JP4450350B2 - 結晶質シリコン系薄膜をプラズマcvdで形成する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリコン系薄膜をプラズマCVDで形成する方法に関し、特に、大面積で均一な厚さを有する良質の結晶質シリコン系薄膜を比較的低温でかつ迅速に形成し得る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、シリコン系薄膜は、複写機の感光ドラム上の感光層、液晶表示パネルの透明基板上に形成されるTFT(薄膜トランジスタ)アレイ、薄膜太陽電池などにおける種々の半導体層として利用されている。シリコン系薄膜の中でも結晶質シリコン薄膜は、非晶質シリコン薄膜に比べて、低抵抗であってかつキャリアの移動度を大きくし得る点において好ましい。
【0003】
ここで、液晶表示パネルはその画面の大型化が望まれており、薄膜太陽電池においては大きな発電能力と生産効率の向上のためにさらに大面積化が求められている。このように比較的大きな面積のシリコン系薄膜を簡便に形成し得る方法として、従来からプラズマCVD法がよく利用されている。
【0004】
ところで、近年ではシリコン系薄膜を利用する装置の典型例である薄膜太陽電池も多様化し、従来の非晶質薄膜太陽電池の他に結晶質薄膜太陽電池も開発され、これらを積層したハイブリッド型薄膜太陽電池も実用化されつつある。
【0005】
一般に、薄膜太陽電池は、基板上に順に積層された第1電極、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、および第2電極を含んでいる。そして、1つの光電変換ユニットは、p型層とn型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。
【0006】
光電変換ユニットの厚さの大部分を占めるi型層は実質的に真性の半導体層であって、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。したがって、i型光電変換層は光吸収のためには厚い方が好ましいが、必要以上に厚くすればその堆積のためのコストと時間が増大することになる。
【0007】
他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役割を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜太陽電池の重要な特性の1つである開放端電圧の値が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換に直接寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与しない損失となる。したがって、p型とn型の導電型層は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内で、できるだけ小さな厚さを有することが好ましい。
【0008】
このようなことから、光電変換ユニットまたは薄膜太陽電池は、それに含まれるp型とn型の導電型層が非晶質か結晶質かにかかわらず、その主要部を占めるi型光電変換層が非晶質のものは非晶質ユニットまたは非晶質薄膜太陽電池と称され、i型光電変換層が結晶質のものは結晶質ユニットまたは結晶質薄膜太陽電池と称される。
【0009】
ところで、薄膜太陽電池の変換効率を向上させる方法として、2以上の光電変換ユニットを積層してタンデム型にする方法がある。この方法においては、薄膜太陽電池の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方ユニットを配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する(たとえばSi−Ge合金などの)光電変換層を含む後方ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって薄膜太陽電池全体としての光電変換効率の向上が図られる。このようなタンデム型薄膜太陽電池の中でも、非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変換ユニットの両方を含むものは特にハイブリッド型薄膜太陽電池と称される。
【0010】
