JP4462433B2 - 誘電体材料 - Google Patents

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本発明は、多層配線基板に用いられる誘電体材料に関し、特に低温焼成が可能であるとともに、当該基板上に外部導体が形成されることによる反り量を低減することのできる誘電体材料に関するものである。
従来の多層配線基板を構成する誘電体材料として酸化アルミニウム(Al)が汎用されていた。しかし、Alは焼成温度が1550℃と高温であるため、配線を構成する導体と同時に焼成するためには、W、Mo等の高融点金属を導体として用いることが必要である。また、Alは比誘電率(εr)が8〜10と大きいため、信号処理遅延が危惧される。つまり、Al自体を基板材料としたのでは、信号処理の高速化に対応することが困難となる。
そこで低温で焼成するガラスを含む誘電体材料が使用されるようになった。例えば、軟化点700〜900℃程度のガラスフリットとAlフィラーとを混合することにより、1000℃以下の低温で焼成が可能な材料が使用されるようになった。この場合、低温での焼成が可能なことから、WやMoに比し、導電率が高いが、融点の低いAgやCuを導体として用いて誘電体材料と同時焼成したいという要求に応えることも可能になる。この誘電体材料は、比誘電率(εr)を5〜7とすることができるため、信号遅延を抑制することができる。この誘電体材料としては、例えば特許文献1(特開平1−132194号公報)が知られている。
特許文献1は、Al成分:30〜50wt%及びガラス成分:70〜50wt%とを含み、ガラス成分がSiO:46〜60wt%、B:0.5〜5wt%、Al:6〜17.5wt%及びアルカリ土類金属酸化物:25〜45wt%の組成を有し、アルカリ土類金属酸化物中の少なくとも60wt%がSrOである誘電体材料を開示している。
特開平1−132149号公報
ところで、多層配線基板にICチップを搭載する場合、多層配線基板表面の搭載部分には導体(以下、外部導体)が形成されている。ここで、外部導体には、基板表面への密着性が要求される。また、外部導体の領域は、ICチップの搭載を確保するために、所定の平坦性が要求される。したがって、外部導体を形成する過程で基板に発生する反り量を低減する必要がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、外部導体の密着性が良好であるとともに、外部導体形成よる反り量を低減することができる誘電体材料を提供することを目的とする。
本発明者等は上記目的を達成する検討を行った。その結果、特許文献1に開示されている誘電体材料は、ある種の外部導体との密着性に優れることを知見した。ここで、ある種の外部導体とは、ZnOを主成分とするガラス(以下、ZnO系ガラス)とAgとから構成される。しかし、ZnO系ガラスとAgとから構成される外部導体を用いた場合には、焼成後に許容し得ない反りが多層基板に発生することが判明した。この原因は現時点で明らかになっていないが、外部導体中のZnと誘電体材料中のAlとが反応して、外部導体と多層基板との界面にZnAlが生成したことに起因しているものと解される。そこで、Znと反応しない元素からなる誘電体成分を誘電体層のフィラーとして用いたところ、多層基板の反りを、ICチップ搭載にとって問題ない程度に抑制できることを知見した。この知見に基づく本発明は、少なくとも外部導体と接触する誘電体層は、誘電体成分:5〜40vol%及びガラス成分:60〜95vol%を含み、誘電体成分は、焼成過程においてZnに対して安定な誘電体成分から構成され、誘電体成分は、周期律表IVa族元素、Va族元素及びVIa族元素の酸化物の1種又は2種以上であり、ガラス成分は、SiO:46〜60wt%、B:0.5〜5wt%、Al:6〜17.5wt%及び周期律表IIa族元素の酸化物:25〜45wt%の組成を有し、周期律表IIa族元素の酸化物中の少なくとも60wt%をSrOが占め、外部導体は、Agからなる導電体成分と、ZnO系ガラスからなるガラス成分とからなることを特徴とする多層配線基板により目的を達成する。
本発明において、誘電体成分としてフォルステライト(Mg SiO )を用いることも可能であり、したがって、周期律表IVa族元素、Va族元素及びVIa族元素の酸化物の1種又は2種以上とフォルステライト(MgSiO)とを複合して用いることもできる。
以上の本発明の多層配線基板において、誘電体成分が5〜20vol%であることが好ましい。
