JP4453597B2 - 光デバイス及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、光デバイス及びその製造方法に関し、より具体的には、光素子と低損失光導波路からなる光デバイス及びその製造方法に関する。
特許文献1には、レーザ素子と波長変換素子とを光軸合わせし、一定のギャップをおいて固定する光学製品の組立方法が記載されている。即ち、レーザ素子用マウントに対して波長変換素子用マウントを所定ギャップ(20μm)を開けて平行に位置決めする。レーザ素子用マウントに固定されたレーザ素子に対して波長変換素子を光軸調整して、互いに紫外線硬化型接着剤により固着する。波長変換素子を紫外線硬化型接着剤により波長変換素子用マウントに固着する。そして、レーザ素子用マウントと波長変換素子用マウントとの間のギャップに嫌気性紫外線硬化型接着剤を挿入し、相互に固着する。
また、特許文献2には、光導波路と光素子との間の光路が凹み中にあるように光導波路と光素子を配置し、その凹みを光導波路と屈折率が近似した流動性のある透光性樹脂(内部樹脂)で埋め、その内部樹脂を柔軟性のある中間樹脂で覆い、中間受信を硬度のある外部樹脂で覆う3層構造が記載されている。
特開2003−046184公報 特開2001−305393公報
特許文献1に記載の方法では、2つの光素子を光結合させるために近距離で対向させて固定するだけであると、光素子端面での反射戻り光が他の光素子、例えばレーザ素子に入射し、雑音発生の原因となる。特に光素子間の距離が短い場合に、外部反射戻り光の影響が強くなる。
反射戻り光強度は、屈折率差によって決定される。端面の両側の屈折率の差を小さくすることで、反射減衰量(ORL)を低減できる。そのためには、光結合部の空間を光導波路又は光素子の屈折率に近似した屈折率の透明材料で満たせば良い。光学的に透明な樹脂には、シリコーン系、エポキシ系及びアクリレート系の樹脂があり、屈折率は1.3〜1.7である。例えば、空気中(屈折率=1.0)から屈折率=1.48の光導波路に光が入射する場合、ORLは−14.3dBであるが、室温で屈折率が1.5のアクリレート樹脂を適用すると、ORLは−43.4dBになる。
しかし、2つの光素子間の空間とその周囲を硬化樹脂で埋めると、光素子に熱膨張による応力がかかり、光素子が劣化又は損傷する。これを避けるために、特許文献2では、流動性の透明樹脂を使用するが、その結果として、3層構造を採用しなければならず、製造工程が複雑化する。
本発明は、このような不都合の生じない光デバイス及びその製造方法を提示することを目的とする。
本発明に係る光デバイスは、第1のマウントに固定される第1の光素子と、第2のマウントに固定される第2の光素子と、当該第1の光素子の光結合面と当該第2の光素子の光結合面を対面するように当該第1及び第2のマウントを固定する接着部材と、当該第1及び第2の光素子間の光結合部を満たす透明樹脂(28)とを具備し、当該第1の光素子の当該光結合面が、当該第1のマウントの、当該第2のマウントに当該接着部材により固定される面より飛び出ており、当該光結合部からはみ出る透明樹脂が当該第2のマウントに接しないようにする空間を当該第2のマウントに形成してあることを特徴とする。
本発明に係る光デバイスの製造方法は、第1のマウントの所定端面より第1の光素子の光結合面が飛び出た状態で当該第1のマウントに当該第1の光素子を固定する第1固定ステップと、第2のマウントに第2の光素子を固定する第2固定ステップと、当該第1及び第2の光素子間の光軸が合うように当該第1及び第2の光素子の少なくとも一方の位置と方向を調整する光軸調整ステップと、当該第1及び第2のマウント間に接着部材を挿入する接着部材挿入ステップと、当該第1の光素子の光結合面と当該第2の光素子の光結合面の間の光結合部に透明樹脂を挿入する透明樹脂挿入ステップとを具備し、当該第2のマウントが、当該光結合部からはみ出る当該透明樹脂が当該第2のマウントに接しないようにする空間を具備することを特徴とする光デバイスの製造方法。
本発明によれば、複雑な工程を要さずに、2つの光素子を光結合した光デバイスを製造又は組立てることができる。光素子に加わる応力を低減できるので、信頼性が向上する。
