JP4450949B2 - 剥離紙用コーティング組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着テープや粘着シートの台紙等に利用される剥離紙を製造するのに有用な剥離紙用コーティング組成物、及びそれを用いて製造される剥離紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に粘着ラベル、粘着シール、粘着テープ等は、それが使用されるまで粘・接着剤層部分は剥離紙に覆われている。この剥離紙の該粘・接着剤層との接触表面には、使用時の剥離性を良好にするために剥離剤として各種の剥離紙用コーティング組成物が基材の表面に塗工されている。該剥離紙用コーティング組成物としては、シリコーン樹脂を用いたものが有効に利用できる。
【0003】
ところで、剥離紙の基材としては、ポリエチレンラミネートタイプ、グラシンタイプ、スーパーカレンダードタイプ、クレーコートタイプ等が知られている。
これらの基材の中で、日本においてはポリエチレンラミネートタイプが一般的に用いられている。このポリエチレンラミネートタイプは木材パルプを主原料とする上質紙、片艶紙及びクラフト紙等の表面に、押し出し加工方式により厚さ10〜25ミクロン程度のポリエチレンフィルム層を形成させたものである。ポリエチレンラミネートの目的は、剥離剤の浸透を極力抑制することにより、剥離性を最大限に向上させることである。しかし、このポリエチレンをラミネートする方法で製造された剥離紙は、ポリエチレンが強固な連続皮膜を形成し、かつそれが水に不溶のため、この剥離紙を回収し製紙工程で再生利用することが極めて困難で、紙のリサイクルシステムにおいて、大きな問題となっている。
【0004】
また、剥離紙用コーティング組成物も、従来は大量の有機溶剤を用いる溶剤タイプのものが主流である。しかし有機溶剤が大気汚染の原因となり、安全衛生上も好ましくなく、溶剤回収には高価な装置を必要とする等の問題がある。
そのため、製紙行程で容易に再生利用できる基材を用い、かつ従来のものより安全で環境に優しい剥離剤との組み合わせによる剥離紙が望まれている。
これらの課題に対し、例えば紙の基材に直接に剥離剤として無溶剤型シリコーン樹脂を塗工し剥離紙を得る試みがなされているが、紙の表面の凹凸によって均一な塗工が困難であった。
【0005】
また、環境に優しいシリコーンの水分散体をポリエチレンフィルム層のない基材に直接塗工することも試みられているが、エマルジョンが紙に浸透してしまい、その結果良好な剥離性が得られないという問題を抱えている。
これに対して、特公表3−500060号公報、特開平11−222557号公報、特開平5−222699号公報ではシリコーンの水分散体とラテックスとからなる剥離紙用コーティング組成物を紙に直接塗工し剥離性をコントロールする技術が開示されている。しかしながら、これらの開示技術では該剥離紙用コーティング組成物中のシリコーンを剥離面(剥離剤層表面)に存在させ、十分な剥離性を得るためには高価なシリコーンを大量に使用しなければならず、製造される剥離紙が非常に高価なものになるという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、再利用可能な基材を用いて1コートで塗工して剥離紙を得る際に、少ないシリコーンの使用量で十分な剥離性を付与することができる剥離紙用コーティング組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、基材に塗工した際にシリコーンが剥離剤層の表面方向に非常に有効に偏在化し、優れた剥離性を発現できる特定のシリコーン水分散体及び/またはシリコーン水溶液と水系樹脂からなる剥離紙用コーティング組成物を見いだし本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は
水系樹脂と、該水系樹脂より表面エネルギーが小さく数平均粒子径が400nm以下のシリコーンの水分散体及び/または該水系樹脂より表面エネルギーが小さいシリコーン水溶液とを含有する剥離紙用コーティング組成物であり、さらには該剥離紙用コーティング組成物から形成された剥離剤層を有する剥離紙であって、該組成物中のシリコーンが剥離剤層の表面方向に偏在化した剥離紙である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における剥離紙用コーティング組成物は、少なくとも水系樹脂と、該水系樹脂より表面エネルギーが小さく数平均粒子径が400nm以下のシリコーンの水分散体及び/または該水系樹脂より表面エネルギーが小さいシリコーン水溶液とからなる。
【0009】
本発明において用いられる水系樹脂としては、例えば水溶性樹脂や数平均粒子径が30〜800nm、好ましくは50〜400nmのエマルジョン(ラテックス)を挙げることができる。
上記水溶性樹脂としては、ポリビニールアルコール水溶液、ポリアクリル酸水溶液、ポリアクリルアミド水溶液等を挙げることができる。
