JP4451510B2 - 被膜形成方法及び装置、ハードディスクの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばコンピュータの記憶媒体であるハードディスクの表面を覆う潤滑剤被膜を均一にかつ効率よく形成することを目的とした被膜形成方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来コンピュータの記憶媒体であるハードディスクは、コンピュータの動作時の高速回転の摩耗及び回転むらを防止するため、潤滑剤(油)で表面を覆っている。該潤滑剤は、主として炭素、フッ素、酸素の3原子よりなる、熱的及び化学的に極めて安定したものが使用されている。
【0003】
この種の潤滑剤被膜の形成方法としては、潤滑剤溜に直接ハードディスクを浸して被膜を形成させるディップ法が知られている(図2)。
【0004】
【発明により解決しようとする課題】
前記従来法のディップ法は、ハードディスクを潤滑剤に漬けてから引上げる為、ハードディスク面内で、上方と下方で被膜の厚さが不均一になる問題点があった。また工程中に混入した不純物が潤滑剤溜に蓄積され、これが潤滑剤被膜中に混入してしまうことによる欠陥が生じることがあり、ハードディスク製品の歩溜りを低下させるという問題点があった。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
この発明は、ハードディスク上に潤滑剤被膜を形成するにあたって、従来のデップ法に代えて、蒸着技術を応用したものであり、潤滑剤の蒸気によって所望の潤滑剤被膜をハードディスク上に形成することとしたものである。
【0006】
即ち本願が提案する方法の発明は、減圧下において、蒸発皿を加熱して当該蒸発皿上に滴下されている液状蒸発物の蒸発面積を拡大させ、あるいは、蒸発皿を加熱しつつ回転させて当該蒸発皿上に滴下されている液状蒸発物の蒸発面積を円形状に拡大させ、次いで蒸発皿を更に加熱して前記液状蒸発物を蒸発させ、前記蒸発皿の上方に配置されているハードディスク上に凝縮させて被膜を形成することを特徴とした被膜形成方法である。
【0007】
前記において、液状蒸発物は室温で高い粘性を有する液状高分子試料であって、例えば、炭素−フッ素結合を有する潤滑油(潤滑剤)とすることができる。そこで、液状蒸発物が滴下された蒸発皿を加熱して、あるいは加熱しつつ回転させて液状蒸発物の蒸発面積、すなわち、液状蒸発物と蒸発皿表面との接触面積を、均一に拡大させるのをより効率よく行わせるために、液状蒸発物を蒸発皿上に滴下によって供給する際に、当該液状蒸発物の粘度が低下し、その流動性が増大する程度に、液状蒸発物を加熱しながら供給することが望ましい。
【0008】
また本願が提案する装置の発明は、排気手段を備えた減圧容器内で、
加熱手段が付設されている蒸発皿と、あるいは、回転手段を備えた支持体上に設置されていると共に加熱手段が付設されている蒸発皿と、
回転手段に架設され、前記蒸発皿に対向している基板支持体と、
前記蒸発皿と前記基板支持体との間に、流量調節手段及び加熱手段が付設されている液状蒸発物の導入パイプ端を臨ませた構成である被膜材料供給部と、
停止状態の前記蒸発皿を所定の温度に維持する工程と、停止状態の前記蒸発皿に加熱された前記被膜材料を供給する工程と、前記蒸発皿を更に加熱して前記被膜材料の蒸発面積を拡大させる工程と、を制御するコントローラ、あるいは、停止状態の前記蒸発皿を所定の温度に維持する工程と、停止状態の前記蒸発皿に加熱された前記被膜材料を供給する工程と、前記支持体を回転させ、その回転速度を徐々に上げその後に所定の回転数に維持する工程と、前記蒸発皿を更に加熱して前記被膜材料の蒸発面積を拡大させる工程と、を制御するコントローラと、