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の組立フローのフローチャートを示し、図2は、本実施例の組立前の分解斜視図を示し、図3乃至図7は、組立の各手順における側面図を示す。図8は、組立後の平面図を示す。
図3に示すように、防振台10上に微動台12を介してマウント14を載せ、また、微動台16を介してマウント18を載せる。マウント18には、半導体光導波路、光ファイバ又は石英光導波路等の光導波路22を半田又は硬化樹脂等により固定し(S1)、マウント14には、レーザダイオード又は受光素子等の光半導体素子20を半田又は硬化樹脂等により固定する(S2)。
図2で、実線で示す光半導体素子20は、マウント14に固定する前を示し、破線で示す光半導体素子20は、マウント14に固定した後を示す。同様に、実線で示す光導波路22は、マウント18に固定する前を示し、破線で示す光導波路22は、マウント18に固定した後を示す。マウント14はほぼ直方体であるが、マウント18は、マウント14に対面する面のほぼ中央に凹み18aを設けてある。凹み18aの両側の凸部18b,18cの先端面には更に、マウント14との接近し過ぎを防ぐためのスペーサとなる小さな突起18d,18eを設けてある。凸部18b,18cの先端部分とマウント14との間に硬化樹脂を配置してマウント14,18を固着するので、この小突起18d,18eは、硬化前の硬化樹脂を凸部18b,18cの先端部分とマウント14との間に保持する役目も果たす。
マウント14,18にそれぞれ光半導体素子20及び光導波路22を固定した時点では、光半導体素子20及び光導波路22は、現実に光軸調整されている必要は無く、これらの光結合端面20a,22aが互いに向き合っていれば良い。また、光半導体素子20の端面20aは、マウント14の端面14aから突き出ており、光導波路22の端面22aは、凹み18aの上方に位置する。詳細は後述するが、凹み18aの上方で光半導体素子20と光導波路22が光結合し、光半導体素子20の端面20aと光導波路22の端面22aとの間に透明樹脂28が配置される。
光半導体素子20のように電気接続を要する光素子を載せるマウントには、当該光素子の電極と電気接続する電極を、マウント表面にメッキ又は蒸着などにより付加してある。
図4に示すように、微動台16(及び同12)によりマウント18(及びマウント14)を防振台10上で移動させて、光半導体素子20と光導波路22を約5μm程度の距離にまで接近させる(S4)。同時に、光半導体素子20と光導波路22との間で所定以上の光結合が得られるように、微動台12,16により光半導体素子20と光導波路22を6軸(x,y、z軸と、x,y,z,軸の周りの回転)で調整する。例えば、光半導体素子20が発光素子の場合、光半導体素子20を発光させ、光導波路22の出力光をモニタする。モニタ結果の光パワーが最大になるように、光半導体素子20と光導波路22の相対的な位置と方向を調整する。
この後、図5に示すように、マウント18を防振台10上で、マウント14から引き離すz軸方向に直線移動させ、突起18b,18cの先端面部分に紫外線硬化樹脂24を塗布する(S4)。
図6に示すように、再び、マウント18を直線移動させて、光半導体素子20と光導波路22を約5μm程度の距離までに接近させる(S5)。このとき、紫外線硬化樹脂24が、マウント14に接触しなければ(S6)、マウント18をマウント14から再び離して、紫外線硬化樹脂24を補充する(S4)。
マウント14,18間に紫外線硬化樹脂24が多すぎる場合、マウント14,18を近づけると、硬化樹脂24がマウント14,18間からはみ出ることがある。しかし、本実施例では、凹み18aを設けてあるので、はみでた硬化樹脂24が、光半導体素子20と光導波路22の光結合のための空間に入りこむことは無い。
