JP4459359B2 - バランスドア - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライド・スイング式ドア装置とも称せられるバランスドアに係り、特に、ドア本体が引き操作されることにより容易に開くようにしたバランスドアに関する。
【0002】
【背景技術】
スライド・スイング式ドア装置とも称せられるバランスドアでは、ドア本体の幅方向(水平方向)途中部が、基端部を中心に水平面内で揺動自在となっている揺動部材の先端部で垂直軸を中心に回動自在に支持されているとともに、ドア本体の幅方向途中部に設けられたローラ等による被ガイド部材がドア本体の幅方向へ延びるガイド部材でガイドされるようになっている。このバランスドアでは、被ガイド部材がガイド部材で案内されながらドア本体の幅方向へ移動しつつ、ドア本体が、基端部を中心に揺動する揺動部材の先端部の垂直軸を中心にして回動することにより開口部を開閉する。これによると、ドア本体の開閉動を、開き戸装置よりも開閉動スペースを小さくし、また引戸装置で必要な戸袋を不要にして行えるという利点を得られる。
【0003】
従来のバランスドアでは、ドア本体の幅方向途中部と揺動部材の先端部との連結部が、ドア本体の厚さ方向中央部に設けられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
バランスドアでは、ドア本体を開くために、揺動部材をこの揺動部材の基端部を中心に揺動させなければならないが、このように、ドア本体の幅方向途中部と揺動部材の先端部との連結部がドア本体の厚さ方向中央部に設けられていると、ドア本体をドア本体に設けられている把持部により引戸の感覚で引き操作した場合、その引き操作力の作用線上にこの連結部が存在するため、引き操作力によって揺動部材をこの揺動部材の基端部を中心に揺動させようとする力は生じない。このため、ドア本体を引き操作しただけでは開けることはできず、押すなどの操作も行わなければならないため、ドア本体の開き操作を容易に行えないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、ドア本体を引き操作することにより容易に開くことができるようになるバランスドアを提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るバランスドアは、ドア本体の幅方向途中部が、基端部を中心に揺動自在となった揺動部材の先端部で回動自在に支持されているとともに、前記ドア本体の幅方向途中部に設けられた被ガイド部材が、前記ドア本体の幅方向に延びるガイド部材でガイドされているバランスドアにおいて、前記ドア本体の幅方向途中部と前記揺動部材の先端部との連結部が、前記ドア本体の厚さ方向中央部から偏芯していることを特徴とするものである。
【0007】
このバランスドアによると、ドア本体の幅方向途中部と揺動部材の先端部との連結部がドア本体の厚さ方向中央部に配置されておらず、この連結部はドア本体の厚さ方向中央部から偏芯しているため、ドア本体を引戸の感覚で引き操作した場合、この引き操作力によって揺動部材をこの揺動部材の基端部を中心に揺動させようとする力が生ずる。このため、揺動部材の揺動がなされ、ドア本体を単に引き操作するだけで容易に開くことができる。
【0008】
このように引き操作力によって揺動部材をこの揺動部材の基端部を中心に揺動させようとする力を生じさせるためには、閉じているときのドア本体の厚さ方向中心部の延長線上に揺動部材の揺動中心部を配置すればよく、また、ドア本体が閉じているときにおける上記基端部からの揺動部材の延び方向が前記引き操作力の方向に対して傾き角度を有していればよい。
【0009】
本発明において、ドア本体の幅方向途中部が揺動部材の先端部で回動自在に支持されることは、揺動部材がこの揺動部材の基端部を中心に揺動を行う面と直角をなす軸、すなわち、揺動部材がこの揺動部材の基端部を中心に揺動を行う面が水平面である場合には、水平面と直角をなす軸である垂直軸を中心として、ドア本体の幅方向途中部が基端部を中心に揺動自在となった揺動部材の先端部で回動自在に支持されることによりなされ、本発明は、基端部を中心に揺動する揺動部材の揺動面が水平面以外の面、例えば、垂直面や傾斜面となっているバランスドアにも適用できる。
【0010】
