JP4456214B2 - クローラ式走行車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行用油圧式無段変速機の出力を、差動装置へ入力して左右のクローラ式走行装置を走行駆動するとともに、旋回用油圧式無段変速機の出力を差動装置に入力することにより左右のクローラ式走行装置の駆動回転数を異ならせて操向を行うクローラ式走行車両における、走行制御の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、左右のクローラ式走行装置を備えたクローラ式走行車両においては、エンジンの出力を走行用油圧式無段変速機により変速し、該走行用油圧式無段変速機の出力を差動装置に入力して、左右のクローラ式走行装置を走行駆動するとともに、該旋回用油圧式無段変速機からの出力回転を差動装置に入力して、左右のクローラ式走行装置の駆動回転数を異ならせて操向を行う技術が考案されている。このようなクローラ式走行車両にあっては、一般的に、走行用油圧式無段変速機は主変速レバーの操作に連動して駆動され、旋回用油圧式無段変速機はステアリング操作に連動して駆動されており、該走行用油圧式無段変速機及び旋回用油圧式無段変速機は、それぞれ個別的に制御されていた。また、走行用油圧式無段変速機を操作する主変速レバーと、旋回用油圧式無段変速機を操作するステアリングハンドルとを機械的に連動させる構成が、例えば、特開平10−4719号公報に示す如く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述の如く駆動される、走行用油圧式無段変速機及び旋回用油圧式無段変速機は、主変速レバーとステアリングハンドルとが機械的に連結されているので、構造が複雑となり多くのスペースを要することとなっていた。また、機体を停止させる際には、主変速レバーを中立位置まで操作することにより、走行用油圧式無段変速機及び旋回用油圧式無段変速機を中立位置へ戻して停止するように構成されていた。従って、再度走行する場合に停止前と同じ速度で走行するためには、主変速レバーを停止前と同じ位置へ操作しなければならないため、微妙なレバー操作必要となり、速度を再現するのが困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
請求項1においては、左右のクローラ式走行装置(1)、走行用油圧式無段変速機(110)、及び旋回用油圧式無段変速機(120)を備え、該走行用油圧式無段変速機(110)の出力を差動装置(131)へ入力して左右のクローラ式走行装置(1)を走行駆動するとともに、前記旋回用油圧式無段変速機(120)の出力を差動装置(131)に入力することにより左右のクローラ式走行装置(1)の駆動回転数を異ならせて操向を行うクローラ式走行車両において、ステアリングハンドル(7)の操作角度及び、主変速レバー(77)の操作角度の大きさに連動させて、前記走行用油圧式無段変速機(110)と旋回用油圧式無段変速機(120)の出力回転数を制御するとともに、運転部に設けた足ペダル(51)を踏み込むと、走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)が中立位置へ戻るように制御し、前記走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)にそれぞれ比例電磁弁(61・62)を付設し、該ステアリングハンドル(7)の操作角度及び主変速レバー(77)の操作角度の大きさに連動させて該比比例電磁弁(61・62)を制御することにより、該走行用油圧式無段変速機(110)と旋回用油圧式無段変速機(120)との出力回転数を制御し、前記足ペダル(51)を踏み込むと、該足ペダル(51)によりブレーキペダルスイッチ(31)がオンされて、該走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)が中立位置へ戻るように比例電磁弁(61・62)を制御するものである。
【0006】
請求項2においては、請求項1記載のクローラ式走行車両において、前記足ペダル(51)の踏み込みを2段階に構成し、該足ペダル(51)を1段目まで踏み込むと走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)が中立位置へ戻るように制御され、2段目まで踏み込むとクローラ走行装置を制動するブレーキ装置(58)が作動するように構成したものである。
【0007】
