JP2016040222A - 高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャスティングしたガラスを結晶化する際に発生する変形やクラックを無くし、共振周波数の温度係数を改善し、従来のセラミックス誘電体の製造工程と比して簡略化したコーディエライト組成の結晶化ガラスセラミックス誘電体を提供する。【解決手段】インディアライトとコーディエライトとを主相とする高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体であって、さらに酸化チタン相を副相として含有する高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体。また、コーディエライト組成のガラス原料に酸化チタンを5重量%〜20重量%添加して溶融固化し、その後、直ちに600℃程度の温度でアニール工程を経て、温度1000℃〜1500℃で焼成する一連の連続工程で得られる、インディアライトとコーディエライトとの結晶化ガラスを主相とする高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体の製造方法。【選択図】図13
Description
本発明は、高周波用、特にミリ波といわれる数十GHz帯に利用される誘電体に関するものである。
非圧縮・大容量ワイヤレス伝送に適するミリ波通信やプリクラッシュ・セーフティーシステムに要求される低誘電率、高品質係数(Qf)、および共振周波数の温度特性(TCf)の良い誘電体材料の研究開発が行われている。アルミナあるいはフォルステライトに代わる低誘電率の材料として、コーディエライトおよびこれを用いた誘電体共振器について、高周波誘電特性が開示されている(特許文献1参照)。
一方、非特許文献1及び非特許文献2に開示されるように、コーディエライト組成の結晶化ガラスセラミックス誘電体を作製し、測定したところ、誘電率:4.7、Qf:200,000GHz以上、TCf:−27 ppm/℃のように、全般的に極めて優れた特性が得られたとの報告がある。Qf値については、微小クラックが入っていても影響は少ないが、クラックに伴う欠けや変形によって影響され、Qf値のバラツキが大きくなる(図5(b)および図5(c)参照)。
コーディエライト組成のガラスを熱処理すると結晶が析出するが、その析出相はインディアライトとコーディエライト(図1参照)との混合相である。熱処理温度1200℃ではほぼ100%インディアライトのみの相が生成するが、熱処理温度を高くすると、インディアライト相の体積が減少する一方、コーディエライト相の体積が増加し、熱処理温度1400℃ではインディアライト相の体積が20%程度となる。このように、インディアライトは、コーディエライトの多形でコーディエライト組成ガラスが結晶化する途中に生成する準安定相である。そして、インディアライトの体積が相対的に多い方が誘電特性は格段に良い(図5(a)〜(c)参照)。なお、インディアライトとコーディエライトの生成体積比(図5(a)参照)は、リートベルト解析により求めた。
ところで、コーディエライト組成のガラスを熱処理すると変形やクラックが生じ、良好な結晶化ガラスセラミックス誘電体が安定的に得られていない(図2(a)〜(c)参照)。クラックが発生する原因は、ガラスの結晶化が表面から起こることによる(図3参照)。表面からc軸に伸長した結晶が伸び、別のペレット面から伸長した結晶とぶつかり、その方位が90°異なるため、熱膨張率がプラスとマイナスの違いによりクラックの発生となる(図4参照)。これらの結果より、熱処理による変形やクラックがQf値のバラツキの原因となっていると推測された。
Hitoshi Ohsato, Jeong-Seog Kim, A-Young Kim, Chae-Il Cheon, and Ki-Woong Chae, "Millimeter-Wave Dielectric Properties of Cordierite/Indialite Glass Ceramics", Jpn. J. Applied Physics, 50(9), (2011) 09NF01-1-5.
Hitoshi Ohsato, Jeong-Seog Kim, Chae-Il Cheon, Isao Kagomiya, "Millimeter-wave dielectrics of indialite/cordierite glass ceramics: Estimating Si/Al ordering by volume and covalency of Si/Al octahedron", J. Ceram. Soc. Japn, 121, 649-654 (2013).