たとえば、非晶質i型シリコンが光電変換し得る光の波長は長波長側において800nm程度までであるが、結晶質i型シリコンはそれより長い約1100nm程度の波長の光までを光電変換することができる。ここで、光吸収係数の大きな非晶質シリコン光電変換層は光吸収のためには単層でも0.3μm以下の厚さで十分であるが、光吸収係数の小さな結晶質シリコン光電変換層は長波長の光をも十分に吸収するためには単層では2〜3μm程度以上の厚さを有することが好ましい。すなわち、結晶質光電変換層は、通常は、非晶質光電変換層に比べて約10倍程度の大きな厚さを有することが望まれる。
【0011】
従来の非晶質薄膜太陽電池(タンデム型を含む)では、その透明絶縁基板として、主として安価なソーダライム系ガラス基板が用いられてきた。この場合、ソーダライム系ガラス基板は比較的軟化点が低くて350℃以下で用いられることが望まれるが、非晶質光電変換ユニットは200℃以下の基板温度におけるプラズマCVDによって形成することが可能であるので、ソーダライム系ガラス基板を問題なく用いることができるのである。
【0012】
ところで、一般的なプラズマCVD法によれば、多結晶シリコン薄膜を形成するためには、結晶化促進のための何らかの工夫をしなければ、基板温度を600℃以上にしなければならない。しかし、このように高い基板温度を要する場合には、安価なソーダライム系ガラス基板などを用いることができない。他方、薄膜太陽電池の普及のためには、そのコストの低減が不可欠であり、結晶質シリコン系光電変換層を含む薄膜太陽電池においても、高価な石英ガラス基板などではなくて安価なソーダライム系ガラス基板などを用いることが望まれている。
【0013】
また、上述のように結晶質シリコン系光電変換層は非晶質光電変換層に比べてはるかに大きな厚さを有することが必要である。したがって、少なくとも1の結晶質光電変換ユニットを含む薄膜太陽電池の製造においては、その生産効率を高めるために、結晶質シリコン系光電変換層の堆積速度を高めることも望まれている。
【0014】
そこで、 特開平11−330520は、従来から比較的薄い非晶質i型光電変換層の堆積の場合に用いられていた133Pa(1Torr)以下のプラズマ反応室内圧力の代わりに、667Pa(5Torr)以上の高い反応室内圧力を利用することによって、高品質の厚い結晶質i型光電変換層を比較的低温において高速度で堆積し得ることを開示している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、平行平板型高周波プラズマCVD装置において、プラズマ放電を発生させて維持するためには、一般に、プラズマ反応室内のガス圧と平行平板電極間距離とは逆の関係にある。すなわち、ガス圧が小さいときには電極間距離を比較的大きくしなければならず、逆にガス圧が大きいときには電極間距離を小さくしなければならない。
【0016】
このような反応ガス圧と電極間距離との関係からわかるように、従来のように非晶質光電変換層が133Pa以下の低い反応ガス圧の下でプラズマCVDによって堆積される場合では、基板表面と対向電極との間(E/S間)にプラズマ放電を発生かつ維持させるためには、そのE/S間隔を2〜2.5cmの比較的広い間隔に設定することができる。しかし、結晶質光電変換層を高速度で堆積するために反応ガス圧を667Pa以上に高く設定した場合には、基板と対向電極との間にプラズマ放電を適切に発生かつ維持させるためには、そのE/S間隔を約1.5cm以下で好ましくは約1cm以下の狭い範囲に設定しなければならない。
【0017】
したがって、反応ガス圧を高く設定することに伴って、基板表面と対向電極表面との間のプラズマ放電を適切に維持するためにそれらの間隔を10mm以下に設定する場合、たとえば一辺が1mの大きな矩形の基板の両端部における対向電極との距離の差がわずかに2mmであっても、その電極間距離の変動率は20%にもなる。他方、従来のように133Pa以下の反応ガス圧の下でプラズマCVDを行なう場合には、基板表面と対向電極表面との間隔はそれらの間にプラズマ放電を維持するために20〜25mmの範囲内にあればよいので、基板の両端部において対向電極までの距離が2mmの変動が生じたとしても、その誤差は10%以下になる。
【0018】
ここで、平行平板電極の対向面積が大きくなれば、両電極間の平行性を機械的に高精度に設定することが困難になる。その結果、大面積の基板上に均一な厚さを有する結晶質シリコン系薄膜を比較的高いガス圧のもとでプラズマCVDで高速度で堆積することが困難となる。
【0019】
