JP2009139875A - 投射型液晶表示装置および光学ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】
出射側偏光素子として反射型偏光板を用いながら、反射型偏光板から透過型液晶パネルに戻る戻り光を抑えると共に、非点収差を無くし、かつバックフォーカスの増大を抑制する。
【解決手段】
出射側偏光素子を、前段に配置された偏光分離プリズムと、後段に、光軸に直交するように配置された反射型偏光板とで構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、光源からの光を透過型液晶パネルで映像信号に応じて光強度変調し、形成された光学像を拡大して投射する投射型液晶表示装置および光学ユニットに関する。
従来、光源からの光をライトバルブで映像信号に応じて光強度変調し、形成された光学像を拡大して投射する光学ブロックである光学ユニットを、駆動回路,電源回路や冷却用ファンなどと共に筐体内に収納した投射型表示装置が知られている。
投射型表示装置では、ライトバブルとして透過型液晶パネル(以下、単に、「液晶パネル」ともいう)を用いる場合、一般に、液晶パネルの前後(光入射側および光出射側)に互いに偏光方向が異なる(例えば直交する)偏光板が設けられる。そして、該偏光板には、従来、許容温度の低い、例えばヨウ素や染料分子を含む高分子フィルムを一軸延伸した一軸延伸型の有機フィルム製の吸収型偏光板が使用されている。この吸収型偏光板は、不要な偏光光を吸収し発熱するので、耐熱温度の低い液晶パネルと共に冷却ファンで冷却され、信頼性の向上が図られている。しかし、液晶パネルの光出射側に配置される出射側偏光素子は、黒色表示の場合大部分の光を吸収することになるので、その耐熱性が大きな課題となっている。特に、近年のプロジェタには、小型化を図りながら高輝度化、長寿命化の実現が求められており、出射側偏光素子における耐熱性の課題が益々大きくなってきている。
この課題を解決する一手段として、出射側偏光素子に反射型偏光板を用い、光路の光軸に対して略45度傾斜させて配置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
反射型偏光板は、不要な偏光光を反射させ、ほとんど光吸収しないので、信頼性を確保することができる。しかし、反射型偏光板を光路に対して直交するように配置すると、不要な偏光光の反射光が液晶パネルに戻る。この戻り光は、液晶パネルに内蔵されているTFT(Thin Film Transistor)に光電効果を生じさせて、TFTの誤動作を引き起こし、画質劣化を招く懸念がある。そこで、特許文献1の投射型液晶表示装置は、反射型偏光板を光路に対して傾斜するように配置し、反射光が液晶パネルに戻らないようにしている。
特開平11−295660号公報
一般に、平行平面を有する透光性基板を光路の光軸に傾斜して配置すると、非点収差が生じることが知られている。従って、特許文献1に記載の如く、反射型偏光板を光路の光軸に対して傾斜して配置すると、反射型偏光板を透過する偏光光において、反射型偏光板を支持する透光性基板で非点収差が生じ、例えばスクリーン上に投射された映像(画像)に劣化(例えばボゲ)が生じる。この非点収差は、例えば、特許文献1の図6に示されるように、反射型偏光板を支持する透光性基板の傾きに対して90度ねじれた方向に傾いた平行平面板の非点収差補正ガラスを配置することで、キャンセルすることができる。しかしながら、反射型偏光板の傾斜配置に加えて、非点収差補正ガラスも傾斜配置するになるので、投射レンズ後端と液晶パネルとの間の距離であるバックフォーカスがより長くなり、投射レンズの大型化を招くという新たな課題が生じる。
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたもので、その目的は、出射側偏光素子として反射型偏光板を用いながら、反射型偏光板から液晶パネルに戻る戻り光を抑えると共に、非点収差を無くし、かつバックフォーカスの増大を抑制できる投射型液晶表示装置および光学ユニットを提供することにある。
上記課題点を解決するために、本発明による投射型液晶表示装置および光学ユニットでは、光を出射する照明光学系と、前記照明光学系により出射された光を複数の色光に分離する光分離光学系と、前記光分離光学系により分離されたそれぞれの色光を映像信号に応じて変調する透過型液晶パネルと、前記透過型液晶パネルにより変調された、互いに直交する第1の偏光光および第2の偏光光からなる色光のうち、前記第1の偏光光を透過する出射側偏光素子と、前記出射側偏光素子を透過したそれぞれの色光を合成する光合成手段と、前記光合成手段により合成された光を投射する投射手段とを有する投射型液晶表示装置および光学ユニットであって、前記出射側偏光素子は、前記第1の偏光光を透過し、前記第2の偏光光の一部を透過し、前記第2の偏光光の一部を光路外に反射する偏光分離プリズムと、前記偏光分離プリズムを透過した前記第1の偏光光を透過し、前記偏光分離プリズムを透過した前記第2の偏光光の一部を反射する反射型偏光板とを有し、前記反射型偏光板により反射された前記第2の偏光光の一部を、前記偏光分離プリズムで光路外に反射することとする。
上記のように、本発明では、出射側偏光素子として、前段に、偏光分離面が形成された偏光分離プリズムを用い、また、後段に、反射型偏光板を光軸に直交するように配置しているので、非点収差補正用部材を配置する必要がなく、バックフォーカスの増大を抑えることができる。また、反射型偏光板を反射した第2の偏光光を、偏光分離プリズムの偏光分離面で反射させるので、透過型液晶パネルに戻る戻り光を抑えることができる。また、前段に偏光分離プリズムを配置し、後段に反射型偏光板を配置する構成なので、消光比を大きくすることができ、高コントラストな映像とすることができる。また、不要な偏光光を反射させて除去できるので、光吸収による温度上昇を招くこともない。
また、上記課題点を解決するために、本発明による投射型液晶表示装置および光学ユニットでは、光を出射する照明光学系と、前記照明光学系により出射された光を複数の色光に分離する光分離光学系と、前記光分離光学系により分離されたそれぞれの色光を映像信号に応じて変調する透過型液晶パネルと、前記透過型液晶パネルにより変調された、互いに直交する第1の偏光光および第2の偏光光からなる色光のうち、前記第1の偏光光を透過する出射側偏光素子と、前記出射側偏光素子を透過したそれぞれの色光を合成する光合成手段と、前記光合成手段により合成された光を投射する投射手段とを有する投射型液晶表示装置および光学ユニットであって、前記出射側偏光素子は、前記第1の偏光光を透過し、前記第2の偏光光を光路外に反射する偏光分離面が形成された偏光分離プリズムを有し、前記偏光分離面に反射型偏光板が保持されてなることとする。
上記のように、本発明では、出射側偏光素子として、偏光分離面が形成された偏光分離プリズムを用い、また、偏光分離面に反射型偏光板を挟持しているので、非点収差補正用部材を配置する必要がなく、バックフォーカスの増大を抑えることができる。また、反射型偏光板を反射した第2の偏光光を、偏光分離プリズムの偏光分離面で反射させるので、透過型液晶パネルに戻る戻り光を抑えることができる。また、不要な偏光光を反射させて除去できるので、光吸収による温度上昇を招くこともない。
上記のように、本発明によれば、出射側偏光素子から液晶パネルに戻る戻り光を抑えると共に、非点収差を無くし、かつバックフォーカスの増大を抑制できる投射型液晶表示装置および光学ユニットを提供することができる。
以下、本発明の最良の形態について、図を参照して説明する。なお、各図において、共通な機能を有する要素には同一な符号を付して示し、一度説明したものについては、その重複する説明を省略する。
まず、実施例1に係わる投射型液晶表示装置の光学系について述べ、その後、本実施例による出射側偏光素子の詳細構成について説明するものとする。
図1は、実施例1に係わる投射型液晶表示装置の光学系の模式構成図である。なお、図1において、各色光の光路に配置されている要素を区別する際には符号の後に色光を表すR,G,Bを添えて示し、区別する必要がない場合には、色光の添え字を省略する。また、偏光方向を明確にするため、ローカル右手直角座標系を導入しておく。光軸101をZ軸として、Z軸に直交する面内で、図1紙面に平行な軸をY軸とし、図紙面裏から表に向かう軸(図紙面に垂直な軸)をX軸とする。また、便宜上、X軸に平行な方向を「X方向」,Y軸に平行な方向を「Y方向」と呼ぶものとする。また、説明の都合上、偏光方向がX方向の偏光光を「X偏光光」といい、偏光方向がY方向の偏光光を「Y偏光光」というものとする。