前記連結部は揺動部材の先端に直接設けてもよく、揺動部材の先端に取り付け、取り外し自在な取付部材を設け、この取付部材に、ドア本体と連結されて前記連結部を形成する連結部材を設けるようにしてもよい。
【0011】
後者とした場合には、複数の取付部材を用意し、それぞれの取付部材に設ける連結部材についてドア本体厚さ方向中央部からの偏芯量を異ならせ、そして、用いる取付部材を選択できるようにしておくと、ドア本体の寸法等を違えて各種用意されるそれぞれのバランスドアごとに適切となった偏芯量を設定することができるようになり、各種のサイズのバランスドアに対して有効に適用できるようになる。
【0012】
また、前記揺動部材は、ドア本体の表面又は裏面と対面する面積を有するパネル状のものでもよく、ドア本体の上下に配置される上アーム部材と下アーム部材とからなるものでもよい。
【0013】
揺動部材を、ドア本体の上下に配置される上アーム部材と下アーム部材とからなるものとした場合には、ドア本体の幅方向途中部と上アーム部材の先端部との連結部、及びドア本体の幅方向途中部と下アーム部材の先端部との連結部を、ドア本体の厚さ方向中央部から偏芯させることにより、ドア本体を引戸の感覚で引き操作した場合に、この引き操作力によって上下のアーム部材をこれらのアーム部材の基端部を中心に揺動させようとする力が生じ、これにより、上下のアーム部材の揺動がなされ、ドア本体を単に引き操作するだけで容易に開くことができる。
【0014】
このように揺動部材をドア本体の上下に配置される上アーム部材と下アーム部材とからなるものとした場合には、上アーム部材と下アーム部材のうち、少なくとも一方の先端に取り付け、取り外し自在な取付部材を設け、この取付部材に、ドア本体と連結されて前記一方との前記連結部を形成する連結部材を設けてもよい。
【0015】
このようにした場合には、前述と同じく、複数の取付部材を用意し、それぞれの取付部材に設ける連結部材についてドア本体厚さ方向中央部からの偏芯量を異ならせ、そして、用いる取付部材を選択できるようにしておくことにより、ドア本体の寸法等を違えて各種用意されるそれぞれのバランスドアごとに適切となった偏芯量を設定することができるようになる。
【0016】
また、揺動部材がドア本体の表面又は裏面と対面する面積を有するパネル状のものになっている場合と、ドア本体の上下に配置される上アーム部材と下アーム部材とからなるものになっている場合との両方において、前記取付部材には、揺動部材に対するドア本体の位置を調整するための位置調整手段を設けてもよい。
【0017】
このようにすると、揺動部材に対するドア本体の位置調整作業や、ドア本体の外側に外枠組みが配置されていればその外枠組みに対するドア本体の位置調整作業を行えるようになるとともに、前記連結部を形成する前記連結部材と上記位置調整手段とを取付部材にまとめて配置できるようになり、これらの配置を合理的かつコンパクトに行えるようになる。
【0018】
このようにした場合、位置調整手段はドア本体の位置を一つの方向に調整する1個だけでもよく、ドア本体の位置を互いに直角をなす複数の方向に調整するための複数個でもよい。
【0019】
また、本発明に係るバランスドアには、揺動部材をこの揺動部材の基端部を中心に戻り揺動させてドア本体に自閉力を付与するための自閉装置を設けてもよく、設けなくてもよい。
【0020】
バランスドアにこのような自閉装置を設け、そして、ドア本体の幅方向途中部と、パネル状のもの又は上下のアーム部材からなるものになっている前記揺動部材の先端部との連結部を、前記ドア本体の厚さ方向中央部から偏芯させると、自閉装置の自閉力により、ドア本体が閉じた後もドア本体をさらに閉じ方向へ移動させようとする力が生ずることになる。このため、ドア本体の閉じ状態をより確実なものにできるという作用効果を得られる。
【0021】
この自閉装置は、パネル状のもの又は上下のアーム部材からなるものになっている前記揺動部材の揺動中心部である前記基端部に揺動中心部材が設けられていれば、この揺動中心部材に配置してもよく、あるいは、ドア本体の外側に外枠組みがあればその外枠組みと、揺動部材との間に配置してもよく、その配置位置は任意である。
【0022】
また、自閉装置の原理、構造等は、揺動部材をこの揺動部材の基端部を中心に戻り揺動させようとする自閉力を生じさせるものであれば、例えば、螺旋型ばね(ねじり型ばね)又は圧縮型ばね等を使用したものでよく、任意である。
