JP4450765B2 - ヒートシンク材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばICチップから発生する熱を効率よく放熱させるヒートシンクを構成するためのヒートシンク材及びその製造方法に関する。
本発明は、例えばICチップから発生する熱を効率よく放熱させるヒートシンクを構成するためのヒートシンク材及びその製造方法に関する。
一般に、ICチップにとって熱は大敵であり、内部温度が最大許容接合温度を超えないようにしなければならない。また、パワートランジスタや半導体整流素子等の半導体装置では、動作面積当たりの消費電力が大きいため、半導体装置のケース(パッケージ)やリードから放出される熱量だけでは、発生熱量を放出しきれず、装置の内部温度が上昇して熱破壊を引き起こすおそれがある。
この現象は、CPUを搭載したICチップにおいても同じであり、クロック周波数の向上に伴って動作時の発熱量が多くなり、放熱を考慮した熱設計が重要な事項となってきている。
前記熱破壊の防止等を考慮した熱設計においては、ICチップのケース(パッケージ)に放熱面積の大きいヒートシンクを固着することを加味した素子設計や実装設計が行われている。
前記ヒートシンク用の材料としては、一般に、熱伝導度の良好な銅やアルミニウム等の金属材料が使用されている。
そして、従来のヒートシンク材としては、SiCを主成分とするセラミック基材に金属Cuを20〜40vol%の割合で含有させたもの(特許文献1参照)や、無機物質からなる粉末焼結多孔質体にCuを5〜30wt%含浸させたもの(特許文献2参照)などが提案されている。
前記特許文献1に係るヒートシンク材は、SiCと金属Cuの圧粉体を成形してヒートシンクを作製するという粉体成形であるため、熱膨張率と熱伝導率はあくまでも理論的な値であり、実際の電子部品等で求められる熱膨張率と熱伝導率のバランスを得ることができないという問題がある。
特許文献2は、無機物質からなる粉末焼結多孔質体に含浸されるCuの比率が低く、熱伝導度を高める上で限界が生じるおそれがある。
そこで、本出願人は、実際の電子部品(半導体装置を含む)等で求められる熱膨張率と熱伝導率とのバランスに適合した特性を得ることができるヒートシンク材と、該ヒートシンク材を容易に製造することができ、高品質のヒートシンク材の生産性を向上させることができるヒートシンク材の製造方法を提案している(特許文献3参照)。
特開平8−279569号公報 特開昭59−228742号公報 特開2001−339022号公報
本発明は、特許文献3に示すヒートシンク材にさらに改良を加え、カーボン又はグラファイトからなる多孔質焼結体と金属との密着性を向上させることができ、しかも、カーボン又はグラファイトと金属との界面においてカーバイド層を形成し易くし、ヒートシンク材としての熱伝導率、熱膨張率及び強度を備えたヒートシンク材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るヒートシンク材は、カーボン又はグラファイトと、金属とを含み、前記カーボン又はグラファイトを焼成してネットワーク化することによって得られる多孔質焼結体に前記金属が含浸されて構成され、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が180W/mK以上であって、かつ、熱膨張率が1ppm/℃〜10ppm/℃であると共に、前記金属に、カーボン又はグラファイトとの界面の少なくとも密着性改善のための元素が添加されていることを特徴とする。
これにより、カーボン又はグラファイトからなる多孔質焼結体と金属との密着性を向上させることができる。前記金属は、Cu、Alから選択された少なくとも1種を採用することができる。
そして、前記構成において、前記界面の少なくとも密着性改善のための前記添加元素が、Fe(鉄)であることが好ましい。Feは、カーボン又はグラファイトに固溶し易い元素であり、含浸時にカーボン又はグラファイトとの界面において密着性を向上させる効果がある。また、カーボン又はグラファイトとの界面における濡れ性を向上させる効果もある。
この場合、Feが0.01〜4wt%添加されていることが好ましい。Feの添加量が4wt%を超えると、金属(例えばCu)との合金化の際に、γ相が出て湯流れ性を低下させるおそれがあり、金属(例えばアルミニウム)では、θ相の量が増えて、同様に湯流れ性が低下するおそれがあるからである。
前記金属に、湯流れ性を向上させるため、Siが添加されていることが好ましい。すなわち、湯流れ性を向上させる元素として、上述した特許文献3では、Sn、P、Si、Mgが述べられているが、Feにより溶融した界面でFeよりもカーバイドとして形成し易い元素はSiだけであることが判明したからである。
この場合、前記Siが0.1〜12wt%添加されていることが好ましい。Siの量は0.1%以上で効果が出始める。しかし、12wt%を超えると、熱膨張率が大きくなり、ネットワークしたことで得られる10ppm/℃が満足できないおそれがあるからである。
そして、前記金属にFeとSiが添加されることによって、以下のような相乗効果を得ることができる。すなわち、Feの添加は、カーボン又はグラファイトとの界面での密着性を向上させるが、上述したように効果がある0.01〜4wt%までの範囲においても固液共存範囲が狭く湯流れ性が悪くなるおそれがある。湯流れ性を向上させ、かつ、Feにより溶融した界面でFeよりもカーバイドとして形成し易い元素はSiだけであることから、Siは、湯流れ性を改善することができる。
従って、Feによってカーボン又はグラファイトとの界面での溶融による密着性が上がり、その界面において、Siによってカーバイドが容易に形成されるため、ヒートシンク材として必要な熱伝導率、熱膨張率及び機械的強度を兼ね備えたヒートシンク材を得ることができる。
