JP4454843B2 - エンジンの診断装置および燃料供給ポンプの診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの診断装置および燃料供給ポンプの診断装置に関し、特に建設機械に適用して好適な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンには図2に示すように各気筒毎に圧縮室に燃料を噴射、供給する燃料噴射装置(インジェクタ)15が設けられている。燃料噴射装置15等の機械的な故障が発生した場合には電気的な故障と異なり、実際に各インジェクタを交換してみないと良否の判断が困難である。そこで、これを解決するために、いわゆる減筒運転を行い、いずれの気筒で異常が発生したかを診断する診断装置が開発されている。ここで減筒運転とは、エンジンの各気筒の稼働を一つづつ停止させていくことによってエンジンの回転数や出力などの変化を捕らえ、異常が発生した気筒を特定するというものである。
【0003】
こうした診断装置では、パーソナルコンピュータ等の故障診断ツールを、異常診断対象の車両、機械等に接続して、異常診断を行うようにしている。この種の技術として、特開平6−229881号公報に開示されたものがある。
【0004】
また、この公報には減筒運転時に一定の負荷を与えることによって、回転数等の変化を顕著にして、いずれの気筒が異常であるかの特定を容易にする技術が開示されている。
【0005】
この公報には12気筒エンジンを2つのグループ(6気筒と6気筒)にわけて、いずれか一方のグループの稼動を停止させて、他方にグループに一定の負荷を与えて、稼動しているグループの気筒毎に排圧レベルを計測して、いずれの気筒に異常が発生したかを診断するという発明が記載されている。
【0006】
また畜圧式燃料噴射装置をもつディーゼルエンジンでは、図2に示すように燃料噴射装置15に供給される燃料を蓄圧する蓄圧室(コモンレール)14が設けられている。蓄圧室14には、2つの燃料供給ポンプ11a、11bから燃料が交互に圧送される。燃料供給ポンプ11a、11bを2つ設けているのは、いずれかのポンプに故障が発生した場合でも燃料の供給が停止しないようにするためである。2つの燃料供給ポンプ11a、11bのカムは互いに位相がずれて回転している。
【0007】
こうした複数(2つ)の燃料供給ポンプ11a、11bを備えたコモンレール式のディーゼルエンジンにおいて、複数(2つ)の燃料供給ポンプ11a、11bのいずれに異常が発生したかを診断する手法は、未だ確立されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、上記公報に記載された従来の診断装置ではパーソナルコンピュータのような異常診断のために特別な機器を異常診断対象の車両や、機械等に別途追加する必要があり、装置コストが増大するという問題が招来する。
【0009】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、異常診断のために特別な機器を異常診断対象の車両や、機械等に別途追加することなく、装置コストを飛躍的に低減することを第1の解決課題とするものである。
【0010】
また上記公報記載の発明によれば、エンジンに一定負荷をかけるためには、2つのグループの一方(6気筒分)を完全に停止させなければならない。このため、12気筒といった多数の気筒を備えたエンジンでは問題はないものの、小数の気筒(たとえば4気筒)を備えたエンジンでは、その半分の稼動を停止させると、エンジンそのものが稼動しなくなるおそれがある。さらにはエンジンの全気筒のうち半分を停止させて、エンジンを稼動させ続けることは、エンジンに悪影響を与えることになり望ましい故障診断方法とはいえない。
【0011】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、エンジンの全気筒のうち半分を停止させることなく、エンジンに一定の負荷をかけた状態にして、エンジンの異常診断を行えるようにすることを第2の解決課題とするものである。
【0012】
また上述したようにコモンレール式のディーゼルエンジンにおいて、複数の燃料供給ポンプのいずれかに異常が発生したかを診断する手法は未だ確立されていないので、その手法を提供することを第3の解決課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段および効果】
第1発明は、上記第1の解決課題を達成するために、
車両を駆動させる制御指令を入力するスイッチ手段を備えたモニタパネルと、前記モニタパネルに対応して設けられたモニタパネル用コントローラと、前記エンジンの各気筒毎に制御指令を出力し制御指令に応じてエンジンの各気筒を稼動させるエンジン用コントローラとを備え、前記モニタパネル用コントローラと前記エンジン用コントローラとの間で相互に制御信号が送受信可能に接続した機械に適用され、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するエンジンの診断装置において、
前記モニタパネルのスイッチ手段を操作することによって、異常診断開始の指示が与えられると、前記モニタパネル用コントローラから前記エンジン用コントローラに対してエンジンの気筒の稼動を停止させる稼動停止制御指令を送信し、稼動停止制御指令を受信したエンジン用コントローラは、前記モニタパネルのスイッチ手段の操作に応じて、前記エンジンの各気筒に対して、気筒の稼動を停止させる制御指令を出力したこと
を特徴としている。
【0014】
第1発明を図1を参照して説明する。
【0015】
第1発明によれば、建設機械等に既存の機器として設けられているモニタパネル7の機能を利用してエンジン1の各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断する。これにより異常診断のために特別な機器を異常診断対象の車両や、機械等に別途追加する必要がなくなり、装置コストを飛躍的に低減することができる。
【0016】
さらにモニタパネル7の指示で減筒運転をさせたときにエンジン回転数を検出するセンサ6の検出結果から診断することもでき、またセンサ6が設けられていない場合でもエンジン音等を直接聞くことによって診断することもできる。
【0017】
第2発明は、上記第1の解決課題を達成するために、
エンジンの稼動状態を検出するセンサと、前記センサの検出結果を表示する表示部と車両を駆動させる制御指令を入力するスイッチ手段とを備えたモニタパネルと、前記モニタパネルに対応して設けられたモニタパネル用コントローラと、前記エンジンの各気筒毎に制御指令を出力し制御指令に応じてエンジンの各気筒を稼動させるエンジン用コントローラとを備え、前記モニタパネル用コントローラと前記エンジン用コントローラとの間で相互に制御信号が送受信可能に接続した機械に適用され、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するエンジンの診断装置において、
前記モニタパネルのスイッチ手段を操作することによって、異常診断開始の指示が与えられると、前記モニタパネル用コントローラから前記エンジン用コントローラに対してエンジンの気筒の稼動を停止させる稼動停止制御指令を送信し、
稼動停止制御指令を受信したエンジン用コントローラは、前記モニタパネルのスイッチ手段の操作に応じて、前記エンジンの各気筒に対して、気筒の稼動を停止させる制御指令を出力し、
エンジンの気筒の稼動を停止させたときのエンジンの状態を、前記センサで検出し、
前記センサの検出結果を入力したモニタパネル用コントローラは、前記センサの検出結果若しくは診断結果をモニタパネルの表示部に表示すること
を特徴としている。
【0018】
第2発明を図1を参照して説明する。
【0019】
第2発明によれば、建設機械等に既存の機器として設けられているモニタパネル7の機能を利用してエンジン1の各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断する。これにより異常診断のために特別な機器を異常診断対象の車両や、機械等に別途追加する必要がなくなり、装置コストを飛躍的に低減することができる。