を有することを特徴とする被膜形成装置である。
【0009】
前記において、導入パイプの加熱手段は、導入パイプに近接設置したヒータ、例えば、シーズヒータとすることができる。
【0010】
前記において、蒸発皿を回転させるのは、蒸発皿を供給された液状蒸発物(液状潤滑剤)の流動性が増す所定の温度に加熱しつつ回転させることによって、液状蒸発物(液状潤滑剤)を、蒸発皿上に円形状に、しかも均一に拡大させ、これによって蒸発皿表面を広く均一に濡らすことを可能とし、その後、蒸発皿を更に加熱して液状蒸発物(液状潤滑剤)を蒸発させる際に、円形状により大きく、かつ均一に拡大された加熱面積(あるいは蒸発面積)(すなわち、液状蒸発物と蒸発皿表面との接触面積)を確保し、蒸発効率の向上と、蒸発分布(放射分布)の均一化とを図るためである。
【0011】
本発明によれば、蒸発皿を加熱することにより、あるいは蒸発皿を加熱しつつ回転させることにより、蒸発皿上で均一に拡大された蒸発面積、好ましくは蒸発皿上で円形状に、しかも均一に拡大された蒸発面積を確保することができるので、ここで、蒸発皿を液状蒸発物が蒸発する温度へと更に加熱することによって、一気に液状蒸発物を蒸発させれば、蒸発皿の上方に、広くかつ蒸発分布(放射分布)の均一な半球面状の領域が形成される。
【0012】
なお、蒸発皿を加熱しつつ回転させる構成とする場合には、蒸発物(潤滑剤)固有の粘性、もしくは濡れ性、または、蒸発物が受ける遠心力等を考慮し、回転による蒸発面の拡大を効率よく実現するため、該蒸発皿の底面の中心部を外周部に比べ、緩やかな傾斜面、もしくは曲面により深くすることもできる。
【0013】
また、蒸発皿は、万一の場合の誤操作に備えて、蒸発物の飛散防止用として、外周部に縁を設けることもできる。
【0014】
前記発明において、減圧容器内は、ほぼ7.0×10−4Pa〜133Paの減圧下に保っておく。
【0015】
また、蒸発皿を加熱する温度は200℃〜300℃程度であり、蒸発皿の回転数は、数十rpm〜数百rpmである。
【0016】
ただし、要は蒸発皿の上に供給された室温で高い粘性を有する液状高分子試料であるところの液状蒸発物(液状潤滑剤)を、蒸発皿上に円形状に、しかも均一に拡大させ、蒸発皿表面を広く均一に濡らすことを可能とし、蒸発皿を更に加熱して液状蒸発物(液状潤滑剤)を蒸発させる際に、より大きな蒸発面積を確保することを目的とするものであるから、個々の蒸発物(潤滑剤)固有の特性と滴下量を考慮することで、前記回転数及び加熱温度を適宜選定する。
【0017】
【実施例1】
添付図面を用いて被膜形成方法の発明を説明する。
【0018】
まず、減圧容器1を大気圧状態にし、ハッチ8開けて、ディスク基板5が固定された基板支持体10を減圧容器1内に装着する。
【0019】
減圧容器1を排気系12を介して所定の圧力に排気し、加熱電源7により、加熱源6を通電し、蒸発皿14を200℃に加熱し、回転を停止した状態を維持させる。なお、この時、減圧容器1の内壁への付着防止のため、減圧容器1は、250℃近くになるように加熱することが望ましい。
【0020】
この状態で、保温状態にある潤滑剤溜2よりバルブ3を開け、保温状態にしてある液状蒸発物(液状潤滑剤)の導入パイプ4を介して、200℃に保温し、かつ停止状態にある蒸発皿14上へ液状蒸発物(液状潤滑剤)を供給する。蒸発物の供給量は、基板支持体10に取付けたディスク基板5に被膜形成させるのに足る量(数グラム〜数十グラム程度)とする。この実施例では、液状蒸発物(液状潤滑剤)、すなわち室温で高い粘性を有する液状高分子試料として炭素−フッ素結合を有する潤滑油を用いた。
【0021】
