JP4461839B2 - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4461839B2
JP4461839B2 JP2004056084A JP2004056084A JP4461839B2 JP 4461839 B2 JP4461839 B2 JP 4461839B2 JP 2004056084 A JP2004056084 A JP 2004056084A JP 2004056084 A JP2004056084 A JP 2004056084A JP 4461839 B2 JP4461839 B2 JP 4461839B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulating film
layer
composition
nitrogen
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004056084A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005251785A (ja
Inventor
信 宮村
幸治 増崎
宏治 渡部
徹 辰巳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2004056084A priority Critical patent/JP4461839B2/ja
Publication of JP2005251785A publication Critical patent/JP2005251785A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4461839B2 publication Critical patent/JP4461839B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Formation Of Insulating Films (AREA)
  • Insulated Gate Type Field-Effect Transistor (AREA)

Description

本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に、窒素を導入した金属酸化膜および金属シリケート膜を有する高誘電率絶縁膜およびその製造方法に関する。
大規模集積回路(LSI)の高集積化や低消費電力化などの種々の特性向上のため、その基本的な構成要素である電界効果型トランジスタ(MOSFET)の微細化が進められてきた。この微細化はMOSFET素子の動作を正常に保つため、素子の三次元的な寸法を同時に縮小するスケーリング則に依って行われている。
MOSFETの構成要素であるゲート絶縁膜にもスケーリング則が適用され、従来用いられている二酸化珪素(酸化珪素)を今後もゲート絶縁膜に使用した場合、2nm程度以下の膜厚で酸化珪素中をリークするトンネル電流が急激に増大し、良好な絶縁膜の特性が得られないことが知られている。
このような問題を回避するために、酸化珪素よりも誘電率の高い絶縁材料をゲート絶縁膜に適用することが試みられている。このような高誘電率絶縁膜は酸化珪素よりも厚い膜厚をもって、ゲート絶縁膜に対する所定のスケーリング則を達成できるため、デバイスのゲートリーク電流抑制のための有望な技術である。
高誘電率絶縁膜を実用化するための条件として、絶縁膜の長期信頼性を確保するために、絶縁膜の上部電極として用いている多結晶シリコン中に導入されたボロン(B)や燐(P)などの不純物が、絶縁膜中を拡散して突き抜けてしまう問題を解決しなければならない。絶縁膜の膜厚が薄膜化するほど不純物突き抜けの影響が顕著になるため、従来用いられている酸化珪素においてもしかるべき対策が必様であるが、高誘電率絶縁膜においてはこの問題は一層深刻になる。
即ち、高誘電率絶縁膜は一般に金属酸化物により構成されるため、500℃程度の加熱により容易に結晶相へと移行し、形成された多結晶の結晶粒界により不純物の突き抜けが進行してしまうという問題があった。
前述の不純物の突き抜けを抑制するために、例えば特許文献1では高誘電率絶縁膜であるジルコニウムオキサイド(ZrO)もしくはハフニウムオキサイド(HfO)中に窒素を添加するという方法が提案されている。これにより、絶縁膜が非晶質に保たれ、不純物の突き抜けを抑制することができるとされている。
また、特許文献2ではHfO膜上にシリコン窒化膜(Si)を形成する方法が開示されている。シリコン窒化膜は非晶質であるため突き抜け耐性に優れ、極めて薄い膜厚で不純物突き抜けを防止することができるとされている。
しかしながら、前記いずれの方法においても絶縁膜中に窒素を導入することの影響を十分に考慮したとはいえない。金属酸化膜中に窒素を導入した場合、膜中に形成される金属―窒素結合が絶縁膜のリーク特性などを劣化させるため、成膜後プロセスに前記結合を金属―酸素結合低減させるためのアニール処理を含まなければならない。また発明者らの実験の結果では、このようなアニール処理に伴い、絶縁膜中の窒素の濃度勾配が半導体基板側へ偏って形成されることが判明している。基板側へ偏析した窒素が、MOSFETの重要な性能指数である移動度を劣化させることは公知の事実であり、前記発明ではこのような事象が考慮されていない。また、Siの形成に関しても、Siの形成にあったって製造上意図せずに金属酸化膜中に窒素が導入されることが考えられ、絶縁膜の特性を劣化させる恐れが生じていた。
また特許文献3においては、シリコン基板上に形成された少なくとも一部に窒素を含有する金属酸化物膜または金属酸窒化物膜からなるゲート絶縁膜を有し、このゲート絶縁膜のシリコン基板との界面近傍の窒素含有量を、ゲート絶縁膜の他の部分よりも低いものとすることで、ゲート電極からの不純物や金属の拡散を防止し、同時にシリコン基板との界面に窒素を含有させないことで、トランジスタの電気的特性を向上させようとの点が提唱されている。しかしながら、この文献においても、ゲート絶縁膜の形成方法としては、金属酸化膜の表面近傍を窒化処理する、表面のみに窒素原子を注入する、あるいは金属酸化膜の上部に金属窒化物を堆積するといった方法が開示されるのみであり、これらの方法では、上述したようなアニール処理に伴い絶縁膜中の窒素の濃度勾配に変動が生じ、ゲート電極側において窒素濃度が高く、シリコン基板側において窒素濃度が実質的にゼロとなるような窒素濃度プロファイルを有するゲート絶縁膜を工業的に得ることできないものであった。
特開2002−314067 特開2002−359370 特開2002−299607
上述したように、金属酸化膜もしくは金属珪酸化膜に窒素を導入する場合や、金属酸化膜もしくは金属珪酸化膜上部に窒化珪素層を形成する場合において、絶縁膜中の本来意図しない部分に窒素が導入されてしまう恐れがあり、絶縁膜の特性劣化が生じていた。
