JP4457561B2 - ガラスセラミックの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック多層基板などに用いられるガラスセラミックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エレクトロニクス分野では電子部品の高周波化が進められている。これを受け、電子部品を搭載するセラミック基板の材料として、Q値の高いガラスセラミックがよく用いられている。
【0003】
ガラスセラミックは、ガラス粉末とセラミック粉末とを含むガラスセラミック組成物を最高温度まで加熱した後、冷却することにより製造される。一般的なガラスセラミックでは、加熱時にガラスが軟化して焼結した後に、ガラスからQ値の高い結晶相が析出する。
【0004】
図5は、従来のガラスセラミックの製造方法における温度プロファイルを示すグラフである。図5に示すように、従来の温度プロファイルは、室温Trから最高温度Tbまで加熱する加熱領域51と、最高温度Tbを維持する最高温度領域52と、最高温度Tbから室温Trまで冷却する冷却領域53と、からなる。加熱領域51は、温度Tdを維持して脱脂を行う温度領域を有する。
【0005】
従来の温度プロファイルでは、加熱領域51において結晶相を溶融させた後、冷却領域53において単純に、すなわち平均的な冷却速度でガラスセラミックを冷却していた。(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
【特許文献1】
特開2001−64077号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ガラスセラミックの中には、焼成中にガラスから析出した結晶相が、一部溶融して焼結が進むものがある。このようなガラスセラミックを単純に冷却してしまうと、溶融させた結晶相があまり析出しないため、Q値の高いガラスセラミックが得られないという問題があった。
【0008】
本発明は、溶融させた結晶相を十分に析出させることにより、Q値の高いガラスセラミックを製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るガラスセラミックの製造方法は、 2 3 −SiO 2 −MgO系ガラス、Li 2 O−MgO−B 2 3 −SiO 2 系ガラス、Li 2 O−CaO−B 2 3 −SiO 2 系ガラスの結晶化ガラスから選ばれるガラス粉末とスピネル、アルミナ、フォルステライト、ジルコニアから選ばれるセラミック粉末とを含むガラスセラミック組成物を、所定の温度プロファイルに基づいて焼成することにより、ガラスセラミックを製造する方法であって、
前記温度プロファイルは、室温Trから最高温度Tbまで加熱する加熱領域と、最高温度Tbから室温Trまで冷却する冷却領域と、を有し、
前記ガラス粉末は、前記加熱過程で一旦結晶化した後溶融し、前記冷却過程でその溶融したガラスが再び結晶化するものであり、前記加熱領域において結晶化したガラス粉末が溶融し始める温度をTm(ただし、Tm<Tb)、前記冷却領域において溶融したガラス粉末が再び結晶化する温度をTcとしたとき、前記冷却領域は、温度Txから温度Tc(ただし、Tc≦Tx≦Tm)にかけて、冷却速度5℃/分以下の温度領域を有することを特徴とする。
【0010】
冷却速度5℃/分以下の前記温度領域において、冷却速度は0℃/分であることが好ましい。
【0011】
また、前記冷却領域は、最高温度Tbから温度Ta(ただし、Td≦Ta≦Tc)まで冷却する第1の冷却領域と、温度Taから温度Txまで加熱する再加熱領域と、温度Txから温度Tyまで冷却する冷却速度5℃/分以下の前記温度領域と、温度Tyから室温Trまで冷却する第2の冷却領域と、からなることが好ましい。
【0012】
さらに、前記第1の冷却領域と前記再加熱領域との間に、温度Taを維持する定温領域を有することが好ましい。
【0013】
【作用】
このように、結晶化したガラス粉末が溶融し始める温度Tm以下において、冷却速度を5℃/分以下に緩めることにより、溶融させた結晶相の結晶核が生成、成長し、再び析出する時間を十分に与えることができる。
【0014】
中でも、冷却速度を0℃/分にした場合、すなわち、温度Tx(この場合、Tx=Ty≦Tm)を維持する領域を設けた場合、より多くの結晶相が析出する。