前記のようにして液状蒸発物(液状潤滑剤)を蒸発皿14上に供給した後、円形状に蒸発面積を拡大させるため、蒸発皿14を回転させ、徐々にその回転速度を上げる。蒸発皿14上で円形状に拡大した液状蒸発物(液状潤滑剤)の面積、すなわち蒸発面積の半径が、蒸発皿14の半径の3分の2を超えた時点で、回転速度を一定にし、加熱源6の通電量を増加させることにより、蒸発皿14を250℃まで加熱し、一気に液状蒸発物(液状潤滑剤)を蒸発させる。蒸発した液状蒸発物(液状潤滑剤)は、上方の基板支持体10に固定されているディスク基板5の上に凝縮され、潤滑剤被膜が形成される。
【0022】
このとき、基板支持体10は、一定速度で回転させておいた方が、ディスク基板5上における被膜形成状態を均一にする上で好ましい。
【0023】
この実施例では、200℃に加熱された蒸発皿14上に液状蒸発物(液状潤滑剤)を滴下した後に、当該蒸発皿14を加熱しつつ回転させ、液状蒸発物の蒸発面積を円形状に拡大させたが、蒸発皿14を回転させなくても、液状蒸発物の固有の特性(主に、熱に対する粘度の変化、蒸発皿14との濡れ性など)ゆえに、蒸発皿14を加熱するのみで、蒸発皿14を回転させた場合と同じように、液状蒸発物が蒸発皿14上で均一に拡大され、これによって蒸発皿14の表面が均一に濡らされ、蒸発皿14を250℃まで加熱して一気に液状蒸発物を蒸発させる際に、より大きな蒸発面積を確保できることが予め分かっている液状蒸発物(液状潤滑剤)を用いる場合には、蒸発皿14を回転させないで被膜形成を行うことも可能である。蒸発皿14を加熱しつつ回転させるのは、蒸発皿14上に滴下された液状蒸発物(液状潤滑剤)の粘度を加熱によって下げて流動性を増大させると共に、回転運動による遠心力を与えて、円形状に拡大された均一な蒸発面積を簡単、円滑に確保することを目的としているので、蒸発皿14を回転させなくとも、蒸発皿14を加熱するのみでこの目的が達成されるならば、蒸発皿14を回転させる必要がなくなるからである。
【0024】
この場合には、前記のような固有の特性が判明している液状蒸発物(液状潤滑剤)を蒸発皿14上へ供給し、好ましくは蒸発皿14上での蒸発面積の拡大を円滑に行わせるべく、液状蒸発物の粘度が下がり、流動性が増大して、滴下した蒸発皿14上で円滑に蒸発面積の拡大が行われ得るような所定の温度にまで加熱しつつ蒸発皿14上へ供給し、蒸発皿14を加熱して液状蒸発物の蒸発皿14上における蒸発面積が所定の大きさ(例えば、蒸発皿14の半径の3分の2くらいの円形状面積になる大きさ)になった時点で、蒸発皿14の加熱温度を、当該液状蒸発物の蒸発する温度(蒸発温度)にまで更に加熱して、液状蒸発物を一気に蒸発させ、蒸発皿14の上方向に配置されているディスク基板5上に凝縮させて被膜を形成させることになる。
【0025】
ただし、蒸発皿14を加熱しつつ回転させれば、蒸発皿14上の液状蒸発物に回転による遠心力が加えられるため、液状蒸発物は蒸発皿14上で円形状に拡大される。液状蒸発物を蒸発皿14上で均一に拡大させて蒸発皿14の表面を均一に濡らし、蒸発皿14が液状蒸発物の蒸発温度にまで加熱された際に、蒸発皿14の上方向に、広くかつ蒸発分布(放射分布)の均一な半球面状の領域を形成させてディスク基板5上に均一な被膜を形成させる上では、液状蒸発物を蒸発皿14上で円形状に拡大させることが望ましいので、一般的には、この実施例で説明したように、蒸発皿14を加熱しつつ回転させることが望ましい。
【0026】