紫外線硬化樹脂24がマウント14,18を接着するのに十分な場合(S6)、図6に示すように、光半導体素子20の端面20aと光導波路22の端面22aの間にノズル26を使って流動性の透明樹脂28を滴下する(S7)。流動性の透明樹脂28は、毛細管現象により、光半導体素子20の端面20aと光導波路22の端面22aの間に入りこみ、そこに留まる。適切な粘度の透明樹脂28を使用することにより、特に下面に受け皿を設けなくても,透明樹脂28は、端面20a,22aの間に留まる。また、端面20a,22a間の下方向は、凹み18aによる開放空間になっているので、過剰に透明樹脂28を滴下しても、過剰分は凹み18aに流れ落ちるだけであり、容易に除去できる。
最後に、硬化樹脂24に紫外線を照射して硬化させる(S8)。これにより、マウント14とマウント18が固着する。必要により、透明樹脂28として、熱又は紫外線等により硬化する硬化樹脂を使用する。従来例は、光半導体素子20と光導波路22の間の空間だけでなく、その周囲を広く覆うように透明樹脂を配置したので、熱膨張により光半導体素子20又は光導波路22の劣化又は損傷をもたらしたが、本実施例では、ほとんど光半導体素子20の端面20aと光導波路22の端面22aの間にのみ透明樹脂28が存在するので、透明樹脂の熱膨張が光半導体素子20及び光導波路22にもたらす影響は軽微であり、光半導体素子20と光導波路22の劣化又は損傷も少ない。
このようにして、互いに固着されたマウント14,18を光半導体素子20及び光導波路22と一緒に、微動台12,16から外す。これにより、良好に光結合する状態で一体化された光半導体素子20と光導波路22からなる光デバイスを得ることができる。図8は、このように組み立てられた、光半導体素子20と光導波路22からなる光デバイスの平面図を示す。
透明樹脂28は、光半導体素子20のコアの屈折率と光導波路22のコアの屈折率の中間の屈折率のものであれば、両端面20a,22aでの反射を抑制できる。透明樹脂28は、光学的に透明で、使用する光導波路22の屈折率、例えば、石英導波路では屈折率1.48に近似した屈折率を有する流動性のある樹脂である。シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂及びアクリレート系樹脂などが、透明樹脂28として利用可能である。
透明樹脂28が流動性を有するものであっても、その粘度を、光半導体素子20と光導波路22との間の間隔に対して適切に設定することで、透明樹脂28が、光半導体素子20と光導波路22との間に留まるようにできる。図9は、透明樹脂28の粘度と、光半導体素子20と光導波路22間の間隔との関係を示し、図10は、粘度が小さい部分の拡大図を示す。図9及び図10で、横軸は、透明樹脂28の粘度(cP)を示し、縦軸は、光半導体素子20と光導波路22との間の間隔(μm)を示す。
光半導体素子20と光導波路22との間の間隔が実線で示す特性40よりも狭ければ、透明樹脂28は、光半導体素子20と光導波路22との間を満たした状態で留まり、光半導体素子20と光導波路22との間に低損失で良好な光結合を実現できる。破線で示す特性42よりも間隔が広いと、透明樹脂28は、光半導体素子20の端面20aと光導波路22の端面22aの間で完全に分離する。実線で示す特性40と破線で示す特性42の間の間隔の場合、透明樹脂28は、光半導体素子20と光導波路22との間で垂れ下がるようになり、光半導体素子20と光導波路22との間の光結合が不安定になりやすく、邪魔することもある。図9及び図10から、例えば粘度が250cPの透明樹脂を使用する場合、光半導体素子20の端面20aと光導波路22の端面22aの間隔を100μm以下にしなければならないことが分かり、20μmの間隔を完全に満たすには、粘度が86cP以上の透明樹脂を選択すべきであることが分かる。
硬化樹脂24は、例えばエポキシ樹脂からなり、エポキシ樹脂の中でも硬化時の収縮率と熱膨張率が小さいものが好ましい。
透明樹脂28を光半導体素子20と光導波路22との間で硬化させても良い。例えば、エポキシ系樹脂は、紫外線または熱により硬化可能である。透明樹脂28を硬化させても、透明樹脂28のほとんどは、光半導体素子20の端面20aと光導波路22の端面22aとの間に位置するので、容積が小さい。この結果、透明樹脂28が熱膨張しても、大きな応力が光半導体素子20又は光導波路22に印加されることはない。即ち、本実施例では、透明樹脂28を硬化させたとしても、光半導体素子20から発生する熱による透明樹脂28の熱膨張に起因する応力によって光半導体素子20が損傷又は劣化する可能性は低い。