請求項3においては、請求項1又は請求項2に記載のクローラ式走行車両において、前記足ペダル(51)を踏み込み、且つ、主変速レバー(77)を中立位置へ操作した状態とすると、エンジン(3)の始動が可能となるように構成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の解決すべき課題及び手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した本発明の一実施例を説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施例であるクローラトラクタを示す側面図、図2はクローラトラクタの動力伝達系を示すスケルトン図、図3は比例電磁弁が付設された走行用HST及び旋回用HSTを示す油圧回路図、図4は走行用HST及び旋回用HSTを制御するためのHSTコントローラ等の構成を示す図、図5は足ペダル部及びブレーキ機構を示す側面図、図6はスタートスイッチと足ペダルの関係を示す側面図、図7は足ペダルが踏み込まれた場合に走行用及び旋回用HSTを中立位置へ戻す制御のフローを示す図である。
【0010】
図8は足ペダルの踏み込量をブレーキペダルセンサにより検出して走行用HST及び旋回用HSTを中立状態とする場合の制御フローを示す図、図9は足ペダルが踏み込まれた場合に走行用及び旋回用HSTを除々に中立位置へ戻す制御のフローを示す図、図10はブレーキペダルスイッチがオンされるとともに主変速レバー角度センサが中立位置に操作された場合にエンジン始動可能となるように制御する場合のフローを示す図、図11種変速レバーが急激に操作された場合の走行用HSTの制御フローを示す図、図12は図11における制御を行った場合の主変速レバー角度センサ値及び走行用比例電磁弁電流値の変化を示す図である。
【0011】
まず、本発明に係るクローラ式走行装置の一実施例であるクローラトラクタの概略構成について説明する。図1に示すように、左右一対のクローラ式走行装置1の前部上方にはエンジン3が配置され、ボンネット4に覆われている。ボンネット4の後方にはキャビン9が立設されており、該キャビン9内には操向操作を行うステアリングハンドル7を配置し、該ステアリングハンドル7の後方にシート8を配設して、運転部を構成している。この運転部には、走行操作を行うための主変速レバー77等が設けられており、また、ステアリングハンドル7の下方に、後述する走行用油圧式無段変速機110及び旋回用油圧式無段変速機120を中立位置へ戻すとともに、クローラ式走行装置1の制動を行うための足ペダル51が配設されている。
【0012】
前記クローラ式走行装置1は、クローラフレーム2に支持されており、前端部の駆動スプロケット11、後端部のアイドラ12、及び、駆動スプロケット11とアイドラ12との間に配置される転輪13・13・・・にクローラベルト14を巻回して構成している。
【0013】
図1、図2に示すように、前記エンジン3の後方には走行用油圧式無段変速機(以降走行用HSTと記す)110が配設されており、エンジン3からの駆動出力は、走行用HST110にて主変速された後に、該走行用HST110の後方に配置されるミッションケース5内で副変速される。走行用HST110及びミッションケース5内で変速された駆動力は、連結軸72を介して、機体前部に配置される差動装置131へ入力される。差動装置131内に入力された駆動力は、減速された後に最終減速装置133に伝達され、該最終減速装置133内でさらに減速されて左右の駆動スプロケット11を駆動するように構成しており、これにより左右のクローラ式走行装置1が駆動されている。
【0014】
走行用HST110は、走行油圧ポンプ111及び走行油圧モータ112により構成されており、該走行油圧ポンプ111は可変容量型に構成されている。走行油圧ポンプ111は、入力されたエンジン3からの駆動力により走行油圧モータ112を駆動し、該走行油圧モータ112からの出力がミッションケース5内へ入力されている。また、走行用HST110は、走行油圧ポンプ111の可動斜板111aの斜板角を調節することで出力回転数及び出力回転方向を変化するように構成している。
【0015】
また、エンジン3の前方には旋回用油圧式無段変速機(以降旋回用HSTと記す)120が配設されており、該旋回用HST120には、ギアケース80を介してエンジン3からの出力が入力されている。該エンジン3により駆動される該旋回用HST120の出力は差動装置131へ入力されている。
【0016】