また、前記金属が含浸された後の前記多孔質焼結体の引張強度は3.5MPa以上であることが好ましい。引張強度は密着性に影響を受ける。同レベルの含浸状況でも密着性の違いが機械的強度に反映される。すなわち、多孔質焼結体に対する金属の密着性が高いほど、引張強度も高くなり、圧縮強度もこれに比例して高くなる。この場合、引張強度が低いと、半田付け等の際のハンドリング時に破損するおそれがあり、さらにヒートシンク材に対して、ねじ締めができなくなるおそれがある。そこで、引張強度が4.5MPa以上あればねじ締めが容易になり、3.5MPaあれば半田付け等の際のハンドリングが容易になる。
なお、作製されたヒートシンク材の閉気孔率は12vol%以下であることが好ましい。また、前記カーボン又はグラファイトとして、熱伝導率が100W/mK以上のものを使用することが好ましい。
前記カーボン又はグラファイトと前記金属との体積率が、前記カーボン又はグラファイトが20vol%〜95vol%、金属が80vol%〜5vol%の範囲であること、あるいは、前記カーボン又はグラファイトと前記金属との体積率が、前記カーボン又はグラファイトが50vol%〜95vol%、金属が50vol%〜5vol%の範囲であることが好ましい。
そして、前記カーボン又はグラファイトの表面に、カーバイド層が形成されていることが好ましい。この場合、前記カーバイド層の形成は、少なくとも前記カーボン又はグラファイトと添加元素との反応に基づくものである。
また、前記構成において、最小の熱伝導率をとる方向と、最大の熱伝導率をとる方向で、熱伝導率の比が1:5以下である。これにより、熱伝導率がほとんど等方性に近い特性を有するため、熱の拡散が良好でありヒートシンクとして使用する場合に好適である。また、設置方向をいちいち考慮する必要がなく、実装面で有利となる。
前記多孔質焼結体の気孔率は、5vol%〜50vol%であって、平均気孔径が0.1μm〜200μmであることが好ましい。
次に、本発明に係るヒートシンク材の製造方法は、カーボン又はグラファイトを焼成してネットワーク化することによって多孔質焼結体を作製する焼成工程と、前記多孔質焼結体を多数の孔が形成された保温部材にて包み、鉄製の締め付け手段にて固定する包装工程と、金属を前記多孔質焼結体中に含浸させる含浸工程とを有することを特徴とする。
これにより、カーボン又はグラファイトからなる多孔質焼結体と金属との密着性を向上することができ、しかも、カーボン又はグラファイトと金属との界面においてカーバイド層を形成し易くし、ヒートシンク材としての熱伝導率、熱膨張率及び強度を備えたヒートシンク材を得ることができる。
前記保温部材は、マイカ製のシートを含むようにしてもよい。前記締め付け手段として、針金を使用することができる。
そして、少なくとも前記包装工程を経て前記含浸工程に至る一連の工程を1サイクルとしたとき、2サイクル以降は、直前のサイクルもしくはそれ以前のサイクルにおける前記含浸工程にて前記多孔質焼結体に含浸されなかった金属を含浸用の金属として再利用するようにしてもよい。これにより、材料費の低減を図ることができ、製品コストの低廉化に有利である。
前記含浸用の金属として再利用される金属に4wt%を超えるFeが含有された段階で、前記再利用を止めることが好ましい。
前記包装工程と前記含浸工程との間に、前記包装工程にて包装された前記多孔質焼結体を予熱する工程を有するようにしてもよい。この場合、この予熱処理によってネットワーク化している多孔質焼結体に対して金属が含浸しやすくなる。予熱の温度は、含浸用の金属と同程度の温度まで予熱することが望ましい。
前記含浸工程は、前記保温部材にて包まれ、且つ、前記鉄製の締め付け手段にて固定された前記多孔質焼結体をプレス機の金型内に収容する工程と、前記金型内に前記金属の溶湯を注湯する工程と、前記プレス機のパンチで前記溶湯を押し下げ圧入して前記多孔質焼結体中に前記溶湯を含浸させる工程とを有するようにしてもよい。
また、前記焼成工程と前記包装工程との間に、前記焼成工程にて作製された前記多孔質焼結体を加工して加工体を作製する加工工程を有し、前記包装工程は、少なくとも1つの前記加工体を保温部材にて包み、鉄製の締め付け手段にて固定するようにしてもよい。
包装工程にて、2つ以上の前記加工体を保温部材にて包み、鉄製の締め付け手段にて固定する場合は、前記加工体の間に、該加工体よりも前記金属を含浸しやすい物体を挟んで行うことが望ましい。つまり、含浸の時の圧力が静水圧に近くなるように、加工体の間に多数の孔が形成されたマイカ製のシート、セラミックペーパー、多孔質を有するセラミックスやハニカムなど、多孔質焼結体よりも含浸しやすい物体を挟むことで2つ以上の加工体への前記金属の含浸が可能となる。これにより、含浸不良(未含浸や含浸量のばらつき増大)をなくすことができ、且つ、圧力も均一になることから、含浸の圧力による加工体の破損、クラックの発生なども防止できる。
また、前記包装工程と前記含浸工程との間に、前記包装工程にて包装された少なくとも1つの前記加工体を予熱する工程を有するようにしてもよい。この場合、この予熱処理によってネットワーク化している多孔質焼結体の加工体に対して金属が含浸しやすくなる。予熱の温度は、含浸用の金属と同程度の温度まで予熱することが望ましい。
そして、前記含浸工程は、前記保温部材にて包まれ、且つ、前記鉄製の締め付け手段にて固定された少なくとも1つの前記加工体をプレス機の金型内に収容する工程と、前記金型内に前記金属の溶湯を注湯する工程と、前記プレス機のパンチで前記溶湯を押し下げ圧入して前記加工体中に前記溶湯を含浸させる工程とを有するようにしてもよい。
