JP4462012B2 - 電解質組成物および電池 - Google Patents
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Description
また、側鎖がポリエチレンオキシド構造を有するポリマー(1)または低分子量化合物からなる添加剤(2)を架橋して得られるポリマー電解質組成物をも提供する。
特に分子量が低いポリマー(1)は形状を維持するためにポリマー(1)または添加剤(2)の架橋を行う必要がある。架橋方法はポリマーの開始または停止末端の反応性基を用いて架橋する方法あるいは反応性基を有するモノマーとの共重合によってポリマーに新たに反応性基を導入して架橋する方法などがある。
反応性基が不飽和結合を有する基である共重合体の架橋方法としては、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が用いられる。更には、水素化ケイ素を有する架橋剤を用いる事もできる。
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2'-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。
紫外線等の活性エネルギー線照射による架橋においては、増感助剤としてジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、フェニルケトン等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等のチオキサントン類、3-スルホニルアジド安息香酸、4-スルホニルアジド安息香酸等のアジド類等を任意に用いることができる。
架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニルマレイミド、無水マレイン酸等を任意に用いることができる。
反応性基が水酸基である重合体の架橋方法としてはヘキサメチレンジイソシアネート、2.4-トリレンジイソシアネート、2.6-トリレンジイソシアネート、4.4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソボロンジイソシアネートなどのイソシアネート系化合物等を架橋剤として用いることができる。 また、架橋促進剤としては、ジブチルチンアセテート、ジブチルチンジラウレート、トリエチレンジアミン等が挙げられる。
また、この水酸基にアクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、マレイン酸などの不飽和基を有する化合物と反応させて、ポリマーに不飽和基を導入し、上記記載の反応性基が不飽和結合を有する基の架橋方法で架橋することもできる。
反応性基が反応性ケイ素基である共重合体の架橋方法としては、反応性ケイ素基と水との反応によって架橋できる。反応性を高めるには、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート等のスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン化合物、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等のアルミニウム等のアルミニウム化合物などの有機金属化合物、あるいは、ブチルアミン、オクチルアミン等のアミン系化合物などを触媒として用いても良い。
反応性基がエポキシ基である共重合体の架橋方法においてはポリアミン類、酸無水物類などが用いられる。ポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン等が挙げられる。酸無水物類としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらの架橋には促進剤を用いても良く、ポリアミン類の架橋反応にはフェノール、クレゾール、レゾルシンなどがあり、酸無水物類の架橋反応にはベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノエチル)フェノール、ジメチルアニリンなどがある。
反応性基がハロゲン原子を含む基である共重合体の架橋方法としては、ポリアミン類、メルカプトイミダゾリン類、メルカプトピリミジン類、チオウレア類、ポリメルカプタン類等の架橋剤が用いられる。ポリアミン類としては、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。メルカプトイミダゾリン類としては2-メルカプトイミダゾリン、4-メチル-2-メルカプトイミダゾリン等が挙げられる。メルカプトピリミジン類としては2-メルカプトピリミジン、4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジン、等が挙げられる。チオウレア類としてはエチレンチオウレア、ジブチルチオウレアなどが挙げられる。ポリメルカプタン類としては2-ジブチルアミノ-4,6-ジメチルカプト-s-トリアジン、2-フェニルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、等が挙げられる。また、高分子固体電解質に更に受酸剤となる金属化合物を添加することは、ハロゲン含有ポリマーの熱安定性の見地から有効である。このような受酸剤となる金属酸化物としては、周期律表第II族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期律表VIa族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等がある。具体的な例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、鉛丹、ステアリン酸錫、等を挙げることができる。
R18〜R24がCH2=C(R25)CO-基の場合は、この添加剤を架橋する必要がある。架橋方法は、反応性基が不飽和結合を有する基である共重合体の架橋方法と同様の方法で架橋することができる。
低分子量のポリアルキレンカーボネートの例はポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリイソプロピレンカーボネートなどが挙げられる。重量平均分子量が102〜104の範囲内、特に重量平均分子量が500〜2,000のポリエチレンカーボネートが好ましい。
低分子量のボロキシン化合物からなる添加剤の例は下記式(viii)であらわされる添加剤として好ましい。
R26がCH2=C(R27)CO-基の場合は、この添加剤を架橋する必要がある。架橋方法は、反応性基が不飽和結合を有する基である共重合体の架橋方法と同様の方法で架橋することができる。
本発明において、不飽和基を有する環状カーボネート(4)の例は下記式(i)および(ii)で表される化合物であることが好ましい。
不飽和基を有する環状カーボネート(4)の使用量は、(1)、(2)及び(3)または(1)及び(3)からなるポリマー電解質化合物 100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは 5〜80重量部の範囲がよい。最適量は金属リチウムの表面が不飽和基を有する環状カーボネートと反応して、安定な被膜を形成できる量でよい。過剰の不飽和基を有する環状カーボネートが電解質組成物中に存在すると、電気化学的性質が低下する。