【0020】
第3発明は、上記第2の解決課題を達成するために、
エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される圧油を制御する油圧機器と、前記エンジンの各気筒毎に制御指令を出力し制御指令に応じてエンジンの各気筒を稼動させるエンジン用コントローラと、前記油圧機器に対して制御指令を出力し制御指令に応じて前記油圧機器を作動させる油圧機器用コントローラと、エンジンの稼動状態を検出するセンサとを備え、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するエンジンの診断装置において、
前記油圧機器用コントローラから前記油圧機器に対して、前記エンジンに一定の負荷がかかるように、油圧ポンプの吐出圧油を制御する制御指令を出力し、
前記エンジンに一定の負荷がかかった状態で、前記エンジン用コントローラから前記エンジンの各気筒に対して、気筒の稼動を順次停止させる制御指令を出力し、
エンジンの気筒の稼動を順次停止させたときのエンジンの状態を、前記センサで検出し、
当該センサの検出結果に基づいて、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するようにしたこと
を特徴としている。
【0021】
第3発明を図1を参照して説明する。
【0022】
第3発明によれば、油圧機器用コントローラ5から油圧機器8に対して、油圧ポンプ2の吐出圧油を制御する制御指令S4を出力することで、エンジン1に一定の負荷がかけられた状態にする。これによりエンジン1の全気筒のうち半分を停止させることなくエンジン1に一定の負荷をかけた状態にすることができる。そしてこの状態で、エンジン1の各気筒の稼動を順次停止させていけば、エンジンの回転数等の変化が顕著なものとなり、いずれの気筒が異常であるかの特定が容易になる。
【0023】
また第4発明は、上記第3発明において、
前記油圧機器用コントローラから前記油圧機器に対して、前記油圧ポンプの吐出圧をリリーフ圧にする制御指令を出力して、前記エンジンにかかる負荷を一定にすること
を特徴としている。
【0024】
第4発明によれば、図1に示すように油圧機器用コントローラ5から油圧機器8に対して、油圧ポンプ2の吐出圧をリリーフ圧にする制御指令S4を出力して、エンジン1にかかる負荷を一定にすることができ、上記第1発明と同様の効果が得られる。
【0025】
また第5発明は、上記第3発明において、
前記センサの検出結果を表示する表示部と、車両を駆動させる制御指令を入力するスイッチ手段とを備えたモニタパネルと、前記モニタパネルに対応して設けられたモニタパネル用コントローラとをさらに備え、
前記モニタパネル用コントローラと、前記エンジン用コントローラと、前記油圧機器用コントローラの間で相互に制御信号が送受信可能に接続し、
前記モニタパネルのスイッチ手段を操作することによって、異常診断開始の指示が与えられると、前記モニタパネル用コントローラから前記油圧機器用コントローラに対してエンジンにかかる負荷を一定にする負荷一定制御指令を送信するととともに、前記モニタパネル用コントローラから前記エンジン用コントローラに対してエンジンの気筒の稼動を順次停止させる稼動停止制御指令を送信し、
負荷一定制御指令を受信した油圧機器用コントローラは、前記油圧機器に対して、前記エンジンに一定の負荷がかかるように、油圧ポンプの吐出圧油を制御する制御指令を出力し、
稼動停止制御指令を受信したエンジン用コントローラは、前記エンジンに一定の負荷がかかった状態で、前記エンジンの各気筒に対して、気筒の稼動を順次停止させる制御指令を出力し、
エンジンの気筒の稼動を順次停止させたときのエンジンの状態を、前記センサで検出し、
前記センサの検出結果を入力したモニタパネル用コントローラは、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断し、診断結果をモニタパネルの表示部に表示すること
を特徴とすることを特徴としている。
【0026】
第5発明を、図1、図3を参照して説明する。
【0027】
第5発明によれば、モニタパネル7のスイッチを操作することによって、モニタパネル用コントローラ16を介して油圧機器用コントローラ5と、エンジン用コントローラ4に診断開始指令が与えられる。この指令を受けて油圧機器用コントローラ5は第1発明と同様に、エンジンに一定の負荷がかかるように油圧ポンプ2の吐出圧油を制御する。またこの指令を受けてエンジンコントローラ4は、1気筒毎に稼動を停止させるようにエンジン1を制御する。稼動が停止する毎に、センサ6の検出結果がモニタパネル用コントローラ16に送られる。この結果センサ6の検出結果に基づいてモニタパネル用コントローラ6でいずれの気筒が異常であるかの診断がなされ、診断結果がモニタパネル用コントローラ16を介してモニタパネル7の表示部7a、7bに自動的に表示される。このように建設機械に既存の機器として設けられているモニタパネル7の機能を利用して、異常診断を自動的に行うことができる。自動的に診断が行われるので、1気筒毎に稼動を停止させたときの変化を目視して判断することによる診断ミスを防止することができる。また目視して判断する場合と比較して診断時間を短縮することができる。また診断が迅速に行われることにより、気筒の稼働が停止している時間が短くなり、エンジン1に悪影響を及ぼすことがない。
【0028】
また第6発明は、上記第3発明において、
前記センサの検出結果を表示する表示部と、車両を駆動させる制御指令を入力するスイッチ手段とを備えたモニタパネルと、前記モニタパネルに対応して設けられたモニタパネル用コントローラとをさらに備え、
前記モニタパネル用コントローラと、前記エンジン用コントローラと、前記油圧機器用コントローラの間で相互に制御信号が送受信可能に接続し、
前記モニタパネルのスイッチ手段を操作することによって、異常診断開始の指示が与えられると、前記モニタパネル用コントローラから前記油圧機器用コントローラに対してエンジンにかかる負荷を一定にする負荷一定制御指令を送信するととともに、前記モニタパネル用コントローラから前記エンジン用コントローラに対してエンジンの気筒の稼動を順次停止させる稼動停止制御指令を送信し、
負荷一定制御指令を受信した油圧機器用コントローラは、前記油圧機器に対して、前記エンジンに一定の負荷がかかるように、油圧ポンプの吐出圧油を制御する制御指令を出力し、
稼動停止制御指令を受信したエンジン用コントローラは、前記エンジンに一定の負荷がかかった状態で、前記エンジンの各気筒に対して、気筒の稼動を順次停止させる制御指令を出力し、
エンジンの気筒の稼動を順次停止させたときのエンジンの状態を、前記センサで検出し、
前記センサの検出結果を入力したモニタパネル用コントローラは、エンジンの気筒の稼動を順次停止させる毎のエンジンの各状態を、モニタパネルの表示部に表示し、この表示部の表示内容に基づいて前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するようにしたこと
を特徴としている。
【0029】
第6発明を図1、図3を参照して説明する。
【0030】
第6発明によれば、モニタパネル7のスイッチを操作することによって、モニタパネル用コントローラ16を介して油圧機器用コントローラ5と、エンジン用コントローラ4に診断開始指令が与えられる。この指令を受けて油圧機器用コントローラ5は第1発明と同様に、エンジンに一定の負荷がかかるように油圧ポンプ2の吐出圧油を制御する。またこの指令を受けてエンジンコントローラ4は、1気筒毎に稼動を停止させるようにエンジン1を制御する。稼動が停止する毎に、センサ6の検出結果がモニタパネル用コントローラ16を介してモニタパネル7の表示部7a、7bに表示される。作業者はこの表示部7a、7bの表示内容に基づいてエンジン1の各気筒のいずれかに異常が発生したのかを目視で判断することができる。