旋回用HST120は旋回油圧ポンプ121及び旋回油圧モータ122により構成され、該旋回油圧ポンプ121は可変容量式に構成されている。旋回油圧ポンプ121は、入力されたエンジン3からの駆動力により旋回油圧モータ122を駆動し、該旋回油圧モータ122からの出力が差動装置131へ入力されている。
【0017】
また、旋回用HST120は、旋回油圧ポンプ121の可動斜板121aの斜板角を調節することで出力回転数及び出力回転方向を変化するように構成している。そして、差動装置131へ入力される旋回用HST120からの出力回転数及び出力回転方向を変化させることで、前述したミッションケース5から差動装置131へ入力され、左右の駆動スプロケット11へ伝達される走行駆動回転に回転数差を生じさせ、これにより左右のクローラ式走行装置1の走行駆動速度を異ならせて操向操作を行うようにしている。
【0018】
次に、走行用HST110及び旋回用HST120を制御するための構成について説明する。図1、図3、図4に示すように、走行用HST110には走行用比例電磁弁61が付設され、該比例電磁弁61により可動斜板111aの斜板角を制御するように構成されている。同じく、旋回用HST120には旋回用比例電磁弁62が付設され、該旋回用比例電磁弁62により可動斜板121aの斜板角を制御するように構成されている。
【0019】
前記主変速レバー77には、該主変速レバー77の操作位置をレバー操作角度として検出する主変速レバー角度センサ78が付設され、ステアリングハンドル7の軸部には、該ステアリングハンドル7の操作角度を検出するステアリング操作角度センサ79が設けられている。該主変速レバー角度センサ78及びステアリング操作角度センサ79はHSTコントローラ141に接続され、それぞれの検出値が該HSTコントローラ141に入力されている。
【0020】
また、前記比例電磁弁61のソレノイド61a・61b、及び比例電磁弁62のソレノイド62a・62bがHSTコントローラ141へ接続されている。そして、HSTコントローラ141において、主変速レバー角度センサ78から入力された主変速レバー77の操作角度、及びステアリング操作角度センサ79から入力されたステアリングハンドル7の操作角度に基づいて、比例電磁弁61のソレノイド61a又はソレノイド61bの何れか一方、及び比例電磁弁62のソレノイド62a又はソレノイド62bの何れか一方に電流を流すように構成している。
【0021】
即ち、主変速レバー77の操作角度及びステアリングハンドル7の操作角度に連動して比例電磁弁61及び比例電磁弁62を制御することにより、走行用HST110の可動斜板111a及び旋回用HST120の可動斜板121aを操作し、該走行用HST110及び旋回用HST120の出力回転数を制御するようにしている。また、本例においては、前記ミッションケース5に内装される副変速機構の変速段を高速側と低速側といった複数段に切り換える副変速切換スイッチ76がHSTコントローラ141に接続されており、該副変速切換スイッチ76の切換状態も加味して、走行用HST110及び旋回用HST120の出力回転数制御を行うようにしている。
【0022】
次に、前記足ペダル51部及びブレーキ機構の構成について説明する。図5に示すように、足ペダル51は、支持軸52により回動自在に支持され、所謂吊りペダルに構成されており、バネ59により上方付勢されている。支持軸52の下方には連結軸54が配設され、該連結軸54と支持軸52とが連結ロッド53により連結されている。また、クローラ式走行装置1の駆動スプロケット11の上方には回動軸56が配設されており、該回動軸56と一体的に回動し略上方へ突出するアーム56aと、前記連結軸54と一体的に回動するアーム54aとが、ブレーキロッド55により連結されている。
【0023】
さらに、回動軸56からは略前方に突出するアーム56bが固設され、該アーム56bと駆動スプロケット11を制動するブレーキ装置58とが、ロッド57により連結されている。そして、足ペダル51を下方へ踏み込むと、連結ロッド53が上方へ移動してアーム54aが後方回動し、ブレーキロッド55が後方へ移動するように構成している。
【0024】
ブレーキロッド55のアーム56aとの連結部には長孔55aが形成され、該長孔55aにアーム56aに突設されるピン63が嵌入しており、これによりブレーキロッド55とアーム56aとが連結されている。ピン63は長孔55aの範囲内で摺動可能であり、ブレーキロッド55が長孔55aの範囲内で前後移動してもアーム56aは回動せず、例えば長孔55aの範囲を超えてブレーキロッド55が後方移動すると、該アーム56aが後方へ回動されることとなる。アーム56aが後方回動すると、回動軸56に固設されるアーム56bが上方回動されるとともに、ロッド57が上方移動されて、ブレーキ装置58が作動するように構成している。
