JP4459344B2 - バランスドアのドア本体位置調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライド・スイング式ドア装置とも称せられるバランスドアに係り、特に、バランスドアのドア本体の位置を複数方向に位置調整するための装置に関する。
【0002】
【背景技術】
スライド・スイング式ドア装置とも称せられるバランスドアでは、ドア本体の幅方向(水平方向)途中部が、基端部を中心に水平面内で揺動自在な揺動部材となっている上下アーム部材の先端部で垂直軸を中心に回動自在に支持されているとともに、ドア本体の幅方向途中部に設けられたローラ等による被ガイド部材が水平方向へ延びるガイド部材でガイドされるようになっている。このバランスドアによると、ドア本体の開閉動を、開き戸装置よりも開閉動スペースを小さくし、また引戸装置で必要な戸袋を不要にして行えるという利点を得られる。
【0003】
このバランスドアでは、施工現場で組立施工する際や長期間の使用後等においてドア本体の位置調整を行い、これにより、例えば、外枠組みとドア本体との間の隙間を良好な大きさにするなどの作業が行われる。
【0004】
このような調整作業を行えるようにした従来のバランスドアとして、特開平11−241557号が知られている。このバランスドアでは、上アーム部材の先端部や上アーム部材の長手方向途中部、さらには上アーム部材の基端部に、ドア本体の位置を複数の方向に調整するための位置調整を配置し、これらの位置調整手段により互いに直角をなす複数の方向にドア本体の位置を調整できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この従来技術によると、ドア本体の位置を互いに直角をなす複数の方向に調整するための複数の位置調整手段は離間して配置されているため、ドア本体の位置を複数の方向に調整するための作業を行う際に作業者はその離間配置された手段により作業を行わなければならず、作業を効率的に行えないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ドア本体の位置を互いに直角をなす複数の方向に調整する作業を効率的に行えるようになるバランスドアのドア本体位置調整装置を提供するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るバランスドアのドア本体位置調整装置は、ドア本体の幅方向途中部が基端部を中心に水平面内で揺動自在となった揺動部材の先端部で垂直軸を中心に回動自在に支持されているとともに、前記ドア本体の幅方向途中部に設けられた被ガイド部材が水平方向に延びるガイド部材でガイドされているバランスドアの前記ドア本体の位置を調整するための装置であって、前記ドア本体の位置を互いに直角をなす複数の方向へ調整する複数の位置調整手段によって構成されているバランスドアのドア本体位置調整装置において、前記複数の位置調整手段が近接配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
このドア本体位置調整装置によると、ドア本体の位置を互いに直角をなす複数の方向に調整するための複数の位置調整手段は近接配置されているため、ドア本体の位置を複数方向に調整する作業者は、身体と視線とを長い距離動かすことなくほぼ同じ位置にとどめたまま作業を行えることになり、この作業を効率的に行えることになる。
【0009】
本発明において、複数の位置調整手段を互いに近接させて配置する場所は、前記揺動部材の先端部でもよく、この揺動部材の途中部でもよく、この揺動部材の基端部でもよい。
【0010】
しかし、複数の位置調整手段を近接させて配置する場所を揺動部材の先端部とした場合には、この先端部は周囲が開放された場所になっているため、ドア本体の位置調整作業を容易に行えるようになるという効果を得られる。
【0011】
また、前記複数の位置調整手段を前記揺動部材にそれぞれ取り付けられた別々の部材に配置してもよいが、これらの位置調整手段を揺動部材に取り付けられた同じ部材に配置することがより好ましい。
【0012】
