも増加してしまう問題がある。このこ
とは、火花放電継続時間と最大二次電流の相反する関係
が関わっており、火花放電継続時間を短くするように設
計する(点火コイルの設計としては、一次/二次の巻き
数比を少なくする)と、二次電流のピーク値が大きくな
ってしまい、エネルギ密度が上昇することにより点火プ
ラグの電極の消耗が促進されてしまう。また、二次電流
値を少なくするように設計する(点火コイルの設計とし
ては、一次/二次の巻き数を多くする)と、二次電流の
ピーク値は下がる代わりに火花放電の継続時間が長くな
ってしまい、これまた点火プラグの電極の消耗に影響を
及ぼしてしまう。即ち、ガスエンジンではガソリンエン
ジンに比べ、点火プラグへの不要な火花エネルギの供給
量が多くなることが考えられ、点火プラグの寿命をより
短くしてしまうおそれがある。
【0032】そこで気体燃料を用いるガスエンジンに対
して、火花放電を強制的に遮断して火花エネルギを調整
可能な内燃機関用点火装置を適用すれば、火花エネルギ
の過剰な供給を有効に防ぐとともに、最大二次電圧(点
火用高電圧)発生能力を上昇っせることができ、点火プ
ラグの長寿命化を図るといった効果がより発揮されるこ
とになる。
【0033】さらに、本発明の内燃機関用点火装置は、
ガスエンジンの中でも定置型ガスエンジンに適用する場
合に有効となる。定置型ガスエンジンでは、燃費が性能
上重要なファクターであることから、低燃費化のためリ
ーン化が促進されている。このため、定置型ガスエンジ
ンでは、希薄空燃比での燃焼を効率良く行うべく、混合
気の乱流の流速を強くしなければならず、点火プラグの
電極間にて確実に火花放電を発生させるため、一次電流
を大きく設定している。さらに、定置型ガスエンジンで
は、平均エンジン回転速度が1500[rpm]程度で
あり、そのため点火から次の燃焼サイクルにおける点火
までのインターバルが比較的長いことから、火花放電を
遮断すべく一次巻線に通電した後、次の燃焼サイクルの
点火のための一次電流遮断時までの一次電流の通電時間
が長くなる傾向がある。
【0034】そこで、本発明の内燃機関用点火装置を定
置型ガスエンジンに適用することで、電流制限手段によ
って、火花放電を遮断すべく一次巻線を通電することで
流れる一次電流を飽和電流値よりも小さく制限すること
ができるので、一次電流値の上昇に伴う主制御スイッチ
ング素子や点火コイル等の過度な温度上昇をより有効に
抑制することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。まず、図1は、第1実施例の内燃機関用
点火装置の構成を表す電気回路図である。なお、本第1
実施例の内燃機関用点火装置が適用された内燃機関は、
燃料としてガスを用いると共に一定の場所に据え置かれ
る定置型ガスエンジンである。また、本第1実施例で
は、内燃機関に1気筒分について説明を行なうが、本発
明は複数の気筒を備える内燃機関についても適用でき、
各気筒毎の点火装置の基本構成は同様である。
【0036】図1に示すように、第1実施例の内燃機関
用点火装置1は、電源電圧(例えば電圧12V)を出力
する電源装置(バッテリ)11と、内燃機関の気筒に設
けられた点火プラグ13と、一次巻線L1と二次巻線L
2とからなる点火コイル15と、一次巻線L1と直列接
続されたnpn型パワートランジスタからなる主制御ト
ランジスタ17と、主制御トランジスタ17のエミッタ
と電源装置11の負極と同電位のグランドとの間に接続
された電流制限用抵抗21と、主制御トランジスタ17
のベース電流を制御するためのnpn型トランジスタか
らなる電流制限トランジスタ23と、主制御トランジス
タ17に対して第1指令信号Saを出力する電子制御装
置(以下、ECUと呼ぶ)19と、を備えている。
【0037】これらのうち、主制御トランジスタ17
は、点火コイル15の一次巻線L1への通電・非通電を
切り換える半導体素子からなるスイッチング素子であ
り、本第1実施例の内燃機関用点火装置1は、フルトラ
ンジスタ型の点火装置である。そして、一次巻線L1の
一端は電源装置11の正極に接続され、他端は主制御ト
ランジスタ17のコレクタに接続されている。また、二
次巻線L2の一端は、整流素子Dを介して、電源装置1
1の正極に接続されている一次巻線L1の一端に接続さ
れ、他端は点火プラグ13の中心電極13aに接続され
ている。そして、点火プラグ13の接地電極13bは、
電源装置11の負極と同電位のグランドに接地されてい
る。つまり、点火コイル15の二次巻線L2は、点火プ
ラグ13とともに閉ループを形成している。さらに、主
制御トランジスタ17のベースはECU19における第
1指令信号Saの出力端子に接続されている。
【0038】そして、ECU19から主制御トランジス
タ17に対して出力される第1指令信号Saがローレベ
ル(一般にグランド電位)である場合には、主制御トラ
ンジスタ17にベース電流は流れず、主制御トランジス
タ17はオフ状態となり、主制御トランジスタ17を通
じて一次巻線L1に一次電流が流れることはない。ま
た、第1指令信号Saがハイレベル(一般にECUの駆
動電圧(例えば5[V]))である場合には、主制御ト
ランジスタ17はオン状態となり、電源装置11の正極
側から点火コイル15の一次巻線L1を通って電源装置
11の負極側に至る通電経路を形成し、一次巻線L1に
一次電流i1が流れる。なお、このとき上記通電経路を
流れる一次電流i1の大きさは、電流制限トランジスタ
23により制限されることになるが、電流制限動作の詳
細は後述する。
【0039】したがって、第1指令信号Saがハイレベ
ルであり一次巻線L1に一次電流i1が流れている状態
の時に、第1指令信号Saがローレベルになると、主制
御トランジスタ17がターンオフし、一次巻線L1への
一次電流i1の通電を停止(遮断)させることになる。
すると、点火コイル15の二次巻線L2に点火用高電圧
が発生し、この点火用高電圧が点火プラグ13に印加さ
れることで、点火プラグ13の電極13a−13b間に
火花放電が発生する。
【0040】尚、点火コイル15は、主制御トランジス
タ17による一次巻線L1への通電・遮断により、点火
プラグ13の中心電極13aにグランド電位よりも低い
負の点火用高電圧を発生させるように構成されている。