【0025】
足ペダル51は、上述の如くブレーキ装置58と連結されており、該足ペダル51の踏み込みが位置aまでの範囲にあるときは、ブレーキロッド55は長孔55aの範囲内で後方移動し、ブレーキ装置58は作動しない。該足ペダル51を、位置aを超えてさらに位置bまで踏み込むと、ブレーキロッド55が長孔55aの範囲を超えて後方移動し、これにより、ロッド57が上方移動されてブレーキ装置58が作動する。
【0026】
また、足ペダル51の上部近傍にはブレーキペダルセンサ31が設けられ、該足ペダル51下端部の略下方にはブレーキペダルスイッチ32が設けられている。該ブレーキペダルセンサ31及びブレーキペダルスイッチ32は、図4に示すように、HSTコントローラ141に接続されている。
【0027】
ブレーキペダルセンサ31は、足ペダル51の踏み込む量を検出するように構成しており、ブレーキペダルスイッチ32は、図6に示すように、足ペダル51を踏み込まない状態、及び例えば位置aまで踏み込んだ状態ではオフされており、該足ペダル51を位置bまで踏み込むと、足ペダル51がブレーキペダルスイッチ32の接片32aに当接してオンされるように構成している。
【0028】
尚、ブレーキペダルセンサ31を設ける位置は、足ペダル51の上部近傍には限られず、足ペダル51の踏み込み量が検出できる位置に設けられていれば良い。また、ブレーキペダルスイッチ32を設ける位置も、足ペダル51下端部の略下方に限られず、足ペダル51を位置bまで踏み込んだ際に該ブレーキペダルスイッチ32がオンされる位置に設けられていれば良い。さらに、ブレーキペダルスイッチ32は、足ペダル51を位置aまで踏み込むとオンされるように構成してもよい。
【0029】
そして、図7に示すように、足ペダル51を踏み込んでブレーキペダルスイッチ32がオンされると(ステップS11)、その旨がHSTコントローラ141に入力され、主変速レバー角度センサ78により検出される主変速レバー77の操作角度、及びステアリング操作角度センサ79により検出されるステアリングハンドル7の操作角度にかかわらず、比例電磁弁61のソレノイド61a又はソレノイド61b、及び比例電磁弁62のソレノイド62a又はソレノイド62bに流れる電流が0となって(ステップS12、ステップS13)、走行用HST110及び旋回用HST120が中立位置へ戻るように構成している。
【0030】
即ち、足ペダル51を踏み込むと、ブレーキペダルスイッチ32がオンされて走行用HST110及び旋回用HST120が中立状態となり、主変速レバー77の操作位置にかかわらず左右のクローラ式走行装置1への駆動力の供給が停止され、機体を停止させることが可能となる。また、足ペダル51を位置bまで踏み込むと中立状態となるように構成した場合は駆動力が停止するのと同時に、足ペダル51を位置aまで踏み込むと中立状態となるように構成した場合はさらに位置bまで踏み込むと、前述の如くブレーキ装置58が作動して左右のクローラ式走行装置1が制動されるため、迅速且つ確実に機体が停止されることとなる。そして、足ペダル51の踏み込みが解除されると、走行用HST110及び旋回用HST120は、主変速レバー77の操作角度、ステアリングハンドル7の操作角度、及び副変速切換スイッチ76の切換状態に応じた走行速度及び旋回状態となるように制御される。
【0031】
また、足ペダル51を位置b近傍まで踏み込むと、前記ブレーキペダルセンサ31がその旨を検出して走行用HST110及び旋回用HST120を中立状態とするように構成されている。即ち、図8に示すように、ブレーキペダルセンサ31の検出値VBRが、例えば足ペダル51の踏み込み量が大きくなると増加するように構成されており、足ペダル51が位置a近傍まで踏み込まれて、ブレーキペダルセンサ31の検出値VBRがV0 からV1 までの範囲にある(V0 <V1 )ときには(ステップS31)、走行用比例電磁弁61及び旋回用比例電磁弁62に流れる電流値が0となって、走行用HST110及び旋回用HST120が中立位置に戻る(ステップS32、ステップS33)ように構成している。そして、足ペダル51が位置aから位置bまでさらに踏み込まれると(ブレーキペダルセンサ31の検出値VBRがV1 よりも大きくった状態(ステップS36))、前述の如くブレーキ装置58が作動する(ステップS35)のである。