このようにすると、複数の位置調整手段は同じ部材に配置されるため、この部材を揺動部材に取り付けると、それぞれの位置調整手段を自ずと所定位置へ配置することができ、また、本発明に係る位置調整装置をこの部材を含めてユニット化することもでき、その取り扱いを容易なものにできる。
【0013】
また、複数の位置調整手段の互いの構造関係は任意なものにすることができる。その一例は、複数の位置調整手段のうちの一つの手段を、この手段によってドア本体の位置調整がなされたときにこの位置調整方向へ移動するスライダ部材を有するものとし、このスライダ部材に複数の位置調整手段のうちの他の手段を取り付けることである。
【0014】
これによると、前記一つの手段にはこの手段による位置調整時の方向に移動するスライダ部材が設けられ、このスライダ部材に他の位置調整手段が取り付けられているため、前記一つの手段によるドア本体の位置調整作業は、前記他の手段によってなされたドア本体の位置調整状態を維持して行えることになり、複数の位置調整手段によるドア本体の複数の方向への位置調整作業を互いの手段同士の干渉が生ずることなく所定どおりに行える。
【0015】
また、ドア本体の位置を互いに直角をなす複数の方向へ調整するための複数の位置調整手段は、任意な部材を任意に操作することによってドア本体の位置調整を行えるようにしてもよいが、これら複数の位置調整手段のいずれも、回転操作されることによりドア本体の位置を調整する回転操作部材を有するようにすることが好ましい。
【0016】
このように、複数の位置調整手段のいずれも、回転操作されることによりドア本体の位置を調整する回転操作部材を有するようにすると、回転操作という作業はきわめて簡単で短時間に行える作業であるため、ドア本体の位置調整作業をこの点でも効率的に行えるようになるという効果を得られる。
【0017】
以上の本発明において、互いに直角をなす複数の方向とは、例えば、ドア本体の幅方向(水平方向)と高さ方向と厚さ方向のうちの2つ以上の方向のことである。施工後のバランスドアにおいて外観性を良好とするためには、ドア本体の幅方向と高さ方向の位置調整が重要であるため、複数の位置調整手段には、ドア本体の位置を幅方向と高さ方向に調整する手段を含めることが望ましい。
【0018】
また、本発明において、先端部でドア本体を支持する揺動部材の基端部はバランスドアの外枠組み等にヒンジで回動自在に連結されていてもよく、あるいは、揺動部材を揺動筒部材等の揺動中心部材から延びるものとした場合には、この揺動中心部材を揺動部材の基端部としてもよい。
【0019】
また、揺動部材は上下のアーム部材でもよく、あるいは、ドア本体の表面又は裏面と対面する面積を有するパネル状の部材でもよい。
【0020】
また、揺動部材を上下のアーム部材とした場合には、複数の位置調整手段のそれぞれをこれらのアーム部材に設けてもよく、いずれか一方だけに設けてもよい。いずれか一方だけに設ける場合には、位置調整作業の容易化のために上アーム部材に設けることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明に係るドア本体位置調整装置は、手動式のバランスドアにも適用でき、自動式のバランスドアにも適用できる。この自動式バランスドアは、閉鎖時のみ自動式となる自閉式バランスドアでもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、トイレ室等の空間を仕切るために間仕切り壁に設けられるバランスドアの場合で、図1はそのバランスドアの室内側を示す正面図であり、図2は、その背面図である。図3は、図1のIII−III線断面図、図4は、図2のIV−IV線断面図である。
【0023】
バランスドアの開口部である出入口1を内側に形成する外枠組み2は、上枠3と、左右の縦枠4,5とで形成され、これらの上枠3、縦枠4,5は、図3、図4に示されているとおり、アンカーブラケット6を介して建物躯体に結合されている。出入口1の縦枠4側の端部には、出入口1の上下方向を軸方向とする中心軸を中心に揺動自在となっている揺動筒部材7が立設され、揺動中心部材になっているこの揺動筒部材7は、図3で示されているように角筒状である。
【0024】