【0031】
このように建設機械に既存の機器として設けられているモニタパネル7の機能を利用して、異常診断を行うことができる。
【0032】
また第7発明では、上記第2の解決課題を達成するために、
エンジンの駆動力が伝達される機器と、前記エンジンの各気筒毎に制御指令を出力し制御指令に応じてエンジンの各気筒を稼動させるエンジン用コントローラと、前記機器に対して制御指令を出力し制御指令に応じて前記機器を作動させる機器用コントローラと、エンジンの稼動状態を検出するセンサとを備え、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するエンジンの診断装置において、
前記機器用コントローラから前記機器に対して、前記エンジンに一定の負荷がかかるように制御指令を出力し、
前記エンジンに一定の負荷がかかった状態で、前記エンジン用コントローラから前記エンジンの各気筒に対して、気筒の稼動を順次停止させる制御指令を出力し、
エンジンの気筒の稼動を順次停止させたときのエンジンの状態を、前記センサで検出し、
当該センサの検出結果に基づいて、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するようにしたこと
を特徴としている。
【0033】
第7発明を図2を参照して説明する。
【0034】
第7発明によれば、機器用コントローラ53からエンジンの駆動力が伝達される機器50に対して、エンジン1に一定の負荷がかかるように制御指令が出力される。たとえば油圧シリンダ50に接続された作業機に作業対象が当接したままストロークエンドの状態にすれば、エンジン1に一定の負荷をかけた状態にすることができる。これによりエンジン1の全気筒のうち半分を停止させることなくエンジン1に一定の負荷をかけることができる。そしてこの状態で、エンジン1の各気筒の稼動を順次停止させれば、エンジン回転数等の変化が顕著なものとなり、いずれの気筒が異常であるかの特定が容易になる。
【0035】
エンジン1の駆動力が伝達される機器としては、建設機械であれば作業機、走行体などである。一般自動車であれば、クラッチ、車輪などである。たとえばクラッチを半クラッチの状態のままエンジンを稼動させることで、エンジンに一定の負荷をかけた状態にすることができる。
【0036】
また第8発明では、上記第3の解決課題を達成するために、
エンジンの各気筒毎に設けられ、エンジンの圧縮室内に燃料を噴射する燃料噴射装置と、前記燃料噴射装置に供給する燃料を蓄圧する蓄圧室と、制御指令に応じて前記蓄圧室に燃料を圧送する複数の燃料供給ポンプと、前記畜圧室の内部の圧力を検出するセンサとを備え、前記複数の燃料供給ポンプのいずれかに異常が発生したかを診断する燃料供給ポンプの診断装置において、
前記複数の燃料供給ポンプの各ポンプに対してポンプを間欠的に駆動させる制御指令を与え、
前記複数の燃料供給ポンプの各ポンプを順次、間欠的に駆動させたときの前記畜圧室の内部の圧力を、前記センサで検出し、
当該センサの検出結果に基づいて、前記複数の燃料供給ポンプのいずれかに異常が発生したかを診断するようにしたこと
を特徴としている。
【0037】
第8発明を図2を参照して説明する。
【0038】
第8発明によれば、複数の燃料供給ポンプ11a、11bの各ポンプに対してポンプを間欠的に駆動させる制御指令S9が与えられる。そして複数の燃料供給ポンプ11a、11bの各ポンプを順次、間欠的に駆動させたときの畜圧室14の内部の圧力が、センサ14aで検出される。そしてセンサ14aの検出結果に基づいて、複数の燃料供給ポンプ11a、11bのいずれかに異常が発生したかが診断される。本発明によれば、複数の燃料供給ポンプ11a、11bが設けられたコモンレール式のディーゼルエンジンにおいて、燃料供給ポンプ11a、11bの異常診断を行うことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明に係るエンジンの診断装置および燃料供給ポンプの診断装置の実施の形態について説明する。なお、本実施形態では、建設機械に搭載されるエンジン、燃料供給ポンプの診断を想定している。
【0040】
図1は建設機械の車体内に設けられた各機器を示している。
【0041】
図1に示すように実施形態の装置は、大きくは、エンジン1と、油圧ポンプ2と、ポンプ吐出量制御機構3と、エンジンコントローラ4と、ポンプコントローラ5と、センサ6と、モニタパネル7、アンロード弁8、タンク9、ネットワーク10、モニタコントローラ16とから構成されている。
【0042】
モニタパネル7は建設機械の運転室内に設けられている。
【0043】
モニタパネル7に対応して、モニタパネル7を制御するモニタコントローラ16が設けられている。またエンジン1に対応して、エンジン1を制御するエンジンコントローラ4が設けられている。また油圧ポンプ2に対応して、油圧ポンプ2を制御するポンプコントローラ5が設けられている。
【0044】
これらモニタコントローラ16と、エンジンコントローラ4と、ポンプコントローラ5との間はネットワーク10によって制御指令信号が相互に送受信可能に接続されている。ネットワーク10は、シリアル信号を送受信する信号線である。
【0045】
エンジン1は油圧ポンプ2を駆動する。なお、エンジン1は6気筒のレシプロのディーゼルエンジンを想定している。しかし以下に述べる実施形態は、ロータリーエンジン、ガソリンエンジンに対しても適用することが可能である。
【0046】
油圧ポンプ2は吐出圧油を圧油吐出管路17に吐出する。また油圧ポンプ2はポンプ吐出量制御機構3によって斜板2aの傾転角が制御されることによって吐出圧油流量(容量)が制御される。アンロード弁8は、2つの弁位置、つまり閉位置8a、開位置8bを備えた制御弁であり、開位置8b側に駆動されると、吐出管路17に吐出されたポンプ吐出圧油が、タンク9に排出される。
【0047】
モニタコントローラ16は、ポンプコントローラ5に対してエンジン1にかかる負荷を一定にする負荷一定制御指令信号を、ネットワーク10を介して送信するととともに、エンジンコントローラ4に対してエンジン1の各気筒の稼動を順次停止させる稼動停止制御指令信号を、ネットワーク10を介して送信する。
【0048】
ポンプコントローラ5は、モニタコントローラ16から送信された負荷一定制御指令信号を受信するとポンプ吐出量制御機構3に対して、油圧ポンプ2の斜板2aの傾転角が所定の傾転角となるようにする制御指令信号S1を出力する。またポンプコントローラ5はアンロード弁8に対して、アンロード弁8の開度が所定の開度となるように制御する制御指令信号S4を出力する。これら制御指令信号S1、S4によって指令される所定の傾転角、所定の開度は、油圧ポンプ2の吐出圧がリリーフ圧に達してアンロード弁8からタンク9に圧油がリリーフされる程度に設定されている。
【0049】
センサ6はエンジン1の回転数を検出する回転数センサであり、この検出結果を検出信号S3としてエンジンコントローラ4に出力する。
【0050】
エンジンコントローラ4はモニタコントローラ16から稼働停止制御指令信号を受信すると、エンジン1の各気筒に対して、制御指令信号S2を出力する。
【0051】
エンジンコントローラ4はセンサ6の検出信号S3を入力し、センサ6の検出結果をネットワーク10を介してモニタコントローラ16に送信する。
【0052】
図3はモニタパネル7の外観を示している。
【0053】
モニタパネル7は、エンジンコントローラ4から送信されたセンサ6の検出結果を表示する表示画面7fと、エンジンコントローラ4、ポンプコントローラ5への制御指令信号出力の指示を与えるスイッチ7c、7d、7eとを備えている。
【0054】
モニタコントローラ16はエンジンコントローラ4から送信されたセンサ6の検出結果に基づいて、エンジン1の各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断する処理を行い、診断結果をモニタパネル7の表示画面7fに表示する。
【0055】