上述した含浸工程において、前記パンチによる圧入時の圧力が、前記多孔質焼結体(加工体を含む)の圧縮強度の5倍以下であることが好ましい。具体的には、前記パンチによる圧入時の圧力が、1.01〜202MPaであることが好ましい。
前記製造方法においては、さらに、少なくとも前記金属が含浸された前記多孔質焼結体(加工体を含む)を冷却する冷却工程を有し、前記冷却工程は、前記多孔質焼結体に前記金属が含浸された前記ヒートシンク材を、冷却ガスの吹き付けもしくは冷却水が供給されている少なくとも冷却ゾーンで冷却するようにしてもよい。
なお、前記金属は、Cu、Alから選択された少なくとも1種を採用することができる。
以上説明したように、本発明に係るヒートシンク材及びその製造方法によれば、カーボン又はグラファイトからなる多孔質焼結体と金属との密着性を向上することができ、しかも、カーボン又はグラファイトと金属との界面においてカーバイド層を形成し易くし、ヒートシンク材としての熱伝導率、熱膨張率及び強度を備えたヒートシンク材を得ることができる。
以下、本発明に係るヒートシンク材及びその製造方法の実施の形態例を図1〜図11を参照しながら説明する。
本実施の形態に係るヒートシンク材10は、図1に示すように、カーボン又はグラファイトを焼成してネットワーク化することによって得られる多孔質焼結体12に金属14が含浸されて構成されている。
この場合、カーボン又はグラファイトとして、熱伝導率が100W/mK以上、望ましくは150W/mK以上(気孔がない状態での推定値)、さらに望ましくは200W/mK以上(気孔がない状態での推定値)のものを使用することが好ましい。
本実施の形態では、熱伝導率が100W/mK以上のグラファイトで構成された多孔質焼結体12の開気孔にCu(銅)を含浸させたヒートシンク材10を示す。含浸する金属14としては、Cu(銅)のほかに、Al(アルミニウム)を使用することができる。
また、多孔質焼結体12と金属14との体積率は、多孔質焼結体12が50vol%〜95vol%、金属14が50vol%〜5vol%の範囲としている。これにより、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が180〜220W/mK以上であって、且つ、熱膨張率が1ppm/℃〜10ppm/℃であるヒートシンク材を得ることができる。
多孔質焼結体12の気孔率としては、5vol%〜50vol%であることが望ましい。気孔率が5vol%以下では、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の180W/mK(室温)の熱伝導率を得ることができず、50vol%を超えると多孔質焼結体12の強度が低下し、熱膨張率を15.0ppm/℃以下に抑えることができないからである。
多孔質焼結体12の平均開気孔径(気孔径)の値としては、0.1〜200μmが望ましい。気孔径が0.1μm未満であると、開気孔内に金属14を含浸することが困難になり、熱伝導率が低下する。一方、気孔径が200μmを超えると、多孔質焼結体12の強度が低下し、熱膨張率を低く抑えることができない。
多孔質焼結体12の平均開気孔に関する分布(気孔分布)としては、0.5〜50μmに90vol%以上分布することが好ましい。0.5〜50μmの気孔が90vol%以上分布していない場合は、金属14が含浸していない開気孔が増え、熱伝導率が低下する可能性がある。
また、多孔質焼結体12に金属14を含浸して得たヒートシンク材10の閉気孔率としては、12vol%以下であることが好ましい。5vol%を超えると、熱伝導率が低下する可能性があるからである。
なお、気孔率、気孔径及び気孔分布の測定には、株式会社島津製作所製の自動ポロシメータ(商品名「オートポア9200」)を使用した。
この実施の形態に係るヒートシンク材10において、多孔質焼結体12に、該多孔質焼結体12を焼成した際の閉気孔率を低減させる添加物を添加させることが好ましい。この添加物としては、SiC及び/又はSiを挙げることができる。これにより、焼成時の閉気孔(クローズドポア)を減少させることができ、多孔質焼結体12に対する金属14の含浸率を向上させることができる。
また、多孔質焼結体12中に、該多孔質焼結体12と反応する元素を添加するようにしてもよい。この添加元素としては、Ti、W、Mo、Nb、Cr、Zr、Be、Ta、V、B、Mnから選択された1種以上を挙げることができる。これにより、多孔質焼結体12の焼成時に、該多孔質焼結体12の表面(開気孔の表面を含む)に反応層(カーバイド層)が形成され、多孔質焼結体12の開気孔に含浸される金属14との濡れ性が改善し、低圧での含浸が可能になり、しかも、微細開気孔への含浸も可能になる。
そして、本実施の形態では、多孔質焼結体12に含浸される金属14に、多孔質焼結体12との界面の密着性改善のための元素が添加されている。特に、この実施の形態では、界面の濡れ性改善のための添加元素として、Fe(鉄)を用いた。Feは、多孔質焼結体12に固溶し易い元素であり、含浸時に多孔質焼結体12との界面において密着性を向上させる効果があるからである。また、多孔質焼結体12との界面における濡れ性を向上させる効果もある。
この場合、Feは0.01〜4wt%添加されていることが好ましい。Feの添加量が4wt%を超えると、含浸される金属14が例えばCuであれば、該Cuとの合金化の際にγ相が出て湯流れ性を低下させるおそれがあり、含浸される金属14が例えばAlであれば、θ相の量が増えて同様に湯流れ性が低下するおそれがあるからである。
また、含浸される金属14に、湯流れ性を向上させるため、Siを添加することが好ましい。すなわち、湯流れ性を向上させる元素としては、Sn、P、Si、Mgがあるが(特許文献3参照)、Feにより溶融した界面でFeよりもカーバイドとして形成し易い元素はSiだけであることが判明したからである。