【0032】
このように、足ペダル51は、位置aまでの踏み込みと位置bまでの踏み込みとの2段階に踏み込み位置が構成され、該足ペダル51を位置aまでの1段目まで踏み込むと走行用HST110及び旋回用HST120が中立位置へ戻るように制御され、位置bまでの2段目まで踏み込むとクローラ走行装置1を制動するブレーキ装置58が作動するように構成されている。
【0033】
これにより、主変速レバー77の操作位置を中立位置に戻すことなく、足ペダル51を踏み込むだけで機体を停止させることが可能となる。そして、再度走行する際には、主変速レバー77を足ペダル51が踏み込まれる前の操作位置に保持していれば、足ペダル51の踏み込みを解除するだけで、停止前の走行速度を容易に再現することができる。
【0034】
また、足ペダル51を踏み込んだ場合の走行用HST110及び旋回用HST120の制御は、該走行用HST110及び旋回用HST120に付設した比例電磁弁61・62を制御することにより行っているため、該走行用HST110及び旋回用HST120を電気的に制御することが可能であり、制御機構を簡単且つコンパクトな構成とすることかでき、メンテナンスの容易化を図ることもできる。
【0035】
さらに、左右のクローラ式走行装置1への駆動力の供給の停止と、該クローラ式走行装置1の制動とを一つの足ペダル51で行うことができるので、駆動力の供給の停止とクローラ式走行装置1の制動といった機体の停止操作を簡単にすることができ、誤操作を防止することができるとともに、機体をスムーズに停止させることが容易にできることとなる。
【0036】
また、足ペダル51を踏み込んでブレーキペダルスイッチ32をオンさせて、走行用HST110及び旋回用HST120を中立位置へ戻す場合に、図9に示すように、ブレーキペダルスイッチ32がオンされると(ステップS51)、主変速レバー操作角度やステアリング操作角度等により設定された可動斜板111a・121aの斜板角位置から除々に中立位置へ戻るように、比例電磁弁61・62を制御する(ステップS52、ステップS53)ことも可能である。このように構成することで、機体が急激に減速することを防止して、安定した姿勢でスムーズに停車することが可能となる。
【0037】
また、本例において前記ブレーキペダルスイッチ32は、足ペダル51が2段目の位置bまで踏み込まれるとオンされるように構成されているが、本クローラトラクタにおいては、該ブレーキペダルスイッチ32がオンされるとともに、主変速レバー77が中立位置に操作されているときにエンジン3を始動することができるように構成されている。即ち、図10に示すように、足ペダル51が踏み込まれてブレーキペダルスイッチ32がオンされている(ステップS71)とともに、主変速レバー77の操作角度を検出する主変速レバー角度センサ78の検出値Ve が中立位置近傍の検出値Ve0から検出値Ve1までの間にある(ステップS72)ときのみにエンジン3が始動可能となる(ステップS73)ように構成している。例えば、ブレーキペダルスイッチ32のオン状態、及び主変速レバー操作角度センサ78による中立状態の検出値がHSTコントローラ141に入力されたときのみ、エンジン3の始動を行うセルモータの作動回路を通電するように構成している。
【0038】
このように、足ペダル51が踏み込まれるとともに、主変速レバー77が中立位置に操作されている状態、即ち機体が走行駆動されない状態でのみエンジン3が始動できるように構成することで、エンジン3の始動時に急に機体が走行することを確実に防止することができる。
【0039】
また、通常、主変速レバー77が操作されると、主変速レバー操作角度センサ78により検出される操作角度の変化に追従して、走行用HST110における可動斜板111aの斜板角が制御されるが、主変速レバー77が急速に操作された場合、即ち主変速レバー操作角度の変化度合いがある一定値よりも大きかった場合には、主変速レバー77の操作速度にかかわらず、予め設定された速度(主変速レバー77の操作速度に応じた速度よりも遅い速度)で、可動斜板111aの斜板角が主変速レバー77の操作位置に対応する角度となるまで除々に制御されて出力回転数が除々に変化するように、比例電磁弁61を制御している。
【0040】
