JP4455038B2 - インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置に関し、より詳細には、記録ヘッドから記録媒体に対してインクを付与することによって記録を行うインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置に関するものである。
インクジェット記録装置は、ノンインパクト型の記録装置であって、カラー印刷も容易であり高画質な画像を提供することができることから、近年、パーソナルコンピュータの出力装置としてはもちろんのこと、ファクシミリや複写機等のOA機器の出力装置等、種々の用途の出力装置として広く普及している。
インクジェット記録装置は、インクを吐出する記録素子を備え、記録素子はノズル近傍にあるヒータを短時間で加熱させ、瞬時に発泡を起こさせその力でインクをノズルから押し出す方式などがある。そのノズルを複数並べてヘッド(記録ヘッド)を構成し、ヘッドを色毎に並べて、それら色毎のヘッドからインクを吐出することでカラー印刷を達成している。また近年ではプリンタ高速記録を達成するためノズルの数を増やし、ヘッドを長尺化させている。
カラーイメージ画像を記録するに当たっては、記録媒体上に形成されたインク像の、発色性、階調性、一様性など様々な要素が必要となる。特に一様性に関しては、記録素子列制作工程において生じる吐出口の形状等のわずかなノズル単位のばらつきが、各ノズルのインクの吐出量や吐出方向の向きに影響を及ぼし、画像の濃度のムラとして画像品位を劣化させる。すなわち、記録ヘッドの性能が画像品位に大きく影響する。
そこで、濃度ムラの対策として、あるバンドAに対して記録ヘッドの同一記録走査で記録されるべき全画素を複数のグループに分け、複数回の往復記録走査で順次分けられたグループの画素にインクを付与することでバンドAに画像形成を行うマルチパス記録方法が提案されている。(特許文献1参照)。このマルチパス記録により、走査毎に異なるノズルを用いて記録するために各ノズル固有の記録画像への影響が低減され、濃度ムラが緩和される。
ところが、上述のようなマルチパス往復記録を行い記録ヘッドが有する各色インクの混色によって色を表現する場合、往復の記録方向に対してヘッド上の各色ノズル列の相対順番がひっくり返り、インクの打ち込み順序が変わることによって色の重ね順が異なり、結果的に人間の視覚特性に対し異なる色を表現してしまうことがある。従って、往復走査毎にヘッド幅ずつの紙送りが行われた場合、混色の色相に対して一様であるはずの画像に往路記録の色と復路記録の色とが異なって見えるようになり、著しい画像劣化が生ずることになる。
さらに、昨今では更なる高速記録、高画質が要求されており、上述のようなマルチパスによる、単純に複数回に分割して記録する方法では、記録に関するタイムコストは倍以上となり、記録装置としてはこのような状況はあまり好ましくない。
そこで、記録ヘッドによる、往路記録と復路記録とでインクを重ねる順番が同じになるよう、各インクの記録素子列を主走査方向に対称になるようにそれぞれ二つ以上の複数のヘッドを配置したことを特徴とするインクジェット記録装置が提案されている。(特許文献2、特許文献3参照)。これらの記録装置を用いると、インクの打ち込み順による色ムラが発生することはなく、むやみにマルチパスの走査数を増やすことなく高速記録を達成することができる。
しかしながら、これらの記録装置で、マルチパスの走査数を減らして高速記録を行った結果、記録ヘッドの1回の走査における総記録デューティは増大し、インクの記録媒体への定着が不十分な状態で更に大量のインク滴が着弾してしまう。このように、比較的短時間で大量にインク滴が記録媒体へ打ち込まれるような場合には、隣接したインクドットの境界部が結合して他色間で混色したり、文字や罫線をにじませて画質を著しく低下させてしまうという課題がある。また、ヘッドユニットを複数有する記録装置においてはさらにその現象は顕著になった。
そこで、記録ヘッドに対向するプラテン下部にヒータを設け、その輻射熱にて記録媒体とインクとを乾燥させることで、インクの記録媒体への定着性を向上させるインクジェット記録装置が開示されている。(特許文献4参照)。
しかしながら、このようなインクジェット記録装置は大幅なコストアップを余儀なくされるばかりか、記録スピードの高速化に伴ってその効果が減少してしまうという課題がある。
米国特許第4748453号明細書 特開2001−171151号公報 特開2000−079681号公報 特開平10−86353号公報
以上から明らかなように、インクジェット記録方法による印刷においては、ノズル特有のばらつき等を低減するためにマルチパスを用いる方式が有力であるが、このマルチパスを用いる方式であっても、記録媒体上に画像形成されたインク画像を高品位なものにするためには、まだ改善しなければならない課題が残されている。特に、吸収されないインク滴が連なる現象(ビーディング現象)や、重なり合った色の境界部分で互いの色がにじみ出る現象(ブリーディング現象)の発現の防止、軽減が望まれている。
ビーディング現象およびブリーディング現象を防止、軽減するためには、各色のノズル列の間隔を大きくすることや各色ノズル列からのインク吐出の時間間隔を大きくすることが考えられる。各色のノズル列間隔を大きくすることによって、記録媒体上のある領域に先に着弾したインクが記録媒体に十分に吸収された後に、その領域に次のインクが着弾するので、ビーディング現象およびブリーディング現象は軽減される。しかしながら、このように各色のノズル列間隔を大きくすると、記録ヘッドと共にそのヘッドを搭載するキャリッジが大きくなり、それに伴い本体幅が大きくなってしまい、装置コストが高くなり、また、省スペース化の妨げになってしまう。
一方、各色ノズル列からのインク吐出の時間間隔を大きくすると、この場合も、記録媒体に対して先に着弾したインクが十分に吸収されてから次のインクが着弾するので、ビーディング現象およびブリーディング現象を軽減することができるが、高速記録を行うことができない。
本発明は、このような問題を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、記録媒体上でのインクの境界部での混色や滲みを軽減しつつも、高速記録が可能なインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置記録を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなるノズル列として少なくとも4色のインクに対応した複数のノズル列を有し、前記複数のノズル列が前記走査方向に沿って配列された記録ヘッドを前記走査方向に往復走査させて、記録媒体に対して画像を記録するインクジェット記録方法において、前記複数のノズル列を、互いに隣接するノズル列が異なるグループに属するように2つのグループに分けるグループ分け工程と、前記記録ヘッドの往路走査において前記2つのグループのうち一方のグループにおけるノズル列の使用比率が他方のグループにおけるノズル列の使用比率よりも高くなるように、且つ、前記記録ヘッドの復路走査において前記2つのグループのうち一方のグループにおける各ノズル列の使用比率が他方のグループにおける各ノズル列の使用比率よりも低くなるように、前記複数のノズル列の使用比率を制御する制御工程と、記制御された使用比率に従って前記複数のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、第1の色のインクを吐出する複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなる第1のノズル列と、前記第1の色とは異なる第2の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第2のノズル列とが隣接し、前記第2の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第3のノズル列と、前記第1の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第4のノズル列とが隣接し、且つ前記走査方向に前記第1のノズル列、前記第2のノズル列、前記第3のノズル列、前記第4のノズル列の順で配列された記録ヘッドを前記走査方向に走査させて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法において、前記記録ヘッドの単一の走査において、前記第1のノズル列と前記第3のノズル列における使用比率が前記第2のノズル列と前記第4のノズル列における使用比率とは異なるように、前記第1、第2、第3及び第4のノズル列の使用比率を制御する制御工程と、前記単一の走査において、前記制御された使用比率に従って前記第1、第2、第3及び第4のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなるノズル列として複数色のインクに対応した複数のノズル列を有し、往路走査と復路走査とでインク色の重なる順番が同じになるように前記複数のノズル列が前記走査方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記走査方向に走査させ画像を記録するインクジェット記録方法において、前記記録ヘッドの複数のノズル列を、少なくとも2つのグループを含む複数のグループに分けるにあたり、互いに隣接するノズル列同士が異なるグループに属するようグループ分けを行うグループ分け工程と、前記記録ヘッドの単一の走査において、前記少なくとも2つのグループのうちの一方のグループにおけるノズル列の使用比率が他方のグループにおけるノズル列の使用比率よりも高くなるように制御する制御工程と、記制御された使用比率に従って前記複数のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなるノズル列として少なくとも4色のインクに対応した複数のノズル列を有し、前記複数のノズル列が前記走査方向に沿って配列された記録ヘッドを前記走査方向に往復走査させて、記録媒体に対して画像を記録するインクジェット記録装置において、前記複数のノズル列を、互いに隣接するノズル列が異なるグループに属するように2つのグループに分けるグループ分け手段と、前記記録ヘッドの往路走査において前記2つのグループのうち一方のグループにおける各ノズル列の使用比率が他方のグループにおける各ノズル列の使用比率よりも高くなるように、且つ、前記記録ヘッドの復路走査において前記2つのグループのうち一方のグループにおける各ノズル列の使用比率が他方のグループにおける各ノズル列の使用比率よりも低くなるように、前記複数のノズル列の使用比率を制御する制御手段と、前記制御された使用比率に従って前記複数のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、第1の色のインクを吐出する複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなる第1のノズル列と、前記第1の色とは異なる第2の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第2のノズル列とが隣接し、前記第2の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第3のノズル列と、前記第1の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第4のノズル列とが隣接し、且つ前記走査方向に前記第1のノズル列、前記第2のノズル列、前記第3のノズル列、前記第4のノズル列の順で配列された記録ヘッドを前記走査方向に走査させて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドの単一の走査において、前記第1のノズル列と前記第3のノズル列における使用比率が前記第2のノズル列と前記第4のノズル列における使用比率とは異なるように、前記第1、第2、第3及び第4のノズル列の使用比率を制御する制御手段と、前記単一の走査において、前記制御された使用比率に従って前記第1、第2、第3及び第4のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなるノズル列として複数色のインクに対応した複数のノズル列を有し、往路走査と復路走査とでインク色の重なる順番が同じになるように前記複数のノズル列が前記走査方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記走査方向に走査させて画像を記録するインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドの複数のノズル列を、少なくとも2つのグループを含む複数のグループに分けるにあたり、互いに隣接するノズル列同士が異なるグループに属するようグループ分けを行うグループ分け手段と、前記記録ヘッドの単一の走査において、前記少なくとも2つのグループのうちの一方のグループにおけるノズル列の使用比率が他方のグループにおけるノズル列の使用比率よりも高くなるように制御する制御手段と、前記制御された使用比率に従って前記複数のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録手段とを備えることを特徴とする。
なお、本発明の、第1のマスクパターンは、後述する使用比率決定マスクパターンとすることができ、また、第2のマスクパターンは、後述する記録率決定マスクパターンとすることができる。
さらに、本発明の「記録媒体」は、一般的な記録装置で用いる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルムその他のインクを受容可能なものである。
本発明によれば、各ノズル列から吐出されるインクを記録媒体が比較的短時間で十分に吸収することができるため、ビーディングやブリーディングを軽減した高品位な画像を形成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態では、記録ヘッドを2つ用いるツインヘッドによってマルチパス記録を行うものであり、それら2つの記録ヘッドの先頭側のノズル列から順に使用比率を高、低となるように画像データを間引き処理するための間引きパターンを作成し、その間引きパターンに従って記録ヘッドの各走査において画像形成を行うものである。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の記録部の構成を示す図である。