本発明によれば、外部導体の密着性が良好であるとともに、外部導体形成による反り量を低減することができる誘電体材料を提供することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
<配線基板構成>
本発明の誘電体材料を用いた多層配線基板の一構成例を図1に示す。
図1に示される多層配線基板10は、積層された複数の誘電体層11〜17を有している。
誘電体層11の表面には、外部導体31、32、33が形成されている。この外部導体31、32、33の表面に、ICチップを搭載することができる。
誘電体層12と誘電体層13との間、誘電体層13と誘電体層14との間には、それぞれ内部導体113及び123が設けられ、各内部導体113及び123は、各々スルーホール電極21及び23を介して外部導体31及び33と電気的に接続されている。
誘電体層17の表面には端子電極41及び42が形成されており、この端子電極41及び42は、各々スルーホール電極22及び24を介して外部導体31及び33と電気的に接続されている。
外部導体31、32、33には、Cu又はAgを用いることが好ましく、特に酸素含有雰囲気、例えば大気中で焼成する場合には、Agを用いることが好ましい。また、内部導体113、123及びスルーホール電極21、22、23、24には、導電性が良いこと等を優先させる点からAg又はCuを主体とする導体を用いることが好ましく、特に、酸素含有雰囲気、例えば大気中で焼成する場合にはAgを用いることが好ましい。
本実施の形態において、誘電体層11〜17は、誘電体成分:5〜40vol%及びガラス成分:60〜95vol%とを含む。ここで、誘電体成分としては、後述する外部導体31、33に含まれるガラス成分中のZnと焼成過程で安定、つまり焼成過程でZnと反応し化合物を生成しない誘電体成分を用いる。誘電体成分としてアルミナ(Al)を用いると、前述したように、反りが顕著に発生する。そこで本発明では、反り量の低減のために、Znと焼成過程で安定な誘電体成分を用いることとした。誘電体成分の具体例としては、周期律表IVa族元素、Va族元素及びVIa族元素の酸化物の1種又は2種以上を用いることができる。ここで、周期律表IVa族元素とはTi、Zr及びHfである。また、周期律表Va族元素とはV、Nb及びTaである。さらに、周期律表VIa族元素とはCr、Mo及びWである。本発明の誘電体成分としてこれらの酸化物を用いることができるが、この酸化物は他の元素との複合酸化物の形態であってもよい。たとえば、ZrSiO、CaZrO、SrZrO及びBaZrOである。
誘電体成分としては、フォルステライト(MgSiO)を用いることも好ましい。フォルステライト(MgSiO)は、反り量の低減に効果があるとともに、比誘電率εrが低いという利点がある。上述した周期律表IVa族元素、Va族元素及びVIa族元素の酸化物とフォルステライト(MgSiO)を複合して用いることもできる。
誘電体層11〜17を構成する誘電体成分が5vol%未満、すなわちガラス成分が95vol%を超えると焼成可能な温度範囲が著しく狭くなる。また、誘電体成分が40vol%を超える、つまりガラス成分が60vol%未満になると、1000℃以下の焼成温度で緻密な焼成体が得られなくなる。誘電体層11〜17を構成する誘電体成分は5〜30vol%とするのが好ましく、5〜20vol%とするのがより好ましい。
誘電体層11〜17を構成するガラス成分は、SiO:46〜60wt%、B:0.5〜5wt%、Al:6〜17.5wt%及び周期律表IIa族元素の酸化物:25〜45wt%の組成を有する。SiOが46wt%未満ではガラス化が困難になり、60wt%を超えると融点が高くなりすぎて低温焼成ができなくなる。SiOは47〜55wt%とすることが好ましい。
が0.5wt%未満ではガラス化温度が若干高くなるとともに焼成温度が高くなりすぎて好ましくない。また、Bが5wt%を超えると焼成後の耐湿性の低下を招く。Bは1〜4wt%とすることが好ましい。
Alが6wt%未満ではガラス成分の強度が低下し、17.5wt%を超えるとガラス化が困難になる。Alが7〜16.5wt%とすることが好ましい。
