JP4453519B2 - 1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの湿式粉砕方法、呈色剤分散液及び該分散液を使用した感熱記録体 - Google Patents

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本発明は、感熱記録体に使用される呈色剤である1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンに関するものである。更に、1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンを使用した、環境の湿度変化に伴う感熱記録体の水分変化(含有水分率変化)による記録感度の変動が少ない感熱記録体に関するものである。
従来、ロイコ染料と呈色剤との熱による発色反応を利用した感熱記録体は良く知られている。かかる感熱記録体は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで且つその保守も比較的容易であるため、ファクシミリや各種計算機等の記録媒体としてのみならず超音波画像診断やX線画像診断等の医療診断用の記録媒体のほか、CAD用プロッター等の記録媒体としても使用されている。
感熱記録体の記録部の保存性を高めるために、ロイコ染料と疎水性有機溶剤とをポリウレアまたはポリウレタン等の疎水性樹脂からなる壁膜材によりマイクロカプセル化して得た複合粒子を用いる方法(特許文献1、2参照)、ロイコ染料をポリウレアまたはポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる疎水性樹脂中に含有せしめて得た複合粒子を用いる方法(特許文献3参照)、及びロイコ染料の表面にメタクリル酸エステル等のアクリル系疎水性樹脂を重合せしめて得た複合粒子を用いる方法(特許文献4参照)等が提案されている。
しかしながら、これらの感熱記録体は、記録体が使用される環境の湿度変化に伴う記録層中の含有水分率変化によって、記録感度が変化する(以下、単に「記録感度の湿度依存性」と称することがある)という難点を有している。具体的には、例えば環境の湿度上昇に伴い、感熱記録層中の含有水分率が高くなると、記録感度が高くなり、中間調領域において常に一定の記録濃度が得られ難いという欠点がある。このため、中間調領域の記録濃度が、環境の湿度変化に左右されることなく、常に一定していることが要求される医療診断用感熱記録体には、その改善が強く要請されている。
一方、画像の階調再現性や画像の保存性を高めるために、呈色剤として1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンを用いた感熱記録体(特許文献5、6、7)が提案されている。一般に、感熱記録体で使用される染料、呈色剤、増感剤等は、湿式粉砕により微粒子化して使用されるが、医療診断用に使用される感熱記録体では、記録体の透明性を上げるため、粒子のより微細化が進められる傾向にある。ところが、1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン粒子の微細化を進めると、分散液調製のための湿式粉砕中に分散液の流動性がなくなって粉砕が進まず、所望の粒子径が得られないという問題が生ずる。
特開昭60−244594号公報(請求項1) 特開昭61−086283号公報(請求項1) 特開平09−263057号公報(請求項1) 特開2000−158822号公報(請求項1、請求項7) 特開2003−001936号公報(実施例3) 特開2003−001946号公報(実施例2) 特開2003−001947号公報(実施例3)
本発明は、呈色剤である1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンを湿式粉砕して分散液を調製する場合、1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン分散液の流動性を保持し微細化する方法であり、更にこの分散液を使用し、環境の湿度変化に伴う感熱記録体の水分変化(含有水分率変化)による記録感度の変動が少ない感熱記録体を提供しようとするものである。
本発明は、呈色剤である1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの湿式粉砕において、1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの分散液を65℃以上に加温してから湿式粉砕することを特徴とするものである。
本発明の方法によれば、呈色剤である1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンを十分に湿式粉砕(平均粒子径0.5μm以下)することができ、微粒子の1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン分散液を容易に得ることができる。従って、本発明により得られた呈色剤分散液を用いることにより、環境の湿度変化に伴う感熱記録体の水分変化(含有水分率変化)による記録感度の変動が少ない感熱記録体を得ることができる。
本発明では、呈色剤である1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの湿式粉砕において、1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの分散液を65℃以上に加温してから湿式粉砕するものであり、温度の高いまま粉砕してもよく、加温後冷却してから湿式粉砕してもよい。加温する温度が65℃未満では、湿式粉砕中に分散液の流動性がなくなる恐れがあり、粒子径が小さくなり難くなる。尚、加温温度は粉砕効率や安全性を考慮すると、70〜80℃が好ましい。
1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの湿式粉砕時には、分散剤として各種保護コロイド剤や界面活性剤を使用することができる。具体的には、分散剤としてメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、変性デンプン、ゼラチン、アラビアガム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール誘導体、アセチレングリコール誘導体、ポリオキシエチレングリコール誘導体、アルキルスルホン酸塩、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩及びアルキルアミン塩などを用いることができる。これらは単一で、または2種類以上を組合せて使用することができる。上記分散剤は、好ましくは1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンに対して1〜50質量%の割合で使用される。
なお、分散液中の1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの平均粒子径としては、0.2〜0.5μmであり、0.2μm未満になると凝集を抑える効果が少なく、0.5μmを超えると医療診断用等の透明感熱記録体では透明性の低下の問題が発生する恐れがある。なお、ここでいう平均粒子径とは、島津レーザー回折式粒度分布測定装置(商品名:SALD−2000)での50%平均粒子径である。
感熱記録層用塗液としては、呈色剤である本発明の1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン分散液以外に、ロイコ染料、増感剤、バインダー、保存性改良剤、顔料などの各種助剤が配合されて調製される。
