JP4456293B2 - 表面塗工液用添加剤とこの添加剤をインク受容層に含有するインクジェット記録用シート - Google Patents

表面塗工液用添加剤とこの添加剤をインク受容層に含有するインクジェット記録用シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙で代表される支持体の表面塗工液用添加剤と、当該添加剤をインク受容層に含有するインクジェット記録用シートに関する。さらに詳しくは、紙などの支持体の表面塗工液に配合して使用され、その塗工液の凝集や粘度上昇を抑制することができ、従って、高濃度でも塗工液の流動性を良好に保つことができる表面塗工液用添加剤と、その添加剤を含有する表面塗工液を使用して得られる塗工インクジェット記録用シートに係る。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、インクジェット記録方法は、インクの微小滴を発生・飛翔させて記録用支持体に付着させ、画像や文字などの記録を行うものであり、低騒音で高速記録が可能、多色化が容易等々の優れた特性を持っているので、近時急速に普及してきた。
【0003】
インクジェット記録用インクを用いて画像形成を行う記録シートとしては、インクの吸収が速く、しかも滲みや、汚れが発生せず、インクドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ均一であること、インクドットの濃度が高く、しかも鮮明であること、記録画像が濡れた場合に滲んだり、また濡れた状態で摩擦した場合に記録画像が消失しないこと等の性能が要求される。
【0004】
インクジェット記録用シートは、PPC用紙の如く、インク受容層を特別設けていない非塗工タイプと、積極的にインク受容層を設けた塗工タイプに大別できるが、高画質・高解像度のカラー記録が特に要求される場合には、染料の吸着・保持能力が高く、色再現性に優れた塗工タイプのインクジェット記録用シートが汎用されている。
塗工タイプのインクジェット記録用シートは、紙、合成紙、不織布、繊維シート、プラスチックフィルム等の任意の支持体表面に、顔料、バインダー、インク定着剤(耐水化剤)を含有し、さらにその他の助剤として顔料分散剤、流動性改良剤、消泡剤、離型剤、浸透剤、滑剤、帯電防止剤、防腐剤等を含有する塗工液を塗工乾燥してインク受容層を設けたものであって、顔料としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、クレー等が、バインダーとしては、カゼイン、澱粉、ポリビニルアルコール、スチレンーブタジエン系共重合体、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等が使用されている。そして、インク定着剤(耐水化剤)としては、ジシアンジアミド樹脂、ポリアミン誘導体、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリウレタン、ポリアミドーエピクロルヒドリン樹脂等のカチオン性インク定着剤(耐水化剤)が知られている。
【0005】
インクジェット記録方法では、そのインクの多くが水溶性染料等を使用しているために、記録用シートに形成された画像や文字が、本質的に耐水性に乏しい欠点がある。この点の改善のために、インク受容層の形成に使用する表面塗工液には、上記したとおり、カチオン性インク定着剤(耐水化剤)を配合するのが通例であって、上記した以外のカチオン性インク定着剤(耐水化剤)としては、第2級アミンとエピクロルヒドリンとを反応させて得られたカチオン性樹脂(特開平6−92012号公報参照)、ベンジル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル第4級アンモニウム塩を骨格とする重合物を有効成分とするカチオン性ポリマー(特開平8−108618号公報参照)、N−ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩をモノマー単位として含む4級アンモニウム塩型ポリマー(特開平9−248960号公報参照)、アンモニアとアミン類とエピクロルヒドリンとを反応させたカチオン性樹脂(特開平10−152544号公報参照)、カチオン性ウレタン樹脂エマルジョン又はカチオン性アクリル樹脂(特開平11−180030号公報参照)等が従来より提案されている。
この他、特開平10−219592号公報には、PPC用紙の表面に塗布乾燥するだけでインクジェット記録用シートを得ることができる顔料非含有の表面塗布剤として、グルコース単位を分子内に有する高分子の共存下に(メタ)アクリル単量体をラジカル重合させて得られる重合体液が教示されている。そして、グルコース単位を分子内に有する高分子として、澱粉、アルファ澱粉、酸化澱粉、カチオン澱粉、両性澱粉、カルボキシメチル化澱粉等が例示されている。
