JP4462583B2 - 地盤安定用薬液およびこれを用いた地盤安定化工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は珪酸アルカリ液とゲル化剤とを組み合わせてなる地盤安定用薬液および該薬液を用いた地盤安定化工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軟弱地盤を強化したり漏水地盤を止水するために、種々の薬液を地盤内に注入し、地盤中でゲル化させる地盤安定用薬液および地盤安定化工法が知られている。
【0003】
地盤安定化工法に使われる薬液としては、種々のものがあるが,その中で他の薬液に比べて、安価であること、公害の恐れが少ないこと等の理由により、水ガラス水溶液の主剤液とゲル化剤とを組み合わせた、いわゆる、水ガラス系の地盤安定用薬液が幅広く使用されている。
【0004】
この水ガラス系の地盤安定用薬液は、ゲル化時間が短くて、しかもゲル化強度が大きい利点を有する反面、水ガラスとゲル化剤を、通常pH9〜10のアルカリ領域でゲル化させているため、地盤中でゲル化後、アルカリが溶脱し、地下水や土壌をアルカリ性に汚染するおそれがあった。また、アルカリによって一旦強化された地盤からシリカが溶脱し、時間経過と共に再び強度低下し緩む等の耐久性に関する問題もあった。
【0005】
水ガラス系地盤安定用薬液の上記問題点を解決するため、水ガラスに比べ、ナトリウム分の含有量が極端に少ない珪酸アルカリ液を用いた地盤安定用薬液として下記のものが提案されている。
【0006】
特公平8-3091号公報には、粒子径が4〜6nmであるコロイダルシリカを含む珪酸アルカリ液をSiO2として5〜25重量%、Na2Oを0.05〜 1.5重量%を含有し、且つpH8〜10.5である水性ゾル 100重量部にスルファミン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、又はそれらの混合物からなる水溶性マグネシウム塩 0.2〜10.0重量部とを含有させたゲル化時間が 300分以内であることを特徴とする地盤安定用薬液が開示されている。
【0007】
また、特公平 6-62953号公報では平均粒径 5−20nmのコロイダルシリカを含む珪酸アルカリ液を主剤とし、NaCl及び/又は KClを硬化剤とし,硬化剤の量を[NaCl及び/又は KCl]/SiO2重量比= 0.1〜 0.4としてなる地盤注入剤が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特公平8-3091号公報や特公平6-62953号公報に記載の地盤注入薬液は、ゲル化後、時間と共に、ゲル体が大きく収縮するといった問題や、ゲル化直後の強度の発現が不十分であるといった問題があった。 さらに、ゲル体の強度が時間と共に低下する場合もあり、耐久性がいまだ充分とは言えない問題もあった。さらに、薬液調製後、生成したゲル体は豆腐を潰したようなまたは、シャーベット状の不均一にゲル化するという問題点があった。
【0009】
本発明の目的は、珪酸アルカリ液を主剤とした従来の地盤安定用薬液の上記問題点を改善し、ゲル化後のゲル体の収縮が小さく、ゲル化直後の強度の発現が良好で、長期間強度低下せず耐久性を有し、薬液調製後、豆腐を潰したようなゲルや、シャーベット状のゲル、いわゆる不均一なゲルが生成しない地盤安定用薬液及びこれを用いた地盤安定化工法を提供することにある。
【0010】
本発明の目的の地盤安定用薬液およびこれを用いた地盤安定化工法を見い出すにあたって、目的とする薬液の性能基準を次のとおり設定し、これらの性能基準をいずれも満たしたとき、本発明の目的が達成されたとした。
調製した薬液が20℃において、
(1) ゲル化直後のゲル体の体積に対し、3年間の経過後のゲル体の体積が収縮率で1%未満であること。
(2) ゲル化1時間経過後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値が、0.10kgf/cm2 以上であること。
(3) 耐久性として、ゲル化3年間経過後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値が、ゲル化1時間経過後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値より大きいこと。
