以下、本発明の光学装置及びプロジェクタについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るプロジェクタ1000の光学系を示す図である。図2は、実施形態1に係る光学装置510を説明するために示す図である。図2(a)は光学装置510を上面から見た図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。図3は、実施形態1に係る光学装置510の要部を説明するために示す図である。図3(a)は射出側偏光板440R周辺部分を側面から見た図であり、図3(b)は入射側偏光板420R周辺部分を側面から見た図である。
実施形態1に係るプロジェクタ1000は、図1に示すように、照明装置100と、照明装置100からの照明光束を赤色光、緑色光及び青色光の3つの色光に分離して被照明領域に導光する色分離導光光学系200と、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調する電気光学変調装置としての3つの液晶装置410R,410G,410B及び3つの液晶装置410R,410G,410Bによって変調された色光を合成するクロスダイクロイックプリズム500を有する光学装置510と、クロスダイクロイックプリズム500によって合成された光をスクリーンSCR等の投写面に投写する投写光学系600とを備えたプロジェクタである。これら各光学系は、筐体10に収納されている。
照明装置100は、被照明領域側に略平行な照明光束を射出する光源としての光源装置110と、光源装置110から射出される照明光束を複数の部分光束に分割するための複数の第1小レンズ122を有する第1レンズアレイ120と、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応する複数の第2小レンズ132を有する第2レンズアレイ130と、光源装置110から射出される偏光方向の揃っていない照明光束を略1種類の直線偏光に揃える偏光変換素子140と、偏光変換素子140から射出される各部分光束を被照明領域で重畳させるための重畳レンズ150とを有している。
光源装置110は、リフレクタとしての楕円面リフレクタ114と、楕円面リフレクタ114の第1焦点近傍に発光中心を有する発光管112と、楕円面リフレクタ114の反射凹面と対向する反射面を有する補助ミラー116と、楕円面リフレクタ114で反射される集束光を略平行な光に変換する凹レンズ118とを有している。光源装置110は、照明光軸100axを中心軸とする光束を射出する。
発光管112は、管球部と、管球部の両側に延びる一対の封止部とを有している。
楕円面リフレクタ114は、発光管112の一方の封止部に挿通・固着される筒状の首状部と、発光管112から放射された光を第2焦点位置に向けて反射する反射凹面とを有している。
補助ミラー116は、発光管112の管球部を挟んで楕円面リフレクタ114と対向して設けられ、発光管112から放射された光のうち楕円面リフレクタ114に向かわない光を発光管112に戻し楕円面リフレクタ114に入射させる。
凹レンズ118は、楕円面リフレクタ114の被照明領域側に配置されている。そして、楕円面リフレクタ114からの光を略平行化するように構成されている。
第1レンズアレイ120は、凹レンズ118からの光を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、照明光軸100axと直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第1小レンズ122を備えた構成を有している。図示による説明は省略するが、第1小レンズ122の外形形状は、液晶装置410R,410G,410Bの画像形成領域の外形形状に関して相似形である。
第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ120と同様に照明光軸100axに直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第2小レンズ132を備えた構成を有している。
偏光変換素子140は、第1レンズアレイ120により分割された各部分光束の偏光方向を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光として射出する偏光変換素子である。
偏光変換素子140は、光源装置110からの照明光束に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分を透過し他方の直線偏光成分を照明光軸100axに垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸100axに平行な方向に反射する反射層と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板とを有している。
重畳レンズ150は、第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130及び偏光変換素子140を経た複数の部分光束を集光して、液晶装置410R,410G,410Bにおける画像形成領域近傍に重畳させる光学素子である。なお、図1に示す重畳レンズ150は1枚のレンズで構成されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210,220と、反射ミラー230,240,250と、入射側レンズ260と、リレーレンズ270とを有している。色分離導光光学系200は、照明装置100から射出される照明光束を赤色光、緑色光及び青色光の3つの色光に分離して、それぞれの色光を照明対象となる液晶装置410R,410G,410Bに導く機能を有している。
ダイクロイックミラー210,220は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。光路前段に配置されるダイクロイックミラー210は、赤色光成分を反射し、その他の色光成分を透過するミラーである。光路後段に配置されるダイクロイックミラー220は、青色光成分を透過し、緑色光成分を反射するミラーである。
ダイクロイックミラー210で反射された赤色光成分は、反射ミラー230により曲折され、集光レンズ300Rを介して赤色光用の液晶装置410Rに入射する。一方、ダイクロイックミラー210を透過した緑色光成分及び青色光成分のうち緑色光成分は、ダイクロイックミラー220で反射され、集光レンズ300Gを介して緑色光用の液晶装置410Gに入射する。また、ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分は、入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250により集光・曲折されて、集光レンズ300Bを介して青色光用の液晶装置410Bに入射する。入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250は、ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を青色光用の液晶装置410Bまで導く機能を有している。
なお、青色光の光路にこのような入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路の長さを長くして、入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250を赤色光の光路に用いる構成も考えられる。
光学装置510は、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調する3つの液晶装置410R,410G,410Bと、3つの液晶装置410R,410G,410Bで変調されたそれぞれの色光を合成するクロスダイクロイックプリズム500と、3つの液晶装置410R,410G,410Bのそれぞれの光入射側に配置される3つの集光レンズ300R,300G,300Bと、3つの液晶装置410R,410G,410Bのそれぞれの光入射側に配置される3つの入射側偏光板420R,420G,420Bと、3つの入射側偏光板420R,420G,420Bの光射出側の面に接着される3つの第2の透光性部材430R,430G,430Bと、3つの液晶装置410R,410G,410Bのそれぞれの光射出側に配置される3つの射出側偏光板440R,440G,440Bと、3つの射出側偏光板440R,440G,440Bにおける光入射側の面にそれぞれ接着される3つの第1の透光性部材450R,450G,450Bとを有している。
集光レンズ300Rは、第2レンズアレイ130から射出された各部分光束を、各部分光束の主光線に対して略平行な光に変換するために設けられている。集光レンズ300Rは、図示しない熱伝導性の保持部材によって保持されており、この熱伝導性の保持部材を介して筐体10に配設されている。他の集光レンズ300G,300Bも、集光レンズ300Rと同様に構成されている。
液晶装置410R,410G,410Bは、照明光束を画像情報に応じて変調するものであり、照明装置100の照明対象となる。
各液晶装置410R,410G,410Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に従って、入射側偏光板420R,420G,420Bから射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。液晶装置410R,410G,410Bは、図示を省略したが、例えばアルミニウム製のダイキャストフレームからなる液晶装置保持枠に保持されている。
入射側偏光板420R,420G,420Bは、図2に示すように、集光レンズ300R,300G,300Bと液晶装置410R,410G,410Bとの間に配置され、集光レンズ300R,300G,300Bから射出された光のうち、所定の方向に軸を有する直線偏光のみを透過し、その他の光を吸収する機能を有している。