【0023】
さらに、パネル状のもの又は上下のアーム部材からなるものになっている前記揺動部材の揺動中心部は、ドア本体の外側に外枠組みが設けられていれば、この外枠組みと揺動部材との連結部となっていてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、トイレ室等の空間を仕切るために間仕切り壁に設けられるバランスドアの場合で、図1はそのバランスドアの室内側を示す正面図であり、図2は、その背面図である。図3は、図1のIII−III線断面図、図4は、図2のIV−IV線断面図である。
【0025】
バランスドアの開口部である出入口1を内側に形成する外枠組み2は、上枠3と、左右の縦枠4,5とで形成され、これらの上枠3、縦枠4,5は、図3、図4に示されているとおり、アンカーブラケット6を介して建物躯体に結合されている。出入口1の縦枠4側の端部には、出入口1の上下方向を軸方向とする中心軸を中心に揺動自在となっている揺動筒部材7が立設され、揺動中心部材になっているこの揺動筒部材7は、図3で示されているように角筒状である。
【0026】
揺動筒部材7の側面の上下端部には、図1で示すように、出入口1の幅方向に延びていて揺動部材になっている上下のアーム部材8,9の後端部が結合され、これらのアーム部材8,9の基端部を形成している揺動筒部材7を中心に出入口1と直角をなす水平面内で揺動自在になっているこれらのアーム部材8,9における出入口1の幅方向の先端部に、出入口1に配置されていて出入口1を開閉するドア本体10の幅方向途中部が連結され、この連結は、出入口1の上下方向を軸方向とする中心軸(垂直軸)を中心に回動自在になされている。また、上枠3の下面には不動部材11が固定され、上アーム部材8が揺動筒部材7を中心とした揺動により上枠3の真下に達したとき、この上アーム部材8と不動部材11とが一直線上に並び、高さ寸法及び幅寸法が互いに対応しているこれらの上アーム部材8と不動部材11とにより、外観上、上枠3の下部の横枠部材が形成されるようになっている。
【0027】
また、図2に示すように、上アーム部材8と不動部材11との裏側において、上枠3の下面には出入口1の幅方向、すなわち、ドア本体10の幅方向に延びるガイド部材であるガイドレール12が取り付けられ、出入口1の幅方向全長の長さ又はこの全長より短い長さを有しているこのガイドレール12は、図4に示すとおり、下面が開口したチャンネル状であり、この開口した部分には、ガイドレール12の幅方向両側から内側に延びる延出部12Aが形成されている。
【0028】
内部に耐熱材等の芯材10Aが充填されているドア本体10の幅方向途中部の上部には、ドア本体10の厚さ方向に突出したブラケット13が設けられ、このブラケット13に立設された垂直軸14にローラ15が回転自在に取り付けられ、ガイドレール12で案内される被ガイド部材になっているこのローラ15は、ガイドレール12の内部に挿入されて延出部12A上に載せられている。
【0029】
このため、ドア本体10を図1、図2で示された把持部16で操作すると、揺動筒部材7を中心とした上下のアーム部材8,9の揺動運動と、ガイドレール12に沿ったローラ15の直線運動とにより、ドア本体10は、図5の模式的平面図で示すように、アーム部材8,9に対して出入口1と直角をなす水平面内で回動しながら出入口1の幅方向に移動することにより、すなわち、ローラ15がガイドレール12で案内されながらドア本体10の幅方向へ移動しつつ、ドア本体10が、基端部を中心に揺動する上下のアーム部材8,9の先端部の垂直軸を中心にして回動することにより、出入口1を開閉することになる。
【0030】
図3に示すように、縦枠4,5には戸当たり部材17,18が設けられているため、ドア本体10が出入口1を閉じたときには、ドア本体10の表裏両面に戸当たり部材17,18が当たることにより、ドア本体10のそれ以上の回動が阻止される。
【0031】
また、図面では省略されているが、ドア本体10の両方の端面には、起倒操作自在になっている把持部材16の操作で出没するラッチ部材が配置され、出入口1を閉じたドア本体10からこのラッチ部材が突出し、縦枠4,5に設けられている凹部状のラッチ受け部材に侵入する。
【0032】
