JP4451829B2 - トレンチウォールカッタ - Google Patents

Description

本発明は、トレンチウォールカッタ（Trench wall cutter）に関し、詳細には、地盤等に所定の深さの溝（Trench）を掘削して、地中に連続するトレンチ壁（Trench wall）を形成するトレンチウォールカッタの構造に関する。

地盤等に所定の深さの溝（Trench）を掘削して、地中に連続するトレンチ壁を形成する機械として、トレンチウォールカッタ（Trench wall cutter）がある。トレンチウォールカッタは、一般的に、カッティングフレームと、カッティングフレーム上に設置された軸受けプレートまたはブラケットと、軸受けプレート上に回転可能に設置された少なくともひとつのカッティングホイールと、カッティングフレームに、軸受けブラケットから離して取り付けられた駆動装置と、軸受けブラケット内に設置された歯車またはトランスミッションと、駆動トルクを軸受けブラケット内のトランスミッションに伝える駆動シャフトとを備えている。

上記の特徴を有するトレンチウォールカッタとしては、たとえば、下記の特許文献１に記載のものが従来から知られている。このトレンチウォールカッタは、駆動装置を、軸受けブラケットから、カッティングホイールとは離れた位置にあるカッティングフレーム上に移動させることにより、コンパクトなトレンチウォールカッタが実現されている。駆動装置の駆動トルクを、軸受けブラケット内のトランスミッション（動力伝達装置）または歯車に伝えるために、比較的長い駆動シャフトが用いられている。

駆動シャフトの下側の軸受けは、ギアボックス内のトランスミッション用オイルで潤滑される。軸受けブラケット内のトランスミッションと駆動装置との間の距離を長くした結果、駆動シャフトの上側の軸受けは、軸受けブラケット内のギアボックスからの潤滑剤によって直接潤滑することができない、あるいはほとんどできない。不十分な潤滑による軸受けの磨耗が増大する虞がある。

シールや軸受けが潤滑されない状態での作動（dry running）は避けなければならない。なぜなら、シールが機能しなくなり、掘削されたトレンチ内にこれを支持するために配置されるサスペンションが、トレンチウォールカッタのトランスミッションと駆動装置を貫通して抜けてしまう可能性があるからである。このような出来事が発生することによって生じる、トランスミッションと駆動装置の水抜きのために必要となる追加コストとは別に、非常に不利な場合においては、トレンチウォールカッタが損傷を受けかねない。

しかしながら、メンテナンスを目的とした軸受けやシールの交換の際にも、トレンチウォールカッタを分解する必要があり、この間はトレンチウォールカッタが使用できない。また、このようなメンテナンス時期が掘削中に発生し、その結果、掘削を中断しなければならない場合、トレンチウォールカッタを掘削されたトレンチから外へ移動させ、メンテナンスを行ってから、再びトレンチの中に入れなければならないことも問題である。

前述のようなトレンチウォールカッタの場合、永久的に潤滑される軸受けが利用されるか、駆動シャフトの上側先端領域にある可動部分とそのシールについては、グリースによる別の潤滑手段が設置される。しかしながら、この場合、短い周期で軸受けとシールのチェックと交換を行わなければならないため、メンテナンスコストが増大する。また、トレンチウォールカッタの操作にかかるコストも増大し、その有効な使用期間が短縮されてしまうことにもなる。

欧州特許第０８４８１１２号明細書

そこで、本発明の目的は、メンテナンスコストが特に低いトレンチウォールカッタを提供することである。

本発明のトレンチウォールカッタは、カッティングフレームと、カッティングフレームに設置された軸受けブラケットと、軸受けブラケット上に回転可能に取り付けられた少なくともひとつのカッティングホイールと、カッティングフレームに、軸受けブラケットから離して設置される駆動装置と、軸受けブラケット内に設置されるトランスミッションと、駆動装置のトルクを軸受けブラケット内のトランスミッションに伝達する駆動シャフトと、
を備えるトレンチウォールカッタであって、駆動シャフトは、少なくとも部分的に、駆動装置の方向に潤滑剤を供給するため供給用の螺条（thread）として構成された雄ねじを有する。