入射側偏光板420Rは、図3(b)に示すように、偏光層20と、偏光層20を支持する支持層22とを有している。そして、支持層22が偏光層20における液晶装置410Rとは反対側(集光レンズ300R側)になるように、入射側偏光板420Rが集光レンズ300Rの光射出面に接着層Cを介して接着されている。偏光層20としては、例えばポリビニルアルコール(PVA)をヨウ素又は二色性染料で染色し一軸延伸して、該染料の分子を一方向に配列させるように形成された偏光層を好ましく用いることができる。このように形成された偏光層20は、前記一軸延伸方向に平行な方向の偏光を吸収し、一方、前記一軸延伸方向に垂直な方向の偏光を透過させる。偏光層20は延伸状態から元の状態に戻ろうとする力が大きいので、その力を規制するために、偏光層20を支持する支持層が設けられている。支持層22としては、トリアセチルセルロース(TAC)からなる支持層を好ましく用いることができる。他の入射側偏光板420G,420Bも、入射側偏光板420Rと同様に構成されている。
入射側偏光板420R,420G,420Bの液晶装置側(光射出側)には、第2の透光性部材430R,430G,430Bがそれぞれ配設されている。第2の透光性部材430R,430G,430Bは、例えばサファイアからなる透光性基板である。サファイアからなる透光性基板は、熱伝導率が約40W/(m・K)と高い上、硬度も非常に高く、熱膨張率は小さく、傷がつきにくく透明度が高い。なお、中程度の輝度として安価性を重視する場合には、約10W/(m・K)の熱伝導率を有する水晶からなる透光性基板を用いてもよい。第2の透光性部材430R,430G,430Bの厚さは、熱伝導性の観点からいえば0.2mm以上であることが好ましく、装置の小型化の観点からいえば2.0mm以下であることが好ましい。
図3(b)に示すように、入射側偏光板420Rにおける光入射側の面と集光レンズ300Rにおける光射出側の面とは、接着層Cを介して接着されている。また、入射側偏光板420Rにおける光射出側の面と第2の透光性部材430Rにおける光入射側の面とは、粘着層Dを介して貼り合わされている。これにより、各部材間の界面における表面反射の発生が抑制され、光透過率を高めることが可能になる。その結果、投写画像の明るさを向上することが可能になる。また、第2の透光性部材430R、入射側偏光板420R及び集光レンズ300Rの線膨張係数がそれぞれ異なる場合であっても、各部材間の貼り合わせ面における剥離が起こりにくくなり、長期信頼性の低下を抑制することが可能になる。なお、入射側偏光板420Rにおける光入射側の面と集光レンズ300Rにおける光射出側の面とを粘着剤で貼り合わせてもよいし、入射側偏光板420Rにおける光射出側の面と第2の透光性部材430Rにおける光入射側の面とを接着剤で接着してもよい。他の入射側偏光板420G,420Bの周辺部分も、入射側偏光板420Rの周辺部分と同様に構成されている。
入射側偏光板420R,420G,420Bの周囲には、接着層Cが形成されている。接着層Cに用いる接着剤としては、例えばUV硬化性の接着剤や可視光短波長硬化性の接着剤などを好適に用いることができる。
射出側偏光板440R,440G,440Bは、図2に示すように、液晶装置410R,410G,410Bとクロスダイクロイックプリズム500との間に配置され、液晶装置410R,410G,410Bから射出された光のうち、所定の方向に軸を有する直線偏光のみを透過し、その他の光を吸収する機能を有している。
射出側偏光板440Rは、図3(a)に示すように、偏光層40と、偏光層40を支持する支持層42とを有している。そして、支持層42が偏光層40における液晶装置410Rとは反対側(クロスダイクロイックプリズム500側)になるように、射出側偏光板440Rがクロスダイクロイックプリズム500の光入射端面に接着層Cを介して接着されている。偏光層40及び支持層42としては、入射側偏光板420Rのものと同様の材料を用いることができる。他の射出側偏光板440G,440Bも、射出側偏光板440Rと同様に構成されている。
射出側偏光板440R,440G,440Bの液晶装置側(光入射側)には、第1の透光性部材450R,450G,450Bがそれぞれ配設されている。第1の透光性部材450R,450G,450Bの液晶装置側の面には、図示しない反射防止層が形成されている。第1の透光性部材450R,450G,450Bも、第2の透光性部材430R,430G,430Bと同様に、例えばサファイアからなる透光性基板である。
図3(a)に示すように、射出側偏光板440Rにおける光入射側の面と第1の透光性部材450Rにおける光射出側の面、及び射出側偏光板440Rにおける光射出側の面とクロスダイクロイックプリズム500における光入射端面とは、それぞれ接着層Cを介して接着されている。これにより、各部材間の界面における表面反射の発生が抑制され、光透過率を高めることが可能になる。その結果、投写画像の明るさを向上することが可能になる。また、第1の透光性部材450R、射出側偏光板440R及びクロスダイクロイックプリズム500の線膨張係数がそれぞれ異なる場合であっても、各部材間の貼り合わせ面における剥離が起こりにくくなり、長期信頼性の低下を抑制することが可能になる。なお、接着剤に替えて粘着剤を用いてもよい。他の射出側偏光板440G,440Bの周辺部分も、射出側偏光板440Rの周辺部分と同様に構成されている。
射出側偏光板440R,440G,440Bの周囲には、接着層Cが形成されている。
これらの入射側偏光板420R,420G,420B及び射出側偏光板440R,440G,440Bは、互いの偏光軸の方向が直交するように設定・配置されている。
クロスダイクロイックプリズム500は、各射出側偏光板440R,440G,440Bから射出された各色光ごとに変調された光学像を合成して、カラー画像を形成する光学素子である。クロスダイクロイックプリズム500は、図2(a)に示すように、液晶装置410R,410G,410Bで変調された色光をそれぞれ入射する3つの光入射端面と、合成された色光を射出する光射出端面とを有している。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム500は、熱伝導性のスペーサ12(図2(b)参照。)を介して筐体10に配設されている。
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で大画面画像を形成する。
なお、ここでは図示を省略したが、プロジェクタ1000内には、各光学系などを冷却するための少なくとも1つのファン及び複数の冷却風流路が設けられている。プロジェクタ1000外部から取り込まれた空気は、これらファン及び複数の冷却風流路によってプロジェクタ1000内を循環し、外部へと排出される。図2に示すように、筐体10に設けられた通風孔(冷却風流路)から流れ込む空気が、光学装置510からの放熱を促進させる。
これにより、プロジェクタ1000の各光学系(光学装置510の各部材)の熱を効率的に除去することができる。
このように構成された実施形態1に係るプロジェクタ1000について説明するにあたり、以下では説明を簡略化するため、3つの各色光の光路のうち赤色光の光路に配置された部材の構成をもとにして、実施形態1に係るプロジェクタ1000をさらに詳細に説明する。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、図2に示すように、液晶装置410Rとクロスダイクロイックプリズム500との間に第1の透光性部材450Rと射出側偏光板440Rとが配設され、射出側偏光板440Rにおける光入射側の面に第1の透光性部材450Rが接着されているとともに、射出側偏光板440Rにおける光射出側の面がクロスダイクロイックプリズム500における光入射端面に接着されている。
このため、射出側偏光板440Rで発生した熱を射出側偏光板440Rの両面から第1の透光性部材450R及びクロスダイクロイックプリズム500に伝達することができるようになるため、射出側偏光板440Rの温度上昇を抑制することが可能になる。また、射出側偏光板440Rは外気に触れることがなくなるため、外気からの水分の浸入が抑制されるようになる。このため、射出側偏光板440Rの温度上昇及び外気からの水分の浸入に起因して射出側偏光板440Rの支持層が膨張・変形してしまうことを抑制することが可能となり、支持層における分子配向の乱れの発生を抑制することが可能になる。その結果、射出側偏光板としての偏光特性が低下して射出側偏光板440Rを通過する光束の品質低下を抑制することが可能になる。
従って、実施形態1に係るプロジェクタ1000は、射出側偏光板の温度上昇に起因して投写画像の画像品質が低下してしまうことが従来よりも抑制されたプロジェクタとなる。
また、実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、射出側偏光板440Rは、熱容量が比較的大きなクロスダイクロイックプリズム500に接着されているため、射出側偏光板440Rの温度上昇を抑制し、プロジェクタの放熱性能を高めることができる。さらに、クロスダイクロイックプリズム500を熱伝導性のスペーサ12を介して筐体10に接続しているため、熱容量をさらに大きくすることができ、プロジェクタの放熱性能をさらに高めることができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、射出側偏光板440Rは、図3(a)に示すように、偏光層40の光射出側にのみ、偏光層40を支持する支持層42を有している。
これにより、光入射側の支持層における分子配向の乱れの発生が存在しなくなる。つまり、支持層における熱歪による複屈折が、偏光層40と液晶装置410Rとの間に存在しないので、液晶装置410Rによって変調された光がそのままの状態で偏光層40に到達することとなる。このため、射出側偏光板440Rの温度上昇に起因して射出側偏光板としての偏光特性が大きく低下して投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことがなくなる。なお、この場合、仮に温度上昇に起因して光射出側の支持層42における偏光特性が若干低下したとしても、その偏光特性の低下は偏光層40で検光されてしまうことはないため、投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことはない。
なお、実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、上記したように射出側偏光板440Rにおける光入射側の面に第1の透光性部材450Rが接着されているとともに、射出側偏光板440Rにおける光射出側の面がクロスダイクロイックプリズム500における光入射端面に接着されているため、射出側偏光板440Rが、偏光層40の光射出側にのみ支持層42を有する構造であったとしても、所定の機械的強度を得ることができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、図2に示すように、集光レンズ300Rと液晶装置410Rとの間に入射側偏光板420Rと第2の透光性部材430Rとが配設され、入射側偏光板420Rにおける光射出側の面に第2の透光性部材430Rが接着されているとともに、入射側偏光板420Rにおける光入射側の面が集光レンズ300Rにおける光射出側の面に接着されている。