図6には、出入口1を閉じたときのドア本体10が実線で示され、出入口1を開いたときのドア本体10が仮想線で示されている。この図6では、縦枠5、揺動筒部材7、上下のアーム部材8,9、不動部材11、ガイドレール12が示され、その他は省略されている。
【0033】
図7には、上下のアーム部材8,9とドア本体10との連結構造が示されている。通常時、上アーム部材8には取り外し自在なカバー20が被せられている。上下のアーム部材8,9とドア本体10との連結は、共に出入口1の上下方向を軸方向とする上アーム部材8側の第1連結ピン22と、下アーム部材9側の第2連結ピン26とを中心にドア本体10が回転自在となってなされている。これらの連結ピン22,26が、上下のアーム部材8,9の先端部の前述した垂直軸である。
【0034】
図7には、前記揺動筒部材7の揺動中心軸に関する構造も示されている。揺動筒部材7の上側の中心軸はピボット装置40のピン41であり、下側の中心軸は、出入口1を開けたときに、上下アーム8,9に基端部を中心とした戻り揺動力を生じさせることにより、ドア本体10に自閉力を付与するための自閉装置50の作動軸51である。出入口1の上下方向を軸方向とするこれらのピン41と作動軸51を中心に揺動筒部材7は揺動可能である。自閉装置50は、揺動筒部材7の内部下側に収納されている。
【0035】
ピボット装置40は、上枠3に取り付けられた第1基板42と、上アーム部材8の上面に取り付けられた第2基板43とを有し、第2基板43には揺動筒部材7の内部に臨んで前記ピン41が挿入されるピン受け部材44が固定されている。また、第1基板42には、回転させることにより上下方向に移動する操作ねじ45と、一端がこの操作ねじ45に係合し、他端にピン41が係合したレバー46と、このレバー46の揺動中心部材47とが設けられている。
【0036】
揺動筒部材7が前記外枠組み2の内側に形成された出入口1の所定位置に立てられる前は、操作ねじ45がねじ込み操作されていて、レバー46の操作ねじ45側の端部が下がっているため、ピン41は上昇位置にある。揺動筒部材7を所定位置に立てた後、操作ねじ45を回転させてレバー46の操作ねじ45側の端部を上げることにより、ピン41は下降してピン受け部材44の内部に挿入され、これにより揺動筒部材7の上端は上枠3に連結される。
【0037】
図8は、図7のVIII−VIII線断面図である。自閉装置50の本体である外筒52の下部には、四角状のブロック部材53が外筒52と結合一体化されて設けられ、このブロック部材53の内部と外筒52の内部途中まで挿入されている作動軸51(図7参照)の下端51Aがブロック部材53の下面から突出し、この下端51Aは角型テーパ状となっている。揺動筒部材7の内部においてブロック部材53は、図8で示すように、揺動筒部材7にビス54で結合され、したがって外筒52も揺動筒部材7と結合一体化されている。
【0038】
図7、図8で示すとおり、揺動筒部材7が立てられる床55の所定位置には、作動軸51の下端51Aが係合状態で挿入される受け部材56が埋設されており、揺動筒部材7を前述した所定位置に立てる際には、この受け部材56に作動軸51の下端51Aを挿入係合させて行う。受け部材56には床55の上面から垂直部57Aが突出した係止部材57が結合されており、この垂直部57Aを図2、図3で示した前記縦枠4にビス、溶接等で結合する。
【0039】
このため、自閉装置50の作動軸51は、受け部材56、係止部材57を介して縦枠4に連結されており、これに対して揺動筒部材7に結合されている外筒52は、上下アーム部材8,9を揺動させてドア本体10を出入口1に対して開閉動させることによって、揺動筒部材7をピボット装置40のピン41と自閉装置50の作動軸51を中心に揺動させたとき、揺動筒部材7と共に揺動することになり、作動軸51は回転しない。
【0040】
外筒52の内部には螺旋型ばねが収納され、このばねの下端は作動軸51に結合され、上端は外筒52の内部に回転自在に収納されているリング部材61に結合されている。図8に示すとおり、外筒52にはリング部材61の一部が露出する窓孔62が形成されており、この窓孔62に、リング部材61の全周に亘って等間隔で設けられている穴63のうちの複数個が臨んでいる。これら複数個の穴63にピンを順次差し込み、抜き取ることを繰り返すによってリング部材61を一方向に回転させることにより、螺旋型ばねの巻き込みがなされてこのばねにばね力が蓄圧され、一つの穴63に差し込んだピンをそのまま残すことにより、ピンが窓孔62の周縁部に係止されるため、螺旋型ばねのそのときの蓄圧力が維持される。