このため、点火プラグ13における火花放電に伴い二次
巻線L2に流れる二次電流i2は、点火プラグ13の中
心電極13aから二次巻線L2を通って、一次巻線L1
側に流れる。また、二次巻線L2と一次巻線L1との接
続部分には、二次巻線L2から一次巻線L1側に電流が
流れるのを許容し、逆方向への電流の流れを阻止するた
めに、ダイオード等からなる整流素子Dが設けられてい
る。本第1実施例では、整流素子Dとして、アノードが
二次巻線L2に、カソードが一次巻線L1に接続された
ダイオードを設けており、整流素子Dの動作によって、
主制御トランジスタ17のターンオン時(一次巻線L1
への通電開始時)に二次巻線L2に電流が流れるのが阻
止される。
【0041】次に、電流制限トランジスタ23は、ベー
スが主制御トランジスタ17のエミッタと電流制限用抵
抗21との接続点に接続され、コレクタが主制御トラン
ジスタ17のベースとECU19における第1指令信号
Saの出力端子との接続点に接続され、エミッタが電源
装置11の負極と同電位のグランドに接地されている。
そして、主制御トランジスタ17がオン状態となり、一
次電流i1が流れることで電流制限用抵抗21の両端電
圧が上昇し、電流制限トランジスタ23を駆動するため
の駆動電圧(ベース−エミッタ間電圧)に達すると、電
流制限トランジスタ23はオン状態となる。
【0042】すると、ECU19から主制御トランジス
タ17のベースへ流れる電流の一部が、電流制限トラン
ジスタ23のコレクタに流れることになり、主制御トラ
ンジスタ17のベースに流れる電流が減少する。この主
制御トランジスタ17のベースに流れ込むベース電流の
減少と、主制御トランジスタ17の電流増幅率の関係か
ら、一次電流i1の電流値が減少することになる。
【0043】また、このあと、一次電流i1が減少する
ことにより、電流制限用抵抗21における両端電圧が低
下して、電流制限トランジスタ23の駆動電圧を下回る
と、電流制限トランジスタ23がオフ状態となり、EC
U19から主制御トランジスタ17のベースに流れ込む
電流値が増加するとともに、一次電流i1が増大する。
【0044】つまり、第1実施例の内燃機関用点火装置
1では、主制御トランジスタ17がオン状態であり一次
電流i1の電流値が増加する際にも、電流制限用抵抗2
1の両端電圧、電流制限トランジスタ23の駆動電圧、
主制御トランジスタ17の電流増幅率との関係に基づ
き、一次電流i1は一定の値で安定する(制限される)
ことになり、一次電流i1の電流値は、主制御トランジ
スタ17がオン状態を継続しているにもかかわらず増加
し続けて、一次巻線L1の巻線抵抗と電源電圧により定
まる飽和電流値に達することはない。
【0045】続いて、図2に、図1に示す回路図におけ
る、第1指令信号Sa、一次巻線L1に流れる一次電流
i1、点火プラグ13の中心電極13aの電位Vp、の
各状態を表すタイムチャートを示す。そして、図2にお
ける時刻t1よりも前の時期においては、第1指令信号
Saがハイレベルであるため、点火コイル15の一次巻
線L1に一次電流i1が流れており、時刻t1にて第1
指令信号Saがハイレベルからローレベルに切り換わる
と、一次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断され
る。すると、二次巻線L2に発生する負の点火用高電圧
が点火プラグ13の中心電極13aに印加されて、その
電位Vpが急峻に低下し、点火プラグ13の電極13a
−13b間に火花放電が発生する。
【0046】そして、点火プラグ13の電極13a−1
3b間に火花放電が発生した後、内燃機関の運転状態に
基づき設定された火花放電継続時間が経過した時刻t2
にて、第1指令信号Saがローからハイレベルに切り換
わると、主制御トランジスタ17がオン状態となり、一
次巻線L1への通電が再度開始される。そして、点火プ
ラグ13での火花放電中に、一次巻線L1に一次電流i
1が再度流れ始めると、火花発生時に二次巻線L2に発
生していた点火用高電圧とは逆極性の電圧が二次巻線L
2に誘導されるため、点火プラグ13での火花放電が強
制的に遮断される。
【0047】このあと、一次電流i1は、次第に電流値
が増加していき、時刻t3にて電流値i1aに達する
と、時刻t3以降は、一定値(電流値i1a)を示すこ
とになる。この電流値i1aは、上述したように、電流
制限用抵抗21の両端電圧、電流制限トランジスタ23
の駆動電圧、主制御トランジスタ17の電流増幅率との
関係に基づき決定される飽和電流値より小さい電流値で
ある。また、この電流値i1aは、次の燃焼サイクルの
点火時期(図2における時刻t4)において、火花放電
の発生に必要な磁束エネルギを点火コイル15に蓄積す
ることができる電流値である。
【0048】なお、電流制限トランジスタ23が備えら
れていない場合には、図2において点線で示すように一
次電流i1が変化することになり、時刻t3以降も電流
の増加が続き、通電遮断時(図2における時刻t4)に
おいて、一次電流i1は電流値i1b(>i1a)に達
することになり、時刻t3から時刻t4にかけてのイン
ターバルが長くなる場合には、一次電流i1は飽和電流
値に達することになる。この場合、点火コイル15には
点火プラグ13での火花放電に必要な磁束エネルギより
も過剰な磁束エネルギが蓄積されるため、無駄な電力を
消費することになり、また、一次電流i1が大きくなる
ため、主制御トランジスタ17や点火コイル15の発熱
量が大きくなる。
【0049】そして、図2における時刻t4は、時刻t
1と同様の点火時期に相当し、時刻t5は、時刻t2と
同様の火花放電遮断時期に相当する。次に、このように
ECU19において実行される点火制御処理を、図3に
示すフローチャートに沿って説明する。
【0050】なお、ECU19は、内燃機関の火花放電
発生時期、燃料噴射量、アイドル回転速度等を総合的に
制御するためのものであり、以下に説明する点火制御処
理のために、別途、内燃機関の吸入空気量(吸気管圧
力),回転速度(エンジン回転速度),スロットル開
度,冷却水温,吸気温等、機関各部の運転状態を検出す
る運転状態検出処理を行っている。また、ECU19
は、図示しない定電圧電源(例えば、出力電圧5
[V])からの電力供給により動作している。
