以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る画像処理装置の第1実施形態を示すブロック図である。この第1実施形態の画像処理装置100は、入力色信号Ci,Mi,Yi,Ki(纏めて入力色信号D1iともいう)を出力色信号Co,Mo,Yo,Ko(纏めて出力色信号D1oともいう)に変換するに際して、デバイス非依存の色信号を介在させるともに、入力のK色成分だけでなく、色成分(C,M,Y)をも参照することで、K色保存と色の見えのバランスを図る点に特徴を有する。以下、具体的に説明する。
第1実施形態の画像処理装置100は、通常の印刷機などの一方の画像出力装置(入力デバイス)としての第1デバイス140が取り扱う第1の色空間で表された入力色信号Ci,Mi,Yi,Ki(入力色信号D1i)を知覚的に等歩的であり、かつデバイス非依存な座標系である第2の色空間で表された中間色信号Lm,am,bmに変換する前段色変換処理部110と、前段色変換処理部110から出力された中間色信号Lm,am,bm(纏めて中間色信号D1mともいう)を、第3の色空間で表された出力色信号Co,Mo,Yo,Ko(出力色信号D1o)に変換する後段色変換処理部120とを有する。つまり、色変換処理機能部を、デバイス非依存空間を介するように、前後に並べた2つの色変換処理部を持つ構成とする。
また、画像処理装置100は、第1の色空間で表された入力色信号Ci,Mi,Yi,Kiに基づき、後段色変換処理部120に対して設定する色変換補正係数J1を求める色変換補正係数取得部130とを有する。色変換補正係数取得部130は、求めた色変換補正係数J1を後段色変換処理部120に設定する。
後段色変換部120から出力された出力色信号Co,Mo,Yo,Koは、これら出力色信号Co,Mo,Yo,Koに基づき所定の出力処理をする、たとえば校正用カラープリンタなどの他方の画像出力装置(出力デバイス)としての第2デバイス142に送られる。
なお、前段色変換処理部110および色変換補正係数取得部130に入力される入力色信号Ci(シアン),Mi(マゼンタ),Yi(イエロー),Ki(墨)は、入力側の特定の機器に依存(デバイス・ディペンデント・カラー;Device Dependent Color;機器依存色)した色信号である。
また、後段色変換処理部120から出力される出力色信号Co(シアン),Mo(マゼンタ),Yo(イエロー),Ko(墨)は、第2デバイス142に依存した色信号である。
さらに、前段色変換処理部110から後段色変換処理部120に渡される中間色信号Lm(明度),am,bm(ともにクロマ)は、デバイスに非依存(デバイス・インディペンデント・カラー;Device Independent Color;機器非依存色)の色信号である。ここではLab表色系としたが、これに限らず、たとえば、Hab表色系やXYZ表色系などを使用してもよい。
このように、第1実施形態の構成においては、入力デバイス依存の入力データYMCKを一旦デバイス非依存のデータLabに変換してから、墨版生成情報としての墨量調整係数を参照して、改めて出力デバイス依存の出力データYMCKを生成する。Lab信号に変換してから、墨量調整係数を参照して、出力デバイス依存の出力データYMCKを生成する処理としては、たとえば、特開平5−292306号公報に記載の手法などを応用することができる。
すなわち、L,a,b,UCR率→C,M,Y,K変換に際して、求めたUCR率からY=0%またはM=0%またはC=0%の条件下で対象色信号を再現する4色色信号のK量(アクロマチック墨量)に対して予め設定された重みづけを行なって新たなK量を決定し、そのK量に従って対象色信号を再現するY,M,Cの量を決定する。これにより、高精度の色再現を実現しつつ、同時に目的に応じた墨量の制御が可能になる。
たとえば、前段色変換処理部110は、デバイス依存の4色成分の入力色信号D1iについて色変換処理を行ない、デバイス非依存の3色成分の中間色信号D1mを出力する。ここで、前段色変換処理部110は、アドレス指定により出力値を得るテーブル値記憶部(メモリ装置)102の一例として、色変換係数テーブルであるカラールックアップテーブル(CLUT;Colour Look Up Table)を用意する。この前段色変換処理部110が使用するカラールックアップテーブルは、外部より入力することが可能な入力デバイスプロファイルである。
このカラールックアップテーブルCLUTとしては、多次元のダイレクトルックアップテーブル(DLUT;Direct Look Up Table)を利用する。ダイレクトルックアップテーブルを利用した色変換法は、入力色空間を格子によって分割し、その格子点に対応する出力色空間のデータ(格子点データ)を用意する。本実施形態においては、テーブル値記憶部102は、CMYKのルックアップテーブル入力点に対してLab値が入る4次元入力/3次元出力の補間付きルックアップテーブル112を内部に有している。
4次元入力/3次元出力のルックアップテーブルは、たとえば特許文献3などに記載されている公知のものを利用できるし、あるいは4次元から3次元へ読み替える処理を行なうことで簡易かつコンパクトな3次元ルックアップテーブルを使用できるようにもなる。
前段色変換処理部110は、この4次元入力/3次元出力のルックアップテーブルを使用して、入力色信号D1iの各色成分(Ci,Mi,Yi,Ki)についての色変換処理を行なうことで、中間色信号D1mとしてのLm,am,bmを生成する。
この4次元入力/3次元出力のルックアップテーブルは、入力CMYKの色の値を表色系の値Labに変換するためのもの(“CMYK→LabのLUT”と記す)であり、たとえば、印刷機で出力した印刷物のカラーチャートを測色し、これに基づいてデバイスカラープロファイル(第1カラープロファイル)を作成することで得られる。具体的にはCMYKの全色空間に及ぶ多数の組み合わせについてのカラーパッチを配置したカラーチャートを印刷機または校正用カラープリンタで印刷し、各パッチを順番に測色計で測定して、各カラーパッチのLab値を求めてLUTにすることで求めることができる。
なお、ここで、4色(CMYK)の入力画像データを、3色(Lab)の1色に変換する処理をルックアップテーブルを用いて行なう場合に、1つの入力値の組合せに対して1つの格子点データを割り当てると、膨大なメモリ容量が必要となる。そこで、本実施形態では、補間演算処理を併用することによって、用いるルックアップテーブルのメモリ容量を小さなものとする。
補間演算としては、たとえば、比較的補間精度がよい補間方法である立方体補間法(5点補間法;Cubic 補間法)や、比較的回路規模が小さな補間方法である4点補間法(テトラ・ヒドラ補間;Tetra-Hydra 補間;4面体補間ともいわれる)など、公知の補間方法を利用することができる。なお、これら公知の補間方法としては、たとえば、特開平8−181874号公報、特公昭58−16180号公報、あるいは、特開昭56−14237号公報などを参照するとよい。
また、色変換補正係数取得部130は、前段色変換処理部110における色変換処理と並行して、デバイス依存の4色成分の入力色信号(入力デバイス信号)D1iに基づいて、色変換補正係数J1としての墨版生成情報を求める。本実施形態では、色変換補正係数取得部130は、墨版生成情報として、具体的には、入力画像のUCR(Under Color Remover ;アンダーカラー除去)率を画素ごとに算出し、この算出した画素ごとのUCR率を纏めたUCR率テーブルを後段色変換処理部120に設定する。
