JP4461075B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

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本発明は、ロール間距離を制御して良好な鋳片を製造するための連続鋳造方法に関するものであり、殊にロール間距離を適切に制御することによって、鋳片厚みバラツキを極力低減するようにした連続鋳造方法に関するものである。
鋼の連続鋳造においては、取鍋中の溶鋼を鋳型に注入し、鋳型内部で冷却(一次冷却)して凝固シェルを形成し、その後ガイドロールによって案内しつつスプレイ帯で水により冷却して(二次冷却)凝固シェルを次第に厚くしていき、ピンチロールによって徐々に引き抜いて凝固完了後に鋳片としてその後の工程に送るように構成されている。またこのとき用いるロ−ルは、対向するロール間距離が変更可能なロール対を含む複数のロール対によって構成されており、このロール間距離を制御することによって、鋳片厚みが制御されている。
こうした連続鋳造においては、鋳片の厚みを一定に保つ必要があり、そのためには連続鋳造機内で鋳片を挟み込むロール対のロール間距離(鋳片方向厚さ方向距離)を厳密に管理する必要がある。例えば、船舶、橋梁、建築向けの厚板のように、鋼板を1枚づつ所定の寸法に切断して製品化する鋼材においては、圧延前の半製品で厚みの変動が大きいと、所定厚みに圧延した後の製品の長さが変動し、切断代を余分に確保しておく必要が生じるために、製品歩留まりが悪化して、余分なエネルギーを消費することになる。
また、C,S,P等、固液共存温度範囲を広げる成分の含有量が多い鋼種では、鋳片に「内部割れ」と呼ばれる欠陥が生じやすくなる。この「内部割れ」は、連続鋳造機内で鋳片凝固殻の凝固界面近傍に亀裂が生じ、この亀裂に濃化溶鋼が吸い込まれた跡として偏析が残存したものであり、殆どの場合、凝固完了後の鋳片に亀裂が残っている訳ではない。しかしながら、鋳片に内部割れが存在すると、圧延後の製品に次のような弊害が生じ、問題となる。
(a)偏析部と他の部位の強度差に起因して、「ゴースト」と呼ばれる圧延ムラが発生する、
(b)内部割れ部に鋼中の水素がトラップされることにより、水素割れが発生する。
こうしたことから、特に内部割れが問題となり易い鋼では、鋳造時に鋳片の凝固界面近傍に過度の歪みが発生しないように、鋳片を挟み込むロール対のロール間距離を厳密に管理する必要がある。
更に、高炭素鋼のように、中心偏析が問題となり易い鋼では、中心偏析を防止するという観点からしても、ロール間距離を適切に管理する必要がある。しかしながら、鋳片の中心偏析は、その鋳片を挟むロール間距離に非常に敏感である。
図1は、ロール間距離の目標に対する広がり量(mm)と、偏析度(Cmax/C0)の関係を示すグラフであり、このときの偏析度は、直径:5mmφのドリルで採取した鋳片切粉中の炭素濃度の最大値(Cmax)を溶鋼の平均炭素濃度(C0)で除した値(Cmax/C0)を示している。またこの結果は、鋳片中心部の固相率fsが流動限界固相率(約0.7〜0.8)となる位置でロール間距離を制御したものである。
図1から明らかなように、鋳片中心部の固相率fsが流動限界固相率(約0.7〜0.8)となる位置で、ロール間距離が最適となる距離から0.2mm以上広がると、偏析度が急激に悪化する場合があり、従来のロール間制御方法では、管理精度が必ずしも十分とは言えず、中心偏析を安定して防止し得ているとは言えず、管理精度の向上が基本的な課題となっていた。
上記のように、鋼の連続鋳造方法においては、鋳片を挟み込むロール対のロール間距離の制御が重要であり、ロール間距離の制御精度の向上が長年の課題となっている。
ロール間距離を制御する方法は、これまでにも様々提案されており、例えば特許文献1には、ロールを鋳片厚み方向に駆動する駆動装置に、位置検出機を設置し、この位置検出機の出力に基づいてロール間距離を制御する方法が提案されている。こうした構成を図面に基づいて説明する。
図2は、従来のロールスタンドの構成例を示す概略説明図であり、図中1はスタンドフレーム、2は鋳片、3a,3bはロール軸受、4は対向する1対のロール、5は傾動フレーム、6は連結部、7は油圧シリンダー、8は位置検出機の夫々を示す。そして位置検出機8の出力に基づいて、ロール間距離Lが制御されるように構成されている。また、傾動フレーム5は、複数のロールが連動してロール間距離が制御されるように構成されたものである(後記図4参照)。