【0015】
また、冷却速度5℃/分以下の温度領域の前に、溶融したガラス粉末が再び結晶化し始める温度Tc以下の温度Taまで冷却することにより、ガラスの融液中からより多くの結晶核が生成する。この結晶核が冷却速度5℃/分以下の温度領域において成長し、再び冷却されることにより、さらに多くの結晶相が析出する。
【0016】
また、ガラス粉末が結晶化し始める温度Tc以下の温度Taを維持することにより、結晶核の生成が促進されるため、さらに多くの結晶相が析出する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガラスセラミックの製造方法について詳細に説明する。
まず、出発原料としてガラス粉末およびセラミック粉末が準備される。ガラス粉末としては、例えば、B23−SiO2−MgO系ガラス、Li2O−MgO−B23−SiO2系ガラス、Li2O−CaO−B23−SiO2系ガラスなどの結晶化ガラスを用いることができる。セラミック粉末としては、例えば、スピネル、アルミナ、フォルステライト、ジルコニアなどを用いることができる。
【0018】
次に、ガラス粉末およびセラミック粉末に、バインダ、分散剤などが混合され、ガラスセラミック組成物が作製される。ガラスセラミック組成物は、所定の温度プロファイルに基づいて焼成される。なお、このとき、ガラスセラミック組成物は、シートやチップなど一定の形状に成形されていてもよい。
【0019】
以下、本発明の特徴である温度プロファイルについて、図1〜図4に示す4つのタイプの温度プロファイルA〜Dを用いながら説明する。なお、以下の説明において、ガラスセラミック組成物は、一定の形状に成形された「成形体」として記載する。
【0020】
(温度プロファイルA)
図1に示すように、温度プロファイルAは、時間0〜t3において室温Trから最高温度Tbまで加熱する加熱領域11と、時間t3〜t4において最高温度Tbを維持する最高温度領域12と、時間t4〜t7において最高温度Tbから室温Trまで冷却する冷却領域13と、からなる。
【0021】
図1中の「Tm」は、加熱領域11において結晶化したガラス粉末が溶融し始める温度を表す。以下、「溶融温度Tm」と省略する。
【0022】
加熱領域11は、時間0〜t1において室温Trから脱脂温度Tdまで加熱する第1の加熱領域11aと、時間t1〜t2において脱脂温度Tdを維持する脱脂領域11bと、時間t2〜t3において脱脂温度Tdから最高温度Tbまで加熱する第2の加熱領域11cと、からなる。
【0023】
第1の加熱領域11aでは、成形体中に含まれる分散剤が除去される。脱脂領域11bでは、成形体中に含まれるバインダが除去される。第2の加熱領域11cでは、成形体中のガラス粉末が軟化、結晶化した後、溶融する。
【0024】
最高温度領域12では、第2の加熱領域11cにおいてガラス粉末が溶融して生成した融液により、成形体の緻密化が進む。最高温度Tbは、溶融温度Tmよりも高い温度に設定される必要がある。
【0025】
冷却領域13は、時間t4〜t5において最高温度Tbから温度Txまで冷却する第1の冷却領域13aと、時間t5〜t6において温度Txから温度Tyまで冷却速度5℃/分以下で冷却する徐冷領域13bと、時間t6〜t7において温度Tyから温度Trまで冷却する第2の冷却領域13cと、からなる。
【0026】
第1の冷却領域13aでは、成形体中に融液が存在している。このため、第1の冷却領域13aで徐冷を行うと、例えば、成形体中に内部導体が形成されている場合、融液中に内部導体が拡散してしまうことがある。したがって、徐冷領域13bの開始温度である温度Txは、溶融温度Tm以下に設定される。また、温度Txまでは比較的速い冷却速度、例えば、冷却速度10℃/分以上で冷却することが好ましい。
【0027】
徐冷領域13bでは、溶融した結晶相の結晶核が生成、成長し、溶融した結晶相のほとんどが再析出する。ただし、徐冷領域13bにおいて冷却速度が5℃/分を超えると、結晶相の析出量が少なくなってしまう。なお、温度プロファイルAにおいて、冷却速度は0℃/分よりも大きく設定されている。
【0028】
徐冷領域13bの時間t5〜t6は、必要量の結晶相が析出するのに十分な時間を設定すればよい。時間t5〜t6が設定されれば、あらかじめ設定されていた冷却速度をもとに温度Tyを設定することができる。