したがって、たとえ均一な厚さを有する結晶質シリコン薄膜を形成するように平行平板電極の平行性を設定したつもりでも、たとえば、図1の模式的な断面図において誇張されて示されているように、大面積の基板1上に堆積された結晶質シリコン薄膜2において、中央部が厚くて周辺部が薄くなることがある。逆に、図2において示されているように、基板1上に堆積された結晶質シリコン薄膜2において、中央部が薄くて周辺部が厚くなることがある。さらに、図3において示されているように、基板1上に堆積された結晶質シリコン薄膜2において、一方端縁側が厚くて他方端縁側が薄くなることもある。
【0020】
ところで、基板上にプラズマCVDで半導体層を形成して結晶質薄膜太陽電池を作製する場合、一般には、複数の反応室を有するインライン型のプラズマCVD装置が用いられる。ただし、複数の反応室を利用する場合に、それらの反応室は必ずしもインライン型に配列される必要はない。
【0021】
たとえば、図4の模式的なブロック図で示されたインライン型プラズマCVD装置は、光電変換ユニットに含まれるp型層を堆積するためのp層用反応室p1、i型層を堆積するための第1と第2のi層用反応室i1、i2、およびn型層を堆積するためのn層用反応室n1を含んでいる。なお、図面の簡略化のために図4においてはp層用反応室p1とn層用反応室n1との間に2つのi層用反応質i1、i2のみが示されているが、一般には3〜8程度のi層用反応室が設けられる。
【0022】
p層用、i層用およびn層用の反応室をそれぞれ個別に設けるのは、各層間でドーパントが混入することを防止するためである。また、i層用反応室を複数設けるのは、p層やn層に比べてはるかに厚いi層を効率的に堆積するためである。
【0023】
図4に示されているようなインライン型プラズマCVD装置においては、一般に、第1のi層用反応室i1内では均一な厚さを有するi型層の部分的層を堆積するように平行平板電極の平行性が設定される。そして、第2のi層用反応室i2内においても、同様の意図のもとにおいて、平行平板電極の平行性が第1のi層用反応室i1の場合と同様の条件に設定される。
【0024】
しかし、前述のように、第1のi層用反応室i1において均一な厚さを有するi型層を堆積するように精度良く平行平板電極の平行性を設定したつもりであっても、図1から図3のいずれかに示された膜厚不均一性を生じることが多い。そして、第1のi層用反応室i1において堆積されたi型層の部分的層がたとえば図1に示されているように厚い中央部を有していれば、第1のi層用反応室i1と同様に平行平板電極の平行性が設定された第2のi層用反応室i2においても中央部の厚いi型層の部分的層を堆積する傾向にあり、得られるi型層における厚さの不均一性をさらに助長する傾向になる。
【0025】
そこで、本発明では、比較的低い耐熱温度を有する安価な基板を用いながら簡便かつ低コストで、大面積で均一な厚さを有する良質の結晶質シリコン系薄膜を迅速にプラズマCVDで形成し得る方法を提供することを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、基板を支持するための基板支持電極とその基板に対面する対向電極とを含む平行平板型高周波電極を備えた反応室の複数を用いて結晶質シリコン系薄膜をプラズマCVDで形成する方法において、平行平板電極の各々は相互に対面する0.36m2以上の電極面を有し、反応室内に導入される原料ガスはシランとその50倍以上の流量比の水素とを含み、反応室内は667Pa以上の圧力に調整され、基板と対向電極との間隔は10mm以下に設定され、複数の反応室としては、それらの各々内で堆積される結晶質シリコン系薄膜の局所的場所に依存する厚さの不均一性を互いに打ち消すような平行平板型電極の平行性を有する反応室が組み合わされて用いられることを特徴としている。
【0027】
この方法では、電極面より小さくかつ0.36m2以上の主面を有する基板上に結晶質シリコン系薄膜を堆積させた場合に、そのシリコン系薄膜の局所的場所に依存する厚さの不均一性が±10%以内にされ得る。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明による結晶質シリコン系薄膜をプラズマCVDで形成する方法においては、その結晶質シリコン系薄膜を堆積するために少なくとも2以上のCVD反応室が用いられる。そして、本発明の方法は、少なくとも0.36m2以上の大きな面積を有する基板上に結晶質シリコン系薄膜を形成する場合に好ましく適用され得る。したがって、本発明において用いられるCVD反応室の各々は、少なくとも0.36m2以上の大きな対向面積を有する平行平板電極を備えている。なぜならば、本発明の方法は、大面積の結晶質シリコン系薄膜を均一な厚さで形成することを可能ならしめるものだからである。
【0029】