後段色変換処理部120は、前段色変換処理部110から出力されたデバイス非依存の3色成分の中間色信号D1mについて、色変換補正係数取得部130にて算出されたUCR率を参照して色変換処理を行ない、デバイス依存の4色成分の出力色信号D1oを出力する。
ここで、後段色変換処理部120は、アドレス指定により出力値を得るテーブル値記憶部(メモリ装置)102の一例として、前段色変換処理部110と同様に、カラールックアップテーブルCLUTとして、多次元のダイレクトルックアップテーブルを利用する。本実施形態では、後段色変換処理部120は、LabとUCR率のルックアップテーブル入力点に対してYMCK値が入る3次元入力/4次元出力の補間付きルックアップテーブル122を内部に有している。3次元入力/4次元出力のルックアップテーブルは、たとえば3次元から4次元へ読み替える処理を行なうことで簡易かつコンパクトなルックアップテーブルを使用できるようになる。
この3次元入力/4次元出力のルックアップテーブルは、表色系の値LabをCMYKの色の値に変換するためのもの(“Lab→CMYKのLUT”と記す)であり、たとえば、校正用カラープリンタなどの第2デバイス142のデバイスカラープロファイルを読み込み補間演算などにより得られる。たとえば、一般に出力デバイスのICC(International Color Consortium)プロファイルは、Lab→CMYKを格子点にて対応付けてパラメータとして持っているので、これを取り込めばよい。
たとえば、“Lab→CMYKのLUT”は、3次元入力/4次元出力DLUTであり、所定サイズの格子点の間の点については補間を行なって変換する。具体的には、前述の“CMYK→LabのLUT”のC×M×Y×K(所定サイズ)についてのLab値である4次元データから、C×M×Y(所定サイズ)についてのLab値である3次元データへの変換を行なう。
ここで、本実施形態特有の構成として、後段色変換処理部120においては、墨量を色変換補正係数取得部130にて算出されるUCR率で調整する。つまり、色変換補正係数取得部130にて入力画像のUCR率を求め、前段色変換処理部110における前段色変換処理により得られるLab信号と色変換補正係数取得部130にて求められる画素ごとのUCR率とから、出力用CMYK信号を求める。
このように、第1実施形態の構成においては、CMYK→CMYK色変換を、機器依存のCMYK信号からLab信号のような機器独立の表色系の色空間への変換、および、Lab信号からCMYK信号への変換によって実現することで、測色的一致を達成する。ただし、機器独立の表色系の色空間(ハブ空間と呼ばれる)は3次元であり、単に機器依存のCMYK信号、ハブ空間、機器依存のCMYK信号といったようにつなぐだけでは、次元の縮退により、たとえばK色に関する情報が消失しK保存は実現できない、あるいは色再現域の違いの影響を受けるなどの不具合が生じる。
そこで、本実施形態では、前段色変換処理部110で算出したLab値と入力画像に基づき色変換補正係数取得部130にて生成される墨量調整係数とに基づき、出力プリンタの特性データを用いて、たとえば色差最小法によりYMCK値を算出する。このような色差最小法を用いた算出手法に関しては、公知の技術であるので、ここではその詳細な説明は割愛する。
CMYK→CMYKにおいて、K信号の扱いを、入力デバイス信号のUCR率と出力信号のUCR率を色変換補正係数取得部130におけるUCR率算出によって関係付けることで、出力CMYK信号の生成に出力デバイスの特性を考慮することができる。これにより、結果として、K信号の入る部分でのCMYKバランスをとる。K信号の多い部分でのCMYKバランスなどを好適にすることで、出力結果での見えをよくし、印刷機の再現に近づけることができる。
特開2001−119595号公報記載の仕組みでは、入力側のK色信号を出力側のK色信号に置き換えることでK色保存の色変換処理を実現しているが、それではCMYとKとのバランスが入力と出力のガマット(Gamut )差の影響で出力デバイスで最適なバランスを実現できず、色の見えが悪くなる場合が発生する。これに対して、第1実施形態の仕組みのような単純なK色信号保存ではなく、UCR率でCMYKのバランスを好適にすることで、この問題を解消することができる。
図2は、第1実施形態の色変換補正係数取得部130における処理手順の一例を示すフローチャートである。色変換補正係数取得部130は、色変換補正係数J1としての墨版生成情報を求めるに当たり、色信号CMYと墨信号Kの割合比を参照する。
たとえば、色変換補正係数取得部130は先ず、入力画像データとして、デバイス依存の4色成分の入力色信号D1iを受け取ると、画素ごとに、以下のようにしてUCR率を求める。すなわち、先ず、入力色信号Ciが入力色信号Mi以上(Ci≧Mi)で、かつ、入力色信号Ciが入力色信号Yi以上(Ci≧Yi)であるか否かを判定する(S120)。条件に合致しない場合(S120−No)、色変換補正係数取得部130は、色変換補正係数J1としてのUCR率を入力色信号Kiと入力色信号Ciの比(UCR率=Ki÷Ci)とする(S122)。
一方、条件に合致する場合には(S120−Yes)、色変換補正係数取得部130はさらに、入力色信号Miが入力色信号Yi以上(Mi≧Yi)であるか否かを判定する(S124)。そして、条件に合致しない場合(S124−No)、色変換補正係数取得部130は、UCR率を入力色信号Kiと入力色信号Miの比(UCR率=Ki÷Mi)とする(S126)。また、条件に合致する場合(S124−Yes)、色変換補正係数取得部130は、UCR率を入力色信号Kiと入力色信号Yiの比(UCR率=Ki÷Yi)とする(S128)。
これら演算で求まるUCR率は、入力色信号D1iの色成分(Ci,Mi,Yi信号)に対する墨成分(Ki信号)の比率を実質的に表していると考えてよい。このUCR率は、上記演算から分かるように、入力デバイス依存のK色信号のみを参照して得られるものではなく、C,M,Yの各色も参照して得られるものである。
色変換補正係数取得部130は、このようにして求めた画素ごとのUCR率をUCR率テーブルとして纏め、このUCR率テーブルを後段色変換処理部120に設定する。
後段色変換処理部120においては、Lab→CMYK変換に当たって、出力デバイスのICCプロファイルを参照するなど出力デバイスの特性を考慮するとともに、色変換補正係数取得部130にて入力デバイス依存の色信号CMYKから求められるUCR率を参照することで、全体としては、CMYK→CMYK色変換に当たり、K色のみではなく、C,M,Y成分も参照して色変換処理を行なうことになるから、C,M,Y成分を考慮して墨量を調整することができる。つまり、色変換処理において、入力デバイス依存信号と墨版生成情報(UCR率)とから、入力デバイス依存信号の色信号を精度よく、かつ墨成分を入出力間で等価に保存して、出力デバイス依存信号に変換することができる。