【0029】
第2の冷却領域13cでは、焼成時間を短縮するために、再び比較的速い冷却速度、例えば、冷却速度10℃/分以上で冷却することが好ましい。
【0030】
(温度プロファイルB)
図2に示すように、温度プロファイルBは、時間0〜t3において室温Trから最高温度Tbまで加熱する加熱領域21と、時間t3〜t4において最高温度Tbを維持する最高温度領域22と、時間t4〜t7において最高温度Tbから室温Trまで冷却する冷却領域23と、からなる。
【0031】
加熱領域21は、時間0〜t1において室温Trから脱脂温度Tdまで加熱する第1の加熱領域21aと、時間t1〜t2において脱脂温度Tdを維持する脱脂領域21bと、時間t2〜t3において脱脂温度Tdから最高温度Tbまで加熱する第2の加熱領域21cと、からなる。
【0032】
冷却領域23は、時間t4〜t5において最高温度Tbから温度Txまで冷却する第1の冷却領域23aと、時間t5〜t6において温度Txを維持する定温領域23bと、時間t6〜t7において温度Txから温度Trまで冷却する第2の冷却領域23cと、からなる。
【0033】
温度プロファイルBは、温度プロファイルAにおける徐冷領域13bを定温領域23bに置き換えたものである。すなわち、温度プロファイルBでは、定温領域23bにおける冷却速度は0℃/分であり、Tx=Tyとなっている。
【0034】
定温領域23bでは、溶融した結晶相の結晶核が生成、成長し、溶融した結晶相のほとんどが再析出する。定温領域23bの時間t5〜t6は、必要量の結晶相が析出するのに十分な時間を設定すればよい。
【0035】
なお、その他の温度領域は温度プロファイルAと同じであり、その詳細については説明を省略する。
【0036】
(温度プロファイルC)
図3に示すように、温度プロファイルCは、時間0〜t3において室温Trから最高温度Tbまで加熱する加熱領域31と、時間t3〜t4において最高温度Tbを維持する最高温度領域32と、時間t4〜t8において最高温度Tbから室温Trまで冷却する冷却領域33と、からなる。
【0037】
図3中の「Tc」は、冷却領域33において溶融したガラス粉末が再び結晶化し始める温度を表す。以下、「結晶化温度Tc」と省略する。
【0038】
加熱領域31は、時間0〜t1において室温Trから脱脂温度Tdまで加熱する第1の加熱領域31aと、時間t1〜t2において脱脂温度Tdを維持する脱脂領域31bと、時間t3〜t4において脱脂温度Tdから最高温度Tbまで加熱する第2の加熱領域31cと、からなる。
【0039】
冷却領域33は、時間t4〜t5において最高温度Tbから温度Taまで冷却する第1の冷却領域33aと、時間t5〜t6において温度Taから温度Txまで加熱する再加熱領域33dと、時間t6〜t7において温度Txを維持する定温領域33bと、時間t8〜t9において温度Txから温度Trまで冷却する第2の冷却領域33cと、からなる。
【0040】
温度プロファイルCでは、第1の冷却領域33aにおいて、結晶化温度Tc以下の温度Taまで冷却することにより、融液からより多くの結晶核が生成する。この結晶核が再加熱領域33dおよび定温領域33bにおいて成長し、多くの結晶相が析出する。
【0041】
再加熱領域33dでは、第1の冷却領域33aで生成した結晶核が成長する。ただし、再加熱領域33dの終了温度Txは、溶融温度Tm以下に設定される必要がある。溶融温度Tmを超えると、析出した結晶相が再び溶融してしまうからである。
【0042】
なお、その他の温度領域は温度プロファイルBと同じであり、その詳細については説明を省略する。また、温度プロファイルCにおいて、定温領域33bの代わりに、冷却速度5℃/分以下の徐冷領域を設けても構わない。
【0043】
(温度プロファイルD)
図4に示すように、温度プロファイルDは、時間0〜t3において室温Trから最高温度Tbまで加熱する加熱領域41と、時間t3〜t4において最高温度Tbを維持する最高温度領域42と、時間t4〜t9において最高温度Tbから室温Trまで冷却する冷却領域43と、からなる。
【0044】
加熱領域41は、時間0〜t1において室温Trから脱脂温度Tdまで加熱する第1の加熱領域41aと、時間t1〜t2において脱脂温度Tdを維持する脱脂領域41bと、時間t2〜t3のおいて脱脂温度Tdから最高温度Tbまで加熱する第2の加熱領域41cと、からなる。