しかしながら、駆動装置に位置検出機8を設置する方法では、ロール4の磨耗、駆動装置(油圧シリンダー7)と傾動フレーム5との間の結合部6のガタ、ロール軸受3a,3bとロール4との間のガタ、鋳片2から受ける反力によるスタンドフレーム1やロール4の変形、鋳片2から受ける熱によるスタンドフレーム1やロール4の熱膨張に起因する測定誤差を生じてしまうため、ロール間距離Lを精度良く制御できないという問題があった。
こうしたことから、図3に示すように(基本的な構成は図2と同じ)、スタンドフレーム1の上部に変位センサー10を設置して、傾動フレーム5とフレーム間の距離を測定したり(例えば、特許文献2)や、ロール軸受3a,3b間の距離を計測・制御して、ロール間距離の測定精度を向上しようとする技術が提案されている(例えば、特許文献3)。
これらの技術では、「ロール駆動装置→駆動軸→傾動フレーム→ロール軸受→ロール」と順次連結された連続鋳造設備を用いてロール間距離を制御しようとする場合、単にロール駆動装置の変位を測定するよりも、傾動フレームの変位を測定するほうが、ロール間距離の変化をより直接的に把握できるので、駆動装置と傾動フレームのガタや、フレームの変形の影響を受けることがなくなり、ロール間距離の測定精度が向上することになる。
しかしながら、このように傾動フレームの変位を計測・制御する方法を採用しても、ロール磨耗や、ロール熱膨張に起因する誤差発生を防ぐことができず、常に十分な精度でロール間距離を制御することはできなかった。
一方、例えば特許文献4には、図4に示すように、鋳造開始時に鋳片に先立ってロール4a,4b間を通過するダミーバー11に、ロール間距離を測定可能なセンサー12を設置して、ロール間距離を直接測定する方法が開示されている。こうした方法では、ロール磨耗が進んだ状況下であっても、ロール間距離を把握することができることになる。しかしながら、こうした方法では、鋳造中ではなく、非鋳造中(鋳片が通過する前)にロール間距離を測定する方法であるため、次に示すような誤差を生じることがあった。
(1)駆動フレ−ム(スタンドフレーム1)や傾動フレーム5の間や、ロール4a,4bとロール軸受3a,3bの間には、通常ガタが存在し、このガタが測定誤差を生じる。即ち、上側のロール4aは、鋳片が無い非鋳造時中は、駆動装置やロール軸受に対してガタの分だけぶら下がった状態となるが、鋳造中は鋳片からの反力によって押し上げられた状態となり、ロール間距離が非鋳造中よりも大きくなる。
(2)非鋳造中から鋳造中にかけてのスタンドやロールの変形が測定誤差を発生させる(スタンドやロールが変形する要因としては、熱膨張と鋳片からの反力が挙げられる)。
これらの誤差要因のうち、上記(1)のガタについては、センサー12の通過中のロール対のガタを解消するべく、ジャッキアップしてロール間距離を押し広げつつロール間距離を測定すれば、ガタの影響を抑制することができる。しかしながら、ロール面間を押し広げつつロール間距離を測定する方法では、通常の鋳片スタート時よりも余分な測定時間を要するため、ダミーバー11を通す毎に毎回ロール間距離を測定することが難しいという問題があった。
また、上記(2)のスタンドやロールの変形要因のうち、鋳片からの反力については、ダミーバー11に設置したセンサー12によってロール間距離を測定する際、鋳造中に鋳片から受ける反力と同じ力を各ロールに作用させてロール面間を押し広げつつロール間距離を測定することにより、原理的には影響を抑制することができる。しかしながら、上述の如く、ダミーバー11を通す毎に毎回ロール間距離を測定することは困難であることの他、実際には1つのスタンドに複数のロールからの反力が作用することが多く、鋳造中に鋳片から受ける反力と全く同じ力を各ロールに作用させることが困難になる。また、スタンドやロールの熱膨張による計測誤差は、防ぐことはできなかった。