本発明の課題は、コーディエライト組成の結晶化ガラスセラミックス誘電体において、キャスティングしたガラスを結晶化する際に発生する変形やクラックを無くすること、および共振周波数の温度係数(TCf)を改善することである。さらに、従来のセラミックス誘電体の製造工程を簡略化することである。
本発明者らは、コーディエライト組成のガラスに酸化物等の核形成材を添加することにより、表面からの結晶化を防止してクラックあるいは変形を抑制することを創案した。すなわち、本発明によれば、以下の材料が提供される。また、本発明の材料を提供するにあたり、従来のセラミックス作製工程に比較して簡略化した方法および結晶化工程の簡略化した方法を提供する。
〔1〕インディアライトとコーディエライトとを主相とする高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体であって、さらに酸化チタン相を副相として含有する高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体。
〔2〕前記酸化チタン相の含有率がインディアライトとコーディエライトを併せた重量に対して5重量%〜20重量%である、前記〔1〕記載の高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体。
〔3〕前記インディアライトの、インディアライトとコーディエライトとの合計に対する体積比が20%〜100%である、前記〔1〕または〔2〕記載の高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体。
〔4〕コーディエライト組成のガラス原料に酸化チタンを5重量%〜20重量%添加して溶融固化し、その後、温度1000℃〜1500℃で焼成して得られる、インディアライトとコーディエライトとの結晶相を主相とする高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体の製造方法。
〔5〕前記溶融したガラスをダイレクトキャスティング法により成型する、前記〔4〕記載の高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体の製造方法。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明に係る高周波用結晶化ガラスセラミックス誘導体は、インディアライトとコーディエライトを主相とするもので、酸化チタン相を副相として含有するものである。また、酸化チタン相の含有率がインディアライトとコーディエライトを併せた主相の重量に対して5重量%〜20重量%であることが好ましい。さらに、前記インディアライトの、インディアライトとコーディエライトとの合計に対する体積比が20%〜100%であることが好ましく、60%〜100%であることがより好ましい。
本発明の高周波用結晶化ガラスセラミックス誘導体は、コーディエライト組成のガラス原料に酸化チタン(TiO2)を5重量%〜20重量%添加して溶融固化し、その後、1000℃〜1500℃で熱処理して得られる。前記溶融したガラスをダイレクトキャスティング法により成型することが好ましい。
本発明に係る高周波用結晶化ガラスセラミックス誘導体共振器の製造方法について、図6を参照し詳説する。
(原料の調合)
原料としてのMgO、Al2O3、SiO2、およびTiO2は、各々純度99.8%以上のものを使用する。これらの原料をコーディエライト組成である2MgO・2Al2O3・5SiO2に調合して、混合、粉砕する。粉砕は、例えばボールミル等を用いた一般的な方法で行うことができる。調合したものは、1000℃、1〜2時間でカ焼する。
原料としてのMgO、Al2O3、SiO2、およびTiO2は、各々純度99.8%以上のものを使用する。これらの原料をコーディエライト組成である2MgO・2Al2O3・5SiO2に調合して、混合、粉砕する。粉砕は、例えばボールミル等を用いた一般的な方法で行うことができる。調合したものは、1000℃、1〜2時間でカ焼する。
(ガラス溶融)
白金ルツボ等のコーディエライト組成ガラスと反応しないルツボを用いて溶融する。溶融は、ルツボに前記カ焼原料を充填し、電気炉を用い、ガラス溶融温度以上の1550℃前後でカ焼原料をルツボ内で溶融する。そのルツボを炉から取り出し、カ焼原料を再度充填し、溶融させる。この操作をルツボにガラスが八分目程度になるまで数回繰り返す。
白金ルツボ等のコーディエライト組成ガラスと反応しないルツボを用いて溶融する。溶融は、ルツボに前記カ焼原料を充填し、電気炉を用い、ガラス溶融温度以上の1550℃前後でカ焼原料をルツボ内で溶融する。そのルツボを炉から取り出し、カ焼原料を再度充填し、溶融させる。この操作をルツボにガラスが八分目程度になるまで数回繰り返す。
(清澄)
ガラスバッチの投入が終了した後、炉の温度を1600℃に上げ、2時間程度溶融して、ガラス中のガス等の気泡を追い出す。