これにより、入射側偏光板420Rで発生した熱を入射側偏光板420Rの両面から第2の透光性部材430R及び集光レンズ300Rに伝達することができるようになるため、入射側偏光板420Rの温度上昇を抑制することが可能になる。また、入射側偏光板420Rは外気に触れることがなくなるため、外気からの水分の浸入が抑制されるようになる。このため、入射側偏光板420Rの温度上昇及び外気からの水分の浸入に起因して入射側偏光板420Rの支持層が膨張・変形してしまうことを抑制することが可能となり、支持層における分子配向の乱れの発生を抑制することが可能になる。その結果、入射側偏光板としての偏光特性が低下して入射側偏光板420Rを通過する光束の品質低下を抑制することが可能になる。
このため、実施形態1に係るプロジェクタ1000は、入射側偏光板及び射出側偏光板の温度上昇に起因して投写画像の画像品質が低下してしまうことが従来よりもさらに抑制されたプロジェクタとなる。
また、実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、入射側偏光板420Rは、熱容量が比較的大きな集光レンズ300Rに接着されているため、入射側偏光板420Rの温度上昇を抑制し、プロジェクタの放熱性能を高めることができる。さらに、集光レンズ300Rを熱伝導性の保持部材を介して筐体10に接続しているため、熱容量をさらに大きくすることができ、プロジェクタの放熱性能をさらに高めることができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、入射側偏光板420Rは、図3(b)に示すように、偏光層20の光入射側にのみ、偏光層20を支持する支持層22を有している。
これにより、光射出側の支持層における分子配向の乱れの発生が存在しなくなる。つまり、支持層における熱歪による複屈折が、偏光層20と液晶装置410Rとの間に存在しないので、偏光層20で所定の方向に軸を有する直線偏光に揃えられた光がそのままの状態で液晶装置410Rに到達することとなる。このため、入射側偏光板の温度上昇に起因して入射側偏光板としての偏光特性が大きく低下して投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことがなくなる。なお、この場合、仮に温度上昇に起因して光入射側の支持層22における偏光特性が若干低下したとしても、その偏光特性の低下は入射側偏光板420Rの偏光層20で補償され、射出側偏光板440Rの偏光層40で誤って検光されてしまうことはないため、投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことはない。
なお、実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、上記したように入射側偏光板420Rにおける光射出側の面に第2の透光性部材430Rが接着されているとともに、入射側偏光板420Rにおける光入射側の面が集光レンズ300Rにおける光射出側の面に接着されているため、入射側偏光板420Rが、偏光層20の光入射側にのみ支持層22を有する構造であったとしても、所定の機械的強度を得ることができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、第1の透光性部材450Rは、サファイアからなる透光性基板である。
サファイアからなる透光性基板は熱伝導性に非常に優れているため、射出側偏光板440Rで発生した熱を効率よく系外に放散させることができ、射出側偏光板440Rの温度上昇に起因した偏光特性の劣化をさらに抑制することができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、第1の透光性部材450Rの光学軸が偏光層40の偏光軸に略平行又は略垂直となるように、射出側偏光板440Rに対して第1の透光性部材450Rが配置されている。
第1の透光性部材450Rとして、サファイアからなる透光性基板を用いた場合においても、上記のように構成することにより、第1の透光性部材450Rを通過する光の偏光状態が変化しなくなる。また、第1の透光性部材450Rにおける熱膨張が大きな軸方向と射出側偏光板440Rの延伸方向とを揃えることにより、射出側偏光板440Rの熱変形を抑制することができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、第2の透光性部材430Rは、サファイアからなる透光性基板である。
サファイアからなる透光性基板は熱伝導性に非常に優れているため、入射側偏光板420Rで発生した熱を効率よく系外に放散させることができ、入射側偏光板420Rの温度上昇に起因した偏光特性の劣化をさらに抑制することができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、第2の透光性部材430Rの光学軸が偏光層20の偏光軸に略平行又は略垂直となるように、入射側偏光板420Rに対して第2の透光性部材430Rが配置されている。
第2の透光性部材430Rとして、サファイアからなる透光性基板を用いた場合においても、上記のように構成することにより、第2の透光性部材430Rを通過する光の偏光状態が変化しなくなる。また、第2の透光性部材430Rにおける熱膨張が大きな軸方向と入射側偏光板420Rの延伸方向とを揃えることにより、入射側偏光板420Rの熱変形を抑制することができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、第1の透光性部材450Rと筐体10との間で熱を伝達する熱伝導部材14をさらに備えている(図3(a)参照。)。
これにより、射出側偏光板440Rで発生した熱は、第1の透光性部材450R及び熱伝導部材14を介して筐体10に放散されるようになるため、プロジェクタの放熱性能を高めることができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、第2の透光性部材430Rと筐体10との間で熱を伝達する熱伝導部材16をさらに備えている(図3(b)参照。)。
これにより、入射側偏光板420Rで発生した熱も、第2の透光性部材430R及び熱伝導部材16を介して筐体10に放散されるようになるため、プロジェクタの放熱性能をさらに高めることができる。
熱伝導性部材14,16の材料としては、例えばアルミニウムやアルミニウム合金などの金属を好ましく用いることができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、第1の透光性部材450R及び第2の透光性部材430Rを冷却する冷却風流路が設けられている。
これにより、冷却風流路からの冷却風によって第1の透光性部材450R及び第2の透光性部材430Rを冷却することができるため、第1の透光性部材450R及び第2の透光性部材430Rの温度上昇を抑制し、射出側偏光板440R及び入射側偏光板420Rで発生した熱を効率的に除去することができる。
実施形態1に係るプロジェクタ1000は、入射側偏光板420R(420G,420B)及び射出側偏光板440R(440G,440B)の劣化を抑制することができるため、長寿命のプロジェクタとなる。
なお、実施形態1に係る光学装置510は、実施形態1に係るプロジェクタ1000の構成の一部分であり、実施形態1に係る光学装置510が有する効果は実施形態1に係るプロジェクタ1000が有する効果と重複するため、実施形態1に係る光学装置510の効果に関する説明は省略する。
ここで、実施形態1に係る光学装置510においては、射出側偏光板440Rは、偏光層40の光射出側にのみ支持層42を有する偏光板であり、入射側偏光板420Rは、偏光層20の光入射側にのみ支持層22を有する偏光板であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形も可能である。
図4は、実施形態1の変形例に係る光学装置512を説明するために示す図である。図4(a)は光学装置512を上面から見た図であり、図4(b)は図4(a)のB−B断面図である。なお、図4において、図2と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
変形例に係る光学装置512においては、図4(a)及び図4(b)に示すように、射出側偏光板442Rは、光入射側の支持層だけではなく光射出側の支持層も省略された構造を有する偏光板であり、入射側偏光板422Rは、光射出側の支持層だけではなく光入射側の支持層も省略された構造を有する偏光板である。
なお、赤色光の光路に配置された入射側偏光板422R及び射出側偏光板442Rに限らず、緑色光の光路に配置された入射側偏光板422G及び射出側偏光板442G並びに青色光の光路に配置された入射側偏光板422B及び射出側偏光板442Bも同様に、上記のような構造を有する偏光板である。
このように、変形例に係る光学装置512は、実施形態1に係る光学装置510の場合とは、各入射側偏光板及び各射出側偏光板として用いる偏光板の構造が異なるが、実施形態1に係る光学装置510の場合と同様に、射出側偏光板442Rの偏光層40における光入射側の表面に第1の透光性部材450Rが接着され、射出側偏光板442Rの偏光層40における光射出側の表面がクロスダイクロイックプリズム500における光入射端面に接着されているとともに、入射側偏光板422Rの偏光層20における光射出側の表面に第2の透光性部材430Rが接着され、入射側偏光板422Rの偏光層20における光入射側の表面が集光レンズ300Rにおける光射出側の面に接着されているため、入射側偏光板及び射出側偏光板の温度上昇に起因して投写画像の画像品質が低下してしまうことが従来よりもさらに抑制されたプロジェクタとなる。
[実施形態2]