図3は、第1実施形態の画像処理装置100における色変換処理の手順例を示すフローチャートである。入力プロファイルデータとして、入力側の装置に依存した入力色信号D1iであるCi,Mi,Yi,Ki信号が画像処理装置100に入力されると、先ず前段色変換処理部110は、これら入力色信号D1iの4色成分(Ci,Mi,Yi,Ki信号)を、ルックアップテーブル112内の“CMYK→Lab”を利用して、中間色信号D1mとしてのデバイス非依存のLm,am,bm信号に変換する(S140)。
また、色変換補正係数取得部130は、前段色変換処理部110における色変換処理(S140)と並行して、図2のフローチャートに示した手順に従って、入力側の装置に依存した入力色信号D1iであるCi,Mi,Yi,Ki信号に基づいて、色変換補正係数J1としてのUCR率を算出し、この算出したUCR率を後段色変換処理部120に設定する(S142)。
後段色変換処理部120は、前段色変換処理部110からのデバイス非依存の3色成分の中間色信号D1mであるLm,am,bm信号を、色変換補正係数取得部130にて算出されたUCR率を参照しつつ、第2デバイス142に対応して設定されている3次元のパラメータを持つルックアップテーブル122を利用して、出力色信号D1oとしての第2デバイス142に依存したCo,Mo,Yo,Ko信号に変換する(S144)。第2デバイス142は、この後段色変換処理部120にて色変換された出力色信号D1oに基づき印刷出力などの所定の処理をして出力する。
このとき、Ci,Mi,Yi信号とCo,Mo,Yo信号は、中間色信号D1mである同一のデバイス非依存のLm,am,bm信号を介しているので等色関係となる。
また、入力色信号D1iとして画像処理装置100に入力されるCi,Mi,Yi,Ki信号は、中間色信号D1mとしてのLm,am,bm信号とUCR率に変換される。後段色変換処理部120においては、3次元のルックアップテーブル122を利用して、Lm,am,bm信号とUCR率を出力色信号D1oとしてのCo,Mo,Yo,Ko信号に色変換する処理において、たとえば、入力されるイメージに墨がある場合に、Ci,Mi,Yi,Ki信号に応じた適切なUCR率(K色のみでなく、C,M,Yの各色も参照している)を使用してCo,Mo,Yo,Ko信号を調整できる。
これにより、Ci,Mi,Yi信号とCo,Mo,Yo信号でのCMY量の誤差が少なく、墨量自体の保存もある程度できるため、良好な出力結果を得ることができる。たとえば、入出力デバイスの各ガマットが異なっていても、入力のK色値をそのまま出力側で保存するのではなく、C,M,Yの各色を参照して調整することで、入力のK色値を出力デバイスのガマットの明度軸の全幅内で対応付けることができ、K色の再現が薄く(明るく)なったり濃く(暗く)なったりする現象を解消することができる。
よって、たとえば、従来印刷業者に印刷発注したり、設備投資をしてカラープロファイル自主作成したり、カラープロファイルメーカとやり取りしてカラープロファイルを提供してもらっていたものを、ユーザ(クライアント)が容易に印刷条件や記録媒体および、インクの違いなどを入力デバイスのカラープロファイルとして、画像処理装置100へダウンロードし、所望の印刷シミュレーション条件を選択設定するだけで、ある程度の墨保存を図りつつ、ユーザ所望の印刷シミュレーションを施した出力を簡易に得ることができる。
また、出力デバイスによっては、総量規制などの規制値がある場合があるが、その場合には、色(C,M,Y信号)と墨(K信号)の配分を適切に制御することもできるので、高画質な出力結果を得ることができる。
<第2実施形態>
図4は、本発明に係る画像処理装置の第2実施形態を示すブロック図である。この第2実施形態の画像処理装置200は、入力色信号Ci,Mi,Yi,Ki(以下纏めて入力色信号D2iともいう)を出力色信号Co,Mo,Yo,Ko(以下纏めて出力色信号D2oともいう)に変換するに際して、カラーリンク(LINK)プロファイルを利用するとともに、カラーリンクプロファイルの生成に当たり、入力のK色成分だけでなく、色成分(C,M,Y)をも参照することで、K色保存と色の見えのバランスを図る点に特徴を有する。以下、具体的に説明する。
第2実施形態の画像処理装置200は、第1の色空間で表された入力色信号Ci,Mi,Yi,Ki(入力色信号D2i)を第3の色空間で表された出力色信号Co,Mo,Yo,Ko(出力色信号D2o)に変換する色変換処理部210を有する。
色変換処理部210から出力された出力色信号Co,Mo,Yo,Koは、これら出力色信号Co,Mo,Yo,Koに基づき所定の処理をする第2デバイス242に送られる。
また、画像処理装置200は、入力デバイスのプロファイルに基づいて色変換補正係数J2を求める色変換補正係数取得部230と、入力デバイスのプロファイルと第2デバイス242のプロファイルと色変換補正係数取得部230にて求められる色変換補正係数J2とに基づいて色変換処理部210が使用するカラーリンクプロファイルを生成するカラーリンクプロファイル生成部250とを有する。色変換補正係数取得部230は、求めた色変換補正係数J2をカラーリンクプロファイル生成部250に設定する。
色変換補正係数取得部230は、入力プロファイルデータとしての、デバイス依存の4色成分の入力色信号D1iに基づいて、色変換補正係数J2としての墨版生成情報を求める。ここでは、墨版生成情報として、具体的には、UCR率を算出し、この算出したUCR率をカラーリンクプロファイル生成部250に渡す。色変換補正係数取得部230は、色変換補正係数J2としての墨版生成情報を求めるに当たり、色信号CMYと墨信号Kの割合比を参照する。
色変換処理部210は、デバイス依存の4色成分の入力色信号D2iについて、カラーリンクプロファイル生成部250から設定されるカラーリンクプロファイルを利用して色変換処理を行ない、第2デバイス242に依存したデバイス依存の4色成分の出力色信号D2oを出力する。
ここで、色変換処理部210は、アドレス指定により出力値を得るテーブル値記憶部(メモリ装置)202の一例として、CMYKのルックアップテーブル(LUT;Look Up Table )入力点に対してLab値が入る4次元入力/4次元出力の補間付きルックアップテーブル212を内部に構成可能になっている。
このルックアップテーブル212には、たとえばユーザにより入力設定可能なデバイスプロファイルに基づいてカラーリンクプロファイル生成部250が生成するカラーリンクプロファイルを格納する。色変換処理部210は、このカラーリンクプロファイルを使用して色変換処理を行なう。
カラーリンクプロファイル生成に当たっては、カラーリンクプロファイル生成部250は、先ず、第1デバイス240側のプロファイルデータを取り込む。この第1デバイス240側のプロファイルデータ(印刷プロファイルといわれる)は、第1デバイス240としての印刷機の印圧を含む特性、印刷に使用されるインクの特性、印刷用紙の種類などの印刷条件に対応して設定される変換テーブルであり、各印刷条件の組合せに対応して選択可能な状態で複数設定されるものであり、“CMYK→LabのLUT”と“Lab→YMCKのLUT”の2つのルックアップテーブルから構成される。