図1において、投射型液晶表示装置の光学系は、照明光学系100と、光分離光学系130と、リレー光学系140と、3つのフィールドレンズ29(29R,29G,29B)と、3つの透過型の液晶パネル60(60R,60G,60B)と、光合成手段である光合成プリズム200と、投射手段である投射レンズ300とを備えている。液晶パネル60は、光入射側に入射側偏光板50(50R,50G,50B)を備え、光出射側に出射側偏光素子として、出射側偏光素子として作用する偏光分離プリズム70(70R,70G,70B)および反射型無機偏光板80(80R,80G,80B)とを備えている。そして、これらの光学素子は、基体550に装着されて、光学ユニット500を構成し、該光学ユニット500は、液晶パネル60を駆動する駆動回路570、液晶パネル60などを冷却する冷却用ファン580、照明光学系100に含まれる光源ユニット10,冷却用ファン580,駆動回路570やその他の図示しない各回路に電力を供給する電源回路560とともに、図示しない筐体に搭載され、投射型液晶表示装置を構成する。
映像表示素子である液晶パネル60を均一に照射する照明光学系100は、略白色光を出射するランプ(光源ともいう)11およびリフレクタ12(ここでは放物面リフレクタ)からなる光源ユニット10と、オプチカルインテグレータを構成す第1のアレイレンズ21および第2のアレイレンズ22と、偏光変換素子25と、集光レンズ(重畳レンズともいう)27を含んでなる。また、照明光学系100からの略白色光を、例えば光の3原色光に光分離する光分離光学系130は、2つのダイクロイックミラー31,32と、光路方向を変える反射ミラー33とを有している。また、リレー光学系140は、フィールドレンズである第1リレーレンズ41と、リレーレンズである第2リレーレンズ42と、光路方向を変える2つの反射ミラー45,46とを含んでなる。
ランプ11は、超高圧水銀ランプ,メタルハライドランプ,キセノンランプ,水銀キセノンランプ,ハロゲンランプ等の白色ランプである。リフレクタ12は、ランプ11を背後側から覆うように配置された、例えば回転放物面形状の反射面を有するもので、円形ないし、多角形の出射開口を持つ。
ランプ11から出射された光は、例えば回転放物面形状の反射面を有するリフレクタ12によって反射され、光軸101に略平行となり、光源ユニット10から略平行の光束が出射される。光源ユニット10から出射された光は、偏光変換インテグレータに入射する。
偏光変換インテグレータは、第1のアレイレンズ21と第2のアレイレンズ22からなる均一照明を行うオプチカルインテグレータと、光の偏光方向を所定の偏光方向に揃えて直線偏光光に変換する偏光ビームスプリッタアレイの偏光変換素子25とで構成される。
第1のアレイレンズ21は、照明光軸方向から見て液晶パネルと略相似な矩形形状を有する複数のレンズセルがマトリックス状に配設されたもので、光源ユニット10から入射した光を複数のレンズセルで複数の光に分割して、効率よく第2のアレイレンズ22と偏光変換素子25を通過するように導く。即ち、第1のアレイレンズ21は、ランプ(光源)11と第2のアレイレンズ22の各レンズセルとが光学的に共役な関係になるように設計されている。
第1のアレイレンズ21と同様に、照明光軸方向から見て矩形形状の複数のレンズセルがマトリクス状に配設された構成を有する第2のアレイレンズ22は、構成するレンズセルそれぞれが対応する第1のアレイレンズ21のレンズセルの形状を液晶パネル60に投影(写像)する。
この時、偏光変換素子25で第2のアレイレンズ22からの光は所定の偏光方向の偏光光、例えば直線偏光光のX偏光光(光軸101に直交する面内で偏光方向が図1紙面に垂直なX方向の光)に揃えられる。そして、第1のアレイレンズ21の各レンズセルの投影像は、それぞれ集光レンズ27、およびフィールドレンズ29G,29B,リレー光学系140,フィールドレンズ29Rにより各液晶パネル60上に重ね合わせられる。
なお、第2のアレイレンズ22とこれに近接して配設される集光レンズ27とは、第1のアレイレンズ21の各レンズセルと液晶パネル60とが、光学的に物体と像の関係(即ち、共役な関係)になるように設計されているので、第1のアレイレンズ21で複数に分割された光束は、第2のアレイレンズ22と集光レンズ27によって、液晶パネル60上に重畳して投影され、実用上問題のないレベルの均一性の高い照度分布の照明が可能となる。
以上述べたように、第1のアレイレンズ21,第2のアレイレンズ22,偏光変換素子25とで構成された偏光変換インテグレータは、光源からの偏光方向がランダムな光を所定の偏光方向の偏光光(ここではX偏光光)に揃えながら、液晶パネルを均一照明することができる。
照明光学系100から出射された光(略白色光)は、光分離光学系130に入射する。光分離光学系130は、照明光学系100からの略白色光を光の3原色の色光に光分離する。例えば第1の色光であるB光(青色帯域の光)と、第2の色光であるG光(緑色帯域の光)と、第3の色光であるR光(赤色帯域の光)とに分光する。そして、光分離した各色光を対応する液晶パネル60(60R,60G,60B)に向かうそれぞれの光路(第1の色光のB光路,第2の色光のG光路,第3の色光のR光路)に導光する。すなわち、ダイクロイックミラー31により、例えばB光は反射され、対応する液晶パネル60B(B光路)に向かう。また、G光およびR光は、ダイクロイックミラー31を透過し、ダイクロイックミラー32によりG光とR光に分離される。ここでは、G光はダイクロイックミラー32を反射して対応する液晶パネル60G(G光路)に向かい、R光はダイクロイックミラー32を透過して対応する液晶パネル60R(R光路)に向かう。
光分離光学系130の各光路について具体的に述べる。
ダイクロイックミラー31を反射したB光は、反射ミラー33を反射して、フィールドレンズ29B、入射側偏光板50Bを通過して、B光用の液晶パネル60Bに入射する。
一方、ダイクロイックミラー31を透過したG光およびR光の内、G光はダイクロイックミラー32を反射して、フィールドレンズ29G,入射側偏光板50Gを通して、G光用液晶パネル60Gに入射する。
また、R光は、ダイクロイックミラー32を透過し、リレー光学系140に入射する。リレー光学系140に入射したR光は、フィールドレンズの第1リレーレンズ41によって、反射ミラー45を経て、第2リレーレンズ42の近傍に集光(収束)し、フィールドレンズ29Rに向けて発散する。そして、反射ミラー46を経てフィールドレンズ29Rに入射し、フィールドレンズ29Rで光軸に略平行とされ、入射側偏光板50Rを通過して、R光用の液晶パネル60Rに入射する。
液晶パネル60(60R,60G,60B)は、光入射側に入射側偏光板50(50R,50G,50B)を備え、光出射側に出射側偏光素子として、出射側偏光素子として作用する偏光分離プリズム70(70R,70G,70B)および反射型無機偏光板80(80R,80G,80B)を備える。
各液晶パネル60は、X方向を透過軸とする入射側偏光板50(50R,50G,50B)により偏光度が高められた光分離光学系130から入射するX偏光の色光を、駆動回路570で駆動されて、図示しないカラー映像信号に応じて変調(光強度変調)し、各色光の例えばY偏光の光学像を形成する。そして、Y偏光(偏光分離プリズム70の偏光分離面に対してはP偏光)の各光学像は、Y方向を透過軸とする偏光分離プリズム70(70R,70G,70B)および反射型無機偏光板80(80R,80G,80B)により不要な偏光光(ここではX偏光光)が除去されてコントラストが高められ、光合成手段としての光合成プリズム200に入射する。この時、B光路およびR光路では、反射型無機偏光板80B,80Rと光合成プリズム200との間に1/2λ波長板90B,90Rが設けられている。従って、Y偏光のB光およびR光の光学像はX偏光(光合成プリズム200の色合成を行うダイクロイック膜面に対してS偏光)の光学像とされて、Y偏光(光合成プリズム200のダイクロイック膜面に対してP偏光)のG光の光学像と共に、光合成プリズム200で効率よく光合成される。