モニタパネル7の表示画面7f中のエンジン回転数表示部7dには、エンジン1の現在の回転数(r.p.m)が表示される。モニタパネル7の表示画面7f中の気筒表示部7bには、現在、稼動が停止しているエンジン1の気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」が表示される。
【0056】
図2はエンジン1の各気筒の圧縮室内に燃料を供給するための装置構成を示している。なお、図2において、前述の図1と同一の構成要素には同一の符号を付しており、これらの構成要素の説明については適宜省略する。
【0057】
燃料タンク12内の燃料は燃料ポンプ12によって吸い上げられ、2つのサプライポンプ11a、11bに供給される。
【0058】
サプライポンプ11aはカム11dによって駆動される。カム11dはエンジン1によって駆動される。このためサプライポンプ11aからは高圧になった燃料が蓄圧室としてのコモンレール14に圧送される。エンジンコントローラ4はサプライポンプ11aの制御バルブ11cに対してポンプ制御パルス信号S9を出力する。制御バルブ11cはポンプ制御パルス信号S9に応じて開口し、蓄圧室としてのコモンレール14に燃料を供給する。後述するように異常診断時には、エンジンコントローラ4からは、サプライポンプ11aを間欠的に駆動させるポンプ制御パルス信号S9が出力される。
【0059】
コモンレール14にはサプライポンプ11aと同様のサプライポンプ11bが接続されている。
【0060】
他のサプライポンプ11bも上述したサプライポンプ11aと同様に構成されている。ただしサプライポンプ11bのカム11dはサプライポンプ11aのカム11dの回転角の位相と異なる位相になるように回転駆動される。
【0061】
コモンレール14は、サプライポンプ11a、11bから圧送、供給された燃料を畜圧する。
【0062】
コモンレール14にはプレッシャリミッタ14cが設けられている。プレシャリミッタ14cはコモンレール14内の圧力が所定の圧力を越えると、コモンレール14内に畜圧された燃料を燃料タンク12に排出する。
【0063】
圧力センサ14aはコモンレール14内の圧力を検出し、この検出結果を圧力信号S6としてエンジンコントローラ4に出力する。
【0064】
エンジンコントローラ4は圧力信号S6を入力し、圧力センサ14aの検出結果をモニタコントローラ16にネットワーク10を介して出力する。
【0065】
モニタコントローラ16は、後述するようにエンジンコントローラ4から送信された圧力センサ14aの検出結果に基づいて、サプライポンプ11a、11bのいずれかに異常が発生したかを診断する処理を行う。
【0066】
コモンレール14には、エンジン1の気筒の数(本実施形態では6個)に対応した数のフローダンパ14bが設けられている。コモンレール14は各フローダンパ14bを介して燃料を、燃料噴射装置としてのインジェクタ15に供給する。
【0067】
インジェクタ15は、フローダンパ14bと同様に、エンジン1の気筒毎に設けられている。インジェクタ15の内部には、インジェクタ15の先端から順にノズル15d、油圧ピストン15c、オリフィス15b、電磁弁15aが設けられている。インジェクタ15は、コモンレール14から供給された燃料をノズル15dを介してエンジン1の圧縮室内に噴射する。
【0068】
すなわちエンジンコントローラ4からインジェクタ15の電磁弁15aに対して、インジェクタ制御パルス信号S2が出力される。インジェクタ制御パルス信号S2に応じて電磁弁15aの開口が変化する。電磁弁15aの開口が変化すると、オリフィス15bを介して油圧ピストン15cに加わる圧力が変化する。油圧ピストン15cの駆動に応じてノズル15dから噴射される燃料が制御される。
【0069】
このようにしてインジェクタ制御パルス信号S2に応じてノズル15dから噴射される燃料の噴射量、噴射率、噴射時期が制御される。
【0070】
なおインジェクタ15内に供給された燃料の一部はリーク排出口15eから燃料タンク12に排出される。
【0071】
センサ6は、サプライポンプ11aのカム11dに付設された電磁ピップアップで構成することができる。センサ6によってエンジン1の回転数、カム11dの回転角度が検出される。センサ6の検出結果は検出信号S3としてエンジンコントローラ4に出力される。
【0072】
なお本実施形態ではエンジン1の稼動状態を回転数センサ6によって検出するようにしている。しかしエンジン1の稼動状態を、回転数センサ6以外のセンサによって検出してもよい。たとえばインジェクタ15のリーク排出口15eから漏れる燃料のスピル温度を、温度センサ6′によって検出することによって、エンジン1の稼動状態を検出してもよい。温度センサ6′の検出温度信号S7はエンジンコントローラ4に入力される。またエンジン1の排気圧力を、圧力センサ6″によって検出することによって、エンジン1の稼働状態を検出してもよい。圧力センサ6″の検出圧力信号S8はエンジンコントローラ4に入力される。
【0073】
その他エンジン1の排気温度を検出することによってエンジン1の稼動状態を検出してもよく、エンジン1の馬力やトルクを検出することによってエンジン1の稼動状態を検出してもよい。また排気中の成分を検出することによってエンジン1の稼動状態を検出してもよい。たとえば排気中のO2を検出するO2センサ、排気中のNOxを検出するNOxセンサ、排気中の黒煙を検出するセンサを用いることができる。
【0074】
エンジンコントローラ4は、前述したようにモニタコントローラ16から稼働停止制御指令信号を受信すると、インジェクタ制御パルス信号S2を出力する。エンジンコントローラ4がインジェクタ制御パルス信号S2を出力しなければエンジン1の特定の気筒の稼動が停止する。
【0075】
つぎに図3を参照してモニタパネル7の構成について説明する。
【0076】
モニタパネル7はたとえば筐体形状であり、筐体外側には、表示画面7f、選択スイッチ7c、7d、決定スイッチ7eが配置されている。
【0077】
表示画面7fはたとえば液晶で構成され、前述したように表示画面7f内にはエンジン回転数表示部7aと、気筒表示部7bが配置されている。
【0078】
選択スイッチ7c、7dは、押す回数に応じて気筒表示部7bに表示されている「1」〜「6」の気筒名の中から稼働を停止させる気筒名を選択する。選択された気筒名は、たとえば該当気筒名の点滅によって示される。
【0079】
決定スイッチ7eは、選択スイッチ7c、7dの押動操作に応じて選択された気筒名に相当する気筒の稼働を停止させる指示をモニタコントローラ16に与える。決定された気筒名は、たとえば該当気筒名の消灯によって示される。
【0080】
次に、本実施形態の診断装置の動作について図1〜図4を併せ参照して説明する。図4はエンジン回転数とトルクとの対応関係を示す図である。
【0081】
図4において、正常なアイドリング回転数は800r・p・mであるとする。エンジン1の設定回転数がアイドリング回転数であるときには、図4中のレギュレーションラインAに沿ってエンジン1が駆動する。エンジン1の各気筒のうちいずれか1気筒に対応するインジェクタ15から燃料が全く噴射されておらず、該当する気筒の稼動が停止しているときは、エンジン回転数は700r・p・mに低下する。このときレギュレーションラインCに沿ってエンジン1が駆動する。逆にエンジン1の各気筒のうちいずれか1気筒に対応するインジェクタ15から噴射される燃料が異常に多くなっているときには、エンジン回転数は900r・p・mに上昇する。このときレギュレーションラインBに沿ってエンジン1が駆動する。
【0082】
いま、エンジン1の各気筒のうち気筒名「2」の気筒に対応するインジェクタ15で故障が発生して、燃料噴射量が異常に多くなり、エンジン1から黒煙が排出されている場合を想定する。この場合、エンジン1の回転数は上述したように900r・p・mに上昇する。
【0083】
まず作業者がモニタパネル7の表示画面7fを目視することにより異常診断を行う実施形態について説明する。
この場合、作業者は、エンジン1の各気筒を順次停止させる指示をモニタパネル7で行う。