【0051】図3に示す点火制御処理は、例えば、内燃
機関の回転角度(クランク角)を検出するクランク角セ
ンサからの信号に基づき、内燃機関が、吸気、圧縮、燃
焼、排気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で実行され
る。そして、1燃焼サイクルの開始時期となり点火制御
処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表
す)にて、別途実行される運転状態検出処理にて検出さ
れた機関の運転状態を読込み、次のS120にて、その
読み込んだ運転状態に基づき、火花放電発生時期(いわ
ゆる点火時期)ts、火花放電遮断時期tc(即ち、火
花放電継続時間)を設定する。
【0052】なお、火花放電発生時期tsは、例えば、
内燃機関の吸入空気量と回転速度をパラメータとするマ
ップ若しくは計算式を用いて制御基準値を求め、これを
冷却水温,吸気温等に基づき補正する、といった手順で
設定される。また、火花放電遮断時期tcについては、
例えば、内燃機関の回転速度と機関負荷を表すスロット
ル開度とに基づき、混合気を燃焼させるのに要する火花
エネルギが大きい運転条件下(内燃機関の低回転低負荷
時等)では、火花放電継続時間を長く設定するために、
火花放電遮断時期tcが遅い時期になるように、予め設
定されたマップ若しくは計算式を用いて設定される。ま
た、火花エネルギが小さくてよい運転条件下(高回転高
負荷時等)では、火花放電継続時間を短く設定するため
に、火花放電遮断時期tcが早い時期になるように、予
め設定されたマップ若しくは計算式を用いて火花放電遮
断時期tcが設定される。なお、火花放電継続時間とし
て過度に短い時間を設定した場合には、混合気への着火
が行われずに失火に至り、内燃機関を正常に運転できな
い虞があるため、火花放電継続時間は、通常0.05
[ms]以上に設定すると良い。
【0053】そして、S130では、クランク角センサ
からの検出信号に基づき、S120で設定した火花放電
発生時期tsに達したか否かを判断し、否定判定された
場合には、同ステップを繰り返し実行することで、火花
放電発生時期tsになるまで待機する。S130にて、
火花放電発生時期tsに達したと判断されると(図2に
示す時刻t1、時刻t4)、S140に移行する。
【0054】S140では、図2の時刻t1および時刻
t4に示したように、第1指令信号Saをハイレベルか
らローレベルに反転させる。この結果、主制御トランジ
スタ17がターンオフして、一次電流i1が遮断され
て、点火コイル15の二次巻線L2に点火用高電圧が誘
導され、点火プラグ13の電極13a−13b間に火花
放電が発生する。
【0055】そして、次のS150では、S120で設
定した火花放電遮断時期tcに達したか否かを判断し、
否定判定された場合には、同ステップを繰り返し実行す
ることで、火花放電遮断時期tcになるまで待機する。
S150にて、火花放電遮断時期tcに達したと判断さ
れると(図2に示す時刻t2、時刻t5)、S160に
移行する。
【0056】S160では、図2の時刻t2および時刻
t5に示したように、第1指令信号Saをローレベルか
らハイレベルに反転させる。この結果、主制御トランジ
スタ17がターンオンして一次巻線L1に一次電流i1
が通電されて、二次巻線L2に点火用高電圧とは逆極性
の誘導電圧が誘起され、点火プラグ13の電極13a−
13b間の火花放電が遮断される。
【0057】そして、S160の処理が終了すると共
に、本点火制御処理が終了する。なお、図2のタイムチ
ャートにおいて、時刻t1および時刻t4が火花放電発
生時期tsに相当し、時刻t2および時刻t5が火花放
電遮断時期tcに相当している。そして、S160の処
理により一次巻線L1が再通電された後は、次の燃焼サ
イクルにおいて起動される点火制御処理におけるS14
0の処理により、一次電流i1が遮断されて火花放電が
発生する。
【0058】以上説明したように、本第1実施例の内燃
機関用点火装置1においては、まず、ECU19が第1
指令信号Saによって主制御トランジスタ17をターン
オフさせることにより、点火コイル15の二次巻線L2
に誘導した点火用高電圧を点火プラグ13に印加して、
点火プラグ13の電極13a−13b間に火花放電を発
生させる。そして、内燃機関の運転状態に基づいて設定
した火花放電遮断時期tcで火花放電を強制的に遮断す
るために、ECU19が第1指令信号Saをハイレベル
に反転して主制御トランジスタ17をオン状態にし、一
次巻線L1に再度電流を流して、火花放電を強制的に遮
断している。
【0059】そして、火花放電を遮断するための一次電
流の通電後、電流制限用抵抗21の両端電圧、電流制限
トランジスタ23の駆動電圧、主制御トランジスタ17
の電流増幅率との関係に基づき、一次電流i1は一定の
値(電流値i1a)で安定することになり、一次電流i
1は次の燃焼サイクルにおける点火のための通電遮断時
(図2における時刻t4)まで一次電流i1が流れ続け
るにも拘わらず、飽和電流値に達することはない。つま
り、本第1実施例の内燃機関用点火装置では、通電後の
一次電流i1を電流値i1a以下に制限することで、電
流値i1bのような過大な一次電流i1、ひいては飽和
電流値が流れるのを防いでいる。
【0060】したがって、本第1実施例の内燃機関用点
火装置によれば、内燃機関の運転状態に基づき火花放電
継続時間を設定し、その火花放電継続時間に応じて火花
放電を遮断していることから、無駄な火花エネルギの供
給や、多重放電の発生が抑えられ、点火プラグの無駄な
電極消耗を抑えることができる。さらに、点火プラグに
おける火花放電を遮断すべく、一次巻線L1を再通電し
た際には、再通電後に流れる一次電流が過大になり飽和
電流値に達することが無く、主制御トランジスタや点火
コイル等が過度に温度上昇するのを抑えることができ、
その結果、主制御トランジスタや点火コイル等が焼損す
るのを防ぐことができ、内燃機関用点火装置の動作を正
常に維持することができる。
【0061】なお、本第1実施例の内燃機関用点火装置
においては、主制御トランジスタ17が特許請求の範囲
における主制御スイッチング素子に相当し、点火制御処