また、上記エマルジョンとしては、例えばスチレン・ブタジエン樹脂エマルジョン、アクリロニトリル・ブタジエン樹脂エマルジョン、スチレ ン・イソプレン樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン、エチレン・塩化ビニル樹脂エマルジョン、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン及び天然ゴムエマルジョン等を挙げることができる。
【0010】
これらの中で、本発明に用いる水系樹脂としては、カルボキシル基を含有するエマルジョンが好ましい。その中でも、エチレン性不飽和カルボン酸単量体と共役ジエン系単量体、そして必要によりこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体を含む単量体組成物を乳化重合して得られるものが、製造が容易であることから好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。好ましくはニ塩基酸であり、イタコン酸、フマル酸である。
【0011】
また、共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、1,3イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレンなどが挙げられる。好ましくは、1,3−ブタジエンである。
これら上記二つの単量体に加えて、エマルジョンとして要求される様々な品質・物性を付与するために、これら以外のビニル系単量体成分を使用することができる。それらの単量体としては、例えば、スチレンを代表とする芳香族ビニル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類がある。好ましくはスチレンである。
【0012】
さらに、水酸基、アミド基、アミノ基、メチロール基、グリシジル基、スルホン酸基、リン酸基などの官能基を有する各種のビニル系単量体を所望に応じて使用できる。
本発明において好ましく用いられるエマルジョンの単量体成分の一般的な組成は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量%、共役ジエン系単量体10〜70重量%、芳香族ビニル系単量体10〜79.5重量%およびこれらと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%である。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の好ましい割合は0.5〜5%である。また、共役ジエン系単量体の好ましい割合は、15〜65重量%である。
【0013】
また、上記エマルジョンは、例えば、乳化重合法によって得られる。乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法で、水性媒体中で前記の単量体、連鎖移動剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤および、必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本組成成分とする分散系において、単量体を重合させてエマルジョンを製造することができる。
本発明の剥離紙用コーティング組成物に用いるシリコーンは、その性状を選択することによって、該剥離紙用コーティング組成物を基材に塗工した際にシリコーンが剥離剤層の表面方向に非常に有効に偏在化し、優れた剥離性を発現することが可能となる。(以下、シリコーンが剥離剤層の表面方向に偏在化する性質を「シリコーンの自己傾斜機能」と呼ぶ。)このようにして得られた剥離剤層の表面におけるシリコーンの含有率は、該剥離紙用コーティング組成物中のシリコーンの含有率に対し1.05倍以上、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは5倍以上である。
【0014】
上記自己傾斜機能の発現に必要なシリコーン性状の1つの要因は、水中におけるシリコーンの存在状態である。すなわち、本発明に用いるシリコーンは数平均粒子径が400nm以下、好ましくは200nm以下の水分散体、あるいは水溶液であることが重要である。数平均粒子径が400nmより大きくなるとシリコーンの自己傾斜機能が消失、あるいは非常に弱くなるため、この様なシリコーンと前述した水系樹脂からなるコーティング組成物からはシリコーンが表面に均一に析出されている剥離剤層を得ることが困難であり、得られる剥離紙の剥離力も弱いものとなる。
【0015】
また、上記自己傾斜機能の発現に必要なシリコーン性状の他の要因は、シリコーンの表面エネルギーである。すなわち、本発明に用いるシリコーンの表面エネルギーは、前述した水系樹脂の表面エネルギーより小さいことが必要であり、表面エネルギーが該水系樹脂よりも2ダイン/cm以上小さいものが好ましい。表面エネルギーが該水系樹脂の表面エネルギー以上であるシリコーンは自己傾斜機能が消失、あるいは非常に弱くなるため、この様なシリコーンと該水系樹脂からなるコーティング組成物からはシリコーンが表面に均一に析出されている剥離剤層を得ることが困難であり、得られる剥離紙の剥離力も弱いものとなる。