本発明によれば、ギアボックスから駆動装置に延びる駆動シャフトを通じて、ギアボックスから、駆動装置の駆動シャフトへの取り付け部分の潤滑されるべき部材に潤滑剤を供給することができる。このために、駆動シャフトは、駆動シャフト回転中に潤滑剤を供給するための供給用螺条として使用される雄ねじを備えて構成される。軸受けブラケット内のトランスミッションから、駆動装置と駆動シャフトとの間の接合部において、駆動装置の方向に潤滑剤が給送供給される結果、永久的に潤滑される軸受けやグリースによる別の潤滑は不要となる。その結果、必要なメンテナンス期間を大幅に増大させることができる。また、軸受けまたはシールを潤滑されない乾燥した状態で作動させることによる危険性が基本的に防止される。トレンチウォールカッタの有効作動期間、ひいてはその稼働率も増大する。

軸受けやシールを潤滑するのにグリースを使用することは基本的に可能であるが、このためにはトランスミッションオイルやギアオイルが特に適している。グリースやその他の潤滑剤を使用する場合、駆動シャフトの供給用螺条を通じた潤滑剤の給送供給はより難しく、潤滑剤の粘度に大きく依存する。したがって、軸受けブラケット内のトランスミッションの中にあるトランスミッションオイルを使用することが特に有利である。その結果、第二の異なる潤滑剤（潤滑液）を使用する必要がない。また、他の潤滑剤を保管する領域も不要となる。

好ましくは、駆動シャフトの上側端に、潤滑剤をさらに拡散させるための拡散機構が設置される。この拡散機構は、駆動シャフトを通じて供給される潤滑剤を散布する。このようにして、駆動装置上に設置されたシールと軸受けおよび駆動シャフトの上側領域のすべてに潤滑することが可能となる。拡散機構は、駆動シャフト上の散布用突起またはエッジによって構成することができる。

また好ましくは、潤滑剤をさらに拡散させる拡散機構には歯状の突起構造（Tooth system）が設けられる。この歯状突起構造は、駆動シャフトへの駆動トルクの伝達と潤滑剤拡散の両方に使用できる。これは、非常に単純な方法で実現される。なぜなら、駆動トルクの伝達のために、駆動シャフトに運動が与えられ、潤滑剤が回転と連結スリーブ内の歯状突起構造を通じて拡散されるからである。この歯状の突起構造がトルク伝達にも使用されるという事実により、潤滑剤を拡散するために、連結スリーブに別の構成部品を設置する必要がない。

駆動シャフトの供給用螺条を通じて、軸受けブラケット内のトランスミッションから散布された潤滑剤を駆動方向に給送することは、基本的に可能である。しかしながら、十分な量の潤滑剤を駆動方向に高い信頼性をもって給送することは非常に困難である。潤滑剤のための容器を設け、その中に、駆動シャフトの雄ねじの下側端を延ばすことにより、非常に単純な方法で、必要最小限の潤滑剤給送量が確保される。この容器により、監視装置を追加することなく、駆動装置の方向に十分な量の潤滑剤を継続的に給送することが可能となる。これはさらに、シールまたは軸受けの潤滑されない状態での摩擦による損耗の危険性を低減させる。

また好ましくは、駆動装置の駆動側付近に、少なくともひとつの軸受け、特にロールベアリングを設置し、駆動シャフトをその少なくともひとつの軸受けに潤滑するように構成する。駆動シャフトを通じて軸受けブラケットから給送され、拡散される潤滑剤で軸受けに潤滑することにより、頻繁なメンテナンスが必要となる軸受けのグリースによる潤滑が不要となる、あるいは簡素化される。さらに、やはりコストとメンテナンス作業を増やすことになる自己潤滑式軸受けも不要となる。

また好ましくは、駆動装置の駆動側のある領域に、少なくともひとつのシール、特にスライディングシールを設置し、駆動シャフトをその少なくともひとつのシールで潤滑するよう構成する。軸受けブラケットのギアボックスから駆動シャフトの雄ねじを通じた潤滑剤の給送と拡散機構による潤滑剤の拡散により、頻繁なメンテナンスが必要となる駆動装置の駆動側付近にあるシールへのグリースによる潤滑は不要となる。その結果、シールの潤滑を確認するための定期的な監視の必要頻度が減る。支持用のサスペンションが掘削された溝から貫通して抜けてしまう危険性も、シールの継続的な潤滑によって低減する。