【0041】
このような状態になっているときに、出入口1を閉じていたドア本体10を開くと、外筒52は揺動筒部材7と共に作動軸51を中心に一方向(螺旋型ばねを巻き込む方向)に揺動することになり、ドア本体10から手を離すと、ドア本体10は螺旋型ばねの蓄圧力で自動的に閉じることになる。このときのドア本体10の自閉力の大きさは、螺旋型ばねに蓄圧されているばね力の大きさに応じたものとなる。
【0042】
したがって、リング部材61を前記ピンで回転させたときの回転角度量の大きさによってドア本体10の自閉力の大きさを決めることができる。また、リング部材61の穴63からピンを抜き取った場合には、リング部材61は外筒52に対し自由状態となって螺旋型ばねの蓄圧力が開放されるため、このときには、バランスドアをドア本体10の自閉力が消滅した手動操作式のものとすることができる。
【0043】
また、外筒52の内部には作動油が充填されている。さらに、外筒52の内部には、この作動油を一方向へは自由に通過させ、作動油の他方向への通過は弁部材で阻止するオリフィスを備えたオリフィス部材と、テーパピンが挿入されていて作動油が流通できる貫通孔を備えた作動油流通絞り部材とが収納されている。
【0044】
出入口1を閉じていたドア本体10を開く場合には、作動油はオリフィスを自由に通過し、したがって、ドア本体10の開き操作は、その開き速度のまま自由に行える。一方、ドア本体10を閉じる場合には、上記弁部材でオリフィスが塞がれ、また、作動油は上記テーパピンが挿入された上記貫通孔をこのテーパピンで絞られながら流通するため、ドア本体10の閉じ速度は減速される。テーパピンは、図8で示された外筒52の上部の円板部材76を回転操作することにより貫通孔に対して移動するため、この円板部材76の回転操作により、貫通孔を作動油が流通するときのテーパピンによる絞り量を変更することができ、これにより、ドア本体10の閉じ速度を調整することができる。
【0045】
なお、揺動筒部材7には、以上のリング部材61、円板部材76を回転操作できるようにするための窓孔80,81が形成されており、これらの窓孔80,81は、通常時、取り外し可能な蓋部材82,83で塞がれている。
【0046】
図7において、上アーム部材8の先端には止着具であるビス38,39で取付部材21が取り付けられ、取付部材21には前述した第1連結ピン22が垂直に配置されている。ドア本体10の上面にはベアリング保持部材23がビス24で固定され、第1連結ピン22の下部はこの保持部材23で保持されたベアリング25に挿入され、下端のフランジ部22Aがベアリング25の下面に係止されている。また、下アーム部材9の先端には、第1連結ピン22の真下において前述した第2連結ピン26が垂直に設けられ、ドア本体10の下面にはベアリング保持部材27がビス28で固定されている。この保持部材27で保持されたベアリング29に第2連結ピン26が挿入され、この第2連結ピン26は、固定具である小ねじ26Aで下アーム部材9に固定されている。
【0047】
このため、上下のアーム部材8,9の先端部とドア本体10の幅方向途中部との連結は、前述したとおり、垂直軸となっている第1及び第2連結ピン22,26を中心にドア本体10が回転自在となってなされている。したがって、これらの連結ピン22,26によって上下のアーム部材8,9の先端部とドア本体10の幅方向途中部との連結部が形成され、連結ピン22,26はこれらを連結するための連結部材となっている。
【0048】
また、ドア本体10は第1連結ピン22で上アーム部材8に吊り下げられた状態で支持され、ドア本体10の重量は上アーム部材8で支持されているため、ドア本体10が出入口1に対して開閉動を行うとき、ガイドレール12に挿入係合されている図4の前記ローラ15にドア本体10の重量を支持させる必要がない。このため、ローラ15を、前述のとおり、垂直軸14を中心に回動自在とし、ガイドレール12の内側面をガイド面にさせて転動させればよいため、ガイドレール12に案内させて行わせるローラ15の直線運動を摩擦のない又は極めて小さい円滑のものとして行わせることができ、この結果、ドア本体10の開閉動をスムーズなものにできる。