【0016】
ここで、上記表面エネルギーは例えば以下の方法で測定することができる。すなわち、上記シリコーン及び水系樹脂から各々それらの皮膜を有する基材を調整し、脱イオン水を滴下して20℃における接触角(θ)を測定し、下記のSellとNeumannの実験式により、各々の表面エネルギーを求めることができる。
【0017】
【数1】
【0018】
[式中、γsは脱イオン水の接触角を測定した皮膜の表面エネルギー(ダイン/cm)を表し、γlは水の表面エネルギー{72.8ダイン/cm(20℃)}を表わす。]
本発明に用いることができる上記シリコーンとしては、例えば一般式(2)、(3)、(4)及び(5)で表されるシリコーン結合の少なくとも1種の構造を含む1種類以上のシリコーンであって、水に自己乳化あるいは強制乳化または水溶化している状態のものを挙げることができる。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基である。)
上記シリコーンのうち水に自己乳化あるいは水溶化するものとしては、下記平均組成式(1)で表される、親水性基で変性されたシリコーンを挙げることができる。
【0024】
HpR1 qQrXsSiO(4-p-q-r-s)/2 (1)
(式中、R1は、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表す。
【0025】
Qは、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、リン酸基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を表す。
Xは、
▲1▼直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されている炭素数6〜20のアリール基、及び炭素数1〜30のフルオロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの疎水性基、
▲2▼ビニル基、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、メルカプト基、酸無水物基、ケト基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、及びエステル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性基
からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基を表し、
0≦p<4、
0<q<4、
0<r<4、
0≦s<4、
及び(p+q+r+s)<4である。)
【0026】
ここで、上記親水性基の好ましい具体例として、例えば式(6)で表されるポリオキシエチレン基や式(7)で表されるスルホン酸基あるいはその塩、さらには式(8)、式(9)で表されるカルボキシル基あるいはその塩等を挙げることができる。
−CH2CH2CH2O(CH2CH2O)mR2 (6)
(式中、mは1〜1000の整数を表す。R2は、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基を表す。)
【0027】
【化5】
【0028】
[式中、nは1〜100の整数を表す。R3は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基を表す。
Bは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は下記式で表される置換アンモニウムを表す。
HNR4R5R6
(R4、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていないか或いは水酸基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基を表す。)]
【0029】
【化6】
【0030】
(式中、Bは式(7)の定義と同じ。)
【0031】
【化7】
【0032】
(式中、Bは式(7)の定義と同じ。)
上記平均組成式(1)で表される、親水性基で変性されたシリコーンを得る方法としては、下記平均組成式(10)で表されるSi−H基含有シリコーンと、親水性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物、さらに必要に応じて機能性付与基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させる方法を挙げることができる。
【0033】
H(p+r+s)R1 qSiO(4-p-q-r-s)/2 (10)
(式中、R1は、平均組成式(1)の定義と同じ。
0≦p<4、0<q<4、0<r<4、0≦s<4、