この場合、Siが0.1〜12wt%添加されていることが好ましい。Siの量は0.1%以上で効果が出始める。しかし、12wt%を超えると、熱膨張率が大きくなり、ネットワークしたことで得られる10ppm/℃が満足できないおそれがあるからである。
そして、含浸される金属にFeとSiが添加されることによって、以下のような相乗効果を得ることができる。
すなわち、Feの添加は、多孔質焼結体12との界面での密着性を向上させるが、上述したように効果がある0.01〜4wt%までの範囲においても固液共存範囲が狭く湯流れ性が悪くなるおそれがある。上述したように、湯流れ性を向上させ、且つ、Feにより溶融した界面でFeよりもカーバイドとして形成し易い元素はSiだけであることから、Siは、湯流れ性を改善することができる。
従って、Feによって多孔質焼結体12との界面での溶融による密着性が上がり、その界面において、Siによってカーバイドが容易に形成されるため、ヒートシンク材10として必要な熱伝導率、熱膨張率及び機械的強度を兼ね備えたヒートシンク材10を得ることができる。
また、金属14が含浸された後の多孔質焼結体12の引張強度は3.5MPa以上であることが好ましい。引張強度は密着性に影響を受ける。同レベルの含浸状況でも密着性の違いが機械的強度に反映される。すなわち、多孔質焼結体12に対する金属14の密着性が高いほど、引張強度も高くなり、それに比例して圧縮強度も高くなる。この場合、強度が低いと、ヒートシンク材10に対して、ねじ締めができなくなるおそれがある。そこで、引張強度が4.5MPa以上あればねじ締めが容易になり、3.5MPaあれば半田付け等の際のハンドリングが容易になる。
なお、多孔質焼結体12に含浸される金属14に、上述したFeに加えて、Te、Bi、Pb、Sn、Se、Li、Sb、Tl、Ca、Cd、Niから選択された1種以上を添加するようにしてもよい。この場合、多孔質焼結体12と金属14との界面の濡れ性が改善され、多孔質焼結体12の開気孔内に金属14が入り易くなる。特に、Niは、グラファイトを溶解しやすく含浸しやすいという効果がある。
また、多孔質焼結体12に含浸される金属14に、上述したFeに加えて、Nb、Cr、Zr、Be、Ti、Ta、V、B、Mnから選択された1種以上を添加するようにしてもよい。これにより、多孔質焼結体12と金属14との反応性が向上し、開気孔内において多孔質焼結体12と金属14とが密着し易くなり、閉気孔の発生を抑制することができる。
また、多孔質焼結体12に含浸される金属14に、湯流れ性を向上させるとともに残留気孔が減少するため、上述したFe及びSiに加えて、Sn、P、Mgから選択された1種以上を添加するようにしてもよい。これにより、含浸の際のばらつきを低減することができるとともに、残留気孔が減少し強度の向上を図ることができる。なお、含浸圧力を上昇させても同様の効果を得ることができる。また、金属14に、融点を低減させるための元素を添加することが好ましい。この添加元素としては、例えばZnなどがある。
次に、本実施の形態に係るヒートシンク材10の製造方法の一例について図2〜図11を参照しながら説明する。
この製造方法は、図2に示すように、グラファイトのブロック(図示せず)を焼成してネットワーク化することによって多孔質焼結体12を作製する焼成工程S1と、該焼成工程S1にて作製された多孔質焼結体12を加工して1以上のブロックを作製する加工工程S2と、多孔質焼結体12のブロックを多数の孔が形成された保温部材にて包み、鉄製の締め付け手段にて固定して包装体26(図5参照)とする包装工程S3と、包装体26に対して予熱を行う予熱工程S4と、包装体26内の多孔質焼結体12中に金属14を含浸させてヒートシンク材10とする含浸工程S5と、ヒートシンク材10を冷却する冷却工程S6とを有する。
焼成工程S1及び冷却工程S6は、特許文献3等において詳述しているため、ここでは、加工工程S2、包装工程S3、予熱工程S4及び含浸工程S5について説明する。
まず、加工工程S2によって1以上のブロック(多孔質焼結体)が作製されるが、その後の包装工程S3では、1つのブロックを包装する場合や、2以上のブロックを包装する場合がある。特に、2以上のブロックを包装する場合は、ブロック(多孔質焼結体12)よりも金属を含浸しやすい物体を挟んで包装することが望ましい。つまり、含浸の時の圧力が静水圧に近くなるように、ブロックの間にセラミックペーパー、多孔質を有するセラミックスやハニカムなど、多孔質焼結体よりも含浸しやすい物体を挟むことで2つ以上のブロックへの金属の含浸が可能となる。これにより、含浸不良(未含浸や含浸量のばらつき増大)をなくすことができ、且つ、圧力も均一になることから、含浸の圧力によるブロックの破損、クラックの発生なども防止できる。以下の説明では、2つのブロックを包装する場合を例にして説明する。
すなわち、包装工程S3は、図3に示すように、例えば2つの多孔質焼結体12のブロック20(第1及び第2のブロック20A及び20B)を用意し、これら2つのブロック20A及び20Bを上下に積層する。第1及び第2のブロック20A及び20Bの間にマイカ製のシート(第1のマイカシート22a)、セラミック製のシート(第1のセラミックシート24a)、第2のマイカシート22bを介在させる。
上方に位置する第1のブロック20Aの上面に2枚のマイカ製のシート(第3及び第4のマイカシート22c及び22d)を配置し、下方に位置する第2のブロック20Bの下面に2枚のマイカ製のシート(第5及び第6のマイカシート22e及び22f)を配置する。