図5は、実施形態2に係る光学装置514を説明するために示す図である。図5(a)は光学装置514を上面から見た図であり、図5(b)は図5(a)のA−A断面図である。図6は偏光分離光学素子460R周辺部分を側面から見た図である。なお、図5において、図2と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施形態2に係る光学装置514は、基本的には実施形態1に係る光学装置510とよく似た構成を有しているが、図5及び図6に示すように、実施形態1に係る光学装置510とは、射出側偏光板の光入射側に接着されている部材が異なっている。
すなわち、実施形態1に係る光学装置510においては、射出側偏光板440R,440G,440Bにおける光入射側の面には、第1の透光性部材450R,450G,450Bがそれぞれ接着されているのに対し、実施形態2に係る光学装置514においては、射出側偏光板440R,440G,440Bにおける光入射側の面には、液晶装置410R,410G,410Bから射出された光のうち所定の方向に軸を有する直線偏光のみを透過しその他の光を反射する偏光分離光学素子460R,460G,460Bが接着されている。
実施形態2に係る光学装置514における偏光分離光学素子460R,460G,460B等について説明するにあたり、以下では説明を簡略化するため、3つの各色光の光路のうち赤色光の光路に配置された部材の構成をもとにして詳細に説明する。
偏光分離光学素子460Rは、図6に示すように、二軸方向性の有るフィルムを複数枚積層してXY型の偏光特性を持たせたXY型偏光フィルム462Rを2個のガラスプリズム464R,466Rで挟み込んだ構造を有している。偏光分離光学素子460Rにおける光入射面とXY型偏光フィルム462Rとのなす角度は、例えば30度に設定されている。偏光分離光学素子460Rの光入射側(液晶装置側)の面には、図示しない反射防止層が形成されている。
偏光分離光学素子460Rにおいて、液晶装置410Rで変調された偏光光のうちXY型偏光フィルム462Rで反射された偏光光は、偏光分離光学素子460Rの側面からそのまま射出されるか、一旦偏光分離光学素子460Rの光入射面で反射されてから偏光分離光学素子460Rの側面から射出されることになる。この場合、偏光分離光学素子460Rの光入射面においては全反射されることになるため、迷光レベルを低減することもできる。
偏光分離光学素子460Rの上方には、XY型偏光フィルム462Rで反射されて偏光分離光学素子460Rから射出される偏光光を吸収するための光吸収手段468Rが配設されている。これにより、光吸収手段468Rが、XY型偏光フィルム462Rで反射されて系外に逃がされた光を効果的に捕捉するため、プロジェクタにおける迷光の発生を抑制することが可能になり、投写画像の画像品質をさらに向上することができるようになる。また、光吸収手段468Rが偏光分離光学素子460Rの上方に配設されているため、光吸収手段468Rで発生した熱は対流によって光学系の上方に逃がされることになり、光学系に与える熱の影響を最小限のものにすることができる。
このように、実施形態2に係る光学装置514は、実施形態1に係る光学装置510の場合とは、射出側偏光板の光入射側に接着されている部材が異なるが、実施形態1に係る光学装置510の場合と同様に、射出側偏光板440Rにおける光入射側の面に偏光分離光学素子460Rが接着されているとともに、射出側偏光板440Rにおける光射出側の面がクロスダイクロイックプリズム500における光入射端面に接着されているため、射出側偏光板の温度上昇に起因して投写画像の画像品質が低下してしまうことが従来よりも抑制されたプロジェクタとなる。
実施形態2に係る光学装置514においては、液晶装置410Rから射出された光のうち所定の方向に軸を有する直線偏光は、偏光分離光学素子460Rを透過して投写光学系600(図示せず。)で投写されてスクリーンSCR(図示せず。)に投写されることとなる一方、その他の光、すなわち投写光学系600への進行を禁止されるべき光(射出側偏光板440Rの偏光層40を透過しない偏光成分)は、偏光分離光学素子460Rで反射されて系外に逃がされる。このため、射出側偏光板440Rに入射する光のうち射出側偏光板440Rの偏光層40を透過しない偏光成分の光は、前段としての偏光分離光学素子460Rによってほとんど除去されているため、射出側偏光板440Rにおける発熱そのものが効果的に抑制され、射出側偏光板440Rの温度上昇をさらに効果的に抑制することが可能になる。
また、偏光分離光学素子460RのXY型偏光フィルム462Rは、反射型偏光板であり、照明光軸100ax(図示せず。)に対して傾いて構成されているので、検光子としての特性にやや劣るところがある。しかし、偏光分離光学素子460Rで画像には不要となる光を取り除けなかった分を、射出側偏光板440Rによって確実に遮断することができるので、良好な画像を得ることが可能となる。
つまり、検光子としての作用及び熱の発生を偏光分離光学素子460Rと射出側偏光板440Rとで分担することによって、装置の信頼性を向上させることが可能となる。
なお、実施形態2に係る光学装置514は、射出側偏光板の光入射側に接着されている部材が異なる点以外の点では、実施形態1に係る光学装置510と同様の構成を有するため、実施形態1に係る光学装置510の場合と同様の効果を有する。
[実施形態3]
図7は、実施形態3に係るプロジェクタ1006を説明するために示す図である。図7(a)は光学装置516を上面から見た図であり、図7(b)は図7(a)のA−A断面図である。なお、図7において、図2と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施形態3に係るプロジェクタ1006は、ここでは図示を省略するが、実施形態1に係るプロジェクタ1000と同様に、照明装置100と、照明装置100からの照明光束を赤色光、緑色光及び青色光の3つの色光に分離して被照明領域に導光する色分離導光光学系200と、光学装置516と、光学装置516におけるクロスダイクロイックプリズム500によって合成された光をスクリーンSCR等の投写面に投写する投写光学系600とを備えたプロジェクタである。なお、照明装置100、色分離導光光学系200及び投写光学系600は、実施形態1で説明したものと同じであるため、詳細な説明は省略する。
光学装置516は、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調する3つの液晶装置410R,410G,410Bと、3つの液晶装置410R,410G,410Bで変調されたそれぞれの色光を合成するクロスダイクロイックプリズム500と、3つの液晶装置410R,410G,410Bのそれぞれの光入射側に配置される3つの集光レンズ300R,300G,300Bと、3つの液晶装置410R,410G,410Bのそれぞれの光入射側に配置される3つの入射側偏光板420R,420G,420Bと、3つの入射側偏光板420R,420G,420Bの光射出側の面に接着される3つの液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bと、3つの液晶装置410R,410G,410Bのそれぞれの光射出側に配置される3つの射出側偏光板440R,440G,440Bと、3つの射出側偏光板440R,440G,440Bにおける光入射側の面にそれぞれ接着される3つの液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bとを有している。
実施形態3に係るプロジェクタ1006においては、入射側偏光板420Rにおける支持層22は、偏光層20における液晶装置410Rとは反対側(光入射側)に配置されており、射出側偏光板440Rにおける支持層42は、偏光層40における液晶装置410Rとは反対側(光射出側)に配置されている。
このため、液晶装置側の支持層における分子配向の乱れの発生が存在しなくなる。つまり、支持層における熱歪による複屈折が、偏光層20と液晶装置410Rとの間及び偏光層40と液晶装置410Rとの間に存在しないので、入射側偏光板及び射出側偏光板の温度上昇に起因して偏光板としての偏光特性が大きく低下して投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことがなくなる。
なお、この場合、仮に温度上昇に起因して射出側偏光板440Rの支持層42において偏光特性が若干低下したとしても、その偏光特性の低下は射出側偏光板440Rの偏光層40で検光されてしまうことはないため、投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことはない。また、仮に温度上昇に起因して入射側偏光板420Rの支持層22において偏光特性が若干低下したとしてもその偏光特性の低下は入射側偏光板420Rの偏光層20で補償され、射出側偏光板440Rの偏光層40で誤って検光されてしまうことはないため、投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことはない。
実施形態3に係るプロジェクタ1006においては、入射側偏光板420R,420G,420Bにおける液晶装置側の面には液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bがそれぞれ接着されているため、入射側偏光板420R,420G,420Bで発生した熱を液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bに伝達することが可能になり、入射側偏光板420R,420G,420Bの温度上昇を抑制することが可能になる。
実施形態3に係るプロジェクタ1006においては、射出側偏光板440R,440G,440Bにおける液晶装置側の面には液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bがそれぞれ接着されているため、射出側偏光板440R,440G,440Bで発生した熱を液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bに伝達することが可能になり、射出側偏光板440R,440G,440Bの温度上昇を抑制することが可能になる。
実施形態3に係るプロジェクタ1006においては、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B,452R,452G,452Bは、サファイアからなる透光性基板である。