符号401は第一記録ヘッドであり、6色(K(ブラック),Lc(ライトシアン)、C(シアン),Lm(ライトマゼンタ)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))のカラー・インクがそれぞれ封入されたインクタンクと、それぞれに対応した6つのノズル列が一体化したマルチ記録ヘッドを含んで構成されている。符号402は第二記録ヘッドであり、第一記録ヘッド401と同様の構成からなり、6色(Y,M、Lm、C、Lc、K)に対応した6つのノズル列配列は、記録ヘッド401の配列と対称関係となっている。
符号403は第一記録ヘッド401および第二記録ヘッド402を支持し、記録とともにこれらをX方向(主走査方向)に移動させるキャリッジである。キャリッジ403は非記録状態などの待機時には、図のホーム・ポジション位置(◎で示される位置)にある。符号404は紙送りローラであり、補助ローラ405とともに記録媒体407を抑えながら図の矢印の方向に回転し、記録媒体407をY方向(副走査方向)に随時送っていく。また、符号406は給紙ローラであり、記録媒体407の給紙を行うとともに、紙送りローラ404および補助ローラ405と同様に記録媒体407を抑える役割を果たす。
本発明では、第一記録ヘッド401および第二記録ヘッド402は、K、Lc、C、Lm、M、Yの6色について紙送り方向に配置された1280個のノズルをそれぞれ有しているものとする。なお、各色に対応するノズル列が有するノズル数は、1280個に限定されるものではなく、装置の大きさ、記録条件などに応じて適宜に変えることができる。
以上の構成における基本的な往復記録動作について説明する。
待機時にホーム・ポジション位置◎にあるキャリッジ403は、記録ヘッドの往走査において、記録開始命令によりX方向に走査(スキャン)しながら、第一記録ヘッド401および第二記録ヘッド402の複数のノズルにより記録データに従い記録媒体407上にインクを吐出し記録を行う。記録媒体407の端部まで記録データの記録が終了すると、キャリッジ403は、復走査において、X方向にホーム・ポジション位置◎に向けて走査しながら、往走査と同様に第一記録ヘッド401および第二記録ヘッド402にてインクを吐出することによって記録媒体407上に記録を行う。キャリッジ403がホーム・ポジション◎に戻ると、紙送りローラ404が矢印方向へ回転することにより、Y方向へ所定幅だけ紙送りし、再びX方向への記録を開始する。このような往復の走査動作と紙送り動作との繰り返しにより記録データの記録を実現する。
図2は、本実施形態に係る記録ヘッドの構成を示す図である。
図2において、第一記録ヘッド401は、往路走査方向前側に配置され、各色のインクが吐出されるノズル列が先頭よりK、Lc、C、Lm、M、Yの順で配列される。また、往路走査方向における後側には第二記録ヘッド402が配置され、各色のインクが吐出されるノズルは、第一記録ヘッド401とは対称にY、M、Lm、C、Lc、Kの順に配列される。
このように、ツインヘッドを用いると、画素を分担して記録を行うことになるので、キャリッジ403の速度を上げることができる。
なお、本実施形態では、K、Lc、C、Lm、M、Yの6色のインクを用いているが、この数に限定されず、例えば、3色、4色等であっても良い。また、用いるインクの色相についてもこれに限定されず、例えば、レッド、肌色のインク等、上述とは別の色相のインクを用いても良い。さらに、各色のノズル列の配列についても、第一記録ヘッドおよび第二記録ヘッドで対称の配置であれば、いずれの配置も用いることができる。
図6は、本発明に係るインクジェット記録装置の制御系の概略ブロック図である。
図6において、入出力インターフェース301は、インクジェット記録装置と、画像データの供給源であるホストコンピュータ300との間でデータやコマンド等の情報を授受するためのインターフェースである。CPU309は、本インクジェット記録装置の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM303は、それらの処理手順等のプログラムが格納され、またRAM304は、それらの処理を実行するためのワークエリア等として用いられる。第一記録ヘッド401および第二記録ヘッド402からのインクの吐出は、CPU309がそれぞれのヘッドの発熱素子(不図示)の駆動データ(画像データ)および駆動制御信号(ヒートパルス信号)を第一ヘッドドライバ307および第二ヘッドドライバ308に供給することにより行われる。CPU309は、キャリッジ403を主走査方向に駆動するための、および記録媒体407を副走査方向に搬送するため等の駆動用モータ306をモータドライバ305を介して制御する。
次に、本実施形態に係る第一記録ヘッド401および第二記録ヘッド402の記録動作の制御について詳細に説明する。本実施形態では、それぞれの記録ヘッドの記録動作を後述するマスクパターンによる間引き処理によって制御する。
図3は、本実施形態に係る記録ヘッド制御ブロックの構成を示すブロック図である。
なお、本実施形態におけるインクジェット記録装置は、第一記録ヘッド401および第二記録ヘッド402に記録ドットを分散させて往復記録を行うだけでなく、同一領域を複数回走査させて画像を形成するマルチパス記録方式を採用している。上述したとおり、マルチパス記録は、一つのバンドを複数のノズルを用いて画像を形成することにより、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向の微少な違いによる濃度ムラを抑える記録方式である。
本実施形態では、マルチパス記録方式の中でも、複数回のパスで記録されるべき所定領域(例えば、1つのバンド)に対応した画像データを各パスへ割り振るにあたり、同一パスで使用される各ノズル列の使用比率を定めるマスクパターン(例えば、図4で示される使用比率決定マスクパターン501,502)に従って画像データを間引く方式(本明細書では、「使用比率決定マスク間引き方式」とも呼ぶ)と、各パスでの記録率を定めるマスクパターン(例えば、図5に示される記録率決定マスクパターン503〜506)に従って画像データを間引く方式(本明細書では、「記録率決定マスク間引き方式」とも呼ぶ)とを併用したマルチパス記録方式を実行する。
本明細書において、使用比率決定マスクパターンで定められる「使用比率」とは、図4を参照して説明すれば、各ノズル列の使用比率を決定するのに使用される複数の使用比率決定マスクパターン501,502の全記録画素数(655360個)に対する、各ノズル列に対応した使用比率決定マスクパターンの記録画素数の割合である、といえる。例えば、使用比率決定マスクパターン501,502の全記録画素数は655360(=1280×512)個となっており、使用比率決定マスクパターン501の記録画素数は491520個となっている。従って、使用比率決定マスクパターン501の使用比率は75(=491520/655360×100)%となる。一方、使用比率決定マスクパターン502の記録率は25(=163840/655360×100)%となる。