【0045】
冷却領域43は、時間t4〜t5において最高温度Tbから温度Taまで冷却する第1の冷却領域43aと、時間t5〜t6において温度Taを維持する第1の定温領域43eと、時間t6〜t7において温度Taから温度Txまで加熱する再加熱領域43dと、時間t7〜t8において温度Txを維持する第2の定温領域43bと、時間t8〜t9において温度Txから温度Trまで冷却する第2の冷却領域43dからなる。
【0046】
温度プロファイルDでは、第1の定温領域43eにおいて結晶核の生成が促進される。したがって、より多くの結晶核が再加熱領域43dおよび第2の定温領域43bにおいて成長し、より多くの結晶相が析出する。
【0047】
なお、その他の温度領域は温度プロファイルCと同じであり、その詳細については説明を省略する。また、温度プロファイルDにおいて、第2の定温領域43bの代わりに、冷却速度5℃/分以下の徐冷領域を設けても構わない。
【0048】
【実施例】
上述した温度プロファイルA〜Dに基づいて、実際にガラスセラミックを作製し、その特性を評価した。以下、その様子を記載する。
【0049】
まず、B23,SiO2,MgO,Li2Oの酸化物粉末を準備して、これらを十分に混合した。次に、混合粉末を1100℃〜1400℃の温度で溶融し、水中に投入して急冷した後、湿式粉砕し、ホウケイ酸マグネシウム系のガラス粉末を作製した。
【0050】
次に、スピネル(MgAl24)粉末を準備し、重量比で(ガラス粉末):(スピネル粉末)=70:30となるように、ガラス粉末とスピネル粉末とを混合した。次に、この混合粉末に適当量の分散剤、バインダを加えて造粒した後、200MPaの圧力で成形して、直径17mm、厚さ9mmの円板状の成形体を作製した。
【0051】
次に、この成形体を複数準備し、以下に示す条件に分けてそれぞれ大気中または還元雰囲気中で焼成し、ガラスセラミック焼結体の試料1〜7を得た。なお、各試料に共通する条件は、以下の通りである。
【0052】
Tr= 25℃
Td=500℃
Tb=900℃
Tm=850℃
Tc=750℃
第1の加熱領域・・・加熱速度2.5℃/分
脱脂領域 ・・・120分
第2の加熱領域・・・加熱速度10℃/分
最高温度領域 ・・・ 30分
第1の冷却領域・・・冷却速度10℃/分
第2の冷却領域・・・冷却速度10℃/分
ガラスから析出し、溶融温度Tmにおいて溶融する結晶相・・・Li2MgSiO4
【0053】
(試料1)
試料1は、図1に示す温度プロファイルAに基づいて焼成した。そのときの条件は、以下の通りである。
Tx=850℃
Ty=750℃
徐冷領域 ・・・冷却速度3℃/分。
【0054】
(試料2)
試料2は、図1に示す温度プロファイルAに基づいて焼成した。そのときの条件は、以下の通りである。
Tx=850℃
Ty=750℃
徐冷領域 ・・・冷却速度5℃/分。
【0055】
(試料3)
試料3は、図1に示す温度プロファイルAに基づいて焼成した。そのときの条件は、以下の通りである。
Tx=850℃
Ty=750℃
徐冷領域 ・・・冷却速度6℃/分。
【0056】
(試料4)
試料4は、図1に示す温度プロファイルAに基づいて焼成した。そのときの条件は、以下の通りである。なお、試料4は、図5に示す従来の温度プロファイルに相当するが、便宜上、冷却領域の一部を「徐冷領域」とする。
Tx=850℃
Ty=750℃
徐冷領域 ・・・冷却速度10℃/分。
【0057】
(試料5)
試料5は、図2に示す温度プロファイルBに基づいて焼成した。そのときの条件は、以下の通りである。
Tx=800℃
定温領域 ・・・ 60分。
【0058】
(試料6)
試料6は、図3に示す温度プロファイルCに基づいて焼成した。そのときの条件は、以下の通りである。
Ta=600℃
Tx=830℃
再加熱領域 ・・・加熱速度10℃/分
定温領域 ・・・120分。
【0059】
(試料7)
試料7は、図4に示す温度プロファイルDに基づいて焼成した。そのときの条件は、以下の通りである。
Ta=600℃
Tx=830℃
第1の定温領域・・・ 60分
再加熱領域 ・・・加熱速度10℃/分
第2の定温領域・・・120分。
【0060】