及び(p+q+r+s)<4である。)
上記式(10)で表されるSi−H基含有シリコーンに親水性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基、環状酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0034】
上記親水性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えば式(11)で表されるポリオキシエチレン基含有アリルエーテルや式(12)で表されるスルホン酸基あるいはその塩を含む1価の基を有するアリルエーテル、さらには5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、アリル無水こはく酸等を挙げることができる。ここでカルボン酸の無水物を有する炭素−炭素不飽和結合化合物を使用する場合、上記式(10)のシリコーンにヒドロシリル化反応させた後、シリコーンに導入されたカルボン酸無水物基を塩基の存在、あるいは非存在下で加水分解することによりカルボキシル基あるいはその塩を有するシリコーンを得ることができる。
【0035】
CH2=CHCH2O(CH2CH2O)mR2 (11)
(式中、m及びR7は、式(6)の定義と同じ。)
【0036】
【化8】
【0037】
(式中、n、R3、Bは、式(7)の定義と同じ。)
また、上記式(10)で表されるSi−H基含有シリコーンに、機能性付与基として直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれた疎水性基を導入する場合に用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、5−ノルボルネンの如きオレフィン類、酢酸アリル、プロピオン酸アリル、2−エチルヘキサン酸アリル、安息香酸 アリル等のアリルエステル類、アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリル−n−ヘキシルエーテル、アリルシクロヘキシルエーテル、アリル−2−エチルヘキシルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、クロトン酸エステル類等の炭素−炭素不飽和結合化合物等が挙げられる。これらのうち、末端オレフィン類、5−ノルボルネン類、アリルエステル類、アリルエーテル類が反応性の面で好ましい。
【0038】
また、上記式(10)で表されるSi−H基含有シリコーンに、機能性付与基として炭素数1〜30のフルオロアルキル基を導入する場合に用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、例えば式(13)で表されるパーフルオロアルキル基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸エステル類等を用いることができる。
−(CF2)gCF3 (13)
(式中、gは0〜29の整数を表す。)
また、上記式(10)で表されるSi−H基含有シリコーンに機能性付与基として反応性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の反応性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0039】
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えばアリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ヘキセン−2−オン、アリルイソシアネート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアミン、アリルイソチオシアネート、アリルセミカルバジド、(メタ)アクリル酸ヒドラジド、4−アリルオキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン等を挙げることができる。
【0040】
上記炭素−炭素不飽和結合化合物と上記平均組成式(10)で表されるSi−H基含有シリコーンのヒドロシリル化反応は、好ましくは触媒の存在下、有機溶媒の存在下あるいは非存在下において0〜200℃で炭素−炭素不飽和結合化合物と平均組成式(10)で表されるSi−H基含有シリコーンを接触させることにより行うことができる。
【0041】
ヒドロシリル化反応の触媒としては、白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。これら白金族触媒は、ヒドロシリル化反応の後、必要に応じて各種の有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物などの活性抑制剤を添加する事によって活性を制御することができる。
【0042】
また、ヒドロシリル化反応に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0043】