サファイアからなる透光性基板は熱伝導性に非常に優れているため、入射側偏光板420R,420G,420B及び射出側偏光板440R,440G,440Bで発生した熱を効率よく系外に放散させることができ、入射側偏光板420R,420G,420B及び射出側偏光板440R,440G,440Bの温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。
実施形態3に係るプロジェクタ1006においては、液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bの光学軸が偏光層20の偏光軸に略平行又は略垂直となるように、入射側偏光板420R,420G,420Bに対して液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bが配置されている。また、液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bの光学軸が偏光層40の偏光軸に略平行又は略垂直となるように、射出側偏光板440R,440G,440Bに対して液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bが配置されている。
液晶装置側透光性部材432R,432G,432B,452R,452G,452Bとして、サファイアからなる透光性基板を用いた場合においても、上記のように構成することにより、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B,452R,452G,452Bを通過する光の偏光状態が変化しなくなる。
また、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B,452R,452G,452Bにおける熱膨張が大きな軸方向と入射側偏光板420R,420G,420B又は射出側偏光板440R,440G,440Bの延伸方向とを揃えることにより、入射側偏光板420R,420G,420B又は射出側偏光板440R,440G,440Bの熱変形を抑制することができる。
実施形態3に係るプロジェクタ1006は、入射側偏光板420R,420G,420B及び射出側偏光板440R,440G,440Bの劣化を抑制することができるため、長寿命のプロジェクタとなる。
なお、実施形態3に係るプロジェクタ1006においては、液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bとして、サファイアからなる透光性基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施形態2で説明したような偏光分離光学素子を用いてもよい。この場合、実施形態2で説明した偏光分離光学素子による効果と同様の効果を得ることが可能となる。
[実施形態4]
図8は、実施形態4に係るプロジェクタ1008を説明するために示す図である。図8(a)は光学装置518を上面から見た図であり、図8(b)は図8(a)のA−A断面図である。なお、図8において、図7と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施形態4に係るプロジェクタ1008(図示せず。)は、実施形態3に係るプロジェクタ1006と基本的に同様の構成を有しているが、反対側透光性部材をさらに備える点で、実施形態3に係るプロジェクタ1006の場合と異なっている。
すなわち、実施形態4に係るプロジェクタ1008においては、図8に示すように、入射側偏光板420R,420G,420Bにおける液晶装置側の面とは反対側の面(光入射面)には反対側透光性部材470R,470G,470Bがそれぞれ接着され、射出側偏光板440R,440G,440Bにおける液晶装置側の面とは反対側の面(光射出面)には反対側透光性部材480R,480G,480Bがそれぞれ接着されている。
このように、実施形態4に係るプロジェクタ1008は、実施形態3に係るプロジェクタ1006の場合とは、反対側透光性部材をさらに備える点で異なっているが、実施形態3に係るプロジェクタ1006の場合と同様に、入射側偏光板420Rにおける支持層22は、偏光層20における液晶装置410Rとは反対側(光入射側)に配置されており、射出側偏光板440Rにおける支持層42は、偏光層40における液晶装置410Rとは反対側(光射出側)に配置されている。このため、液晶装置側の支持層における分子配向の乱れの発生が存在しなくなる。つまり、支持層における熱歪による複屈折が、偏光層20と液晶装置410Rとの間及び偏光層40と液晶装置410Rとの間に存在しないので、入射側偏光板及び射出側偏光板の温度上昇に起因して偏光板としての偏光特性が大きく低下して投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことがなくなる。
実施形態4に係るプロジェクタ1008においては、入射側偏光板420R,420G,420Bにおける光入射面には反対側透光性部材470R,470G,470Bがそれぞれ接着されているため、入射側偏光板420R,420G,420Bで発生した熱を反対側透光性部材470R,470G,470Bに伝達することが可能になり、入射側偏光板420R,420G,420Bの温度上昇を抑制することが可能になる。
また、入射側偏光板420R,420G,420Bにおける支持層22が外部に露出しないようになるため、入射側偏光板420R,420G,420Bの温度上昇及び外気からの水分の浸入に起因して支持層22が膨張・変形してしまうのを抑制することが可能となる。このため、支持層22における分子の乱れの発生を抑制することができ、結果として投写画像の画像品質の低下を抑制することが可能となる。
さらにまた、入射側偏光板420R,420G,420Bが反対側透光性部材470R,470G,470Bに接着されているため、各入射側偏光板420R,420G,420Bが偏光層20及び1つの支持層22からなる2層構造の偏光板であったとしても、所定の機械的強度を得ることができる。この場合、入射側偏光板420R,420G,420Bを液晶装置側透光性部材432R,432G,432B及び反対側透光性部材470R,470G,470Bによって両面から挟んだ構造となるため、機械的強度をさらに高めることが可能となる。
実施形態4に係るプロジェクタ1008においては、射出側偏光板440R,440G,440Bにおける光射出面には反対側透光性部材480R,480G,480Bがそれぞれ接着されているため、射出側偏光板440R,440G,440Bで発生した熱を反対側透光性部材480R,480G,480Bに伝達することが可能になり、射出側偏光板440R,440G,440Bの温度上昇を抑制することが可能になる。
また、射出側偏光板440R,440G,440Bにおける支持層42が外部に露出しないようになるため、射出側偏光板440R,440G,440Bの温度上昇及び外気からの水分の浸入に起因して支持層42が膨張・変形してしまうのを抑制することが可能となる。このため、支持層42における分子の乱れの発生を抑制することができ、結果として投写画像の画像品質の低下を抑制することが可能となる。
さらにまた、射出側偏光板440R,440G,440Bが反対側透光性部材480R,480G,480Bに接着されているため、各射出側偏光板440R,440G,440Bが偏光層40及び1つの支持層42からなる2層構造の偏光板であったとしても、所定の機械的強度を得ることができる。この場合、射出側偏光板440R,440G,440Bを液晶装置側透光性部材452R,452G,452B及び反対側透光性部材480R,480G,480Bによって両面から挟んだ構造となるため、機械的強度をさらに高めることが可能となる。
実施形態4に係るプロジェクタ1008においては、反対側透光性部材470R,470G,470B,480R,480G,480Bは、サファイアからなる透光性基板である。
サファイアからなる透光性基板は熱伝導性に非常に優れているため、入射側偏光板420R,420G,420B及び射出側偏光板440R,440G,440Bで発生した熱を効率よく系外に放散させることができ、入射側偏光板420R,420G,420B及び射出側偏光板440R,440G,440Bの温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。
実施形態4に係るプロジェクタ1008においては、反対側透光性部材470R,470G,470Bの光学軸が偏光層20の偏光軸に略平行又は略垂直となるように、入射側偏光板420R,420G,420Bに対して反対側透光性部材470R,470G,470Bが配置されている。また、反対側透光性部材480R,480G,480Bの光学軸が偏光層40の偏光軸に略平行又は略垂直となるように、射出側偏光板440R,440G,440Bに対して反対側透光性部材480R,480G,480Bが配置されている。
反対側透光性部材470R,470G,470B,480R,480G,480Bとして、サファイアからなる透光性基板を用いた場合においても、上記のように構成することにより、反対側透光性部材470R,470G,470B,480R,480G,480Bを通過する光の偏光状態が変化しなくなる。
また、反対側透光性部材470R,470G,470B,480R,480G,480Bにおける熱膨張が大きな軸方向と入射側偏光板420R,420G,420B又は射出側偏光板440R,440G,440Bの延伸方向とを揃えることにより、入射側偏光板420R,420G,420B又は射出側偏光板440R,440G,440Bの熱変形を抑制することができる。
実施形態4に係るプロジェクタ1008は、入射側偏光板420R,420G,420B及び射出側偏光板440R,440G,440Bの劣化を抑制することができるため、長寿命のプロジェクタとなる。
実施形態4に係るプロジェクタ1008は、反対側透光性部材をさらに備える点以外の点では、実施形態3に係るプロジェクタ1006と同様の構成を有するため、実施形態3に係るプロジェクタ1006の場合と同様の効果を有する。
なお、実施形態4に係るプロジェクタ1008において、入射側偏光板420R,420G,420Bにおける光射出面には液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bがそれぞれ接着され、入射側偏光板420R,420G,420Bにおける光入射面には反対側透光性部材470R,470G,470Bがそれぞれ接着され、射出側偏光板440R,440G,440Bにおける光入射面には液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bがそれぞれ接着され、射出側偏光板440R,440G,440Bにおける光射出面には反対側透光性部材480R,480G,480Bがそれぞれ接着されている構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下のような構成を採用することも可能である。