光合成プリズム200は、B光を反射するダイクロイック膜(誘電体多層膜)210bと、R光を反射するダイクロイック膜(誘電体多層膜)210rとが、4つの直角プリズムの界面に略X字状(クロス状)に形成されたものである。そして、3色光の各光学像を合成してカラー映像光(画像光)とする機能を有する。光合成プリズムでは、一般に、光利用効率の向上の点から、ダイクロイック膜210の面に対してG光をP偏光光、R光とB光をS偏光光とする所謂SPS合成が用いられる。液晶パネル60からの光の内、偏光分離プリズム70および反射型無機偏光板80を透過する偏光光はY偏光光(ダイクロイック膜面に対してP偏光光)である。そこで、B光路とR光路には1/2λ波長板90B,90Rが設けられ、X偏光光(S偏光光)とされている。光合成プリズム200の3つの入射面の内、対向する入射面に入射したB光とR光(ダイクロイック膜面に対してS偏光光)は、クロスしたB光用のダイクロイック膜210bおよびR光用のダイクロイック膜210rでそれぞれ反射され、また、中央の入射面に入射したG光(ダイクロイック膜面に対してP偏光光)は直進して、合成され、出射面から出射する。その後、例えばズームレンズであるような投射レンズ300によって、スクリーン(図示せず)に投影される。
冷却用ファン580は、例えば入射側偏光板50,偏光分離プリズム70,反射型無機偏光板80や液晶パネル60等で光源ユニット10からの照射光の一部を吸収して生じる熱を、空気の流れ(風)を図示しない冷却用ダクトを介して送風し、入射側偏光板50,偏光分離プリズム70,反射型無機偏光板80や液晶パネル60への流路585を形成して冷却する。本実施例では、出射側偏光素子として耐熱性、耐UV性に優れる反射型の偏光分離プリズム70および反射型無機偏光板80を用いている(詳細は後述する)。従って、偏光分離プリズム70や反射型無機偏光板80に送風する風量を抑え、その分入射側偏光板50と液晶パネル60への風量を増やすようにすることができる。このようにすれば、高輝度化に伴う冷却用ファンの能力の増大を招くことなく、入射側偏光板50や液晶パネル60を効率的に冷却することが可能となる。
なお、リレー光学系140は、ランプ(光源)11からB光用液晶パネル60Bまでの光路長(B光路長)および光源11からG光用液晶パネル60Gまでの光路長(G光路長)に対して、光源11からR光用液晶パネル60Rまでの光路長(R光路長)が長いので、これを補正するためのものである。
ここで、リレー光学系140について少し述べておく。
R光路上の第1リレーレンズ41の近傍には、照明光学系100により第1のアレイレンズ21の各レンズセル像が重畳した仮想の液晶表示像(図示せず)が結像する。この仮想の液晶表示像をR光用の液晶パネル60Rにリレー(写像)するのがリレー光学系140の目的である。すなわち、リレー光学系140の第2リレーレンズ42は、仮想の液晶表示像をR光用の液晶パネル60R上に写像する。つまり、仮想の液晶表示像と液晶パネル60Rは、物と像の関係にある。また、リレー光学系140のフィールドレンズである第1リレーレンズ41は、液晶パネル60R上に結像する像の照度が隅々まで均一となるように、仮想の液晶表示像を通過した光を第2リレーレンズ42近傍に集光する。第2リレーレンズ42近傍には第2のアレイレンズ22上に形成された、複数のアーク像(2次光源像)が形成される。つまり、第2のアレイレンズ22と第2リレーレンズ42は物と像の関係にある。
次に、図2を用いて出射側偏光素子の一つを構成する反射型無機偏光板について説明する。無機偏光板は、従来の樹脂などの有機材料で作られた有機偏光板とは異なり、無機材料で構成された偏光板である。有機偏光板と同様に、無機偏光板にも、吸収型と反射型がある。
吸収型無機偏光板としては、例えば特開2004−224660号公報などに記載されている、ハロゲン化物および金属(例えば銀)を含むマトリクス材料としてのガラスを熱処理して、ハロゲン化金属微粒子(例えばハロゲン化銀微粒子)を当該ガラス中に析出分散させた後、当該ガラスを加熱延伸し、該延伸により長径と短径とが所定のアスペクト比とされたハロゲン化金属微粒子を還元して金属微粒子(例えば銀微粒子)とすることにより、光学的異方性を持たせた偏光ガラスがある。この偏光ガラスは、マトリクス材料としてのガラスの粘性が高く(流動性が小さく)、大きな面積を有する偏光板の製造が難しいという事情を抱えており、また、価格も高い。
反射型無機偏光板は、所定方向に沿って光の波長の、例えば1/2程度の周期を持つ微細構造体を備える反射型偏光板である。例えば特開2007−33746号公報などに記載のワイヤグリッド型偏光板や、例えば特開2006−337860号公報などに記載されているフォトニック結晶構造(屈折率の周期構造を有する微細構造体)を備えた偏光板がある。これらの反射型無機偏光板は、大きな基板に無機材料を塗布してから、所望の大きさに切り出す製法であるため、大型化が容易であり、偏光ガラスより比較的価格が安いという利点がある。そこで、本発明では、無機の偏光分離プリズムと反射型無機偏光板とを組合せて、消光比が良好で、耐熱性の高い出射側偏光素子を構成する。なお、反射型無機偏光板は、構造複屈折型偏光板と総称される場合もある(例えば、特開2007−102246号公報参照)。
図2は、本実施例に係わる反射型無機偏光板の種々の例を示す説明図である。同図(a)はワイヤグリッド型偏光板の斜視図、同図(b)はフォトニック結晶構造を備えた偏光板の斜視図である。
図2(a)において、ワイヤグリッド型の反射型無機偏光板80は、透光性基板(例えばガラス基板)81上に、X方向に延びたストライプ状の金属薄膜(以下、「ワイヤグリッド」と称する)82を、溝83を介して周期的に配列したもので、該周期は光の波長より小さい(例えば光の波長の数分の一から十分の一程度)。ワイヤグリッド型反射型無機偏光板に入射光L800が入射すると、偏光方向がワイヤグリッド82に平行なX偏光光L800xは反射されて反射光L802となり、また、ワイヤグリッド82に直交する偏光方向のY偏光光L800yは透過して、透過光L801となる。つまり、ワイヤグリッド82に直交する方向のY偏光光L800yは透過し、ワイヤグリッド82に平行なX偏光光L800xは反射される。すなわち、ワイヤグリッド82に直交する方向はワイヤグリッド型反射型無機偏光板の透過軸(偏光軸)方向となる。この例として、MOXTEK社のProFlux(登録商標)がある。なお、透過軸方向に直交するワイヤグリッド82に平行な方向を反射軸方向という。
また、図2(b)において、フォトニック結晶構造を有する反射型無機偏光板80は、波長の1/4〜1/2のピッチで形成されたライン/スペース形状の溝を有する透光性基板81、および透光性基板81の溝を埋めると共に溝の短手方向(Y方向)に三角波形状で溝の長手方向(X方向)に直線状の凸部を備えた調整層85を有し、調整層85の上に透明な高屈折率の媒質からなる複数の高屈折率層86と透明な低屈折率の媒質からなる複数の低屈折率層87が交互に積層されている。高屈折率層86および低屈折率層87は、調整層85の溝の短手方向(Y方向)に三角波形状で溝の長手方向(X方向)に直線状の凸部の形状に合わせて、短手方向(Y方向)に三角波形状で長手方向(X方向)に直線状の形状を備えた面を有する。このように、光の波長よりも十分に小さいピッチで短手方向(Y方向)に三角波形状で長手方向(X方向)に直線状の形状を備えた面を有する高屈折率層86および低屈折率層87の積層体に、入射光L800が入射すると、高屈折率層86および低屈折率層87の長手方向(X方向)に平行な偏光方向を有するX偏光光L800xは、フォトニック結晶構造を備えた反射型無機偏光板80を通過することができず反射される。一方、高屈折率層86および低屈折率層87の短手方向(Y方向)に平行な偏光方向を有するY偏光光L800yは、フォトニック結晶構造を備えた反射型無機偏光板80を通過することができる。このようにして、互いに直交する偏光方向を有する光は、フォトニック結晶構造を備えた反射型無機偏光板80によって2つの直交する偏光光に分離される。
以上述べたように、反射型無機偏光板は透過軸方向の偏光光を透過させ、これと直交する偏光光を反射させる。従って、吸収型偏光板と異なり、ほとんど光を吸収せず、発熱量も極僅かで、温度上昇は非常に小さい。また、反射型無機偏光板は無機材料で構成されているので、耐熱温度が高く、寿命特性に優れているといえる。なお、反射型無機偏光板は、入射光を互いに直交する2つの偏光光(透過する偏光光と反射される偏光光)に分離する偏光分離作用を有しているので、偏光分離素子としても用いることができる。
次に、本実施例による出射側偏光素子の詳細構成について説明する。出射側偏光素子の構成は、R光路,G光路,B光路共に同じ構成であり、ここでは代表的にG光路の出射側偏光素子を用いて説明する。
図3は、本実施例による出射側偏光素子の構成を説明する図である。同図(a)は出射側偏光素子の構成を模式的に示す斜視図、同図(b)は(a)図をX軸方向から見た平面視図である。図4は、光軸面を導入する説明図である。なお、図3(b)では、図示を簡単とするため、X偏光光を「円で囲んだX」で表示するものとする。
図3に示すように、本実施例では、出射側偏光素子は、液晶パネル60Gの光出射側に順に配設された、同じ透過軸を有する偏光分離プリズム70Gと反射型無機偏光板80Gとからなる。
