JP4462192B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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本発明は光ディスク装置に関し、特にデータ記録時の記録パワー最適化(ROPC)に関する。
従来より、CDドライブやDVDドライブ等のデータ記録可能な光ディスク装置では、OPC(Optimum Power Control)及びROPC(Running Optimum Power Control)により記録パワーを最適化してデータを記録している。ここで、OPCは光ディスクの所定エリアにテストデータを種々の記録パワーで試し書きし、このテストデータを再生して得られるβ値や変調度等の再生信号品質が目標値となる記録パワーを算出する処理であり、ROPCは光ディスク内で記録膜の塗布むらや光ディスクの傾きによるレーザビームの形状変化等に起因して記録感度が異なることに鑑みて、データ記録時の反射光量(ピット形成後に反射光量が安定するときの反射光量でありレベルBと称する)に応じて記録パワーを増減調整するものである。
一般に、ROPCでは、OPCにより定めた初期記録パワーPo、初期反射光量Boに対し、
Bo/Pon=B/Pn
となるように記録パワーPを定める。通常、nは2程度に設定されるが、下記の特許文献では、nを1.5〜10の間、特にnを3.2近傍に設定することが記載されている。
特開2003−248929号公報
しかしながら、上記の式を用いてROPCを行う技術は、データの記録により記録膜の反射光量が減少するようなタイプ(HtoL型)の光ディスクには良く適用できるが、近年ではデータの記録により記録膜の反射光量が逆に増大するようなタイプ(LtoH型)の光ディスクも市場に流通するようになっており、このようなタイプの光ディスクでは上式を用いたROPCが機能しない問題がある。
すなわち、HtoL型の光ディスクにおいては、記録パワーが適正パワーより小さいとデータ記録不足となって反射光量Bが増大するが、上式に従うと記録パワーPを増大するような制御が行われるため安定にROPCを実行することが可能であるが、LtoH型の光ディスクにおいては、記録パワーが適正パワーより小さいと逆に反射光量Bが減少するため、上式に従うと記録パワーPを減少するような制御が行われてしまう。
もちろん、光ディスク装置に光ディスクが装着された時点でいずれの型の光ディスクであるかを識別し、LtoHの型の光ディスクである場合にはROPCを中止してOPCにより定めた初期記録パワーに固定して記録することも可能であるが、データの記録品質が保証されなくなる。
本発明の目的は、任意の光ディスク、特にLtoHの型の光ディスクが装着された場合にも、確実に記録パワーを最適化してデータを記録できる装置を提供することにある。
本発明は、光ディスクの所定エリアにテストデータを記録し、該テストデータの再生信号品質に基づき記録パワーを初期設定するとともに、データ記録時の反射光量Bに基づき前記記録パワーを調整する光ディスク装置であって、光ディスクの反射特性を識別する識別手段と、初期設定時の反射光量Bo及び記録パワーPoに対し、現在の反射光量B及び記録パワーPから、
K=Po/P・{1+1/n・(B−Bo)/Bo}
但し、nは所定値
によりパラメータKを演算する演算手段と、前記パラメータKの値及び前記反射特性に応じて前記記録パワーPを増減調整する調整手段とを有することを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、前記調整手段は、前記反射特性がデータ記録により反射率が低下する特性である場合であってK=1の場合には前記記録パワーPをそのまま維持し、K>1の場合には前記記録パワーPを増大調整し、K<1の場合には前記記録パワーPを減少調整し、かつ、前記反射特性がデータ記録により反射率が増大する特性である場合であってK=1の場合には前記記録パワーPをそのまま維持し、K>1の場合には前記記録パワーPを減少調整し、K<1の場合には前記記録パワーPを増大調整する。
本発明によれば、パラメータKの値及び光ディスクの反射特性に応じ、記録パワーを適切に増減調整してROPCを実行することができる。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態にかかる光ディスク装置の全体構成図を示す。CD−R/RWやDVD−R/RW等のデータ記録可能な光ディスク10は、図示しないスピンドルモータにより回転駆動される。