ガラス成分中の周期律表IIa族元素の酸化物としては、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO及びRaOを含むが、その合計量の60wt%、好ましくは80wt%以上がSrOであることが必要である。この量が60wt%未満では、誘電体成分との熱膨張係数の差を抑制することによる磁器の高強度化を図ることが困難になる。また、他の周期律表IIa族酸化物としては、MgO、CaO、BaOを用いることが好ましく、MgO、CaO、BaOは、合計で1wt%以上にするのが好ましく、MgO及びCaOを各々0.2wt%以上、特に0.5wt%以上とするのが好ましく、MgOとCaOの合計で10wt%以下、さらにCaOは5wt%以下とするのが好ましい。また、BaOは5wt%以下にするのが好ましい。5wt%を超えると誘電率が高くなりすぎるためである。
なお、本発明が以上のようなガラス組成を採用する根拠は、特許文献1の参考例1〜3に開示されている通りである。
次に、本実施の形態において、外部導体31、32、33は、導電体成分及びガラス成分から構成される。
導電体成分としては、公知の金属材料を用いることができるが、前述したように、Agを用いることが好ましい。
外部導体31、32、33に用いるガラス成分として、ZnOを主成分とするガラスを用いる。ZnOを主成分とするガラスを含む外部導体31、32、33は、誘電体層11に対する密着性が高い。そこで、本実施の形態ではZnOを主成分とするガラスを含む外部導体31、32、33を用いる。ZnOを主成分とするガラスは、ZnOを60〜75wt%含むことが好ましい。ZnOが60wt%未満ではガラスの軟化点が上がってしまうからであり、また75wt%を超えるとガラス化しないからである。
ZnOを主成分とするガラスは、ZnO以外には、SiO、Al、アルカリ金属酸化物、周期律表IIa族元素の酸化物の少なくとも1種を25〜40wt%含むことが好ましい。アルカリ金属酸化物としては、LiO、NaO、KO、RbO、CsO及びFrOを含むが、Li、Na、Kを用いることが好ましい。また、周期律表IIa族元素の酸化物としては、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO及びRaOを含むが、BaO、CaO、SrOを用いることが好ましい。ZnO以外の組成物として、SiO:5〜20wt%、Al:0〜20wt%(0を含まず)、アルカリ金属酸化物:0〜10wt%(0を含まず)、周期律表IIa族元素の酸化物:0〜20wt%(0を含まず)とすることが好ましい。
外部導体31、32、33におけるガラス成分の量は2〜6vol%、つまり導電体成分の量を94〜98vol%とすることが好ましい。ガラス成分が2vol%未満では誘電体と導体の結合が弱くなるからであり、6vol%を超えると導体の抵抗率が上がるからである。なお、内部導体113、123、スルーホール電極21、22、23、24も外部導体31、32、33と同様の導電体成分及びガラス成分から構成することができる。
多層配線基板10は、厚膜法により製造することができる。厚膜法では、誘電体層用ペーストを用意する。誘電体層用ペーストは、誘電体成分粒子とガラス成分粒子とからなる誘電体層材料にビヒクルを加えて調製される。
誘電体成分粒子の平均粒径に特に制限はないが、0.5〜3μm程度とすることが好ましい。0.5μm未満ではシート形成が困難となり、3μmを超えると誘電体層の強度が不足する傾向にある。ガラス成分粒子の平均粒径には特に制限はないが、成形性等を考慮して、通常、1〜2.5μm程度のものを用いるのが好ましい。
ペースト調製に用いるビヒクルとしては、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ブチルメタアクリレート等のバインダ、テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビ トールアセテート、アセテート、トルエン、アルコール、キシレン等の溶剤、その他各種分散剤、活性剤、可塑剤等が含まれるものであり、これらのうち任意のものが目的に応じて適宜選択される。ビヒクルの添加量は、誘電体成分粒子及びガラス成分粒子の合計量100重量部に対し、65〜85重量部程度とすることが好ましい。
また、外部導体用ペースト、内部導体用ペースト、スルーホール電極用ペーストを用意する。これらのペーストは、導電体成分粒子とガラス成分粒子とからなる導電体組成物にビヒクルを加えて調製される。ビヒクルについては、導電体層用ペーストと同様とすればよい。
次いで、誘電体層となるグリーンシートを作製する。この場合、前述したペーストを用い、例えばドクターブレード法により所定枚数作製する。
次いで、グリーンシート上にパンチングマシーンや金型プレスやレーザーを用いてスルーホールを形成し、その後、内部導体用ペーストを各グリーンシート上に、例えばスクリーン印刷法により印刷し、所定のパターンの内部導体前駆体を形成するとともにスルーホール内にスルーホール電極前駆体を充填する。また、外部導体用ペーストをスクリーン印刷法等により印刷して、外部導体前駆体を形成する。