(4) 薬液調製後、豆腐を潰したような状態のゲルや、シャーベット状のゲル、いわゆる不均一なゲルが生成しないこと。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、地盤安定用薬液において、特定範囲のSiO2/Na2Oモル比、コロイダルシリカ含む珪酸アルカリ液と下記に示す特定の2種のゲル化剤を薬液中のSiO2に対し、特定の範囲の量比で配合することで、意外にもゲル化直後のゲル体の体積に対し、3年間の経過によって収縮する体積が1%未満であり、ゲル化1時間経過後における形成されたゲル体の一軸圧縮強度値が0.10kgf/cm2 以上であり、ゲル化3年間経過後におけるゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値がゲル化1時間経過後におけるゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値以上であって、さらに薬液調製後に豆腐を潰したようなゲルやシャーベット状のゲルいわゆる不均一なゲルが生成しないという性能を同時に満たすことを知り本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明の第1の発明は、「珪酸アルカリ液とゲル化剤とを組み合わせてなる地盤安定用薬液であって、珪酸アルカリ液中のコロイダルシリカの粒子径が5〜10nm及びSiO2/Na2Oのモル比が30〜80、並びに、地盤安定用薬液中のSiO2の含有量が5〜23重量%であり、ゲル化剤が下記 (a)成分と(b)成分からなり、(a)成分の配合量は地盤安定用薬液中のSiO2に対して0.65〜6.6重量%、(b)成分の配合量は地盤安定用薬液中のSiO2 に対して2.5〜82重量%であることを特徴とする地盤安定用薬液。
(a)成分:硫酸水素アルカリ塩及び燐酸一アルカリ塩からなる群より選ばれた少なくとも一種。
(b)成分:硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、カリウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、酢酸アルミニウム及び乳酸マグネシウムからなる群より選ばれた少なくとも一種。」を要旨とする。
【0013】
本発明の第2の発明は、「地盤安定用薬液を地盤に注入し、地盤内でゲル化させて地盤を安定化させるにあたり、地盤安定用薬液として上記第1の発明の地盤安定用薬液を用いることを特徴とする地盤安定化工法。」を要旨とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の地盤安定用薬液に用いられる珪酸アルカリ液は、コロイダルシリカの粒子径が5〜10nm、SiO2/Na2Oのモル比が30〜80、及び、SiO2の含有量が5〜23重量%であることが好ましい。
【0015】
コロイダルシリカの粒子径が5nmより小さい場合、珪酸アルカリ液自身がゲル化し、即ち珪酸アルカリ液の安定性が悪く、さらに、薬液調製後に豆腐を潰したようなゲルやシャーベット状のゲルいわゆる不均一なゲルが生成する。
また、コロイダルシリカの粒子径が10nmより大きい場合は、ゲル化1時間後のゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値が0.10kgf/cm2 に達せず強度の発現に劣る。また、ゲル化3年後におけるゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値がゲル化1時間経過後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値より小さくなり耐久性にも劣る。
【0016】
SiO2/Na2Oモル比が30より低い場合は、ゲル化3年後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値が、ゲル化1時間後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値より小さくなり耐久性に劣る。また、ゲル化直後のゲル体の体積が3年間の経過によって収縮する体積が1%以上となりゲル体の収縮も大きい。
SiO2/Na2Oモル比が80より高い場合は、ゲル化1時間後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度が0.10kgf/cm2 に達せず強度の発現に劣り、さらにゲル化3年後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値がゲル化1時間後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値より小さくなり耐久性にも劣る。
【0017】
珪酸アルカリ液中のコロイダルシリカの含有率がSiO2濃度として23重量%より高い場合、薬液調製後に豆腐を潰したようなゲルやシャーベット状のゲルいわゆる不均一なゲルが生成する。また、SiO2濃度として5重量%より低い場合、ゲル化1時間後のゲル体(ホモゲル)強度が0.10kgf/cm2 に達せず強度の発現に劣る。
【0018】
本発明に用いられるゲル化剤は下記(a)成分と(b)成分からなる。
(a)成分は、硫酸水素アルカリ塩及び燐酸一アルカリ塩からなる群より選ばれた少なくとも一種であり、具体的には、硫酸水素アルカリ塩としては硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等、燐酸一アルカリ塩としては、燐酸一ナトリウム塩、燐酸一カリウム塩等を挙げることができる。