【0084】
すなわちモニタパネル7の選択スイッチ7c、7dを操作して、モニタパネル7の気筒表示部7bで気筒名「1」を点滅させ、つぎに決定スイッチ7eを操作して、この気筒名「1」を消灯させる。この結果気筒名「1」の気筒の稼働を停止させる異常診断開始の指示がモニタコントローラ16に与えられる。
【0085】
モニタコントローラ16に気筒名「1」の気筒の稼働を停止させる指示が与えられると、モニタコントローラ16からポンプコントローラ5に対して負荷一定制御指令信号がネットワーク10を介して送信されるととともに、モニタコントローラ16からエンジンコントローラ4に対して気筒名「1」の気筒の稼働を停止させる稼動停止制御指令信号がネットワーク10を介して送信される。
【0086】
負荷一定制御指令信号を受信したポンプコントローラ5は、ポンプ吐出量制御機構3に対して、制御指令信号S1を出力するとともに、アンロード弁8に対して、制御指令信号S4を出力する。このため油圧ポンプ2の斜板2aの傾転角が所定の傾転角にされるとともに、アンロード弁8が開位置8b側に移動し、所定の開度になる。このため油圧ポンプ2の吐出圧油がリリーフ圧に達してアンロード弁8からタンク9に排出される。これによりエンジン1に一定の負荷がかかった状態になる。
【0087】
また稼動停止制御指令信号を受信したエンジンコントローラ4は、電磁弁15aの開口を閉じるインジェクタ制御パルス信号S2をエンジン1の気筒名「1」の気筒に対応するインジェクタ15の電磁弁15aに対して、出力する。なおエンジン1の回転数はアイドリング回転数(800r・p・m)に設定されているものとする。
【0088】
このため電磁弁15aの開口が閉じられ、ノズル15dから圧縮室への燃料噴射が停止する。こうして気筒名「1」の気筒の稼働が停止する。
【0089】
エンジン1の回転数はセンサ6によって検出され、この検出結果が検出信号S3としてエンジンコントローラ4に入力される。
【0090】
これによりエンジンコントローラ4からモニタコントローラ16にネットワーク10を介してセンサ6の検出結果が送信される。
【0091】
モニタコントローラ16は、気筒名「1」の気筒の稼動を停止したときのエンジン1の回転数をモニタパネル7の表示画面7f中のエンジン回転数表示部7aに表示させる。
【0092】
ここで正常に稼動している気筒名「1」の気筒の稼動を停止させたため、モニタパネル7のエンジン回転数表示部7aに表示されるエンジン1の回転数は、異常な回転数(900r・p・m)から所定回転数だけ低下した回転数、たとえば800r・p・mになる。
【0093】
以下同様に、正常に稼動している気筒名「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼動を停止させる指示を、モニタパネル16のスイッチ操作により与えたときも、回転数表示部7aに表示されるエンジン回転数は、同じ回転数800r・p・mになる。
【0094】
そこで、異常な稼動をしている気筒名「2」の気筒の稼動を停止させる指示を、モニタパネル16のスイッチ操作により与えたとする。
【0095】
この場合エンジンコントローラ4は、電磁弁15aの開口を閉じるインジェクタ制御パルス信号S2をエンジン1の気筒名「2」の気筒に対応するインジェクタ15の電磁弁15aに対して、出力する。このため電磁弁15aの開口が閉じられ、ノズル15dから圧縮室への燃料噴射が停止する。こうして気筒名「2」の気筒の稼働が停止する。
【0096】
エンジン1の回転数はセンサ6によって検出され、この検出結果が検出信号S3としてエンジンコントローラ4に入力される。
【0097】
これによりエンジンコントローラ4からモニタコントローラ16にネットワーク10を介してセンサ6の検出結果が送信される。
【0098】
モニタコントローラ16は、気筒名「2」の気筒の稼動を停止したときのエンジン1の回転数をモニタパネル7の表示画面7f中のエンジン回転数表示部7aに表示させる。
【0099】
ここで異常な稼動をしている気筒名「2」の気筒の稼動を停止させたため、モニタパネル7のエンジン回転数表示部7aに表示されるエンジン1の回転数は、正常な回転数(800r・p・m)から所定回転数だけ低下した回転数、たとえば700r・p・mになる。
【0100】
作業者は、気筒名「1」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼動を停止させたときに回転数表示部7aに表示されるエンジン回転数(800r・p・m)と、気筒名「2」の気筒の稼動を停止させたときに回転数表示部7aに表示されるエンジン回転数(700r・p・m)を比較して、これら回転数の顕著な変化から、気筒名「2」の気筒で異常が発生した、つまり気筒名「2」の気筒に対応するインジェクタ15で異常な燃料噴射が発生していると異常診断することができる。
【0101】
また、上述した場合とは逆に、インジェクタ15から燃料が噴射されず気筒名「2」の気筒の稼動が停止する故障もあり得る。この場合、エンジン1は正常な回転数(800r・p・m)から所定回転数だけ低下した異常な回転数(700r・p・m)になっている。
【0102】
そこで正常に稼動している気筒名「1」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼動を停止させる指示を、モニタパネル16のスイッチ操作により与えたとすると、モニタパネル7のエンジン回転数表示部7aに表示されるエンジン1の回転数は、異常な回転数(700r・p・m)から所定回転数だけ低下した回転数、たとえば600r・p・mになる。
【0103】
しかしながら稼動が停止している気筒名「2」の気筒の稼動を停止させる指示を、モニタパネル16のスイッチ操作により与えて、気筒名「2」の気筒に対応するインジェクタ15に対して、稼動を停止させるためのインジェクタ制御パルス信号S2を出力しないとしても、気筒名「2」の気筒の稼動はすでに停止しているので、モニタパネル7のエンジン回転数表示部7aに表示されるエンジン1の回転数は異常な回転数(700r・p・m)を維持したままとなる。
【0104】
作業者は、気筒名「1」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼動を停止させたときに回転数表示部7aに表示されるエンジン回転数(600r・p・m)と、気筒名「2」の気筒の稼動を停止させたときに回転数表示部7aに表示されるエンジン回転数(700r・p・m)を比較して、これら回転数の顕著な変化から、気筒名「2」の気筒で異常が発生した、つまり気筒名「2」の気筒に対応するインジェクタ15で燃料噴射がされていないと異常診断することができる。
【0105】
以上のように本実施形態によれば、建設機械の車体内に設けられたポンプコントローラ5によって油圧ポンプ2、アンロード弁8を制御することによって油圧ポンプ2の吐出圧をリリーフ圧にして、エンジン1に一定の負荷をかけた状態にし、このようにエンジン1に一定の負荷がかけられた状態で、減筒運転を行いエンジン1の異常診断を行うようにしている。このため従来技術と比較して、エンジン1の全気筒のうち半分の気筒の稼動を停止させることなくエンジン1に一定の負荷をかけた状態にすることができ、エンジン1に悪影響を与えることがない。エンジン1に一定の負荷がかかるので、減筒運転時には顕著な回転数変化を捕らえることができ、異常な気筒を容易に特定することができ、異常診断を正確に行うことができる。
【0106】
また建設機械に既存の機器として設けられているモニタパネル7、ポンプコントローラ5、エンジンコントローラ4の機能を利用して異常診断を行うことができるので、異常診断のために特別な機器を建設機械に別途追加する必要がなく、装置コストを飛躍的に低減することができる。
【0107】
なお、上述した実施形態では、モニタパネル7のエンジン回転数表示部7aに表示されるエンジン1の回転数の変化を作業者が目視で捕らえることによりエンジン1の各気筒のいずれかに異常が発生したことを判断している。