ここで、以下の説明を簡単とするため、図4を用いて光軸面を導入しておく。図4に示すように、液晶パネル60Gは短辺60aG,長辺60bGの矩形形状を有する。今、液晶パネル60Gのパネル面に直交し、液晶パネル60Gのパネル中心を通ってZ方向に延びるG光路の光軸を符号101Gとする。そして、光軸101Gを含み、液晶パネルの短辺60aGに平行(すなわち、X方向に平行)な平面を第1の光軸面S101XGとし、光軸101Gを含み、液晶パネルの長辺60bGに平行(すなわち、Y方向に平行)な平面を第2の光軸面S101YGとする。
図3に戻って、偏光分離プリズム70Gは、ここでは、第2の光軸面S101YGに平行なYZ断面における断面形状が略直角三角形である2つの直角プリズム701G,702Gがその長辺側面で接合され(底面が略直角三角形の三角柱である直角プリズム701G,702Gがその長辺側面で互いに接合され)、その接合界面に、例えば誘電体多層膜からなる偏光分離面S70Gが形成された偏光ビームスプリッタプリズム(Polarized Beam Splitterプリズム:PBSプリズム)である。従って、偏光分離面S70Gは、液晶パネル60Gに対向する直角プリズム701Gにおける光入射面S701G(光路の光軸101Gに直交する面)をX軸回りに約45度回転させた面に平行であり、G光路の光軸101Gに対して約45度程傾斜していることになる。つまり、偏光分離面S70Gは、上記で定義した第1の光軸面S101XGに対して約45度程で交差していることになる。光軸に対して傾斜配置された平行平面板は、既に述べたように、非点収差を引き起こす。しかし、偏光分離面S70Gが2つの直角プリズム701G,702Gの界面に形成されているので、非点収差が生じなく、画質劣化を招くことはない。また、非点収差をキャンセルする光路の光軸に傾斜する非点収差補正ガラスを使用しないので、バックフォーカスの増大を抑制することができる。
所で、偏光分離プリズムとして用いるPBSプリズムは、周知の如く、光軸と偏光分離面の法線とで形成する面(以下、「主入射面」という)に平行でない斜め光が入射する場合には、漏れ光が生じて消光比が低下し、コントラストが低下する懸念がある。そこで、本実施例においては、後段に反射型無機偏光板を配設して、漏れ光を防いでコントラストを高める構成としている。
偏光分離プリズム70Gの透過光の光出射側には、反射型無機偏光板80Gが光軸101G(すなわちZ軸)に直交するように配置されている。反射型無機偏光板80Gは、例えばワイヤグリッド型偏光板であり、透過軸がY方向となるように、図示しないワイヤグリッドの延伸方向がX方向となるように配置されている。従って、透過光は反射型無機偏光板80Gの面を略垂直に透過するので、非点収差が生じない。
なお、偏光分離プリズム70Gおよび反射型無機偏光板80Gの光が入射する光入射面S701G,S80Gの形状は、図3から明らかなように、共に、液晶パネル60Gの矩形形状(長辺60bGの長さK×短辺60aGの長さL)に略相似である。そして、通常、液晶パネル60Gの長辺60bGに対応する偏光分離プリズム70Gの辺70bGの長さMは、液晶パネル60Gの長辺60bGの長さKに対して、数1を満足するように設定される。
M≧K … (数1)
また、偏光分離面S70Gが第1の光軸面S101XGに対して45度で交差するので、偏光分離プリズム70Gの光路の光軸101Gに沿う辺70cGの長さは、辺70bGと同じMとなる。
上記構成の出射側偏光素子に液晶パネル60Gから直交するY偏光光LG60yおよびX偏光光LG60xとを含む光LG60が入射するとする。偏光分離プリズム70Gに入射した光LG60の内、偏光分離プリズム70Gの偏光分離面S70Gに対してP偏光光となるY偏光光LG60yは、偏光分離面S70Gをそのまま透過する。また、偏光分離面S70Gで、偏光分離面S70Gに対してS偏光光となるX偏光光LG60xは、大部分(例えば90%以上)が反射され、矢印705に示すように、液晶パネル60Gの長辺60bGに略平行な方向(つまりY方向)に光路が約90度折り曲げられて、偏光分離プリズム70Gから出射する。換言すれば、X偏光光LG60xは第1の光軸面S101XGに対して垂直な方向に反射される。しかし、X偏光光LG60xの一部(例えば10%以下)は、偏光分離面S70Gをそのまま透過する。偏光分離プリズム70Gを透過して反射型無機偏光板80Gに入射するY偏光光LG60yと僅かな量のX偏光光LG60xの内、偏光方向が反射型無機偏光板80Gの透過軸方向(Y軸方向)であるY偏光光LG60yは反射型無機偏光板80Gを透過する。一方、偏光方向が反射型無機偏光板80Gの反射軸方向(X軸方向)である僅かな量のX偏光光LG60xは、反射型無機偏光板80Gで反射され、再び偏光分離プリズム70Gに入射し、偏光分離面S70Gで反射され、矢印706に示すように、光路が約90度折り曲げられて偏光分離プリズム70Gから出射する。勿論、X偏光光LG60xの内、ごく僅かの量が偏光分離面S70Gを透過し液晶パネル60Gに戻る。この戻り量は元の1%程度以下(例えば10%×10%)であり、TFTの誤動作を引き起こす事もなく、画質劣化を招く懸念はない。
以上述べたように、本実施例による出射側偏光素子は、光路に沿って順に配列された、光路の光軸を含み液晶パネル60(60R,60G,60B)の短辺に平行である第1の光軸面S101Xに対して略90度折り曲げて光路外に反射させる偏光分離面を有する偏光分離プリズム70(70R,70G,70B)と、光路の光軸に直交して配置される反射型無機偏光板80(80R,80G,80B)との組合せで構成されている。従って、バックフォーカスの増大を抑えながら非点収差を抑えることができる。また、不要な偏光光が偏光分離プリズム、反射型無機偏光板でそれぞれ除去されるので、消光比を大きくすることができ、高コントラストな映像とすることができる。また、不要な偏光光を反射させて除去できるので、光吸収による温度上昇を招くこともない。これにより、耐熱温度の低い液晶パネル60や入射側偏光板50に対して、温度上昇を引き起こすこともなく、冷却用ファン580から偏光分離プリズム70や反射型無機偏光板80に送風する風量を抑え、その分、入射側偏光板50と液晶パネル60に送風する風量を増やすようにすることができる。また、本実施例では、後段の反射型無機偏光板80を光路の光軸に対して直交するように配置するが、反射型無機偏光板80によって光路の光軸に略平行に反射される不要な偏光光を、前段の偏光分離プリズムで光路外に反射させることができる。つまり、不要な偏光光が液晶パネル60に戻り、液晶パネルに内蔵される図示しないTFTの誤動作を招くこともない。
なお、本実施例では、光路の光軸に直交する面に対して傾斜する偏光分離面を有する偏光分離プリズム70の後段にコントラストを高めるために反射型無機偏光板80を配置したが、従来技術では、光路の光軸に傾斜する反射型偏光板の後段に有機フィルム製の吸収型偏光板を配置する構成が知られている(例えば、特許文献1の図7)。しかし、後段に吸収型偏光板を用いると、上記した黒表示の場合における光吸収による温度上昇の問題に加えて、B光路に使用する吸収型偏光板に関しては、UV光(Ultraviolet Ray)による吸収型偏光板の有機部材の黄変も問題となる。UV光による有機部材の黄変は、例えば冷却用ファンなどで冷却風を吹き付け、温度を低くすれば、発生スピードを遅らせることは可能である。しかし、長時間経過すると、温度が低くとも黄変が必ず発生する。つまり、白表示の場合、吸収型偏光板の光吸収による温度上昇は問題ないが、UV光が通過することによる有機部材の黄変は問題となるため、その耐UV性も大きな課題となっている。
しかしながら、本実施例では、後段に反射型無機偏光板を使用しているため、耐UV性に関しても優れている。白表示の場合、有効な偏光光の90%以上が偏光分離プリズム70を通過し、後段の反射型無機偏光板においても90%以上通過する。その際、B光に関しては、UV光を含むため、後段の偏光板が有機フィルム製の吸収型偏光板であれば、有機フィルム(有機部材)の黄変が問題になるが、本実施例では、反射型無機偏光板80を使用しているため、UV光による黄変の問題はない。
実施例1では、偏光分離プリズム70Gの光路の光軸101Gに沿う辺70cGの長さは、偏光分離プリズム70Gの光入射面S701Gにおける長手の辺70bGの長さMと同じであり、投射レンズ後端と液晶パネルとの間の距離であるバックフォーカスが長い。次に、実施例1による偏光分離プリズムの偏光分離面を第1の光軸面で対称に分割し、さらにバックフォーカスを短くする実施例2について説明する。
