JP4459306B2 - 設定用量の電子表示付注射装置 - Google Patents

Description

本発明は、当該装置の操作状態が、当該装置の操作要素に接続される信号発生器の出力信号のパターンを受信する回路によって電子的に表示される、設定用量の薬剤を注射する注射装置に関する。
このような注射装置は、用量設定ホイールと、注射ボタンと、少なくとも装置の針受容部と可能であれば設定ホイールとを被覆する保護キャップと、を備える装置の形状を有することができる。電子表示は通常、電子ディスプレイの形状を有するが、装置の状態を音声で要約する音声回路を使用してもよい。また、触覚概要を呈示する電子機械装置でもよい。
装置の操作要素に接続された発生器は、電流を入れたり切ったりするスイッチでもよく、能動電流発生器でもよい。スイッチ型の発生器は、保護キャップまたは注射押ボタンに接続されて、２つの選択可能な位置のうちの１つ、すなわち、キャップをつけているかつけていないか、またはボタンが突出しているか定位置に押されているかを表示することができる。
作動するとそれ自体が電流を発生する能動型の発生器は、用量設定ホイールに接続されて、ホイールの回転を反映する電流信号、例えばホイールの回転によって設定される１ユニットにつき１パルスを提供してもよく、このパルスは、用量設定がホイールの回転によって増加するか減少するかを示す極性を有する。また、幾つかのスイッチを操作することによって用量設定信号が提供されるものであってもよい。
装置パラメータの電子表示を使用することによって、用量設定ホイールの動作及び注射される薬剤の入ったアンプル内でピストンを操作するプランジャの動作が表示される桁数の制限された機械式ディスプレイとは反対に、大きな桁数のディスプレイを使用することが可能になる。
電子表示は、例えば摩耗のため、警告なしで作動しなくなったり、誤った電気信号を発して結果として誤ったディスプレイをする可能性のある電気スイッチ及び発生器に依存している。機械装置によって、より脆い装置による摩耗が表われることもあれば表われないこともある。
従って、信頼できない電気部品または機械部品が、当該装置によって注射される薬剤の用量を誤らせる前に、それらを検出する注射装置を提供することが本発明の目的である。
これは、請求項１に記載されているような装置により達成される。
本発明によると、許可されないと規定される操作状態はエラー表示として表される。さらに本発明によると、少なくとも１つの信号発生器は、電気信号を発生する能動発生器である。
本発明の一実施例によると、回路は、装置のすべての許可された状態の信号パターンを記憶する記憶装置を備え、信号発生器からの信号は、記憶された信号パターンと頻繁に比較され、その信号パターンが許可されたパターン中にない場合はエラー表示がなされる。
エラーは、装置の操作状態の表示を消すことによって示されてもよい。
許可された信号パターンは、装置を正常で誤りがなく使用している間に発生するようなパターンである。例えば、保護キャップが装置に装着されるとき、装置は、保護キャップによって被覆された用量設定ホイールを有する。その場合、キャップをつけていることを示す信号と、用量設定ホイールが操作されることを示す別の信号とを含む信号パターンは、用量設定ホイールがキャップによって被覆されているときには操作することはできないから、これは明らかに理論上の矛盾を表すため、許可されない。ロックが提供され、それによって、注射器の２つの要素を同時に操作することを排除することを意図する場合、それにもかかわらずこれらの２つの要素が同時に操作されることを示す信号は、エラー表示を発生させる。
本発明による装置の一実施例において、回路は、各信号発生器から送られる信号の数を数え、この数を回路中に記憶された設定値と比較し、数の１つが当該信号発生器の設定値を超えた場合に信号を発し、この信号がエラー表示を誘発するよう設計されてもよい。この特色によって、装置は一定数の操作にのみ使用され、摩耗による機能異常が起こる前に新規の装置と交換されることを確実にすることができる。
スイッチがその安定性に疑問が生じる程度まで摩耗した場合、これは、スイッチが「オン」であるべきときに「オフ」と表示されまたはその逆になることによって明らかになり、これは、すぐに許可されない信号パターンになる。このパターンが、許可されたパターンの中にないと検出されると、回路はパラメータの電子表示を消し、装置が使用不可能になる。
許可されない信号パターンが、例えば近傍にある何らかの電気装置によって生じた一時的な電磁界等の当該装置の状態とは関係のない事象によって誘発された場合には、回路は、電子表示を消したとき、リセットされ、表示を再び出すことができる。電子表示を消したことが装置外部の事象によるものである場合には、装置はリセットした後、再度使用可能になるが、許可されない信号パターンがスイッチの作動不能によって生じたものである場合、このスイッチはすぐに再び作動しなくなり、電子表示を消すことになる。