なお、印刷プロファイルの“CMYK→LabのLUT”は、たとえば、入力色信号D2i(C,M,Y,K)から第1デバイス240によって所定の印刷条件で印刷された印刷物のカラーチャートを測色して測色データLab値を求め、入力色信号D2i(C,M,Y,K)を測色データLab値に変換する関係として求めることができる。“CMYK→LabのLUT”は、第1デバイス240のデバイスカラープロファイルを読み込み補間演算などにより得られる。たとえば、第1デバイス240のICCプロファイルは、CMYK→LabのLUTを格子点にて対応付けてパラメータとして持っているので、これを取り込めばよい。
また、カラーリンクプロファイル生成部250は、校正用カラープリンタなどの第2デバイス242側のプロファイルデータ(出力デバイスカラープロファイル)を取り込む。この出力デバイスカラープロファイルも、第2デバイス242としての校正用カラープリンタの印圧を含む特性、印刷に使用されるインクの特性、印刷用紙の種類などの印刷条件に対応して設定される変換テーブルであり、各印刷条件の組合せに対応して選択可能な状態で複数設定されるものであり、“CMYK→LabのLUT”と“Lab→YMCKのLUT”の2つのルックアップテーブルから構成される。
出力デバイスカラープロファイルの“CMYK→LabのLUT”は、入力色信号D2i(C,M,Y,K)から第2デバイス242によって所定の印刷条件で印刷された印刷物のカラーチャートを測色して測色データLab値を求め、入力色信号D2i(C,M,Y,K)を測色データLab値に変換する関係として求めることができる。また、“Lab→CMYKのLUT”は、第2デバイス242のデバイスカラープロファイルを読み込み補間演算などにより得られる。たとえば、第2デバイス242のICCプロファイルは、Lab→CMYKを格子点にて対応付けてパラメータとして持っているので、これを取り込めばよい。
カラーリンクプロファイルは、C×M×Y×K(所定サイズ)のLUT入力点に対して出力値CMYKが入る4次元入力/4次元出力DLUTであり、次のようにして作成することができる。すなわち、第1デバイス240のデバイスカラープロファイル内の“CMYK→LabのLUT”と、校正用カラープリンタなどの第2デバイス242のデバイスカラープロファイル内の“Lab→CMYKのLUT”とを用いて、C,M,Y,Kそれぞれ、入力データ範囲(たとえば0〜255)を所定サイズで等分した点の組み合わせの、C×M×Y×K(所定サイズ)を入力点として、各点について第2デバイス242に出力させるCMYK値が出力値として入った4次元入力/4次元出力DLUTを計算することで、デバイスリンクカラープロファイルであるルックアップテーブルを作成する。
ここで、この第2実施形態の構成では、第1デバイス240のICCプロファイルと第2デバイス242のICCプロファイルから、デバイスリンクカラープロファイルを生成するが、そのときに入力K信号をそのまま出力K信号にすると、出力結果に見えの問題が生じるので、第1実施形態と同じように、UCR率を使い入力CMYK信号を出力CMYK信号にする4次元入力/4次元出力DLUTのパラメータ(格子点データ)を生成することする。
色変換処理部210は、このようにして生成されるデバイスリンクカラープロファイルを利用して、画像データについて1画素づつ色補正を行なって、校正用カラープリンタなどの第2デバイス242に出力するCMYK値を得て、第2デバイス242から出力させる。
図5は、第2実施形態の画像処理装置200における色変換処理の第1例の手順を示すフローチャートである。
先ず、色変換補正係数取得部230は、ユーザにより設定される入力デバイスのプロファイルデータを取り込み、4次元LUTを3次元LUTに読み替える処理をする(S200)。ここで、第1例の手順においては、与えられた4次元のカラープロファイルから、C=M=Yのデータを抽出する。
この後、色変換補正係数取得部230は、求めたC=M=Yデータで対応するK信号を除算し、求めた除算結果(割合比)を色変換補正係数J2としてのUCR率とする(S202)。色変換補正係数取得部230は、このようにして求めた画素ごとのUCR率をUCR率テーブルとして纏め、このUCR率テーブルをカラーリンクプロファイル生成部250に渡す。
この演算から分かるように、演算で求まるUCR率は、入力色信号D1iの色成分(Ci,Mi,Yi信号)に対する墨成分(Ki信号)の比率を表しているから、K色のみを参照して得られるものではなく、C,M,Yの各色も参照して得られるものである。カラーリンクプロファイル生成部250においてカラーリンクプロファイルを生成する際に、このUCR率を参照することで、K色保存に当たり、結果として、K色のみではなく、C,M,Y成分も参照して高精度のプロファイルデータを生成することができる。
この後、カラーリンクプロファイル生成部250は、ユーザにより設定される入力デバイスのプロファイルデータと、ユーザにより設定される第2デバイス242のプロファイルデータと、色変換補正係数取得部230にて求められる色変換補正係数J2としてのUCR率とを取り込み、これらに基づいて色変換処理部210が使用するカラーリンクプロファイルを生成する(S204)。
具体的には、“Lab→CMYKのLUT”を参照する、すなわち出力デバイスのICCプロファイルを参照するなど出力デバイスの特性を考慮するとともに、色変換補正係数取得部230にて、入力デバイス依存の色信号CMYKから求められるUCR率を参照することで、全体としては、CMYK→CMYK色変換に使用されるカラーリンクプロファイルを生成するに当たり、第1実施形態と同様に、K色のみではなく、C,M,Y成分も参照するから、C,M,Y成分を考慮して墨量を調整することができることになる。
墨版生成情報としての墨量調整係数を参照して、Lab信号と出力デバイス依存の出力データYMCKを対応付ける点では、第1実施形態と同様に、特開平5−292306号公報に記載の手法などを応用することができる。
すなわち、L,a,b,UCR率→C,M,Y,K変換に際して、色変換補正係数取得部230にて求めたUCR率からY=0%またはM=0%またはC=0%の条件下で対象色信号を再現する4色色信号のK量(アクロマチック墨量)に対して予め設定された重みづけを行なって新たなK量を決定し、そのK量に従って対象色信号を再現するY,M,Cの量を決定する。これにより、高精度の色再現を実現しつつ、同時に目的に応じた墨量の制御が可能になる。
カラーリンクプロファイル生成部250は、生成したカラーリンクプロファイルのデータを、ルックアップテーブル212のカラープロファイル書換用領域に生成データを設定する(S206)。
この後、色変換処理部210は、処理対象データとして、入力側の装置に依存した入力色信号D1iであるCi,Mi,Yi,Ki信号が画像処理装置200に入力されると、カラーリンクプロファイル生成部250により設定されたカラーリンクプロファイルを使用して色変換処理を行なうことで、出力色信号D2oとしてのCo,Mo,Yo,Ko信号を生成する。
図6は、第2実施形態の画像処理装置200における色変換処理の第2例の手順を示すフローチャートである。
先ず、色変換補正係数取得部230は、ユーザにより設定される入力デバイスのプロファイルデータを取り込み、4次元LUTを3次元LUTに読み替える処理をする(S210)。ここで、第2例の手順においては、与えられた4次元のカラープロファイルから、C=M=Y=0時のK色のデータを抽出する。