一方、特許文献5には、鋳造中にロール間距離ではなく、鋳片厚みを計測して、ロール間距離を制御する方法が開示されている。鋳片がロール対に挟まれている位置では、鋳片とロールが接触している限りにおいて、ロール間距離と厚みは等しいが、このように鋳片とロールが接触している位置で鋳片の厚みを計測することは困難である。このため、ロールと鋳片が接触していないロールとロールの間の位置で鋳片厚みを測定すると、鋳片のバルジングにより、ロール間距離と鋳片の厚みが一致しなくなる。こうした状態を図5に示す。尚、図5において、4a〜4dはロール、2は鋳片、2aは鋳片凝固殻、15は鋳片中央部の溶鋼、Tはバルジング部の厚さ、δはバルジング量を夫々示す。図5に示すように、ロール4a,4c間のバルジング量δは、ロールスパン、鋳片幅、鋳片の凝固殻の厚みや温度分布、溶鋼静圧、鋳造速度等、要因の影響を受けるので、正確の予測することはできない。
こうした構成に関して、例えば非特許文献1には、鋳片のバルジング量は0.2mm以上、場合によっては1.0mm以上に達することが示されており、ロール間バルジングを無視して鋳片厚み=ロール間距離とみなすのでは、ロール間距離を正確に制御することはできないことが示されている。また、鋳造速度を一時的に低下させた場合等のように、定常部より鋳片の収縮が大きくなったときは、鋳片とロールが接触しなくなり、生じた隙間によって計測誤差が発生する可能性がある。このように、鋳片厚みを計測する方法によっても、十分な精度でロール間距離を制御することはできないのが実情である。
特公平9−99348公報 「特許請求の範囲」など 特表2002−283020公報 「特許請求の範囲」など 特開平03−35853号公報 「特許請求の範囲」など 特開昭54−110131号公報 「特許請求の範囲」など 特開2004−3006053号公報 「特許請求の範囲」など 「連続鋳造における力学的挙動」鉄鋼基礎共同研究会 連続鋳造における力学的挙動会編 昭和60年4月発行、第152頁
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、ロール間距離を適切に制御することによって、鋳片厚みバラツキを極力低減するようにした連続鋳造方法を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の連続鋳造方法とは、対向するロール間距離を変更可能なロール対を含む複数のロール対によって、鋳片厚み方向両端面から鋳片を挟み込みつつ操業するようにした連続鋳造方法において、ロール間距離を変更可能なロール対の少なくとも1つについて鋳造中のロール間距離の目標値を設定すると共に、当該ロール対を鋳片が通過していないときの基準状態で測定したロール間距離測定結果と、鋳造中に当該ロールを構成する一方または両方のロールの、鋳片との接触点位置における基準状態からのロールの鋳片厚み方向変位の測定結果に基づき、鋳造中における当該ロール対のロール間距離を計測し、ロール間距離の目標値と計測値との誤差が最小となるように当該ロール対のロール間距離を制御しつつ操業する点に要旨を有するものである。
本発明においては、鋳造時に実際に測定する位置を、ロールを構成する一方または両方のロールの、鋳片との接触点位置とすることによって、ロール間距離を適切に制御でき、鋳片厚みバラツキを極力低減できる連続鋳造方法が実現できた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、鋳片との接触点位置を基準とすれば、ロール間距離が適切に制御できて、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
図6は、本発明のロール間距離制御の原理を示す概略説明図である。尚、図6はロールの磨耗が幅方向で異なる場合において、ロール幅中央部のロール間距離を算出するときを想定したものである。図6に示すように、鋳造中のロール間距離Aを計測するためには、例えば鋳造前のある基準状態(例えば、ダミーバー通過時)のロール間距離A0(mm)と、当該ロール対を構成する各ロールの鋳片厚み方向の基準値B10(mm)、B20(mm)を測定しておき、鋳造中には、当該ロールを構成する各ロールの鋳片厚み方向変位B1(mm)、B2(mm)を測定することによって、下記(1)式基づき、鋳造中におけるロール間距離Aを算出することができる。
A=A0+(B0−B10)+(B2−B20) …(1)