【0049】
また、本実施形態では、第1連結ピン22には雄ねじ部22Bが形成され、この雄ねじ部22Bは、取付部材21の上面に出入口1の幅方向にスライド自在に配置されたスライダ部材30の孔に挿入されている。そして、この雄ねじ部22Bは、取付部材21の先端から出入口1の幅方向へ形成された凹部21Aに挿入されているとともに、雄ねじ部22Bに上下のロックナット31,32が螺合されている。このため、ロックナット32を緩めた後、ロックナット31を工具等で回り止めしながら第1連結ピン22を回転させると、その回転方向に応じて第1連結ピン22は上下動し、これにより、ドア本体10の全体高さ位置を上下のアーム部材8,9及び外枠組み2に対して調整でき、そしてロックナット32を締め付けて第1連結ピン22をロックすることにより、ドア本体10をその高さ位置に固定できる。
【0050】
また、スライダ部材30は、出入口1の幅方向に長い長孔33に挿入されて取付部材21に螺入された止めねじ34で取付部材21に止められているとともに、スライダ部材30の端部に形成されている立上り部30Aには、横向きの調整ねじ35が軸方向には不動となって回転自在に係合支持され、この調整ねじ35は取付部材21の雌ねじ21Bに螺入されている。止めねじ34及び下側のロックナット32を緩めた後、調整ねじ35を工具で回転させると、その回転方向に応じてスライダ部材30は出入口1の幅方向に進退する。これにより、ドア本体10は第2連結ピン26を中心に垂直面内で若干傾きながらも全体的には出入口1の幅方向に移動し、この方向におけるドア本体10の上下のアーム部材8,9及び外枠組み2に対する位置が調整された後、止めねじ34及び下側のロックナット32を締め付けることにより、ドア本体10はその位置で固定される。
【0051】
図9には、以上説明した取付部材21を上アーム部材8から分離し、ドア本体10の上端に設けられている前記ベアリング保持部材23もドア本体10から分離した状態が示されている。
【0052】
前述したとおり、第1連結ピン22を回転操作すると、ドア本体10の高さ方向の位置調整がなされるため、この第1連結ピン22と、このピン22に螺合されるロック位置調整ナット31,32とにより、ドア本体10の高さ方向位置調整手段Aが形成されている。また、調整ねじ35を回転操作してスライダ部材30をドア本体10の幅方向に移動させることにより、ドア本体10の幅方向の位置調整がなされるため、これらの調整ねじ35、スライダ部材30、さらには止めねじ34により、ドア本体10の幅方向位置調整手段Bが形成されている。
【0053】
ドア本体10を互いに直角をなす高さ方向と幅方向との2次元方向に位置調整するためのこれらの手段A,Bは、通常時、上アーム部材8に被せられている前述したカバー20で覆われている。
【0054】
これらの手段A,Bによるドア本体10の位置調整作業を行うときには、ドア本体10を前記出入口1から開き移動させることにより、上アーム部材8の先端部を前記上枠2の下側から突出させた後、カバー20を取り外す。そして、ドア本体10の位置調整作業を、前述したように第1連結ピン22、調整ねじ34を回転操作することにより行う。
【0055】
本実施形態では、これらの位置調整手段A,Bは、上アーム部材8にビス38,39で取り付け、取り外し自在に設けられている取付部材21に配置されている。
【0056】
取付部材21の上アーム部材8への取り付けはビス38,39でなされ、この取り付け時には、ベアリング25を保持した前記ベアリング保持部材23をビス24でドア本体10の上端に取り付けておき、予めベアリング25に下側から挿入しておいた第1連結ピン22を取付部材12の前記凹部21A及びスライダ部材30の孔30Bに挿入し、この第1連結ピン2に螺合しておいたロックナット31,32の締め付けを行う。これにより、上アーム部材8とドア本体10とは、これらを連結するための連結部材となっている第1連結ピン22で連結されることになる。
【0057】
図10には、図7で示されたドア本体10の下端のベアリング保持部材27をドア本体10から分離した状態が示されている。このベアリング保持部材27はビス28でドア本体10の下端に取り付けられ、この取り付け後、小ねじ26Aで下アーム部材9に固定されていた前記第2連結ピン26をベアリング29に挿入する。これにより、下アーム部材9とドア本体10とは、これらを連結するための連結部材となっている第2連結ピン26で連結されることになる。