【0108】
しかしエンジン1の各気筒のいずれかに異常が発生したかの判断処理をモニタパネル7で自動的に行い、その判断結果を表示画面7fに表示してもよい。
【0109】
この場合、モニタパネル7では特定のスイッチを操作することによって、「自動診断開始」の指示がモニタコントローラ16に与えられる。
【0110】
モニタコントローラ16に「自動診断開始」の指示が与えられると、モニタコントローラ16からポンプコントローラ5に対して負荷一定制御指令信号がネットワーク10を介して送信されるととともに、モニタコントローラ16からエンジンコントローラ4に対して気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼働を順次停止させる稼動停止制御指令信号がネットワーク10を介して送信される。
【0111】
負荷一定制御指令信号を受信したポンプコントローラ5は、ポンプ吐出量制御機構3に対して、制御指令信号S1を出力するとともに、アンロード弁8に対して、制御指令信号S4を出力する。このため油圧ポンプ2の斜板2aの傾転角が所定の傾転角にされるとともに、アンロード弁8が開位置8b側に移動し、所定の開度になる。このため油圧ポンプ2の吐出圧油がリリーフ圧に達してアンロード弁8からタンク9に排出される。これによりエンジン1に一定の負荷がかかった状態になる。
【0112】
また稼動停止制御指令信号を受信したエンジンコントローラ4は、電磁弁15aの開口を閉じるインジェクタ制御パルス信号S2をエンジン1の気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒に対応するインジェクタ15の電磁弁15aに対して、順次出力する。こうして気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼働が順次停止する。
【0113】
気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼働が順次停止したときのエンジン1の各回転数はセンサ6によって検出され、この検出結果が検出信号S3としてエンジンコントローラ4に入力される。
【0114】
これによりエンジンコントローラ4からモニタコントローラ16にネットワーク10を介してセンサ6の検出結果が送信される。
【0115】
モニタコントローラ16は、気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼動を順次停止したときのエンジン1の各回転数の変化を比較し、上述した実施形態と同様の判断基準によって、いずれの気筒が異常であるかを特定する処理を行う。この結果、異常な気筒の気筒名たとえば「2」が、モニタパネル7の表示画面7fに表示される。
【0116】
本実施形態によれば、自動的に診断が行われるので、1気筒毎に稼動を停止させたときの変化を目視して判断することによる診断ミスを防止することができる。また目視して判断する場合と比較して診断時間を短縮することができる。また診断が迅速に行われることにより、気筒の稼働が停止している時間が短くなり、エンジン1に悪影響を及ぼすことが少なくなる。
【0117】
図1に示す実施形態では、油圧ポンプ1の容量、アンロード弁8の開度を直接制御することにより油圧ポンプ2の吐出圧をリリーフ圧にしている。
【0118】
しかし、これは一例であり図5に示すような油圧回路の構成によって油圧ポンプ2の吐出圧をリリーフ圧にしてもよい。
【0119】
以下図5において図1と同一の機能のものには同一の符号を付けている。
【0120】
図5は、油圧ポンプ2の吐出圧と油圧シリンダ50の負荷圧との差圧が設定値となるように油圧ポンプ2の斜板2aをポンプ吐出量制御機構3により自動的に制御する油圧回路を示している。このような制御はロードセンシング制御と呼ばれている。
【0121】
油圧ポンプ3は圧油吐出管路17を介して操作弁55に接続している。操作弁55は管路60によって油圧シリンダ50に接続している。操作弁55はX、Y、Zの3位置を有する流量方向制御弁である。操作弁55がX位置側に位置しているときには、油圧ポンプ2の吐出圧油は操作弁55の開口面積に応じた流量に制御されて、油圧シリンダ50のヘッド側のシリンダ室に供給され、油圧シリンダ50のロッドが縮退する。油圧シリンダ50の戻り圧油は操作弁55を介してタンク9に排出される。また操作弁55がZ位置側に位置しているときには、油圧ポンプ2の吐出圧油は操作弁55の開口面積に応じた流量に制御されて、油圧シリンダ50のボトム側のシリンダ室に供給され、油圧シリンダ50のロッドが伸張する。油圧シリンダ50の戻り圧油は操作弁55を介してタンク9に排出される。操作弁55が中立のY位置に位置しているときには、油圧ポンプ2の吐出圧油は操作弁55で遮断される。
【0122】
圧油吐出管路17はポンプ吐出圧検出管路56に分岐している。ポンプ吐出圧検出管路56はポンプ吐出量制御機構3に接続している。管路60は負荷圧検出管路54に分岐している。負荷圧検出管路54はポンプ吐出量制御機構3に接続している。このためポンプ吐出圧検出管路56を介してポンプ吐出量制御機構3には油圧ポンプ2の吐出圧が加えられる。また負荷圧検出管路54を介してポンプ吐出量制御機構3には油圧シリンダ50の負荷圧が加えられる。ポンプ吐出量制御機構3では油圧ポンプ2の吐出圧と油圧シリンダ50の負荷圧との差圧が設定値になるように、油圧ポンプ2の斜板2aを変化させるロードセンシング制御を行う。
【0123】
圧油吐出管路17はリリーフ弁57を介してタンク9に接続している。このため油圧ポンプ2の吐出圧がリリーフ弁57の設定リリーフ圧に達すると、圧油吐出管路17内の圧油はタンク9にリリーフされる。
【0124】
操作弁55は油圧シリンダコントローラ53から出力される制御指令信号S10によって、弁位置が変化する電磁比例制御弁である。操作レバー52が手動操作されると、この操作方向および操作量を示す信号が油圧シリンダコントローラ53に入力され、この操作方向および操作量に対応する制御指令信号S10が操作弁55に加えられる。このため操作弁55は操作レバー52の操作に応じた方向、開度に制御される。油圧シリンダコントローラ53はまた、後述するようにネットワーク10を介して入力される制御指令信号に応じて制御指令信号S10を出力する。
【0125】
油圧シリンダ50には、油圧シリンダ50のロッドが伸張側のストロークエンド位置にあることを検出する油圧シリンダストロークエンド検出センサ51が設けられている。ストロークエンド検出センサ51の検出信号は油圧シリンダコントローラ53に入力される。
【0126】
図5に示す実施形態では以下のように動作する。
【0127】
エンジン1の異常診断を自動的に行う場合を想定する。
【0128】
モニタコントローラ16に「自動診断開始」の指示が与えられると、モニタコントローラ16から油圧シリンダコントローラ53に対して負荷一定制御指令信号がネットワーク10を介して送信されるととともに、モニタコントローラ16からエンジンコントローラ4に対して気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼働を順次停止させる稼動停止制御指令信号がネットワーク10を介して送信される。
【0129】
負荷一定制御指令信号を受信した油圧シリンダコントローラ5は、ストロークエンド検出センサ51の検出信号に基づいて、油圧シリンダ50のロッドがストロークエンド位置にあることを確認することを条件として、操作弁55に対して、弁位置をZ位置側に位置させる制御指令信号S10を出力する。このように油圧シリンダ50がストロークエンドにあることを確認するのは安全のためである。
【0130】
このため操作弁55がZ位置側に位置する。油圧ポンプ2の吐出圧油はポンプ吐出管路17を介して操作弁55に供給され、操作弁55の開口面積に応じた流量に制御されて、油圧シリンダ50のボトム側のシリンダ室に供給される。これにより油圧シリンダ50のロッドが伸張側のストロークエンドに位置したままの状態になる。なお油圧シリンダ50の戻り圧油は操作弁55を介してタンク9に排出される。