本発明はこうした問題を鑑みてなされたものであり、絶縁膜の深さ方向に対して選択的に窒素が導入された新規で有用な半導体装置、およびその製造方法を提供することを目的とする。また、このような選択窒化を行うことで、ゲート絶縁膜のリーク特性や移動度などのデバイス特性の劣化を生じさせることなく、不純物の突き抜けなどを抑制することが本発明の課題である。
本発明では、アンモニア(NH)雰囲気中での窒化反応が金属珪酸化物のシリコン組成により異なることを利用して、絶縁膜の選択窒化を行うものである。これにより、Bなどの不純物の突き抜け抑制の効果のある窒素導入層と、本質的に窒素を導入する必要のない窒化防止層を含む層の多層構造からなる高誘電率ゲート絶縁膜を実現することができる。
より具体的には、発明者らは組成を変化させた一連のハフニウムシリケート(以下HfSiOと略記する場合もある。)を持つ試料において、同一アンモニア窒化条件下で前記HfSiOの組成に対してSi組成が低いほど窒化反応が早く進行し、結果としてHfSiO中に導入される窒素量が顕著に異なることを見出した。アンモニア窒化に関するこのようなSi組成依存性は、発明者らの行った実験により初めて明らかになった効果である。なお、このような効果は、後述するように、ジルコニウムシリケート(ZrSiOと略記する場合もある。)、さらに金属珪素酸化物M1−M2−Si−O(但し、式中M1は、ハフニウムおよびジルコニウムから選ばれた少なくとも1種であり、M2は、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、ランタノイド属金属、Sc、およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種である。)においても、同様に見られるものである。
前記の依存性を用いて、例えばSi組成の高いHfSiOをいわゆる窒化防止層として機能させることができる。
本発明は、半導体基板と、前記基板上に形成されたM−Si−O−N(但し、式中Mは、M1または、M1−M2である。ここで、M1は、ハフニウムおよびジルコニウムから選ばれた少なくとも1種であり、M2は、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、ランタノイド属金属、Sc、およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種である。)からなる第一の絶縁膜層と、前記第一の絶縁膜層上に形成されたM−Si−O−NまたはM−O−N(式中、Mは前記と同じである。)からなる第二の絶縁膜層を少なくとも有する積層の絶縁膜であって、前記第一の絶縁膜層のSi組成が前記第二の絶縁膜層のSi組成に比べて相対的に高く、前記第一の絶縁膜層のN濃度が前記第二の絶縁膜層のN濃度に比べて相対的に低いものであることを特徴とする積層絶縁膜を含む半導体装置を提供する。
前記積層の絶縁膜におけるN濃度の深さプロファイルは、前記第一の絶縁膜層と前記第二の絶縁膜層との界面において急峻な変動を示すものであることが好ましい。ここで、「N濃度の深さプロファイルが前記第一の絶縁膜層と前記第二の絶縁膜層との界面において急峻な変動を示す」とは、少なくとも、当該界面を中心とする前後0.5nmの範囲におけるN濃度変化が、この部位よりも基板より離された第二の絶縁膜層内部の0.5nmの範囲におけるN濃度変化よりも大きなものであることをいい、好ましくは、N濃度が、当該界面前後で実質的に不連続となるものである。
さらに、前記第一の絶縁膜層のSi組成と前記第二の絶縁膜層のSi組成との差が10%以上、より好ましくは20%であり、かつ前記界面近傍位置における前記第一の絶縁膜層N濃度は、前記界面から近傍位置における前記第二の絶縁膜層のN濃度の1/2以下であることが好ましい。なお、ここで「界面近傍位置」とは、例えば、界面から0.1nm〜0.5nm程度の位置である。
そして、前記第一の絶縁膜層のN濃度が、半導体基板との界面近傍位置において、例えば1原子%未満であるというように、実質的にゼロとなることが望ましい。半導体基板との「界面近傍位置」としても、界面から0.1nm〜0.5nm程度の位置である。現状で確立されたRBS(Rutherford BACKSCATTERING SPECTROMETRY:ラザフォード後方散乱分析)、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry:二次イオン質量分析)、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光)などの測定法を用いることで、膜厚の分解能0.5nmにおいて窒素濃度を1%の単位で検出することは十分に可能である。
また、前記第一の絶縁膜層の膜厚は、1原子層以上、より好ましくは0.5nm以上でかつ前記第二の絶縁膜層の膜厚よりも小さいものであることが望ましい。
また前記絶縁膜を電界効果型トランジスタのゲート絶縁膜として用いる場合は、前記積層絶縁膜は、前記半導体基板と、前記第一の高誘電率絶縁膜との間に酸化珪素層または酸窒化珪素層を含むことが好ましい。なお、酸窒化珪素層を設ける場合には、この酸窒化珪素層のN濃度が、半導体基板との界面近傍位置において、1原子%未満であることが好ましい。また、このように、前記半導体基板と前記第一の高誘電率絶縁膜との間に酸化珪素層または酸窒化珪素層を設ける場合、前記第一の絶縁膜層のN濃度は、酸化珪素層または酸窒化珪素層との界面近傍位置において、例えば5原子%以下であることが望ましい。
本発明は、半導体基板と、前記基板上に形成されたM−Si−OまたはM−O(但し、式中Mは、M1または、M1−M2である。ここで、M1は、ハフニウムおよびジルコニウムから選ばれた少なくとも1種であり、M2は、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、ランタノイド属金属、Sc、およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種である。)からなる第一の絶縁膜層と、前記第一の絶縁膜層上に形成されたM−Si−O−N(式中、Mは前記と同じである。)からなる第二の絶縁膜層と、前記第二の絶縁膜層上に形成された窒化珪素層または酸窒化珪素層を少なくとも有する積層の絶縁膜であって、前記第一の絶縁膜層のSi組成が前記第二の絶縁膜層に比べて相対的に低く、前記第一の絶縁膜層は実質的に窒素を含まないことを特徴とする積層絶縁膜を含む半導体装置を提供する。
前記第二の絶縁膜層の膜厚は、1原子層以上、より好ましくは0.5nm以上でかつ前記第二の絶縁膜層の膜厚よりも小さいものであることが望ましい。