【0058】
図11は、図7のXI―XI線断面図である。この図で示すように、第1連結ピン22及び第2連結ピン26はドア本体10の厚さ方向中央部に配置されておらず、この厚さ方向中央部から偏芯量Eだけずれた位置に配置されている。したがって、ドア本体10と上下のアーム部材8,9との連結部は、ドア本体10の厚さ方向中央部からEだけ偏芯している。この偏芯方向は、図5で示した上下のアーム8,9が前記揺動筒部材7を中心に揺動する側である。
【0059】
図12は、上アーム部材8、ドア本体10、揺動筒部材7の概略平面図である。以上のように、ドア本体10と上下のアーム部材8,9とのピン22,26による連結部Hをドア本体10の厚さ方向中央部からEだけ偏芯させておくと、ドア本体10を開くためにドア本体10に設けられている前記把持部材16でドア本体10を図12において左側に引き操作した場合、把持部材16の配置位置と対応するドア本体10の厚さ方向中央部の箇所Gでは、図13のベクトル図で示すとおり、ドア本体10の幅方向への引き操作力Fが生ずる。この操作力Fにより、連結部Hがドア本体10の厚さ方向中央部からEだけ偏芯していることから、引き操作力Fを受けるこの連結部Hにおいて、上下のアーム部材8,9と直角をなす分力F1と、この分力F1に直角で上下のアーム部材8,9の延び方向(長さ方向)と一致する分力F2とが生ずる。上下のアーム部材8,9の揺動中心部となっている前記揺動筒部材7は、前記出入口1を閉じているときのドア本体10の厚さ方向中心部の延長線上にあるため、これらの分力のうち、分力F1は、上下のアーム部材8,9を上記揺動中心部を中心に揺動させるための力となる。
【0060】
この結果、ドア本体10を横に引くだけで、すなわち、ドア本体10を引戸の感覚で引き操作するだけで、上下のアーム部材8,9を揺動させてドア本体10を容易に開くことができる。
【0061】
また、図14は、ドア本体10が出入口1を閉じているときにおける前記自閉装置50の自閉力によるベクトル図である。このときには、自閉装置50の前記螺旋型ばねの蓄圧力により、上下のアーム部材8,9には上記揺動中心部を中心にアーム部材8,9を戻り揺動させようとする力、すわなち、これらのアーム部材8,9の揺動円の接線方向への戻り揺動力Fが作用している。前記連結部Hがドア本体10の厚さ方向中央部から偏芯しているため、この戻り揺動力Fにより、互いに直角をなす分力F1とF2とが生ずる。これらの分力F1とF2のうち、分力F1は、図5で示したドア本体10の開閉時の運動を示す模式的平面図から理解できるように、ドア本体10をドア本体10の幅方向へ移動させようとする力となり、このため、出入口1に対してドア本体10が少し開いた状態で止まっていても、ドア本体10を確実に閉じた位置まで移動させることになり、ドア本体10の確実な閉じ状態を確保することができる。
【0062】
また、本実施形態によると、上アーム8とドア本体10との連結部材となっている前記第1連結ピン22は、図7で示されているように、上アーム部材8の先端に設けられた取付部材21に配置され、この取付部材21は取り付け、取り外し自在であるため、前記偏芯量Eが異なる複数の取付部材を用意しておくことにより、例えば、ドア本体10の縦寸法等の寸法が異なる各種のバランスドアについて、それぞれのバランスドアごとに適切となった偏芯量を設定することができる。
【0063】
また、本実施形態の取付部材21には、ドア本体10の位置を上下のアーム部材8,9等に対して調整を行うための前記位置調整手段A,Bも設けられているため、ドア本体10と上アーム部材8との連結部材として第1連結ピン22と、これらの位置調整手段A,Bとを取付部材21にまとめて合理的に配置でき、取付部材21を除く上アーム部材8にこれらを配置するための特別の構造を設ける必要がなくなる。
【0064】
【発明の効果】
本発明によると、ドア本体を引き操作することにより容易に開くことができるバランスドアとなるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バランスドアの室内側を示す正面図である。
【図2】バランスドアの背面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】ドア本体の開閉時の運動を示す模式的平面図である。