図5は、本実施例による出射側偏光素子の構成をX軸方向から見た平面視図である。なお、本図でも、図示を簡単とするため、図紙面に垂直なX偏光光を「円で囲んだX」で表示するものとする。また、出射側偏光素子の構成は、R光路,G光路,B光路共に同じ構成であり、代表的にG光路の出射側偏光素子を用いて説明する。
まず、出射側偏光素子の構成について説明する。本実施例でも、出射側偏光素子は、液晶パネル60Gの光出射側に順に配設された、同じ透過軸を有する偏光分離プリズム71Gと反射型無機偏光板80Gとからなる。但し、本実施例による偏光分離プリズム71Gは、第1の光軸面S101XGに対して略+45度および−45度傾斜する、略直交してVの字形状をなす2つの偏光分離面S71aGとS71bGを有する点で、実施例1の偏光分離プリズム70Gと異なる。
すなわち、偏光分離プリズム71Gは、第2の光軸面S101YGに平行なYZ断面における断面形状が略直角三角形で略直角の角が液晶パネル60G側に向いた第1の直角プリズム711G(底面が略直角三角形の三角柱であり、略直角三角形の略直角の角が透過型液晶パネル60G側に向いた第1の直角プリズム711G)と、第1の直角プリズム711Gの略直角の角を挟む面にそれぞれ長辺側面が接合された第2の直角プリズム712Gおよび第3の直角プリズム713G(第1の直角プリズム711Gの、略直角三角形の略直角の角を形成する面にそれぞれ長辺側面が接合された第2の直角プリズム712Gおよび第3の直角プリズム713G)とで構成されている。そして、第1の直角プリズム711Gと第2の直角プリズム712Gおよび第1の直角プリズム711Gと第3の直角プリズム713Gとの接合界面にそれぞれ偏光分離面S71aG,S71bGが形成され、偏光分離面が全体として直交するVの字形状をなしている。つまり、偏光分離プリズム71Gは、第1の光軸面S101XGに対して対称な構造を有する偏光分離プリズムである。従って、光路の光軸101Gに沿う偏光分離プリズム71Gの長さは、M/2となり、実施例1における長さMに対して半分とすることができ、よりバックフォーカスを短くすることが出来る。
次に、出射側偏光素子の動作について説明する。反射型無機偏光板については実施例1で述べたので、ここでは実施例1とは異なる偏光分離プリズム71Gを中心にして説明することとする。なお、上記のように偏光分離プリズム71Gは、液晶パネル60Gの長辺方向(Y方向)において対称なので、液晶パネル60Gから偏光分離プリズム71Gの偏光分離面S71aGに入射する光について説明する。
上記構成の出射側偏光素子に液晶パネル60Gから直交するY偏光光LG60yおよびX偏光光LG60xとを含む光LG60が入射するとする。偏光分離プリズム71Gに入射した光LG60の内、偏光分離面S71aGに対してP偏光光となるY偏光光LG60yは、偏光分離面S71aGをそのまま透過する。また、偏光分離面S71aGで偏光分離面S71aGに対してS偏光光となるX偏光光LG60xは、大部分(例えば90%以上)が反射され、矢印715に示すように、液晶パネル60Gの長辺60bGに平行な方向(つまりY方向)に光路が約90度折り曲げられて、偏光分離プリズム71Gから光路外に出射する。換言すれば、X偏光光LG60xは第1の光軸面S101XGに対して垂直な方向に反射される。しかし、X偏光光LG60xの一部は、偏光分離面S71aGをそのまま透過する。偏光分離プリズム71Gを透過して反射型無機偏光板80Gに入射するY偏光光LG60yと僅かな量のX偏光光LG60xの内、偏光方向が反射型無機偏光板80Gの透過軸方向(Y軸方向)であるY偏光光LG60yは反射型無機偏光板80Gを透過する。
一方、偏光方向が反射型無機偏光板80Gの反射軸方向(X軸方向)である僅かな量のX偏光光LG60xは、反射型無機偏光板80Gで反射され、再び偏光分離プリズム71Gに入射し、大部分は偏光分離面S71aGで反射され、矢印716に示すように、光路が約90度折り曲げられて偏光分離面S71bGに向かう(なお、一部は偏光分離面S71aGを透過して液晶パネル60Gに向かう)。次に、偏光分離面S71aGで反射された光の内、大部分は、偏光分離面S71bGで反射され光路が約90度折り曲げられて偏光分離プリズム71Gから出射し、再度、反射型無機偏光板80Gに入射する(なお、一部は偏光分離面S71bGを透過し、矢印717方向に偏光分離プリズム71Gの側面から光路外に出射する)。反射型無機偏光板80Gに入射する入射光はX偏光光なので、反射型無機偏光板80Gによりそのまま反射され、偏光分離プリズム71Gに戻る。そして、上記とは逆に、偏光分離面S71bG,S71aGで反射され、偏光分離プリズム71Gから出射し、反射型無機偏光板80Gに入射する。以下、同様な過程を繰り返すが、一部のX偏光光は、偏光分離面S71aG,S71bGで反射されずに透過するので、上記反射過程の中で次第に減衰することになる。なお、上記反射過程のなかで、一部が偏光分離面S71aG,S71bGを透過し液晶パネル60Gに戻る。この戻り量は、実施例1で既に述べておいたが、ごく僅かであり、TFTの誤動作を引き起こす事もなく、画質劣化を招く懸念はない。
以上述べたように、本実施例による偏光分離プリズムを用いれば、実施例1に較べ、バックフォーカスを短くすることができる。また、これに伴い、投射型表示装置の小型化を図ることができる。
次に、バックフォーカスを短くする実施例1,2とは異なる実施例3について説明する。実施例1,2においては、偏光分離プリズムにおける不要光(例えば、偏光分離面に対して規定されるS偏光光)を液晶パネルの長辺に平行な方向(例えばY方向)に反射させるようにしたが、本実施例は、液晶パネルの短辺に平行な方向(例えばX方向)に反射させる点で異なる。
図6は、本実施例による出射側偏光素子の構成を説明する図である。同図(a)は出射側偏光素子の構成を模式的に示す斜視図、同図(b)は(a)図をY軸方向から見た平面視図である。なお、図6(b)では、図示を簡単とするため、Y偏光光を「円で囲んだY」で表示するものとする。また、出射側偏光素子の構成は、R光路,G光路,B光路共に同じ構成であり、代表的にG光路の出射側偏光素子を用いて説明する。
まず、出射側偏光素子の構成について説明する。本実施例でも、図6に示すように、出射側偏光素子は、液晶パネル60Gの光出射側に順に配設された、同じ透過軸を有する偏光分離プリズム72Gと反射型無機偏光板80AGとからなる。
偏光分離プリズム72Gは、ここでは、第1の光軸面S101XGに平行なZX断面における断面形状が略直角三角形である2つの直角プリズム721G,722Gがその長辺側面で接合され(底面が略直角三角形の三角柱である直角プリズム721G,722Gがその長辺側面で互いに接合され)、その接合界面に、例えば誘電体多層膜からなる偏光分離面S72Gが形成された偏光ビームスプリッタプリズム(PBSプリズム)である。従って、偏光分離面S72Gは、液晶パネル60Gの面に対向する直角プリズム721Gにおける光入射面S721G(光路の光軸101Gに直交する面)をY軸回りに約45度回転させた面に平行であり、G光路の光軸101Gに対して約45度程傾斜していることになる。つまり、偏光分離面S72Gは、図4で定義した第2の光軸面S101YGに対して約45度程で交差していることになる。図6から明らかなように、直角プリズム721Gの直角の角を形成する辺72aGの長さNは、液晶パネル60Gの短辺60aG(長さL)に対応しており、通常、液晶パネル60Gの短辺60aGの長さLに対して、数2を満足するように設定される。
N≧L … (数2)
また、偏光分離面S72Gが第2の光軸面S101YGに対して略45度で交差するので、偏光分離プリズム72Gの光路の光軸101Gに沿う辺72cGの長さは、偏光分離プリズム72Gの光入射面S721Gにおける短手の辺72aGの長さNと同じとなる。従って、実施例1よりバックフォーカスを短くすることができる。但し、液晶パネル60Gのアスペクト比が、例えばK:L=4:3であるとすると、実施例2では、光軸に沿う偏光分離プリズムの長さは、偏光分離プリズムの光入射面における長手の辺の長さMの1/2なので、本実施例による光路の光軸101Gに沿う辺72cGの長さNは、実施例2のそれより長くなる。
本実施例による偏光分離プリズム72Gの偏光分離面S72Gは、実施例1,2と異なり、90度ねじれているので、偏光分離面S72Gを透過するP偏光光の透過軸方向はX方向となる。従って、反射型無機偏光板80AGの透過軸を偏光分離プリズム72Gの透過軸と合わせるため、反射型無機偏光板80AGのワイヤグリッド(図示せず)の延伸方向はY方向とされている。
次に、出射側偏光素子の動作について説明する。ここでは、実施例2と同様、偏光分離プリズム72Gを中心にして説明することとする。