また、本明細書において、記録率決定マスクパターンで定められる「記録率」とは、図5を参照して説明すれば、所定領域を複数回のパスで記録するのに使用される複数の記録率決定マスクパターン503〜506の全記録画素数(655360個)に対する、各パスに対応した記録率決定マスクパターンの記録画素数の割合である、といえる。例えば、記録率決定マスクパターン503〜506の全記録画素数は655360(=1280×512)個となっており、記録率決定マスクパターン503の記録画素数は163840個となっている。従って、記録率決定マスクパターン503の記録率は25(=163840/655360×100)%となる。また、同様に、記録率決定マスクパターン504〜506それぞれの記録率も25(=163840/655360×100)%となっている。
なお、「記録画素」とは、図4や図5のマスクパターンにおいて黒で示される部分を指し、記録(インク吐出)を許容する画素のことである。この記録画素に対応する画像データがインク吐出を示すデータであれば記録がなされ、非吐出を示すデータならば記録は行われない。また、「非記録画素」とは、図4や図5のマスクパターンにおいて白で示される部分を指し、画像データに関わらず記録を許容しない画素のことである。従って、仮に、この非記録画素に対応する画像データがインク吐出を示すデータであっても記録はなされてない。
ここで、本実施形態では、4パス往復記録で記録を行うものとする。なお、本実施形態において、記録パス数は上述に限定されない。
符号101はメモリ部であり、記録のための画像処理がなされた記録データを一時格納する。また、記録ヘッドの記録パス数を示す2ビットのデータも格納する。さらに、使用比率決定マスク間引き方式で用いる使用比率決定マスクパターン、および記録率決定マスク間引き方式で用いる記録率決定マスクパターンも格納する。
符号102はメモリ出力制御部であり、記録ヘッド内のインク毎の記録媒体上の相対位置に基づき記録データの読み出し処理を行う。符号103はマルチパス/ダブルヘッド・データ生成部であり、記録パス数にしたがって画像データを間引いて第一記録ヘッド用パス・データおよび第二記録ヘッド用パス・データを生成する。符号104は第一記録ヘッド制御部であり、第一記録ヘッド401を駆動するための各種制御信号を発生する。符号105は第二記録ヘッド制御部であり、第二記録ヘッド402を駆動するための各種制御信号を発生する。第一記録ヘッド401は、第一記録ヘッド用パス・データに従い、記録媒体上にインクを吐出する。第二記録ヘッド402は、第二記録ヘッド用パス・データに従い、記録媒体上にインクを吐出する。符号108は制御部であり、記録パス数に基づいて、各部の状態を監視するとともに記録ヘッド駆動に関する各種制御を行う。
なお、本実施形態における「記録パス数」とは、あるバンドの記録を完了するのに必要な、記録媒体の一方端から他方端まで記録ヘッドが記録をしながら移動するスキャン回数のことであり、例えば、記録パス数4または4パス往復記録とは、記録媒体上のある領域に対して記録を完了するのに、記録ヘッドの往復を2回行う、すなわち2回の往走査と2回の復走査を行うことを意味する。
また、本実施形態では、記録媒体の紙送りは、記録ヘッドの往復動作において、往路での記録終了後に紙送りを行って復路の記録を行うものではなく、1回の往復動作の終了時に行うものである。従って、記録パス数Nの場合、記録ヘッドの有効ノズル数の2/Nバンド送りを行うような搬送制御を行う。なお、各走査において後述するように隣り合うノズル列において使用比率を異なるようにして記録を行うと、バンド毎に着弾するインクの順番が変わってしまうことによる色ムラが生じることが懸念されるが、上述のように往路記録と復路記録との間で紙送りをせずにパスを閉じ、往復走査を終了して時点で紙送りを行うことで、この懸念を解消する。
はじめに、記録ヘッド制御ブロック全体の基本的な記録ヘッド制御動作を説明する。
メモリ部101には、制御系にて二値化処理された記録データがインク色毎に格納される。メモリ出力制御部102は、制御部108からの記録エリア制御に基づき、各インク色に対応するノズル列の記録媒体上の相対位置にしたがって、走査毎にメモリ部101に格納された二値の記録データを読み出し、マルチパス/ダブルヘッド・データ生成部103へ出力する。マルチパス/ダブルヘッド・データ生成部103においては、記録パス数に応じて、使用比率決定マスク間引き方式と記録率決定マスク間引き方式の併用によって第一記録ヘッド401に対する第一記録ヘッド用パス・データと、第二記録ヘッド402に対する第二記録ヘッド用パス・データとを生成して、それぞれ第一記録ヘッド制御部104、第二記録ヘッド制御部105へ出力する。各記録ヘッド用のパス・データの生成方法の詳細については後述する。
本実施形態では、メモリ部101に格納されている図4に示す501、502の使用比率決定マスクパターンを用いると共に、図5に示す503、504、505、506の記録率決定マスクパターンによる間引き処理を行って記録情報の4パス往復記録を行う。
図4は、本実施形態に係る使用比率決定マスクパターンの一例を示す図であり、図5は、本実施形態に係る4パス往復記録における記録率決定マスクパターンの一例を示す図である。
本実施形態では、使用比率決定マスクパターン501、502,および記録率決定マスクパターン503、504、505、506は、それぞれ記録密度が1200dpiで、副走査(複数ラスタが配列する方向)方向に1280画素、主走査(複数カラムが配列する方向)方向に512画素の計655360画素分の領域を持つ。
本実施形態では、副走査方向に1280画素、主走査方向に512画素としているが、この数に限定されず、各方向の画素数は、用いる記録ヘッドに応じて適宜決めることができる。
以下で、使用比率決定マスクパターンについては図4を参照して、および記録率決定マスクパターンについては図5を参照して詳細に説明する。
使用比率決定マスクパターンとは、同一走査での同色ノズル列の使用比率を決定するためのマスクパターンである。このマスクパターンにより、各走査において第一記録ヘッド401と第二記録ヘッド402との同色ノズル列に対し記録画素が振り分けられ、各走査での使用比率が定められることになる。図4において、符号501は、使用比率75%のマスクパターンであり、各走査において、使用比率決定マスクパターン501によって間引かれた画像データに従ってインクを吐出するノズル列は、所定の記録領域全体に対して75%の割合で用いられる。一方、符号502は、使用比率25%のマスクパターンであり、各走査において、使用比率決定マスクパターン502によって間引かれた画像データに従ってインクを吐出するノズル列は、記録媒体全体に対して25%の割合で用いられる。これら使用比率決定マスクパターン501および502は、お互いに記録/非記録部分を反転させた相補的な関係にある。なお、使用比率決定マスクパターン501、502中の白部分がマスク部分(非記録画素)であり、インク吐出を非許可する画素である。一方、黒部分はインク吐出を許可する画素(記録画素)である。