揺動筒部材7の側面の上下端部には、図1で示すように、出入口1の幅方向に延びていて揺動部材になっている上下のアーム部材8,9の後端部が結合され、これらのアーム部材8,9の基端部を形成している揺動筒部材7を中心に出入口1と直角をなす水平面内で揺動自在になっているこれらのアーム部材8,9における出入口1の幅方向の先端部に、出入口1に配置されていて出入口1を開閉するドア本体10の幅方向途中部が連結され、この連結は、出入口1の上下方向を軸方向とする中心軸(垂直軸)を中心に回動自在になされている。また、上枠3の下面には不動部材11が固定され、上アーム部材8が揺動筒部材7を中心とした揺動により上枠3の真下に達したとき、この上アーム部材8と不動部材11とが一直線上に並び、高さ寸法及び幅寸法が互いに対応しているこれらの上アーム部材8と不動部材11とにより、外観上、上枠3の下部の横枠部材が形成されるようになっている。
【0025】
また、図2に示すように、上アーム部材8と不動部材11との裏側において、上枠3の下面には出入口1の幅方向に延びるガイド部材であるガイドレール12が取り付けられ、出入口1の幅方向全長の長さ又はこの全長より短い長さを有しているこのガイドレール12は、図4に示すとおり、下面が開口したチャンネル状であり、この開口した部分には、ガイドレール12の幅方向両側から内側に延びる延出部12Aが形成されている。
【0026】
内部に耐熱材等の芯材10Aが充填されているドア本体10の幅方向途中部の上部には、ドア本体10の厚さ方向に突出したブラケット13が設けられ、このブラケット13に立設された垂直軸14にローラ15が回転自在に取り付けられ、ガイドレール12で案内される被ガイド部材になっているこのローラ15は、ガイドレール12の内部に挿入されて延出部12A上に載せられている。
【0027】
このため、ドア本体10を図1、図2で示された把持部16で押し又は引き操作すると、揺動筒部材7を中心とした上下のアーム部材8,9の揺動運動と、ガイドレール12に沿ったローラ15の直線運動とにより、ドア本体10は、図5の模式的平面図で示すように、アーム部材8,9に対して出入口1と直角をなす水平面内で回動しながら出入口1の幅方向に移動し、出入口1を開閉することになる。図3に示すように、縦枠4,5には戸当たり部材17,18が設けられているため、ドア本体10が出入口1を閉じたときには、ドア本体10の表裏両面に戸当たり部材17,18が当たることにより、ドア本体10のそれ以上の回動が阻止される。
【0028】
また、図面では省略されているが、ドア本体10の両方の端面には、起倒操作自在になっている把持部材16の操作で出没するラッチ部材が配置され、出入口1を閉じたドア本体10からこのラッチ部材が突出し、縦枠4,5に設けられている凹部状のラッチ受け部材に侵入する。
【0029】
図6には、出入口1を閉じたときのドア本体10が実線で示され、出入口1を開いたときのドア本体10が仮想線で示されている。この図6では、縦枠5、揺動筒部材7、上下のアーム部材8,9、不動部材11、ガイドレール12が示され、その他は省略されている。
【0030】
図7には、上下のアーム部材8,9とドア本体10との連結構造が示されている。通常時、上アーム部材8には取り外し自在なカバー20が被せられている。上下のアーム部材8,9とドア本体10との連結は、共に出入口1の上下方向を軸方向とする上アーム部材8側の第1連結ピン22と、下アーム部材9側の第2連結ピン26とを中心にドア本体10が回転自在となってなされている。
【0031】
図7には、前記揺動筒部材7の揺動中心軸に関する構造も示されている。揺動筒部材7の上側の中心軸はピボット装置40のピン41であり、下側の中心軸は、出入口1を開けたときのドア本体10に自閉力を付与するための自閉装置50の作動軸51である。出入口1の上下方向を軸方向とするこれらのピン41と作動軸51を中心に揺動筒部材7は揺動可能である。自閉装置50は、揺動筒部材7の内部下側に収納されている。
【0032】
ピボット装置40は、上枠3に取り付けられた第1基板42と、上アーム部材8の上面に取り付けられた第2基板43とを有し、第2基板43には揺動筒部材7の内部に臨んで前記ピン41が挿入されるピン受け部材44が固定されている。また、第1基板42には、回転させることにより上下方向に移動する操作ねじ45と、一端がこの操作ねじ45に係合し、他端にピン41が係合したレバー46と、このレバー46の揺動中心部材47とが設けられている。