ピックアップ(PU)12は、光ディスク10に対向配置され、光ディスク10の表面にレーザ光を照射するレーザダイオード(LD)を含む。レーザダイオードは、レーザダイオード駆動回路(LDD)32により駆動され、データを再生する際には再生パワーのレーザ光を照射し、記録する際には記録パワー(記録パワー>再生パワー)のレーザ光を照射する。また、ピックアップ12は、光ディスク10から反射したレーザ光を電気信号に変換する4分割フォトディテクタを有し、再生信号をサーボ検出部14及びRF検出部20に出力する。
サーボ検出部14は、ピックアップ12からの信号に基づきトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号を生成してそれぞれトラッキング制御部16及びフォーカス制御部18に出力する。トラッキング制御部16は、トラッキングエラー信号に基づきピックアップ12を光ディスク10のトラック幅方向に駆動してオントラック状態とする。また、フォーカス制御部18はフォーカスエラー信号に基づきピックアップ12をフォーカス方向に駆動してオンフォーカス状態とする。例えば4分割フォトディテクタの場合、半径方向に分割されたディテクタの差分からトラッキングエラー信号が生成され、4分割フォトディテクタの対角和の差分からフォーカスエラー信号が生成される。もちろん、他の方式も可能である。
RF検出部20は、ピックアップ12からの信号を増幅して再生RF信号を生成し、信号処理部22及びデコーダ26に出力する。信号処理部22は、OPC実行時にはテストデータの再生信号からβ値算出に必要な信号を検出してコントローラ30に出力する。β値は、β値=(|A1|−|A2|)/(|A1|+|A2|) で定義される。A1はAC結合されたRF信号のピーク値、A2はボトム値である。信号処理部22は、OPC時の各記録パワー毎にピーク値及びボトム値を検出してコントローラ30に出力する。
また、信号処理部22は、ROPC実行時には記録パワー照射時の光ディスク10からの反射信号を所定のタイミングでサンプリングしてレベルB(反射光量B)を検出し、コントローラ30に出力する。レベルBの検出は、回路系のオフセットを除去して行う。すなわち、レーザ光を照射しない場合のレベルBをオフセット値とし、実際の記録時にはこのオフセット値を差し引いたレベルB値をコントローラ30に出力する。
デコーダ26は、イコライザや二値化器を備え、再生RF信号の所定周波数、具体的には3T信号の振幅をブーストして二値化し、二値化信号を復調してコントローラ30に出力する。復調は、図示しないPLL回路で同期クロック信号を生成して信号を抽出することで実行される。
コントローラ30は、サーボ検出部14やRF検出部20、LDD32等の各部の動作を制御するとともに、デコーダ26からの復調データをパーソナルコンピュータ等の上位装置に出力する。コントローラ30は、データ記録時には上位装置からの記録データに基づきLDD32を駆動し、設定された記録ストラテジでデータを記録する。記録ストラテジは、例えばDVD−Rの場合、3T〜14T(Tはトラック方向長さの基準周期)のデータのうち3Tは単一パルスで記録し、4T以上はマルチパルスでデータを記録するときの先頭パルス(トップパルス)のパルス幅やパルス振幅、後続パルスのパルス幅やパルス振幅で規定される。コントローラ30は、データ記録に先立ってOPCを実行する。すなわち、LDD32を駆動して光ディスク10のテストエリアに種々の記録パワーでテストデータを数フレーム分記録し、該テストデータを再生して信号処理部22から供給されるピーク値とボトム値から各記録パワーにおけるβ値を算出する。得られたβ値と目標値βoとを比較し、目標値βoが得られる記録パワーを算出して初期最適記録パワーPoとする。さらに、コントローラ30は、光ディスク10のデータエリアに上位装置から供給されたデータを記録する際に、ROPCを実行して初期最適記録パワーPoをフィードバック制御する。すなわち、信号処理部22から供給されるレベルBを監視し、このレベルBに基づいて初期最適記録パワーPoを増減調整する。
図2に、図1におけるコントローラ30の機能ブロック図を示す。コントローラ30は、OPC及びROPCをそれぞれ実行するOPC制御部及びROPC制御部を備え、さらに各種パラメータを記憶するメモリを備える。コントローラ30はマイコンで構成され、OPC制御部及びROPC制御部はマイコンのCPUで構成され、メモリはROM及びRAMで構成される。
OPC制御部は、信号処理部22から供給されたピーク値及びボトム値に基づいてβ値を算出し、算出したβ値に基づき目標値βoが得られる記録パワーPoを直線近似により算出する。算出された初期最適記録パワーPo及びこの記録パワーPoでテストデータを記録したときの反射光のレベルB(基準値)であるBoをメモリに記憶する。