【0006】
ところで、塗工タイプのインクジェット記録用シートを調製するためには、顔料、バインダー、カチオン性インク定着剤(耐水化剤)等を含有する表面塗工液を、まず適当な支持体表面に塗工しなければならない。この表面塗工液に含まれるカチオン性インク定着剤(耐水化剤)は、インクジェット記録用インクで形成される画像ないしは文字の定着に寄与する重要な成分であるが、表面塗工液の凝集や粘度上昇を招く欠点がある。
すなわち、表面塗工液に配合される原料やその他の助剤のほとんどは、アニオン性であるため、これらのアニオン性成分とカチオン性インク定着剤がアニオン−カチオンのイオンコンプレックスを形成し、これに起因して塗工液の凝集や粘度上昇が起り、塗工液の流動性、安定性が劣化して塗工適性が損なわれる欠点がある。特に塗工液の濃度が高い場合は、その傾向が著しく、支持体への塗工量の制御を困難にし、エアナイフコータによる塗工では、ミストの飛散によってリップが汚染されるなどの不都合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的の一つは、塗工タイプのインクジェット記録用シートを調製する際に使用されるところの、カチオン性インク定着剤含有表面塗工液の塗工適性を改善することができる表面塗工液添加剤を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記添加剤が配合された表面塗工液を使用して得られるところの、印字適性、インク定着性並びにインク受容層強度に富んだインクジェット記録用シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明が提案する第1の表面塗工液用添加剤は、固形分15%水溶液の粘度がB型粘度計(60rpm/25℃)による測定で5〜100センチポイズ(以下「cps」と記載する)の範囲にある酵素変性カチオン化澱粉からなる。
本発明が提案する第2の表面塗工液用添加剤は、上記した酵素変性カチオン化澱粉の水溶液中において、当該酵素変性カチオン化澱粉と下記のモノマー構成(a)又は(b)にあるモノマー成分との合計量基準で、50〜99重量%に相当する酵素変性カチオン化澱粉と、1〜50重量%に相当するモノマー成分を重合して得られるグラフト重合体からなる。
モノマー構成(a):カチオン性ビニルモノマーのみ
モノマー構成(b):カチオン性ビニルモノマー及び当該ビニルモノマーと共重合可能なビニルモノマー
そして、本発明が提案するインクジェット記録用シートは、上記した第1又は第2の表面塗工液用添加剤を含有する塗工液を、支持体の表面に塗布乾燥してなるものである。
すなわち、本発明は、顔料、バインダー、インク定着剤(耐水化剤)、その他助剤等を含む塗工液の凝集や粘度上昇を抑制し、調液性に優れた塗工液を与えることができる表面塗工液用添加剤と、当該添加剤を含有する塗工液にてインク受容層を形成させて得られるところの、印字適性、受容層強度及びインク定着性(耐水性)などのインクジェット適性に優れたインクジェット記録用シートを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の技術的構成について詳しく説明する。
本発明に係る添加剤の原料に使用されるカチオン化澱粉は、馬鈴薯、さつまいも、タピオカなど各種植物の地下部から得られる澱粉、小麦、米、とうもろこしなどの各種穀物から得られる澱粉、またはこれらの澱粉を軽度にアセチル化、エステル化及びエーテル化した澱粉誘導体を、アルカリ触媒の存在下に3−クロローヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドやグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン化剤と反応させることによって得ることができる。本発明で使用するカチオン化澱粉は、そのカチオン化の程度を表わすN値(窒素含有率%)が、0.3〜0.6の範囲にあることが好ましい。
【0010】
酵素変性カチオン化澱粉を酵素変性する際の澱粉分解酵素には、各種の細菌、動植物が生産するα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、γ−アミラーゼ、iso−アミラーゼ等がいずれも使用可能である。なかでもα−アミラーゼは、過度の低分子量体や単糖類を生じさせない点で最も好ましく使用される。
澱粉分解酵素の作用でカチオン化澱粉は加水分解され、酵素変性カチオン化澱粉に変性される。澱粉分解酵素による加水分解の度合い(変性の程度)は、当該加水分解によって得られる酵素変性カチオン化澱粉の水溶液粘度によって規制され、より詳細には、固形分濃度15%の酵素変性カチオン化澱粉水溶液の粘度が、B型粘度計(60rpm/25℃)で測定して5〜100cpsの範囲に、好ましくは10〜50cpsの範囲になるように調節する。