この後、色変換補正係数取得部230は、C=M=Y=0時のK色プロファイルデータを色変換補正係数J2としてのUCR率とする(S212)。色変換補正係数取得部230は、求めたUCR率をカラーリンクプロファイル生成部250に渡す。
この後、カラーリンクプロファイル生成部250は、ユーザにより設定される入力デバイスのプロファイルデータと、ユーザにより設定される第2デバイス242のプロファイルデータと、色変換補正係数取得部230にて求められる色変換補正係数J2としてのUCR率とを取り込み、これらに基づいて色変換処理部210が使用するカラーリンクプロファイルを生成する(S214)。
つまり、この第2例の手順では、C=M=Y=0の時のK量がUCR量となり、それと入力デバイスプロファイルテーブルのLab値から、出力デバイスプロファイルのLab→CMYを用いて、K信号とYMC信号の下色除去量を算出し、入力デバイスプロファイルテーブルのCMYK入力値に対応する出力デバイスプロファイルテーブルのCMYK出力値を求める。こうすることで、CMYK→CMYKが対応付けられるカラーリンクプロファイルテーブルができる。
この第2例の処理でも、求まるUCR率は、事実上、入力色信号D1iの色成分(Ci,Mi,Yi信号)に対する墨成分(Ki信号)の比率を表しているから、K色のみを参照して得られるものではなく、C,M,Yの各色も参照して得られるものである。カラーリンクプロファイル生成部250においてカラーリンクプロファイルを生成する際に、このUCR率を参照することで、CMYK→CMYK色変換に使用されるカラーリンクプロファイルを生成するに当たり、結果として、K色のみではなく、C,M,Y成分も参照して高精度のプロファイルデータを生成することができる。
カラーリンクプロファイル生成部250は、生成したカラーリンクプロファイルのデータを、ルックアップテーブル212のカラープロファイル書換用領域に生成データを設定する(S216)。
この後、色変換処理部210は、入力プロファイルデータとして、入力側の装置に依存した入力色信号D1iであるCi,Mi,Yi,Ki信号が画像処理装置200に入力されると、カラーリンクプロファイル生成部250により設定されたカラーリンクプロファイルを使用して色変換処理を行なうことで、出力色信号D2oとしてのCo,Mo,Yo,Ko信号を生成する。
このように、第2実施形態の画像処理装置200によれば、入力デバイスプロファイルと出力デバイスプロファイルとに基づいて、カラーリンクプロファイルを生成するときに、入力プロファイルデータにおける色信号と墨信号の割合比より算出したUCR率を参照するようにした。
UCR率は、K色のみでなく、C,M,Yの各色も参照しているので、K色のみではなく、C,M,Y成分も参照して高精度のプロファイルデータを生成することができるから、このカラーリンクプロファイルを使用して色変換を行なうことで、たとえば、入力されるイメージに墨がある場合に、Ci,Mi,Yi,Ki信号に応じた適切なUCR率(K色のみでなく、C,M,Yの各色も参照している)を使用してCo,Mo,Yo,Ko信号を調整できる。
よって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、Ci,Mi,Yi信号とCo,Mo,Yo信号でのCMY量の誤差が少なく、墨量自体の保存もある程度できるため、良好な出力結果を得ることができる。
CMYK→CMYKにおいて、K信号の扱いを、入力デバイスプロファイルのUCR率と出力デバイスのUCR率を色変換補正係数取得部230におけるUCR率算出によって関係付けることで、リンクプロファイルの生成に出力デバイスの特性を考慮することができる。
つまり、第2実施形態においても、色変換処理において、入力デバイス依存信号と墨版生成情報(UCR率)とから、入力デバイス依存信号の色信号を精度よく、かつ墨成分を入出力間で等価に保存して、出力デバイス依存信号に変換することができる。これにより、結果として、K信号の入る部分でのCMYKバランスをとり、K信号の多い部分でのCMYKバランスなどを好適にすることで、出力結果での見えをよくし、印刷機の再現に近づけることができる。
<第3実施形態>
図7は、本発明に係る画像処理装置の第3実施形態を示すブロック図である。この第3実施形態の画像処理装置300は、入力色信号Ci,Mi,Yi,Ki(以下纏めて入力色信号D3iともいう)を、出力機器が使用する出力色信号に変換するに際して、色変換補正係数を参照して出力色信号Co,Mo,Yo,Koを生成するとともに、入力デバイス依存信号の色信号から色情報関数を算出し、この色情報関数を使って出力色信号Co,Mo,Yo,Koを制御(調整)することで、純色保存をも図る点に特徴を有する。また、色変換補正係数J4の算出に当たり、入力デバイス依存信号の単色信号のカバレッジに応じて色情報関数の割合を制御する点に特徴を有する。以下、具体的に説明する。
この第3実施形態の画像処理装置300は、第1実施形態の構成における後段色変換処理部120と第2デバイス142との間に、後段色変換処理部320から出力された出力色信号D3oを補正して補正済みの出力色信号Com,Mom,Yom,Kom(以下纏めて補正出力色信号D3omともいう)を生成する純色補正処理部380を備えている。
また、画像処理装置300は、この純色補正処理部380を制御する機能部分として、第1の色空間で表された入力デバイス依存の入力色信号Ci,Mi,Yi,Kiに基づき、純色補正処理部380に対して設定する色情報関数としての色変換補正係数J4を求める第2色変換補正係数取得部360を備えている。第2色変換補正係数取得部360は、求めた色変換補正係数J4を純色補正処理部380に設定する。
第1実施形態と第3実施形態の構成において、テーブル値記憶部302はテーブル値記憶部102に、前段色変換処理部310は前段色変換処理部110に、後段色変換処理部320は、後段色変換処理部120に、第1色変換補正係数取得部330は色変換補正係数取得部130に、第1デバイス340は第1デバイス140に、第2デバイス342は第2デバイス142に対応するものである。ここではこれらの機能については説明を割愛する。
第2色変換補正係数取得部360は、前段色変換処理部310における色変換処理や第1色変換補正係数取得部330における色変換補正係数J3としてのUCR率の演算処理と並行して、入力プロファイルデータとしての、デバイス依存の4色成分の入力色信号D1iに基づいて、色変換補正係数J4としての色情報関数を求める。ここでは、色情報関数として、具体的には、純色率を算出し、この算出した純色率を純色補正処理部380に設定する。
ここで、第2色変換補正係数取得部360は、色変換補正係数J4としての色情報関数(純色率)を算出するに当たり、入力デバイスに依存した入力色信号D3iの単色信号(ここではK色を含む全色について)のカバレッジ(Coverage)に応じて、色情報関数(純色率)の割合を制御する。つまり、カバレッジ制御の純色率算出処理を行なう。
具体的には、第2色変換補正係数取得部360は、入力色信号D3i(Ci,Mi,Yi,Ki信号)と、ユーザにより設定される純色再現範囲指定情報J4とに基づいて、各色の純色率“100%”をピークにして、それぞれの入力カバレッジ量にて純色率を“100%”から“0%”まで制御する。こうすることで、入力信号の純色を出力デバイスの純色で連続的に制御し、急激な変色を抑制することができるようになる。