例えば、図11、図12に示すように、主変速レバー77が急速に増速方向に操作されて、主変速レバー操作角度センサ78による検出値Ve が検出値Ve2を急激に超えると(ステップS91)、検出値Ve の上昇角度θs1よりも小さな上昇角度θv1で走行用比例電磁弁61に流れる電流値が除々に上昇する(ステップS92)ように構成している。逆に、主変速レバー77が急速に減速方向に操作されて、主変速レバー操作角度センサ78による検出値Ve が検出値Ve2を急激に下回ると、検出値Ve の下降角度よりも小さな下降角度で走行用比例電磁弁61に流れる電流値が減少するように構成している。そして、本例の場合は、主変速レバー操作角度センサ78による検出値Ve が検出値Ve2よりも小さくなると、走行用比例電磁弁61に流れる電流値が0となるように制御している(ステップS93)。
【0041】
このように、主変速レバー77を急速に操作した場合には、該主変速レバー77の操作速度にかかわらず、走行用HST110の出力回転数が徐々に変化するように構成することにより、主変速レバー77の急速な操作により走行速度が急激に変化して、ショックが発生したり走行姿勢が急に変化したりすることを防止して、安定した走行及び良い乗り心地を常に確保することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したことにより、次のような効果が得られる。
請求項1に記載の如く、左右のクローラ式走行装置(1)、走行用油圧式無段変速機(110)、及び旋回用油圧式無段変速機(120)を備え、該走行用油圧式無段変速機(110)の出力を差動装置(131)へ入力して左右のクローラ式走行装置(1)を走行駆動するとともに、前記旋回用油圧式無段変速機(120)の出力を差動装置(131)に入力することにより左右のクローラ式走行装置(1)の駆動回転数を異ならせて操向を行うクローラ式走行車両において、ステアリングハンドル(7)の操作角度及び、主変速レバー(77)の操作角度の大きさに連動させて、前記走行用油圧式無段変速機(110)と旋回用油圧式無段変速機(120)の出力回転数を制御するとともに、運転部に設けた足ペダル(51)を踏み込むと、走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)が中立位置へ戻るように制御したので、主変速レバーの操作位置を中立位置に戻すことなく、足ペダルを踏み込むだけで機体を停止させることが可能となる。
これにより、再度走行する際には、主変速レバーを足ペダルが踏み込まれる前の操作位置に保持していれば、足ペダルの踏み込みを解除するだけで、停止前の走行速度を容易に再現することができる。
【0043】
また、前記走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)にそれぞれ比例電磁弁(61・62)を付設し、該ステアリングハンドル(7)の操作角度及び主変速レバー(77)の操作角度の大きさに連動させて該比比例電磁弁(61・62)を制御することにより、該走行用油圧式無段変速機(110)と旋回用油圧式無段変速機(120)との出力回転数を制御し、前記足ペダル(51)を踏み込むと、該足ペダル(51)によりブレーキペダルスイッチ(31)がオンされて、該走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)が中立位置へ戻るように比例電磁弁(61・62)を制御するので、前述の効果に加えて、該走行用油圧式無段変速機及び旋回用油圧式無段変速機を電気的に制御することが可能であり、制御機構を簡単且つコンパクトな構成とすることかでき、メンテナンスの容易化を図ることもできる。
【0044】
請求項2に記載の如く、請求項1記載のクローラ式走行車両において、前記足ペダル(51)の踏み込みを2段階に構成し、該足ペダル(51)を1段目まで踏み込むと走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)が中立位置へ戻るように制御され、2段目まで踏み込むとクローラ走行装置を制動するブレーキ装置(58)が作動するように構成したので、左右のクローラ式走行装置への駆動力の供給の停止と、該クローラ式走行装置の制動とを一つの足ペダルで行うことができる。
従って、駆動力の供給の停止とクローラ式走行装置の制動といった機体の停止操作を簡単にすることができ、誤操作を防止することができるとともに、機体をスムーズに停止させることが容易にできることとなる。
【0045】