ガラスバッチの投入が終了した後、炉の温度を1600℃に上げ、2時間程度溶融して、ガラス中のガス等の気泡を追い出す。
(キャスティング法:共振器作製の場合)
共振器作製の場合は、溶融ガラスを黒鉛の型に流し込む。黒鉛の型は、厚さ30mmの黒鉛板に直径10mmの穴を開けたものである。
共振器作製の場合は、溶融ガラスを黒鉛の型に流し込む。黒鉛の型は、厚さ30mmの黒鉛板に直径10mmの穴を開けたものである。
(ダイレクトキャスティング法:基板作製の場合)
ダイレクトキャスティング法による基板作製は、溶融・軟化したガラスを黒鉛の型で成型してガラス板を作製する。ダイレクトキャスティング法とは、ペアで構成される型に溶融したガラスを流し込み、プレス成型する方法である。図14(a)は、キャスティング直後のガラス基板を偏光板で歪みを観察した写真である。図14(b)は、その後、歪みにより割れたガラスである。
ダイレクトキャスティング法による基板作製は、溶融・軟化したガラスを黒鉛の型で成型してガラス板を作製する。ダイレクトキャスティング法とは、ペアで構成される型に溶融したガラスを流し込み、プレス成型する方法である。図14(a)は、キャスティング直後のガラス基板を偏光板で歪みを観察した写真である。図14(b)は、その後、歪みにより割れたガラスである。
(アニール:加工歪除去)
成型したガラスは歪みを持ち、割れの原因となるので、歪みを取るためのアニール処理を行う。図7に酸化チタンを添加していないコーディエライト組成ガラスのマクロDTA曲線測定結果(昇温速度:10℃/min)を示す。ガラス転移Tg:778℃、発熱ピーク:919℃および946℃であった。アニール温度は、ガラス転移点(Tg)以下の730℃〜760℃の温度で4時間程度アニールを行う。図15は、760℃の温度で4時間アニールして歪みを取り除いたガラス基板を偏光板で観察した写真である。
成型したガラスは歪みを持ち、割れの原因となるので、歪みを取るためのアニール処理を行う。図7に酸化チタンを添加していないコーディエライト組成ガラスのマクロDTA曲線測定結果(昇温速度:10℃/min)を示す。ガラス転移Tg:778℃、発熱ピーク:919℃および946℃であった。アニール温度は、ガラス転移点(Tg)以下の730℃〜760℃の温度で4時間程度アニールを行う。図15は、760℃の温度で4時間アニールして歪みを取り除いたガラス基板を偏光板で観察した写真である。
(ガラスの切断および共振器作製)
キャスティング法で黒鉛の融液を金型に流し込みで作製したガラス棒にアニールを行い、その後、直径10mm、厚み6mmとなるように切断する。
キャスティング法で黒鉛の融液を金型に流し込みで作製したガラス棒にアニールを行い、その後、直径10mm、厚み6mmとなるように切断する。
(熱処理による結晶化)
前記切断したガラスをインディアライトが主に析出する温度領域(1200℃〜1300℃)で熱処理をして結晶化させる。予め、熱処理温度と結晶相との関係を調べるため、コーディエライト組成のガラス粉末に対して、DTAと同じ昇温速度(10℃/min)、所定の温度で急冷する熱処理を行った。熱処理後の試料のX線回折(XRPD)パターンを図8に示す。850℃では、結晶化が起こらず、ガラス状態である。DTA(図7参照)におけるピークの立ち上がり部分(880℃)では、β石英固溶体が析出し始め、ピーク(920℃)ではβ石英固溶体が析出した。2つ目発熱ピーク950℃ではインディアライトが析出した。なお、ガラスブロックでは、結晶の核形成・成長が遅れるので、1200℃〜1300℃で結晶化させている。
前記切断したガラスをインディアライトが主に析出する温度領域(1200℃〜1300℃)で熱処理をして結晶化させる。予め、熱処理温度と結晶相との関係を調べるため、コーディエライト組成のガラス粉末に対して、DTAと同じ昇温速度(10℃/min)、所定の温度で急冷する熱処理を行った。熱処理後の試料のX線回折(XRPD)パターンを図8に示す。850℃では、結晶化が起こらず、ガラス状態である。DTA(図7参照)におけるピークの立ち上がり部分(880℃)では、β石英固溶体が析出し始め、ピーク(920℃)ではβ石英固溶体が析出した。2つ目発熱ピーク950℃ではインディアライトが析出した。なお、ガラスブロックでは、結晶の核形成・成長が遅れるので、1200℃〜1300℃で結晶化させている。
(より安価な高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体基板の作製)
ダイレクトキャスティング法による基板作製から結晶化まで一連の工程で結晶化ガラスセラミックス誘電体基板を作製する。溶融したガラスを金型でプレスして得られた基板を、熱いまま、600℃程度に保った連続炉に導き、1時間ほどその温度でアニールを行い、焼成温度1200℃〜1300℃まで10℃/minの加熱速度で上げ、1200℃〜1300℃で10〜20時間程度熱処理し、毎分3〜4℃程度の冷却速度で室温に戻す。