また前記積層絶縁膜において、前記第一の絶縁膜層のSi組成と前記第二の絶縁膜層との差が10%以上、さらに望ましくは20%以上であることが好ましい。
また前記絶縁膜を電界効果型トランジスタのゲート絶縁膜として用いる場合は、前記積層絶縁膜は、前記半導体基板と、前記第一の高誘電率絶縁膜との間に酸化珪素層または酸窒化珪素層を含むことがより好ましい。
また本発明は、半導体基板上に、M−Si−O(但し、式中Mは、M1または、M1−M2である。ここで、M1は、ハフニウムおよびジルコニウムから選ばれた少なくとも1種であり、M2は、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、ランタノイド属金属、Sc、およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種である。)からなる第一の絶縁膜層を形成する工程と、前記第一の絶縁膜層上に前記第一の絶縁膜層よりもSi組成の低いM−Si−OまたはM−O(但し、式中Mは、前記と同じである。)からなる第二の絶縁膜層を形成する工程と、窒素含有ガス雰囲気中で熱処理を行い前記第二の絶縁膜層に選択的に窒素を導入する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
上記製造方法においては、半導体基板上に酸化珪素層または酸窒化珪素層を形成する工程をさらに有し、この酸化珪素層または酸窒化珪素層上に前記第一の絶縁膜層を形成するものとすることも可能である。また、前記窒素含有ガスがNO、NOおよびNHからなる群から選ばれてなるいずれかのガス、より好ましくはNHであることが望ましい。
また、本発明は、半導体基板上に、M−Si−OまたはM−O(但し、式中Mは、M1または、M1−M2である。ここで、M1は、ハフニウムおよびジルコニウムから選ばれた少なくとも1種であり、M2は、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、ランタノイド属金属、Sc、およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種である。)からなる第一の絶縁膜層を形成する工程と、前記第一の絶縁膜層上に前記第一の絶縁膜層よりもSi組成の高いM−Si−O(但し、式中Mは、前記と同じである。)からなる第二の絶縁膜層を形成する工程と、前記第二の絶縁膜層上に窒化珪素層または酸窒化珪素層を形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
上記製造方法においては、半導体基板上に酸化珪素層または酸窒化珪素層を形成する工程をさらに有し、この酸化珪素層または酸窒化珪素層上に前記第一の絶縁膜層を形成するものとすることも可能である。
前記半導体装置の製造方法において、第二の絶縁膜層上に窒化珪素または酸窒化珪素層を成膜する前もしくは後に、少なくとも一回窒化珪素層または酸窒化珪素層の成膜温度以上の温度で、NOおよびNOおよびNHの少なくともいずれか一つを含む雰囲気中での熱処理を行う工程を含むことが好ましい。
前記半導体装置の製造方法において、前記第二の高誘電体絶縁膜は前記第一の高誘電体絶縁膜よりもSi組成が少なくとも10%、より望ましくは20%以上高くかつ、1原子層以上、より望ましくは0.5nm以上の膜厚を持つことが好ましい。
以下本発明をより詳細に説明する。
上記したように、本発明の第一の実施の形態に係る半導体装置は、半導体基板と、前記基板上に形成されたM−Si−O−N(但し、式中Mは、M1または、M1−M2である。ここで、M1は、ハフニウムおよびジルコニウムから選ばれた少なくとも1種であり、M2は、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、ランタノイド属金属、Sc、およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種である。)からなる第一の絶縁膜層と、前記第一の絶縁膜層上に形成されたM−Si−O−NまたはM−O−N(式中、Mは前記と同じである。)からなる第二の絶縁膜層を少なくとも有する積層の絶縁膜であって、前記第一の絶縁膜層のSi組成が前記第二の絶縁膜層のSi組成に比べて相対的に高く、前記第一の絶縁膜層のN濃度が前記第二の絶縁膜層のN濃度に比べて相対的に低いものであることを特徴とする積層絶縁膜を含むものである。
本発明の第一の実施の形態に係る半導体装置において、半導体基板としては、特に限定されるものではなく、例えば、一般的なSi基板の他、SOI(Si on insulator)、ひずみSi(SiGe)などが含まれ、またシリコン系以外の、Ge、GaAsなどのその他のものであってもよい。
第一の実施の形態に係る半導体装置は、このような半導体基板上部に上述したような組成の異なる少なくとも二層のM−Si−O−N系の絶縁膜層からなる積層絶縁膜を有するものであるが、以下、説明を容易とするために、半導体基板としてSi基板を用い、また絶縁膜層としてHf−Si−O−N系のものを用いた場合を例にとる。
すなわち、組成を変化させたハフニウムシリケート(HfSiO)の積層構造を作成し、高誘電率絶縁膜中で窒素濃度を不連続に変化せしめた例を開示する。
前述したとおり、本発明者らはHfSiOのSi組成を変化させることで、アンモニア雰囲気中における窒化反応を制御できることを見出した。図1はHfSiOをNH雰囲気中(NH分圧:3E−3Torr)に暴露しアニール処理を行ったときの、HfSiOのSi組成に対する窒素導入濃度の変化をXPSを用いて測定した結果である。実験を行った650℃から800℃までのいずれのアニール温度領域においても、Si組成が高いほど窒化反応が抑制され、結果として得られる窒素濃度も顕著に低下することが判った。
ここで、Si組成および窒素導入量は、膜中の成分元素の存在量を基に、下記のように定義する。
Si組成(%)=[Si量]/([Si量]+[Hf量])×100
窒素濃度(%)=[N量]/([Si量]+[Hf量]+[O量]+[N量])×100
また、それぞれの成分元素の存在量は、成分元素のXPSスペクトル強度から得られた値を基に計算して求めている。
窒化処理は金属酸化膜の耐熱性の向上に有効な技術であるが、Si基板界面近傍にまで到達した窒素はチャネル内に輸送される電荷の散乱要因となるため、FETの動作上は好ましくないとされている。従って、窒化処理を行うハフニウムオキサイド(HfO)もしくはHfSiOの下部によりSi組成の高いHfSiOをあらかじめ形成しておくことにより、金属酸化膜中には絶縁膜の耐熱性を保つために十分な窒素を導入しつつ、Si基板界面近傍に存在する窒素量を十分に低減することができる。