【0131】
ポンプ吐出量制御機構3は油圧ポンプ2の吐出圧と油圧シリンダ50の負荷圧との差圧が設定値になるように、油圧ポンプ2の斜板2aを変化させる。
【0132】
このようにして油圧シリンダ50がストロークエンドに位置したまま油圧ポンプ2がロードセンシング制御されるため、油圧ポンプ2の吐出圧はリリーフ圧に達してリリーフ弁57からタンク9にリリーフされる。これによりエンジン1に一定の負荷がかかった状態になる。
【0133】
また稼動停止制御指令信号を受信したエンジンコントローラ4は、電磁弁15aの開口を閉じるインジェクタ制御パルス信号S2をエンジン1の気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒に対応するインジェクタ15の電磁弁15aに対して、順次出力する。こうして気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼働が順次停止する。
【0134】
気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼働が順次停止したときのエンジン1の各回転数はセンサ6によって検出され、この検出結果が検出信号S3としてエンジンコントローラ4に入力される。
【0135】
これによりエンジンコントローラ4からモニタコントローラ16にネットワーク10を介してセンサ6の検出結果が送信される。
【0136】
モニタコントローラ16は、気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」の気筒の稼動を順次停止したときのエンジン1の各回転数の変化を比較し、上述した実施形態と同様の判断基準によって、いずれの気筒が異常であるかを特定する処理を行う。この結果、異常な気筒の気筒名たとえば「2」が、モニタパネル7の表示画面7fに表示される。
【0137】
なお図5の実施形態においても、図1の実施形態と同様にモニタパネル7からエンジン1の各気筒の稼動を順次停止させる指示を与え、各気筒を順次停止させたときのエンジン回転数をモニタパネル7で順次表示させて、目視の判断によりエンジン1の異常診断を行うようにしてもよい。
【0138】
なお以上の説明ではエンジン1の設定回転数をアイドリング回転数にして、減筒運転を行うようにしている、もちろん任意の設定回転数で減筒運転を行うことができる。たとえば図4に示すようエンジン1の設定回転数を最大回転数NMAXに設定してレギュレーションラインE上でエンジン1を駆動させて、減筒運転に移行させることもできる。
なお以上の説明では、エンジン1の各気筒毎に設けられたインジェクタ15で異常が発生した場合を想定しているが、本発明としては、エンジン1の各気筒毎に設けられているものであれば、インジェクタ15以外のピストン、シリンダ、ロータ、ハウジング等の異常診断にも適用することができる。
【0139】
また以上の説明では、エンジン1の各気筒のうちいずれか1つの気筒で異常が発生した場合を想定しているが、本発明としてはエンジン1の各気筒のうち2以上の気筒で異常が発生した場合の診断にも適用することができる。
【0140】
また以上の説明では、減筒運転時にエンジン1の各気筒を1気筒づつその稼動を順次停止させるようにしているが、本発明としてはエンジン1の各気筒を2気筒以上づつまとめて、その稼動を停止させるようにしてもよい。
【0141】
つぎに、2つのサプライポンプ11a、11bのいずれかで異常が発生した場合にその異常診断を行う場合の動作について説明する。
【0142】
以下の説明ではサプライポンプ11aで故障が発生し、サプライポンプ11aからコモンレール14に対して燃料が供給されくなった場合を想定する。
【0143】
サプライポンプ11aからコモンレール14に対して燃料が供給されなくなると、サプライポンプ11bからしかコモンレール14に対して燃料が供給されなくなるため、コモンレール14内の圧力が正常な値から低下する。
【0144】
まずサプライポンプ11a、11bの異常診断を自動で行う場合を想定する。
【0145】
作業者は「自動診断開始」の指示をモニタパネル7のスイッチ操作により行う。モニタコントローラ16に「自動診断開始」の指示が与えられると、モニタコントローラ16からエンジンコントローラ4に対してサプライポンプ11a、11bを順次、間欠的に駆動させる間欠駆動制御指令信号がネットワーク10を介して送信される。
【0146】
ここで「サプライポンプ11a、11bを順次、間欠的に駆動させる」ことを、気筒名「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」で示して説明する。
【0147】
例えば燃料を、サプライポンプ11aから気筒名「1」、「2」、「3」の気筒へ畜圧室14を介して供給し、サプライポンプ11bから気筒名「4」、「5」、「6」の気筒へ畜圧室14を介して供給し、燃料を噴射させる気筒の順番が「1」、「5」、「3」、「6」、「2」、「4」であるものとする。
【0148】
この場合、サプライポンプ11aから気筒名「1」の気筒へ畜圧室14を介して供給するタイミングの時だけ圧送しないように間引きする。これによりサプライポンプ11aが間欠的に駆動される。
【0149】
間欠駆動制御指令信号を受信したエンジンコントローラ4は、ポンプを間欠的に駆動させるポンプ制御パルス信号S9を、各サプライポンプ11a、11bの制御バルブ11cに対して、順次出力する。こうして最初にサプライポンプ11aの制御バルブ11cに、ポンプを間欠的に駆動させるポンプ制御パルス信号S9が入力され、つぎにサプライポンプ11bの制御バルブ11cに、ポンプを間欠的に駆動させるポンプ制御パルス信号S9が入力される。
【0150】
各サプライポンプ11a、11bを順次、間欠的に駆動させたときのコモンレール14内の圧力は圧力センサ14aによって検出され、この検出結果が圧力信号S6としてエンジンコントローラ4に入力される。
【0151】
これによりエンジンコントローラ4からモニタコントローラ16にネットワーク10を介して圧力センサ14aの検出結果が送信される。
【0152】
モニタコントローラ16は、各サプライポンプ11a、11bを順次、間欠的に駆動させたときのコモンレール14内の圧力を比較する。故障が発生しているサプライポンプ11aに対して間欠的に駆動させる指令を与えたとしても、コモンレール14内の圧力は異常な圧力値を示したままで変化はしない。しかし、故障が発生していないサプライポンプ11bに対して間欠的に駆動させる指令を与えると、サプライポンプ11bは正常な駆動状態から異常な駆動状態になるので、コモンレール14内の圧力は異常な圧力値から更に低下する。こうした圧力値の変化を捕らえて、サプライポンプ11aが異常であると判断する処理を行う。この結果、異常なサプライポンプ11aを特定する文字、記号等が、モニタパネル7の表示画面7fに表示される。
【0153】
なお本実施形態においても、インジェクタ15の異常診断を行う実施形態と同様に、モニタパネル7からサプライポンプ11a、11bを順次、間欠的に駆動させる指示を与え、各サプライポンプ11a、11bを順次、間欠的に駆動させたときの圧力値をモニタパネル7で順次表示させて、目視の判断によりサプライポンプ11a、11bの異常診断を行うようにしてもよい。
【0154】
本実施形態では、サプライポンプが2つ設けられた場合を想定しているが、本発明としてはサプライポンプが3以上設けられている装置にも適用することができる。
【0155】
なお図1、図5の実施形態では、油圧ポンプ2の吐出圧をリリーフ圧にさせることでエンジン1に一定の負荷をかかった状態にしている。しかしエンジン1の駆動力が伝達される機器を制御することで、エンジン1に一定の負荷がかかった状態にすることができる。たとえば図5において油圧シリンダ50に接続された作業機に作業対象が当接したままストロークエンドの状態にすれば、エンジン1に一定の負荷をかけた状態にすることができる。これによりエンジン1の全気筒のうち半分を停止させることなくエンジン1に一定の負荷をかけることができる。そしてこの状態で、エンジン1の各気筒の稼動を順次停止させれば、エンジン回転数等の変化が顕著なものとなり、いずれの気筒が異常であるかの特定が容易になる。