機能の別のチェックは、アンプルが交換されてから注射された用量の数を合計することによって獲得することができる。累積用量が新規のアンプルの総容量を超えた場合は、例えば電子表示を切ることによってエラーが報告される。
スイッチ及び発生器は、多回数使用されると、作動が停止する可能性が極めて高くなることを認識して、回路は、信号発生器の各々から送られる信号の数を数え、この数を回路内に記憶された設定値と比較し、数の１つが当該信号発生器の設定値を超えると信号を発し、この信号は装置の状態を表す信号パターンの一部を形成し、これを許可されないパターンとするように設計することができる。従って、信号発生器の１つの数がその発生器に設定された値に到達すると、装置は使用できなくなる。
発生器からの信号を数えることを基にして装置が使用できなくなることは予測可能であるため、いずれかの信号発生器がその発生器の設定数に近い信号数を発すると、使用者に警告を表示することができる。このようにして使用者は、装置が突然作動しなくなるという不便を回避することができる。
さらに装置が突然作動しなくなることを回避するために、バッテリの状態が広く監視され、バッテリが完全に消耗するよりいくらか前にバッテリの低減が表示される。
スイッチ及び発生器の作動停止は予測できないため、装置が突然使えなくなる。緊急の場合、装置が直ちに再び使用不能になるほどスイッチが不安定になっていない限り、回路をリセットして、装置をさらに数回は使用することができる。
下記に本発明の一実施例を、図面を参照しながら記載する。
図１は、電気信号発生器を備えた注射装置の概略図である。
図２は、本発明による注射装置が、いかなる操作によって１つの状態から別の状態になるかを示すグラフである。
図１の装置は、下記の操作部材を具備する。
− 回転することによって用量を設定することができる用量設定ホイール４
− 注射ボタン５
− ハウジング１に収容されたカートリッジ２を被覆する蓋３
− 用量設定ホイール４及び蓋３を被覆する取り外し可能な保護キャップ８。
さらに、下記の機械的ロックが設定されている。
− ボタン５が定位置へ押されると、この位置でロックされる。用量設定ホイール４が操作されるとボタン５は解除される。従って、ボタン５は、用量設定中は定位置に押し下げることはできない。ボタン５が押し下げられた定位置に維持される場合、用量設定ホイール４を回転することはできない。ロックの正しい機能は、前述のように、ロックすべき操作を示す信号は許可されないと解釈することによって電子装置で検査することができる。
− 蓋３が開いていると用量設定ホイール４はロックされる。概して蓋３を開けてカートリッジ２を交換を実行するため、このロックは適切である。カートリッジ２の交換の間、ピストンロッドを通して、ボタン５が定位置へ押されているときに設定用量に対応する動きがカートリッジ内のピストンに伝えられるが、ピストンロッドは、新規の満杯のカートリッジに場所を空けるため後方へ動かなければならず、従って、用量設定機構とピストンロッドとの間の結合は解除されて、ピストンロッドは自由に動くことができる。この結合が解除されると、用量設定ホイール４の回転がそのホイールに結合された発生器を作動させ、使用者に用量を設定したと思わせるが、結合が解除されているため、ボタン５を操作することによって用量が全く注射されないか、または誤った用量が注射されるかである。このような機能不良を回避するため、この機械的ロックが設定される。また、このロックによって、ロックすべき操作を示す信号は許可されないと解釈することによって電子装置で正しい機能を検査することができる。
用量が設定されると、ボタン５を押すことによって注射される。注射は、針を備える針ハブ７によって注射器に装着することができる針６を通して行われる。
ボタン５、蓋３及びキャップ８は、それぞれ点１３、１２、１１で示されるスイッチと各々協働する。各スイッチは２つの位置、「オン」または「オフ」を有し、スイッチの位置は当該スイッチと協働する要素の状態を表す。これらの状態は、
− キャップをつけているか、またはつけいていない、
− ボタンが下にある（定位置へ押されている）か、または上にある（定位置へ押されていない）か、
− 蓋が閉じられているか、または閉じられれていない（開いている）か、
である。
上述の３つのスイッチの位置によって規定される８つの状態を表Ｉに示す。
用量設定ホイール４が回転すると、用量設定ホイールに協働する信号発生器１４から信号が発生し、ホイール４の回転の程度に対応し且つ極性を有する多数のパルスを発し、それによって、ホイール４の回転によって設定ユニットの数が増加するか減少するかが示される。