次いで、各グリーンシートを重ね合せ、熱プレス(約40〜120℃、50〜1000kgf/cm) を加えてグリーンシートの積層体とし、必要に応じて脱バインダ処理、切断用溝の形成等を行なう。
本実施の形態において、誘電体層11〜17の全てを上述した本実施の形態の誘電体成分を含む層とすることができるが、本実施の形態はこの形態に限定されない。
すなわち本実施の形態は、ZnOを主成分とするガラスを含む外部導体31、32、33と接触する誘電体層11を本実施の形態の誘電体成分で含む層とすればよい。外部導体31、32、33の密着性を確保しつつ反り量を低減するためである。この場合、他の誘電体層12〜17は、特許文献1に開示されるAlを誘電体成分として含む層とすることができる。ただし、焼成時の多層配線基板10全体の反り量低減のために、誘電体層17は本実施の形態の誘電体成分を含む層とすることが好ましい。
また、内部導体113、123が導電体成分とZnOを主成分とするガラスとから構成される場合には、内部導体113、123と接触する誘電体層12及び13を本実施の形態の誘電体成分を含む層とすることが好ましい。さらに、端子電極41、42が導電体成分とZnOを主成分とするガラスとから構成される場合には、端子電極41、42と接触する誘電体層17を本実施の形態の誘電体成分を含む層とすることが好ましい。
以上の通りであり、本実施の形態においては導電体成分とZnOを主成分とするガラスとから構成される導電体層と接触する部位に配置される誘電体として、焼成過程においてZnに対して安定な誘電体成分を用いることが必要であり、配置される具体的部位は、導電体成分とZnOを主成分とするガラスとから構成される層によって適宜定められる。
以下の要領で誘電体層用ペースト及び外部導体用ペーストを作製した。
誘電体層用ペーストは、誘電体組成物とビヒクルによって構成される。誘電体組成物は、表1に示される化合物及び量の誘電体成分(平均粒径1〜2μm)と、残部のガラス成分とから構成される。ガラス成分は以下の組成を有する平均粒径1〜2μmのガラス粒子である。
以上の誘電体組成物100重量部に対してバインダとしてのブチルメタアクリレート、溶剤としてのトルエン、エタノールを92重量部添加してボールミルで16時間混合して誘電体層用ペーストを作製した。
誘電体組成物のガラス組成
SiO:52.5wt%、B:3.5wt%、Al:11.5wt%、
MgO:2.0wt%、CaO:3.0wt%、SrO:27.5wt%
外部導体用ペーストは、外部導体組成物とビヒクルによって構成される。外部導体組成物は、平均粒径2μmのAg粒子と、残部のガラス成分とから構成される。外部導体組成物において、Ag粒子は96vol%、ガラス成分は4vol%である。また、ガラス成分は以下の組成を有する平均粒径1μmのガラス粒子である。
以上の外部導体組成物のガラス成分100重量部に対して、バインダとしてのエチルセルロース、溶剤としてのテルピネオールを20重量部添加してボールミルで16時間混合して外部導体用ペーストを作製した。
外部導体組成物のガラス組成
ZnO:65.0wt%、SiO:15.0wt%、Al:5.0wt%、
CaO:10.0wt、NaO:5.0wt%
誘電体層用ペーストを用い、ドクターブレード法により厚さ65μmのグリーンシートを作製し、このグリーンシートを積層した後に、最表面のグリーンシート上に外部導体用ペーストをスクリーン印刷法により印刷した。この積層体を熱プレスした後に、脱脂し、ついで大気中で900℃、30分間焼成した。得られた多層基板の寸法は13mm×13mm×1mmであり、外部導体の寸法は5.3mm×5.3mmである。焼成後、多層基板Lの外部導体Cが形成された面の反りを、図2に示す線に沿って測定した。なお、触針式の表面粗さ計を用いて図2の線に沿って粗さを測定し、得られた高低差をもって反り量とした。
反りの測定結果を表1、図3及び図4に示す。表1、図3及び図4に示すように、誘電体成分としてAlを用いると130μmを超える反りが発生しているのに対して、誘電体成分としてTiO、ZrO、Nb、Ta、ZrSiO、CaZrO、SrZrO及びBaZrOを用いると、5〜40vol%の範囲で反りを50μm以下に抑制できる。これら誘電体成分の中で、CaZrO、SrZrO及びBaZrOが反り量の低減にとって有利である。