上記構成の出射側偏光素子に液晶パネル60Gから直交するY偏光光LG60yおよびX偏光光LG60xとを含む光LG60が入射するとする。偏光分離プリズム72Gに入射した光LG60の内、偏光分離プリズム72Gの偏光分離面S72Gに対してP偏光光となるX偏光光LG60xは、偏光分離面S72Gをそのまま透過する。また、偏光分離面S72Gで偏光分離面S72Gに対してS偏光光となるY偏光光LG60yは、大部分(例えば90%以上)が反射され、矢印725に示すように、液晶パネル60Gの短辺60aGに略平行な方向(つまりX方向)に光路が約90度折り曲げられて、偏光分離プリズム72Gから出射する。換言すれば、Y偏光光LG60yは第2の光軸面S101YGに対して垂直な方向に反射される。しかし、Y偏光光LG60yの一部(例えば10%以下)は、偏光分離面S72Gをそのまま透過する。偏光分離プリズム72Gを透過して反射型無機偏光板80AGに入射するX偏光光LG60xと僅かな量のY偏光光LG60yの内、偏光方向が反射型無機偏光板80AGの透過軸方向(X軸方向)であるX偏光光LG60xは反射型無機偏光板80AGを透過する。一方、偏光方向が反射型無機偏光板80AGの反射軸方向(Y軸方向)である僅かな量のY偏光光LG60yは、反射型無機偏光板80AGで反射され、再び偏光分離プリズム72Gに入射し、偏光分離面S72Gで反射され、矢印726に示すように、光路が約90度折り曲げられて偏光分離プリズム72Gから出射する。勿論、Y偏光光LG60yの内、ごく僅かの量が偏光分離面S72Gを透過し液晶パネル60Gに戻る。この戻り量は元の1%程度以下(例えば10%×10%)であり、TFTの誤動作を引き起こす事もなく、画質劣化を招く懸念はない。
反射型無機偏光板80AGを透過したX偏光光(LG60x)は、光合成プリズム200に入射することになる。しかし、X偏光光は、光合成プリズムのダイクロイック膜210の面に対してS偏光光となる。光合成プリズム200においては、一般に、光利用率向上を考慮して、既に述べたG光をP偏光光、R光とB光をS偏光光とする所謂SPS合成が適用される。そのため、反射型無機偏光板80AGと光合成プリズム200との間に1/2λ波長板90Gを挿入する。1/2λ波長板90Gにより、G光はダイクロイック膜210の面に対してP偏光光であるY偏光光とされ、光合成プリズム200に入射することになる。なお、本実施例では、光合成プリズム200の光入射側に1/2λ波長板90Gがない場合、上記のように、光合成プリズム200のダイクロイック膜210の面に対してS偏光光が入射することになるので、R光路およびB光路には、1/2λ波長板90Rおよび90Bが必要となる。
所で、本実施例では、偏光分離プリズム72Gを透過する偏光光はX偏光光なので、光強度変調されて液晶パネル60Gから出射する偏光光はX偏光となる。従って、液晶パネル60GにはY偏光光が照射されなければならない。しかし、図1に示す投射型液晶表示装置では、X偏光光が入射する構成となっている。つまり、照明光学系100と液晶パネル60(60R,60G,60B)との間に、X偏光光をY偏光光に変換する光学素子、例えば1/2λ波長板を挿入する必要がある。
図7は、本実施例による出射側偏光素子を適用した投射型液晶表示装置における光合成プリズム近傍の光学系の模式構成図である。なお、同図において、図示を簡単とするため、X偏光光を「円で囲んだX」で表示するものとする。
図7において、液晶パネル60(60R,60G,60B)の光入射側には、入射側偏光板50A(50AR,50AG,50AB)が配置されている。この入射側偏光板50Aは、透過軸方向がY偏光方向とされている。さらに、入射側偏光板50A(50AR,50AG,50AB)の光入射側には、1/2λ波長板95(95R,95G,95B)が装着されている。従って、照明光学系100から光分離光学系130を経て照射される各色光のX偏光光は、1/2λ波長板95(95R,95G,95B)でY偏光光に変換され、入射側偏光板50AでY偏光光の偏光度が高められ、液晶パネル60(60R,60G,60B)に照射される。液晶パネル60(60R,60G,60B)からは光強度変調されたX偏光光が出射され、偏光分離プリズム72(72R,72G,72B)と反射型無機偏光板80A(80AR,80AG,80AB)からなる出射側偏光素子でX偏光光の純度が高められる。そして、R光およびB光はX偏光光(つまり、S偏光光)のまま光合成プリズム200に入射し、G光は1/2λ波長板90GでY偏光光(つまり、P偏光光)とされて光合成プリズム200に入射する。その後、光合成プリズム200で光合成されてカラー映像とされ、投射レンズ300によってスクリーン(図示せず)に投影される。
以上述べたように、本実施例による出射側偏光素子は、光路に沿って順に配列された、光路の光軸を含み液晶パネル60(60R,60G,60B)の長辺に平行である第2の光軸面S101Yに対して略90度折り曲げて光路外に反射させる偏光分離面を有する偏光分離プリズム72(72R,72G,72B)と、光路の光軸に直交して配置される反射型無機偏光板80A(80AR,80AG,80AB)との組合せで構成されている。本構成により、偏光分離プリズム72の光軸に沿う長さは液晶パネル60の短辺60a(60aR,60aG,60aB)の長さに対応することになり、実施例1による効果に加えて、実施例1の場合よりさらにバックフォーカスを短くすることができる。
実施例3による偏光分離プリズムの偏光分離面を第2の光軸面S101Yで対称に分割し、さらにバックフォーカスを短くする実施例4について説明する。
図8は、本実施例による出射側偏光素子の構成をY軸方向から見た平面視図である。なお、本図でも、図示を簡単とするため、図紙面に垂直なY偏光光を「円で囲んだY」で表示するものとする。また、出射側偏光素子の構成は、R光路,G光路,B光路共に同じ構成であり、代表的にG光路の出射側偏光素子を用いて説明する。
まず、出射側偏光素子の構成について説明する。本実施例でも、出射側偏光素子は、液晶パネル60Gの光出射側に順に配設された、同じ透過軸を有する偏光分離プリズム73Gと反射型無機偏光板80AGとからなる。但し、本実施例による偏光分離プリズム73Gは、第2の光軸面S101YGに対して略+45度および−45度傾斜する、略直交してVの字形状をなす2つの偏光分離面S73aGとS73bGを有する点で、実施例3の偏光分離プリズム72Gと異なる。
すなわち、偏光分離プリズム73Gは、ZX断面における断面形状が略直角三角形で略直角の角が液晶パネル60G側に向いた第1の直角プリズム731G(底面が略直角三角形の三角柱であり、略直角三角形の略直角の角が透過型液晶パネル60G側に向いた第1の直角プリズム731G)と、第1の直角プリズム731Gの略直角の角を挟む面にそれぞれ長辺側面が接合された第2の直角プリズム732Gおよび第3の直角プリズム733G(第1の直角プリズム731Gの、略直角三角形の略直角の角を形成する面にそれぞれ長辺側面が接合された第2の直角プリズム732Gおよび第3の直角プリズム733G)とで構成されている。そして、第1の直角プリズム731Gと第2の直角プリズム732Gおよび第1の直角プリズム731Gと第3の直角プリズム733Gとの接合界面にそれぞれ偏光分離面S73aG,S73bGが形成され、偏光分離面が全体として直交するVの字形状をなしている。つまり、偏光分離プリズム73Gは、第2の光軸面S101YGに対して対称な構造を有する偏光分離プリズムである。従って、光路の光軸101Gに沿う偏光分離プリズム73Gの長さはN/2となり、実施例3における長さNに対して半分とすることができ、よりバックフォーカスを短くすることが出来る。
次に、出射側偏光素子の動作について説明する。反射型無機偏光板については実施例1で述べたので、ここでは実施例3とは異なる偏光分離プリズム73Gを中心にして説明することとする。なお、上記のように偏光分離プリズム73Gは、液晶パネル60Gの短辺方向(X方向)において対称なので、液晶パネル60Gから偏光分離プリズム73Gの偏光分離面S73aGに入射する光について説明する。
上記構成の出射側偏光素子に液晶パネル60Gから直交するY偏光光LG60yおよびX偏光光LG60xとを含む光LG60が入射するとする。偏光分離プリズム73Gに入射した光LG60の内、偏光分離面S73aGに対してP偏光光となるX偏光光LG60xは、偏光分離面S73aGをそのまま透過する。また、偏光分離面S73aGで偏光分離面S73aGに対してS偏光光となるY偏光光LG60yは、大部分が反射され、矢印735に示すように、液晶パネル60Gの短辺60aGに平行な方向(つまりX方向)に光路が約90度折り曲げられて、偏光分離プリズム73Gから光路外に出射する。換言すれば、Y偏光光LG60yは第2の光軸面S101YGに対して垂直な方向に反射される。しかし、X偏光光LG60yの一部は、偏光分離面S73aGをそのまま透過する。偏光分離プリズム73Gを透過して反射型無機偏光板80AGに入射するX偏光光LG60xと僅かな量のY偏光光LG60yの内、偏光方向が反射型無機偏光板80AGの透過軸方向(X軸方向)であるX偏光光LG60xは反射型無機偏光板80AGを透過する。