また、この実施例においては、所定の蒸発面積に達した時点で、蒸発皿14の回転速度を一定にし、ここで、蒸発皿14をそれまでの加熱温度より更に加熱して液状蒸発物の蒸発する温度(蒸発温度)とし、蒸発皿14上に滴下されていた液状蒸発物を一気に蒸発させたが、蒸発皿14を液状蒸発物の蒸発温度にまで加熱し、一気に液状蒸発物を蒸発させる際には、円形状に均一に拡大されたより大きな蒸発面積を確保できていればよいので、これが確保されていれば、所定の蒸発面積に達した後に、蒸発皿14の回転速度を一定とせずに、それまでと同じく回転速度が徐々に上がるように蒸発皿14を回転させ続けておいてもよいし、逆に、蒸発皿14の回転速度が徐々に低下するように蒸発皿14に加える回転駆動力を制御してもよい。すなわち、この発明において、蒸発皿14を加熱しつつ回転させて蒸発皿14上に滴下された液状蒸発物の蒸発面積を円形状に拡大させるとは、この実施例で説明したように、蒸発皿14を加熱しつつ回転させて、蒸発面積が所定の大きさになった時点以降、蒸発皿14の回転速度を一定にしておく他、蒸発面積が所定の大きさになった時点以降も、それ以前と同様に蒸発皿14の回転速度が徐々に上がるように回転駆動力を制御する、蒸発面積が所定の大きさになった時点以降、蒸発皿14の回転速度が徐々に下がるように回転駆動力を制御する等の実施形態を包含するものである。
【0027】
なお、前記において、蒸発面積の半径、すなわち蒸発皿14上で円形状に拡大した液状蒸発物(液状潤滑剤)の面積の半径が、蒸発皿14の半径の3分の2を超えた時点で、蒸発を行わせることとしたが、蒸発面積が蒸発皿14上でどの程度の大きさとなった時点で蒸発を行わせるかは、この実施例で説明したものに限られない。これは、液状蒸発物(液状潤滑剤)として用いられる室温で高い粘性を有する液状高分子試料の種類と滴下量、液状蒸発物(液状潤滑剤)と蒸発皿14との濡れ性、蒸発させるために蒸発皿14に加える温度などを考慮し、蒸発効率の向上と、蒸発分布(放射分布)の均一化とにとって最も有利となる条件を選択して行うことになる。
【0028】
また、前記において、導入パイプ4、蒸発皿14を200℃に加熱していたが、これは、この実施例で用いた液状蒸発物(液状潤滑剤)であるところの炭素−フッ素結合を有する潤滑油が、このように加熱されることによって、その粘度を下げ、蒸発皿14の回転による蒸発面積の拡大が円滑に行われるようになることを目的として加熱したものである。すなわち、導入パイプ4、蒸発皿14を加熱する温度は、200℃に限られず、液状蒸発物(液状潤滑剤)として用いられる物質の種類に応じて、加熱による液状蒸発物の粘度低下と蒸発皿14の回転とによって蒸発面積の拡大が円滑に行われることを考慮して適宜定められる。
【0029】
減圧容器1の内壁への付着防止のため減圧容器1が加熱される温度も、液状蒸発物(液状潤滑剤)が蒸発する温度を考慮して適宜に調節されることになる。
【0030】
被膜形成完了後、減圧容器1にパージ用窒素ガス導入系13から窒素ガスを導入して大気圧に戻し、ハッチ8を開けて基板支持体10を取り出し、次の基板支持体10を取り付け、ハッチ8を閉めて減圧状態にする。以下同様にして被膜形成を繰り返す。
【0031】
【実施例2】
次に装置の実施例を図1に基づいて説明する。
【0032】
被膜形成装置15は、減圧容器1の内壁に液状蒸発物(液状潤滑剤)が付着するのを防ぐため、液状蒸発物(液状潤滑剤)の蒸発温度程度に加熱できる機構を備えていることが好ましく、この実施例では、液状蒸発物(液状潤滑剤)として用いられている炭素−フッ素結合を有する潤滑油の蒸発温度である250℃程度に加熱できる機構を備えている。
【0033】
排気系12は、荒引き系として、油回転ポンプ(もしくは、メカニカルブースターポンプやターボモレキュラポンプも可能)、主排気系として、油拡散ポンプ、もしくはターボモレキュラポンプなどを使用する。
【0034】
また、減圧容器1には、動作圧力範囲を測定しうる各種真空計、電離真空計(図示せず)、パージ用窒素ガス導入系13が接続される。
【0035】
基板支持体10は、蒸発皿支持体11上の蒸発皿14を覆い被せるような半球状の形態を有し、さらにモータなどの回転機構と連結してある(図示してない)。また必要に応じてディスク基板5の冷却機構もある(図示してない)。