ちなみに、当該粘度が5cps未満では、酵素変性カチオン化澱粉を含有するインク受容層の強度が低下し、100cpsを超えた場合は、上記酵素変性カチオン化澱粉を配合した表面塗工液の粘度を所望したように低下させることができない。
本発明に係る第1の表面塗工液用添加剤は、澱粉分解酵素によるカチオン化澱粉の加水分解の度合いを、上記したように調製することによって得ることができる。
【0011】
なお、上の説明では、澱粉をまずカチオン化し、次いでこれを澱粉分解酵素にて変性する手順で酵素変性カチオン化澱粉を得ているが、カチオン化と酵素変性を逆にし、澱粉をまず酵素変性し、次いでこれをカチオン化する手順でも、粘度に関する上記の条件を満足する酵素変性カチオン化澱粉を得ることができる。この場合、先に説明した各種の澱粉、澱粉誘導体、カチオン化剤、澱粉分解酵素が使用できることはもちろんである。
また、酵素変性によらずにカチオン化澱粉を酸化的方法によって低粘度化することも可能であって、例えば、次亜ハロゲン酸塩、過硫酸塩等の酸化剤を使用して澱粉を低粘度化することができる。しかし、この方法で低粘度化したカチオン化澱粉は、その水溶液が安定性に乏しいばかりでなく、これを含有するインク受容層は、インクジェット印刷適性が劣る点で好ましくない。
【0012】
本発明の係る第2の表面塗工液用添加剤は、第1の表面塗工液用添加剤、すなわち、固形分濃度15%の水溶液の粘度がB型粘度計(60rpm/25℃)による測定で5〜100cpsの範囲にある酵素変性カチオン化澱粉の水溶液中において、当該カチオン化澱粉と下記のモノマー構成(a)又は(b)にあるモノマー成分との合計量基準で、50〜99重量%に相当する酵素変性カチオン化澱粉と、1〜50重量%に相当するモノマー成分をグラフト重合させることによって得ることができる。
モノマー構成(a):カチオン性ビニルモノマーのみ
モノマー構成(b):カチオン性ビニルモノマー及び当該ビニルモノマーと共重合可能なビニルモノマー
グラフト重合に使用するカチオン性ビニルモノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、ジエチルアミノプロピルメタアクリルアミド、アリルアミン、ジアリルアミンなどの3級アミノ基を有するビニルモノマー;これらビニルモノマーの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、スルファミン酸塩で例示される無機酸塩又は有機酸塩;第3級アミノ基含有ビニルモノマーと、ベンジルクロライド、メチルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリン、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級化剤との反応によって得られる第4級アンモニウム塩含有ビニルモノマーなどが挙げられる。
これらのカチオン性ビニルモノマーは、それぞれ単独で使用することができ、また2種以上を併用して用いることも可能である。
上記したカチオン性ビニルモノマーのなかでも、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド等のジメチルアミノエチルアクリレートやジメチルアミノエチルメタクリレートを4級化した第4級アンモニウム塩含有カチオン性ビニルモノマーは、好ましいカチオン性ビニルモノマーである。
【0013】
前記のカチオン性ビニルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アリルアルコール、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のノニオン性ビニルモノマ−、1官能性ビニルモノマー、2官能性ビニルモノマー、3官能性ビニルモノマー等架橋性ビニルモノマー等などが例示できる。これらのなかでもアクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。これらのビニルモノマーは単独で使用することもできれば、2種以上を併用することもできる。
【0014】
本発明の第2の表面塗工液用添加剤である前記グラフト重合体においては、モノマー成分にモノマー構成(a)を採用するか、モノマー構成(b)を採用するかに拘わらず、酵素変性カチオン化澱粉とモノマー成分との合計量基準で、通常は50〜99重量%、好ましくは50〜98重量%、さらに好ましくは50〜97重量%の酵素変性カチオン化澱粉と、1〜50重量%、好ましくは2〜50重量%,さらに好ましくは3〜50重量%のモノマー成分を重合させる。モノマー成分の重量割合が1重量%に満たない場合は、グラフト重合させない場合との差がほとんどなく、50重量%を超える場合は調液性が改善されない。