ダイレクトキャスティング法によるセラミックス誘電体基板作製手順は、いわゆるセラミックスの作製手順に比べて、工程が減少し、より安価に基板を供給可能である。
ダイレクトキャスティング法による基板作製から結晶化まで一連の工程で結晶化ガラスセラミックス誘電体基板を作製する。溶融したガラスを金型でプレスして得られた基板を、熱いまま、600℃程度に保った連続炉に導き、1時間ほどその温度でアニールを行い、焼成温度1200℃〜1300℃まで10℃/minの加熱速度で上げ、1200℃〜1300℃で10〜20時間程度熱処理し、毎分3〜4℃程度の冷却速度で室温に戻す。
ダイレクトキャスティング法によるセラミックス誘電体基板作製手順は、いわゆるセラミックスの作製手順に比べて、工程が減少し、より安価に基板を供給可能である。
(研磨工程)
円柱共振器の場合、厚さが径の1/2になるように研磨する。また、高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体基板の場合は、表面粗さRaが0.02以下となるように研磨する。ダイレクトキャスティング法で成形の場合、金型の選定により所定の表面粗さが得られれば、この研磨工程は省略できる。成型されたペレット状結晶化ガラスセラミックス誘電体を図9に示す。結晶化ガラスセラミックス誘電体基板は、マイクロ波誘電特性評価のために、直径40mm、厚さ1mmに切削・研磨した。その状態を図16に示す。
円柱共振器の場合、厚さが径の1/2になるように研磨する。また、高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体基板の場合は、表面粗さRaが0.02以下となるように研磨する。ダイレクトキャスティング法で成形の場合、金型の選定により所定の表面粗さが得られれば、この研磨工程は省略できる。成型されたペレット状結晶化ガラスセラミックス誘電体を図9に示す。結晶化ガラスセラミックス誘電体基板は、マイクロ波誘電特性評価のために、直径40mm、厚さ1mmに切削・研磨した。その状態を図16に示す。
以下、本発明を実施例に基づいて詳説するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1:焼成温度による誘電特性の変化)
酸化チタン10wt%添加で、熱処理温度1200℃〜1350℃(焼成:20時間)と変えた場合の特性を測定した結果を表1に示す。焼成温度を上げると、比誘電率εrが大きくなり、一方品質係数Qfは小さくなる。さらに、共振周波数の温度係数TCfは1300℃〜1350℃でゼロになる。焼成温度1250℃で比誘電率εr、品質係数Qf、および共振周波数の温度係数TCfがいずれも良好であった。さらに、X線回折(XRPD)パターンを図10に示す。いずれのパターンも、インディアライト/コーディエライトが主相で、酸化チタン(TiO2)のピークが観察される。
酸化チタン10wt%添加で、熱処理温度1200℃〜1350℃(焼成:20時間)と変えた場合の特性を測定した結果を表1に示す。焼成温度を上げると、比誘電率εrが大きくなり、一方品質係数Qfは小さくなる。さらに、共振周波数の温度係数TCfは1300℃〜1350℃でゼロになる。焼成温度1250℃で比誘電率εr、品質係数Qf、および共振周波数の温度係数TCfがいずれも良好であった。さらに、X線回折(XRPD)パターンを図10に示す。いずれのパターンも、インディアライト/コーディエライトが主相で、酸化チタン(TiO2)のピークが観察される。
(実施例2:酸化チタン添加量による誘電特性の変化)
熱処理温度1200℃(処理時間20時間)で酸化チタン0wt%〜20wt%添加の酸化チタン添加量とクラックの発生有無を図11に示す。酸化チタン添加量10重量%および20重量%ではクラックが発生しない。また、X線回折(XRPD)パターンを図12に示す。さらに、誘電特性を測定した結果を表2に示す。酸化チタン添加量を増やすと比誘電率εrは大きくなり、一方品質係数Qfは小さくなる。共振周波数の温度係数TCfは酸化チタン添加量増加とともに、マイナスからプラスに変化し、10〜20wt%の間でゼロとなる。これら特性の変化を図13に示す。この図から、酸化チタン添加量に伴いQf値は200,000GHzから60,000GHzへ減少することが分かる。
熱処理温度1200℃(処理時間20時間)で酸化チタン0wt%〜20wt%添加の酸化チタン添加量とクラックの発生有無を図11に示す。酸化チタン添加量10重量%および20重量%ではクラックが発生しない。また、X線回折(XRPD)パターンを図12に示す。さらに、誘電特性を測定した結果を表2に示す。酸化チタン添加量を増やすと比誘電率εrは大きくなり、一方品質係数Qfは小さくなる。共振周波数の温度係数TCfは酸化チタン添加量増加とともに、マイナスからプラスに変化し、10〜20wt%の間でゼロとなる。これら特性の変化を図13に示す。この図から、酸化チタン添加量に伴いQf値は200,000GHzから60,000GHzへ減少することが分かる。