ROPC制御部は、信号処理部22から供給されたレベルB及び最適記録パワーPo並びにメモリに予め記録されたBoを用いて最適記録パワーPを調整する。具体的には、ROPC制御部は、
Bo/Pon=B/(P・K)n
となるように記録パワーPを設定する。ここで、nは2近傍でもよく、上記の従来技術のように1.5〜10の値、特に3.2近傍としてもよい。本実施形態では、例えばnを2に設定する。
パラメータKは次の記録パワーを増大させるか減少させるかを、光ディスク10の反射特性、つまりHtoL型かLtoH型かに応じて設定するためのパラメータであり、具体的には以下のように設定される。
<光ディスク10がHtoL型の場合>
K=1:次の記録パワーは現在の記録パワーのままとする
K>1:次の記録パワーは増大させる
K<1:次の記録パワーは減少させる
要するに、(次の記録パワー)=K・(現在の記録パワー)により算出する。
<光ディスク10がLtoH型の場合>
K=1:次の記録パワーは現在の記録パワーのままとする
K>1:次の記録パワーは減少させる
K<1:次の記録パワーは増大させる
要するに、(次の記録パワー)=(1/K)・(現在の記録パワー)により算出する。
このように、ROPC制御部は光ディスク10の反射特性に応じ、パラメータKの値で次の記録パワーPを決定する。パラメータKは、具体的には以下のように算出される。すなわち、上式を変形すると、
K≒Po/P・{1+1/n・(B−Bo)/Bo}
(但し、(B−Bo)/Bo<<1とした)
が得られ、この式を用いてKの値を算出し、Kの値と1との比較結果、及び光ディスク10の反射特性に応じて次の記録パワーを決定する。
より具体的に説明する。まず、テストエリアにて初期記録パワーPo及びレベルBoが算出され、メモリに記憶される。次に、あるトラックにデータを記録する際、記録パワーP(初期記録時はPo)でデータを記録し、そのときのレベルBを検出する。これにより、Po、Bo、P、Bが得られたことになるから、上式を用いてKの値を算出する。算出されたKの値が1であれば、現在の記録パワーと反射光量との関係は、基本式である
Bo/Pon=B/Pn
が成立していることを意味するから次のトラックにおける記録パワーは記録パワーPのままとなる。算出されたKの値がK>1を満たす場合には光ディスク10の反射特性に応じて異なる。HtoL型であれば次のトラックにおける記録パワーは現在の記録パワーPよりも所定量増大させる。K>1ということはBが大きい、つまり記録パワー不足で反射光量が大きいことを意味するからである。LtoH型であれば次のトラックにおける記録パワーは現在の記録パワーPよりも所定量減少させる。K>1ということはBが大きい、つまり記録パワー過剰で反射光量が大きいことを意味するからである。算出されたKの値がK<1を満たす場合も光ディスク10の反射特性に応じて異なる。HtoL型であれば次のトラックにおける記録パワーは現在の記録パワーPよりも所定量減少させる。K<1ということはBが小さい、つまり記録パワー過剰で反射光量が小さいことを意味するからである。LtoH型であれば次のトラックにおける記録パワーは現在の記録パワーPよりも所定量増大させる。K<1ということはBが小さい、つまり記録パワー不足で反射光量が小さいことを意味するからである。以上の処理を順次繰り返すことで、初期最適記録パワーPoが増減調整され、光ディスク10の記録膜感度ムラを吸収できる。光ディスク10の反射特性は、光ディスク10が装着された直後にリードインエリアを再生し、リードインエリアに予め記録されているディスク特性データから識別すればよい。なお、上述のROPC制御の実行は、記録トラック毎に実行することを説明したが、記録開始後所定時間経過する毎に実行するようにしてもよい。つまり、所定のタイミングで実行すればよい。
図3に、実施形態の処理フローチャートを示す。まず、光ディスク10が装着されると(S101)、光ディスク10のリードインエリアに形成された光ディスクの情報を読み取り、光ディスク10の反射特性、つまりHtoL型(データ記録により反射光量が低下する)かLtoH型(データ記録により反射光量が増大する)かを識別する。識別結果はコントローラ30のメモリに記憶される。
次に、OPCを実行する(S103)。OPCでは、上記のように記録パワーを複数段に変化させてテストデータを記録し、これらのテストデータを再生してその再生信号品質が目標値となる記録パワーを最適記録パワーPoとして選択する。OPCを実行して得られた初期最適記録パワーPo及びそのときの反射光量Boはコントローラ30のメモリに記憶される。
そして、初期設定された記録パワーPoでデータの記録を開始するとともに、データ記録時の反射光量Bを検出し、次の記録パワーを調整するROPCを実行する。ROPC実行時には、下記の式