重合に供する酵素変性カチオン化澱粉の量が、全体の50重量%を下回る場合は、その添加剤によって表面塗工液の凝集を充分に抑えることができない。
モノマー成分に関して言えば、カチオン性ビニルモノマーと、これと共重合可能なビニルモノマーとのモル比率は、前者:後者=10〜100:90〜0、好ましくは20〜100:80〜0の範囲で選択される。
【0015】
本発明のグラフト重合体は、通常の溶液重合法で調製することができる。例えば、攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、酵素変性カチオン化澱粉の水溶液とモノマー成分と水を仕込んでpH3.5〜9.5に調整し、これに重合開始剤と、必要に応じて重合調整剤又は連鎖移動剤を添加し、温度40〜95℃で1〜5時間反応させることによって、ほぼ100%の反応率で本発明のグラフト重合体を得ることができる。前記の重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ハイドロパーオキサイドなどの過酸化物、これらの過酸化物と重亜硫酸塩等の還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等の水溶性アゾ系開始剤等が使用可能であり、重合調整剤又は連鎖移動剤としては、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、アリルスルホン酸ナトリウム、メタアリルスルホン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、メルカプトエタノール、チオグリコール酸等が使用可能である。
【0016】
上に例示した溶液重合法では、反応容器に仕込んだ酵素変性カチオン化澱粉及びモノマー成分のほとんど全てを反応させることができるので、反応容器に仕込んだ個々の原料の仕込み量は、最終的に得られるグラフト重合体の成分組成に反映され、例えば、80重量部の酵素変性カチオン化澱粉と20重量部のモノマー成分を反応容器に仕込んで反応させた場合には、得られるグラフト重合体の80重量%は、酵素変性カチオン化澱粉で占められる。
本発明のグラフト重合体は、その幹部分に形成する酵素変性カチオン化澱粉と、枝部分を形成するモノマー成分由来の重合鎖からなるものと推定できるが、グラフト重合体の枝部分を形成するモノマー成分中のカチオン性ビニルモノマーの量を増加させることによって、最終的に得られるグラフト共重合体のコロイド当量を増大させることができる。
ちなみに、本発明に係るグラフト重合体のコロイド当量は、当該グラフト重合体を表面塗工液に添加する際の添加量に関係し、グラフト重合体のコロイド当量が1meq/gであれば、表面塗工液中の顔料100部に対して約2部程度のグラフト重合体を添加することで、また、コロイド当量が0.3meq/gであれば、同じく顔料100部に対して約10部のグラフト重合体を添加することで、それぞれ表面塗工液の粘度上昇を充分に抑制することができる。しかし、インクジェット記録用シートのインク受容層強度は、表面塗工液中のグラフト重合体配合率にほぼ比例するので、インク受容層強度の増大を求める場合には、コロイド当量の低いグラフト重合体を選択し、その配合率を増加させることが好ましい。
【0017】
上記した第1及び第2の表面塗工液用添加剤は、それぞれ典型的にはインクジェット記録用シート製造用の塗工液に、すなわち、顔料、バインダー、インク定着剤(耐水化剤)及びその他助剤等を含有する塗工液に、適量添加する方法で使用される。しかし、上記塗工液に限らず、液中においてアニオン−カチオンのイオンコンプレックスを形成し易い成分を含有する広く一般の表面塗工液にも、本発明の添加剤は配合することができ、これによって固形分濃度増大に伴う表面塗工液の粘度増大を抑制することができる。
インクジェット記録用シート製造用の塗工液に、第1又は第2の表面塗工液用添加剤を配合する場合、そのコロイド当量は前者にあっては0.2〜0.4meq/gの範囲に、後者にあっては0.3〜1.0meq/gの範囲に調整することが好ましい。そして、添加剤の配合量は、第1及び第2の添加剤とも、塗工液に含まれる顔料100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲で選択することが好ましい。添加剤の配合量が0.5重量部に満たない場合は、調液性の改善が見られず、20重量部を超える場合は印字適性が悪化する。
【0018】
本発明のインクジェット記録用シートを調製するに際しては、本発明の第1又は第2の表面塗工液用添加剤を含有する塗工液を、適当な記録用支持体に塗工して乾燥する。塗工量は3〜50g/m、好ましくは5〜15g/mの範囲で選ぶことができる。塗布方法には従来法が採用可能であって、例えば、サイズプレス、ゲートロールコータ、エアナイフコータ、ブレードコータ、スプレー等が利用できる。