また、HfOもしくはHfSiOに対して窒化処理を行った場合、Hf−N結合が絶縁膜中に形成され、絶縁膜の特性に悪影響を与えることがある。例えば、図2にHfSiOに対してNHを用いて窒化処理を行った試料のIV特性を示す。基板としてはN型Si基板を用い、上部電極として金を蒸着して用いた。試料におけるHfSiOの膜厚は3.5nmであり、Si組成は10%としている。またこの試料はHfSiO層の下部に1.2nmの酸化珪素層を備えている。図2に依れば、窒化処理を行うほど、リーク特性が劣化することがわかる。例えば、NH雰囲気において700℃、10分間の窒化処理をした試料においては、窒素の導入を行わない試料に対して、印加電圧−2Vにおいて、およそ2桁のゲートリークの劣化が見られる。このようなリーク特性の劣化は、絶縁膜中に形成されたHf−N結合によるものであると考えられ、窒化処理を行った後にHf−N結合を減少させるための熱処理が必要であることを示している。適切な熱処理により、リーク特性が改善することは、発明者らの実験により確認済みである。
図3は窒化処理を行った後の、熱処理の有無による膜中の窒素濃度の変化を測定した結果である。熱処理を行うことにより、膜中の窒素はよりSi基板側へ偏析したプロファイルを持つ。以上の実験事実から膜中のHf−N結合に寄与していた窒素は、熱処理により基板界面に形成された酸化珪素層へと偏析し、より安定なSi−N結合を形成することが分かる。プロセスの微細化に伴い、基板界面に存在する酸化珪素層は薄膜化を余儀なくされるため、熱処理による窒素の偏析はより基板界面に近づくと考えられる。よって、熱処理による窒素プロファイルの変化は、例えば移動度などのデバイスの特性を劣化させる要因になりうる。
本発明の第一の実施の形態の趣旨は、HfOもしくはHfSiOからなる高誘電率絶縁膜において、膜中に相対的にSi組成の高いHfSiO層を、基板界面、好ましくは酸化珪素層(ないしは酸窒化珪素層)上に配置し、アンモニア窒化中もしくはその後の熱処理により拡散する窒素を停止させしめることにある。図1に示すとおり、HfSiOは高Si組成であっても酸化珪素層(ないしは酸窒化珪素層)よりも高い比誘電率を有するため、EOTの増加を最小限にして基板側へのNの拡散を抑止することができる。
このようなSi組成に対する窒化反応の依存性はNH以外の、たとえばNOやNOのような窒素を含むガス中での熱処理によっても生じると考えられ、NHのかわりにNOやNOを用いてもよい。より好ましくは酸化反応を引き起こす恐れのないNHにより窒化することが望ましい。
また、上述したようなNHを用いた窒化反応の選択性は、周期表上で同属のジルコニウムにおいても存在すると考えられる。したがって、本発明はハフニウムシリケートのみならずジルコニウムシリケート(ZrSiO)の選択窒化についても適用することができる。また、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、Al、Sc、ランタノイド属金属からなる金属酸化膜を前記シリケートに添加することも可能である。この場合、窒化に対する選択性を維持するため、添加金属量は主成分であるHfもしくはZrの1/2以下であることが望ましい。
また、本発明において、積層絶縁膜は、上記したような関係を満たす第一の絶縁膜層と第二の絶縁膜層との少なくとも2層を有すれば良いが、この第一の絶縁層または第二の絶縁層との間に、組成がその中間値とる層もしくは序々に変化する層を一層ないし多層挿入することは可能である。
次に、本発明の第二の実施の形態に係る半導体装置は、半導体基板と、前記基板上に形成されたM−Si−OまたはM−O(但し、式中Mは、M1または、M1−M2である。ここで、M1は、ハフニウムおよびジルコニウムから選ばれた少なくとも1種であり、M2は、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、ランタノイド属金属、Sc、およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種である。)からなる第一の絶縁膜層と、前記第一の絶縁膜層上に形成されたM−Si−O−N(式中、Mは前記と同じである。)からなる第二の絶縁膜層と、前記第二の絶縁膜層上に形成された窒化珪素層または酸窒化珪素層を少なくとも有する積層の絶縁膜であって、前記第一の絶縁膜層のSi組成が前記第二の絶縁膜層に比べて相対的に低く、前記第一の絶縁膜層は実質的に窒素を含まないことを特徴とする積層絶縁膜を含むものである。
第二の実施の形態に係る半導体装置においても、説明を容易とするために、半導体基板としてSi基板を用い、また絶縁膜層としてHf−Si−O−N系のものを用いた場合を例とる。
この第二の発明は、HfOもしくはHfSiO上に例えば窒化珪素(ここで、窒化珪素は酸素を含み得る、すなわち、酸窒化珪素であっても良い。)からなる層を付加して、上部多結晶シリコン電極からの不純物拡散を防止する場合に関する。窒化珪素の成膜時には前記HfOもしくはHfSiO表面はNH雰囲気に暴露されうる。このようにしてHfOもしくはHfSiO中に導入された窒素は本来意図しないものであり、リーク特性の劣化など絶縁膜を劣化させる可能性があるため好ましくない。第二の実施の形態の趣旨は、このような態様において、上記したような窒化反応の選択性を考慮して、HfOもしくはHfSiO上に、相対的にSi組成の高いHfSiO層を配置することより、その後のNH雰囲気暴露に対しても膜中への窒素の導入を防ぐことができる。
本発明の第二の実施の形態においても、前記第一の実施の形態と同様に、Si組成に対する窒化反応の依存性はNH以外の、たとえばNOやNOのような窒素を含むガス中での熱処理によっても生じると考えられ、NHのかわりにNOやNOを用いてもよい。より好ましくは酸化反応を引き起こす恐れのないNHにより窒化することが望ましい。
また、上述したようなNHを用いた窒化反応の選択性は、周期表上で同属のジルコニウムにおいても存在すると考えられる。したがって、本発明はハフニウムシリケートのみならずジルコニウムシリケート(ZrSiO)の選択窒化についても適用することができる。また、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、Al、Sc、ランタノイド属金属からなる金属酸化膜を前記シリケートに添加することも可能である。この場合、窒化に対する選択性を維持するため、添加金属量は主成分であるHfもしくはZrの1/2以下であることが望ましい。
また、第二の実施の形態においても、積層絶縁膜は、上記したような関係を満たす第一の絶縁膜層と第二の絶縁膜層との少なくとも2層を有すれば良いが、この第一の絶縁層または第二の絶縁層との間に、組成がその中間値とる層もしくは序々に変化する層を一層ないし多層挿入することは可能である。さらに、第二の実施の形態に係る半導体装置においても、半導体基板としては、特に限定されるものではなく、上記と同様各種のものを用いることができる。