記録率決定マスクパターンとは、複数回の走査で画像を完成させるべく画像データに対して所定の記録比率でマスク処理を施すためのマスクパターンである。本実施形態では、4パス往復記録で記録を行うので、記録率を25%としている。図5において、記録率決定マスクパターン503、504、505、506中の白部分がマスク部分であり、インク吐出を非許可する部分である。一方、黒部分はインク吐出を許可する部分である。従って、記録率が25%であるので、記録率決定マスクパターン503、504、505、506中のそれぞれの黒部分は、マスクパターンの全領域の25%となっている。このような記録率決定マスクパターンを用いて、2値展開された画像データにマスク処理を行い、各走査において25%の記録率で記録を行うようにする。また、これら4枚の記録率決定マスクパターンは、それぞれが相補的な関係にあり、かつ、できるだけ各ノズルの使用が均等になるようにする。
なお、本実施形態では、記録率25%の記録率決定マスクパターンを用いているが、記録パス数に応じた記録率の記録率決定マスクパターンを用いることができる。例えば、記録パス数が8であれば、記録率12.5%の記録率決定マスクパターンを用いることが好ましい。
次に、4パス往復記録による、記録媒体のあるバンド(記録ヘッドにおける使用するノズル列の副走査方向の長さ分のバンド)の記録完了までの流れを、各走査で使用するパス・データに対する間引き処理の説明と共に説明する。
図示しない画像処理部によって画像処理が行われ、各色K、Lc、C、Lm、M、Yのそれぞれの2値画像に展開され、それぞれの色に対応する画像データが生成される。インクジェット記録装置はモータードライバ305に信号を送り、各駆動モータ306を作動させ、記録媒体を所定の位置に搬送して記録待機状態にする。
次に記録ヘッドの主走査方向への走査によって記録が行われるが、本実施形態では、4パス往復記録であるので、記録媒体407上のあるバンドでの記録を完了するのに、記録ヘッドを4回走査する必要がある。このとき、あるバンドに対する、第1回目の走査による記録(第一のパス往路記録)と第2回目の走査による記録(第二のパス復路記録)との間で紙送りを行わず、第二のパス復路記録と3回目の走査による記録(第三のパス往路記録)との間で記録ヘッドのノズル数の1/2分の長さだけ紙送りする。また、第三のパス往路記録と第4回目の走査による記録(第四のパス復路記録)との間でも紙送りをせず、第四のパス復路記録が終了すると、記録ヘッドのノズル数の残りの1/2分の長さだけ紙送りをし、あるバンドの記録も終了する。この動作を繰り返すことによって記録は行われる。各走査においては、後述する間引きパターンに従って画像データをマスク処理し、記録ヘッドにより記録を行う。
第一のパス往路記録
まず、第一のパス往路記録を行うにあたり、マルチパス/ダブルヘッドデータ生成部103にて、第一記録ヘッド401と第二記録ヘッド402とのうち、第一記録ヘッド401のK、C、Mおよび第二記録ヘッド402のY、Lm、Lcの各ノズル列に対応する吐出データには、記録率決定マスクパターン503と使用比率決定マスクパターン501とによるデータ間引き処理を行い、残りのノズル列である、第一記録ヘッド401のLc、Lm、Yおよび第二記録ヘッド402のM、C、Kの各ノズル列に対応する吐出データには、記録率決定マスクパターン503と使用比率決定マスクパターン502とによるデータ間引き処理を行ない、それぞれの吐出データを作成する。すなわち、それぞれのノズル列の吐出データは、使用比率決定マスクパターンと記録率決定マスクパターンと画像データとの論理積によって作成され、このデータをドライバへ供給することによってインクが吐出される。
第二のパス復路記録
第一のパスの往路記録が終了すると、復路記録においては記録媒体を搬送せず、第二のパス復路記録を行うにあたり、マルチパス/ダブルヘッドデータ生成部103にて、第一記録ヘッド401と第二記録ヘッド402とのうち、第二記録ヘッド402のK、C、Mおよび第一記録ヘッド401のY、Lm、Lcの各ノズル列に対応する吐出データには、記録率決定マスクパターン504と使用比率決定マスクパターン501とによるデータ間引き処理を行い、残りのノズル列である、第二記録ヘッド402のLc、Lm、Yおよび第一記録ヘッド401のM、C、Kの各ノズル列に対応する吐出データには、記録率決定マスクパターン504と使用比率決定マスクパターン502とによるデータ間引き処理を行ない、それぞれの吐出データを作成する。すなわち、それぞれのノズル列の吐出データは、使用比率決定マスクパターンと記録率決定マスクパターンと画像データとの論理積によって作成され、このデータをドライバへ供給することによってインクが吐出される。この時点で記録ヘッド1280ノズル分の1バンドのうち50%の記録を完了したことになる。
記録媒体の搬送
第二のパス復路記録が終了した時点でインクジェット記録装置のCPU309は、モータドライバ305に信号を送り、駆動モータ306を駆動し、記録媒体407を記録ヘッドのノズル数の1/2分(本実施例の場合、640ノズル分)搬送させる。
第三のパス往路記録
記録媒体407の搬送が終了すると、第三のパス往路記録を行うにあたり、マルチパス/ダブルヘッドデータ生成部103にて、第一記録ヘッド401と第二記録ヘッド402とのうち、第一記録ヘッド401のK、C、Mおよび第二記録ヘッド402のY、Lm、Lcの各ノズル列に対応する吐出データには、記録率決定マスクパターン505と使用比率決定マスクパターン501とによるデータ間引き処理を行い、残りのノズル列である、第一記録ヘッド401のLc、Lm、Yおよび第二記録ヘッド402のM、C、Kの各ノズル列に対応する吐出データには、記録率決定マスクパターン505と使用比率決定マスクパターン502とによるデータ間引き処理を行ない、それぞれの吐出データを作成する。すなわち、それぞれのノズル列の吐出データは、使用比率決定マスクパターンと記録率決定マスクパターンと画像データとの論理積によって作成され、このデータをドライバへ供給することによってインクが吐出される。
第四のパス復路記録
第三のパスの往路記録が終了すると、復路記録においては記録媒体を搬送せず、第四のパス復路記録を行うにあたり、マルチパス/ダブルヘッドデータ生成部103にて、第一記録ヘッド401と第二記録ヘッド402とのうち、第二記録ヘッド402のK、C、Mおよび第一記録ヘッド401のY、Lm、Lcの各ノズル列に対応する吐出データには、記録率決定マスクパターン506と使用比率決定マスクパターン501とによるデータ間引き処理を行い、残りのノズル列である、第二記録ヘッド402のLc、Lm、Yおよび第一記録ヘッド401のM、C、Kの各ノズル列に対応する吐出データには、記録率決定マスクパターン506と使用比率決定マスクパターン502とによるデータ間引き処理を行ない、それぞれの吐出データを作成する。すなわち、それぞれのノズル列の吐出データは、使用比率決定マスクパターンと記録率決定マスクパターンと画像データとの論理積によって作成され、このデータをドライバへ供給することによってインクが吐出される。この時点で残りの50%記録を完了し、記録ヘッドの副走査方向の長さ分のバンドに対して所望の画像が形成される。