各反応室内にはシランとその50倍以上の流量比の水素とを含む原料ガスが導入され、反応室内ガス圧は667Pa以上に設定される。これは、水素による希釈率が高いほどシリコン系薄膜の結晶化が促進され、ガス圧が高いほどシリコン系薄膜の堆積速度が高まるからである。また、このように高いガス圧のもとでは、基板と対向電極との間隔(S/E間隔)が、10mm以下に設定される。これは、667Pa以上の高いガス圧のもとでは、良好なプラズマ放電を発生維持させるためにS/E間隔を小さくする必要があるからである。
【0030】
そして、複数の反応室としては、それらの各々内で堆積される結晶質シリコン系薄膜の局所的場所に依存する厚さの不均一性を互いに打ち消すような平行平板型電極の平行性を有する反応室が組み合わされて用いられる。こうすることによって、単一の反応室では結晶質シリコン系薄膜に厚さの不均一性を生じさせる場合であっても、複数の反応室を通して得られる結晶質シリコン系薄膜は均一な厚さを有することができる。
【0031】
以下において、本発明のより具体的ないくつかの実施例が、いくつかの比較例とともに説明される。
【0032】
(比較例1)
まず、比較例1として、単一のi層用CVD反応室のみを用いて、ノンドープの結晶質シリコン薄膜が大面積の基板上に形成された。すなわち、このときの基板は0.91mx0.91m=0.828m2の面積を有し、反応室内の平行平板電極は1.36m2の対向面積を有していた。そして、プラズマCVD条件としては、基板温度が150℃、原料ガスとしてのシランと希釈水素ガスとの混合比が1:140、反応室内ガス圧が1400Pa、プラズマ励起用高周波電源周波数が27.12MHz、放電電力密度が0.51W/cm2、基板と対向電極との距離(S/E距離)が8mmに設定された。このとき、基板と対向電極との間の平行性はできる限り正確に設定された。このような条件のもとで、30分間の堆積時間で結晶質シリコン薄膜が形成された。
【0033】
図5はこうして得られた結晶質シリコン薄膜2の上面を表しており、その全面に渡って25点について膜厚が測定された。その結果が、図5において、各測定点の膜厚としてnm単位の数値で示されている。この膜厚数値分布からわかるように、図5のシリコン薄膜は、図2に示されているように周辺部に比べて中央部が薄い膜になっている。
【0034】
また図5からわかるように、その膜厚不均一性において最大膜厚Dmaxは2079nm(堆積速度69nm/分に相当)であり、最小膜厚Dminは1476nm(堆積速度49nm/分に相当)である。そして、膜面の25点についての算術平均膜厚は、1733nm(堆積速度58nm/分に相当)である。この場合において、膜厚不均一性は、±(Dmax−Dmin)/(Dmax+Dmin)x100=±17.0%になる。
【0035】
(比較例2)
比較例2においても、単一のi層用CVD反応室のみを用いて、特に言及されない限り比較例1の場合と同じプラズマCVD条件のもとで、大面積の基板上に結晶質シリコン薄膜が形成された。なお、この比較例2の反応室は、比較例1の反応室とまったく同じに設計されたものである。しかし比較例2においては、基板と対向電極との間の平行性のみが比較例1の場合に比べて変化させられた。より具体的には、比較例1の場合に比べて比較例2では、基板に対向する電極の表面の中央部がその周辺部に比べて基板側に少し近づくように意図して電極設定が修正された。このように意図的に電極設定を少し変更することは、比較的容易になし得るものである。
【0036】
図6は、こうして得られた比較例2の結晶質シリコン薄膜2の上面図を表している。この比較例2のシリコン薄膜においても、その全面に渡って25点について膜厚が測定された。その結果が、図6において、各測定点の膜厚としてnm単位の数値で示されている。この膜厚数値分布からわかるように、図6のシリコン薄膜は、図1に示されているように周辺部に比べて中央部が厚い膜になっている。
【0037】
また図6からわかるように、その膜厚不均一性において最大膜厚Dmaxは1779nm(堆積速度59nm/分に相当)であり、最小膜厚Dminは1306nm(堆積速度44nm/分に相当)である。そして、膜面の25点についての算術平均膜厚は、1560nm(堆積速度52nm/分に相当)である。この場合において、膜厚不均一性は、±(Dmax−Dmin)/(Dmax+Dmin)x100=±15.3%になる。
(実施例1)
実施例1においては、比較例1と2におけるそれぞれの設定条件による2つのCVD反応室の両方を用いて、結晶質シリコン薄膜が形成された。ただし、それら2つの反応室のそれぞれにおける成膜時間は、比較例1と2の場合の半分の15分にされた。