(実施例3:ダイレクトキャスティング法で作製した基板の特性)
酸化チタン10wt%添加コーディエライト組成融液をダイレクトキャスティング法でキャスティングしたガラス基板を、熱いうちに予め600℃の温度で予熱した匣鉢に移し、速やかに電気炉に入れ、その温度で1時間ほどアニールした後、1200℃まで10℃/minの速度で昇温し、1200℃で10時間熱処理して結晶化した。その結晶化ガラスセラミックスを径40mm、厚さ1mmに整形・研磨し(図16参照)、マイクロ波誘電特性を測定した結果を表3に示す。
酸化チタン10wt%添加コーディエライト組成融液をダイレクトキャスティング法でキャスティングしたガラス基板を、熱いうちに予め600℃の温度で予熱した匣鉢に移し、速やかに電気炉に入れ、その温度で1時間ほどアニールした後、1200℃まで10℃/minの速度で昇温し、1200℃で10時間熱処理して結晶化した。その結晶化ガラスセラミックスを径40mm、厚さ1mmに整形・研磨し(図16参照)、マイクロ波誘電特性を測定した結果を表3に示す。
本発明は、低誘電率εr、高品質(Qf)、TCfゼロの特性を有するミリ波誘電体として、大容量・高速ミリ波ワイヤレス通信PAN/RAMに使われると同時に、ITS(Intelligent Transform System)のプレクラッシュセイフティーシステム等のレーダー材料に用いられる。
本発明に係る高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体は、インディアライトとコーディエライトを主相とするもので、酸化チタン相を副相として含有するものである。また、酸化チタン相の含有率がインディアライトとコーディエライトを併せた主相の重量に対して5重量%〜20重量%であることが好ましい。さらに、前記インディアライトの、インディアライトとコーディエライトとの合計に対する体積比が20%〜100%であることが好ましく、60%〜100%であることがより好ましい。
本発明の高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体は、コーディエライト組成のガラス原料に酸化チタン(TiO2)を5重量%〜20重量%添加して溶融固化し、その後、1000℃〜1500℃で熱処理して得られる。前記溶融したガラスをダイレクトキャスティング法により成型することが好ましい。
本発明に係る高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体共振器の製造方法について、図6を参照し詳説する。
Claims (5)
- インディアライトとコーディエライトとを主相とする高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体であって、さらに酸化チタン相を副相として含有する高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体。
- 前記酸化チタン相の含有率がインディアライトとコーディエライトを併せた重量に対して5重量%〜20重量%である、請求項1記載の高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体。
- 前記インディエライトの、インディアライトとコーディエライトとの合計に対する体積比が20%〜100%である、請求項1または請求項2記載の高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体。
- コーディエライト組成のガラス原料に酸化チタンを5重量%〜20重量%添加して溶融固化し、その後、直ちに600℃程度の温度でアニール工程を経て、温度1000℃〜1500℃で焼成する一連の連続工程で得られる、インディアライトとコーディエライトとの結晶化ガラスを主相とする高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体の製造方法。
- 前記溶融したガラスをダイレクトキャスティング法により成型する、請求項4記載の高周波用結晶化ガラスセラミックス誘電体の製造方法。
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WO2022059724A1 (ja) * | 2020-09-18 | 2022-03-24 | Agc株式会社 | 結晶化ガラス、高周波用基板、液晶用アンテナおよび結晶化ガラスの製造方法 |
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WO2022059724A1 (ja) * | 2020-09-18 | 2022-03-24 | Agc株式会社 | 結晶化ガラス、高周波用基板、液晶用アンテナおよび結晶化ガラスの製造方法 |
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