請求項3に記載の如く、請求項1又は請求項2に記載のクローラ式走行車両において、前記足ペダル(51)を踏み込み、且つ、主変速レバー(77)を中立位置へ操作した状態とすると、エンジン(3)の始動が可能となるように構成したので、機体が走行駆動されない状態でのみエンジンの始動が可能となり、エンジンの始動時に急に機体が走行することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるクローラトラクタを示す側面図である。
【図2】 クローラトラクタの動力伝達系を示すスケルトン図である。
【図3】 比例電磁弁が付設された走行用HST及び旋回用HSTを示す油圧回路図である。
【図4】 走行用HST及び旋回用HSTを制御するためのHSTコントローラ等の構成を示す図である。
【図5】 足ペダル部及びブレーキ機構を示す側面図である。
【図6】 ブレーキペダルスイッチと足ペダルの関係を示す側面図である。
【図7】 足ペダルが踏み込まれた場合に走行用及び旋回用HSTを中立位置へ戻す制御のフローを示す図である。
【図8】 足ペダルの踏み込量をブレーキペダルセンサにより検出して走行用HST及び旋回用HSTを中立状態とする場合の制御フローを示す図である。
【図9】 足ペダルが踏み込まれた場合に走行用及び旋回用HSTを除々に中立位置へ戻す制御のフローを示す図である。
【図10】 ブレーキペダルスイッチがオンされるとともに主変速レバー角度センサが中立位置に操作された場合にエンジン始動可能となるように制御する場合のフローを示す図である。
【図11】 種変速レバーが急激に操作された場合の走行用HSTの制御フローを示す図である。
【図12】 図11における制御を行った場合の主変速レバー角度センサ値及び走行用比例電磁弁電流値の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 クローラ式走行装置
3 エンジン
7 ステアリングハンドル
31 ブレーキペダルセンサ
32 ブレーキペダルスイッチ
51 足ペダル
58 ブレーキ装置
61・62 比例電磁弁
77 主変速レバー
78 主変速レバー角度センサ
79 ステアリング操作角度センサ
110 走行用HST
120 旋回用HST
Claims (3)
- 左右のクローラ式走行装置(1)、走行用油圧式無段変速機(110)、及び旋回用油圧式無段変速機(120)を備え、該走行用油圧式無段変速機(110)の出力を差動装置(131)へ入力して左右のクローラ式走行装置(1)を走行駆動するとともに、前記旋回用油圧式無段変速機(120)の出力を差動装置(131)に入力することにより左右のクローラ式走行装置(1)の駆動回転数を異ならせて操向を行うクローラ式走行車両において、ステアリングハンドル(7)の操作角度及び、主変速レバー(77)の操作角度の大きさに連動させて、前記走行用油圧式無段変速機(110)と旋回用油圧式無段変速機(120)の出力回転数を制御するとともに、運転部に設けた足ペダル(51)を踏み込むと、走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)が中立位置へ戻るように制御し、前記走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)にそれぞれ比例電磁弁(61・62)を付設し、該ステアリングハンドル(7)の操作角度及び主変速レバー(77)の操作角度の大きさに連動させて該比比例電磁弁(61・62)を制御することにより、該走行用油圧式無段変速機(110)と旋回用油圧式無段変速機(120)との出力回転数を制御し、前記足ペダル(51)を踏み込むと、該足ペダル(51)によりブレーキペダルスイッチ(31)がオンされて、該走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)が中立位置へ戻るように比例電磁弁(61・62)を制御することを特徴とするクローラ式走行車両。
- 請求項1記載のクローラ式走行車両において、前記足ペダル(51)の踏み込みを2段階に構成し、該足ペダル(51)を1段目まで踏み込むと走行用油圧式無段変速機(110)及び旋回用油圧式無段変速機(120)が中立位置へ戻るように制御され、2段目まで踏み込むとクローラ走行装置を制動するブレーキ装置(58)が作動するように構成したことを特徴とするクローラ式走行車両。
- 請求項1又は請求項2に記載のクローラ式走行車両において、前記足ペダル(51)を踏み込み、且つ、主変速レバー(77)を中立位置へ操作した状態とすると、エンジン(3)の始動が可能となるように構成したことを特徴とするクローラ式走行車両。
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