【0019】
(b)成分は、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、カリウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、酢酸アルミニウム及び乳酸マグネシウムからなる群より選ばれた少なくとも一種である。
【0020】
(a)成分や(b)成分にこれ以外のゲル化剤成分を用いると薬液調製後、薬液が豆腐を潰したような状態のゲルやシャーベット状のゲル、いわゆる不均一なゲルが生成したり、ゲル化1時間経過後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値が0.10kgf/cm2 未満であったり、ゲル化3年間経過後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値がゲル化1時間経過後における形成されたゲル体(ホモゲル)の一軸圧縮強度値未満であったりゲル化直後のゲル体の体積に対し、3年間の経過によって収縮した体積が1%以上である等、珪酸アルカリとゲル化剤混合直後の溶液の均一性、ゲル化直後の強度の発現性、耐久性、ゲル体の収縮性の点で劣る。
本発明に用いることの出来るゲル化剤としての(a)成分や(b)成分はいずれも市販品で良いが純度の高いものが好ましい。
【0021】
本発明の地盤安定用薬液は、前記本発明の珪酸アルカリ液と、該珪酸アルカリ液中のSiO2に対して 0.65〜 6.6重量%の(a)成分と、該珪酸アルカリ液中のSiO2に対して 2.5〜82重量%の (b)成分とを十分に混合することによって得られる。
(a)成分のSiO2に対する量比が本発明が規定する範囲である 0.65重量%より少ない場合、薬液を調製直後に薬液が豆腐を潰した様な不均一なゲルが生成する。また、 (a)成分のSiO2に対する量比が本発明が規定する範囲である 6.6重量%より多い場合、ゲル化1時間経過後における形成されたゲル体の一軸圧縮強度が0.10kgf/cm2 に達せず、強度の発現が劣る。
【0022】
また、 (b)成分の前記本発明の珪酸アルカリ液中のSiO2に対する量比が本発明の規定する範囲である 2.5重量%より少ない場合、ゲル化1時間経過後における形成されたゲル体の一軸圧縮強度が0.10kgf/cm2 に達せず、強度の発現が劣る。
(b)成分の前記本発明の珪酸アルカリ液中のSiO2に対する量比が本発明が規定する範囲である82重量%より多い場合、薬液を調製直後に、薬液が豆腐を潰した様な不均一なゲルが生成する。
【0023】
本発明の地盤安定化工法は、本発明で規定した珪酸アルカリ液、ゲル化剤 (a)成分、ゲル化剤 (b)成分を本発明で規定した量となるように混合して調製した薬液を地盤内に注入してゲル化させ、地盤を安定化させる。
【0024】
本発明の地盤安定用薬液を調製する方法としては次のような方法がある。
(1) 前記本発明の珪酸アルカリ液単独をA液、または前記本発明の珪酸アルカリ液と水を混合したものをA液とし、 (a)成分の水溶液をB液とし、 (b)成分の水溶液をC液とし、 (a)成分がA液のSiO2に対して0.65〜 6.6重量%、B成分がA液のSiO2に対して 2.5〜82重量%の量比となるようにA液とB液とC液を同時に混合する方法。
(2) 前記本発明の珪酸アルカリ液単独をA液、または、前記本発明の珪酸アルカリ液と水を混合したものをA液とし、 (a)成分と (b)成分の混合物の水溶液B液とし、(a)成分がA液のSiO2に対して0.65〜 6.6重量%、B成分がA液のSiO2に対して 2.5〜82.0重量%の量比となるようにA液とB液を同時に混合する方法。
(3) 前記本発明の珪酸アルカリ単独と (a)成分の混合物をA液、または、前記本発明の珪酸アルカリと (a)成分と水とを混合したものをA液とし、 (b)成分の水溶液をB液とし、 (a)成分がA液のSiO2に対して0.65〜 6.6重量%、B成分がA液のSiO2に対して 2.5〜82重量%の量比となるようにA液とB液を同時に混合する方法。
【0025】
かくして調製した薬液の地盤への注入に際しては、例えば、単管式、二重管式、多重管式などの各種注入管を用いることが出来、また、A液とB液、あるいは、A液とB液とC液とを予め混合して注入管に導く方法、A液とB液、あるいはA液とB液とC液とを基部に設けた混合部、例えば、Y字管において混合して注入管に導く方法、A液とB液、あるいは、A液とB液とC液とをそれぞれ独立に注入管に導いて注入管から地盤内に注入しながら地盤内おいて合流・混合させる等、適宜の方法が可能である。
【0026】
【実施例】
次に実施例および比較例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例
A液・・・・珪酸アルカリ液単独または珪酸アルカリ液と(a)成分または珪酸アルカリ液と(a)成分と水を混合したもの.