純色補正処理部380は、後段色変換処理部320から出力された出力デバイス依存の4色成分の出力色信号D3oについて、第2色変換補正係数取得部360にて算出された色変換補正係数(すなわち色情報関数)J4としての純色率を参照して補正処理を行ない、デバイス依存の4色成分の補正出力色信号D3omを出力する。こうすることで、第3実施形態の構成においては、入力デバイス依存信号での純色を出力デバイス依存信号の純色で再現することができるようになる。
図8は、第3実施形態の第2色変換補正係数取得部360における処理手順の一例を示すフローチャートである。
第2色変換補正係数取得部360は、先ず、ユーザにより指定される純色再現範囲指定情報J4を取り込む(S300)。
次に、第2色変換補正係数取得部360は、デバイス依存の4色成分の入力色信号D3iを受け取ると、4色のうちのC色成分である入力色信号CiがCi純色指定範囲内であるか否かを判定する(S310)。条件に合致する場合(S310−Yes)、第2色変換補正係数取得部360は、入力色信号D3iの4色成分のうちの、このC色成分を除く残りの3色成分(Mi,Yi,Ki)の平均値Ave(Mi,Yi,Ki)を、C色成分(Ci)で除した値を、色変換補正係数J4としての純色率CJとする(S312)。
一方、条件に合致しない場合(S310−No)、第2色変換補正係数取得部360は、4色のうちのM色成分である入力色信号MiがMi純色指定範囲内であるか否かを判定する(S320)。条件に合致する場合(S320−Yes)、第2色変換補正係数取得部360は、入力色信号D3iの4色成分のうちの、このM色成分を除く残りの3色成分(Ci,Yi,Ki)の平均値Ave(Mi,Yi,Ki)を、M色成分(Mi)で除した値を、色変換補正係数J4としての純色率MJとする(S322)。
一方、条件に合致しない場合(S320−No)、第2色変換補正係数取得部360は、4色のうちのY色成分である入力色信号YiがYi純色指定範囲内であるか否かを判定する(S330)。条件に合致する場合(S330−Yes)、第2色変換補正係数取得部360は、入力色信号D3iの4色成分のうちの、このY色成分を除く残りの3色成分(Ci,Mi,Ki)の平均値Ave(Ci,Mi,Ki)を、Y色成分(Yi)で除した値を、色変換補正係数J4としての純色率YJとする(S332)。
一方、条件に合致しない場合(S330−No)、第2色変換補正係数取得部360は、4色のうちのK色成分である入力色信号KiがKi純色指定範囲内であるか否かを判定する(S340)。条件に合致する場合(S340−Yes)、第2色変換補正係数取得部360は、入力色信号D3iの4色成分のうちの、このK色成分を除く残りの3色成分(Ci,Mi,Yi)の平均値Ave(Ci,Mi,Yi)を、K色成分(Ki)で除した値を、色変換補正係数J4としての純色率KJとする(S342)。
このように、第3実施形態の画像処理装置300においては、色変換処理後の出力デバイス依存信号に対して、第2色変換補正係数取得部360で算出した色情報関数(純色率)を用いて補正することで、入力デバイス依存信号での純色を出力デバイス依存信号の純色で再現する。この際、入力信号の純色を出力デバイスの純色で連続的に制御する、つまり、入力デバイス依存信号の単色信号のカバレッジに応じて色情報関数(純色率)の割合を制御することで、色一致を図る、すなわち急激な変色を抑制することができる。
入力デバイスに依存した入力色信号D3iの単色信号のカバレッジに応じて純色率の割合を制御すれば、入出力間のガマットの違いに拘らず、急激な変色を抑制することができる。
また、第1実施形態の説明から分かるように、後段色変換処理部320から出力される出力色信号D3oは、K色保存を図りつつ、色(C,M,Y信号)と墨(K信号)の配分を適切に制御することができているので、結果として、K色保存に加えて、色一致や純色保存を実現でき、第1や第2実施形態の構成よりもさらに高画質な出力結果を得ることができる。
たとえば、入出力デバイスの各ガマットが異なっていても、入力のK色値をそのまま出力側で保存するのではなく、C,M,Yの各色を参照して調整することで、入力のK色値を出力デバイスのガマットの明度軸の全幅内で対応付けることができ、K色の再現が薄く(明るく)なったり濃く(暗く)なったりする現象を解消することができる。
<第4実施形態>
図9は、本発明に係る画像処理装置の第4実施形態を示すブロック図である。この第4実施形態の画像処理装置400は、第3実施形態の画像処理装置300における第2色変換補正係数取得部360を第3色変換補正係数取得部460に置き換えたものであり、色変換補正係数J5としての色情報関数(具体的には純色率)の算出に当たり、入力デバイス依存信号の単色信号の彩度に応じて色情報関数の割合を制御する点に特徴を有する。以下、具体的に説明する。
先ず、第3実施形態と第4実施形態の構成において、テーブル値記憶部402はテーブル値記憶部302に、前段色変換処理部410は前段色変換処理部310に、後段色変換処理部420は、後段色変換処理部320に、第1色変換補正係数取得部430は第1色変換補正係数取得部430に、純色補正処理部480は純色補正処理部380に、第1デバイス440は第1デバイス440に、第2デバイス442は第2デバイス342に対応するものである。ここではこれらの機能については説明を割愛する。
第3色変換補正係数取得部460は、前段色変換処理部110における色変換処理や第1色変換補正係数取得部330における色変換補正係数J3としてのUCR率の演算処理と並行して、入力プロファイルデータとしての、デバイス依存の4色成分の入力色信号D3iに基づいて、色変換補正係数J5としての色情報関数を求める。ここでも、色情報関数として、具体的には、純色率を算出し、この算出した純色率を純色補正処理部380に設定する。
ここで、第3色変換補正係数取得部460は、色変換補正係数J5としての色情報関数(純色率)を算出するに当たり、入力デバイスに依存した入力色信号D3iの単色信号(ここではK色を含む全色について)の彩度に応じて色情報関数(純色率)の割合を制御する。つまり、彩度制御の純色率算出処理を行なう。
具体的には、第3色変換補正係数取得部460は、入力色信号D3i(Ci,Mi,Yi,Ki信号)に基づいて色変換補正係数(すなわち色情報関数)J5としての純色率を求めるに際し、前段色変換処理部310の色変換処理されたデバイス非依存信号Labのうちの彩度情報a,bを参照して制御することで、純色率を“100%”から“0%”まで制御する。こうすることで、入力信号の純色を出力デバイスの純色で連続的に制御し、急激な変色を第3実施形態の構成よりもさらに抑制することができるようになる。
図10は、第4実施形態の第3色変換補正係数取得部460における処理手順の一例を示すフローチャートである。
第3色変換補正係数取得部460は、デバイス依存の4色成分の入力色信号D4iを受け取ると、4色のうちのC色成分である入力色信号CiがCi純色であるか否かを判定する(S410)。条件に合致する場合(S410−Yes)、第3色変換補正係数取得部460は、入力色信号D4iの4色成分のうちの、このCiについての彩度C*(=(ai^2+bi^2)^1/2;“^”はべき乗を示す)を、その処理対象画像のC色の最大値Cimax の彩度C*(Cimax )で除した値を色変換補正係数J5としての純色率CJとする(S412)。