理が実行されるECU19が駆動制御手段に相当し、電
流制限トランジスタ23および電流制限用抵抗21が電
流制限手段にそれぞれ相当する。
【0062】以上、本発明の第1実施例について説明し
たが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
種々の態様を採ることができる。次に、第2実施例の内
燃機関用点火装置について説明する。図4に第2実施例
の内燃機関用点火装置の構成を表す電気回路図を示す。
【0063】なお、第2実施例の内燃機関用点火装置
は、第1実施例の内燃機関用点火装置に対して、一次電
流変更用抵抗25および一次電流変更用トランジスタ2
7が追加されて構成されており、また、ECU19での
点火制御処理の処理内容の一部が異なっており、これら
以外の構成要素については第1実施例と同様である。よ
って、以下の説明では、異なっている箇所を中心に説明
する。
【0064】そして、図4に示すように、第2実施例の
内燃機関用点火装置1における一次電流変更用トランジ
スタ27は、エミッタが電源装置11の負極と同電位の
グランドに接地され、ベースがECU19における第2
指令信号Sbの出力端子に接続されている。また、一次
電流変更用抵抗25は、一端が主制御トランジスタ17
と電流制限用抵抗21との接続点に接続されており、他
端が一次電流変更用トランジスタ27のコレクタに接続
されている。
【0065】このように接続された一次電流変更用トラ
ンジスタ27が、主制御トランジスタ17がオン状態で
あるときに、オン状態となると、一次巻線L1および主
制御トランジスタ17を流れる一次電流i1は、一次電
流変更用抵抗25にも流れることになる。これにより、
電流制限用抵抗21の両端電圧、電流制限トランジスタ
23の駆動電圧、主制御トランジスタ17の電流増幅率
との関係に基づいて安定する一次電流i1の電流値が変
動する。このため、一次電流変更用トランジスタ27が
オン状態の場合に比べて、オフ状態となった場合には、
一次電流i1の電流値は減少することになる。
【0066】なお、一次電流変更用トランジスタ27
は、ECU19から出力される第2指令信号Sbがロー
レベルの時にオフ状態となり、第2指令信号Sbがハイ
レベルの時にオン状態となる。また、一次電流変更用ト
ランジスタ27のオン状態とは、コレクタ−エミッタ間
が導通している状態(短絡状態)のことであり、オフ状
態とは、コレクタ−エミッタ間が導通していない状態
(開放状態)のことである。
【0067】続いて、図5に、図4に示す回路図におけ
る、第1指令信号Sa、点火コイル15の一次巻線L1
に流れる一次電流i1、点火プラグ13の中心電極13
aの電位Vp、第2指令信号Sb、の各状態を表すタイ
ムチャートを示す。図5に示す時刻t13までの第2指
令信号Sb以外の各状態の変化は、図2に示す第1実施
例の内燃機関用点火装置における時刻t2までの各部の
状態と同様であることから、説明を省略する。
【0068】点火プラグ13における火花放電を遮断す
べく第1指令信号Saをローレベルからハイレベルに変
化し、一次巻線L1に再度一次電流i1が通電されてい
る時刻t13にて、第2指令信号Sbがハイレベルから
ローレベルに変化すると、一次電流変更用トランジスタ
27がオン状態からオフ状態となり、一次電流i1の電
流値が電流値i1aから電流値i1c(<i1a)に減
少し、電流値i1cに安定する。なお、このとき、点火
プラグの中心電極の電位Vpが変動するが、電圧値の変
動が小さいため火花放電の発生に至ることはない。
【0069】そのあと、時刻t14にて、第2指令信号
Sbがローレベルからハイレベルに変化すると、一次電
流変更用トランジスタ27がオフ状態からオン状態とな
り、一次電流i1が電流値i1cから増加し始め、時刻
t15にて電流制限トランジスタ23により電流値i1
aに達した後、一定値(電流値i1a)を示す。そし
て、時刻t16にて、第1指令信号Saがハイレベルか
らローレベルに変化すると、時刻t11と同様に点火プ
ラグ13にて火花放電が発生する。
【0070】そして、図5における時刻t16は、時刻
t11と同様の点火時期に相当し、時刻t17は、時刻
t12と同様の火花放電遮断時期に相当する。次に、第
2実施例のECU19において実行される点火制御処理
を、図6に示すフローチャートに沿って説明する。
【0071】なお、第2実施例のECU19は、第1実
施例と同様に、内燃機関の火花放電発生時期、燃料噴射
量、アイドル回転速度等を総合的に制御するためのもの
であり、以下に説明する点火制御処理のために、別途、
内燃機関の吸入空気量(吸気管圧力),回転速度(エン
ジン回転速度),スロットル開度,冷却水温,吸気温
等、機関各部の運転状態を検出する運転状態検出処理を
行っている。また、ECU19は、図示しない定電圧電
源(例えば、出力電圧5[V])からの電力供給により
動作している。
【0072】図6に示す点火制御処理は、例えば、内燃
機関の回転角度(クランク角)を検出するクランク角セ
ンサからの信号に基づき、内燃機関が、吸気、圧縮、燃
焼、排気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で実行され
る。そして、1燃焼サイクルの開始時期となり点火制御
処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表
す)にて、別途実行される運転状態検出処理にて検出さ
れた機関の運転状態を読込み、次のS120にて、その
読み込んだ運転状態に基づき、火花放電発生時期(いわ
ゆる点火時期)ts、火花放電遮断時期tc(火花放電
継続時間)、電流変更開始時期td、電流変更終了時期
te、を設定する。
【0073】なお、火花放電発生時期ts、火花放電遮
断時期tcについては、第1実施例と同様の手順により
設定される。また、電流変更開始時期tdは、火花放電
遮断時期tcから予め定められた一定時間が経過した時
点が設定され、電流変更終了時期teは、火花放電の発
生に必要な磁束エネルギを点火コイル15に蓄積するた
めの所定時間だけ、火花放電発生時期tsよりも早い時
点が、マップもしくは計算式を用いて設定される。
【0074】そして、S130では、クランク角センサ
からの検出信号に基づき、S120で設定した火花放電