さらに、図4に示すように、第1及び第2のブロック20A及び20Bの側面全面を2枚のマイカ製のシート(第7及び第8のマイカシート22g及び22h)で巻き、さらに、その外周にセラミック製のシート(第2のセラミックシート24b)を巻く。これにより、1つの包装体26が完成する。
その後、図5に示すように、包装体26の外周を例えば複数の針金28で巻き、上述した第1〜第8のマイカシート22a〜22hや第1及び第2のセラミックシート24a及び24bが外れないようにする。
図3及び図4に示すように、上述した第1〜第8のマイカシート22a〜22hには、それぞれ多数の孔30が形成されている。孔30はポンチによる穿設にて容易に形成することができる。
上述した包装体26は、1つだけ作製するのではなく、予め複数個作製しておけば、その後の製造工程の時間短縮を図ることができる。
予熱工程S4は、針金28が巻かれた包装体26を予熱炉32(図6参照)に入れ、該包装体26を加熱することで行われる。この加熱処理では、1つの包装体26を予熱炉32内に収容し、加熱を開始した時点から60分程度にて所定温度、例えば後述する溶湯64(多孔質焼結体12に含浸される金属14であって溶融した金属:図9参照)と同程度の温度まで予熱することが望ましい。具体的には、溶湯64が1200℃程度であるならば、多孔質焼結体12の予熱温度は1000℃〜1400℃が望ましい。なお、加熱時間は、上述では60分程度としたが、ブロックの大きさや個数によって変わり、例えば30分〜180分のうち、最適な時間で行われる。
特に、本実施の形態では、予熱炉32として、収容空間34が2つの包装体26を収容可能な容積を有する予熱炉32を用いた。従って、例えば60分にて加熱処理が終了する場合を想定したとき、1個目の包装体26を予熱炉32に入れて加熱を開始し、加熱開始時点から30分経過した時点で、2個目の包装体26を収容し、加熱開始時点から60分経過した時点で、1個目の包装体26を取り出すと共に、3個目の包装体26を収容し、加熱開始時点から90分経過した時点で、2個目の包装体26を取り出すという方法を採用した。これにより、生産性の向上を図ることができる。
ここで1つの実験例を示す。この実験例は、予熱炉32に投入された包装体26内の多孔質焼結体12が、予熱炉32の加熱によってどのように温度上昇するか、特に、加熱中の予熱炉32に対する包装体26の出し入れによって温度上昇にどのような影響が現れるかを確認した。
まず、包装体26内の多孔質焼結体12の温度を計測するために、図7に示すように、例えば2個目の包装体26内の3つの測定箇所、すなわち、第1の測定箇所P1(第1のブロック20Aと第2のブロック20Bとの間の中央)、第2の測定箇所P2(第1のブロック20Aと第2のブロック20Bとの間の外側の1箇所)及び第3の測定箇所P3(第2のブロック20Bの下面中央)にそれぞれ熱電対(図示せず)を取り付けた。なお、図7においては、図示を簡単にするために、第1〜第8のマイカシート22a〜22h並びに第1及び第2のセラミックシート24a及び24bを一括して保温部材36として示してある。
そして、2個目の包装体26を予熱炉32に入れ、60分経過後に予熱炉32から取り出すまでの多孔質焼結体12の温度の変化をプロットした。その結果を図8に示す。この図8において、プロット「●」が第1の測定箇所P1での温度変化を示し、プロット「○」が第2の測定箇所P2での温度変化を示し、プロット「▲」が第3の測定箇所P3での温度変化を示す。
2個目の包装体26を入れてから30分経過した時点で、多孔質焼結体12の温度上昇が停止しているが、これは、予熱炉32の扉を開け、予熱炉32内から1個目の包装体26を取り出し、3個目の包装体26を予熱炉32内に収容し、再び扉を閉めたことによるものである。扉を開けておいた時間はほぼ60秒であった。その後は、図8に示すように、規定の60分経過時点において、多孔質焼結体12の温度が1250℃程度まで上昇しており、予熱炉32の扉を開閉したことによる影響は皆無である。つまり、扉の開時間を60秒程度に短くすれば、予熱炉32による昇温能力の低下をもたらさないことがわかる。
次に、含浸工程S5は、図9に示すプレス機40を用いた。このプレス機40は、基台42と、基台42上に設けられた金型44と、金型44の空間46に対して進退自在に移動するパンチ48とを有する。
金型44の空間46内には、底板50が設置され、該底板50上にセラミック製のシート52とマイカ製のシート54の積層体56が配置されている。また、金型44の内壁に沿ってマイカ製のシート58とセラミック製のシート60の積層体62が配置されている。
そして、包装体26内の多孔質焼結体12に対して含浸処理を行う場合は、金型44の空間46内に予熱を終えた包装体26を入れ、その上から金属14の溶湯64を注湯した後、セラミック製のシート66とマイカ製のシート68の積層体70を被せる。その後、金型44の空間46内にパンチ48を挿入し、積層体70下にある溶湯64を押し下げながら金型44の空間46内にパンチ48を圧入する。このパンチ48の押圧処理によって、金属14の溶湯64は、多孔質焼結体12の開気孔中に含浸することとなる。
パンチ48による圧入時の圧力を、多孔質焼結体12の圧縮強度の5倍以下であること、ここでは、1.01〜202MPaとすることが好ましい。また、金型44の底部等に、多孔質焼結体12に残存するガスを抜くためのガス抜き孔やガスを抜くための隙間部等を形成するようにしてもよい。この場合、パンチ48の圧入時に、多孔質焼結体12に残存するガスが前記ガス抜き孔を通して抜けるため、開気孔への溶湯64の含浸がスムーズに行われることになる。
