JP4456726B2 - 免震構造架構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、地震時に発生する建物の浮き上がりを許容して、建物の転倒、落下衝撃に対する安全性を確保しながら、建物に作用する地震入力を低減させる免震構造架構の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般の免震構造架構は、建物と地盤側基礎との間の免震層において、建物を免震支承(アイソレータ)で支持させ、地震入力を低減させる構成である。しかし、特にアスペクト比の大きな建物では、地震時に生ずるロッキング振動によって、免震支承(アイソレータ)に多大な引張力が作用することが問題となり、構造設計を困難としている。
【0003】
そこで、建物と基礎杭等の地盤側基礎との間の縁を切り、前記したロッキング振動に伴う建物の浮き上がりを積極的に許容する免震構造架構の技術も提案されている。例えば、
【0004】
(1) 特開平10−331173号公報に開示された免震構造架構は、建物下部を基礎杭の杭頭部に対して浮き上がり可能に縁切りし、建物側基礎(基礎梁)に形成した下向きの凹部に基礎杭の杭頭部を衝撃吸収用の緩衝材を介して嵌め込んだ構成である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術(1)の免震構造架構は、建物の浮き上がりによる落下衝撃力の吸収、及び建物と基礎杭との間の剪断力の伝達の双方について工夫している。しかしながら、同技術の建物側基礎(基礎梁)の下向きの凹部に基礎杭を嵌め込む構成では、前記凹部と基礎杭の杭頭部を両者共に高精度な寸法に構築することが困難であり、その結果、構造設計段階で設定したように建物の剪断力及び軸力を効率的に基礎杭へ伝達させることができず、期待した通りに、建物の転倒、落下衝撃に対する安全性を確保しながら、建物に作用する地震入力を低減させることができない。
【0006】
また、前記建物側基礎(基礎梁)は、その下向きの凹部へ基礎杭の杭頭部が嵌め込まれるため、通常の断面構造では下端鉄筋が前記凹部を形成するのに邪魔になり施工できないので、下方の断面厚を割増して施工しなければならず、不経済な仕様となる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、建物に用いられる鉄骨柱下端部の既存の高精度な寸法を利用すると共に、基礎杭の杭頭部構造を工夫して、地震時に、建物の浮き上がりを許容する構成とし、構造設計段階で設定した如く建物の剪断力及び軸力を効率的に基礎杭へ伝達でき、期待した通りに、建物の転倒、落下衝撃に対する安全性を確保しながら、建物に作用する地震入力を低減させることができる、免震構造架構を提供することである。
【0008】
本発明の次の目的は、基礎梁を通常の断面厚で施工でき、経済的に実施できる、免震構造架構を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る免震構造架構は、
建物下部の基礎梁及び鉄骨柱の下端部が基礎杭の杭頭部に対して浮き上がり可能に縁切りされており、前記基礎杭の杭頭部に凹部が形成され、前記鉄骨柱の下端部が前記凹部内へ差し入れられ、当該鉄骨柱の下端面と凹部の底面とが面接触とされていると共に、基礎梁の底面も基礎杭の上端面に面接触する構成とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した免震構造架構において、
鉄骨柱の下端面と基礎杭の凹部底面との間に、衝撃吸収用の緩衝材が介在されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した免震構造架構において、
基礎杭の上端面に敷設された分離シートにより、当該基礎杭に対して基礎梁が浮き上がり可能に縁切りされていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した免震構造架構において、