表Ｉからわかるように、キャップをつけているときに蓋を開けることはできないため、状態Ｉ及びIIIは許可されない。
スイッチが許可された状態において、用量設定信号は状態VIIIのときのみ受けれられることができる。状態Ｉ〜IVのスイッチでは、キャップ８がつけられているため用量設定ホイール４を操作することはできない。状態Ｖ及びVIにおいては、ボタン５が定位置に押されているため、用量設定ホイールを操作することはできない。しかし、回路が用量設定信号を受信した場合は、ボタンが下にあるときに用量設定ホイールをロックするロックが機能不良であることを示す。
スイッチが状態VIIにある場合の用量設定信号は、蓋が開いているときは、用量設定ホイールのロックが機能不良であることを示す。
スイッチは各々それ自体の目的を果たす。キャップ着脱スイッチ１１は、キャップをつけているときはバッテリを節約するのためディスプレイを消すことができる。さらに、キャップが外されているときにスイッチ１１を作動すると、ディスプレイテストを開始し、それによって、ディスプレイ内のすべてのセグメントがすぐに作動して使用者はすべてのセグメントが動作可能か否かを知ることができる。ボタン上下スイッチ１３は、ボタンが定位置へ押し下げられて注射が完了したときを示し、ボタンが定位置まで完全に下げられていない場合は注射は完了しておらず設定用量が注射されていない。さらに、このスイッチをリセットして、直前の注射から経過した時間を表示するストップウォッチを開始することができる。蓋開閉スイッチ１２は、カートリッジ交換の可能性を示し、ピストンロッドが新規カートリッジのピストンに当接することを保証するカートリッジ交換措置は用量を設定する前に行われねばならないため、例えばディスプレイ等の電子表示から設定用量を消去する。蓋の開閉は、機能不良反応が例えば一時的な電磁界等の環境的事象によるものであった場合、回路の可能性のある機能不良反応をリセットして、装置を再度機能させることはできるが、装置自体の機能不良によるものであった場合、機能不良反応はすぐに再発する。
下記の動作が行われ得る。
^−ａ１ キャップを外すことができる。
^−ａ２ キャップを戻すことができる。
^−ａ３ アンプルの蓋を部分的に開けることができる。
^−ａ４ アンプルの蓋を完全に開けることができる。
^−ａ５ アンプルの蓋を部分的に閉じることができる。
^−ａ６ アンプルの蓋を完全に閉じることができる。
^−ａ７ 用量の設定を増加させることができる。
^−ａ８ 用量の設定を減少させることができる。
^−ａ９ 注射ボタンを部分的に押すか、または部分的に解除することができる。
^−ａ１０ 注射ボタンを完全に押すことができる。
^−ａ１１ 注射ボタンを放すことができる。
図２には、どのような動作がスイッチを無変化のままにするか、または６つの許可された組み合わせのうちの１つから別の１つへ移行させるかが示される。
装置がキャップをつけた状態IIで保管される場合、１つの処理のみが可能であり、すなわち、キャップを外す、ａ_１、であり、これによって装置は状態VIになる。状態VIから、装置は、キャップを再装着すること、すなわちａ_２、によって状態IIに戻るか、または、アンプルの蓋を部分的に、または完全に開けること、すなわちそれぞれａ_３、ａ_４の処理、によって状態Ｖになることもでき、または、注射ボタンを放すこと、すなわちａ_１１、によって状態VIIIになることもできる。
キャップ８、蓋３及びボタン５の状態の記載は、
１．キャップをつけているかまたはつけていないか、
２．蓋は閉じられているか、または閉じられていないか、
３．ボタンが完全に押されているか、または完全には押されていないか、
であることに注意されたい。
これは、キャップをほぼつけているにすぎないときは「脱」であり、蓋が完全には閉じられていないときは「開」であり、ボタンが完全には押されていないときは「上」であると解釈される。
状態Ｖにおいて、蓋が幾分開いたり閉じたりすることがあるが、完全に閉じられるのでない限り装置は状態Ｖのままである。同様にして、蓋が完全に閉じられる、ａ_６、のでない限り、または注射ボタンが完全に押される、ａ_１０、のでない限り、装置は状態VIIのままである。
機械的ロックが行われることにより、用量設定は、装置が状態VIIIにある場合にのみ行うことができ、従って、用量設定ホイールの操作が、装置を状態VIII以外にすることはないべきである。スイッチが他の状態にあるときに用量設定信号を受信した場合、これは機能不良の表示として解釈される。