一方、条件に合致しない場合(S410−No)、第3色変換補正係数取得部460は、4色のうちのM色成分である入力色信号MiがMi純色であるか否かを判定する(S420)。条件に合致する場合(S420−Yes)、第3色変換補正係数取得部460は、入力色信号D4iの4色成分のうちの、このMiについての彩度C*(=(ai^2+bi^2)^1/2)を、その処理対象画像のM色の最大値Mimax の彩度C*(Mimax )で除した値を、色変換補正係数J5としての純色率MJとする(S422)。
一方、条件に合致しない場合(S420−No)、第3色変換補正係数取得部460は、4色のうちのY色成分である入力色信号YiがYi純色であるか否かを判定する(S430)。条件に合致する場合(S430−Yes)、第3色変換補正係数取得部460は、入力色信号D4iの4色成分のうちの、このYiについての彩度C*(=(ai^2+bi^2)^1/2)を、その処理対象画像のY色の最大値Yimax の彩度C*(Yimax )で除した値を、色変換補正係数J5としての純色率YJとする(S432)。
一方、条件に合致しない場合(S430−No)、第3色変換補正係数取得部460は、4色のうちのK色成分である入力色信号KiがKi純色であるか否かを判定する(S440)。条件に合致する場合(S440−Yes)、第3色変換補正係数取得部460は、入力色信号D4iの4色成分のうちの、このKiについての彩度C*(=(ai^2+bi^2)^1/2)を、その処理対象画像のK色の最大値Kimax の彩度C*(Kimax )で除した値を、色変換補正係数J5としての純色率KJとする(S442)。
このように、第4実施形態の画像処理装置400においては、色変換処理後の出力デバイス依存信号に対して、第3色変換補正係数取得部460で算出した色情報関数(純色率)を用いて補正することで、入力デバイス依存信号での純色を出力デバイス依存信号の純色で再現する。この際、前段色変換処理部410で色変換されたデバイス非依存信号ab(その結果としての彩度情報C*)を参照して純色率を“100%”から“0%”まで制御する、つまり、入力デバイス依存信号の単色信号の彩度に応じて色情報関数(純色率)の割合を制御することで、入出力間のガマットの違いに拘らず、第3実施形態よりもさらに、急激な変色を抑制することができる。
<電子計算機を利用した構成>
上述した色変換処理の仕組みは、ASIC(Application Specified Integrated Circuit)のようなそれぞれの機能をなす専用のハードウェア処理回路の組合せで構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づいて電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現することも可能である。ソフトウェアにより処理を実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
よって、上記実施形態で説明した色変換処理手法を適用した本発明に係る画像処理装置を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。
電子計算機に一連の色変換処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込マイコンなど)、あるいは、CPU(Central Processing Unit )、論理回路、記憶装置などの機能を1つのチップ上に搭載して所望のシステムを実現するSOC(System On a Chip:システムオンチップ)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
記録媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気などのエネルギの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。
この記録媒体は、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクFDを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)、PDを含む)、光磁気ディスクMO(MD(Mini Disc )を含む)、またはフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリなどよりなるICカードやミニチュアカードなどのパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)により構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMやハードディスク装置などで構成されてもよい。また、ソフトウェアを構成するプログラムは、記録媒体を介して提供されることに限らず、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。
たとえば、色変換処理をする機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、ハードウェアにて構成する場合と同様の効果は達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が色変換処理の機能を実現する。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することで、色変換処理を行なう機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム;基本ソフト)などが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって色変換処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって色変換処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
電子計算機には、たとえば、複写アプリケーションやプリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムなど、従来の画像形成装置(複合機)におけるものと同様のソフトウェアが組み込まれる。また、ネットワークを介して外部とのデータを送受信したりするための制御プログラムも組み込まれる。
このとき、色変換処理を行なう機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。たとえば、既存の複写装置制御ソフトやプリンタ制御ソフト(プリンタドライバ)に組み込まれるアドインソフトとして提供されてもよい。
図11は、CPUやメモリを利用してソフトウェア的に画像処理装置を構成する、すなわちパーソナルコンピュータなどの電子計算機の機能を利用して画像形成装置をソフトウェア的に実現する場合のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