上述のように、記録を行う画像データにおいて4パス往復記録を行った場合、2つの記録ヘッドのうち、往走査では第一記録ヘッド401が走査方向に対して先頭側になり(図2参照)、復走査においては第二記録ヘッド402が先頭側になる。
記録ヘッドの往路走査の場合には、上述した間引き処理を行うことで、走査方向に対してそれぞれ2つの記録ヘッドの先頭側のノズル列より、各ノズル列の使用比率が高、低、高、低、高、低、となる。また、記録ヘッドの復路走査の場合にも、上述した間引き処理を行うことで、走査方向に対してそれぞれ2つの記録ヘッドの先頭側のノズル列より、各ノズル列の使用比率が高、低、高、低、高、低、となる。
すなわち、各走査において、隣り合うノズル列の使用比率に高低差をつけることにより、走査方向に対して記録媒体からみると、隣り合うノズル列からのインクの打ち込み量に差が生じる。すなわち、高い使用比率のノズル列から付与されるインク量は多くなり、また低い使用比率のノズル列から付与されるインク量は少なくなる。よって、記録媒体からみると、高い使用比率のノズル列からインクが付与された後は、低い使用比率のノズル列から少量のインクが付与されるので、先に付与された高い使用比率のノズル列から付与されたインクを十分に吸収できる余裕が生まれる。また、低い使用比率のノズル列からインクが付与された後は、高い使用比率のノズル列から多量のインクが付与されるが、低い使用比率のノズル列から付与されたインクは少量であるので、この場合も、そのインクは、次のインクの着弾までに十分に記録媒体に吸収される。従って、ノズル列の間隔を大きくするのと同様の効果が生じ、ビーディングやブリーディングの発生を抑制することが可能となる。
なお、本実施形態では、使用比率75%の使用比率決定マスクパターン501と使用比率25%の使用比率決定マスクパターン502とを用いている、すなわち、各ノズル列の使用の振り分けを行うための使用比率を3:1としているので、第一記録ヘッド401の先頭側のノズル列より各ノズル列の使用比率は、K、C、Mのノズル列が75%の割合で、およびLc,Lm、Yのノズル列が25%の割合で使用されることになる。一方、第二記録ヘッド402では、先頭側のノズル列より各ノズル列の使用比率は、Y、Lm、Lcのノズル列が75%の割合で、およびM、C、Kのノズル列のノズル列が25%の割合で使用される。よって、往路走査の場合、使用比率の高いノズル列(第一記録ヘッド:K、C、M、第二記録ヘッド:Y、Lm、Lc)は、使用比率の低いノズル列(第一記録ヘッド:Lc、Lm、Y、第二記録ヘッド:M、C、K)に比べて3倍多く用いられることになる。
往路走査の場合についても、上述した往路走査と同様に、使用比率の高いノズル列(第二記録ヘッド:K、C、M、第一記録ヘッド:Y、Lm、Lc)は、使用比率の低いノズル列(第二記録ヘッド:Lc、Lm、Y、第一記録ヘッド:M、C、K)に比べて3倍多く用いられることになる。
なお、本実施形態において、各間引きパターンを作成する際、使用比率決定マスクパターン501、502および記録率決定マスクパターン503、504、505、506は、記録ヘッドの走査距離、すなわち記録媒体407の長さに応じて、適宜同様のマスクパターンを連続して繰り返し用いればよく、記録ヘッドの走査距離(記録幅)はどのような距離であってもよい。
また、本実施形態において、記録ヘッドの走査方向に対して先頭側のノズル列(例えば往路走査では、第一記録ヘッド:K、C、M、第二記録ヘッド:Y、Lm、Lc)の使用比率を75%、もう一方のノズル列(例えば往路走査では、第一記録ヘッド:Lc、Lm、Y、第二記録ヘッド:M、C、K)の使用比率を25%としたが、記録ヘッドの特性、記録モード、記録媒体の種類などによって適宜値を選択すればよく、常に走査方向に対して先頭側のノズル列の使用比率が高く、総使用比率が100%になればどのような値でもよい。このとき、使用する各使用比率決定マスクパターンは、互いに相補的とする。また、使用比率決定マスクパターンの総使用比率を100%より多くて定めておくことも可能である。
さらに、本実施形態では、各走査で記録に使用するノズル列の振り分けを、75%の割合で用いるグループと25%の割合で用いるグループとの2つのグループに振り分けるようにしたが、用いる色の数、記録媒体の長さや種類等に応じて2つ以上のグループに分けても良い。その際、分けたグループと同数の使用比率決定マスクパターンを用意し、それらのマスクパターンは互いに相補的とする。また、間引きパターンを作成する際には、隣接するノズル列は、好ましくは、異なる使用比率になるように間引き処理する。
以上説明したように、本実施形態によれば、4パス往復記録による画像形成において、記録ヘッドの各走査に対し、使用するノズル列の使用比率を、走査方向の先頭側のノズル列から順に、高、低となるように、画像データに間引き処理を行い間引きパターンを作成し、その間引きパターンに従って記録を行うので、隣接したインクドットの境界部が結合して他色間で混色するようなことも軽減され、文字や罫線をにじませてしまうブリーディングの発生を抑制した高品位画像を高速で記録することが可能となる。また、ノズル列間を大きくすることなく、ビーディングやブリーディングの発生を抑えることができるので、装置の大型化やそれに伴うコストアップを抑えることができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、シングル記録ヘッドによってマルチパス記録を行うものである。
例えば、K、C、M、Yの4色のインクを用いる場合、記録ヘッドの構成は、往路走査方向の先頭から、C、M、Y、K、Y、M、Cでノズル列を配列する。このとき、Kには使用比率決定マスクパターンによる振り分け処理を行わず、他の色については、第1の実施形態と同様に、間引き処理を行うことで、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、使用するインクの色相およびそのインクの数は上述に限定されない。また、各色のノズル列の配列については、Kに対して左右対称になるように各色のノズル列を配置する形態に限られるものではない。例えば、各ノズル列が主走査方向に沿ってK,C、M、Y、M、Cの順で配列される形態であってもよい。このとき、K、Yには使用比率決定マスクパターンによる振り分け処理を行わない。Kは、他のカラーと同時に使用される頻度が少ないため、Kは除外し、カラー用ノズル列にだけ着目し、走査方向に沿って配列される複数のカラー用ノズル列の使用比率が各走査での先頭側から高、低、高、低・・・(あるいは低、高、低、高・・・)の順となるように設定すればよい。
(第3の実施形態)
上記第1および第2の実施形態では、複数の同色ノズル列が存在する形態について説明したが、本発明は、複数の同色ノズル列が存在しない形態においても適用可能である。例えば、上述した第1記録ヘッドだけを用いる形態であっても適用可能である。