このように本発明では、NH雰囲気中での窒化反応が金属珪酸化物のシリコン組成により異なることを利用して、絶縁膜の選択窒化を行うものである。これにより、Bなどの不純物の突き抜け抑制の効果のある窒素導入層と、本質的に窒素を導入する必要のない窒化防止層を含む層の多層構造からなる高誘電率ゲート絶縁膜を実現することができる。
絶縁膜の深さ方向に対して選択的に窒素が導入することにより、ゲート絶縁膜のリーク特性や移動度などのデバイス特性の劣化を生じさせることなく、不純物の突き抜けなどを抑制することができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第一の実施の形態)
まず、窒化反応の差異により選択窒化を行うために必要な、HfSiOにおけるSi組成の差を明らかにすることを考える。図1に見られるとおり、窒化反応は窒化温度とSi組成に対して依存性を持つ。即ち、窒化温度が高くまたSi組成が低いほど窒化反応は促進される。顕著な窒化反応の差を得るためには、図1において同一窒化温度における窒素導入量の比を2倍以上にとる必要がある。Si組成が10%以上の範囲において、Hfシリケートの結晶化を抑制するために必要な窒素濃度はおよそ10%以上であることが我々の実験から分かっている。従って、図4(a)において、窒化により窒素導入層1であるHfSiOに結晶化もしくは層分離の抑制を目的として10%の窒素添加を行った場合は、Si基板側への窒化防止層2として用いるHfSiOのSi組成は、図1において窒化量が5%以下となるような点を取れば良い。このように選んだSi組成の組合せをもつHfSiOの積層構造を、NH雰囲気中で熱処理することにより、絶縁膜中でこれら窒素導入層1と窒化防止層2との界面において不連続な窒素濃度プロファイルが得られ、選択窒化を行うことができる。表1にそれぞれの窒化温度において10%および5%の窒素を導入するために必要なHfSiOのSi組成を示す。表1から窒素導入層1と窒化防止層2のSi組成の差は、少なくとも20%以上存在すればよいことが分かる。上記の例は、窒素導入量としてN=10%の場合を示したが図1の範囲で制御する限り、窒化防止層2は窒素導入層1よりもSi組成が20%以上高ければ、十分効率的に選択窒化を行えることが分かる。
Figure 0004461839
またこのときの窒素導入量の分布図を概念的に図4(b)に示す。本実施例の特徴はHfSiOのSi組成の変化に伴って、窒素導入量が不連続に変化し、Si基板界面近傍で実質的に窒素が存在しないことにある。なお、本実験で示したアニール温度は装置の実測値であって、装置が異なれば校正の範囲内で温度を読み替える必要があることは言うまでもない。また図1および表1は窒化温度を変化させたときの例であって、アンモニアガス圧力および窒化時間を制御することにより、例えばSi組成が50%以上の任意のSi組成に対しても選択窒化は十分に可能である。
(実施例1)
図5(a)−(b)により、第一の実施の形態に係る高誘電率絶縁膜の製造方法を説明する。まず半導体基板(Si基板)21を用意し、化学洗浄により基板表面の自然酸化膜を除去した後、半導体基板1を酸化雰囲気中で加熱することにより、酸化珪素(SiO)からなる酸化膜22を形成する(図5(a))。酸化珪素の膜厚はSi基板の良好な界面特性を得るためには、0.6nm以上であることが望ましい。
次に、図5(b)の工程において、真空チャンバ内で相対的にSi組成の高いハフニウムシリケート(HfSiO)からなる窒化防止層23を形成し、引き続き相対的にSi組成の低いHfSiOからなる窒素導入層24を形成する。窒化防止層の膜厚は少なくともHfSiOの1原子層以上であれば前記効果を得ることができるが、十分な窒化選択性を得るためには0.5nm以上であることが望ましい。窒素導入層の膜厚は絶縁膜として実現したいSi等価換算膜厚(Equivalent Oxide Thickness: EOT)に従って自由に設定できる。絶縁膜のリーク特性とEOTの関係から、望ましくは0.5nmから4.0nmであり、本実施例では3.0nmとした。HfSiOの成膜法は、そのSi組成と膜厚を正確に制御できるものであるならば、公然と知られた何れの方法でも構わないが、量産上のメリットを考えると例えば有機金属気相堆積法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition: MOCVD)や原子層化学気層堆積法(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition: ALCVD)などが望ましい。また、酸化珪素とHfもしくはHfOとの相互拡散を利用して形成された、界面反応層(HfSiO)を窒化防止層23として用いることもできる。
本実施例ではハフニウム原料としてテトラキスジエチルアミノハフニウム、およびシリコン原料としてトリシスジエチルアミノシリコンを混合供給することにより、MOCVD法によって、組成および膜厚を制御したHfSiO膜を堆積した。本方法では、前記2種の原料はそれぞれ恒温槽中に保持され、恒温槽の温度によって一意に定まる飽和蒸気圧をもってキャリアガスとの混合雰囲気を形成する。その後流量計を用いて、混合雰囲気の供給流量を制御することにより、成膜チャンバ内に原料ガスを制御性良く導入することができる。HfSiOの組成はハフニウム原料とシリコン原料の供給比によって主に決定できるため、このような方法は本実施例に好適である。原料ガスは、酸化剤として用いるHOと交互にチャンバ内に導入し、これらのガスの反応物としてSi基板上にHfSiOを堆積した。本実施例では窒化防止層23として0.5nm、Si組成45%からなるHfSiOを堆積した後、窒素導入層24として3.0nm、Si組成10%からなるHfSiOを連続堆積した。基板温度は300℃から400℃の間の所定の値に設定した。本実施例では酸化剤としてHOを用いたが、OやOなど他の酸化性ガスを用いても良い。また、この後HfSiO膜の緻密化や不純物の除去を目的として、Oなどの酸化性雰囲気で熱処理を行う工程を含めても良い。この場合、熱処理温度は、HfSiOの結晶化が生じる温度よりも低い温度で行うことが望ましい。
次に、基板温度を600〜900℃の範囲で昇温しNH雰囲気中で熱処理を行う。本工程によりHfSiO層に窒素が導入されるが、前述したようにSi組成の違いによって、実質的に最上面に堆積された窒素導入層24のみに窒素を導入することができる。このとき、窒素導入層と窒化防止層の窒化選択性が最も現れる温度で窒化を行うことが望ましく、本実施例では700℃において5分間の熱処理を施している。