なお、外部導体の密着強度を、以下の条件によるPCT(プレッシャークッカー試験)により判断したところ、PCT後も外部導体が強固に密着していることが確認された。一方で、外部導体のガラス成分をSi−Na−Al−Zr−Oガラスとしたところ、同様のPCTで外部導体の剥離が観察された。
PCT条件
温度:121℃
湿度:96%RH(相対湿度)
圧力:2atm
保持時間:60時間
Figure 0004462433
得られた多層基板について、比誘電率εrを測定した。その結果を表2、図5及び図6に示す。表2、図5及び図6に示すように、多層配線基板としての信号遅延を抑制するためには比誘電率εrが低いことが望まれるが、その場合にはZrSiO、CaZrO、SrZrO及びBaZrOの1種又は2種以上を用いることが有利である。
Figure 0004462433
得られた多層基板について線膨張係数α(ppm/K)を測定した。その結果を表3、図7及び図8に示す。表3、図7及び図8に示すように、誘電体成分としてのTiO、ZrO、Nb、Ta、ZrSiO、CaZrO、SrZrO及びBaZrOの量が増加すると線膨張係数αが大きくなるものと小さくなるものがある。
ここで、誘電体層11〜17の各層が同一誘電体成分を含む場合には線膨張係数αが問題視されることはない。しかるに、誘電体層11〜17の中で異なる誘電体成分を含む場合であっても、各誘電体層11〜17の線膨張係数αが一致又は近似していることが好ましい。焼成時あるいは多層配線基板使用時の昇温・降温において各誘電体層11〜17に発生する伸縮量が大きく相違すると、各層間に生じる歪が無視できなくなるからである。例えば、誘電体層12〜16が誘電体成分としてAlを含む場合には、図7及び図8より、誘電体層11及び17の誘電体成分としてTiO又はZrOを用いることが好ましい。特に、誘電体成分としてTiOを用いる場合には含有量を5〜20vol%とし、ZrOを用いる場合には含有量を20〜30vol%とすることにより、誘電体層11及び17の線膨張係数αを誘電体層12〜16の線膨張係数長αに一致又は近似させることができる。
Figure 0004462433
誘電体成分としてのTiO及びZrOを用いて作製された多層基板について品質係数Qを求めた。その結果を表4及び図9に示す。表4及び図9に示すように、誘電体成分としてのTiO及びZrOの量が増加すると品質係数Qが向上することがわかる。
Figure 0004462433
次に、誘電体層と外部導体との界面に存在する結晶相をXRD(X-ray diffraction)により観察した結果を図18に示す。なお、観察したのは、誘電体成分としてTiOを15vol%含む誘電体層と外部導体の界面、及び誘電体成分としてAlを30vol%含む誘電体層と外部導体の界面である。
図18より、誘電体成分としてTiOを含む誘電体層と外部導体の界面には、TiO、ZnSiO及びSrAlSiが確認された。このTiOは誘電体成分に基づくものである。ZnSiOは外部導体に含まれるガラス成分の結晶化に基づき、SrAlSiは誘電体層に含まれるガラス成分の結晶化に基づくものである。
また図18より、誘電体成分としてAlを含む誘電体層と外部導体の界面には、Al、ZnSiO及びSrAlSiが確認された。さらに、誘電体成分としてAlを含む誘電体層と外部導体の界面には、ZnAlが確認された。ZnAlは、誘電体層の誘電体成分に含まれるAlと外部導体のガラス成分に含まれるZnとが反応して生成されたものである。
以上のXRDの結果より、ZnAlの生成が反り量を大きくする要因になっているものと解され、誘電体層と外部導体の界面が、誘電体層に含まれる誘電体成分、誘電体層に含まれるガラス成分の結晶生成物及び外部導体に含まれるガラス成分の結晶生成物から占められていれば、反り量を低減できることを示唆している。この界面には、誘電体層の誘電体成分と外部導体のガラス成分との反応生成物を含まない。
誘電体成分をフォルステライト(MgSiO)とした以外は実施例1と同様にして多層基板を作製した。得られた多層基板について、実施例1と同様にして反り、比誘電率εr、線膨張係数α及び品質係数Qを求めた。その結果を表5、図10〜図13に示す。
表5、図10及び図11より、フォルステライト(MgSiO)を誘電体成分として用いると、反り量を30μm以下にすることができるとともに、比誘電率εrを6〜7の範囲にすることができる。また、フォルステライト(MgSiO)を誘電体成分として用いた場合、表5及び図12より、その含有量を5〜15vol%とすることにより、誘電体成分としてAlを用いた場合と一致又は近似する線膨張係数αとすることができる。