ここで、各ロールの鋳片厚み方向変位は、ロール間距離が大きくなる方向を正として測定することとする。上記(1)式におけるB1とB2に関し、重要なことは、B1,B10の各々の値ではなく、両者の差(B1−B10)である。A0測定時にB10の変位出力値がゼロとなるようにロール変位センサーを校正(これを「ゼロリセット」と呼ぶ)することによって、(1)式における「−B10」の項を無視するようにしても良い。こうした状況は、B2とB20についても全く同様である。このようにしてロールの変位を直接測定すれば、ロールとロール軸受け間のガタによる測定誤差を生じないので、A0を測定する基準状態は、ロール間距離をジャッキアップして押し広げない状態としても良い。
鋳造中におけるロール間距離A(mm)を測定するための他の手段としては、下記(a)および(b)による方法が挙げられる。
(a)まず鋳造前に、ロールとロール軸受との間のガタの分、ロール間面を押し広げた状態で、ロール間距離の基準値A0(mm)、当該ロール対を構成する各ロールの軸受間距離に対応する変位の基準値C0(mm)、当該ロール対を構成するロールの一方について軸受に対する相対的なロール変位の基準値B0(mm)を測定しておき、
(b)鋳造中には、当該ロール対を構成する各ロールの軸受け距離に対応する変位C(mm)、前記ロールについて軸受部に対する相対的なロール変位B(mm)を測定することにより、下記(2)式によって、鋳造中におけるロール間距離A(mm)を算出することができる。
A=A0+(C−C0)+(B−B0)×k …(2)
ここでも、ロールの変位やロールの軸間距離に対応した距離は、ロール間距離が大きくなる方向を正として測定する。また係数kは、下記(3)式のように表せるものである。
k=1+(h1/h2) …(3)
ここで、
1:ロール対を構成する他方のロールについての軸受に対するロールの変位の推算値
2:ロール対を構成する一方のロールについての軸受けに対するロールの変位の測定値
である。
上記(3)式において、直径、材質および冷却状態がほぼ等しいロール対として構成した場合には、対をなすロールの熱膨張量も鋳片からの反力によるロールの変形量にほぼ等しくなるので、(3)式の右辺代2項の値はほぼ1に等しくなり、k=2.0として評価することができる。
鋳造中のロールの鋳片厚み方向変位を測定するに当っては、ロールと鋳片との接触点近傍(好ましくは、ロ−ルと鋳片の接触点からの距離がロール半径の0.2倍以内の位置)でロール変位を測定することによって、ロールの変形が生じた場合でも、正しくロール間距離を計測することができる。こうした状態について、図面を用いて説明する。
図7は、各方法における測定部位を説明するための概略図であり、図7(a)はロール変位を鋳片2との接触点近傍で測定する場合(本発明)、図7(b)はロール変位をロール軸芯部で測定する場合、図7(c)はロール変位を鋳片2との接触点と逆の位置で測定する場合、を夫々示したものである。また、図中L1は、制御すべきロール間距離、L2は距離の変化を把握できる距離、20aは上ロール4a用ロール変位計、20bは下ロール変位計を夫々示す。
即ち、本発明方法の場合[図7(a)]では、ロール4a,4b自体が変形しても、ロール間距離L1の測定精度には殆ど影響しないものとなる。これに対して、ロール変位をロール軸芯部で測定する場合[図7(b)]や、ロール変位をロールと鋳片の接触点と反対の位置で測定する場合[図7(c)]には、ロールの変形が生じると、ロール間距離L1の計測精度が悪くなるのである。
図8は、本発明方法を実施するために構成される装置構成例を示す概略説明図であり、その基本的な構成は、前記図2、3に示した構成と類似し、対応する部分には同一の参照符号が付してある。本発明の装置においては、前記図7(a)に示した構成と同様に、変位計20a,20bが配置されており、変位計20aは上ロール4aの変位を測定し、20bは下ロールの変位を測定するものである。
本発明では、前記ロール対4a,4bを構成する各ロールの鋳片厚み方向変位を、個別の変位センサー20a,20bによって測定し(L2)、この測定結果に基づき、鋳造中における当該ロール対のロール間距離(L1)を計測し、この計測値が予め定めた目標値とできるだけ近くなるように(誤差がなくなるように)当該ロール間の距離を制御しつつ操業するものである。