以上の工程により、図4(b)のように主として窒素導入層24のみに窒素が導入された積層の高誘電率絶縁膜を形成することができた。図6は0.5nm、45%のSi組成のHfSiOからなる窒化防止層を持つ場合と、持たない場合のN1sのXPSのスペクトルを示す。窒化防止層を持つ試料において明らかに窒素量が少なく、Si組成の相対的に高いHfSiOからなる窒化防止層の働きによって、窒素の酸化珪素層およびSi基板への導入が抑制されたことを示している。
(第二の実施の形態)
ここでは、前記窒化防止層と窒素導入層の位置を逆転させて用いる場合について説明する。このような構造は、HfSiOに本質的に窒素の導入を望まないときに有効である。例えば、HfSiOの上に上部多結晶シリコンからの不純物拡散抑制のために、酸化アルミニウム(Al)や窒化珪素(Si)などのアモルファス層をさらに積層する場合、HfSiO自体には不純物の拡散を抑制する機能は求めなくても良い。このような場合にはHfSiO中に窒素を導入する必要はなく、先述した窒素導入によるキャリア移動度低下やリーク特性の劣化などを勘案すれば、例えばSiの堆積時に意図せずして窒素が導入されることはむしろ望ましくない。従って、HfSiO層表面のSi組成を高く形成し、窒化反応性を低下させることができれば、Siの堆積温度を高くすることができ、Siの特性向上が行えるという利点が生ずる。窒化防止層に必要なSi組成や膜厚は、前記第一の実施例と同様である。以下では、表面のSi組成を高くしたHfSiOの上にSiを形成した例を開示する。
(実施例2)
図7(a)−(c)により、本発明の第二の実施の形態に係る高誘電率絶縁膜の製造方法を説明する。まず半導体基板(Si基板)31を用意し、化学洗浄により基板表面の自然酸化膜を除去した後、半導体基板1を酸化雰囲気中で加熱することにより、酸化珪素(SiO)からなる酸化膜32を形成する(図7(a))。酸化珪素層の膜厚はSi基板の良好な界面特性を得るためには、0.6nm以上であることが望ましい。
次に、図7(b)の工程において、真空チャンバ内で相対的にSi組成の低いハフニウムシリケート(HfSiO)からなる層33を形成し、引き続き相対的にSi組成の高いHfSiOからなる窒化防止層34を形成する。窒化防止層の膜厚は少なくともHfSiOの1原子層以上であれば良く、さらに望ましくは十分な窒化選択性を得るために、0.5nm以上に設定すると良い。HfSiO層33の膜厚は絶縁膜として実現したいEOTに従って自由に設定できるが、絶縁膜のリーク特性とEOTの関係から、Si組成は低い方が望ましい。HfSiOの成膜法は、そのSi組成と膜厚を正確に制御できるものであるならば、公然と知られた何れの方法でも構わないが、MOCVD法やALCVD法などが望ましい。
本実施例ではハフニウム原料としてテトラキスジエチルアミノハフニウム、およびシリコン原料としてトリシスジエチルアミノシリコンを混合供給することにより、MOCVD法によって、組成および膜厚を制御したHfSiO膜を堆積した。HfSiO層33として3.0nm、Si組成10%からなるHfSiOを堆積した後、窒化防止層34として0.5nm、Si組成30%もしくは45%からなるHfSiOを連続堆積した。また、この後HfSiO膜の緻密化や不純物の除去を目的として、Oなどの酸化性雰囲気で熱処理を行う工程を含めても良い。この場合、熱処理温度は、HfSiOの結晶化が生じる温度よりも低い温度で行うことが望ましい。また、HfSiO層に実質的に窒素が導入されない程度の低温(700℃以下)においてNH雰囲気で熱処理を行っても良い。この場合NHによる表面清浄化の効果を得ることができる。
次に、図7(c)の工程において、窒化防止層34上に窒化珪素(Si)層を成膜する。Siの成膜は、ジクロロシラン(SiCl)とNHの交互供給によるALCVD法や、モノシラン(SiH)やジシラン(Si)とNHの同時供給によるMOCVD法などが膜厚の制御に優れ望ましい。また、種々公然と知られた方法により窒化防止層上に非晶質シリコンを堆積し、その後NH雰囲気中の熱処理を施して窒化珪素層を形成してもよい。本実施例ではジシラン(Si)とNHの同時供給によるMOCVD法によって450℃において0.5nmの窒化珪素層を成膜した。また、その後窒化珪素層の膜質改善のために、窒化珪素層の成膜温度以上の温度でNH雰囲気中において熱処理を加えても良い。
図8に、窒化防止層34の有無による膜中への窒素導入量の違いXPSによって測定した例を示す。NH雰囲気中の700℃・5分の熱処理によって、Si組成10%からなる窒化防止層を有さない比較試料では、N1sからの強いピークが観察されるのに対して、Si組成が30%もしくは45%の窒化防止層0.5nmを上部に有する試料からは、ともにN1sのピークはほとんど観察されない。N1sピークの面積比から窒素導入量を見積もると1/7以下であることが分かる。以上の結果から、少なくとも組成比で20%以上Si組成の高い窒化防止層を積層することで、窒素導入量を顕著に抑制する効果が存在することが明らかになった。また、その膜厚は0.5nm以下で十分に機能する。このように、HfSiOの上面のみでSi組成を高くして窒化抑制の効果を持たせた場合、それ以外のHfSiOの部分のSi組成は低くても良いため、膜の比誘電率を高く保つことができる。これは、積層絶縁膜のEOTを小さくするためにきわめて有効である。
また、図9に同様の試料におけるCV曲線を示す。窒化防止層を持たない試料では、窒化によってリーク特性の劣化が起こり、負電界側で容量成分の降伏が発生していることがわかる。このように、一方で上部に45%のSi組成の窒化防止層を有する試料では、そのような容量特性の劣化は発生していない。さらに、窒化処理を行わない試料に比べて容量の増大が認められる。このことは、NH雰囲気中の熱処理によって、HfSiOの最表面が清浄化された効果であると考えられる。従って、窒化防止層を膜表面に持つ試料をNH雰囲気中で熱処理することにより、絶縁膜中のHf−N結合を抑制し、さらに表面を清浄化するという新しい効果も期待することができる。このような熱処理は、窒化珪素層の成膜と同時に行うことができるため、プロセス工程上の利点も大きい。
以上により、HfSiO膜中には実質的に窒素を含まずに、窒化珪素層を形成することができた。
(第三の実施の形態)
前述した第一および第二の実施の形態による、選択窒化を行った積層高誘電率絶縁膜をMISFET(Metal insulator semiconductor field effect transistor)のゲート絶縁膜に適用した実施の形態について説明する。
本発明の選択窒化を行った積層高誘電率絶縁膜を有するMISFETの基本様態を、断面図10を参照して説明する。図10において、半導体基板101の酸化膜トレンチ102によって素子分離領域内に設けられた拡散層103および104と、前記積層高誘電率絶縁膜105を介して半導体基板101上に設けられたゲート電極106、さらにゲート電極側壁には窒化膜サイドウォール107および酸化膜サイドウォール108によってトランジスタが構成される。またゲート、ソースおよびドレイン領域上部に設けられたシリサイド領域109を介して、それぞれのトランジスタは配線される。図示しないが、トランジスタ素子上部には、層間絶縁膜とプラグおよび配線などが形成され、LSIとしての機能を供する。