この形態の場合、まず、第1記録ヘッドの複数のノズル列(K、Lc、C、Lm、M、Y)を複数のグループに分けるにあたり、互いに隣接するノズル列同士が異なるグループに属するようにグループ分けを行う。つまり、K、C、Mを第1グループとし、Lc、Lm、Yを第2グループとするのである。
次に、記録ヘッドの所定の走査(例えば、往走査)において、一方のグループ(例えば、第1グループ)におけるノズル列の使用比率(例えば、75%)が他方のグループ(例えば、第2グループ)におけるノズル列の使用比率(例えば、25%)よりも高くなるように制御するのである。この制御を上記図4および図5のマスクパターンを用いて行うとすれば、以下のようになる。但し、ここでは搬送動作についてはその説明を省略する。
まず、1パス目(1回目の往路走査)において、第1のグループに対して記録率決定マスクパターン503と使用比率決定マスクパターン501を適用し、第2のグループに対して記録率決定マスクパターン503と使用比率決定マスクパターン502を適用する。この往路走査での使用比率を100%とした場合、第1のグループの使用比率が75%、第2のグループの使用比率が25%となる。
次に、2パス目(1回目の復路走査)において、第1のグループに対して記録率決定マスクパターン503と使用比率決定マスクパターン502を適用し、第2のグループに対して記録率決定マスクパターン503と使用比率決定マスクパターン501を適用する。この復路走査での使用比率を100%とした場合、第1のグループの使用比率が25%、第2のグループの使用比率が75%となる。
次に、3パス目(2回目の往路走査)において、第1のグループに対して記録率決定マスクパターン504と使用比率決定マスクパターン501を適用し、第2のグループに対して記録率決定マスクパターン504と使用比率決定マスクパターン502を適用する。
次に、4パス目(2回目の復路走査)において、第1のグループに対して記録率決定マスクパターン504と使用比率決定マスクパターン502を適用し、第2のグループに対して記録率決定マスクパターン504と使用比率決定マスクパターン501を適用する。
次に、5パス目(3回目の往路走査)において、第1のグループに対して記録率決定マスクパターン505と使用比率決定マスクパターン501を適用し、第2のグループに対して記録率決定マスクパターン505と使用比率決定マスクパターン502を適用する。
次に、6パス目(3回目の復路走査)において、第1のグループに対して記録率決定マスクパターン505と使用比率決定マスクパターン502を適用し、第2のグループに対して記録率決定マスクパターン505と使用比率決定マスクパターン501を適用する。
次に、7パス目(4回目の往路走査)において、第1のグループに対して記録率決定マスクパターン506と使用比率決定マスクパターン501を適用し、第2のグループに対して記録率決定マスクパターン506と使用比率決定マスクパターン502を適用する。
最後に、8パス目(4回目の復路走査)において、第1のグループに対して記録率決定マスクパターン506と使用比率決定マスクパターン502を適用し、第2のグループに対して記録率決定マスクパターン506と使用比率決定マスクパターン501を適用する。
以上のようにして隣接ノズル列の同一パスでの使用比率を制御することにより、同一パスでの隣接ノズル列の使用比率が共に高くなってしまうことを避けることが可能となり、ビーディングやブリーディングの発生を抑えることができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の記録部の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る記録ヘッド制御ブロックの構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る使用比率決定マスクパターンの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る4パス往復記録における記録率決定マスクパターンの一例を示す図である。 本発明に係るインクジェット記録装置の制御系の概略ブロック図である。
符号の説明
101 メモリ部
102 出力制御部
103 マルチパス/ダブルヘッドデータ生成部
104 第一記録ヘッド制御部
105 第二記録ヘッド制御部
401、402 記録ヘッド
501、502 使用比率決定マスクパターン
503、504、505、506 記録率決定マスクパターン

Claims (11)

  1. 複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなるノズル列として少なくとも4色のインクに対応した複数のノズル列を有し、前記複数のノズル列が前記走査方向に沿って配列された記録ヘッドを前記走査方向に往復走査させて、記録媒体に対して画像を記録するインクジェット記録方法において、
    記複数のノズル列を、互いに隣接するノズル列が異なるグループに属するように2つのグループに分けるグループ分け工程と、
    前記記録ヘッドの往路走査において前記2つのグループのうち一方のグループにおけるノズル列の使用比率が他方のグループにおけるノズル列の使用比率よりも高くなるように、且つ、前記記録ヘッドの復路走査において前記2つのグループのうち一方のグループにおける各ノズル列の使用比率が他方のグループにおける各ノズル列の使用比率よりも低くなるように、前記複数のノズル列の使用比率を制御する制御工程と、
    記制御された使用比率に従って前記複数のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録工程と
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 第1の色のインクを吐出する複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなる第1のノズル列と、前記第1の色とは異なる第2の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第2のノズル列とが隣接し、前記第2の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第3のノズル列と、前記第1の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第4のノズル列とが隣接し、且つ前記走査方向に前記第1のノズル列、前記第2のノズル列、前記第3のノズル列、前記第4のノズル列の順で配列された記録ヘッドを前記走査方向に走査させて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法において、
    前記記録ヘッドの単一の走査において、前記第1のノズル列と前記第3のノズル列における使用比率が前記第2のノズル列と前記第4のノズル列における使用比率とは異なるように、前記第1、第2、第3及び第4のノズル列の使用比率を制御する制御工程と、
    前記単一の走査において、前記制御された使用比率に従って前記第1、第2、第3及び第4のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録工程と