また特に好ましいトレンチウォールカッタは、駆動装置と駆動シャフトの間に連結スリーブが設置され、連結スリーブの外側には少なくともひとつの軸受けおよび／または少なくともひとつのシールが設けられることを特徴とする。このような設計構造にした結果、まず、掘削された溝内のサスペンションに関して、連結スリーブと駆動装置の間において特に良好な密封状態が得られ、第二に、軸受けにより、連結スリーブを、駆動装置と駆動シャフトまわりに、安定且つ低摩擦の状態で取り付けることができる。これにより、トレンチウォールカッタの駆動装置、連結スリーブ、駆動シャフトの耐久性が増す。

本発明によれば、駆動シャフトを通じて、ギアボックスから駆動装置の駆動シャフトへの取り付け部分の潤滑されるべき部材に潤滑剤を供給することができ、トレンチウォールカッタのメンテナンスにかかるコストを低減することができる。

本発明の好適な実施形態を、図を用いて以下に詳しく説明する。

トレンチウォールカッタ１０’の基本的構造を図１に示す。カッティングホイールシャフト１３によって駆動される一対のカッティングホイールハブ１９は、軸受けブラケット１２に配置されている。カッティングホイールは、カッティングホイールハブ１９に取り外し可能に固定することができる。かさ歯車駆動装置１４は、軸受けブラケット１２の中に設置され、軸受けブラケット１２は、複数のプレートから構成されている。駆動シャフト１３は、クラウンホイール１５に連結され、クラウンホイール１５は、クラウンホイール軸受け１６によって軸受けブラケット１２に回転可能に保持される。クラウンホイール１５は、駆動ピニオン１７と噛み合い、駆動ピニオン１７の回転軸は、カッティングホイールシャフト１３に対してほぼ垂直に延びている。駆動ピニオン１７は、２つのピニオン軸受け１８によって軸受けブラケット１２の中に回転可能に取り付けられる。

軸受けブラケット１２をできるだけ小さくするために、図示しない駆動装置は、軸受けブラケット１２より上方のカッティングフレーム４０に配置される。駆動ピニオン１７は、第一の耐トルク性（torque proof）のジョイント２３によって、駆動シャフト２０’に連結されている。なお、駆動シャフト２０’は、駆動ピニオン１７に対して、その中央から平行に、駆動装置に向かって上方に延びている。変速装置またはギアプレート２１’によって液が漏れないように、いわゆる液密状態で囲まれている、駆動シャフト２０’の上側端に、第二の耐トルク性ジョイント２４’が設置されている。なお、ジョイント２４’は、本実施例の場合、キーとキー溝（slot）により接続される。キー及びキー溝は、結合部品３１との連結に使用され、これを介してトルクは、駆動装置から駆動シャフト２０’に伝えられる。駆動シャフト２０’は、カッティングフレーム４０に、駆動シャフト軸受け２２を介して回転可能に取り付けられ、軸受け２２は、軸受けハウジング３０の中に液密状態で配置される。最後に、カッティングフレーム４０の上に、柄３２が設置され、これによってトレンチウォールカッタ１０’を運ぶことができる。

図１と共に説明され、アポストロフィのついていない符号が付された構成部品は、本発明のトレンチウォールカッタ１０に、大きな変更を加えずに設けることができる。

図２には、本発明のトレンチウォールカッタ１０を示す。駆動シャフト２０には、軸受けブラケット１２の下側端に湾曲した歯を有する連結部２５が設けられる。一方、駆動シャフト２０の上側端には、拡散機構（distributing device）が固定される。駆動シャフト２０は、駆動シャフト２０の雄ねじ４４に隣接するギアプレート２１内に設置される。トレンチウォールカッタ１０の変速装置またはギアのオイル液面は、駆動シャフト２０の下側端まで達する。駆動シャフト２０に雄ねじ４４があることから、対応する回転を通じて、変速装置オイルを変速装置から駆動装置４８の方向に供給することが可能となる。

駆動シャフト２０を通じて運ばれるオイルは、連結スリーブ４６内の拡散機構２４によってシャフト２０の径方向に放射状に噴霧される。このために、拡散機構２４は、噴霧用のエッジ（spray edge）を有する。図示の形態において、拡散機構２４はまた、径方向外側に湾曲した歯状突起機構を備える部品として構成されている。潤滑剤を放射状に噴霧することにより、連結スリーブ４６の玉軸受け４９には、十分な潤滑剤が供給される。スリップリングシール５０もまた、潤滑剤の噴霧によって潤滑切れによる乾燥が予防される。連結スリーブ４６は、駆動装置４８の駆動モータシャフト４７を駆動シャフト２０に連結する。駆動装置４８と連結スリーブ４６はどちらも、カッティングフレーム４０の中で保護される。余剰の潤滑剤は、上側領域から、リングダクト（ring duct）２７と戻し穴２８を介して下に向かって変速装置まで導かれ、ここで冷却される。