上記親水性基で変性されたシリコーンの親水性基の導入量としては、水中でのシリコーンの状態が数平均粒子径で400nm以下の水分散体、あるいは水溶液となるのに十分な量であって、表面エネルギーが混合する水系樹脂の表面エネルギーより小さいことを満足する量である。
また、本発明のシリコーンのうち水に強制乳化させたものとしては、例えば前述した一般式(2)、(3)、(4)及び(5)で表されるシリコーン結合の少なくとも1種の構造を含む1種類以上のシリコーンと界面活性剤及び/又は保護コロイド、及び水とを混合し強制乳化させたものを挙げることができる。
【0044】
上記界面活性剤や保護コロイドとしては、例えば例えば、前述した平均組成式(1)と同じ平均組成式で表される親水性基で変性されたシリコーンや脂肪酸石鹸、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキルコハク酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩等のアニオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、エチレンオキサイドとリン酸類との公知の反応生成物等のノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含有するカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤等やそれらの併用が挙げられる。
【0045】
本発明に用いるシリコーンとしては、前述した親水性基で変性されたシリコーンや、親水性基で変性されたシリコーンを界面活性剤として用いて一般式(2)、(3)、(4)及び(5)で表されるシリコーン結合の少なくとも1種の構造を含む1種類以上のシリコーンを強制乳化したものが好ましく使用される。
本発明に用いるシリコーンは、硬化性のシリコーンであることが望ましい。この場合、該シリコーンを含有する本発明の剥離紙用コーティング組成物を用いて形成される剥離剤層を有する剥離紙の剥離性能は非常に向上する。
【0046】
硬化性のシリコーンとしては、熱硬化性シリコーン及び電離放射線硬化性シリコーンのどちらも採用することができるが、熱硬化性シリコーンは取り扱いが非常に容易であるため好ましい。
熱硬化性シリコーンとしては、例えば上記平均組成式(10)や平均組成式(1)(0<p<4)で表されるSi−H基含有シリコーンを挙げることができる。この場合、架橋剤としては多官能ビニル化合物を用いることができる。該多官能ビニル化合物としては、ビニル基を有しSi−H基と反応して硬化を促進するものであれば何でもよいが、剥離紙の分野ではビニル基、ヘキセニル基などの炭素数2〜8の1価不飽和炭化水素基を有するビニルシリコーンが一般に用いられている。また、Si−H基含有シリコーンとビニルシリコーンの反応を促進する目的で、触媒を添加しても良い。該触媒としてはヒドロシリル化反応触媒として前述した白金族触媒が好ましい。該白金族触媒はSi−H基含有シリコーンとビニルシリコーンの合計量に対し白金族金属の量で通常5〜1000ppmの範囲内で使用されるが、これは反応性、経済性及び所望の硬化速度等に応じて増減させることができる。また、必要に応じて白金族触媒の活性を抑制し、ポットライフを延長させる目的で、各種の有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物などの活性抑制剤を添加してもよい。
【0047】
また、熱硬化性シリコーンの他の例としては、例えば上記平均組成式(1)において機能性付与基として反応性基を有するシリコーン(0<s<4)を挙げることができる。この場合、架橋剤としては多官能ビニル化合物、ポリアミノ化合物、ポリカルボニル化合物、ポリイソシアネート、ポリメチロール化合物、ポリアルコール、ポリセミカルバジド化合物、ポリヒドラジド化合物、ポリエポキシ化合物、(メタ)アクリル化合物、多価金属塩、多塩基酸の中から該シリコーンが有する反応性基に応じて適宜選択することができる。
【0048】
本発明の剥離紙用コーティング組成物において、該組成物中のシリコーンが熱硬化性シリコーンの場合は、基材に該組成物を塗工した後、熱硬化性シリコーンの硬化に必要な温度条件での加熱が必要となる。
また、電離放射線硬化性シリコーンとしては、▲1▼アクリル官能性シリコーン、▲2▼メルカプトアルキル官能性シリコーンとビニルシリコーンの組み合わせ、▲3▼エポキシ官能性シリコーン等を挙げることができる。▲1▼と▲2▼の場合はラジカル開裂型光触媒の添加が好ましく、▲3▼の場合はカチオン発生型触媒の添加が好ましい。
【0049】
本発明の剥離紙用コーティング組成物において、該組成物中のシリコーンが電離放射線硬化性シリコーンの場合は、基材に該組成物を塗工した後、電離放射線硬化性シリコーンの硬化に必要な条件での電離放射線(電子線または紫外線)の照射が必要となる。