上記の記録用支持体としては、紙、合成紙、不織布、繊維シート、プラスチックフィルム等の各種支持体が使用可能である。
【0019】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。尚、部及び%は特記しないかぎりすべて重量基準である。
【0020】
<表面塗工液用添加剤の調製>
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、カチオン化タピオカ澱粉(N値0.33)100部と水200部を仕込みスラリーとした後、pH6に調整後、α−アミラーゼ(商品名スピターゼPG2;ナガセ生化学工業(株)製)0.002部を添加混合し、徐々に加温して酵素変性を行った。40分後に液温を90℃に昇温せしめ、硫酸にてpH4として酵素反応を終結させ、水を加えて固形分を調整することにより、酵素変性カチオン化澱粉からなる表面塗工液用添加剤を得た。その製品性状を表1に示す。
【0021】
[実施例2]
実施例1において使用したカチオン化タピオカ澱粉(N値0.33)を、カチオン化馬鈴薯澱粉(N値0.58)に代えた以外は実施例1と同様の方法で酵素変性カチオン化澱粉からなる表面塗工液用添加剤を得た。その製品性状を表1に示す。
【0022】
[実施例3]
実施例1で調製した酵素変性カチオン化澱粉97部を含有する水溶液中に、濃度80%のアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド1.25部、濃度40%のアクリルアミド5部、次亜リン酸ナトリウム水和物0.003部を混合して加温し、内温60℃で過硫酸アンモニウム及び重亜硫酸ソーダを各0.003部を添加し、温度65〜70℃で3時間重合反応を行った後、冷却してグラフト重合体からなる表面塗工液用添加剤を得た。その製品性状を表1に示す。
【0023】
[実施例4〜7]
実施例3において、酵素変性カチオン化澱粉、モノマー成分の種類と使用量を表1の通りに代えた以外は実施例3と同様の方法でグラフト重合体からなる表面塗工液用添加剤を得た。その製品性状を表1に示す。
【0024】
[比較例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに濃度80%のアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド51.25部、濃度40%のアクリルアミド147.5部、水200部を仕込み、pH4に調整した後、次亜リン酸ナトリウム水和物0.2部を混合して加温し、内温60℃で過硫酸アンモニウム及び重亜硫酸ソーダを各0.2部添加し、温度65〜70℃で3時間重合反応を行った後、冷却し共重合体を得た。その製品性状を表1に示す。
【0025】
[比較例2]
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにイソプロピルアルコール80部を仕込み、次いで温度70℃まで昇温し、濃度80%のアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド62.5部、メタクリル酸メチル25部、アクリル酸ブチル25部及びイソプロピルアルコール80部からなる混合液とアゾビスイソブチロニトリル2部を連続添加した後、3時間重合した。反応終了後、水を加えてイソプロピルアルコールを減圧留去し表面塗工液用添加剤を得た。その製品性状を表1に示す。
【0026】
[比較例3]
比較例2において、モノマー成分の種類と使用量を表1の通りに、またジメチルアミノエチルメタクリレートを当量の酢酸で中和した以外は比較例2と同様の方法で比較例3の表面塗工液用添加剤を得た。その製品性状を表1に示す。
【0027】
<インクジェット記録用シートの作成>
[インクジェット記録用シートS−1]
濃度40%のポリアクリル酸ナトリウム1.25部、水355部、合成シリカ100部、ポリビニルアルコール(商品名クラレポバールPVA−117;(株)クラレ製)の10%水溶液200部、インク定着剤(耐水化剤)(商品名DA−108;カチオン性、濃度55%、星光化学工業(株)製)36.4部、エチレン−酢ビ系樹脂(商品名スミカフレックスS−400;濃度55%、住友化学工業(株)製)63.6部を配合した塗工液に、上記実施例1で得た表面塗工液用添加剤40部を加え、固形分23%の塗工液を調製した。
この塗工液を原紙(坪量100g/m、ステキヒトサイズ度5秒)にバーコーターを用いて乾燥固形分換算で10g/mとなるように塗布した後、110℃で1分間乾燥させた後、カレンダー加圧処理を行いインクジェット記録用シートS−1を得た。このシートの評価試験結果を表2に示す。
【0028】
[インクジェット記録用シートS−2〜S−8]
インクジェット記録用シートS−1において、表面塗工液用添加剤の種類と使用量を表2の通りに代え、固形分を調整した塗工液を使用した以外はインクジェット記録用シートS−1と同様の方法で記録用シートS−2〜S−8を得た。このシートの評価試験結果を表2に示す。