Figure 0004462433
誘電体成分をZrSiO及びフォルステライト(MgSiO)とした以外は実施例1と同様にして多層基板を作製した。得られた多層基板について、実施例1と同様にして反り、比誘電率εr、線膨張係数α及び品質係数Qを求めた。その結果を表6、図14〜図17に示す。
誘電体成分をZrSiO及びフォルステライト(MgSiO)を混合して用いた場合であっても、反り量を30μm以下に抑制することができるとともに、比誘電率εrを7〜8の範囲に設定することができる。また、線膨張係数αも、ZrSiO及びフォルステライト(MgSiO)各々の含有量を調整することにより、誘電体成分としてAlを用いた場合と一致又は近似させることができる。
なお、ここではZrSiO及びフォルステライト(MgSiO)の組合せについて示したが、実施例1、実施例2で示した各種誘電体成分を任意に組合わせることが可能なことは、本実施例により容易に類推することができる。
Figure 0004462433
本実施の形態の多層配線基板の一構成例を示す断面図である。 実施例における反り量の測定位置を示す図である。 実施例1における反り量の測定結果を示すグラフである。 実施例1における反り量の測定結果を示すグラフである。 実施例1における比誘電率の測定結果を示すグラフである。 実施例1における比誘電率の測定結果を示すグラフである。 実施例1における線膨張係数の測定結果を示すグラフである。 実施例1における線膨張係数の測定結果を示すグラフである。 実施例1における品質係数Qの測定結果を示すグラフである。 実施例2における反り量の測定位置を示すグラフである。 実施例2における比誘電率の測定結果を示すグラフである。 実施例2における線膨張係数の測定結果を示すグラフである。 実施例2における品質係数Qの測定結果を示すグラフである。 実施例3における反り量の測定位置を示すグラフである。 実施例3における比誘電率の測定結果を示すグラフである。 実施例3における線膨張係数の測定結果を示すグラフである。 実施例3における品質係数Qの測定結果を示すグラフである。 誘電体層と外部導体との界面に存在する結晶相をXRD(X-ray diffraction)により観察した結果を示す図である。
符号の説明
10…多層配線基板
11、12、13、14、15、16、17…誘電体層
21、22、23、24…スルーホール電極
31、32、33…外部導体
41、42…端子電極
113、123…内部導体

Claims (3)

  1. 積層された複数の誘電体層と、外部導体とを備えた多層配線基板であって、
    少なくとも前記外部導体と接触する前記誘電体層は、
    誘電体成分:5〜40vol%及びガラス成分:60〜95vol%を含み、
    前記誘電体成分は、焼成過程においてZnに対して安定な誘電体成分から構成され、
    前記誘電体成分は、周期律表IVa族元素、Va族元素及びVIa族元素の酸化物の1種又は2種以上であり、
    前記ガラス成分は、SiO:46〜60wt%、B:0.5〜5wt%、Al:6〜17.5wt%及び周期律表IIa族元素の酸化物:25〜45wt%の組成を有し、前記周期律表IIa族元素の酸化物中の少なくとも60wt%をSrOが占め、
    前記外部導体は、Agからなる導電体成分と、ZnO系ガラスからなるガラス成分とからなることを特徴とする多層配線基板。
  2. 積層された複数の誘電体層と、外部導体とを備えた多層配線基板であって、
    少なくとも前記外部導体と接触する前記誘電体層は、
    誘電体成分:5〜40vol%及びガラス成分:60〜95vol%を含み、
    前記誘電体成分は、焼成過程においてZnに対して安定な誘電体成分から構成され、
    前記誘電体成分は、フォルステライト(MgSiO)であり、
    前記ガラス成分は、SiO:46〜60wt%、B:0.5〜5wt%、Al:6〜17.5wt%及び周期律表IIa族元素の酸化物:25〜45wt%の組成を有し、前記周期律表IIa族元素の酸化物中の少なくとも60wt%をSrOが占め
    前記外部導体は、Agからなる導電体成分と、ZnO系ガラスからなるガラス成分とからなることを特徴とする多層配線基板。
  3. 前記誘電体成分を5〜20vol%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の多層配線基板。
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