【0036】
基板支持体10を回転機構と連結したのは、蒸発皿14上に滴下された液状蒸発物(液状潤滑剤)を蒸発させて、基板支持体10に固定されているディスク基板5の上に被膜を形成する際に、基板支持体10を当該回転機構によって回転させる方が、ディスク基板5上に、均一な潤滑剤の被膜を形成させる上で好ましいからである。また、ディスク基板5に冷却機構を持たせるのは、ディスク基板5を液状蒸発物(液状潤滑剤)の凝集温度に保持することで、ディスク基板5上にのみ被膜を形成させるのに有効なためである。
【0037】
前記ディスク基板5を半球状の基板支持体10に固定することは、均一な蒸発と液状蒸発物(液状潤滑剤)の有効利用、及び生産性に最適な形態とする為である。
【0038】
前記ディスク基板5の支持体での、1バッチあたりの処理能力は、3.5インチのディスクでは約35枚、5インチのディスクでは約18枚となる。
【0039】
しかも、基板支持体10は、減圧容器1のハッチ8から着脱できる形態としてあり、被膜形成中に他の基板支持体10に次の処理を予定するディスク基板5の準備をすることができるため、生産性を高めることができる。
【0040】
減圧容器1はディスク基板5が固定された基板支持体10の交換できるハッチ8を有する。該ハッチ8は減圧容器1から完全に離脱し、図示されないハッチ支持機構により、減圧容器1に対し水平を維持したまま、矢示16のように上下移動できる機能を有する。なお、減圧容器1には、必要に応じて、内部の被膜形成状況が確認できるビューイングポート(図示せず)を取付けることもできる。
【0041】
前記減圧容器1の下部は、主としてヒータ9による加熱、保温機能を有する液状蒸発物(液状潤滑剤)の導入パイプ4から成る潤滑剤供給部17、加熱源6を含み矢示18のように回転する回転機能を有する蒸発皿支持体11から成っている。
【0042】
前記潤滑剤供給部17は、導入パイプ4と、これに付設される流量調節手段及び加熱手段とから構成されている。流量調節手段は、この実施例においては、圧縮空気を使用して液状蒸発物(液状潤滑剤)を矢示19のように導入するためのレギュレータと電磁弁及び、ドライN2 ガスライン(それぞれ図示せず)から構成されている。ただし、流量調節手段は、導入パイプ4から蒸発皿14上に導入される液状蒸発物(液状潤滑剤)の導入量、すなわち蒸発皿上に滴下させる液状蒸発物の量(数グラム乃至数十グラム)を調整できるものであればよいので、これらの構成に限定されるものではない。また、加熱手段は、室温で高い粘性を有する液状蒸発物(液状潤滑剤)の粘度を低下させ、流動性が増大するように液状蒸発物を所定温度まで加熱するヒータ9から構成されている。
【0043】
前記ヒータ9は、150℃から250℃まで制御できる機能を持ち、シーズヒータに保温用のアルミホイルを巻き付けた構造を持っている。また、蒸発皿14の直上の導入パイプ4にも、ヒータ9と同様の温度調整機能を持たせる。液状蒸発物(液状潤滑剤)供給時のヒータ9の設定温度は、この実施例では200℃とする。
【0044】
前記導入パイプ4の位置は、蒸発時に蒸発物にさらされない位置に配置されることが望ましいが、蒸発時に潤滑剤導入パイプの位置を変える機能をもたせることもできる。
【0045】
前記液状蒸発物(液状潤滑剤)の滴下量は、加熱、及び冷却の繰り返しにより、蒸発物の変質することが考えられるため、原則として、ディスク基板5が取付けられた基板支持体10の1回の被膜形成ですべてが蒸発しきる量が供給されるが、数グラムから数十グラム程度である。
【0046】
前記加熱源6上の蒸発皿14は、滴下された潤滑剤(蒸発物)による温度降下をなるべく避けるため、材質は、熱容量が大きく、かつ潤滑剤との良好な濡れ性を示すものが選択される(例えば、石英)。