次に図11を参照し、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明する。まず、図11(a)において従来周知の方法により、Si基板1101上に素子分離酸化膜1102を用いたトレンチ分離によって素子分離領域を形成する。素子分離領域内にP型あるいはN型の不純物をイオン注入しそれぞれのウェルを形成した後(図示せず)、図11(b)において第一もしくは第二の実施の形態で開示された方法により、積層の高誘電率ゲート絶縁膜1103を形成する。引き続いて、150nm程度の膜厚のポリシリコン層1104を形成する。ここで、ポリシリコンの代わりに、ポリシリコンゲルマニウムまたはそれらの積層構造を用いてもよい。
次にパターニングによって得られた、レジストパターンをポリシリコン層1104上に形成したハードマスクに転写し、このハードマスクパターンによりポリシリコン層1104のエッチングを行う。その後、ポリシリコン層上のハードマスクを取り除き、図11(c)のように、ポリシリコンからなるゲート電極1104が形成される。このとき、ゲート電極直下以外の積層高誘電率ゲート絶縁膜1103も、エッチングにより除去してよい。
図11(d)のようにイオン注入により、ゲート電極1104の両側にLDD拡散領域1105を形成する。さらに必要に応じて、基板に対して浅い角度からのイオン注入によりポケットイオン注入(図示せず)を形成する。この後、不活性雰囲気もしくは高真空中で900℃から1100℃の温度範囲で熱処理を行い、LDD領域の不純物の活性化を行う。次に5nmから15nm程度の膜厚の窒化膜1106を表面全面に形成する。さらに50nmから100nm程度の膜厚の酸化膜1107を形成する。
図11(e)のように、プラズマエッチバックにより、窒化膜1106および酸化膜1107からなるサイドウォールを形成する。次にこのサイドウォールマスクとしてイオン注入により、ソース・ドレインの不純物拡散領域を形成する。その後、900℃から1100℃の温度範囲で熱処理を行い、ソース・ドレイン領域の不純物の活性化を行う。
図11(f)のように、例えばCoやNiなどの金属を蒸着し、熱処理によりシンターを行うサリサイドプロセスにより、ソース、ドレインおよびゲートの上面にシリサイド領域1108を形成する。
以上の工程により、図10に示したMISFETの構造が完成する。
このようにして作製されたMISFETは、積層ゲート絶縁膜の選択窒化によりSi基板近傍に窒素を含まないため、移動度低下などのデバイス特性の劣化を起こさずに、不純物の突き抜けなどを効果的に抑制することができる。また第三の実施の形態の別の特徴として、サイドウォールの形成時において、はじめに窒化膜の形成を行っているため、例えばその後の酸化膜の形成などにおいて高誘電率ゲート絶縁膜の端部が酸化性雰囲気に暴露されることがない。これにより、ゲート絶縁膜を通して上下のシリコン領域が新たに酸化される恐れがないため、EOTの増加のような、デバイス特性劣化を防ぐことができる。
アンモニア雰囲気中アニールにおいて、ハフニウムシリケートのシリコン組成に対して、導入される窒素の濃度およびHfOとSiOの混合モデルにより計算される比誘電率を示した図である。 アンモニア雰囲気中アニールによって導入された窒素量と、絶縁膜のリーク特性を示した図である。 ハフニウムシリケート膜中の窒素濃度の変化を示した図である。 (a)は本発明の第一の実施の形態の積層絶縁膜構造を表した断面図である。(b)は本発明の第一の実施の形態の積層絶縁膜構造中の窒素濃度の変化を示した図である。 (a),(b)本発明の実施例1の積層絶縁膜構造を表した断面図である。 本発明の実施例1におけるXPSにより測定した、ハフニウムシリケート積層絶縁膜のN1sのピークを表した図である。 (a)〜(c)本発明の実施例2の積層絶縁膜構造を表した断面図である。 本発明の実施例2におけるXPSにより測定した、ハフニウムシリケート積層絶縁膜のN1sのピークを表した図である。 本発明の実施例2における、ハフニウムシリケート積層絶縁膜の容量−電圧特性を表した図である。 本発明の第三の実施の形態のMISFETを表した断面図である。 (a)〜(f)本発明の第三の実施の形態の製造方法を示す断面図である。
符号の説明
21、半導体基板
22、酸化珪素膜
23、窒化防止層(HfSiO膜、高Si組成)
24、窒素導入層(HfSiON膜、低Si組成)
31、半導体基板
32、酸化珪素膜
33、HfSiO
34、窒化防止層(HfSiO膜、高Si組成)
35、SiN膜
101、半導体基板
102、素子分離酸化膜
103、不純物拡散領域(LDD領域)
104、不純物拡散領域(ソースドレイン領域)
105、積層高誘電率ゲート絶縁膜
106、ゲート電極
107、窒化膜サイドウォール
108、酸化膜サイドウォール
109、シリサイド領域
1101、半導体基板
1102、素子分離酸化膜
1103、積層高誘電率ゲート絶縁膜
1104、ゲート電極
1105、不純物拡散領域(LDD領域)
1106、窒化膜サイドウォール
1107、酸化膜サイドウォール
1108、不純物拡散領域(ソースドレイン領域)
1109、シリサイド領域

Claims (8)

  1. 半導体基板と、前記基板上に形成されたM−Si−O−N(但し、式中Mは、M1または、M1−M2である。ここで、M1は、ハフニウムおよびジルコニウムから選ばれた少なくとも1種であり、M2は、Sr、Ba、Ta、Ti、Y、Lr、ランタノイド属金属、Sc、およびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種である。)からなる第一の絶縁膜層と、前記第一の絶縁膜層上に形成されたM−Si−O−NまたはM−O−N(式中、Mは前記と同じである。)からなる第二の絶縁膜層を少なくとも有する積層の絶縁膜であって、前記第一の絶縁膜層のSi組成が前記第二の絶縁膜層のSi組成に比べて相対的に高く、前記第一の絶縁膜層のN濃度が前記第二の絶縁膜層のN濃度に比べて相対的に低いものであることを特徴とする積層絶縁膜を含む半導体装置。
  2. 前記積層の絶縁膜におけるN濃度の深さプロファイルが、前記第一の絶縁膜層と前記第二の絶縁膜層との界面において急峻な変動を示すものであることを特徴とする請求項1に記載の積層絶縁膜を含む半導体装置。