尚、図8に示した装置構成において、対となる2台の変位センサー20a,20b間の距離がロールスタンド1の変形の影響を受けないようにするために、2台の変位センサー20a,20bを、熱膨張が生じにくい連結部材21で連結することも望まして実施形態である。このとき熱膨張を抑制するためには、熱膨張係数が小さいインバー等の材質で連結部材を作製したり、連結部材の温度が一定となるように冷却すれば良い。また、ロールスタンド1の外部から、ロールスタンド1の変形の影響を受けない形で計測することもできる。
また前記ロール対を構成する各ロール4a,4bの鋳片厚さ方向変位を、個別の変位センサーによって測定すると共に、対となる2台の変位センサー間の距離も測定し、2台の変位センサー間距離の変化も考慮してロール間距離を計測することも別の望ましい実施形態である。
鋳片幅の中央部のロール間距離を制御するために、鋳造開始前のロール間距離の基準値を鋳片幅中央部で測定することも好ましい実施形態である。尚、鋳造中のロール間距離の目標値は、鋳造する鋼の成分や鋳造速度に応じて、鋳造中に随時変更することができる。
本発明のロール間距離制御方法では、図9に示すように、熱膨張等のよるロール変形が生じた場合でも[図9(a)]、ロール間距離を一定に制御することができる[図9(b)]。これに対して、従来のロール間距離制御方法(ロール軸受け部の変位測定によってロール間距離を測定する方法)では、図10に示すように、熱膨張によってロール変形が発生した場合には、ロール軸受け間距離が変化しなくても[図10(a)]、ロール間距離が変化することになる[図10(b)]。
本発明を実施するに当り、少なくとも1対のロール対によって、上記のような制御を行えば良いが、できるだけ多くのロール対に対して、上記に制御を行うことによって、制御精度を向上させることができる。例えば、前記図4に示した、傾動フレーム5を備えた装置で、傾動フレームに設置された複数のロール対のうち、少なくとも鋳造方向両端部のロール対を制御することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
(連続鋳造方法)
鋳片厚み:380mm×鋳片幅:600mmのブルーム鋳片を鋳造するブルーム連続鋳造機内部で、内部割れが発生し易い矯正部から下流側の領域において、ロール間距離を変更可能なロールスタンドを設置して、高炭素クロム軸受け鋼を鋳造した、高炭素クロム軸受け鋼は、内部割れが発生し易いので、ロールによる急激な押し込みによって、鋳片凝固核に歪みが発生することを防止するべく、隣接するロール対のロール間距離の相違を、1mm以下に抑制し、かつ最終の鋳片厚みが常に一定となるように、各ロール間距離を調整した。また、ロール間距離を変化させる際に、上ロールを鋳片厚み方向に駆動した。
(内部割れの評価方法)
鋳造後、鋳片から鋳造方向長さ:250mmの鋳片サンプルを採取して、鋳片幅中央で縦に切断し、切断面を研磨後、塩酸で腐食し、内部割れの有無を調査した。
(ロール間距離可変型のロールスタンドにおけるロール駆動方法)
この実験では、スタンド当り4〜5対のロール対を配置したロールスタンドを用いた。
各スタンドでロールを鋳片厚み方向に駆動する駆動装置は、鋳造方向に2箇所、軸心方向に2箇所、合計4箇所配置した。但し、幅方向に2箇所配置した駆動装置は独立させて動かさず、完全に連動するように駆動した。このとき、駆動装置としては、油圧シリンダー7とスクリュージャッキーを組み合わせて用いたが、本発明で用いる駆動装置はこうした構成のものに限らず、機械的駆動方法や、油圧サーボによる駆動方法を単独で採用することができる。
(非鋳造中のロール間距離測定方法)
鋳造開始時に鋳造に先立って、連続鋳造機内の各ロール対間を通過するダミーバーに、接触子が上下の各ロールに接触するように弱い力で広げて、ロール間距離を測定する接触型のロール間距離センサーを設置し、このセンサーによって鋳造前の基準状態でのロール間距離A0を測定した。またロール磨耗が進むと、ロール間距離が鋳片幅方向で異なってくる場合がある。この実験では、前記図6に示したように、中心偏析や内部割れへの影響の大きい鋳片幅方向中央位置で鋳造前のロール間距離を測定した。
非鋳造中のロール間距離測定方法としては、上記の他にも、予め厚みが把握されているダミーバーの特定位置を各ロールで挟み込んだ状態を基準状態とし、この部位のダミーバー厚みをA0としても良い。
(鋳造中のロール変位測定方法)