一方、偏光方向が反射型無機偏光板80AGの反射軸方向(Y軸方向)である僅かな量のY偏光光LG60yは、反射型無機偏光板80AGで反射され、再び偏光分離プリズム73Gに入射し、大部分は偏光分離面S73aGで反射され、矢印736に示すように、光路が約90度折り曲げられて偏光分離面S73bGに向かう(なお、一部は偏光分離面S73aGを透過して液晶パネル60Gに向かう)。次に、偏光分離面S73aGで反射された光の内、大部分は、偏光分離面S73bGで反射され光路が約90度折り曲げられて偏光分離プリズム73Gから出射し、再度、反射型無機偏光板80AGに入射する(なお、一部は偏光分離面S73bGを透過し、矢印737方向に偏光分離プリズム73Gの側面から光路外に出射する)。反射型無機偏光板80AGに入射する入射光はY偏光光なので、反射型無機偏光板80AGによりそのまま反射され、偏光分離プリズム73Gに戻る。そして、上記とは逆に、偏光分離面S73bG,S73aGで反射され、偏光分離プリズム73Gから出射し、反射型無機偏光板80AGに入射する。以下、同様な過程を繰り返すが、一部のY偏光光は、偏光分離面S73aG,S73bGで反射されずに透過するので、上記反射過程の中で次第に減衰することになる。なお、上記反射過程のなかで、一部が偏光分離面S73aG,S73bGを透過し液晶パネル60Gに戻る。この戻り量は、実施例1で既に述べておいたが、ごく僅かであり、TFTの誤動作を引き起こす事もなく、画質劣化を招く懸念はない。
実施例1乃至4においては、出射側偏光素子を、前段に配置された偏光分離プリズム(例えばPBSプリズム)と、後段に光軸に直交して配置された反射型無機偏光板(例えばワイヤグリッド型偏光板)とで構成としている。そして、該構成により、非点収差を低減して、例えばスクリーン上に投射された映像(画像)の解像度劣化を低減している。
一般に、PBSプリズムにおいては、光軸と偏光分離面の法線とで形成する主入射面に平行でない斜め光が入射する場合には、漏れ光が生じて消光比が低下し、コントラストが低下する懸念がある。そこで、実施例1乃至4においては、後段に反射型無機偏光板を配設して、漏れ光を防いでコントラストを高める構成とした。勿論、PBSプリズムに取って代わる、前記斜め光が入射しても漏れ光が少ない偏光分離プリズムがあれば、反射型無機偏光板を無くして、非点収差補正に伴うバックフォーカスの増大を抑えながら、発熱の少ない出射側偏光素子とすることができる。以下、この目的を実現するために、偏光分離プリズムとして反射型無機偏光分離プリズム(後述)を用いた実施例5について説明する。
図9は、本実施例による偏光分離プリズムとしての反射型無機偏光分離プリズムの動作を説明する図である。同図(a)は反射型無機偏光分離プリズムをX軸方向から見た平面視図、同図(b)は反射型無機偏光分離プリズムの平面視詳細図である。なお、図9(a)では、図示を簡単とするため、X偏光光を「円で囲んだX」で表示するものとする。また、反射型無機偏光分離プリズムの配置構成は、R光路,G光路,B光路共に同じであり、ここでは代表的にG光路の配置構成を用いて説明する。
図9に示すように、本実施例では、液晶パネル60Gの光出射側と光合成プリズム200との間に、出射側偏光素子とし反射型無機偏光分離プリズム74Gが配置されている。反射型無機偏光分離プリズム74Gは、2つの直角プリズム741Gと742Gの長辺側面間に、例えば図2で述べたような反射型無機偏光板744Gが図示しない接着層を介して挟持されたものである(偏光分離面S74Gに反射型無機偏光板744Gが保持されたものである)。反射型無機偏光板744Gが光軸101Gの第1の光軸面S101XGに対して略45度傾斜することとなるので、反射型無機偏光板744Gは偏光分離面S74Gとして機能する。ここでは、反射型無機偏光板744Gとして、例えばワイヤグリッド型偏光分離素子を用いる。従って、反射軸をX方向と平行とするために、ワイヤグリッドの延伸方向はX軸方向とされる。
ワイヤグリッド型偏光分離素子は、例えば、特開2003−131212号公報の図4で述べられているように、ブリュースター角を利用した薄膜(誘電体多層膜)のPBSプリズムより、入射角に対して分光透過率の変化が小さく、非常に高い効率で偏光分離することができる。従って、例えばワイヤグリッド型偏光分離素子を2つの直角プリズムで接着層(図示せず)を介して挟持したワイヤグリッド型偏光分離プリズムをPBSプリズムに代えて用いれば、斜め光が入射しても漏れ光による消光比の低下を抑えることができ、コントラストを良好に保持することが可能となる。
上記構成のワイヤグリッド型偏光分離プリズム(反射型無機偏光分離プリズム)74Gに液晶パネル60Gから直交するY偏光光LG60yおよびX偏光光LG60xとを含む光LG60が入射するとする。ワイヤグリッド型偏光分離プリズム74Gに入射した光LG60の内、ワイヤグリッド型偏光分離プリズム74Gの偏光分離面S74Gに対してP偏光光となるY偏光光LG60yは、偏光分離面S74Gをそのまま透過し、光合成プリズム200に入射する。また、偏光分離面S74Gで偏光分離面S74Gに対してS偏光光となるX偏光光LG60xは反射され、矢印745に示すように、第1の光軸面S101XGに対して垂直となる方向に、つまり液晶パネル60Gの長辺60bGに略平行な方向(Y方向)に光路が約90度折り曲げられて、ワイヤグリッド型偏光分離プリズム74Gから光路外に出射する。
以上述べたように、出射側偏光素子として偏光分離機能を有する反射型無機偏光分離プリズムを用いることにより、バックフォーカスの増大を抑えながら非点収差を抑えることができる。また、斜め光が入射しても漏れ光が少ないので、後段に反射型無機偏光板を無くすことも可能となる。
なお、ここでは、不要光(上記例ではX偏光光LG60x)を偏光分離面S74Gにより第1の光軸面S101XGに対して垂直な方向に反射させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、偏光分離面を第2の光軸面S101YGに略45度で交差させ、第2の光軸面S101YGに対して垂直な方向に反射させるようにしてもよい。これにより、バックフォーカスをより短くすることができる。
実施例1に係わる投射型液晶表示装置の光学系の模式構成図。 実施例1に係わる反射型無機偏光板の種々の例を示す説明図。 実施例1による出射側偏光素子の構成を説明する図。 実施例1に係わる光軸面を規定する図。 実施例2による出射側偏光素子の構成をX軸方向から見た平面視図。 実施例3による出射側偏光素子の構成を説明する図。 実施例3による出射側偏光素子を適用した投射型液晶表示装置における光合成プリズム近傍の光学系の模式構成図。 実施例4による出射側偏光素子の構成をY軸方向から見た平面視図。 実施例5による反射型無機偏光分離プリズムの動作を説明する図。
符号の説明
10 光源ユニット、11 ランプ、12 リフレクタ、21 第1のアレイレンズ、22 第2のアレイレンズ、25 偏光変換素子、27 集光レンズ、29 フィールドレンズ、31,32 ダイクロイックミラー、33 反射ミラー、41 第1リレーレンズ、42 第2リレーレンズ、45,46 反射ミラー、50,50A 入射側偏光板、60 液晶パネル、60a 短辺、60b 長辺、70,71,72,73,74 偏光分離プリズム、80,80A 反射型無機偏光板、81 透光性基板、82 ワイヤグリッド(金属薄膜)、83 溝、85 調整層、86 高屈折率層、87 低屈折率層、90,95 1/2λ波長板、100 照明光学系、101 光軸、130 光分離光学系、140 リレー光学系、200 光合成プリズム、210 ダイクロイック膜、300 投射レンズ、500 光学ユニット、550 基体、560 電源回路、570 駆動回路、580 冷却用ファン、585 流路、701,702 直角プリズム、705,706 矢印、711 第1の直角プリズム、712 第2の直角プリズム、713 第3の直角プリズム、715,716,717 矢印、721,722 直角プリズム、725,726 矢印、731 第1の直角プリズム、732 第2の直角プリズム、733 第3の直角プリズム、735,736,737 矢印、741,742 直角プリズム、744 反射型無機偏光板、745 矢印、