  3. 前記第一の絶縁膜層のSi組成と前記第二の絶縁膜層のSi組成との差が10%以上であり、また前記界面近傍位置における前記第一の絶縁膜層N濃度は、前記界面から近傍位置における前記第二の絶縁膜層のN濃度の1/2以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記第一の絶縁膜層のN濃度が、半導体基板との界面近傍位置において、1原子%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
  5. 前記第一の絶縁膜層の膜厚が1原子層以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
  6. 前記第一の絶縁膜層の膜厚が0.5nm以上でかつ前記第二の絶縁膜層の膜厚よりも小さいものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
  7. 前記積層絶縁膜は、前記半導体基板と、前記第一の絶縁膜層との間に酸化珪素層または酸窒化珪素層を含むことを特徴とする請求項1〜3、5および6のいずれか1つに記載の半導体装置。
  8. 前記酸窒化珪素層のN濃度が、半導体基板との界面近傍位置において、1原子%未満であることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
JP2004056084A 2004-03-01 2004-03-01 半導体装置およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4461839B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004056084A JP4461839B2 (ja) 2004-03-01 2004-03-01 半導体装置およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004056084A JP4461839B2 (ja) 2004-03-01 2004-03-01 半導体装置およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005251785A JP2005251785A (ja) 2005-09-15
JP4461839B2 true JP4461839B2 (ja) 2010-05-12

Family

ID=35032018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004056084A Expired - Fee Related JP4461839B2 (ja) 2004-03-01 2004-03-01 半導体装置およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4461839B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7812412B2 (en) 2005-10-04 2010-10-12 Nec Corporation Semiconductor device
JP2010283040A (ja) * 2009-06-02 2010-12-16 Panasonic Corp 半導体装置及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005251785A (ja) 2005-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8836039B2 (en) Semiconductor device including high-k/metal gate electrode
JP3974507B2 (ja) 半導体装置の製造方法
KR100951227B1 (ko) 고유전율(k) 유전체가 있는 CMOS 소자 제조에서 문턱전압을 제어하는 장벽층의 선택적인 구현
JP2003008005A (ja) 高誘電率絶縁膜を有する半導体装置
KR101078498B1 (ko) 절연체 박막의 제조 방법
KR20070112783A (ko) 질화 게이트 유전체의 제조 방법
US7939396B2 (en) Base oxide engineering for high-K gate stacks
US8404575B2 (en) Semiconductor device and method for manufacturing same
JP4489368B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
US8552507B2 (en) Semiconductor device and method of manufacturing the same
TWI619176B (zh) 半導體裝置的製造方法、高介電常數介電結構及其製造方法
KR20050021337A (ko) 반도체 장치 및 그 제조 방법
JP2010171137A (ja) 半導体装置の製造方法及び半導体装置
US8294201B2 (en) High-k gate dielectric and method of manufacture
JP5050351B2 (ja) 半導体装置の製造方法
WO2004107451A1 (ja) Mis型電界効果トランジスタを備える半導体装置及びその製造方法並びに金属酸化膜の形成方法
JP2005064032A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP4461839B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP2010165705A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2005045166A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP2009071232A (ja) 半導体装置及びその製造方法
CN106206721B (zh) Nmos晶体管及其制作方法
JP2007288084A (ja) 絶縁膜及びその形成方法
WO2010140278A1 (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP5141321B2 (ja) 半導体装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100208

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140226

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees