JP4459316B2 - 衝突検知装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定値以上の加速度を検出することで、移動体の衝突を検出するようにした衝突検知装置に関する。本衝突検知装置は、例えば、車両において、乗員を保護するためのエアバッグ装置、シートベルトの巻取装置を起動させるタイミングを決定するための装置に用いられる。特に、従来品と比較して、信頼性を維持したまま、原材料費の削減を図った衝突検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、衝突検知装置においては、例えば、図5に示される断面構成を有した装置が知られている。
衝突検知装置500は、所定の質量を有する重量体1と、重量体1を回動可能に支持する回転軸2と、重量体1上に固定された、第1カム31と第2カム32とを有するロータ3と、重量体1を衝突時の変位方向に対して反対方向に付勢する接点バネ4、接点バネ5と、重量体1の初期位置を規定し重量体1と当接する抑止部材6と、接点バネ4、5の接触導通状態を出力する出力端子7、8と、固定端子9と、ストッパ10と、ハウジング11と、これらを収納するカバー12とを有している。この衝突検知装置500は、車両の衝突時に、AB方向の減速度を受けることにより、重量体1がストッパ10に衝突するまで回転軸2を中心にab方向に回動し、一対の接点部材を構成する接点バネ4と接点バネ5が接触することで、車両に装備されたエアバッグを作動させる信号を出力する構成としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術による衝突検知装置500においては、接点バネ4と接点バネ5の2本のバネ部材(可動部材)が使用されている。しかしながら、これらの部品は、他の部品よりも比較的単価が高く、原材料費を削減する上で問題となっていた。
また、接点バネ5をロータ3と接触しない真っ直ぐな導電性を持つ剛体に代え、重量体1に付勢する接点バネを接点バネ4のみとし、この剛体と接点バネ4とを用いて1対の接点部材を構成することも考えられるが、この場合には、上記の原材料費の問題は、一旦解決できるものの、以下の課題が新たに生じるため、実現性が無かった。即ち、この1対の接点部材間においては、一方が剛体となるため、チャタリングが発生し易くなったり、車両衝突時に十分な接触時間が得られなくなる等の、衝突検出性能に関する信頼性の面での問題が新たに派生する。
【0004】
本発明は、これらの課題を解決するために成されたものであり、その目的は、従来品と比較して、信頼性を維持したまま、原材料費の安い衝突検出装置を実現することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。即ち、第1の手段は、作用する減速度に応じて所定方向に変位する、カムを有するロータを備えた重量体と、この重量体の所定量の変位によりカムが可動部材を押下することにより当該可動部材の先端付近に位置する接点が固定部材の傾斜した接触面に接することで接触する一対の接点部材と、を備えた衝突検知装置において、一対の接点部材の一方を剛体の、導電性を有する固定部材より構成し、他の一方を導電性を有するバネより形成され接触導通状態を出力する出力端子に接続された可動部材であって、重量体の変位方向に対して反対方向に重量体を付勢して減速度が作用しない場合は一対の接点部材を離しておく、出力端子と共にハウジングに固定された可動部材より構成し、この一対の接点部材の接触面上の任意の1点における接平面の法線方向を可動部材の接点の前記接平面近傍における変移方向と一致させず、さらに前記固定部材の接触面を有する側の先端が下向きであることにより前記接点部材の接触時に接点は前記出力端子に近づく方にスライドさせることである。この構成により、可動部材が固定部材に接触した際に、その接点において可動部材が固定部材より受ける可動方向(固定部材との接点近傍での変移方向)の抗力をより小さくすることが可能となる。また、固定部材の接触面が傾いているために、可動部材の接点が固定部材の接触面上をスライドし易くなる。従って、これらの作用により、可動部材が固定部材に接触した際に、可動部材の反発現象が生じにくくなり、チャタリングが発生し難くなり、車両衝突時の接触時間をより長くすることが可能となる。
即ち、本手段により、従来品と比較して、信頼性を維持したまま、原材料費の安い衝突検出装置を実現することが可能となる。
尚、一対の接点部材の接触面の形状は、平面である必要はなく、上記の条件を満たす任意の形状でよい。
【0006】
また、第2の手段は、上記の第1の手段において、一対の接点部材の接触面上の任意の1点における接平面の法線方向を可動部材の接点の変移方向から20度乃至80度ずらすことである。この構成により、上記の第1の手段による作用をより確実に実現することが可能となる。この角度が20度より小さいと上記のスライドが起こりにくくなり、80度よりも大きいと、上記の接点の確実な接触による確実な電気的導通状態が得難くなる。従って、上記の法線方向と上記の変移方向とが成す角度は、20度乃至80度がより望ましい。
【0007】
また、第3の手段は、上記の第1または第2の手段において、重量体をその重量重心に対して偏心した位置にて回動自在に支持する軸を設け、重量体の所定量の回動により一対の接点部材を接触させることである。この構成により、上記の第1または第2の手段を振り子式の衝突検知装置において実施することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、具体的な実施例に基づいて本発明を説明する。
(第1参考例)
参考例は、上記の第3の手段により実施されるものである。
図1は、第1参考例における衝突検出装置100の断面図である。本衝突検出装置100は、図5の従来の衝突検出装置500のロータ3の第2カム32と接点バネ5を削除し、その代わりに、衝突検出装置の略中央の出力端子8の延長線上に略長板状の金属版より形成された固定部材50を設けたものである。接点バネ4(可動部材4)は、固定部材50と一対の接点部材を構成し、その先端は、従来の衝突検出装置500の接点バネ4よりも先端方向に拡張され、縦長の滑らかな略S字状に湾曲されている。この略S字状の曲線の略中央の変曲点における接線は、可動部材4の先端付近に位置する接触点(接点41)の変移方向と約45度の角度を成している。固定部材50の先端は、A側に約40度曲げられており、これにより傾斜した接触面51が形成されている。
【0010】
これらの構成により、本衝突検出装置100は、前記第1乃至第3の手段による作用・効果を得ることができる。即ち、本衝突検出装置100は、所定量以上の減速度を受けた際、重量体1及びロータ3が回転軸2の回りを回動することにより、可動部材4の接点41が傾斜した接触面51に接触し、接点41は固定部材50より反発されないため、従来の衝突検出装置500と同様に効果的に機能する。即ち、上記一対の接点部材間の接触時間は十分に得られ、信頼性は良好である。
【0011】
(第2参考例)
参考例は、前記の第3の手段により実施されるものである。
図2は、第2参考例における衝突検出装置200の断面図である。本衝突検出装置200は、基本的に第1参考例における衝突検出装置100と同じ作動原理により動作するものであり、同等の動作または作用をする部分には、図1と同じ符号が付してある。即ち、本衝突検出装置200においては、横長の重量体1が採用されており、ロータ3のカム31が、重量体1のa方向の回動に伴って可動部材4を押下することにより、可動部材4の先端付近に位置する接点41が、固定部材50の傾斜した接触面51に接触して、装置が作動する。
【0012】
図2に示すように、本衝突検出装置200においては、接触面51の法線方向Dは、可動部材4の接点41の変移方向Cから約30度ずれている。従って、これらの構成により、本衝突検出装置200は、前記第1乃至第3の手段による作用・効果を得ることができる。
【0013】
(第実施例)
本実施例は、前記の第3の手段により実施されるものである。
図3は、第実施例における衝突検出装置300の断面図である。本衝突検出装置300は、基本的に第2参考例における衝突検出装置200と同じ作動原理により動作するものであり、同等の動作または作用をする部分には、図2と同じ符号が付してある。本衝突検出装置300の衝突検出装置200との主な相違点は、以下の3点である。
(1)接触面51の法線方向Dと可動部材4の接点41の変移方向Cとの成す角は、衝突検出装置200のほぼ2倍(約60度)である。
(2)固定部材50の接触面51を有する側の先端が下向きである。
(3)したがって、接点41は、出力端子7に近づく方にスライドする。
このように、衝突検出装置を構成することによっても、前記第1乃至第3の手段による作用・効果を得ることができる。
【0014】
(第3参考
4は、第3参考例における衝突検出装置400の断面図である。本衝突検出装置400は、球形の重量体1の重量重心Mが、円筒面13の中心軸14に沿って移動するものである。本衝突検出装置400においては、車両衝突時に重量体1が、A側(車両進行方向)に移動することによって、球形の重量体1をB方向に付勢していた可動部材4は、A側に押し返される。これにより、可動部材4の先端付近に位置する接点41が固定部材50の傾斜した略円弧状の接触面51に接触し、装置が作動する。
これらの構成により、本衝突検出装置400は、前記第1及び2の手段による作用・効果を得ることができる。
【0015】
尚、上記の実施例及び参考例では、固定部材50は、金属板を曲げることにより形成されていたが、これらの例は、固定部材50の構成および製造方法を限定するものではない。第1の手段に示した条件を満たす固定部材50の傾斜した接触面51を形成する任意の方法により、本発明を実施することが可能である。例えば、第1の手段に示した条件を満たす導電性を有する傾斜した接触面は、肉厚金属体の切削形成などによって製造しても良い。
【0016】
また、接触面51の摩擦係数は、より小さい方が望ましい。接触面51の摩擦係数が、大きいと、可動部材4の接点41が、接触面51上を滑らかにスライドし難くなり、本発明の作用・効果が得にくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1参考例における衝突検出装置100の断面図。
【図2】 本発明の第2参考例における衝突検出装置200の断面図。
【図3】 本発明の第実施例における衝突検出装置300の断面図。
【図4】 本発明の第3参考例における衝突検出装置400の断面図。
【図5】 従来技術による衝突検出装置500の断面図。
【符号の説明】
1 ・・・ 重量体
2 ・・・ 回転軸
3 ・・・ ロータ
4 ・・・ 可動部材
41 ・・・ 接点
50 ・・・ 固定部材
51 ・・・ 接触面
6 ・・・ 抑止部材
7、8 ・・・ 出力端子
9 ・・・ 固定端子
10 ・・・ ストッパ
11 ・・・ ハウジング
12 ・・・ ケース

Claims (3)

  1. 作用する減速度に応じて所定方向に変位する、カムを有するロータを備えた重量体と、
    前記重量体の所定量の変位により前記カムが可動部材を押下することにより当該可動部材の先端付近に位置する接点が固定部材の傾斜した接触面に接することで接触する一対の接点部材と
    備えた衝突検知装置において、
    前記一対の接点部材は、一方が剛体の、導電性を有する前記固定部材より構成され、他の一方が導電性を有するバネより形成され接触導通状態を出力する出力端子に接続された前記可動部材であって、前記重量体の変位方向に対して反対方向に前記重量体を付勢して減速度が作用しない場合は前記一対の接点部材を離しておく、前記出力端子と共にハウジングに固定された前記可動部材より構成され、この一対の接点部材の接触面上の任意の1点における接平面の法線方向は、前記可動部材の接点の前記接平面近傍における変移方向と一致せず、さらに前記固定部材の接触面を有する側の先端が下向きであることにより前記接点部材の接触時に接点は前記出力端子に近づく方にスライドすることを特徴とする衝突検知装置。
  2. 前記法線方向は、前記変移方向から20度乃至80度ずれていることを特徴とする請求項1に記載の衝突検知装置。
  3. 前記重量体をその重量重心に対して偏心した位置にて回動自在に支持する軸を備え、
    前記重量体の所定量の回動により前記一対の接点部材が接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衝突検知装置。
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