不飽和基を有する環状カーボネート(4)の含有方法は電解質化合物を架橋しない場合は、特に制約されない。
しかし、不飽和結合を有するポリマーを用いた(1)、(2)及び(3)または(1)及び(3)からなる電解質化合物を架橋して用いる場合は、不飽和基を有する環状カーボネート(4)は(1)、(2)及び(3)または(1)及び(3)からなる電解質化合物を架橋した後に、含浸する必要がある。(1)、(2)及び(3)または(1)及び(3)からなる電解質塩化合物の架橋前に、不飽和基を有する環状カーボネート(4)を含有後、架橋した場合、電気化学的特性が改善されない。これは、架橋によって、不飽和基を有する環状カーボネート(4)のエチレン性不飽和基が消失していることが考えられる。
ポリマーの分子量測定にはゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定を行い、標準ポリスチレン換算により分子量を算出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定は(株)島津製作所の測定装置 RID-6A、昭和電工(株)製カラムのショウデックスKD-807、KD-806、KD-806M 及び KD-803、及び溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて 60℃で行った。ガラス転移温度はセイコー電子工業(株)製 DSC 220 を用い、融解熱量はパーキンエルマー社製示差走査熱量計 DSC 7 を用い、窒素雰囲気中、温度範囲 -100〜80℃、昇温速度 10℃/minで測定した。イオン伝導度σを測定するためにサンプルを事前に 30℃、12 時間真空乾燥を行った。導電率の測定は 35℃で行い、電解質を SUS製の電極ではさみ、電圧 30mV、周波数範囲 10Hz〜10MHzの交流法を用い、複素インピーダンス法により算出した。
電池系でのリチウム金属との安定性評価には、リチウム析出溶解効率試験により求めた。リチウム析出溶解効率試験には(株)ナガノ製充放電試験器 BTS-2004Wを用いた。銅箔と対極に金属リチウムを用い、両極間にポリマー電解質組成物を挟んで試験セルを作製した。25℃で電流密度 0.1mA/cm2で 10時間 Li を析出後、電流密度 0.1mA/cm2で終止電圧 2.0Vまで Liの溶解を行った。リチウム析出溶解効率は以下の式より求めた。
リチウム析出溶解効率(%)=(20サイクル目の溶解に要した時間/20サイクル目の析出に要した時間)×100
ポリマーの製造例で得られた側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリオレフィン(ix) 2g、下記式(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤 6g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 3.2gをアセトニトリル 50g 中で均一になるまで混合させ、30℃で12時間減圧乾燥し、電解質を調製した。 調製した電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 64%であった。35℃におけるイオン伝導度は 8.5×10-4S/cm であった。
実施例3で使用した側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリシロキサン 2g、上記式(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤 6g、リチウム塩化合物としてLiBETI 3.2gをアセトニトリル 50g 中で均一になるまで混合させ、30℃で12時間減圧乾燥し、電解質を調製した。調製した電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 45%であった。 35℃におけるイオン伝導度は 9.0×10-4S/cm であった。
コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後 900℃で 5時間焼成することにより調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム 85重量部に対してアセチレンブラック 5重量部とポリマー製造例で得られたポリマー(ix) 10重量部、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI) 5重量部を加えロールで混合した後、30 MPaの圧力でプレス成形して電池の正極とした。
実施例2で得られた電解質組成物をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように1 MPaの圧力をかけながら室温で電池の充放電特性を調べた。充電は 4.2 Vまでの定電流で行い、放電は定電流で3.0Vまで行った。放電電流は 0.1 mA/cm2であり、0.1 mA/cm2で充電を行った。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の 90%を示した。
比較例1で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例4で作成した正極を用いて二次電池を作成し、実施例4と同様に充放電特性を調べた。50サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の 88%を示した。
Claims (7)
- (1)主鎖がポリオレフィン、ポリシロキサンまたはポリホスファゼンからなり、側鎖がポリエチレンオキシド構造を有するポリマーと、
(2)要すれば存在する、分岐型のエーテル化合物、ポリエチレンカーボネート化合物、ボロキシン環化合物から選択される低分子量化合物からなる添加剤と、
(3)リチウム塩化合物と、
(4)不飽和基を有する環状カーボネートからなることを特徴とするポリマー電解質組成物。 - 請求項1に記載の側鎖がポリエチレンオキシド構造を有するポリマー(1)または低分子量化合物からなる添加剤(2)を架橋して得られるポリマー電解質組成物。
- 主鎖がポリオレフィン、ポリシロキサンまたはポリホスファゼンからなり、側鎖がポリエチレンオキシド構造を有するポリマーと、(2)低分子量化合物からなる添加剤と、(3)リチウム塩化合物の合計100重量部に対して(4)不飽和基を有する環状カーボネートの含有量は 1〜100重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー電解質組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリマー電解質組成物、正極および負極からなる電池。
- 負極がリチウム金属である請求項6に記載の電池。
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