【0033】
揺動筒部材7が前記外枠組み2の内側に形成された出入口1の所定位置に立てられる前は、操作ねじ45がねじ込み操作されていて、レバー46の操作ねじ45側の端部が下がっているため、ピン41は上昇位置にある。揺動筒部材7を所定位置に立てた後、操作ねじ45を回転させてレバー46の操作ねじ45側の端部を上げることにより、ピン41は下降してピン受け部材44の内部に挿入され、これにより揺動筒部材7の上端は上枠3に連結される。
【0034】
図8は、図7のVIII−VIII線断面図である。自閉装置50の本体である外筒52の下部には、四角状のブロック部材53が外筒52と結合一体化されて設けられ、このブロック部材53の内部と外筒52の内部途中まで挿入されている作動軸51(図7参照)の下端51Aがブロック部材53の下面から突出し、この下端51Aは角型テーパ状となっている。揺動筒部材7の内部においてブロック部材53は、図8で示すように、揺動筒部材7にビス54で結合され、したがって外筒52も揺動筒部材7と結合一体化されている。
【0035】
図7、図8で示すとおり、揺動筒部材7が立てられる床55の所定位置には、作動軸51の下端51Aが係合状態で挿入される受け部材56が埋設されており、揺動筒部材7を前述した所定位置に立てる際には、この受け部材56に作動軸51の下端51Aを挿入係合させて行う。受け部材56には床55の上面から垂直部57Aが突出した係止部材57が結合されており、この垂直部57Aを図2、図3で示した前記縦枠4にビス、溶接等で結合する。
【0036】
このため、自閉装置50の作動軸51は、受け部材56、係止部材57を介して縦枠4に連結されており、これに対して揺動筒部材7に結合されている外筒52は、上下アーム部材8,9を揺動させてドア本体10を出入口1に対して開閉動させることによって、揺動筒部材7をピボット装置40のピン41と自閉装置50の作動軸51を中心に揺動させたとき、揺動筒部材7と共に揺動することになり、作動軸51は回転しない。
【0037】
外筒52の内部には螺旋型ばねが収納され、このばねの下端は作動軸51に結合され、上端は外筒52の内部に回転自在に収納されているリング部材61に結合されている。図8に示すとおり、外筒52にはリング部材61の一部が露出する窓孔62が形成されており、この窓孔62に、リング部材61の全周に亘って等間隔で設けられている穴63のうちの複数個が臨んでいる。これら複数個の穴63にピンを順次差し込み、抜き取ることを繰り返すによってリング部材61を一方向に回転させることにより、螺旋型ばねの巻き込みがなされてこのばねにばね力が蓄圧され、一つの穴63に差し込んだピンをそのまま残すことにより、ピンが窓孔62の周縁部に係止されるため、螺旋型ばねのそのときの蓄圧力が維持される。
【0038】
このような状態になっているときに、出入口1を閉じていたドア本体10を開くと、外筒52は揺動筒部材7と共に作動軸51を中心に一方向(螺旋型ばねを巻き込む方向)に揺動することになり、ドア本体10から手を離すと、ドア本体10は螺旋型ばねの蓄圧力で自動的に閉じることになる。このときのドア本体10の自閉力の大きさは、螺旋型ばねに蓄圧されているばね力の大きさに応じたものとなる。
【0039】
したがって、リング部材61を前記ピンで回転させたときの回転角度量の大きさによってドア本体10の自閉力の大きさを決めることができる。また、リング部材61の穴63からピンを抜き取った場合には、リング部材61は外筒52に対し自由状態となって螺旋型ばねの蓄圧力が開放されるため、このときには、バランスドアをドア本体10の自閉力が消滅した手動操作式のものとすることができる。
【0040】
また、外筒52の内部には作動油が充填されている。さらに、外筒52の内部には、この作動油を一方向へは自由に通過させ、作動油の他方向への通過は弁部材で阻止するオリフィスを備えたオリフィス部材と、テーパピンが挿入されていて作動油が流通できる貫通孔を備えた作動油流通絞り部材とが収納されている。
【0041】