次に、ガラスセラミック焼結体の試料1〜7について、両端短絡型誘電体共振器法により10GHzにおける比誘電率およびQ値を測定した。また、各試料を粉砕し、得られたガラスセラミック粉末をX線回折法により分析し、結晶相であるLi2MgSiO4のピーク強度を測定した。その結果を表1に示す。なお、Li2MgSiO4のピーク強度は、その数値が大きいほどLi2MgSiO4の析出量が多いことを意味する。また、温度プロファイルB〜Dに徐冷領域は存在しないが、便宜上、定温領域あるいは第2の定温領域を、「冷却速度0℃/分の徐冷領域」と読み替えるものとする。
【0061】
【表1】
Figure 0004457561
【0062】
表1からわかるように、徐冷領域における冷却速度が5℃/分を超えている試料3,4では、Li2MgSiO4結晶相の析出量が少なく、ガラスセラミックのQ値が低くなっている。
【0063】
【発明の効果】
本発明に係るガラスセラミックの製造方法によれば、結晶化したガラス粉末が溶融し始める温度Tm以下において、冷却速度を5℃/分以下に緩めることにより、溶融させた結晶相の結晶核が生成、成長し、再び析出する時間を十分に与えることができる。したがって、Q値の高いガラスセラミックを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における温度プロファイルAを示すグラフである。
【図2】本発明の実施の形態における温度プロファイルBを示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態における温度プロファイルCを示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態における温度プロファイルDを示すグラフである。
【図5】従来のガラスセラミックの製造方法における温度プロファイルを示すグラフである。
【符号の説明】
11 加熱領域
11a 第1の加熱領域
11b 脱脂領域
11c 第2の加熱領域
12 最高温度領域
13 冷却領域
13a 第1の冷却領域
13b 徐冷領域(冷却速度5℃/分以下の温度領域)
13c 第2の冷却領域
23b 定温領域(冷却速度0℃/分の温度領域)
33d 再加熱領域
43e 第1の定温領域(請求項4の「定温領域」)

Claims (4)

  1. 2 3 −SiO 2 −MgO系ガラス、Li 2 O−MgO−B 2 3 −SiO 2 系ガラス、Li 2 O−CaO−B 2 3 −SiO 2 系ガラスの結晶化ガラスから選ばれるガラス粉末とスピネル、アルミナ、フォルステライト、ジルコニアから選ばれるセラミック粉末とを含むガラスセラミック組成物を、所定の温度プロファイルに基づいて焼成することにより、ガラスセラミックを製造する方法であって、前記温度プロファイルは、室温Trから最高温度Tbまで加熱する加熱領域と、最高温度Tbから室温Trまで冷却する冷却領域と、を有し、
    前記ガラス粉末は、前記加熱過程で一旦結晶化した後溶融し、前記冷却過程でその溶融したガラスが再び結晶化するものであり、前記加熱領域において結晶化したガラス粉末が溶融し始める温度をTm(ただし、Tm<Tb)、前記冷却領域において溶融したガラス粉末が再び結晶化する温度をTcとしたとき、前記冷却領域は、温度Txから温度Tc(ただし、Tc≦Tx≦Tm)にかけて、冷却速度5℃/分以下の温度領域を有することを特徴とする、ガラスセラミックの製造方法。
  2. 冷却速度5℃/分以下の前記温度領域において、冷却速度は0℃/分であることを特徴とする、請求項1に記載のガラスセラミックの製造方法。
  3. 前記冷却領域は、
    最高温度Tbから温度Ta(ただし、Td≦Ta≦Tc)まで冷却する第1の冷却領域と、
    温度Taから温度Txまで加熱する再加熱領域と、
    温度Txから温度Tyまで冷却する冷却速度5℃/分以下の前記温度領域と、
    温度Tyから室温Trまで冷却する第2の冷却領域と、
    からなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガラスセラミックの製造方法。
  4. 前記第1の冷却領域と前記再加熱領域との間に、温度Taを維持する定温領域を有することを特徴とする、請求項3に記載のガラスセラミックの製造方法。
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