例えば、実施形態4に係るプロジェクタ1008において、射出側偏光板440R,440G,440Bの光入射面に接着された液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bとしてサファイアからなる透光性基板を用いているが、これに替えて実施形態2で説明したような偏光分離光学素子を用いてもよい。この場合、液晶装置410R,410G,410Bから射出された光のうち所定の方向に軸を有する直線偏光は、偏光分離光学素子を透過して投写光学系600(図示せず。)で投写されてスクリーンSCR(図示せず。)に投写されることとなる一方、その他の光、すなわち投写光学系600への進行を禁止されるべき光(射出側偏光板440R,440G,440Bの偏光層40を透過しない偏光成分)は、偏光分離光学素子で反射されて系外に逃がされる。このため、射出側偏光板440R,440G,440Bに入射する光のうち偏光層40を透過しない偏光成分の光は、前段としての偏光分離光学素子によってほとんど除去されているため、射出側偏光板440R,440G,440Bにおける発熱そのものが効果的に抑制され、射出側偏光板440R,440G,440Bの温度上昇をさらに効果的に抑制することが可能になる。
また、実施形態4に係るプロジェクタ1008において、入射側偏光板420R,420G,420Bの光入射面に接着された反対側透光性部材470R,470G,470Bとしてサファイアからなる透光性基板を用いているが、これに替えて実施形態2で説明したような偏光分離光学素子を用いてもよい。この場合、集光レンズ300R,300G,300Bから射出される光のうち所定の方向に軸を有する直線偏光は、偏光分離光学素子を透過して入射側偏光板420R,420G,420Bに入射することとなる一方、その他の光、すなわち入射側偏光板420R,420G,420Bへの進行を禁止されるべき光(入射側偏光板420R,420G,420Bの偏光層20を透過しない偏光成分)は、偏光分離光学素子で反射されて系外に逃がされる。このため、集光レンズ300R,300G,300Bから射出される光のうち入射側偏光板420R,420G,420Bの偏光層20を透過しない偏光成分の光は、前段としての偏光分離光学素子によってほとんど除去されているため、入射側偏光板420R,420G,420Bにおける発熱そのものが効果的に抑制され、入射側偏光板420R,420G,420Bの温度上昇をさらに効果的に抑制することが可能になる。
なお、偏光分離光学素子としては、誘電体多層膜からなる偏光分離光学素子、多数の微細金属細線が配列されたワイヤグリッド型の偏光分離光学素子、二軸方向性の有るフィルムを複数枚積層してXY型の偏光特性を持たせたXY型偏光フィルムを用いた偏光分離光学素子などを好ましく用いることができる。
また、実施形態4に係るプロジェクタ1008において、射出側偏光板440R,440G,440Bの光射出面に接着された反対側透光性部材480R,480G,480Bとクロスダイクロイックプリズム500とはそれぞれ離隔して配置されているが、反対側透光性部材480R,480G,480Bがクロスダイクロイックプリズム500の複数の光入射端面にそれぞれ接着されていてもよい。この場合、射出側偏光板440R,440G,440Bで発生した熱を反対側透光性部材480R,480G,480Bを介してクロスダイクロイックプリズム500に伝達することができるため、射出側偏光板440R,440G,440Bの温度上昇をさらに抑制することが可能となる。また、反対側透光性部材480R,480G,480Bが熱容量の比較的大きなクロスダイクロイックプリズム500に接着されているため、反対側透光性部材480R,480G,480B及び射出側偏光板440R,440G,440Bの温度上昇を抑制し、プロジェクタの放熱性能を高めることができる。
また、実施形態4に係るプロジェクタ1008において、入射側偏光板420R,420G,420Bの光入射出面に接着された反対側透光性部材470R,470G,470Bと集光レンズ300R,300G,300Bとはそれぞれ離隔して配置されているが、反対側透光性部材470R,470G,470Bが集光レンズ300R,300G,300Bの光射出面にそれぞれ接着されていてもよい。この場合、入射側偏光板420R,420G,420Bで発生した熱を反対側透光性部材470R,470G,470Bを介して集光レンズ300R,300G,300Bに伝達することができるため、入射側偏光板420R,420G,420Bの温度上昇をさらに抑制することが可能となる。また、反対側透光性部材470R,470G,470Bが熱容量の比較的大きな集光レンズ300R,300G,300Bに接着されているため、反対側透光性部材470R,470G,470B及び入射側偏光板420R,420G,420Bの温度上昇を抑制し、プロジェクタの放熱性能を高めることができる。
[実施形態5]
図9は、実施形態5に係るプロジェクタ1010を説明するために示す図である。図9(a)は光学装置520を上面から見た図であり、図9(b)は図9(a)のA−A断面図である。なお、図9において、図2と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施形態5に係るプロジェクタ1010(図示せず。)は、実施形態4に係るプロジェクタ1008と基本的に同様の構成を有しているが、偏光板における支持層が省略されている点で、実施形態4に係るプロジェクタ1008の場合と異なっている。
すなわち、実施形態5に係るプロジェクタ1010においては、図9に示すように、入射側偏光板として、偏光層20からなる入射側偏光板424R,424G,424Bを用いており、射出側偏光板として、偏光層40からなる射出側偏光板444R,444G,444Bを用いている。
このため、実施形態5に係るプロジェクタ1010によれば、入射側偏光板424R,424G,424Bが支持層を有していないため、支持層における分子配向の乱れの発生が存在しなくなる。つまり、支持層における熱歪による複屈折が、偏光層20と液晶装置410R,410G,410Bとの間に存在しないので、入射側偏光板424R,424G,424Bの温度上昇に起因して入射側偏光板としての偏光特性が大きく低下して投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことがなくなる。
また、実施形態5に係るプロジェクタ1010によれば、射出側偏光板444R,444G,444Bについても支持層を有していないため、支持層における分子配向の乱れの発生が存在しなくなる。つまり、支持層における熱歪による複屈折が、偏光層40と液晶装置410R,410G,410Bとの間に存在しないので、射出側偏光板444R,444G,444Bの温度上昇に起因して射出側偏光板としての偏光特性が大きく低下して投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうことがなくなる。
通常、偏光板に使用される支持層は有機部材なので、熱伝導率が低く温度上層しやすい。また、有機部材からなる支持層は、高温高湿条件の下では劣化したり分子配向が乱れたりする。従って、有機部材からなる支持層を有する偏光板は、熱によって偏光特性が大きく低下して投写画像の画像品質を大きく低下させてしまうこととなる。
しかしながら、実施形態5に係るプロジェクタ1010によれば、入射側偏光板424R,424G,424B及び射出側偏光板444R,444G,444Bが支持層を有していないため、そのような不具合が生ずることもない。すなわち、投写画像の画像品質の低下を抑制することが可能となる。
実施形態5に係るプロジェクタ1010は、入射側偏光板424R,424G,424B及び射出側偏光板444R,444G,444Bの劣化を抑制することができるため、長寿命のプロジェクタとなる。
実施形態5に係るプロジェクタ1010は、偏光板における支持層が省略されている点以外の点では、実施形態4に係るプロジェクタ1008と同様の構成を有するため、実施形態4に係るプロジェクタ1008の場合と同様の効果を有する。
なお、実施形態5に係るプロジェクタ1010において、入射側偏光板424R,424G,424Bの偏光層20における光射出側表面には液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bがそれぞれ接着され、入射側偏光板424R,424G,424Bの偏光層20における光入射側表面には反対側透光性部材470R,470G,470Bがそれぞれ接着され、射出側偏光板444R,444G,444Bの偏光層40における光入射側表面には液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bがそれぞれ接着され、射出側偏光板444R,444G,444Bの偏光層40における光射出側表面には反対側透光性部材480R,480G,480Bがそれぞれ接着されている構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下のような構成を採用することも可能である。
例えば、実施形態5に係るプロジェクタ1010において、射出側偏光板444R,444G,444Bの偏光層40の光入射側表面に接着された液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bとしてサファイアからなる透光性基板を用いているが、これに替えて実施形態2で説明したような偏光分離光学素子を用いてもよい。
また、実施形態5に係るプロジェクタ1010において、入射側偏光板424R,424G,424Bの光入射面に接着された反対側透光性部材470R,470G,470Bとしてサファイアからなる透光性基板を用いているが、これに替えて実施形態2で説明したような偏光分離光学素子を用いてもよい。
また、実施形態5に係るプロジェクタ1010において、射出側偏光板444R,444G,444Bの光射出面に接着された反対側透光性部材480R,480G,480Bとクロスダイクロイックプリズム500とはそれぞれ離隔して配置されているが、反対側透光性部材480R,480G,480Bがクロスダイクロイックプリズム500の複数の光入射端面にそれぞれ接着されていてもよい。
また、実施形態5に係るプロジェクタ1010において、入射側偏光板424R,424G,424Bの光入射出面に接着された反対側透光性部材470R,470G,470Bと集光レンズ300R,300G,300Bとはそれぞれ離隔して配置されているが、反対側透光性部材470R,470G,470Bが集光レンズ300R,300G,300Bの光射出面にそれぞれ接着されていてもよい。
以上、本発明のプロジェクタを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)本発明の光学装置をプロジェクタに適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の光学装置を偏光光を用いる他の光学機器に適用することも可能である。
(2)上記実施形態1及び2においては、第1の透光性部材450R,450G,450Bとクロスダイクロイックプリズム500との間に射出側偏光板440R,440G,440Bを挟み込んだ構造、あるいは、第2の透光性部材430R,430G,430Bと集光レンズ300R,300G,300Bとの間に入射側偏光板420R,420G,420Bを挟み込んだ構造を有するプロジェクタ1000について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、透光性部材と他の光学要素との間に偏光板を挟み込んだ構造を有するプロジェクタも本発明の範囲に含まれるものである。
(3)上記実施形態1及び2のプロジェクタ1000は、第1の透光性部材450R,450G,450B及び第2の透光性部材430R,430G,430Bの材料として、ともにサファイアを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1の透光性部材450R,450G,450B又は第2の透光性部材430R,430G,430Bの材料として、サファイアのほかに、水晶、石英ガラス、硬質ガラス、結晶化ガラスまたは立方晶の焼結体を用いてもよい。第1の透光性部材又は第2の透光性部材の材料として水晶を用いた場合には、サファイアの場合と同様の効果を得ることができる。また、第1の透光性部材又は第2の透光性部材の材料として石英ガラス、硬質ガラス、結晶化ガラスまたは立方晶の焼結体を用いた場合には、これらの材料は複屈折が小さいため、第1の透光性部材及び第2の透光性部材を通過する光束の品質低下を抑制することができる。また、これらの材料は熱膨張率が比較的小さいため、熱による伸び・変形が大きい性質を有する偏光板をこのような熱膨張率の小さな材料からなる第1の透光性部材又は第2の透光性部材に接着することにより、偏光板自体の変形を抑えることができる。また、第1の透光性部材及び第2の透光性部材の材料として、他の透明ガラス(例えば、白板ガラスやパイレックス(登録商標)など)、YAG多結晶、酸窒化アルミニウムなども好適に用いることができる。つまり、第1の透光性部材450R,450G,450B及び第2の透光性部材430R,430G,430Bが無機材料であればよい。なお、立方晶の焼結体としては例えばYAGの透光性焼結ガラスを採用できる。
なお、上述したことは、上記実施形態3〜5におけるプロジェクタ1006〜1010における液晶装置側透光性部材432R,432G,432B,452R,452G,452B又は反対側透光性部材470R,470G,470B,480R,480G,480Bについても同様に上述したような無機材料から適宜選択することができる。
(4)上記実施形態4及び5のプロジェクタ1008,1010においては、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B及び反対側透光性部材470R,470G,470Bの光学軸が、ともに偏光層20の偏光軸に略平行又は略垂直となるように、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B及び反対側透光性部材470R,470G,470Bを配置させたが、本発明はこれに限定されるものではない。また、上記実施形態4及び5のプロジェクタ1008,1010においては、液晶装置側透光性部材452R,452G,452B及び反対側透光性部材480R,480G,480Bの光学軸が、ともに偏光層40の偏光軸に略平行又は略垂直となるように、液晶装置側透光性部材452R,452G,452B及び反対側透光性部材480R,480G,480Bを配置させたが、本発明はこれに限定されるものではない。反対側透光性部材470R,470G,470Bの光学軸よりも液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bの光学軸の方が、偏光層20の偏光軸に対してより平行又はより垂直となるように、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B及び反対側透光性部材470R,470G,470Bを配置させればよい。また、反対側透光性部材480R,480G,480Bの光学軸よりも液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bの光学軸の方が、偏光層40の偏光軸に対してより平行又はより垂直となるように、液晶装置側透光性部材452R,452G,452B及び反対側透光性部材480R,480G,480Bを配置させればよい。
なぜならば、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B,452R,452G,452Bの光学軸のずれの方が反対側透光性部材470R,470G,470B,480R,480G,480Bの光学軸のずれよりも画像のコントラストに与える影響が大きい。一方、反対側透光性部材470R,470G,470Bの光学軸の大きなずれは、偏光変換素子からの射出光を乱す原因となり、また反対側透光性部材480R,480G,480Bの光学軸の大きなずれは、合成プリズムの透過効率低下する原因となる。
例えば、コントラスト500:1程度のプロジェクタにする場合、プロジェクタのコントラストに与える影響を1割程度に抑えるためには、液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bの光学軸と偏光層20の偏光軸に平行な軸または垂直な軸とのズレ量は0.5度以内となるようにし、液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bの光学軸と偏光層40の偏光軸に平行な軸または垂直な軸とのズレ量は0.5度以内とすればよい。また、例えばプロジェクタの光利用効率への影響を1から2%に抑えるためには、反対側透光性部材470R,470G,470Bの光学軸と偏光層20の偏光軸に平行または垂直な軸とのズレ量は5度以内となるようにし、反対側透光性部材480R,480G,480Bの光学軸と偏光層40の偏光軸に平行または垂直な軸とのズレ量は5度以内とすればよい。
従って、液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bの光学軸と偏光層20の偏光軸に平行な軸または垂直な軸とのズレ量を、反対側透光性部材470R,470G,470Bの光学軸と偏光層20の偏光軸に平行または垂直な軸とのズレ量よりも小さくすればよい。また、同様に、液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bの光学軸と偏光層40の偏光軸に平行な軸または垂直な軸とのズレ量を、反対側透光性部材480R,480G,480Bの光学軸と偏光層40の偏光軸に平行または垂直な軸とのズレ量よりも小さくすればよい。
(5)上記実施形態4及び5のプロジェクタ1008,1010においては、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B,452R,452G,452B及び反対側透光性部材470R,470G,470B,480R,480G,480Bとして、ともにサファイアからなる透光性基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、液晶装置側透光性部材及び反対側透光性部材のうち、一方の透光性部材は石英ガラス、硬質ガラス、結晶化ガラスまたは立方晶の焼結体からなる透光性基板であり、他方の透光性部材はサファイア又は水晶からなる透光性基板であってもよい。
偏光板周辺部の温度が所定温度よりも高い場合には、偏光板の熱的負荷を軽減するという観点から、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B,452R,452G,452Bはサファイア又は水晶からなる透光性基板であることが好ましく、偏光板に入射する光束又は偏光板から射出される光束の品質低下を抑制するという観点から、反対側透光性部材470R,470G,470B,480R,480G,480Bは石英ガラス、硬質ガラス、結晶化ガラスまたは立方晶の焼結体からなる透光性基板であることが好ましい。
偏光板周辺部の温度が所定温度よりも低い場合には、偏光板に入射する光束又は偏光板から射出される光束の品質低下を抑制する観点から、液晶装置側透光性部材432R,432G,432B,452R,452G,452Bは石英ガラス、硬質ガラス、結晶化ガラスまたは立方晶の焼結体からなる透光性基板であることが好ましく、偏光板の熱的負荷を軽減するという観点から、反対側透光性部材470R,470G,470B,480R,480G,480Bはサファイア又は水晶からなる透光性基板であることが好ましい。
なお、立方晶の焼結体としては例えばYAGの透光性焼結ガラスを採用できる。
(6)上記実施形態2に係る光学装置514においては、偏光分離光学素子として、二軸方向性の有るフィルムを複数枚積層してXY型の偏光特性を持たせたXY型偏光フィルムを用いた偏光分離光学素子460R,460G,460Bを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。偏光分離光学素子としては、例えば誘電体多層膜からなる偏光分離光学素子、多数の微細金属細線が配列されたワイヤグリッド型の偏光分離光学素子などを好ましく用いることができる。