【0038】
図7は、こうして得られた実施例1の結晶質シリコン薄膜2の上面図を表している。この実施例1のシリコン薄膜においても、その全面に渡って25点について膜厚が測定された。その結果が、図7において、各測定点の膜厚としてnm単位の数値で示されている。
【0039】
図7からわかるように、その膜厚不均一性において最大膜厚Dmaxは1811nm(堆積速度60nm/分に相当)であり、最小膜厚Dmaxは1528nm(堆積速度51nm/分に相当)である。そして、膜面の25点についての算術平均膜厚は、1648nm(堆積速度55nm/分に相当)である。この場合において、膜厚不均一性は、±(Dmax−Dmin)/(Dmax+Dmin)x100=±8.5%になる。
【0040】
すなわち、比較例1と2のいずれにおいても膜厚不均一性が±10%より大きいのに対して、実施例1においては膜厚不均一性が±10%以下になり、明らかに膜厚不均一性が改善されていることがわかる。
【0041】
(比較例3)
比較例3として、単一のi層用CVD反応室のみを用いて、ノンドープの結晶質シリコン薄膜が大面積の基板上に形成された。ただし、比較例3において用いられた反応室は、比較例1と2の場合の反応室とは別に設計されたものである。この比較例3の反応室においても、基板と対向電極との間の平行性はできる限り正確に設定された。比較例3におけるその他のプラズマCVD条件は、比較例1と2の場合と同様に設定された。
【0042】
図8はこうして得られた比較例3の結晶質シリコン薄膜2の上面を表しており、その全面に渡って25点について膜厚が測定された。その結果が、図8において、各測定点の膜厚としてnm単位の数値で示されている。この膜厚数値分布からわかるように、図8のシリコン薄膜は、図3に示されているように基板の左方辺側に比べて右方辺側が薄い膜になっている。
【0043】
また図8からわかるように、その膜厚不均一性において最大膜厚Dmaxは1856nm(堆積速度62nm/分に相当)であり、最小膜厚Dminは1244nm(堆積速度41nm/分に相当)である。そして、膜面の25点についての算術平均膜厚は、1577nm(堆積速度53m/分に相当)である。この場合において、膜厚不均一性は、±(Dmax−Dmin)/(Dmax+Dmin)x100=±19.7%になる。
【0044】
(比較例4)
比較例4においても、単一の層用CVD反応室のみを用いて、特に言及されない限り比較例3の場合と同じプラズマCVD条件のもとで、大面積の基板上に結晶質シリコン薄膜が形成された。なお、この比較例4の反応室は、比較例3の反応室とまったく同じに設計されたものである。しかし比較例4においては、基板と対向電極との間の平行性のみが比較例3の場合に比べて変化させられた。より具体的には、比較例3の場合に比べて比較例4では、基板に対向する電極の表面の右方辺側がその左方辺側に比べて基板側に少し近づくように意図して電極設定が修正された。
【0045】
図9は、こうして得られた比較例4の結晶質シリコン薄膜2の上面図を表している。この比較例4のシリコン薄膜においても、その全面に渡って25点について膜厚が測定された。その結果が、図9において、各測定点の膜厚としてnm単位の数値で示されている。この膜厚数値分布からわかるように、図9のシリコン薄膜は、図3に示されているのとは逆に基板の左方辺側に比べて右方辺側が厚い膜になっている。
【0046】
また図9からわかるように、その膜厚不均一性において最大膜厚Dmaxは11849nm(堆積速度62nm/分に相当)であり、最小膜厚Dminは1262nm(堆積速度42nm/分に相当)である。そして、膜面の25点についての算術平均膜厚は、1636nm(堆積速度55nm/分に相当)である。この場合において、膜厚不均一性は、±(Dmax−Dmin)/(Dmax+Dmin)x100=±18.9%になる。
(実施例2)
実施例2においては、比較例3と4におけるそれぞれの設定条件による2つのCVD反応室の両方を用いて、結晶質シリコン薄膜が形成された。ただし、それら2つの反応室のそれぞれにおける成膜時間は、比較例3と4の場合の半分の15分にされた。
【0047】
図10は、こうして得られた実施例2の結晶質シリコン薄膜2の上面図を表している。この実施例1のシリコン薄膜においても、その全面に渡って25点について膜厚が測定された。その結果が、図10において、各測定点の膜厚としてnm単位の数値で示されている。
【0048】