鋳造中のロール変位を測定するために、ロール間距離を測定するロール対に関し、鋳片とロールが接触する位置での各ロールの鋳片厚み方向変位を測定するため、上ロールの下端近傍および下ロールの上端近傍のロール端部にCCD(信号転送方式)カメラを設置し、側方からロール端部を撮影して画像処理することによって、鋳造中のロール変位を測定した。
このときの画像解析の流れを、図11に示す。まず図11(a),(b)に示すように、撮影した画像からロールエッジ線を検出し、検出したエッジ線を楕円の関数に変換して画像内での接触点座標を算出し[図11(c)]、予め校正しておいた画像内での座標と変位との関係に基づいて、接触点の変位に換算した[図11(d)]。
鋳片厚み方向50mm分のロール変位がCCDカメラ画像の480画素分に対応するように視野を設定することで、約0.1mmの変位分解能を確保できる。尚、一般的に、カメラに対して、画像解析装置は高価である場合が多いため、複数のロールを撮影する複数のカメラの画像信号出力を、ロール間距離制御周期より短い時間間隔で、1つの画像解析装置に順次切り替えて入力することも、設備コストを低減する上で望ましい実施形態である。また本発明方法におけるロール変位を測定する手段については、画像処理による場合に限らず、レーザ変位計、渦流式変位計等の非接触式変位センサーや、接触式の変位センサーや、接触式変位センサーのいずれを採用しても良いことは勿論である。
(ロール変位センサーの固定方法)
ロールの変位は、ロール変位センサーに対する相対的な位置の変化として検出されるので、ロール変位センサーをどのように支持・固定するかも重要な項目である。この実施例では、対をなす上ロール用変位センサー20aと下ロールセンサー20bを熱膨張係数の小さいインバー製で内部を水冷した連結部材で連結することによって、変位センサー間の距離が鋳片」からの輻射熱等の影響で変化しないようにした(前記図8参照)。また、連結された2台のロール変位センサーを2ヶ所のみで固定し、スタンド自体が変形しても、スタンドの変形に拘束されて対を成す2台のロール変位センサー間の距離が変化しないようにした。
本発明を実施するときのロール変位センサー固定方法は、上記に場合に限らず、例えば図12に示すように、上下の各ロール変位センサー20a,20bを上下の各ロール軸受3a,3bに夫々固定すると共に、上下のロール軸受間距離(=上下の変位センサー間距離)の変化も別途測定し(測定器25)、ロール軸受間距離測定結果に基づいて、ロール間距離を補正しても良い。
また、ロール変位センサーをロールスタンドに固定せず、ロールスタンドと独立させて支持することによって、スタンドが変形した際に、ロール間距離測定結果に測定誤差が生じないようにすることも望ましい実施形態である。
(ロール間距離目標値の設定方法)
特に、中心偏析に厳格な鋼では、ロール対毎に、鋼種や鋳造速度に応じた適正なロール間距離を設定する必要がある。本発明者らは、凝固伝熱解析により計算した中心固相率fsがfs<0.6となる上流域については、ロール間距離固定型のロールスタンドを適用し、鋳型下端の鋳片厚み:390mmから、鋳片厚み収縮速度が0.16mm/minの一定値となるように、ロール間距離を下流側ほど徐々に小さくなるようにロール間距離を設定した。
また、中心固相率fsが0.6≦fsとなる領域には、ロール間距離可変型のロールスタンドを適用し、このうち中心固相率fsが0.6≦fs≦0.8となる領域は、鋳片の厚み収縮速度が1.2mm/minとなり、残りの中心固相率fsが0.8≦fsとなる領域は、鋳片の厚み収縮速度が0.5mm/minとなるように、ロール間距離の目標値を設定した。
(ロール間距離の目標値と計測値との差を最小とする制御方法)
ロール間距離測定位置とロール駆動装置の鋳造方向の位置が一致している理想的なケースでは、例えば、測定値−目標値の差に、制御を安定させるための緩和係数e(0<e≦1)を乗じた距離[e×(算出値−目標値)]だけ、ロール間距離が小さくなる方向にロール駆動装置を駆動するように制御すれば良い。一般には、eを小さく設定すれば、目標値と計測値が一致するまでに要する制御ループ回数が多くなるが、鋼の連続鋳造における鋳片の引き抜き速度は0.3〜5mm/程度と低速であるので、eを十分小さく設定して制御の安定化を図ることができる。