発生時期tsに達したか否かを判断し、否定判定された
場合には、同ステップを繰り返し実行することで、火花
放電発生時期tsになるまで待機する。S130にて、
火花放電発生時期tsに達したと判断されると(図5に
示す時刻t11、時刻t16)、S140に移行する。
【0075】S140では、図5の時刻t11および時
刻t16示したように、第1指令信号Saをハイレベル
からローレベルに反転させる。この結果、主制御トラン
ジスタ17がターンオフして、一次電流i1が遮断され
て、点火コイル15の二次巻線L2に点火用高電圧が誘
導され、点火プラグ13の電極13a−13b間に火花
放電が発生する。
【0076】そして、S150では、S120で設定し
た火花放電遮断時期tcに達したか否かを判断し、否定
判定された場合には、同ステップを繰り返し実行するこ
とで、火花放電遮断時期tcになるまで待機する。S1
50にて、火花放電遮断時期tcに達したと判断される
と(図5に示す時刻t12、時刻t17)、S160に
移行する。
【0077】S160では、図5の時刻t12および時
刻t17に示したように、第1指令信号Saをローレベ
ルからハイレベルに反転させる。この結果、主制御トラ
ンジスタ17がターンオンして、一次巻線L1に一次電
流i1が再通電されて、二次巻線L2に点火用高電圧と
は逆極性の誘導電圧が誘導され、点火プラグ13の電極
13a−13b間の火花放電が遮断される。
【0078】なお、S130からS160までの処理内
容については、図3に示す第1実施例の点火制御処理に
おけるS130からS160までの処理と同様である。
続くS170では、S120で設定した電流変更開始時
期tdに達したか否かを判断し、否定判定された場合に
は、同ステップを繰り返し実行することで、電流変更開
始時期tdになるまで待機する。S170にて、電流変
更開始時期tdに達したと判断されると(図5に示す時
刻t13)、S180に移行する。
【0079】S180では、図5の時刻t13に示した
ように、第2指令信号Sbをハイレベルからローレベル
に反転させる。この結果、一次電流変更用トランジスタ
27がターンオフして、一次巻線L1に流れる一次電流
i1が、電流値i1aから電流値i1cに減少し、電流
値i1cに安定する。
【0080】そして、次のS190では、S120で設
定した電流変更終了時期teに達したか否かを判断し、
否定判定された場合には、同ステップを繰り返し実行す
ることで、電流変更終了時期teになるまで待機する。
S190にて、電流変更終了時期teに達したと判断さ
れると(図5に示す時刻t14)、S200に移行す
る。
【0081】S200では、図5の時刻t14に示した
ように、第2指令信号Sbをローレベルからハイレベル
に反転させる。この結果、一次電流変更用トランジスタ
27がターンオンして、一次電流i1が電流値i1cか
ら増加し始める。そして、S200の処理が終了すると
共に、本点火制御処理が終了する。
【0082】このあと、一次電流i1の電流値は増加し
ていき、時刻t15の時点で電流値i1aに達し、電流
制限トランジスタ23により電流値i1aにて安定する
ことになる。そして、次の燃焼サイクルにおける点火制
御処理において、S140の処理が実行される時期が、
図5における時刻t16である。
【0083】なお、図5のタイムチャートにおいて、時
刻t11および時刻t16が火花放電発生時期tsに相
当し、時刻t12および時刻t17が火花放電遮断時期
tcに相当し、時刻t13が電流変更開始時期tdに相
当し、時刻t14が電流変更終了時期teに相当してい
る。
【0084】以上説明したように、本第2実施例の内燃
機関用点火装置1においては、第1実施例の内燃機関用
点火装置と同様に、内燃機関の運転状態に基づき火花放
電継続時間を設定し、その火花放電継続時間に応じて火
花放電を遮断していることから、無駄な火花エネルギの
供給や、多重放電の発生が抑えられ、点火プラグの無駄
な電極消耗を抑えることができる。さらに、点火プラグ
における火花放電を遮断すべく、一次巻線L1を再通電
した際には、再通電後に流れる一次電流が過大になり飽
和電流値に達することが無く、主制御トランジスタや点
火コイル等が過度に温度上昇するのを抑えることがで
き、その結果、主制御トランジスタや点火コイル等が焼
損するのを防ぐことができ、内燃機関用点火装置の動作
を正常に維持することができる。
【0085】また、第2実施例においては、一次電流i
1の通電期間中に一次電流変更用トランジスタ27の状
態を変化させることで、一次電流i1を電流値i1aか
ら電流値i1cに減少させている点に特徴がある。つま
り、火花放電を遮断してから次回の燃焼サイクルの点火
時期までの期間において、一次電流i1を電流値i1a
からさらに電流値i1cに減少させているのである。
【0086】このように一次電流i1の電流値を減少さ
せることで、火花放電を遮断してから次回の燃焼サイク
ルの点火時期までの期間が長い場合であっても、より効
率よく無駄な電力消費を抑えると共に、主制御トランジ
スタや点火コイル等の発熱量をより有効に抑えることが
できる。
【0087】なお、第2実施例の内燃機関用点火装置に
おいては、一次電流変更用抵抗25および一次電流変更
用トランジスタ27が特許請求の範囲における一次電流
変更手段に相当する。次に、一次電流の通電経路として
抵抗値の異なる2つの通電経路を備えた第3実施例の内
燃機関用点火装置について説明する。図7に第3実施例
の内燃機関用点火装置の構成を表す電気回路図を示す。
【0088】なお、本第3実施例の内燃機関用点火装置
が適用された内燃機関は、燃料としてガスを用いると共
に一定の場所に据え置かれる定置型ガスエンジンであ
る。また、本第3実施例では、内燃機関に1気筒分につ
いて説明を行なうが、本発明は複数の気筒を備える内燃
機関についても適用でき、各気筒毎の点火装置の基本構
成は同様である。
【0089】図7に示すように、第3実施例の内燃機関
用点火装置1は、電源電圧(例えば電圧12V)を出力
する電源装置(バッテリ)11と、内燃機関の気筒に設
けられた点火プラグ13と、一次巻線L1と二次巻線L
2とからなる点火コイル15と、一次巻線L1と直列接
続されたnpn型パワートランジスタからなる主制御ト