【0029】
[比較インクジェット記録用シートCS−1〜CS−6]
インクジェット記録用シートS−1において、表面塗工液用添加剤の種類と使用量を表2の通りに代え、固形分を調整した塗工液を使用した以外はインクジェット記録用シートS−1と同様の方法で比較インクジェット記録用シートCS−1〜CS−6を得た。このシートの評価試験結果を表2に示す。
【0030】
<塗工液の評価試験方法>
(1)塗工液の調液性
(イ)塗工液の粘度:
塗工液を温度30℃で、B型粘度計にて回転数60rpmで測定。
(ロ)塗工液の調液性:23%濃度の塗工液の凝集状態を肉眼判定。
◎:塗工液の粘度に全く変化がなく非常に良好。
◯:塗工液の粘度が僅かに増粘するが、作業上問題のないレベルであり良好。
△:塗工液の凝集状態が強く流動性をなくす。作業上問題あり。
×:塗工液の凝集が非常に強く凝集物の発生があり実用不可。
【0031】
(2)インクジェット記録用シートの評価試験方法
記録用シートについて、キヤノン(株)製カラーインクジェットプリンタ−BJ−F200を用いスーパーフォトモードで印刷を行い、印字適性、インク定着性(耐水性)、インク受容層強度を評価する。
(イ)印字適性:
記録用シートに印刷後のにじみ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色部及びマゼンタ+シアン、シアン+イエローの各重色部における白抜き文字のにじみ、記録画像の解像度を目視して評価。
◎:にじみ全くなく、記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしている。
◯:にじみ全くなく、記録画像が鮮明でコントラストがある。
△:にじみがあり実用上問題あり、記録画像が鮮明であるがコントラス
トがはっきりせず、色が沈んでいる。
×:にじみが大きく実用上不可、また記録画像が不鮮明で色が沈んでいる。
【0032】
(ロ)インク定着性(耐水性):
画像を流水に5分間浸漬し、記録画像の流れ出し及び塗工層の脱落状態を目視で評価。
◎:インクの流れ出し及び塗工層の脱落が全くなく、非常に耐水性が良好。
◯:インクの流れ出し及び塗工層の脱落が目立たず、耐水性が良好。
△:インクの流れ出し及び塗工層の脱落があり、実用上問題がある。
×:インクの流れ出し及び塗工層の脱落により、画像が判別できなくなり実用上不可。
【0033】
(ハ)インク受容層強度:学振堅牢度試験機((株)東洋精機製作所製)にて
300gの荷重にて20往復し、黒の色紙への塗工層の粉落ち状態を目視にて評価。
◎:インク受容層強度は非常に強く良好。
◯:インク受容層強度は十分であり、実用上問題ない。
△:インク受容層強度は弱く、実用上問題がある。
×:インク受容層強度が非常に弱く、実用上不可。
【0034】
【表1】
Figure 0004456293
【0035】
【表2】
Figure 0004456293
【0036】
【発明の効果】
本発明の表面塗工液用添加剤は、顔料、バインダー、インク定着剤(耐水化剤)等を含む塗工液に添加することで、当該塗工液の凝集や粘度上昇を抑制し、塗工液の固形分濃度が高くてもこれに良好な流動性を与えることができる。そして、本発明の表面塗工液用添加剤を含有する塗工液にて、インクジェット記録用シートを調製した場合、その塗工液は固形分濃度が高いにも拘わらず、塗工に適した粘度を保持しているので、印字適性、受容層強度及びインク定着性(耐水性)などのインクジェット適性に優れたインク受容層を支持体上に形成することができる。

Claims (1)

  1. 固形分15%水溶液の粘度がB型粘度計(60rpm/25℃)よる測定で5〜100cpsの範囲にあり、N値(窒素含有率%)が0.3〜0.6の範囲にある酵素変性カチオン化澱粉を含有する水溶液中において、上記酵素変性カチオン化澱粉と下記のモノマー成分との合計量基準で、50〜99重量%に相当する酵素変性カチオン化澱粉と、1〜50重量%に相当するモノマー成分を重合して得たグラフト重合体からなり、コロイド当量が0.3〜1.0meq/gの範囲にある表面塗工液用添加剤を、塗工液中の顔料100重量部に対し0.5〜20重量部の範囲で含有する塗工液を支持体に塗布して得られるインクジェット記録用紙。
    モノマー成分:
    カチオン性ビニルモノマーと、これと共重合可能なビニルモノマーとを、前者:
    後者=10〜100:90〜0のモル比率で含有し、前記の共重合可能なビニル
    モノマーが、アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルで
    あるモノマー成分
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