本発明における剥離紙用コーティング組成物において、シリコーン(A)と水系樹脂(B)の固形分重量比は、(A)/(B)=0.001/99.999〜80/20で使用することができるが、好ましくは(A)/(B)=0.001/99.999〜25/75、さらに好ましくは(A)/(B)=0.001/99.999〜5/95である。すなわち、本発明の剥離紙用コーティング組成物は、シリコーン含有量が5重量%未満といったシリコーンの使用量が非常に少ない領域において基材に十分な剥離性を付与することができる。
【0050】
ここで、剥離性性は測定の方法や種々の条件によって異なるが、大体の目安としては剥離力が30g/5cm以下のものを軽剥離、30g/5cm〜100g/5cmのものを中剥離、100g/5cmを超えるものを重剥離と定義した場合、本発明の剥離紙用コーティング組成物から形成された剥離剤層を有する剥離紙は軽剥離あるいは中剥離の剥離性を有するものである。
【0051】
本発明の剥離紙用コーティング組成物は、必要に応じて顔料を配合しても良い。顔料としては、特に制約はなく、無機または有機の顔料が適宜使用できる。例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、鉛等の各種金属酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、硫酸塩または珪酸塩化合物やポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の個体高分子微粉末等が挙げられる。具体的には炭酸カルシウム、カオリン(クレー)、タルク、二酸化チタン、水酸化アルミニウムシリカ、石膏、バライト粉、アルミナホワイト、サチンホワイト等無機顔料が挙げられる。
【0052】
さらには必要に応じて、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、デキストリン、酸化処理澱粉、架橋澱粉、澱粉エステル、グラフトコポリマー澱粉等の澱粉誘導体等の各種水溶性天然高分子類、さらには増粘剤、消泡剤、濡れ剤、レベリング剤、成膜助剤、可塑剤、分散剤、着色剤、耐水化剤、潤滑剤および防腐剤等が配合されていてもよい。
【0053】
本発明の基材に用いられる原紙は特に制約はないが、例えば広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ等の化学パルプ、GP、RGP、TMP等の機械パルプを原料として用い、長網多筒型抄紙機、長網ヤンキー型抄紙機あるいは丸網抄紙機で抄紙される上質紙、中質紙、片艶紙及びクラフト紙等の酸性紙、中性紙、を包含するものである。原紙中には紙力増強剤、サイズ剤、填料、歩留向上剤等の抄紙補助薬品が含まれていてもよい。特に限定するものではないが、原紙の坪量は50〜150g/m2程度のものが用いられる。
【0054】
また、必要に応じて合成紙、蒸着紙、布、不織布、金属ホイル、各種高分子フィルム等を使用してもよい。
基材に対する塗工設備としては例えばサイズプレス、ゲートロールコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーターおよびブレードコーター等から任意に選定することができる。塗工量は絶乾重量で0.5〜50g/m2塗工されるよう調整するのが望ましい。乾燥条件は80〜180℃で10〜300秒が好ましい。本発明の組成物は、基材に2回以上の塗工操作により塗工してもよい。
【0055】
【発明の実施の形態】
実施例中に用いられる各種物性の測定方法は、下記の通りである。
▲1▼ 数平均分散粒子径
湿式粒度分析計(日機装(株)製 マイクロトラック UPA−9230)を使用して測定した。
▲2▼ 部材の水の接触角
部材の水の接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製 CA−X150)を使用し、20℃環境下において脱イオン水の水滴を滴下してから1分後の接触角を測定した。
▲3▼ 表面エネルギー
部材の表面エネルギーは、上記方法(▲2▼)にて部材の水の接触角(θ)を測定し、SellとNeumannの実験式(数式1)により求めた。
【0056】
【数2】
【0057】
[式中、γsは脱イオン水の接触角を測定した皮膜の表面エネルギー(ダイン/cm)を表し、γlは水の表面エネルギー{72.8ダイン/cm(20℃)}を表わす。]
▲4▼ 塗工紙の剥離力
塗工紙の剥離力は以下の方法により測定した。
(剥離力測定法)JIS Z0437に準拠して剥離力の測定を行った。具体的操作を以下に記す。
本発明の剥離紙用コーティング組成物をクラフト紙(86.5g/m2)に7.5g/m2の量となるように塗工し、140℃の熱風式乾燥機中で60秒加熱した後、20℃で48時間エージングを行い塗工紙を得た。この塗工紙に、幅50mmの粘着テープ(AT−050VP,プラス社製)を軽く押し付け、その上を2kgのローラーで2往復させ貼りつけた。20℃/65%RHの部屋に貼り付け後1時間放置し、その後180°剥離強さを引っ張り試験機を用いて測定した(クロスヘッドスピードは300mm/min)。