ランジスタ17と、電源装置11の正極と点火コイル1
5の一次巻線L1との間に接続された経路切換スイッチ
31と、経路切換スイッチ31に並列接続された電流制
限用抵抗33と、電流制限用抵抗33に並列接続された
ダイオード35と、主制御トランジスタ17に対して第
1指令信号Saを出力し、経路切換スイッチ31に対し
て第2指令信号Sbを出力する電子制御装置(以下、E
CUと呼ぶ)19と、を備えている。
【0090】これらのうち、主制御トランジスタ17
は、点火コイル15の一次巻線L1への通電・非通電を
切り換える半導体素子からなるスイッチング素子であ
り、本第3実施例の内燃機関用点火装置1は、フルトラ
ンジスタ型の点火装置である。そして、点火コイル15
の一次巻線L1は、経路切換スイッチ31に接続される
端部とは反対側の端部が、主制御トランジスタ17のコ
レクタに接続されている。また、二次巻線L2は、一端
が整流素子Dを介して、経路切換スイッチ31に接続さ
れている一次巻線L1の端部に接続され、他端は点火プ
ラグ13の中心電極13aに接続されている。そして、
点火プラグ13の接地電極13bは、電源装置11の負
極と同電位のグランドに接地されている。さらに、主制
御トランジスタ17は、ベースがECU19における第
1指令信号Saの出力端子に接続され、エミッタが電源
装置11の負極と同電位のグランドに接地されている。
【0091】そして、ECU19から主制御トランジス
タ17に対して出力される第1指令信号Saがローレベ
ル(一般にグランド電位)である場合には、主制御トラ
ンジスタ17にベース電流は流れず、主制御トランジス
タ17はオフ状態となり、主制御トランジスタ17を通
じて一次巻線L1に電流が流れることはない。また、第
1指令信号Saがハイレベル(一般にECUの駆動電圧
(例えば5[V]))である場合には、主制御トランジ
スタ17はオン状態となり、電源装置11の正極側から
点火コイル15の一次巻線L1を通って電源装置11の
負極側に至る、一次巻線L1の通電経路を形成し、一次
巻線L1に一次電流i1が流れる。
【0092】また、経路切換スイッチ31は、ECU1
9から出力される第2指令信号Sbに基づき開放状態あ
るいは短絡状態が制御されており、第2指令信号Sbが
ローレベルであるときは短絡状態であり、第2指令信号
Sbがハイレベルであるときは開放状態となる。
【0093】そして、経路切換スイッチ31が短絡状態
の時には、一次電流i1は抵抗値の低い経路切換スイッ
チ31を流れることになり、この一次電流i1を遮断す
ることで、火花放電が発生可能な点火用高電圧を二次巻
線L2に発生させることができる。また、経路切換スイ
ッチ31が開放状態の時には、一次電流i1は抵抗値の
高い電流制限用抵抗33を流れることになり、一次電流
i1の電流値は小さくなる。
【0094】したがって、第2指令信号Sbがローレベ
ルであり、第1指令信号Saがハイレベルであることで
一次巻線L1に一次電流i1が流れている時に、第1指
令信号Saがローレベルになると、主制御トランジスタ
17がターンオフして一次電流i1の通電が停止(遮
断)され、火花放電が発生する。つまり、経路切換スイ
ッチ31が短絡状態であるときに、一次巻線L1への一
次電流i1の通電を停止(遮断)させることで、点火コ
イル15の二次巻線L2に点火用高電圧が発生し、この
点火用高電圧により点火プラグ13の電極13a−13
b間に火花放電が発生するのである。
【0095】尚、点火コイル15は、主制御トランジス
タ17による一次巻線L1への通電遮断により、点火プ
ラグ13の中心電極13a側にグランド電位よりも低い
負の点火用高電圧を発生させるように構成されている。
このため、火花放電に伴い二次巻線L2に流れる二次電
流i2は、点火プラグ13の中心電極13aから二次巻
線L2を通って、一次巻線L1側に流れる。また、二次
巻線L2と一次巻線L1との接続部分には、二次巻線L
2から一次巻線L1側に電流が流れるのを許容し、逆方
向への電流の流れを阻止するために、ダイオード等から
なる整流素子Dが設けられている。本実施例では、整流
素子Dとして、アノードが二次巻線L2に、カソードが
一次巻線L1に接続されたダイオードを設けており、整
流素子Dの動作によって、主制御トランジスタ17のタ
ーンオン時(一次巻線L1への通電開始時)に二次巻線
L2に電流が流れるのが阻止される。
【0096】また、点火プラグ13における火花放電の
発生中に、第1指令信号Saがローレベルからハイレベ
ルに変化して、一次電流i1が再通電されると、火花発
生時に二次巻線L2に発生していた点火用高電圧とは逆
極性の電圧が二次巻線L2に誘導されるため、点火プラ
グ13での火花放電が強制的に遮断される。
【0097】他方、ダイオード35は、アノードが一次
巻線L1と電流制限用抵抗33との接続点に接続され、
カソードが電源装置11の正極と電流制限用抵抗33と
の接続点に接続されており、点火コイル15の側から電
源装置11に向けて流れる電流を流すために備えられて
いる。
【0098】続いて、図8に、図7に示す回路図におけ
る、第1指令信号Sa、一次巻線L1に流れる一次電流
i1、点火プラグ13の中心電極13aの電位Vp、第
2指令信号Sbの各状態を表すタイムチャートを示す。
そして、図8における時刻t21よりも前の時期におい
ては、第1指令信号Saがハイレベルであり、第2指令
信号Sbがローレベルであるため、点火コイル15の一
次巻線L1に一次電流i1が流れており、時刻t21に
て一次電流i1は、火花放電を発生可能な電流値i1f
に達する。そして、時刻t21にて第1指令信号Saが
ハイレベルからローレベルに切り換わると、一次巻線L
1への一次電流i1の通電が遮断され、二次巻線L2に
発生する負の点火用高電圧が点火プラグ13の中心電極
13aに印加されて、その電位Vpが急峻に低下し、点
火プラグ13の電極13a−13b間に火花放電が発生
する。
【0099】そして、点火プラグ13の電極13a−1
3b間に火花放電が発生した後、内燃機関の運転状態に
基づき設定された火花放電継続時間が経過した時刻t2
2にて、第1指令信号Saがローからハイレベルに切り
換わると、主制御トランジスタ17がオン状態となり、
一次巻線L1への通電が再度開始される。そして、点火