本発明のトレンチウォールカッタによれば、そのメンテナンスにかかるコストは大幅に削減される。

トレンチウォールカッタの側面部分断面図である。 本実施形態のトレンチウォールカッタの拡大断面図である。

符号の説明

１０，１０’ トレンチウォールカッタ、１２ 軸受けブラケット、１３ カッティングホイールシャフト、１４ かさ歯車駆動装置、１５ クラウンホイール、１６ クラウンホイール軸受け、１７ 駆動ピニオン、１８ ピニオン軸受け、１９ カッティングホイールハブ、２０，２０’ 駆動シャフト、２１，２１’ 変速装置／ギアプレート、２２ 駆動シャフト軸受け、２３ 第一のジョイント、２４ 拡散機構、２４’ 第二のジョイント、２５ 湾曲歯状結合、２７ リングダクト、２８ 戻し穴、３０ 軸受けハウジング、３２ 柄、４０ カッティングフレーム、４４ 雄ねじ、４６ 連結スリーブ、４７ モータシャフト、４８ 駆動装置、４９ 玉軸受け、５０ スリップリングシール。

Claims (7)

1. カッティングフレームと、
   前記カッティングフレームに設置された軸受けブラケットと、
   前記軸受けブラケット上に回転可能に取り付けられた少なくともひとつのカッティングホイールと、
   前記カッティングフレームに、前記軸受けブラケットから離して設置される駆動装置と、
   軸受けブラケット内に設置されるトランスミッションと、
   前記駆動装置のトルクを軸受けブラケット内の前記トランスミッションに伝達する駆動シャフトと、
   を備えるトレンチウォールカッタであって、
   前記駆動シャフトは、前記駆動装置の方向に潤滑剤を供給する供給用螺条として構成された雄ねじを有し、
   前記トランスミッション内の潤滑剤の液面はドライブシャフトの下端にあり、
   前記ドライブシャフトの雄ねじは、前記トランスミッション内の潤滑剤の液面から拡散機構まで潤滑剤を運ぶように構成され、
   前記拡散機構は、ドライブシャフトの上端に設けられており、
   前記拡散機構は、ドライブシャフト上に設けられるとともに前記ドライブシャフトの回転により潤滑剤を放射状に散布する突起またはエッジにより構成される、
   こと特徴とするトレンチウォールカッタ。
2. 請求項１に記載のトレンチウォールカッタであって、
   給送供給された潤滑剤は、前記軸受けブラケット内の前記トランスミッションからのトランスミッションオイルであることを特徴とするトレンチウォールカッタ。
3. 請求項１に記載のトレンチウォールカッタであって、
   前記拡散機構は、歯状に突起した構造を有することを特徴とするトレンチウォールカッタ。
4. 請求項１に記載のトレンチウォールカッタであって、
   潤滑剤の容器が設置され、駆動シャフトの前記雄ねじの少なくとも下側端がその中に延びることを特徴とするトレンチウォールカッタ。
5. 請求項１に記載のトレンチウォールカッタであって、
   前記駆動装置の駆動側の領域において、少なくともひとつの軸受け、特にローラーベアリングが設置され、前記駆動シャフトは、前記少なくともひとつの軸受けを潤滑するように構成されていることを特徴とするトレンチウォールカッタ。
6. 請求項１に記載のトレンチウォールカッタであって、
   前記駆動装置の駆動側の領域において、少なくともひとつのシール、特にスリップリングシールが設置され、前記駆動シャフトは前記少なくともひとつのシールを潤滑するように構成されていることを特徴とするトレンチウォールカッタ。
7. 請求項５に記載のトレンチウォールカッタであって、
   前記駆動装置と前記駆動シャフトとの間に、連結スリーブが設けられ、その外側には、前記少なくともひとつの軸受けおよび／または前記少なくともひとつのシールが配置されることを特徴とするトレンチウォールカッタ。

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