図10からわかるように、その膜厚不均一性において最大膜厚Dmaxは1689nm(堆積速度56nm/分に相当)であり、最小膜厚Dminは1456nm(堆積速度49nm/分に相当)である。そして、膜面の25点についての算術平均膜厚は、1602nm(堆積速度53nm/分に相当)である。この場合において、膜厚不均一性は、±(Dmax−Dmin)/(Dmax+Dmin)x100=±7.4%になる。
すなわち、比較例3と4のいずれにおいても膜厚不均一性が±10%より大きいのに対して、実施例2においては膜厚不均一性が±10%以下になり、明らかに膜厚不均一性が改善されていることがわかる。
【0049】
なお、以上の実施例において2つの反応室のうちの一方内で平行平板型電極が正確に平行と思われる状態から意図的に少し変位するように修正して設定されたが、たまたま意図せずして互いに逆の膜厚不均一性を生じさせる2つの反応室を選択し得る場合に、それらを組み合わせて膜厚不均一性を互いに打ち消すことによって大面積で均一膜厚の結晶質シリコン系薄膜を形成してもよいことは言うまでもない。また、以上の実施例では2つのみの反応室を用いた例が説明されたが、3以上の反応室が用いられてもよいことも言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、比較的低い耐熱温度を有する安価な基板を用いながら簡便かつ低コストで、大面積かつ均一な厚さを有する良質の結晶質シリコン系薄膜を迅速にプラズマCVDで形成し得る方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 単一のプラズマCVD反応室を用いて大面積の基板上に形成された結晶質シリコン薄膜の厚さ分布の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】 単一のプラズマCVD反応室を用いて大面積の基板上に形成された結晶質シリコン薄膜の厚さ分布の他の例を示す模式的な断面図である。
【図3】 単一のプラズマCVD反応室を用いて大面積の基板上に形成された結晶質シリコン薄膜の厚さ分布の他の例を示す模式的な断面図である。
【図4】 インライン型プラズマCVD装置の一例を示す模式的なブロック図である。
【図5】 比較例1による大面積の結晶質シリコン薄膜における膜厚分布を示す模式的な平面図である。
【図6】 比較例2による大面積の結晶質シリコン薄膜における膜厚分布を示す模式的な平面図である。
【図7】 実施例1による大面積の結晶質シリコン薄膜における膜厚分布を示す模式的な平面図である。
【図8】 比較例3による大面積の結晶質シリコン薄膜における膜厚分布を示す模式的な平面図である。
【図9】 比較例4による大面積の結晶質シリコン薄膜における膜厚分布を示す模式的な平面図である。
【図10】 実施例2による大面積の結晶質シリコン薄膜における膜厚分布を示す模式的な平面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板、2 結晶質シリコン薄膜、p1 p層用CVD反応室、i1、i2 i層用反応室、n1 n層用反応室。
Claims (2)
- 基板を支持するための基板支持電極とその基板に対面する対向電極とを含む平行平板型高周波電極を備えた反応室の複数を用いて結晶質シリコン系薄膜をプラズマCVDで形成する方法であって、
前記平行平板電極の各々は相互に対面する0.36m2以上の電極面を有し、
前記反応室内に導入される原料ガスはシランとその50倍以上の流量比の水素とを含み、
前記反応室内は667Pa以上の圧力に調整され、
前記基板と前記対向電極との間隔は10mm以下に設定され、
前記複数の反応室としては、それらの各々内で堆積される前記結晶質シリコン系薄膜の局所的場所に依存する厚さの不均一性を互いに打ち消すような前記平行平板型電極の平行性を有する反応室が組み合わされて用いられることを特徴とする方法。 - 前記電極面より小さくかつ0.36m2以上の主面を有する前記基板上に前記結晶質シリコン系薄膜を堆積させた場合に、そのシリコン系薄膜の局所的場所に依存する厚さの不均一性が±10%以内になることを特徴とする請求項1に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001065420A JP4450350B2 (ja) | 2001-03-08 | 2001-03-08 | 結晶質シリコン系薄膜をプラズマcvdで形成する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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