出入口1を閉じていたドア本体10を開く場合には、作動油はオリフィスを自由に通過し、したがって、ドア本体10の開き操作は、その開き速度のまま自由に行える。一方、ドア本体10を閉じる場合には、上記弁部材でオリフィスが塞がれ、また、作動油は上記テーパピンが挿入された上記貫通孔をこのテーパピンで絞られながら流通するため、ドア本体10の閉じ速度は減速される。テーパピンは、図8で示された外筒52の上部の円板部材76を回転操作することにより貫通孔に対して移動するため、この円板部材76の回転操作により、貫通孔を作動油が流通するときのテーパピンによる絞り量を変更することができ、これにより、ドア本体10の閉じ速度を調整することができる。
【0042】
なお、揺動筒部材7には、以上のリング部材61、円板部材76を回転操作できるようにするための窓孔80,81が形成されており、これらの窓孔80,81は、通常時、取り外し可能な蓋部材82,83で塞がれている。
【0043】
図7において、この上アーム部材8の先端には止着具であるビス38,39で取付部材21が取り付けられ、取付部材21には前述した第1連結ピン22が垂直に配置されている。ドア本体10の上面にはベアリング保持部材23がビス24で固定され、第1連結ピン22の下部はこの保持部材23で保持されたベアリング25に挿入され、下端のフランジ部22Aがベアリング25の下面に係止されている。また、下アーム部材9の先端には、第1連結ピン22に真下において前述した第2連結ピン26が垂直に設けられ、ドア本体10の下面にはベアリング保持部材27がビス28で固定されている。この保持部材27で保持されたベアリング29に第2連結ピン26が挿入されている。
【0044】
このため、上下のアーム部材8,9とドア本体10との連結は、前述したとおり、垂直軸となっている第1及び第2連結ピン22,26を中心にドア本体10が回転自在となってなされている。
【0045】
また、ドア本体10は第1連結ピン22で上アーム部材8に吊り下げられた状態で支持され、ドア本体10の重量は上アーム部材8で支持されているため、ドア本体10が出入口1に対して開閉動を行うとき、ガイドレール12に挿入係合されている図4の前記ローラ15にドア本体10の重量を支持させる必要がない。このため、ローラ15を、前述のとおり、垂直軸14を中心に回動自在とし、ガイドレール12の内側面をガイド面にさせて転動させればよいため、ガイドレール12に案内させて行わせるローラ15の直線運動を摩擦のない又は極めて小さい円滑のものとして行わせることができ、この結果、ドア本体10の開閉動をスムーズなものにできる。
【0046】
また、本実施形態では、第1連結ピン22には雄ねじ部22Bが形成され、この雄ねじ部22Bは、取付部材21の上面に出入口1の幅方向にスライド自在に配置されたスライダ部材30の孔に挿入されている。そして、この雄ねじ部22Bは、取付部材21の先端から出入口1の幅方向へ形成された凹部21Aに挿入されているとともに、雄ねじ部22Bに上下のロックナット31,32が螺合されている。このため、ロックナット32を緩めた後、ロックナット31を工具等で回り止めしながら第1連結ピン22を回転させると、その回転方向に応じて第1連結ピン22は上下動し、これにより、ドア本体10の全体高さ位置を調整でき、そしてロックナット32を締め付けて第1連結ピン22をロックすることにより、ドア本体10をその高さ位置に固定できる。
【0047】
また、スライダ部材30は、出入口1の幅方向に長い長孔33に挿入されて取付部材21に螺入された止めねじ34で取付部材21に止められているとともに、スライダ部材30の端部に形成されている立上り部30Aには、横向きの調整ねじ35が軸方向には不動となって回転自在に係合支持され、この調整ねじ35は取付部材21の雌ねじ21Bに螺入されている。止めねじ34及び下側のロックナット32を緩めた後、調整ねじ35を工具で回転させると、その回転方向に応じてスライダ部材30は出入口1の幅方向に進退する。これにより、ドア本体10は第2連結ピン26を中心に垂直面内で若干傾きながらも全体的には出入口1の幅方向に移動し、この方向におけるドア本体10の位置が調整された後、止めねじ34及び下側のロックナット32を締め付けることにより、ドア本体10はその位置で固定される。