プラグ13での火花放電中に一次巻線L1に一次電流i
1が再度流れ始めると、火花発生時に二次巻線L2に発
生していた点火用高電圧とは逆極性の電圧が二次巻線L
2に誘導されるため、点火プラグ13での火花放電が強
制的に遮断される。
【0100】このあと、一次電流i1は、次第に電流値
が増大していき、時刻t23にて第2指令信号Sbがロ
ーレベルからハイレベルに変化すると、経路切換スイッ
チ31が開放状態となり、一次電流i1が電流制限用抵
抗33からなる抵抗値の高い通電経路を通じて流れるこ
とになる。これにより、一次電流i1は減少して、電流
値i1g(<i1f)で一定となる。なお、この時、点
火プラグの中心電極の電位Vpが変動するが、電圧値の
変動が小さいため火花放電の発生に至ることはない。
【0101】そのあと、時刻t24にて、第2指令信号
Sbがハイレベルからローレベルに変化すると、経路切
換スイッチ31が短絡状態となり、一次電流i1が経路
切換スイッチ31からなる抵抗値の低い通電経路を通じ
て流れることになり、一次電流i1は電流値i1gから
再び増加し始める。
【0102】そして、時刻t25となり、第1指令信号
Saがハイレベルからローレベルに変化すると一次電流
i1が遮断され、時刻t21と同様に火花放電が発生す
る。なお、時刻t25における一次電流i1は、電流値
i1fに達しており、電流値i1fは火花放電を発生さ
せるために必要な磁束エネルギを点火コイル15に蓄積
できる電流値であることから、点火プラグ13にて火花
放電が発生する。
【0103】そして、図8における時刻t25は、時刻
t21と同様の点火時期に相当し、時刻t26は、時刻
t22と同様の火花放電遮断時期に相当する。次に、第
3実施例のECU19において実行される点火制御処理
について説明する。
【0104】なお、第3実施例のECU19は、第1実
施例および第2実施例と同様に、内燃機関の火花放電発
生時期、燃料噴射量、アイドル回転速度等を総合的に制
御するためのものであり、以下に説明する点火制御処理
のために、別途、内燃機関の吸入空気量(吸気管圧
力),回転速度(エンジン回転速度),スロットル開
度,冷却水温,吸気温等、機関各部の運転状態を検出す
る運転状態検出処理を行っている。また、ECU19
は、図示しない定電圧電源(例えば、出力電圧5
[V])からの電力供給により動作している。
【0105】この点火制御処理は、例えば、内燃機関の
回転角度(クランク角)を検出するクランク角センサか
らの信号に基づき、内燃機関が、吸気、圧縮、燃焼、排
気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で実行される。こ
こで、第3実施例のECU19において実行される点火
制御処理は、図6に示す第2実施例の点火制御処理とほ
ぼ同様の処理内容であり、図6に示すフローチャートに
おけるS120における処理内容が異なっており、ま
た、一次電流i1を減少させるための第2指令信号Sb
のハイレベル・ローレベルの状態が反対となる点が異な
っている。
【0106】つまり、第3実施例の点火制御処理におけ
るS120では、電流変更開始時期tdおよび電流変更
終了時期teを設定するためのマップあるいは計算式
が、第3実施例の内燃機関用点火装置に対応した値を設
定するように変更されている点が、第2実施例と異なっ
ている。
【0107】そして、図8のタイムチャートにおいて、
時刻t21および時刻t25が火花放電発生時期tsに
相当し、時刻t22および時刻t26が火花放電遮断時
期tcに相当し、時刻t23が電流変更開始時期tdに
相当し、時刻t24が電流変更終了時期teに相当して
いる。
【0108】以上説明したように、本第3実施例の内燃
機関用点火装置1においては、一次電流の通電経路とし
て、経路切換スイッチ31からなる抵抗値の低い通電経
路と、電流制限用抵抗33からなる抵抗値の高い通電経
路と、を備えており、抵抗値の異なる2つの通電経路を
備えている。
【0109】そして、点火プラグ13における火花放電
を遮断すべく一次巻線L1を通電した後において、EC
U19が第2指令信号Sbをハイレベル出力することで
経路切換スイッチ31を開放状態に駆動制御して、抵抗
値の高い通電経路に一次電流を流すことにより、抵抗値
の低い通電経路に流す場合よりも一次電流を低い電流値
に制限している。なお、電流制限用抵抗33の抵抗値
は、一次電流i1が電流値i1g以下となるように設定
されている。
【0110】そのあと、一次電流の遮断時期の所定時間
前(図8における時刻t24)までに、ECU19が第
2指令信号Sbをローレベルにして、経路切換スイッチ
31を短絡状態にする事で、抵抗値の低い通電経路を通
じて一次電流が流れることになる。つまり、抵抗値の低
い通電経路に一次電流が流れることで、経路損失を抑え
ることができ、火花放電に要する磁束エネルギを点火コ
イル15に蓄積する際の損失を低減することができる。
【0111】よって、本第3実施例の内燃機関用点火装
置によれば、電流制限用抵抗33からなる抵抗値の高い
通電経路に一次電流を流すことで、点火プラグ13にお
ける火花放電を遮断すべく一次巻線を再通電した際に
も、再通電後に流れる一次電流が過大となり飽和電流値
に達することが無く、主制御トランジスタ17や点火コ
イル15等が過度に温度上昇するのを抑えることがで
き、その結果、主制御トランジスタや点火コイル等が焼
損するのを防ぐことができ、内燃機関用点火装置の動作
を正常に維持することができる。
【0112】なお、第3実施例の内燃機関用点火装置に
おいては、経路切換スイッチ31が特許請求の範囲にお
ける通電経路スイッチング手段に相当し、電流制限用抵
抗33が抵抗素子に相当し、点火制御処理を実行するE
CU19が通電経路制御手段に相当している。
【0113】以上、本発明の3つの実施例について説明
したが、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、種々の態様を採ることができる。例えば、第3実施
例の内燃機関用点火装置に対して、電流制限用抵抗33
として可変抵抗器を用いて、一次電流i1を、電流値i
1gよりもさらに小さい電流値に制限するようにしても
良い。これにより、主制御トランジスタ17や点火コイ