例えば、傾動フレームを使用する場合には、図13に示すように、ロール間距離測定位置とロール駆動装置設定位置とは鋳造方向で必ずしも一致しない場合もあり得ることになる。このような場合では、緩和係数eを乗ずる前の駆動装置の押し込み目標距離Zc1,Zc2を下記(4)式、(5)式のように補正して制御することが好ましい。尚、図13において30a〜30dは、ロール変位測定位置を示す。
Zc1=(Zr2−Zr1)・(Xc1−Xr1)/(Xr2−Xr1)+Xr1
…(4)
Zc2=(Zr2−Zr1)・(Xc1−Xr1)/(Xr2−Xr1)+Xr1
…(5)
ここで、
Xr1:スタンド最上流部から上流側ロール間距離測定制御ロールまでの鋳造方向距離
Xr2:スタンド最上流部から下流側ロール間距離測定制御ロールまでの鋳造方向距離
Xc1:スタンド最上流部から上流側ロール駆動装置までの鋳造方向距離
Xc2:スタンド最上流部から上流側ロール駆動装置までの鋳造方向距離
Zr1:上流側ロール間距離測定ロールにおけるロール間距離の計測値−目標値
Zr2:下流側ロール間距離測定ロールにおけるロール間距離の計測値−目標値
Zc1:上流側ロール駆動装置の押し込み目標距離(緩和係数eを乗じる前の値)
Zc2:下流側ロール駆動装置の押し込み目標距離(緩和係数eを乗じる前の値)
である。
尚、この実施例では、スタンド内での鋳造方向の駆動装置の列数(2列)とロール間距離を算出するロール対の数(2対)とを一致させ、ロール間距離の計測値と目標値の差を零とするための押し込み目標距離(緩和係数eを乗じる前の値)を算出したが、後者の数をより多くして、最小二乗法により各ロール対のロール間距離の計測値と目標値の差の二乗和が最小となるように制御してもよく、またロールの両端でロール変位を測定しても良い。
従来のロール間距離制御方法では、ロールスタンドを高い頻度で定期的に交換しても、一部のロールスタンドを交換した直後など、高炭素クロム軸受鋼鋳造時に内部割れが発生する場合があった。これに対して本発明のロール間距離制御方法では、高炭素クロム軸受鋼鋳造時の内部割れを効果的に制御することができた。また、定常部鋳片の厚みの標準偏差も1.0mm以下に制御できた。
ロール間距離の目標に対する広がり量(mm)と、偏析度(Cmax/C0)の関係を示すグラフである。 従来のロールスランドの構成例を示す概略説明図である。 従来のロールスランドの他の構成例を示す概略説明図である。 従来のロールスランドの更に他の構成例を示す概略説明図である。 鋳片がバルジングを生じた状態を説明する図である。 本発明のロール間距離制御の原理を示す概略説明図である。 各方法における測定部位を説明するための概略図である。 本発明方法を実施するための装置構成例を示す概略説明図である。 本発明のロール間距離制御方法を適用したときのロール間距離の制御結果を示す説明図である。 従来のロール間距離制御方法を適用したときのロール間距離制結果を示す説明図である。 画像解析の流れを説明するための図である。 本発明方法を実施するための他の装置構成例を示す概略説明図である。 傾動フレームを使用する場合におけるロール間距離の補正を説明するための図である。
符号の説明
1 スタンドフレーム
2 鋳片
3a,3b ロール軸受
4 ロール
5 傾動フレーム
6 連結部
7 油圧シリンダ
8 位置検出機
10 変位センサー
11 ダミーバー
12 センサー
15 溶鋼

Claims (1)

  1. 対向するロール間距離を変更可能なロール対を含む複数のロール対によって、鋳片厚み方向両端面から鋳片を挟み込みつつ操業するようにした連続鋳造方法において、
    ロール間距離を変更可能なロール対の少なくとも1つについて鋳造中のロール間距離の目標値を設定すると共に、
    当該ロール対を鋳片が通過していないときの基準状態で測定したロール間距離測定結果と、鋳造中に当該ロールを構成する一方または両方のロールの、鋳片との接触点位置における基準状態からのロールの鋳片厚み方向変位の測定結果に基づき、鋳造中における当該ロール対のロール間距離を計測し、
    ロール間距離の目標値と計測値との誤差が最小となるように当該ロール対のロール間距離を制御しつつ操業することを特徴とする連続鋳造方法。
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