染料前駆体として使用されるロイコ染料は、トリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系化合物などの従来公知のものから選ぶことができる。即ち、具体例としては、例えば3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス[1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)]−3−p−ジエチルアミノフェニルフタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリドなどから選ばれる1種以上を用いることができる。
また、ロイコ染料は疎水性樹脂と複合粒子を形成した形態で使用することもできる。ロイコ染料を疎水性樹脂により複合粒子化させた形態とは、例えば、1種以上のロイコ染料と疎水性有機溶剤が樹脂膜により内包されてマイクロカプセル化された形態、1種以上のロイコ染料粒子の表面で疎水性樹脂を重合させた形態、または1種以上のロイコ染料が固体の樹脂粒子中に分散された形態を包含する。
呈色剤として、本発明の1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン以外に、発明の効果を阻害しない程度に他の呈色剤を組合せて使用することも可能である。このような呈色剤の例としては、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4′−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4′−メチルフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル等のフェノール化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸−p−クミルフェニルエステル、4,4’−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N−(o−トリル)−p−トリルスルホアミド、N−(p−トリルスルホニル)−N’−フェニル尿素等の分子内に−SONHCO−結合を有する化合物、p−クロロ安息香酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩などが挙げられる。
更に本発明においては、所望の効果を阻害しない範囲内で感熱記録層中に熱可融性物質(いわゆる増感剤)を併用することもできる。このような増感剤としては、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、12−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、イソフタル酸ジブチルエステル、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼンなどが挙げられる。
保存性改良剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等が挙げられる。
バインダーとしては、例えば、部分鹸化または完全鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン等の水溶性接着剤、並びに酢酸ビニル系ラテックス、ウレタン系ラテックス、アクリル系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス等が挙げられる。
各種助剤の例としては、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステル・ナトリウム塩、脂肪酸金属塩等の界面活性剤、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム等の顔料、グリオキザール、ホルマリン、グリシン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、ジメチロール尿素、ケテンダイマー、ジアルデヒド澱粉、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ケトン−アルデヒド樹脂、ホウ砂、ホウ酸、炭酸ジルコニウムアンモニウム、エポキシ系化合物等の耐水化剤、その他消泡剤、蛍光染料、着色染料等が挙げられる。
本発明に用いられる支持体は、紙、表面に顔料、ラテックスなどを塗工したコーテッド紙、ポリオレフィン系樹脂から作られた複層構造の合成紙、プラスチックフィルム、或いはこれらの複合体シートなどから選ぶことができる。
このようなシート状支持体の少なくとも1面上に、上記所要成分の混合物を含む塗布液を塗布し、乾燥して感熱記録層を形成し、感熱記録体を製造する。また、感熱記録層上に保護層が設けられていてもよい。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、特に断らない限り、及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
実施例1
呈色剤分散液B−1の調製
1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン(商品名:ビスフェノールP、三井化学社製)100部、10%の部分ケン化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−203、クラレ社製)水溶液200部からなる組成物を混合攪拌して70℃に加温した後、ウルトラビスコミル[アイメックス社]を用いて湿式粉砕を行い、平均粒子径が0.28μmの呈色剤分散液を得た。
実施例2
呈色剤分散液B−2の調製
実施例1の呈色剤分散液B−1の調製において、10%の部分ケン化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−203、クラレ社製)水溶液200部の代わりに、10%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ60SH−03、信越化学工業社製)水溶液200部を用いた以外は、実施例1と同様にして、平均粒子径が0.31μmの呈色剤分散液を得た。
実施例3
呈色剤分散液B−3の調製
実施例1の呈色剤分散液B−1の調製において、10%の部分ケン化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−203、クラレ社製)水溶液200部の代わりに、10%のスルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業社製)水溶液200部を用いた以外は、実施例1と同様にして、平均粒子径が0.29μmの呈色剤分散液を得た。
実施例4
呈色剤分散液B−4の調製
1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン(商品名:ビスフェノールP、三井化学社製)100部、10%の部分ケン化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−203、クラレ社製)水溶液200部からなる組成物を混合攪拌して90℃に加温した後室温に冷却し、その後ウルトラビスコミル[アイメックス社]を用いて湿式粉砕を行い、平均粒子径が0.28μmの呈色剤分散液を得た。
実施例5
・A液(複合粒子分散液)の調製