【図6】ドア本体が閉じたときを実線で、開いたときを仮想線で示した斜視図である。
【図7】ドア本体の位置調整手段を含む揺動部材である上下のアーム部材とドア本体との連結構造、及び揺動中心部材である揺動筒部材の揺動中心軸の構造を示す一部破断のドア本体及びその周囲の縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7で示された上アーム部材から取付部材を分離し、ドア本体の上端に設けられたベアリング保持部材もドア本体から分離した状態を示す縦断面図である。
【図10】図7で示されたドア本体の下端のベアリング保持部材をドア本体から分離した状態を示す縦断面図である。
【図11】図7のXI―XI線断面図である。
【図12】上アーム部材、ドア本体の概略平面図であって、ドア本体と上下のアーム部材との連結部がドア本体の厚さ方向中央部から偏芯していることを示す図である。
【図13】ドア本体を開くために引き操作したときのベクトル図である。
【図14】ドア本体が閉じているときの自閉装置の自閉力によるベクトル図である。
【符号の説明】
1 開口部である出入口
2 バランスドアの外枠組み
7 揺動中心部材である揺動筒部材
8,9 揺動部材である上下のアーム部材
10 ドア本体
12 ガイド部材であるガイドレール
15 被ガイド部材であるローラ
21 取付部材
22,26 連結部材である連結ピン
30 スライダ部材
35 回転操作部材である調整ねじ
A ドア本体の高さ方向位置調整手段
B ドア本体の幅方向位置調整手段
H ドア本体と上下のアーム部材との連結部

Claims (5)

  1. 外枠組みの内側に形成された開口部に配置されてこの開口部を開閉するドア本体の幅方向途中部が、前記外枠組みに対して基端部を中心に揺動自在となった揺動部材の先端部で回動自在に支持されているとともに、前記ドア本体の幅方向途中部に設けられた被ガイド部材が、前記外枠組みを形成している上枠に取り付けられかつ前記ドア本体の幅方向に延びるガイド部材でガイドされているバランスドアにおいて、
    前記ドア本体の幅方向途中部と前記揺動部材の先端部との連結部が、前記ドア本体の厚さ方向中央部から偏芯しており、
    前記揺動部材は前記ドア本体の上下に配置された上アーム部材と下アーム部材とからなり、前記ドア本体の幅方向途中部と前記上アーム部材の先端部との連結部、及び前記ドア本体の幅方向途中部と前記下アーム部材の先端部との連結部が、前記ドア本体の厚さ方向中央部から偏芯しているとともに、これらの上下のアーム部材は揺動筒部材を中心に揺動し、
    前記揺動筒部材は上側のピンと下側の軸を中心に揺動可能であるとともに、前記上側のピンは前記上枠に設けられているレバーの上下動する端部に係合されていてこの端部が下がることにより、前記上側のピンは前記揺動筒部材の内部に挿入され、前記下側の軸は、前記揺動筒部材が立てられる床に埋設されている受け部材に挿入されていることを特徴とするバランスドア。
  2. 請求項1に記載のバランスドアにおいて、前記上アーム部材と前記下アーム部材のうち、少なくとも一方の先端に取り付け、取り外し自在な取付部材が設けられ、この取付部材に、前記ドア本体と連結されて前記一方との前記連結部を形成する連結部材が設けられていることを特徴とするバランスドア。
  3. 請求項2に記載のバランスドアにおいて、前記取付部材は複数用意されており、それぞれの取付部材に設けられている前記連結部材についてドア本体厚さ方向中央部からの偏芯量が異なっており、前記複数の取付部材のなかから用いられる前記取付部材が選択されることを特徴とするバランスドア。
  4. 請求項2又は3に記載のバランスドアにおいて、前記取付部材には、前記一方に対する前記ドア本体の位置を調整するための位置調整手段が設けられていることを特徴とするバランスドア。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のバランスドアにおいて、前記揺動筒部材の内部には、前記ドア本体に自閉力を付与するための自閉装置が収納され、前記下側の軸はこの自閉装置の作動軸となっていることを特徴とするバランスドア。
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