画像処理装置を構成するコンピュータシステム900は、コントローラ部901と、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ、半導体メモリコントローラなどの、所定の外部記憶媒体5からデータを読み出したり記録したりするための駆動装置としての記録・読取制御部902とを有する。
コントローラ部901は、CPU(Central Processing Unit )912、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)913、随時書込みおよび読出しが可能であるともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)915、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)916を有している。
また、コンピュータシステム900は、ユーザインタフェースをなす機能部として、キーボードやマウスなどを有する指示入力部903と、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をユーザに提示する表示出力部904と、処理済みの画像を所定の出力媒体(たとえば印刷用紙)に形成して出力する画像形成部906と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部909とを有する。
インタフェース部909としては、処理対象データ(画像データを含む)や制御データの転送経路であるシステムバス991の他、たとえば、画像形成部906や他のプリンタとのインタフェース機能をなすプリンタIF部996、およびインターネットなどのネットワーク9との間の通信データの受け渡しを仲介する通信IF部999を有している。
表示出力部904は、たとえば、表示制御部942とCRT(Cathode Ray Tube;陰極線管)やLCD(Liquid Crystal Display;液晶)などでなるディスプレイ部944とを有する。たとえば、表示制御部942が、ディスプレイ部944上に、ガイダンス情報やスキャナユニットが取り込んだ全体画像などを表示させる。なお、表示面上にタッチパネル932を有するディスプレイ部944とすることで、指先やペンなどで所定の情報を入力する指示入力部903を構成することもできる。
画像形成部906は、たとえばスキャナユニットにて得られた画像信号により表される画像を、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する(印刷する)。
この画像形成部906は、上記実施形態で示した第2デバイス142,242,342,442に相当するものであり、たとえばイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックKの印刷出力用データを受けて、画像処理装置をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスター出力スキャンベースのプリントエンジン964を備える。
このような構成において、CPU912は、システムバス991を介してシステム全体の制御を行なう。ROM913は、CPU912の制御プログラムなどを格納する。RAM915は、SRAM(Static Random Access Memory )などで構成され、プログラム制御変数や各種処理のためのデータなどを格納する。
また、RAM915は、所定のアプリケーションプログラムによって取得した電子ドキュメント(文字データのみに限らず画像データを含んでよい)や自装置に備えられているスキャナユニット(図示せず)で取得した画像データ、さらに外部から取得した電子データなどを一時的に格納する領域を含んでいる。
たとえば色変換処理をコンピュータに実行させるプログラムは、装置構成時に予めROM913に組み込まれていてもよいし、CD−ROMやMOあるいはフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリカードなどの記録媒体を通じて配布されてもよい。さらに、他のサーバなどからインターネットなどのネットワーク9を経由してプログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりしてもよい。記録媒体には、色変換処理の一部または全ての機能を実現するプログラムを格納することができる。
また、ハードディスク装置は、制御プログラムによる各種処理のためのデータを格納したり、スキャナユニットで取得した画像データや外部から取得した印刷データなどを大量に一時的に格納したりする領域を含んでいる。また、ハードディスク装置、FDドライブ、あるいはCD−ROMドライブは、たとえば、CPU912にコンテンツ取得やアドレス取得あるいはアドレス設定などの処理をソフトウェアにて実行させるためのプログラムデータを登録するなどのために利用される。
なお、画像処理装置の各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部を専用のハードウェアにて行なう処理回路908を設けてもよい。
ソフトウェアで所定の処理を行なう仕組みは、並列処理や連続処理に柔軟に対処し得るものの、処理が複雑になるに連れ、処理時間が長くなるため、処理速度の低下が問題となる。これに対して、ハードウェア処理回路で行なうことで、高速化を図ったアクセラレータシステムを構築することができるようになる。アクセラレータシステムは、処理が複雑であっても、処理速度の低下を防ぐことができ、高いスループットを得ることができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態では一方の画像出力装置が取り扱う入力色信号および他方の画像出力装置が取り扱う出力色信号としてCMYK信号を用いた例を示したが、これに限られるものではなく、一方の画像出力装置が取り扱う複数色で示された入力色信号を他方の画像出力装置が取り扱う複数色で示された出力色信号に変換するあらゆるものに適用可能である。勿論、複数色は4色である必要もない。
たとえば、上記実施形態では、デバイス非依存(デバイスインディペンデント)な画像データとして、CIE表色系の測色データL,a,bを用いているが、たとえばsYCCなど、他のデバイス非依存な画像データを用いるようにしてもよい。
100,200,300,400…画像処理装置、102,202,302,402…テーブル値記憶部、110,310,410…前段色変換処理部、112,122,212,222,312,322,412,422…ルックアップテーブル、120,320,420…後段色変換処理部、122,222,322,422…ルックアップテーブル、130,230…色変換補正係数取得部、140,240,340,440…第1デバイス、142,242,342,442…第2デバイス、210…色変換処理部、250…カラーリンクプロファイル生成部、330,430…第1色変換補正係数取得部、360…第2色変換補正係数取得部、380,480…純色補正処理部、460…第3色変換補正係数取得部