透明樹脂28は、紫外線または熱により流動性が低下するものの、柔軟性を持つゲル状の樹脂であってもよい。
マウント14,18の凹み18aは、結局のところ、硬化樹脂24と透明樹脂28が混ざらないようにするものであり、そのような空間を形成する形状であればよい。凹み18aと凸部18b,18cの構成により、容易にこの目的を達成できる。
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の位置実施例の組立工程のフローチャートである。 本実施例の分解斜視図である。 本実施例の組立途中の側面図である。 本実施例の組立途中の側面図である。 本実施例の組立途中の側面図である。 本実施例の組立途中の側面図である。 本実施例の組立途中の側面図である。 本実施例の組立後の平面図である。 透明樹脂の粘度と間隔の関係を示す図である。 図9の拡大図である。
符号の説明
10:防振台
12:微動台
14:マウント
16:微動台
18:マウント
18a:凹み
18b,18c:凸部
18d,18e:小突起
20: 光半導体素子
22:光導波路
24:紫外線硬化樹脂
26:ノズル
28:透明樹脂

Claims (7)

  1. 第1のマウント(14)に固定される第1の光素子(20)と、
    第2のマウント(18)に固定される第2の光素子(22)と、
    当該第1の光素子(20)の光結合面(20a)と当該第2の光素子(22)の光結合面(22a)を対面するように当該第1及び第2のマウント(14,18)を固定する接着部材(24)と、
    当該第1及び第2の光素子(20,22)間の光結合部を満たす透明樹脂(28)
    とを具備し、
    当該第1の光素子(20)の当該光結合面(20a)が、当該第1のマウント(14)の、当該第2のマウント(18)に当該接着部材(24)により固定される面より飛び出ており、
    当該光結合部からはみ出る透明樹脂(28)が当該第2のマウント(18)に接しないようにする空間(18a)を当該第2のマウント(18)に形成してある
    ことを特徴とする光デバイス。
  2. 当該第2のマウント(18)が、当該空間(18a)の両側で当該第1のマウント(14)に向けて突出する凸部(18b,18c)を具備することを特徴とする請求項に記載の光デバイス。
  3. 当該透明樹脂が流動性樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光デバイス。
  4. 当該透明樹脂が硬化樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光デバイス。
  5. 第1のマウント(14)の所定端面より第1の光素子(20)の光結合面(20a)が飛び出た状態で当該第1のマウント(14)に当該第1の光素子(20)を固定する第1固定ステップ(S1)と、
    第2のマウント(18)に第2の光素子(22)を固定する第2固定ステップ(S2)と、
    当該第1及び第2の光素子(20,22)間の光軸が合うように当該第1及び第2の光素子(20,22)の少なくとも一方の位置と方向を調整する光軸調整ステップ(S3)と、
    当該第1及び第2のマウント(14,18)間に接着部材を挿入する接着部材挿入ステップ(S4,S5,S6)と、
    当該第1の光素子(20)の光結合面(20a)と当該第2の光素子(22)の光結合面(22a)の間の光結合部に透明樹脂(28)を挿入する透明樹脂挿入ステップ(S7)
    とを具備し、
    当該第2のマウント(18)が、当該光結合部からはみ出る当該透明樹脂(28)が当該第2のマウント(18)に接しないようにする空間(18a)を具備する
    ことを特徴とする光デバイスの製造方法。
  6. 当該透明樹脂が流動性樹脂からなることを特徴とする請求項に記載の光デバイスの製造方法。
  7. 当該接着部材が硬化樹脂からなり、当該透明樹脂挿入ステップの後に硬化されることを特徴とする請求項に記載の光デバイスの製造方法。
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