ル15の発熱をより良好に抑制でき、また、一次電流i
1の電流値をより細かく制御することが可能となる。な
お、経路切換スイッチ31、電流制限用抵抗33、ダイ
オード35からなる並列回路を、一次電流の通電経路に
複数も受けることでも、一次電流i1の電流値を細かく
制御することが可能である。
【0114】また、第2実施例および第3実施例は、E
CUが第2指令信号Sbを出力する構成であるが、EC
Uとは独立した形態で制御回路を備えて、この制御回路
が第2指令信号Sbを出力する構成としても良い。この
とき、制御回路は、内燃機関を総合的に制御するECU
にて設定される火花放電発生時期および火花放電遮断時
期のそれぞれに相応する情報を入力し、第2指令信号S
bを出力するように構成すると良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の内燃機関用点火装置の構成を表
す電気回路図である。
【図2】 図1に示す内燃機関用点火装置の回路図にお
ける各部の状態を表すタイムチャートである。
【図3】 第1実施例のECUにおいて実行される点火
制御処理の処理内容を表すフローチャートである。
【図4】 第2実施例の内燃機関用点火装置の構成を表
す電気回路図である。
【図5】 図4に示す内燃機関用点火装置の回路図にお
ける各部の状態を表すタイムチャートである。
【図6】 第2実施例のECUにおいて実行される点火
制御処理の処理内容を表すフローチャートである。
【図7】 第3実施例の内燃機関用点火装置の構成を表
す電気回路図である。
【図8】 図7に示す内燃機関用点火装置の回路図にお
ける各部の状態を表すタイムチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関用点火装置、11…電源装置、13…点火
プラグ、13a…中心電極、13b…接地電極、15…
点火コイル、17…主制御トランジスタ、21…電流制
限用抵抗、23…電流制限トランジスタ、25…一次電
流変更用抵抗、27…一次電流変更用トランジスタ、3
1…経路切換スイッチ、33…電流制限用抵抗、L1…
一次巻線、L2…二次巻線。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次巻線の一端が電源装置に接続され、
    二次巻線が点火プラグと共に閉ループを形成する点火コ
    イルと、 前記点火コイルの前記一次巻線に直列に接続され、前記
    電源装置から該一次巻線に流れる一次電流を通電・遮断
    する主制御スイッチング素子と、 該主制御スイッチング素子を駆動制御して一次電流を通
    電・遮断することにより、前記点火コイルの二次巻線に
    点火用高電圧を発生させて、前記点火プラグにて火花放
    電を発生させる駆動制御手段と、を備え、 前記駆動制御手段が、内燃機関の運転状態に基づいて設
    定され、かつ前記火花放電によって混合気を燃焼させる
    のに要する火花放電継続時間に応じて、前記主制御スイ
    ッチング素子を駆動することにより、前記点火コイルの
    一次巻線に通電して、前記火花放電を強制的に遮断する
    内燃機関用点火装置であって、 通電時に流れる前記一次電流を飽和電流値より小さい値
    に維持するための電流制限手段、を備えたこと、 を特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 【請求項2】 前記主制御スイッチング素子がトランジ
    スタで構成され、 前記電流制限手段が、該トランジスタのベース電流を制
    限することで、通電時に流れる前記一次電流を飽和電流
    値より小さい値に維持すること、 を特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
  3. 【請求項3】 前記電流制限手段が、 前記一次電流の通電経路に直列接続された抵抗素子と、 該抵抗素子に並列接続されて、外部からの指令に基づき
    短絡状態または開放状態となる通電経路スイッチング手
    段と、 前記点火コイルの一次巻線への通電が開始された後、前
    記通電経路スイッチング手段を開放状態にして、前記抵
    抗素子を通じて前記一次電流を流し、そのあと、次の燃
    焼サイクルにおける点火のための前記一次電流遮断時の
    所定時間前までに、前記通電経路スイッチング手段を短
    絡状態にして、前記通電経路スイッチング手段を通じて
    前記一次電流を流す通電経路制御手段と、を備えたこ
    と、 を特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
  4. 【請求項4】 前記一次巻線に流れる一次電流の電流値
    を変化させる一次電流変更手段を備え、 前記一次電流の通電開始から一定時間が経過した後、所
    定期間の間、該一次電流変更手段が前記一次電流の電流
    値を低下させること、 を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の
    内燃機関用点火装置。
  5. 【請求項5】 前記内燃機関は、燃料として気体燃料を
    用いるガスエンジンであること、を特徴とする請求項1
    から請求項4のいずれかに記載の内燃機関用点火装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100357588B1 (ko) * 2000-09-25 2002-10-18 현대자동차주식회사 점화코일 온도 제어장치 및 그 방법
CN103221681A (zh) * 2010-12-01 2013-07-24 法国大陆汽车公司 用于确定点火线圈的温度的方法
JP2017044108A (ja) * 2015-08-25 2017-03-02 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
JP2019002360A (ja) * 2017-06-16 2019-01-10 富士電機株式会社 半導体装置

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