(7)上記実施形態1においては、液晶装置410R,410G,410Bの光入射側に配置された入射側偏光板420R,420G,420Bのすべてが第2の透光性部材430R,430G,430Bと集光レンズ300R,300G,300Bとの間にそれぞれ挟み込まれ、液晶装置410R,410G,410Bの光射出側に配置された射出側偏光板440R,440G,440Bのすべてが第1の透光性部材450R,450G,450Bとクロスダイクロイックプリズム500との間にそれぞれ挟み込まれた構造を有する光学装置510について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。入射側偏光板420R,420G,420Bのうち少なくとも1つの入射側偏光板が第2の透光性部材430R,430G,430Bと集光レンズ300R,300G,300Bとの間に挟み込まれ、射出側偏光板440R,440G,440Bのうち少なくとも1つの射出側偏光板が第1の透光性部材450R,450G,450Bとクロスダイクロイックプリズム500との間に挟み込まれた構造を有する光学装置も本発明の範囲に含まれるものである。
(8)上記実施形態2においては、液晶装置410R,410G,410Bの光射出側に配置された射出側偏光板440R,440G,440Bのすべてが偏光分離光学素子460R,460G,460Bとクロスダイクロイックプリズム500との間にそれぞれ挟み込まれた構造を有する光学装置514について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。射出側偏光板440R,440G,440Bのうち少なくとも1つの射出側偏光板が偏光分離光学素子460R,460G,460Bとクロスダイクロイックプリズム500との間に挟み込まれた構造を有する光学装置も本発明の範囲に含まれるものである。
(9)上記実施形態3においては、液晶装置410R,410G,410Bの光入射側に配置された入射側偏光板420R,420G,420Bのすべてが液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bに接着され、液晶装置410R,410G,410Bの光射出側に配置された射出側偏光板440R,440G,440Bのすべてが液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bに接着された構造を有する光学装置518について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。入射側偏光板420R,420G,420Bのうち少なくとも1つの入射側偏光板が液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bに接着され、射出側偏光板440R,440G,440Bのうち少なくとも1つの射出側偏光板が液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bに接着された構造を有する光学装置も、本発明の範囲に含まれるものである。
(10)上記実施形態4においては、液晶装置410R,410G,410Bの光入射側に配置された入射側偏光板420R,420G,420Bのすべてが液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bと反対側透光性部材470R,470G,470Bとの間にそれぞれ挟み込まれ、液晶装置410R,410G,410Bの光射出側に配置された射出側偏光板440R,440G,440Bのすべてが液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bと反対側透光性部材480R,480G,480Bとの間にそれぞれ挟み込まれた構造を有する光学装置518について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。入射側偏光板420R,420G,420Bのうち少なくとも1つの入射側偏光板が液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bと反対側透光性部材470R,470G,470Bとの間に挟み込まれ、射出側偏光板440R,440G,440Bのうち少なくとも1つの射出側偏光板が液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bと反対側透光性部材480R,480G,480Bとの間に挟み込まれた構造を有する光学装置も本発明の範囲に含まれるものである。
(11)上記実施形態5においては、液晶装置410R,410G,410Bの光入射側に配置された入射側偏光板424R,424G,424Bのすべてが液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bと反対側透光性部材470R,470G,470Bとの間にそれぞれ挟み込まれ、液晶装置410R,410G,410Bの光射出側に配置された射出側偏光板444R,444G,444Bのすべてが液晶装置側透光性部材452R,452G,452と反対側透光性部材480R,480G,480Bとの間にそれぞれ挟み込まれた構造を有する光学装置520について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。入射側偏光板424R,424G,424Bのうち少なくとも1つの入射側偏光板が液晶装置側透光性部材432R,432G,432Bと反対側透光性部材470R,470G,470Bとの間に挟み込まれ、射出側偏光板444R,444G,444Bのうち少なくとも1つの射出側偏光板が液晶装置側透光性部材452R,452G,452Bと反対側透光性部材480R,480G,480Bとの間に挟み込まれた構造を有する光学装置も本発明の範囲に含まれるものである。
(12)上記実施形態1の変形例において、光入射側の支持層だけではなく光射出側の支持層も省略された構造を有する偏光板(偏光層20)を第1の透光性部材及びクロスダイクロイックプリズムに接着する際は、まず第1の透光性部材及びクロスダイクロイックプリズムのいずれか一方に粘着剤を介して偏光層20を接着しその後熱処理を施してから他方に接着するのが好ましい。また、偏光層20を第2の透光性部材及び集光レンズに接着する際は、まず第2の透光性部材及び集光レンズのいずれか一方に粘着剤を介して偏光層を接着しその後熱処理を施してから他方に接着するのが好ましい。この場合熱処理は、摂氏80度〜110度の環境に0.5〜10時間放置すればよい。これにより、偏光層20の熱による初期的な収縮がなされるから、プロジェクタ1000に組み込まれ光が照射され熱が加わったとしても熱応力による偏光層20の損傷を防止できる。
(13)上記実施形態5において、支持層を有していない偏光層20を液晶装置側透光性部材及び反対側透光性部材に接着する際は、まず液晶装置側透光性部材及び反対側透光性部材のいずれか一方に粘着剤を介して偏光層20を接着しその後熱処理を施してから他方に接着するのが好ましい。この場合熱処理は、摂氏80度〜110度の環境に0.5〜10時間放置すればよい。これにより、偏光層20の熱による初期的な収縮がなされるから、プロジェクタ1010に組み込まれ光が照射され熱が加わったとしても熱応力による偏光層20の損傷を防止できる。
(14)上記実施形態1のプロジェクタ1000においては、光源装置として、楕円面リフレクタ114と、楕円面リフレクタ114の第1焦点近傍に発光中心を有する発光管112と、凹レンズ118とを有する光源装置110を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、放物面リフレクタと、放物面リフレクタの焦点近傍に発光中心を有する発光管とを有する光源装置をも好ましく用いることができる。
(15)上記実施形態1のプロジェクタ1000においては、発光管112に反射手段としての補助ミラー116が配設されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発光管に補助ミラーが配設されていないものであっても本発明を適用することができる。
(16)上記実施形態1のプロジェクタ1000においては、光均一化光学系として、レンズアレイからなるレンズインテグレータ光学系を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ロッド部材からなるロッドインテグレータ光学系をも好ましく用いることができる。
(17)上記各実施形態において、3つの液晶装置410R,410G,410Bを用いたプロジェクタを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
(18)本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクタに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクタに適用する場合にも可能である。
10…筐体、12…熱伝導性のスペーサ、14,16…熱伝導部材、20,40…偏光層、22,42…支持層、100…照明装置、100ax…照明光軸、110…光源装置、112…発光管、114…楕円面リフレクタ、116…補助ミラー、118…平行化レンズ、120…第1レンズアレイ、122…第1小レンズ、130…第2レンズアレイ、132…第2小レンズ、140…偏光変換素子、150…重畳レンズ、200…色分離導光光学系、210,220…ダイクロイックミラー、230,240,250…反射ミラー、260…入射側レンズ、270…リレーレンズ、300R,300G,300B…集光レンズ、410R,410G,410B…液晶装置、412R,412G,412B,414R,414G,414B…ガラス基板、420R,420G,420B,422R,422G,422B…入射側偏光板、430R,430G,430B…第2の透光性部材、432R,432G,432B,452R,452G,452B…液晶装置側透光性部材、440R,440G,440B,442R,442G,442B…射出側偏光板、450R,450G,450B…第1の透光性部材、460R,460G,460B…偏光分離光学素子、462R…XY型偏光フィルム、464R,466R…ガラスプリズム、468R…光吸収手段、470R,470G,470B,480R,480G,480B…反対側透光性部材、500…クロスダイクロイックプリズム、510,512,514,516,518,520…光学装置、600…投写光学系、1000…プロジェクタ、C…接着層、D…粘着層、SCR…スクリーン。