K=Po/P・{1+1/n・(B−Bo)/Bo}
によりKを算出する(S104)。すなわち、メモリに記憶されたPo、Boを読み出すとともに現在のデータ記録時の記録パワーP(記録開始時はPo)及びBを用いてKを算出する。nは所定値で例えば2である。Kの値を算出した後、光ディスク10の反射特性に応じ、このKの値と1との大小関係から次の記録パワーを設定する。
具体的には、メモリに記憶された識別結果がHtoL型であるか否かを判定し(S105)、HtoL型である場合には、次にK=1であるか否かを判定する(S106)。K=1である場合には、現在の反射光量B及び記録パワーPは適正であることを意味するから、次の記録パワーは現在の記録パワーPのまま不変とする(S107)。K=1でない場合には、さらにK>1であるか否かを判定する(S108)。K>1である場合には、現在の反射光量Bは適正値に対して大きい、つまり現在の記録パワーPは不足であることを意味するから次の記録パワーは現在の記録パワーPより所定量だけ増大させる(S109)。一方、K>1でない、つまりK<1である場合には、現在の反射光量Bは適正値に対して小さい、つまり現在の記録パワーPは過剰であることを意味するから次の記録パワーは現在の記録パワーPより所定量だけ減少させる(S110)。現在の記録パワーにKを乗じて次の記録パワーを算出してもよい。
また、光ディスク10の識別結果がHtoL型ではない、つまりLtoH型である場合には、同様にして次にK=1であるか否かを判定する(S111)。K=1である場合には、現在の反射光量B及び記録パワーPは適正であることを意味するから、次の記録パワーは現在の記録パワーPのまま不変とする(S112)。K=1でない場合には、さらにK>1であるか否かを判定する(S113)。K>1である場合には、現在の反射光量Bは適正値に対して大きい、つまり現在の記録パワーPは過剰であることを意味するから次の記録パワーは現在の記録パワーPより所定量だけ減少させる(S114)。一方、K>1でない、つまりK<1である場合には、現在の反射光量Bは適正値に対して小さい、つまり現在の記録パワーPは不足であることを意味するから次の記録パワーは現在の記録パワーPより所定量だけ増大させる(S115)。現在の記録パワーに1/Kを乗じて次の記録パワーを算出してもよい。
このように、本実施形態では、光ディスク10がHtoL型であるかLtoH型であるかを問わず、ROPCを確実に実行してデータを記録することができる。
また、本実施形態では、ROPC実行時の基本式
Bo/Pon=B/Pn
を利用し、パラメータKの値により記録パワー増減の方向を決定しているので、既存の光ディスク装置システムを援用して簡易に実現することができる。
光ディスク装置の全体構成図である。 図1におけるコントローラの構成図である。 実施形態の処理フローチャートである。
符号の説明
10 光ディスク、12 ピックアップ、30 コントローラ、32 LDD。

Claims (2)

  1. 光ディスクの所定エリアにテストデータを記録し、該テストデータの再生信号品質に基づき記録パワーを初期設定するとともに、データ記録時の反射光量Bに基づき前記記録パワーを調整する光ディスク装置であって、
    光ディスクの反射特性を識別する識別手段と、
    初期設定時の反射光量Bo及び記録パワーPoに対し、現在の反射光量B及び記録パワーPから、
    K=Po/P・{1+1/n・(B−Bo)/Bo}
    但し、nは所定値
    によりパラメータKを演算する演算手段と、
    前記パラメータKの値及び前記反射特性に応じて前記記録パワーPを増減調整する調整手段と、
    を有し、
    前記調整手段は、前記反射特性がデータ記録により反射率が低下する特性である場合であってK=1の場合には前記記録パワーPをそのまま維持し、K>1の場合には前記記録パワーPを増大調整し、K<1の場合には前記記録パワーPを減少調整し、かつ、前記反射特性がデータ記録により反射率が増大する特性である場合であってK=1の場合には前記記録パワーPをそのまま維持し、K>1の場合には前記記録パワーPを減少調整し、K<1の場合には前記記録パワーPを増大調整することを特徴とする光ディスク装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記調整手段は、前記反射特性がデータ記録により反射率が低下する特性である場合には前記記録パワーPにKを乗じることで調整し、前記反射特性がデータ記録により反射率が増大する特性である場合には前記記録パワーPに1/Kを乗じることで調整することを特徴とする光ディスク装置。
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