【0048】
図9には、以上説明した取付部材21を上アーム部材8から分離した状態、すなわち、本実施形態に係るドア本体位置調整装置を上アーム部材8から分離した状態が示されている。第1連結ピン22を回転操作すると、ドア本体10の高さ方向の位置調整がなされるため、この第1連結ピン22と、このピン22に螺合されるロック位置調整ナット31,32とにより、ドア本体10の高さ方向位置調整手段Aが形成されている。また、調整ねじ35を回転操作してスライダ部材30をドア本体10の幅方向に移動させることにより、ドア本体10の幅方向の位置調整がなされるため、これらの調整ねじ35、スライダ部材30、さらには止めねじ34により、ドア本体10の幅方向位置調整手段Bが形成されている。
【0049】
ドア本体10を互いに直角をなす高さ方向と幅方向との2次元方向に位置調整するためのこれらの手段A,Bは、通常時、上アーム部材8に被せられている前述したカバー20で覆われている。
【0050】
これらの手段A,Bによるドア本体10の位置調整作業を行うときには、ドア本体10を前記出入口1から開き移動させることにより、上アーム部材8の先端部を前記上枠2の下側から突出させた後、カバー20を取り外す。そして、ドア本体10の位置調整作業を、前述したように第1連結ピン22、調整ねじ34を回転操作することにより行う。
【0051】
本実施形態によると、両方の位置調整手段A,Bは上アーム部材8の先端部において互いに近接して配置されているため、これらの手段A,Bでドア本体10を高さ方向と幅方向に位置調整する作業は、作業者が身体と視線とを長い距離動かすことなく効率的行え、作業を短時間で実施できる。
【0052】
また、両方の位置調整手段A,Bは上アーム部材8の先端部に配置され、この先端部は、ドア本体10を出入口1から開き移動させ、カバー20を取り外すと、周囲が開放された場所になっているため、位置調整手段A,Bによるドア本体10の位置調整作業を邪魔するものがない開放状態の空間で容易に行える。
【0053】
また、両方の位置調整手段A、Bは上アーム部材8に取り付けられる同じ取付部材21に配置される構造になっているため、取付部材21をビス38,39で上アーム部材8に取り付けるときに、これらの位置調整手段A,Bを自ずと上アーム部材8の所定位置に配置できることになり、これら位置調整手段A,Bの配置作業を簡単に行える。
【0054】
さらに、ベアリング保持部材23がドア本体10にビス24で取り付けられる前の工場等においては、第1連結ピン22を上下のロックナット31,32で取付部材21に取り付けておくことができるため、位置調整手段A,Bを取付部材21を含めてユニット化されたものとすることができ、このため、これらの取り扱いを容易化することができる。
【0055】
また、ドア本体10を高さ方向に位置調整するための手段Aは、ドア本体10を幅方向に位置調整するための手段Bを構成しているスライダ部材30の孔30Bに第1連結ピン22を挿入したものとなっているため、高さ方向位置調整手段Aが幅方向位置調整手段Bに取り付けられた構造となっている。このため、幅方向位置調整手段Bの調整ねじ35の回転操作によりスライダ部材30をドア本体10の幅方向に移動させ、この方向にドア本体10の位置調整を行った場合には、同じ方向へ高さ方向位置調整手段Aも移動することになる。
【0056】
このため、高さ方向位置調整手段Aによるドア本体10の高さ方向位置調整後の状態をそのまま維持しながら、幅方向位置調整手段Bによるドア本体10の幅方向の位置調整作業を行え、両方の手段A,Bによるドア本体の2方向への位置調整作業を互いに独立させて行える。
【0057】
さらに、両方の手段A,Bは、第1連結ピン22、調整ねじ35を回転操作することによりドア本体10の位置を調整するものとなっており、回転操作は極めて容易な作業であって微調整もできるため、本実施形態によると、回転操作部材になっているこれらの第1連結ピン22と調整ねじ35とにより、ドア本体10の高さ方向と幅方向の位置調整作業を簡単かつ微妙に行え、この結果、ドア本体10の周囲の隙間調整を簡単かつ正確に行える。
【0058】
【発明の効果】