【0058】
【合成例】
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にメチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(旭化成ワッカーシリコーン社製 V−58)100g、ジオキサン100gを入れ、撹拌下30℃に加熱した。これに白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の2.2wt%キシレン溶液0.57gを添加した後、反応性乳化剤(旭電化社製 アデカリアソープ SE−10N)の10wt%ジオキサン溶液150gを180分かけて滴下し、さらに30℃にて1時間攪拌を続けた。得られた反応液に水を約1000重量部滴下し、減圧化ジオキサンを除去し、固形分15wt%のスルホン酸変性シリコーン(i)の水分散体を得た。
得られた(i)の水分散体の数平均粒子径は147nmであった。また、得られた(i)の水分散
体をPETフィルムに塗布し、50℃にて3日間加熱乾燥することにより透明なコーティング膜を有するPETフィルムを得た。得られたコーティング膜の20℃における水の接触角は88゜であり、Sell−Numannの実験式から求めた(i)の32.1ダイン/cm(20℃)であった。
【0059】
【参考例】
スチレン−ブタジエン樹脂エマルジョンの表面エネルギーの測定
スチレン−ブタジエン樹脂エマルジョン(旭化成工業株式会社製 L1571:固形分濃度;48.5wt%、数平均粒子径;196nm)をPETフィルム上に膜厚が20μとなるようにキャスティングした後、室温で2日間乾燥し、続いて50℃にて3日間加熱することにより透明で平滑なコーティング膜を有するPETフィルムを得た。得られたコーティング膜の20℃における水の接触角は40.4゜であり、Sell−Numannの実験式から求めた上記スチレン−ブタジエン樹脂エマルジョンの表面エネルギーは64.4ダイン/cm(20℃)であった。
【0060】
【実施例1】
スチレン−ブタジエン樹脂エマルジョン(旭化成工業株式会社製 L1571:固形分濃度;48.5wt%、数平均粒子径;196nm、水の接触角;40.4°(表面エネルギー;64.4ダイン/cm(20℃))を固形分として50gに、シリコーンとして合成例で得られたスルホン酸変性シリコーン(i)の水分散体を固形分として1g加えて10分間撹拌することにより剥離紙用コーティング組成物を得た。得られた剥離紙用コーティング組成物をクラフト紙(86.5g/m2)に7.5g/m2の量となるように塗工し、140℃の熱風式乾燥機中で60秒加熱した後、20℃で48時間エージングを行い塗工紙を得た。この塗工紙に、幅50mmの粘着テープ(AT−050VP,プラス社製)を軽く押し付け、その上を2kgのローラーで2往復させ貼りつけた。20℃/65%RHの部屋に貼り付け後1時間放置し、その後180°剥離強さを引っ張り試験機を用いて測定した(クロスヘッドスピードは300mm/min)。
得られた塗工紙の剥離力は、100g/5cmであり、中剥離性を示した。
【0061】
【実施例2】
スチレン−ブタジエン樹脂エマルジョン(旭化成工業株式会社製 L1571:固形分濃度;48.5wt%、数平均粒子径;196nm、水の接触角;40.4°(表面エネルギー;64.4ダイン/cm(20℃))を固形分として50gに、シリコーンとして、合成例で得られたスルホン酸変性オルガノハイドロジェンポリシロキサン(i)の水分散体を固形分として1gと、架橋剤となるビニルシリコーンと触媒の混合エマルジョン(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製 DEHESIVE39006VP)を固形分として1g加えて10分間撹拌することにより剥離紙用コーティング組成物を得た。
【0062】
得られた剥離紙用コーティング組成物を用い、実施例1と同様の操作を行って得られた塗工紙の剥離力を測定したところ、剥離力は60g/5cmであり、架橋剤の使用によって剥離力はさらに軽減された。
【0063】
【比較例1】
スチレン−ブタジエン樹脂エマルジョン(旭化成工業株式会社製 L1571:固形分濃度;48.5wt%、数平均粒子径;196nm、水の接触角;40.4°(表面エネルギー;64.4ダイン/cm(20℃)))単独を用い、実施例1と同様の操作を行って得られた塗工紙の剥離力を測定したところ、剥離力は1040g/5cmであった。
【0064】
【比較例2】
シリコーンとして、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとビニルポリシロキサンの混合エマルジョン(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製 DEHESIVE39005VP:固形分濃度;50wt%)を固形分として1g用いた以外は、実施例1の操作を繰り返した。合成例と同様にしてDEHESIVE39005VPのみの物性を測定したところ、水との接触角は105°(表面エネルギー19.7ダイン/cm(20℃))であったが、数平均粒子径は472nmと大きかった。剥離力は920g/5cmであり、完全な重剥離性を示した。