下記の珪酸アルカリ液を実験に用いた。
実験3,8,11〜57の珪酸アルカリは触媒化成工業株式会社製の「カタロイドSI550」を用いた.
実験10、63の珪酸アルカリ液には触媒化成工業株式会社製の「カタロイドSI30H 」を用いた。
実験58の珪酸アルカリ液には日産化学工業株式会社製の「スノーテックス30G 」を用いた。
実験59の珪酸アルカリ液には触媒化成工業株式会社製の「カタロイドSI550」をSiO2濃度30重量%まで濃縮したものを用いた。
実験60の珪酸アルカリ液には日本工業規格(JIS K-1408)に規定されている3号珪酸ソーダを用いた。
上記以外では、米国特許第3711419号明細書、米国特許第3714064号明細書、特開昭62-7622号明細書に記載の方法で調製した珪酸アルカリ液を使用した。
B液・・・・所定量の(a)成分と(b)成分の混合物に水を加え溶解させB液とした。ゲル化剤の(a)成分、(b)成分は市販品の試薬第1級品を用いた。
上記のようにして調製したA液とB液とを温度20℃において混合し、ゲル化させてホモゲルを得た。
【0027】
各試験における薬液に用いた珪酸アルカリ液のモル比、粒子径、薬液中のSiO2含有率、 (a)成分、 (b)成分の種類およびSiO2に対する重量比と測定結果と評価および総合評価は表1、表2、表3に示した。
なお、表中測定結果の欄の中で−で示したのは、以下に述べるA液、B液混合直後の溶液の均一性評価が×の場合であり,「均一なゲル体が得られないので評価しなかった」を意味する。
【0028】
薬液性能の各評価項目の試験方法と評価基準は次のとおりである。
・A液、B液混合直後の溶液の均一性・・・液温20℃において,A液とB液とをよく混合し、生成したゲル体の状態を観た。
評価 〇・・・ A液とB液を混合後、均一なゲルが生成した。
評価 ×・・・ A液とB液を混合後、生成したゲル体が不均一であった。
【0029】
・ゲル化直後の強度の発現性・・・温度20℃において、A液とB液の混合液を円柱型の型枠(径 5cm×高さ10cm)内に流し込み形成されたゲル体の材令1時間の一軸圧縮強度値を測定した。
評価 〇・・・一軸圧縮強度の値が,0.10kgf/cm2 以上であった。
評価 ×・・・一軸圧縮強度の値が,0.10kgf/cm2 未満であった。
【0030】
・耐久性・・・温度20℃において、A液とB液の混合液を円柱型の型枠(径 5cm×高さ10cm)内に流し込み形成されたゲル体の材令1時間の一軸圧縮強度値と材令3年の一軸圧縮強度値を測定した。
評価 〇・・・ゲル体の一軸圧縮強度値(材令3年)がゲル体の一軸圧縮強度値(1時間)以上であった。
評価 ×・・・ゲル体の一軸圧縮強度値(材令3年)がゲル体の一軸圧縮強度値(1時間)未満であった。
【0031】
・ゲル体の収縮性・・・温度20℃において、A液とB液の混合液を円柱型の型枠(径 5cm×高さ10cm)内に流し込みゲル化直後形成されたゲル体の体積とゲル化1時間後に脱形したゲル体を水中養生させ、材令3年におけるゲル体の体積を測定し、体積の収縮率を求めた。
【数1】
〇・・・ゲル化直後のゲル体の体積に対し、3年間の経過による体積収縮率が 1.0%未満であった。
×・・・ゲル化直後のゲル体の体積に対し、3年間の経過によって収縮した体積が体積百分率で 1.0%以上であった。
【0032】
総合評価
〇・・・A液、B液混合直後の溶液の均一性、ゲル化直後の強度の発現性、耐久性、ゲル体の収縮性の評価が全て〇であった。
×・・・評価項目の少なくとも一つが×であった。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
実験1〜5は珪酸アルカリ液のSiO2/Na2Oモル比の薬液の性能への影響を示す。
珪酸アルカリ液のSiO2/Na2Oモル比が本発明の規定範囲(30〜80)よりも小さい20である実験1では形成されたゲル体の耐久性や収縮性が悪く、一方、規定範囲よりも大きい90である実験5ではゲル化直後の強度の発現性の性能基準を満たさず、いずれも本発明の目的を達成することが出来なかった。