S70,S71,S72,S73,S74 偏光分離面、S80 光入射面、S101X 第1の光軸面、S101Y 第2の光軸面、S701,S721 光入射面、
L60 光、L800 入射光、L801 透過光、L802 反射光

Claims (14)

  1. 光を出射する照明光学系と、
    前記照明光学系により出射された光を複数の色光に分離する光分離光学系と、
    前記光分離光学系により分離されたそれぞれの色光を映像信号に応じて変調する透過型液晶パネルと、
    前記透過型液晶パネルにより変調された、互いに直交する第1の偏光光および第2の偏光光からなる色光のうち、前記第1の偏光光を透過する出射側偏光素子と、
    前記出射側偏光素子を透過したそれぞれの色光を合成する光合成手段と、
    前記光合成手段により合成された光を投射する投射手段とを有する投射型液晶表示装置であって、
    前記出射側偏光素子は、前記第1の偏光光を透過し、前記第2の偏光光の一部を透過し、前記第2の偏光光の一部を光路外に反射する偏光分離プリズムと、
    前記偏光分離プリズムを透過した前記第1の偏光光を透過し、前記偏光分離プリズムを透過した前記第2の偏光光の一部を反射する反射型偏光板とを有し、
    前記反射型偏光板により反射された前記第2の偏光光の一部を、前記偏光分離プリズムで光路外に反射することを特徴とする投射型液晶表示装置。
  2. 請求項1に記載の投射型液晶表示装置において、
    前記反射型偏光板は、反射型無機偏光板であることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  3. 請求項1に記載の投射型液晶表示装置において、
    前記偏光分離プリズムは、底面が略直角三角形の三角柱である直角プリズムが該直角プリズムの長辺側面で互いに接合され、前記直角プリズムの接合界面に偏光分離面が形成されてなることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  4. 請求項1に記載の投射型液晶表示装置において、
    前記偏光分離プリズムは、底面が略直角三角形の三角柱であり、前記略直角三角形の略直角の角が前記透過型液晶パネル側に向いた第1の直角プリズムと、
    前記第1の直角プリズムの、前記略直角三角形の略直角の角を形成する面にそれぞれ長辺側面が接合された第2の直角プリズムおよび第3の直角プリズムとで構成されてなり、
    前記第1の直角プリズムと、前記第2の直角プリズムおよび前記第3の直角プリズムとの接合界面にそれぞれ偏光分離面が形成されてなることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の投射型液晶表示装置において、
    前記偏光分離プリズムによる前記第2の偏光光の反射方向が、前記透過型液晶パネルの短手方向に平行であることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の投射型液晶表示装置において、
    前記偏光分離プリズムにおける前記偏光分離面が光軸に直交する面に対して略45度傾斜していることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  7. 光を出射する照明光学系と、
    前記照明光学系により出射された光を複数の色光に分離する光分離光学系と、
    前記光分離光学系により分離されたそれぞれの色光を映像信号に応じて変調する透過型液晶パネルと、
    前記透過型液晶パネルにより変調された、互いに直交する第1の偏光光および第2の偏光光からなる色光のうち、前記第1の偏光光を透過する出射側偏光素子と、
    前記出射側偏光素子を透過したそれぞれの色光を合成する光合成手段と、
    前記光合成手段により合成された光を投射する投射手段とを有する投射型液晶表示装置であって、
    前記出射側偏光素子は、前記第1の偏光光を透過し、前記第2の偏光光を光路外に反射する偏光分離面が形成された偏光分離プリズムを有し、
    前記偏光分離面に反射型偏光板が保持されてなることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  8. 請求項7に記載の投射型液晶表示装置において、
    前記偏光分離プリズムにおける前記偏光分離面が光軸に直交する面に対して略45度傾斜していることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  9. 請求項7に記載の投射型液晶表示装置において、
    前記偏光分離プリズムは、底面が略直角三角形の三角柱である直角プリズムが該直角プリズムの長辺側面で互いに接合され、前記直角プリズムの接合界面に偏光分離面が形成されてなることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  10. 請求項7に記載の投射型液晶表示装置において、
    前記偏光分離プリズムは、底面が略直角三角形の三角柱であり、前記略直角三角形の略直角の角が前記透過型液晶パネル側に向いた第1の直角プリズムと、
    前記第1の直角プリズムの、前記略直角三角形の略直角の角を形成する面にそれぞれ長辺側面が接合された第2の直角プリズムおよび第3の直角プリズムとで構成されてなり、
    前記第1の直角プリズムと、前記第2の直角プリズムおよび前記第3の直角プリズムとの接合界面にそれぞれ偏光分離面が形成されてなることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  11. 請求項7乃至10のいずれかに記載の投射型液晶表示装置において、
    前記偏光分離プリズムによる前記第2の偏光光の反射方向が、前記透過型液晶パネルの短手方向に平行であることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  12. 請求項7乃至10のいずれかに記載の投射型液晶表示装置において、
    前記反射型偏光板は、反射型無機偏光板であることを特徴とする投射型液晶表示装置。
  13. 光を出射する照明光学系と、
    前記照明光学系により出射された光を複数の色光に分離する光分離光学系と、
    前記光分離光学系により分離されたそれぞれの色光を映像信号に応じて変調する透過型液晶パネルと、
    前記透過型液晶パネルにより変調された、互いに直交する第1の偏光光および第2の偏光光からなる色光のうち、前記第1の偏光光を透過する出射側偏光素子と、
    前記出射側偏光素子を透過したそれぞれの色光を合成する光合成手段と、
    前記光合成手段により合成された光を投射する投射手段とを有する光学ユニットであって、
    前記出射側偏光素子は、前記第1の偏光光を透過し、前記第2の偏光光の一部を透過し、前記第2の偏光光の一部を光路外に反射する偏光分離プリズムと、
    前記偏光分離プリズムを透過した前記第1の偏光光を透過し、前記偏光分離プリズムを透過した前記第2の偏光光の一部を反射する反射型偏光板とを有し、
    前記反射型偏光板により反射された前記第2の偏光光の一部を、前記偏光分離プリズムで光路外に反射することを特徴とする光学ユニット。
  14. 光を出射する照明光学系と、
    前記照明光学系により出射された光を複数の色光に分離する光分離光学系と、
    前記光分離光学系により分離されたそれぞれの色光を映像信号に応じて変調する透過型液晶パネルと、
    前記透過型液晶パネルにより変調された、互いに直交する第1の偏光光および第2の偏光光からなる色光のうち、前記第1の偏光光を透過する出射側偏光素子と、
    前記出射側偏光素子を透過したそれぞれの色光を合成する光合成手段と、
    前記光合成手段により合成された光を投射する投射手段とを有する光学ユニットであって、
    前記出射側偏光素子は、前記第1の偏光光を透過し、前記第2の偏光光を光路外に反射する偏光分離面が形成された偏光分離プリズムを有し、
    前記偏光分離面に反射型偏光板が保持されてなることを特徴とする光学ユニット。
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WO2023083110A1 (zh) * 2021-11-09 2023-05-19 深圳迈塔兰斯科技有限公司 超透镜增透膜的设计方法、装置及电子设备

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