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  3. 前記制御工程では、往路走査では前記第1のノズル列と前記第3のノズル列における使用比率が前記第2のノズル列と前記第4のノズル列における使用比率よりも高くなるように、且つ、復路走査では前記第1のノズル列と前記第3のノズル列における使用比率が前記第2のノズル列と前記第4のノズル列における使用比率よりも低くなるように、前記第1、第2、第3及び第4のノズル列の使用比率を制御することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなるノズル列として複数色のインクに対応した複数のノズル列を有し、往路走査と復路走査とでインク色の重なる順番が同じになるように前記複数のノズル列が前記走査方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記走査方向に走査させ画像を記録するインクジェット記録方法において、
    前記記録ヘッドの複数のノズル列を、少なくとも2つのグループを含む複数のグループに分けるにあたり、互いに隣接するノズル列同士が異なるグループに属するようグループ分けを行うグループ分け工程と、
    前記記録ヘッドの単一の走査において、前記少なくとも2つのグループのうちの一方のグループにおけるノズル列の使用比率が他方のグループにおけるノズル列の使用比率よりも高くなるように制御する制御工程と、
    記制御された使用比率に従って前記複数のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録工程と
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. 前記グループ分け工程は、前記一方のグループに属する各色ノズル列の組合せと他方のグループに属する各色ノズル列の組合せが同じとなるようにグループ分けを行うことを特徴とする請求項1又は4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記制御工程は、前記往路走査の先頭のノズル列を有するグループの前記使用比率が高くなるように制御することを特徴とする請求項1又は4に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記制御工程は、往走査において前記一方のグループにおけるノズル列の使用比率をN、前記他方のグループにおけるノズル列の使用比率をM(M<N)と、且つ復走査において前記一方のグループにおけるノズル列の使用比率をM、前記他方のグループにおけるノズル列の使用比率をNとするように制御することを特徴とする請求項1又は4に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記制御工程は、マスクパターンを用いて前記ノズル列の使用比率制御することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなるノズル列として少なくとも4色のインクに対応した複数のノズル列を有し、前記複数のノズル列が前記走査方向に沿って配列された記録ヘッドを前記走査方向に往復走査させて、記録媒体に対して画像を記録するインクジェット記録装置において、
    前記複数のノズル列を、互いに隣接するノズル列が異なるグループに属するように2つのグループに分けるグループ分け手段と、
    前記記録ヘッドの往路走査において前記2つのグループのうち一方のグループにおける各ノズル列の使用比率が他方のグループにおける各ノズル列の使用比率よりも高くなるように、且つ、前記記録ヘッドの復路走査において前記2つのグループのうち一方のグループにおける各ノズル列の使用比率が他方のグループにおける各ノズル列の使用比率よりも低くなるように、前記複数のノズル列の使用比率を制御する制御手段と、
    前記制御された使用比率に従って前記複数のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録手段と
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. 第1の色のインクを吐出する複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなる第1のノズル列と、前記第1の色とは異なる第2の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第2のノズル列とが隣接し、前記第2の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第3のノズル列と、前記第1の色のインクを吐出する複数のノズルが前記走査方向と交差する方向に配列されてなる第4のノズル列とが隣接し、且つ前記走査方向に前記第1のノズル列、前記第2のノズル列、前記第3のノズル列、前記第4のノズル列の順で配列された記録ヘッドを前記走査方向に走査させて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、
    前記記録ヘッドの単一の走査において、前記第1のノズル列と前記第3のノズル列における使用比率が前記第2のノズル列と前記第4のノズル列における使用比率とは異なるように、前記第1、第2、第3及び第4のノズル列の使用比率を制御する制御手段と、
    前記単一の走査において、前記制御された使用比率に従って前記第1、第2、第3及び第4のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録手段と
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. 複数のノズルが走査方向と交差する方向に配列されてなるノズル列として複数色のインクに対応した複数のノズル列を有し、往路走査と復路走査とでインク色の重なる順番が同じになるように前記複数のノズル列が前記走査方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記走査方向に走査させて画像を記録するインクジェット記録装置において、
    前記記録ヘッドの複数のノズル列を、少なくとも2つのグループを含む複数のグループに分けるにあたり、互いに隣接するノズル列同士が異なるグループに属するようグループ分けを行うグループ分け手段と、
    前記記録ヘッドの単一の走査において、前記少なくとも2つのグループのうちの一方のグループにおけるノズル列の使用比率が他方のグループにおけるノズル列の使用比率よりも高くなるように制御する制御手段と、
    前記制御された使用比率に従って前記複数のノズル列により前記記録媒体に画像を記録する記録手段と
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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