このように、上述の各工程を踏むことにより、グラファイトによる多孔質焼結体12への金属14の含浸処理を容易に行うことができ、しかも、多孔質焼結体12への金属14の含浸率を向上させることができ、直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が180W/mK以上であって、且つ、熱膨張率が1ppm/℃〜10ppm/℃であるヒートシンク材10を容易に得ることができる。
そして、含浸工程S5に至る一連の工程を1サイクルとしたとき、2サイクル以降は、直前のサイクルにおける含浸工程S5にて多孔質焼結体12に含浸されなかった金属14の溶湯64を今回のサイクルにおける含浸工程S5での含浸用の金属14の溶湯64として再利用する。すなわち、例えば図10に示すように、1サイクル目の含浸工程S5にて余った溶湯64を2サイクル目以降の含浸工程S5における溶湯64として再利用し、同様に、2サイクル目の含浸工程S5にて余った溶湯64を3サイクル目の含浸工程S5における溶湯64として再利用する。これにより、材料費の低減を図ることができ、製品コストの低廉化に有利である。
ところで、上述した実施の形態に係る製造方法においては、包装工程S3にて包装体26を針金28で縛る(締め付ける)ことから、その後の含浸工程S5にて針金28が溶湯64に溶け込むこととなる。つまり、溶湯64は鉄(Fe)が添加された金属となる。
Feは、上述したように、多孔質焼結体12に固溶し易い元素であり、含浸時に多孔質焼結体12との界面において密着性を向上させる効果がある。しかし、Feの添加量が4wt%を超えると、湯流れ性が低下するおそれがある。そこで、再利用される溶湯64に含まれるFeが4wt%となった段階で、溶湯64の再利用を止め、新たな溶湯64を使用するようにすればよい。
冷却工程S6は、多孔質焼結体12に金属14が含浸されたヒートシンク材10を、冷却ゾーン(図示せず)に搬送し、冷却ゾーンに設置されている冷やし金(図示せず)に接触させる。この冷やし金への接触によってヒートシンク材10は急速に冷却されることになる。この冷却工程S6においては、ヒートシンク材10に冷却ガスを吹き付けたり、冷やし金を水冷しながら行うようにしてもよく、特に、押湯効果を考えて冷却した方が好ましい。
このように、本実施の形態に係るヒートシンク材10の製造方法においては、カーボン又はグラファイトからなる多孔質焼結体12と金属14との密着性を向上することができ、しかも、カーボン又はグラファイトと金属14との界面においてカーバイド層を形成し易くし、ヒートシンク材10としての熱伝導率、熱膨張率及び強度を備えたヒートシンク材10を効率よく生産させることができる。
ここで、1つの実験例を示す。この実験例は、実施例1〜8及び比較例1〜10について、多孔質焼結体12への金属14の含浸状況、ヒートシンク材10の熱伝導率(板厚方向及び面方向)、熱膨張率(200℃)、圧縮強度を見たものである。
実施例1〜8及び比較例1〜10の含浸金属14の組成(主要金属及び添加元素)並びに実験結果を図11の表図に示す。
含浸状況は、湯流れ性の影響を大きく受ける。従って、含浸状況の評価は、開気孔への含浸率によって判定した。「◎」は、開気孔への含浸率が60%以上を示し、「○」は、開気孔への含浸率が40%以上を示し、「×」は、開気孔への含浸率が40%未満を示す。
添加元素がFeのみの場合(実施例1〜3、比較例1、実施例7、比較例8)は、含浸状況の評価としては、ほぼ「○」であるが、比較例1及び8においては、4wt%を超えていることから、「×」の評価となっている。添加元素がSiのみの場合(比較例2〜7、9及び10)は、含浸状況の評価としては、比較例2のみが「○」、他のものは「◎」であり、良好な結果となっている。また、添加元素がFe及びSiの場合(実施例4〜6、8)についても、含浸状況の評価が全て「◎」であり、良好な結果となっている。
次に、熱伝導率は、含浸状況と含浸される金属14の熱伝導率に影響される。従って、添加元素がFeのみの場合(実施例1〜3、比較例1、実施例7、比較例8)は、Feの添加量が多くなるにつれて金属14の熱伝導率が低下することから、ヒートシンク材10の熱伝導率も低下する傾向にある。特に、比較例1においては測定不能であった。
添加元素がSiのみの場合(比較例2〜7、9及び10)並びに添加元素がFe及びSiの場合(実施例4〜6、8)においても、Siの添加量が多くなるにつれて金属14の熱伝導率が低下することから、ヒートシンク材10の熱伝導率も低下する傾向にある。しかし、含浸状況がよいため、添加量が多いわりには熱伝導率の低下は小幅になっている。
次に、熱膨張率は、含浸状況がよいものほど金属14の影響を受けやすく大きくなる傾向にある。従って、含浸状況が「×」のものであって、Feの添加量が最も多いもの(比較例1)は、多孔質焼結体12内に含浸される金属14の量が少ないことから、グラファイトの熱膨張率に支配される。含浸状況が「◎」のもの(比較例3〜7、実施例3〜5、比較例9、10、実施例8)は、熱膨張率が5ppm/℃以上であるが、10ppm/℃以上のもの(比較例7及び10)は、実際の電子部品等で求められる熱膨張率と熱伝導率のバランスを得るには好ましくない。
次に、引張強度は、多孔質焼結体12に対する金属14の密着性の影響を大きく受ける。従って、同レベルの含浸状況でも、密着性の違いが引張強度に反映される。引張強度の評価のうち、「◎」は4.5MPa以上を示し、「○」は3.5MPa以上を示し、「×」は3.5MPa未満を示す。
引張強度が3.5MPa未満で低いと、ヒートシンク材10に対して、半田付け等のハンドリングやねじ締めができなくなるおそれがある。引張強度が3.5MPa以上であれば半田付け等の際のハンドリングが容易になり、引張強度が4.5MPa以上あればねじ締めが容易になる。
上述した含浸状況、熱伝導率、熱膨張率及び圧縮強度の各評価から総合評価を出すと、実施例1〜7について「◎」であり、総合的に良好な結果が得られていることがわかる。