基礎杭の凹部の内周面及び底面を形成する箱形の鋼板が設置され、前記鋼板の上端は基礎杭の上端面よりも上方へ立ち上げられていると共に、少なくとも前記鋼板の前記立ち上がり部の内外面を被覆するシール材が敷設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した免震構造架構において、
基礎杭の凹部の内周面と、当該凹部に差し込まれた鉄骨柱の外側面との間に滑り材が介在されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した免震構造架構において、
鉄骨柱の下端部の外側面に設けられたスタッドボルトが基礎梁に埋め込まれ、鉄骨柱と基礎梁とが一体化されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一に記載した免震構造架構において、
基礎杭の杭頭部外周面に鋼板等のケーシングが巻き付けられていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施形態及び実施例】
図1〜図3に示した、請求項1〜7に記載した発明に係る免震構造架構の実施形態を説明する。
【0017】
本発明の免震構造架構は、図1、図2に示したように、建物下部の基礎梁1及び鉄骨柱2の下端部が基礎杭3の杭頭部に対して浮き上がり可能に縁切りされている。前記基礎杭3の杭頭部に上向きの凹部4が形成され、前記鉄骨柱2の下端部が前記凹部4内へ差し入れられている。そして、前記鉄骨柱2の下端面と凹部4の底面とが衝撃吸収用の緩衝材5を介して面接触とされている(請求項2記載の発明)と共に、前記基礎梁1の底面も基礎杭3の上端面に面接触する構成とされている。
【0018】
本発明の免震構造架構では、建物に用いられる鉄骨柱2の下端部は製造段階で既に高精度な寸法を有しており、さらに基礎杭3の杭頭部に後述する箱形の鋼板7により高精度な寸法の凹部4を形成するので、地震時には、構造設計段階で設定した如く、建物の軸力は、面接触した鉄骨柱2の下端面及び基礎梁1の底面から基礎杭3の上端面及び凹部4の底面へ効率的に伝達でき、建物の剪断力は、鉄骨柱2の下端部の外側面から基礎杭3の凹部4の内周面(鉛直面)へ効率的に伝達できる。また、建物の浮き上がりによる落下衝撃力を緩衝材5が鉄骨柱2の下端面で吸収する。よって、期待した通りに、建物の転倒、落下衝撃に対する安全性を確保しながら、建物に作用する地震入力を低減させることができる。但し、想定される地震の程度によっては、前記緩衝材5を省略して実施してもよい(請求項1記載の発明)。
【0019】
なお、前記鉄骨柱2として角形鋼管を使用しているが、円形鋼管又はH形鋼その他を使用して実施することもできる。
【0020】
本実施形態では、図3にその詳細を示したように、基礎杭3の上端面に敷設された分離シート6により、当該基礎杭3に対して、後続してコンクリート打設し構築される基礎梁1が浮き上がり可能に縁切りされている(請求項3記載の発明)。前記分離シート6は、基礎杭3の上端面を防水してその健全性を確保する機能も果たす。
【0021】
また、前記基礎杭3の凹部4の内周面及び底面を形成する箱形の鋼板7が設置されている。さらに、前記鋼板7の上端は基礎杭3の上端面よりも上方へ立ち上げられた立ち上がり部7aが設けられていると共に、当該立ち上がり部7aの内外面を被覆するように基礎梁1の底面から鉄骨柱2の下端部にかけてシール材8が敷設されている。よって、基礎杭3の凹部4内へ雨水が浸入して鉄骨柱2の下端部、緩衝材5、及び後述する滑り材9等を変質させないように水密性が確保される(請求項4記載の発明)。
【0022】
前記基礎杭3の凹部4の内周面と、当該凹部4に差し込まれた前記鉄骨柱2の外側面との間に滑り材9が介在されている。これにより、地震時に、建物を構成する基礎梁1及び鉄骨柱2は、図2に示したように、ロッキング振動に伴って浮き上がりを生じ、前記凹部4内で上下方向へスムーズに相対変位する(請求項5記載の発明)。前記滑り材9は必要に応じて省略してもよい。
【0023】
本実施形態では、鉄骨柱2の下端部の外側面に設けられたスタッドボルト10…が基礎梁1内に埋め込まれ、鉄骨柱2と基礎梁1とが一体化されており、建物の軸力をより効率的に基礎杭3へ伝達する構成とされている(請求項6記載の発明)。
【0024】
なお、本発明に係る免震構造架構は、このように建物の軸力を鉄骨柱2の下端面と基礎梁1の底面から基礎杭3へ効率的に伝達でき、建物の剪断力は上記したように鉄骨柱2の下端部の外側面から基礎杭3へ効率的に伝達できる構成であるので、基礎梁1を通常の断面厚で施工でき、経済的に実施することができる。
【0025】
さらに、基礎杭3の杭頭部の外周面に鋼板(ケーシング)11が巻き付けられており、その拘束効果で当該基礎杭3の杭頭部への鉄骨柱2からの建物剪断力及び落下衝撃力の伝達を確実なものとすると共に、その断面欠損の防止が図られている(請求項7記載の発明)。
【0026】
【本発明が奏する効果】
請求項1〜7に記載した発明に係る免震構造架構は、上述したように、建物に用いられる鉄骨柱下端部の既存の高精度な寸法を利用し、基礎杭の杭頭部に箱形の鋼板により高精度な寸法の凹部を形成し、鉄骨柱の下端面を緩衝材を介して面接触させ、基礎梁の底面も基礎杭の上面に面接触させて、地震時に、建物の浮き上がりを許容する構成なので、構造設計段階で設定した如く建物の剪断力及び軸力を効率的に基礎杭へ伝達でき、期待した通りに、建物の転倒、落下衝撃に対する安全性を確保しながら、建物に作用する地震入力を低減させることができる。
【0027】
本発明に係る免震構造架構はまた、建物の軸力を鉄骨柱の下端面と基礎梁の底面から基礎杭へ効率的に伝達できると共に、建物の剪断力は鉄骨柱の下端部の外側面から基礎杭へ効率的に伝達できる構成であるので、基礎梁を通常の断面厚で施工でき、経済的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る免震構造架構の要部を示した断面図である。
【図2】図1の免震構造架構における建物の浮き上がり時の状態を示した図である。
【図3】図1の詳細部を示した拡大図である。
【符号の説明】
1 基礎梁
2 鉄骨柱
3 基礎杭
4 凹部
5 緩衝材
6 分離シート
7 鋼板
7a 鋼板の立ち上がり部
8 シール材
9 滑り材
10 スタッドボルト
11 ケーシング(鋼板)
Claims (7)
- 建物下部の基礎梁及び鉄骨柱の下端部が基礎杭の杭頭部に対して浮き上がり可能に縁切りされており、前記基礎杭の杭頭部に凹部が形成され、前記鉄骨柱の下端部が前記凹部内へ差し入れられ、当該鉄骨柱の下端面と凹部の底面とが面接触とされていると共に、基礎梁の底面も基礎杭の上端面に面接触する構成とされていることを特徴とする、免震構造架構。
- 鉄骨柱の下端面と基礎杭の凹部底面との間に、衝撃吸収用の緩衝材が介在されていることを特徴とする、請求項1に記載した免震構造架構。
- 基礎杭の上端面に敷設された分離シートにより、当該基礎杭に対して基礎梁が浮き上がり可能に縁切りされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した免震構造架構。
- 基礎杭の凹部の内周面及び底面を形成する箱形の鋼板が設置され、前記鋼板の上端は基礎杭の上端面よりも上方へ立ち上げられていると共に、少なくとも前記鋼板の前記立ち上がり部の内外面を被覆するシール材が敷設されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した免震構造架構。
- 基礎杭の凹部の内周面と、当該凹部に差し込まれた鉄骨柱の外側面との間に滑り材が介在されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した免震構造架構。
- 鉄骨柱の下端部の外側面に設けられたスタッドボルトが基礎梁に埋め込まれ、鉄骨柱と基礎梁とが一体化されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した免震構造架構。
- 基礎杭の杭頭部外周面に鋼板等のケーシングが巻き付けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載した免震構造架構。
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