ロイコ染料として3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン11部、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン6部、及び3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド5部と、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン10部とを、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製、デスモジュールW)2部、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、TMXDI)12部からなる混合溶媒に加熱溶解(150℃)し、この溶液をポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバールPVA−217EE)8.5部と、界面活性剤としてアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(日信化学社製、オルフィンE1010)1.5部を含む水溶液100部中に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数10000rpmの攪拌によって乳化分散した。この乳化分散液に、水30部、多価アミン化合物(シェル・インターナショナル・ペトロリウム社製、エピキュアT)2.5部を水22.5部に溶解した水溶液を加えて均一化した。この乳化分散液を75℃に昇温し、7時間の重合反応を行い、平均粒子径0.8μm(レーザー光回折法による)のロイコ染料含有複合粒子分散液を調製した。なお、ロイコ染料含有複合粒子分散液が25%となるように水で希釈した。
感熱記録層用塗液の調製
A液100部、B−1液80部、ステアリン酸アミドの30%分散液70部、固形分濃度48%のスチレン−ブタジエン系ラテックス(スマーテックスPA−9280、日本A&L社製)46部、及び水30部からなる組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
保護層用塗液の調製
アイオノマー型ウレタン系樹脂ラテックス[大日本インキ化学工業社製、ハイドラン(登録商標)AP−30F、固形濃度20%]100部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール[日本合成化学工業社製、ゴーセファイマー(登録商標)OKS−3431、重合度:約2300、鹸化度:約98モル%]の8%水溶液500部、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリンの25%水溶液5部、平均粒子径0.8μmのカオリン(エンゲルハード社製、UW−90)の60%スラリー50部、ステアリン酸アミド(中京油脂社製、ハイミクロンL−271、固形濃度25%)26部、ステアリルリン酸エステルカリウム塩(松本油脂製薬社製、ウーポール1800、固形濃度35%)4部、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物[セイミケミカル社製、サーフロン(登録商標)S−145]の10%水溶液15部、及び水300部からなる組成物を混合攪拌して保護層用塗液を得た。
感熱記録体の作製
青色透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:メリネックス912、厚さ175μm、帝人デュポン社製)の片面上に、感熱記録層用塗液をスロットダイコーターを用いて乾燥後の塗布量が20g/mとなるように塗布乾燥して感熱記録層を設け、その上に保護層用塗液をスロットダイコーターを用いて乾燥後の塗布量が3.5g/mとなるように塗布乾燥して保護層を設け感熱記録体を得た。
比較例1
実施例1の呈色剤分散液B−1の調製において、加温を行わなかった以外は、実施例1と同様にして湿式粉砕を行ったが、30分程で分散液の流動性がなくなり、粉砕が進まなくなった。この時の粒子径は1.5μmであった。
比較例2
実施例1の呈色剤分散液B−1の調製において、加温する温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にして、湿式粉砕を行ったが、40分程で分散液の流動性がなくなり、粉砕が進まなくなった。この時の粒子径は1.2μmであった。
比較例3
実施例の感熱記録層用塗液の調製において、B−1液80部の代わりに比較例2で得た呈色剤分散液80部を用いた以外は、実施例と同様にして感熱記録体を得た。
比較例4
実施例の感熱記録層用塗液の調製において、B−1液80部の代わりに下記のB−5液80部を用いた以外は、実施例と同様にして感熱記録体を得た。
呈色剤分散液B−5の調製
4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン100部、10%の部分ケン化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−203、クラレ社製)水溶液200部からなる組成物を混合攪拌した後、加温を行わず、ウルトラビスコミル[アイメックス社]を用いて湿式粉砕を行い、平均粒子径が0.30μmの分散液を得た。
かくして得られた感熱記録体について以下の評価を行い、その結果を表1に示す。
(記録感度)
感熱記録体を温度23℃湿度20%の環境下と温度23℃湿度50%の環境下で24時間放置後、各環境下で感熱印字プリンターUP−DF500(ソニー社製)を用いて階調モードにて記録し、温度23℃湿度50%の環境下では全16階調の9及び16階調目の記録部の濃度を測定した。また、温度23℃湿度20%の環境下では9階調目の記録部の濃度を測定した。記録部の濃度はマクベス濃度計(商品名:TR−927J型マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。


(ヘイズ値の測定)
感熱記録体のヘイズ値をヘイズメーター(TC−H 4型、東京電色社製)で測定した。
Figure 0004453519
呈色剤である1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンを湿式粉砕して分散液を調製する場合、1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンと分散バインダーを主成分とする呈色剤分散液を65℃以上に加温してから湿式粉砕し、流動性を保持しながら微細化を行い、この分散液を使用することにより、環境の湿度変化に伴う感熱記録体の水分変化(含有水分率変化)による記録感度の変動が少ない感熱記録体が提供でき、医療用透明感熱記録体などにも適用できる。

Claims (3)

  1. 1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンと分散バインダーを主成分とする呈色剤分散液を65℃以上に加温してから湿式粉砕することを特徴とする1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの湿式粉砕方法。
  2. 1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンと分散バインダーを主成分とする呈色剤分散液を65℃以上に加温してから湿式粉砕して得られ、前記呈色剤分散液の平均粒子径が0.2〜0.5μmであることを特徴とする1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン分散液。
  3. 支持体の少なくとも片面上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、呈色剤として、請求項2に記載の1,4−ビス[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンと分散バインダーを主成分とする呈色剤分散液を使用したことを特徴とする感熱記録体。
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