なお、本発明に係るヒートシンク材及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
本実施の形態に係るヒートシンク材を示す斜視図である。 本実施の形態に係るヒートシンク材の製造方法を示す工程図である。 包装工程での処理を示す説明図(その1)である。 包装工程での処理を示す説明図(その2)である。 包装体に針金を巻いた状態を示す斜視図である。 予熱炉に1個目の包装体、2個目の包装体及び3個目の包装体を順次投入する様子を示す説明図である。 包装体内の多孔質焼結体の温度を測定するために、熱電対を設置した位置を示す説明図である。 予熱炉の加熱による2個目の包装体内の多孔質焼結体の温度変化を示す特性図である。 含浸工程で使用されるプレス機を示す構成図である。 溶湯の再利用を示す説明図である。 第1〜第8の実施例並びに第1〜第10の比較例による実験結果を示す表図である。
符号の説明
10…ヒートシンク材 12…多孔質焼結体
14…金属 20、20A、20B…ブロック
22a〜22h…マイカシート 24a、24b…セラミックシート
26…包装体 28…針金
30…孔 32…予熱炉
40…プレス機 44…金型
48…パンチ 64…溶湯

Claims (25)

  1. カーボン又はグラファイトと、金属とを含み、
    前記カーボン又はグラファイトを焼成してネットワーク化することによって得られる多孔質焼結体に前記金属が含浸されて構成され、
    直交する3軸方向の平均又はいずれかの軸方向の熱伝導率が180W/mK以上であって、かつ、
    熱膨張率が1ppm/℃〜10ppm/℃であると共に、
    前記金属に、カーボン又はグラファイトとの界面の少なくとも密着性改善のための元素が添加されていることを特徴とするヒートシンク材において、
    前記金属は、Cu、Alから選択された少なくとも1種であり、
    前記界面の少なくとも密着性改善のための添加元素がFeであって、該Feが1.2〜4wt%添加され、
    前記金属に、湯流れ性を向上させるためのSiが2.8〜12wt%添加されていることを特徴とするヒートシンク材。
  2. 請求項1記載のヒートシンク材において、
    前記Feが少なくとも1.2wt%以上添加され、かつ、前記Siが少なくとも2.8wt%以上添加されていることを特徴とするヒートシンク材。
  3. 請求項1又は2記載のヒートシンク材において、
    前記金属が含浸された後の前記多孔質焼結体の引張強度が3.5MPa以上であることを特徴とするヒートシンク材。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートシンク材において、
    閉気孔率が12vol%以下であることを特徴とするヒートシンク材。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートシンク材において、
    前記カーボン又はグラファイトとして、熱伝導率が100W/mK以上のものが使用されていることを特徴とするヒートシンク材。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートシンク材において、
    前記カーボン又はグラファイトと前記金属との体積率が、前記カーボン又はグラファイトが20vol%〜95vol%、金属が80vol%〜5vol%の範囲であることを特徴とするヒートシンク材。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートシンク材において、
    前記カーボン又はグラファイトと前記金属との体積率が、前記カーボン又はグラファイトが50vol%〜95vol%、金属が50vol%〜5vol%の範囲であることを特徴とするヒートシンク材。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートシンク材において、
    前記カーボン又はグラファイトの表面に、カーバイド層が形成されていることを特徴とするヒートシンク材。
  9. 請求項記載のヒートシンク材において、
    前記カーバイド層の形成は、少なくとも前記カーボン又はグラファイトと前記添加元素であるFe及びSiとの反応に基づくものであることを特徴とするヒートシンク材。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートシンク材において、
    最小の熱伝導率をとる方向と、最大の熱伝導率をとる方向で、熱伝導率の比が1:5以下であることを特徴とするヒートシンク材。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のヒートシンク材において、
    前記多孔質焼結体の気孔率が5vol%〜50vol%であって、平均気孔径が0.1μm〜200μmであることを特徴とするヒートシンク材。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のヒートシンク材を製造するためのヒートシンク材の製造方法であって、
    カーボン又はグラファイトを焼成してネットワーク化することによって多孔質焼結体を作製する焼成工程と、
    前記多孔質焼結体を多数の孔が形成された保温部材にて包み、鉄製の締め付け手段にて固定する包装工程と、