本発明によると、ドア本体の位置を互いに直角をなす複数の方向に調整する作業を効率的に行えるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バランスドアの室内側を示す正面図である。
【図2】バランスドアの背面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】ドア本体の開閉時の運動を示す模式的平面図である。
【図6】ドア本体が閉じたときを実線で、開いたときを仮想線で示した斜視図である。
【図7】ドア本体の位置調整装置を含む揺動部材である上下のアーム部材とドア本体との連結構造、及び揺動中心部材である揺動筒部材の揺動中心軸の構造を示す一部破断のドア本体及びその周囲の縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7で示されたドア本体の位置調整装置を上アームから分離させた状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 開口部である出入口
2 バランスドアの外枠組み
7 揺動中心部材である揺動筒部材
8,9 揺動部材である上下のアーム部材
10 ドア本体
12 ガイド部材であるガイドレール
15 被ガイド部材であるローラ
21 2個のドア本体位置調整手段が配置された取付部材
22 回転操作部材である連結ピン
30 スライダ部材
35 回転操作部材である調整ねじ
A ドア本体の高さ方向位置調整手段
B ドア本体の幅方向位置調整手段
Claims (4)
- 外枠組みの内側に形成された開口部に配置されてこの開口部を開閉するドア本体の幅方向途中部が、前記外枠組みに対して基端部を中心に水平面内で揺動自在となった揺動部材の先端部で垂直軸を中心に回動自在に支持されているとともに、前記ドア本体の幅方向途中部に設けられた被ガイド部材が、前記外枠組みを形成している上枠に取り付けられかつ水平方向に延びるガイド部材でガイドされているバランスドアの前記ドア本体の位置を調整するための装置であって、
前記揺動部材は前記ドア本体の上下に配置された上アーム部材と下アーム部材であり、これらの上下のアーム部材のうち、前記上アーム部材と前記ドア本体とが第1連結ピンで連結されているとともに、前記下アーム部材と前記ドア本体とが第2連結ピンで連結されており、これらの第1及び第2連結ピンが前記垂直軸であり、
前記ドア本体は前記第1連結ピンで前記上アーム部材に吊り上げられた状態で支持され、
前記上アームの先端に取付部材が取り付けられ、この取付部材の上面にスライダ部材が前記幅方向にスライド自在に配置されているとともに、前記第1連結ピンに形成された雄ねじ部が、前記取付部材に前記幅方向に形成された凹部と、前記スライダ部材に形成された孔とに挿入され、前記雄ねじ部に、前記取付部材及び前記スライダ部材の上下において2個のロックナットが螺合され、
前記第1連結ピンは回転されることにより上下動することを特徴とするバランスドアのドア本体位置調整装置。 - 請求項1に記載のバランスドアのドア本体位置調整装置において、前記第1連結ピンの下部は、前記ドア本体の上面にベアリング保持部材で保持されているベアリングに挿入され、このベアリングの下面に前記第1連結ピンの下端のフランジ部が係止されていることを特徴とするバランスドアのドア本体位置調整装置。
- 請求項1又は2に記載のバランスドアのドア本体位置調整装置において、前記上アーム部材には、前記第1連結ピン、前記取付部材及びスライダ部材を含めて前記上アーム部材を覆うカバーが取り外し自在に被せられていることを特徴とするバランスドアのドア本体位置調整装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のバランスドアのドア本体位置調整装置において、前記被ガイド部材は垂直軸を中心に回転自在なローラであり、このローラは前記ガイド部材となっているガイドレールの内部に挿入され、このガイドレールの内側面をガイド面にさせて前記ローラは転動自在となっていることを特徴とするバランスドアのドア本体位置調整装置。
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