【0047】
蒸発皿14をその上側に固定して支持する蒸発皿支持体11は、蒸発皿14上に滴下された蒸発物を広く引きのばし、円形状に蒸発物(潤滑剤)と蒸発皿14の接触面積を拡大させ、蒸発効率を高めるため、加熱しながら矢示18のように回転できる機能を有する。
【0048】
前記加熱源6は、加熱電源7により、高周波誘導加熱の方式が採られ、200℃から300℃に温度調整される。加熱方式は、上記の温度設定が正確に制御できるものであれば、従来公知の方式を採用するので、特に限定されるものではない。前記蒸発皿14と蒸発皿支持体11は、分離できる構造、もしくは一体型の構造のどちらでも可能である。実施例における蒸発皿14の直径は、5cm程度である。
【0049】
また、蒸発皿14上の蒸発物(潤滑剤)の直下(蒸発皿の中心)には、温度制御用の熱電対(図示されず)を埋め込み、正確な温度検出が可能であり、加熱源6の制御を行うことができる。前記蒸発皿支持体11は、その上側に固定的に支持されている蒸発皿14上への蒸発物供給後、矢示18のように回転できるその機能によって徐々に回転速度を増加させながら回転する。これに応じて、蒸発皿支持体11の上側に固定的に支持されている蒸発皿14もその回転速度を徐々に増加させながら回転する。
【0050】
その結果、蒸発物(潤滑剤)の蒸発面積が、蒸発皿上の所定の位置、たとえば、蒸発皿14の半径の3分の2の位置まで拡大したとき、蒸発物との接触による感熱型、もしくは光沢の変化を検出する光学型センサー等(図示せず)と、蒸発皿14の回転機構とを連結させることにより、徐々に増した回転速度を一定に保持し、制御する。
【0051】
蒸発物の蒸発面積の拡がりから回転速度を一定に制御する検出位置として、蒸発皿14の半径の3分の2としたが、蒸発物の固有の性質(主に熱に対する粘度の変化、蒸発皿14との濡れ性等)を考慮することにより、検出位置は変更され、前記状態に限定されるものではない。
【0052】
前記プロセスの条件となる、蒸発皿支持体11にある加熱源6の加熱温度、導入パイプ4からの液状蒸発物(液状潤滑剤)の導入量、蒸発皿14の回転速度、及び真空度等は、コンピュータで構成されるコントローラ(図示せず)によって制御される。該コントローラには、その記録部に蒸発物(潤滑剤)の蒸発を行うための制御プログラムが内蔵され、当該制御プログラムに従って、基板支持体10の矢示20のような回転動作等とも関連させて行う。
【0053】
この実施例においては、蒸発皿14は、矢示18方向あるいはその逆方向に回転可能なように回転機構(図示せず)に連結されており、加熱源6によって加熱されつつ回転されたが、前記実施例1で説明したように、蒸発物(潤滑剤)の特性が予め判明していて、蒸発皿14を回転させなくても、加熱源6による蒸発皿14の加熱のみによって所望の蒸発面積を円滑に確保することができるならば、回転機構(図示せず)を停止状態にして蒸発皿14を回転させない構成、あるいは、そもそも蒸発皿14を回転機構に連結しておかない構成にすることも可能である。
【0054】
前記減圧容器1を、交換可能な基板支持体10に固定されたディスク基板5に被膜が形成される領域と加熱源6を含む蒸発皿支持体11が占める領域との2つの領域にゲートバルブで仕切ることも可能である。この場合、蒸発皿支持体11周辺の雰囲気は大気圧にもどさずに、減圧の状態を保持した状態で、基板支持体10を交換することが可能である。
【0055】
また、前記のようなゲートバルブにより、減圧容器1内を2分割した領域に分けた場合、必要に応じて、基板支持体10側の分割された領域に、酸素ガスを導入して、ディスク基板5に対するUV光によるクリーニング処理の機能を持たせることも可能である。
【0056】
【発明の効果】