【0065】
【比較例3】
シリコーンとして、DEHESIVE39005VPを固形分として1gと、架橋剤を含むDEHESIVE39006VPを固形分として1g用いた以外は、実施例1の操作を繰り返した。合成例と同様にしてDEHESIVE39005VPとDEHESIVE39006VPとの混合物の物性を測定したところ、水との接触角は106.5°(表面エネルギー18.7ダイン/cm(20℃))であったが、数平均粒子径は562nmと大きかった。剥離力は400g/5cmであり、重剥離性であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明の剥離紙用コーティング組成物を用いると再利用可能な基材を用いて1コートで塗工して剥離紙を得る際に、非常に少ないシリコーンの使用量で十分な剥離性を付与することができる。
Claims (9)
- 水系樹脂と、数平均粒子径が400nm以下のシリコーンの水分散体及び/またはシリコーン水溶液とを含有し、該シリコーンが下記平均組成式(1)で表されることを特徴とする剥離紙用コーティング組成物。
H p R 1 q Q r X s SiO ( 4−p−q−r−s ) /2 (1)
(式中、R 1 は、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表す。
Qは、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、リン酸基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を表す。
Xは、
〈1〉直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されている炭素数6〜20のアリール基、及び炭素数1〜30のフルオロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの疎水性基、
〈2〉ビニル基、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、メルカプト基、酸無水物基、ケト基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、及びエステル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの反応性基
からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基を表し、
0≦p<4、
0<q<4、
0<r<4、
0≦s<4、
及び(p+q+r+s)<4である。) - シリコーン含有量が5重量%未満であることを特徴とする請求項1記載の剥離紙用コーティング組成物。
- シリコーンが熱硬化性シリコーンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の剥離紙用コーティング組成物。
- シリコーンが電離放射線硬化性シリコーンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の剥離紙用コーティング組成物。
- 多官能ビニル化合物、ポリアミノ化合物、ポリカルボニル化合物、ポリイソシアネート、ポリメチロール化合物、ポリアルコール、ポリセミカルバジド化合物、ポリヒドラジド化合物、ポリエポキシ化合物、(メタ)アクリル化合物、多価金属塩及び多塩基酸から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の剥離紙用コーティング組成物。
- シリコーンがSi−H基含有シリコーン及びビニルシリコーンからなり、さらに白金族化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の剥離紙用コーティング組成物。
- 水系樹脂がエチレン性不飽和カルボン酸単量体と共役ジエン系単量体とを含む単量体組成物を乳化重合して得られるエマルジョンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の剥離紙用コーティング組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の剥離紙用コーティング組成物から形成された剥離剤層を有する剥離紙であって、該組成物中のシリコーンが剥離剤層の表面方向に偏在化してなることを特徴とする剥離紙。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の剥離紙用コーティング組成物から形成された剥離剤層を有する剥離紙であって、軽剥離性あるいは中剥離性を有することを特徴とする剥離紙。
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