装置の他の実施例として、別のロック及びスイッチを提供して注射器の他の機能を制御してもよいということに注意されたい。例えば、好適な実施例において、ボタンが上にあるときに蓋が開くことを回避し、従って蓋が開いているときにボタンが上がることを回避するロックが行われることによって、状態VIIは許可されない状態になる。そのような実施例の可能な状態を例示するために、状態VIIだけではなく、この状態を導く処理ａ_３及びａ_１１、及び、状態VIIから離れてそれぞれ状態VIII及び状態Ｖに導く処理ａ_６及びａ_１０は、図２においては削除されるべきである。

Claims (10)

1. 薬剤の用量を設定し、設定された用量の薬剤を注射するための複数の操作部材（８、３、５、４）と、
   各々が、これら操作部材（８、３、５、４）のうち少なくとも２つの操作部材の各々に接続され、これら少なくとも２つの操作部材（８、３、５、４）の操作状態を表す出力信号を発生する少なくとも２つの信号発生器（１１、１２、１３、１４）と、
   少なくとも２つの前記信号発生器（１１、１２、１３、１４）からの複数の出力信号を受信し、前記操作状態の表示を制御する信号を発生するために、前記信号発生器（１１、１２、１３、１４）に結合されている電子回路とを具備する注射装置において、
   前記電子回路は、受信された複数の前記出力信号の組合せを、この注射装置の複数の正常な状態と各々対応している、前記出力信号からなる複数の所定の組合せの各々と比較するための手段と、
   受信された複数の前記出力信号からなる組合せが、この装置の正常ではないエラー状態を示しているかどうかを決定するための手段とを有することを特徴とする注射装置。
2. 前記電子回路は、前記エラー状態を特定するためのエラー信号を発生するための手段をさらに有することを特徴とする請求項１に係る注射装置。
3. 前記電子回路は、各々が前記注射装置の複数の正常な状態に対応する、前記出力信号からなる組合せの全てを記憶している記憶装置と、受信された複数の前記出力信号を、これら記憶されている組合せと比較し、前記注射装置が前記エラー状態であることを検出するための装置とを有することを特徴とする請求項１又は２に係る注射装置。
4. 前記電子回路は、前記信号発生器（１１、１２、１３、１４）の各々から送られる前記出力信号の数を数え、これらの数を前記出力信号の各々に対応する、前記電子回路に記憶されている値と比較し、これらの数が、それぞれ対応する前記記憶されている値を超えたときに信号を発生するように適合されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１に係る注射装置。
5. 前記信号発生器（１１、１２、１３、１４）のうちの少なくとも１つは、オン位置とオフ位置とを有する電気スイッチを有していることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１に係る注射装置。
6. 前記信号発生器（１１、１２、１３、１４）のうちの少なくとも１つは、能動発生器であることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１に係る注射装置。
7. 前記注射装置の操作状態を表す外部表示を発生するための手段と、前記エラー状態が検出された時にこの外部表示を消すための手段とをさらに具備することを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１に係る注射装置。
8. 前記外部表示を消すための手段をリセットするための手段をさらに具備することを特徴とする請求項７に係る注射装置。
9. 前記操作部材（８、３、５、４）は、用量設定ホイール（４）と注射ボタン（５）とを有し、複数の前記信号発生器は、前記用量設定ホイール（４）と注射ボタン（５）との各々に関連付けられている信号発生器（１４、１３）を有することを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１に係る注射装置。
10. ハウジング（１）をさらに具備し、
    前記操作部材（８、３、５、４）は、このハウジング（１）に選択的に取り付けることができる保護キャップ（８）と、カートリッジ（２）を交換するために選択的にこのハウジング（１）を開けることができる蓋（３）とを有し、
    また、前記少なくとも２つの信号発生器は、前記保護キャップ（８）が前記ハウジング（１）に取り付けられているかどうかを検出するための信号発生器（１１）と、前記蓋（３）で前記ハウジングが開けられているかどうかを検出するための信号発生器（１２）とを有することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１に係る注射装置。

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