    Cu、Alから選択された少なくとも1種の金属を前記多孔質焼結体中に含浸させる含浸工程とを有することを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  13. 請求項12記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記保温部材は、マイカ製のシートを含むことを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  14. 請求項12又は13記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記締め付け手段は、針金であることを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項に記載のヒートシンク材の製造方法において、
    少なくとも前記含浸工程に至る一連の工程を1サイクルとしたとき、2サイクル以降は、直前のサイクルもしくはそれ以前のサイクルにおける前記含浸工程にて前記多孔質焼結体に含浸されなかった金属を含浸用の金属として再利用することを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  16. 請求項15記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記含浸用の金属として再利用される金属に4wt%を超えるFeが含有された段階で、前記再利用を止めることを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  17. 請求項12〜16のいずれか1項に記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記包装工程と前記含浸工程との間に、前記包装工程にて包装された前記多孔質焼結体を予熱する工程を有することを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  18. 請求項12〜17のいずれか1項に記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記含浸工程は、
    前記保温部材にて包まれ、且つ、前記鉄製の締め付け手段にて固定された前記多孔質焼結体をプレス機の金型内に収容する工程と、
    前記金型内に前記金属の溶湯を注湯する工程と、
    前記プレス機のパンチで前記溶湯を押し下げ圧入して前記多孔質焼結体中に前記溶湯を含浸させる工程とを有することを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  19. 請求項12〜17のいずれか1項に記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記焼成工程と前記包装工程との間に、前記焼成工程にて作製された前記多孔質焼結体を加工して加工体を作製する加工工程を有し、
    前記包装工程は、少なくとも1つの前記加工体を保温部材にて包み、鉄製の締め付け手段にて固定することを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  20. 請求項19記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記包装工程は、2つ以上の前記加工体を保温部材にて包み、鉄製の締め付け手段にて固定する場合に、前記加工体の間に、該加工体よりも前記金属を含浸しやすい物体を挟んで行うことを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  21. 請求項19又は20記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記包装工程と前記含浸工程との間に、前記包装工程にて包装された少なくとも1つの前記加工体を予熱する工程を有することを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  22. 請求項19〜21のいずれか1項に記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記含浸工程は、
    前記保温部材にて包まれ、且つ、前記鉄製の締め付け手段にて固定された少なくとも1つの前記加工体をプレス機の金型内に収容する工程と、
    前記金型内に前記金属の溶湯を注湯する工程と、
    前記プレス機のパンチで前記溶湯を押し下げ圧入して前記加工体中に前記溶湯を含浸させる工程とを有することを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  23. 請求項18又は22記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記パンチによる圧入時の圧力が、前記多孔質焼結体の圧縮強度の5倍以下であることを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  24. 請求項23記載のヒートシンク材の製造方法において、
    前記パンチによる圧入時の圧力が、1.01〜202MPaであることを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
  25. 請求項12〜24のいずれか1項に記載のヒートシンク材の製造方法において、
    さらに、少なくとも前記金属が含浸された前記多孔質焼結体を冷却する冷却工程を有し、
    前記冷却工程は、
    前記多孔質焼結体に前記金属が含浸された前記ヒートシンク材を、冷却ガスの吹き付けもしくは冷却水が供給されている少なくとも冷却ゾーンで冷却することを特徴とするヒートシンク材の製造方法。
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