この発明によれば、液状蒸発物(液状潤滑剤)が滴下された蒸発皿が、加熱されることにより、あるいは加熱されつつ回転することにより、当該蒸発皿上に滴下された液状蒸発物(液状潤滑剤)は、蒸発皿上で均一に拡大し、しかも蒸発皿表面を均一に広く濡らすので、円形状の均一な蒸発面積を得ることができ、蒸発効率を高められる。その結果として、蒸発皿の上方に、広くかつ蒸発分布(放射分布)が均一な、半球面状の領域が形成でき、蒸発皿の上方に配置されているディスク基板の上に形成される潤滑剤被膜は、従来行なわれていたディップ法に見られるディスク基板上での不均一性が無く、ディスク基板支持部に固定された全てのディスク基板について、均一であり良好であった。
【0057】
また、基板支持体は、減圧容器から着脱できる形態であるため、基板支持部の装着後、所定の圧力に達するまでの時間(約10分以下)及び被膜形成中に他の基板支持体に次の処理を予定するディスク基板の準備をすることができるため、連続した効率的な生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の概念図。
【図2】従来の被膜生成例の概念図。
【符号の説明】
1 減圧容器
2 潤滑剤溜
3 バルブ
4 潤滑剤導入パイプ
5 ディスク基板
6 加熱源
7 加熱電源
8 ハッチ
9 ヒータ
10 基板支持体
11 蒸発皿支持体
12 排気系
13 パージ用窒素ガス導入系
14 蒸発皿
15 被膜形成装置
17 潤滑剤供給部
Claims (5)
- 減圧下において、蒸発皿を加熱して当該蒸発皿上に滴下されている液状蒸発物の蒸発面積を拡大させ、次いで蒸発皿を更に加熱して前記液状蒸発物を蒸発させ、前記蒸発皿の上方に配置されているハードディスク上に凝縮させて被膜を形成することを特徴とした被膜形成方法。
- 減圧下において、蒸発皿を加熱しつつ回転させて当該蒸発皿上に滴下されている液状蒸発物の蒸発面積を円形状に拡大させ、次いで蒸発皿を更に加熱して前記液状蒸発物を蒸発させ、前記蒸発皿の上方に配置されているハードディスク上に凝縮させて被膜を形成することを特徴とした被膜形成方法。
- 排気手段を備えた減圧容器内で、
加熱手段が付設されている蒸発皿と、
回転手段に架設され、前記蒸発皿に対向している基板支持体と、
前記蒸発皿と前記基板支持体との間に、流量調節手段及び加熱手段が付設されている液状蒸発物の導入パイプ端を臨ませた構成である被膜材料供給部と、
停止状態の前記蒸発皿を所定の温度に維持する工程と、停止状態の前記蒸発皿に加熱された前記被膜材料を供給する工程と、前記蒸発皿を更に加熱して前記被膜材料の蒸発面積を拡大させる工程と、を制御するコントローラと、
を有することを特徴とする被膜形成装置。 - 排気手段を備えた減圧容器内で、
回転手段を備えた支持体上に設置されていると共に加熱手段が付設されている蒸発皿と、回転手段に架設され、前記蒸発皿に対向している基板支持体と、
前記蒸発皿と基板支持体との間に、流量調節手段及び加熱手段が付設されている液状蒸発物の導入パイプ端を臨ませた構成である被膜材料供給部と、
停止状態の前記蒸発皿を所定の温度に維持する工程と、停止状態の前記蒸発皿に加熱された前記被膜材料を供給する工程と、前記支持体を回転させ、その回転速度を徐々に上げその後に所定の回転数に維持する工程と、前記蒸発皿を更に加熱して前記被膜材料の蒸発面積を拡大させる工程と、を制御するコントローラと、
を有することを特徴とする被膜形成装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の被膜形成方法を使用した工程を有することを特徴とするハードディスクの製造方法。
Priority Applications (1)
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