【0156】
また本発明は建設機械のみならず油圧ポンプを備えていない一般の自動車等にも適用することができる。
【0157】
この場合、エンジンに一定の負荷をかけるために、エンジンの駆動力が伝達される機器に対して、エンジン1に一定の負荷がかかるように制御指令を出力すればよい。エンジンの駆動力が伝達される機器としては、建設機械であれば作業機、走行体などである。一般自動車であれば、クラッチ、車輪などである。たとえばクラッチを半クラッチの状態のままエンジンを稼動させることで、エンジンに一定の負荷をかけた状態にすることができる。
【0158】
また本実施形態では建設機械に既存のモニタパネル7のスイッチ7c、7d、7e、表示画面7fを利用して異常診断を行う場合を想定している。しかし本発明はモニタパネル7を備えていない車両、機械に対しても適用することができる。たとえば本実施形態のモニタパネル7のスイッチ7c、7d、7e、表示画面7fと同等の機能を有する入力手段、表示画面を備えたパーソナルコンピュータを、異常診断対象の車両、機械等に接続して、異常診断を行うことができる。
【0159】
なお、本実施形態ではモニタパネル7から指示を与え減筒運転をさせ、エンジン回転数等を検出するセンサ6の検出結果若しくは検出結果から得られた診断結果をモニタパネル7に表示させている。しかしモニタパネル7から指示を与え減筒運転をさせ作業者がエンジン音を聞くなど目視や聴覚等によって異常診断をしてもよい。
【0160】
また、本実施形態ではモニタコントローラ16によってエンジン1の各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断しているが、エンジンコントローラ4によってエンジン1の各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断し、この診断結果をモニタコントローラ16に送信し、モニタコントローラ16によって診断結果をモニタパネル7のエンジン回転数表示部7a、気筒表示部7bに表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態の油圧回路を示す図である。
【図2】図2はエンジンの各気筒の圧縮室内に燃料を供給するための装置構成を示す図である。
【図3】図3はモニタパネルの外観を示す図である。
【図4】図4はエンジン回転数とトルクとの対応関係を示す図である。
【図5】図5は図1とは異なる油圧回路を示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン
2…油圧ポンプ
3…ポンプ吐出量制御機構
4…エンジンコントローラ
5…ポンプコントローラ
6…センサ
Claims (4)
- エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される圧油を制御する油圧機器と、前記エンジンの各気筒毎に制御指令を出力し制御指令に応じてエンジンの各気筒を稼動させるエンジン用コントローラと、前記油圧機器に対して制御指令を出力し制御指令に応じて前記油圧機器を作動させる油圧機器用コントローラと、エンジンの稼動状態を検出するセンサとを備え、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するエンジンの診断装置において、
前記油圧機器用コントローラから前記油圧機器に対して、前記エンジンに一定の負荷がかかるように、油圧ポンプの吐出圧油を制御する制御指令を出力し、
前記エンジンに一定の負荷がかかった状態で、前記エンジン用コントローラから前記エンジンの各気筒に対して、気筒の稼動を順次停止させる制御指令を出力し、
エンジンの気筒の稼動を順次停止させたときのエンジンの状態を、前記センサで検出し、
当該センサの検出結果に基づいて、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するようにしたこと
を特徴とするエンジンの診断装置。 - 前記油圧機器用コントローラから前記油圧機器に対して、前記油圧ポンプの吐出圧をリリーフ圧にする制御指令を出力して、前記エンジンにかかる負荷を一定にすること
を特徴とする請求項1記載のエンジンの診断装置。 - 前記センサの検出結果を表示する表示部と、車両を駆動させる制御指令を入力するスイッチ手段とを備えたモニタパネルと、前記モニタパネルに対応して設けられたモニタパネル用コントローラとをさらに備え、
前記モニタパネル用コントローラと、前記エンジン用コントローラと、前記油圧機器用コントローラの間で相互に制御信号が送受信可能に接続し、
前記モニタパネルのスイッチ手段を操作することによって、異常診断開始の指示が与えられると、前記モニタパネル用コントローラから前記油圧機器用コントローラに対してエンジンにかかる負荷を一定にする負荷一定制御指令を送信するととともに、前記モニタパネル用コントローラから前記エンジン用コントローラに対してエンジンの気筒の稼動を順次停止させる稼動停止制御指令を送信し、
負荷一定制御指令を受信した油圧機器用コントローラは、前記油圧機器に対して、前記エンジンに一定の負荷がかかるように、油圧ポンプの吐出圧油を制御する制御指令を出力し、
稼動停止制御指令を受信したエンジン用コントローラは、前記エンジンに一定の負荷がかかった状態で、前記エンジンの各気筒に対して、気筒の稼動を順次停止させる制御指令を出力し、
エンジンの気筒の稼動を順次停止させたときのエンジンの状態を、前記センサで検出し、
前記センサの検出結果を入力したモニタパネル用コントローラは、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断し、または前記センサの検出結果を入力したエンジン用コントローラは、前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断し、この診断結果をモニタパネル用コントローラに送信し、
モニタパネル用コントローラは診断結果をモニタパネルの表示部に表示すること
を特徴とする請求項1記載のエンジンの診断装置。 - 前記センサの検出結果を表示する表示部と、車両を駆動させる制御指令を入力するスイッチ手段とを備えたモニタパネルと、前記モニタパネルに対応して設けられたモニタパネル用コントローラとをさらに備え、
前記モニタパネル用コントローラと、前記エンジン用コントローラと、前記油圧機器用コントローラの間で相互に制御信号が送受信可能に接続し、
前記モニタパネルのスイッチ手段を操作することによって、異常診断開始の指示が与えられると、前記モニタパネル用コントローラから前記油圧機器用コントローラに対してエンジンにかかる負荷を一定にする負荷一定制御指令を送信するととともに、前記モニタパネル用コントローラから前記エンジン用コントローラに対してエンジンの気筒の稼動を順次停止させる稼動停止制御指令を送信し、
負荷一定制御指令を受信した油圧機器用コントローラは、前記油圧機器に対して、前記エンジンに一定の負荷がかかるように、油圧ポンプの吐出圧油を制御する制御指令を出力し、
稼動停止制御指令を受信したエンジン用コントローラは、前記エンジンに一定の負荷がかかった状態で、前記エンジンの各気筒に対して、気筒の稼動を順次停止させる制御指令を出力し、
エンジンの気筒の稼動を順次停止させたときのエンジンの状態を、前記センサで検出し、
前記センサの検出結果を入力したモニタパネル用コントローラは、エンジンの気筒の稼動を順次停止させる毎のエンジンの各状態を、モニタパネルの表示部に表示し、この表示部の表示内容に基づいて前記エンジンの各気筒のいずれかに異常が発生したかを診断するようにしたこと
を特徴とする請求項1記載のエンジンの診断装置。
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