【0037】
実験6〜10は珪酸アルカリ液中のコロイダルシリカの粒子径の薬液の性能への影響を示す。
珪酸アルカリ液中のコロイダルシリカの粒子径が本発明の規定範囲( 5〜10nm)よりも小さい4nmである実験6では、A液+B液混合直後の溶液の均一性が悪く、一方、規定範囲より大きい13nmである実験10ではゲル化直後の強度の発現性が低く、それぞれ前記の薬液の性能基準を満たさず本発明の目的を達成することが出来なかった。
【0038】
実験11〜16は薬液の内訳における (a)成分のSiO2に対する量比の薬液の性能への影響を示す。
薬液の内訳における (a)成分のSiO2 に対する量比が本発明の規定範囲(0.65〜 6.6重量%)よりも少ない0.60重量%の実験11ではA液+B液混合直後の溶液の均一性が悪く、一方、規定範囲より多い7.00の実験16ではゲル化直後の強度の発現性に関して性能基準を満たさず、本発明の目的を達成することが出来なかった。
【0039】
実験17〜28は薬液の内訳における (b)成分のSiO2に対する量比の薬液の性能への影響を示す。
薬液の内訳における(b)成分のSiO2に対する量比が本発明の規定範囲( 2.5〜82重量%)よりも少ない2重量%の実験17ではゲル化直後の強度の発現性が悪く、一方、規定範囲より多い100重量%の実験28では、A液+B液混合直後の溶液が不均一であり、本発明の目的を達成することが出来なかった。
【0041】
実験34〜57は比較例として本発明規定以外のゲル化剤用いた場合の薬液の性能への影響を示す。
本発明規定以外のゲル化剤を用いた場合は、いずれも本発明の評価基準を全て満たさず、本発明の目的を達成する事が出来なかった。
【0042】
これに対して、本発明の用件を満たした場合(実験2〜4、7〜9、12〜15、18〜27)には、A液とB液とを混合して得た薬液は不均一ゲルを生成することなく、1時間および3年間経過後における形成されたゲル体の一軸圧縮強度値が0.10kgf/cm2 以上であり、3年間経過後における形成されたゲル体の一軸圧縮強度値が1時間経過後における形成されたゲル体の一軸圧縮強度値以上であり、ゲル体の収縮率が体積で1%未満であって、いずれも前記薬液の性能基準を満たし、本発明の目的を達成することが出来た。
【0043】
【発明の効果】
本発明の地盤安定用薬液および地盤安定化工法によれば、従来の珪酸アルカリとゲル化剤の組み合わせでは得られなかった性能、すなわち、均一なゲルが得られ、形成されるゲル体のゲル化直後の強度発現が良好であり、かつ、3年後まで強度低下せず、かつ、ゲル体の収縮率が小さいゲルが得られ、より安全・確実に地盤安定化できる。
Claims (2)
- 珪酸アルカリ液とゲル化剤とを組み合わせてなる地盤安定用薬液であって、珪酸アルカリ液中のコロイダルシリカの粒子径が5〜10nm及びSiO2/Na2Oのモル比が30〜80、並びに、地盤安定用薬液中のSiO2の含有量が5〜23重量%であり、ゲル化剤が下記 (a)成分と (b)成分からなり、(a)成分の配合量は地盤安定用薬液中のSiO2に対して0.65〜6.6重量%、(b)成分の配合量が地盤安定用薬液中のSiO2に対して2.5〜82重量%であることを特徴とする地盤安定用薬液。
(a)成分:硫酸水素アルカリ塩及び燐酸一アルカリ塩からなる群より選ばれた少なくとも一種。
(b)成分:硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、カリウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、酢酸アルミニウム及び乳酸マグネシウムからなる群より選ばれた少なくとも一種。 - 地盤安定用薬液を地盤に注入し、地盤内でゲル化させて地盤安定化をさせるにあたり、地盤安定用薬液として請求項1記載の地盤安定用薬液を用いることを特徴とする地盤安定化工法。
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