JP2005176280A - カラー画像処理方法およびカラー画像処理装置、カラー画像処理プログラム、記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 HiFiカラーのための色変換処理として、測色的色再現と滑らかな階調表現を保証し、高い色変換精度による色変換処理を高速に実現することが可能なカラー画像処理方法および装置を提供する。
【解決手段】 入力されたL* a* b* 色信号からYMCKRG色信号に変換する時、R、Gを零とし、L* a* b* 色信号から最大・最小墨量決定部31でKの最大・最小値を決定し、墨量決定部32でKを決定する。特色量Rは、Gを零とし、L* a* b* 色信号およびKから最大・最小特色量決定部33でRの最大・最小値を決定し、特色量決定部34でRを決定する。同様に特色量Gは、L* a* b* 色信号、K、Rから最大・最小特色量決定部35でGの最大・最小値を決定し、特色量決定部36でGを決定する。YMC決定部37は、決定されたK、R、GとL* a* b* 色信号から残りのYMCを決定する。
【選択図】 図2
【解決手段】 入力されたL* a* b* 色信号からYMCKRG色信号に変換する時、R、Gを零とし、L* a* b* 色信号から最大・最小墨量決定部31でKの最大・最小値を決定し、墨量決定部32でKを決定する。特色量Rは、Gを零とし、L* a* b* 色信号およびKから最大・最小特色量決定部33でRの最大・最小値を決定し、特色量決定部34でRを決定する。同様に特色量Gは、L* a* b* 色信号、K、Rから最大・最小特色量決定部35でGの最大・最小値を決定し、特色量決定部36でGを決定する。YMC決定部37は、決定されたK、R、GとL* a* b* 色信号から残りのYMCを決定する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、入力されるカラー画像信号を、カラープリンタなどのカラー画像記録信号に変換するカラー画像処理技術に関するものであり、より詳細には、3色の入力色信号を、特色を含めた5以上のN色のカラー画像記録信号に変換する技術に関するものである。
印刷技術では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色プロセス印刷で再現できない鮮やかな色を表現するための技術として、レッド(R)、グリーン(G)およびブルー(B)の原色系インクや蛍光インクなどで構成される特色をYMCK4色に加え、色再現を行うことが行われている。特色の色見本としては、Pantone社の色見本などが知られており、1000色程度の特色が定義されている。
しかしながら、印刷機では最大で8色までしか同時に印刷することができないので、使える特色の数は最大でも8色と非常に少なく、デザイナーからは使用できる特色の数を増やしたいといった要望があった。さらに、特色インクは20色程度の基本インクを色見本で定義された配合比に従って混合して作成する必要があるが、特色インクの交換時にインク調合作業や印刷機の清掃作業等が発生するため、特色印刷は印刷現場において多大な工数がかかるといった問題があった。
このような問題に対し、印刷技術では、YMCK4色のプロセスカラーに加えてRGBのうち少なくとも1色を加えた5色ないし7色で色再現を行うことにより色域を拡大し、色分解処理により特色を測色的に再現可能とすることを目的としたHiFiカラー印刷と呼ばれる色再現方法が提案されている。HiFiカラー印刷としては、Pantone社のヘキサクローム印刷が広く用いられており、YMCK4色に加えてR系のオレンジ(O)インクとGインクを加えた6色で色再現を行うことにより、特色の90%程度を再現できることが知られている。このHiFiカラー印刷の色再現方法(以下HiFiカラーと表記する)は、インクジェット方式や電子写真方式のカラープリンタにもその適用範囲を広げてきており、色域拡大の手法として一般的なものである。
さらに、印刷やカラープリンタにおいては、入力信号としてsRGB色空間などのディスプレイやデジタルカメラの色信号が入力される場合があり、YMCK4色プロセスの印刷やカラープリンタの色域はsRGB色空間の色域よりも狭いため、忠実再現を目的とした色域拡大の要求がある。このような場合においてもHiFiカラーによる色域の拡大は有効である。
このように、HiFiカラーではカラープリンタの色域を拡大することが可能である。このとき、入力される特色の測色値信号やsRGB色信号を良好に再現するためには、入力色信号を5色から7色の画像記録信号に変換する色変換処理が行われる。この色変換処理において、出力物であるプリントの3刺激値を入力色信号の3刺激値と一致させること、すなわち測色的な色再現を実現することが必要である。
現在、業界標準として広く普及しているInternational Color Consortium(以後ICCと表記する)の提案する仕様に基づくカラーマネージメントシステム(以後CMSと表記する)では、入力色信号となるRGB色信号など機器依存の色空間から、L* a* b* やXYZ色空間のような機器独立の色信号に変換を行った後に、機器依存の色空間であるカラープリンタのYMCK色信号に変換する。このような変換処理を行うことにより、入力色信号と出力の画像記録信号が機器独立色信号において一致するため、測色的色再現を保証することが可能である。このようなCMSとしては、Apple社のMac(登録商標)OS上に搭載されているColorSyncやMicrosoft社のWindows(登録商標)に搭載されているICMが代表的なものである。
HiFiカラーにおいても、ICCに準拠したCMSを採用し、測色的色再現を実現することが考えられる。そのためには、L* a* b* やXYZ色空間のような機器独立色信号から5色ないし7色の画像記録信号への色変換を実現すれば良い。このようなHiFiカラーのための色変換処理の従来技術としては、下記の手法が提案されている。
特許文献1には、YMCKRGBの7色プロセスインクで色再現する画像形成装置が記載されている。この画像形成装置では、スキャナーなどの入力機器のRGB信号から印刷などの出力機器のYMCKRGBへの色変換をアクロマチック成分とクロマチック成分のUCRにより決定しており、所謂Kueppers Techniqueと呼ばれる手法が提案されている。この手法はHiFiカラーの色変換処理として、最初に提案された手法であり、アルゴリズムも簡便であるため、広く活用されている。
Kueppers TechniqueをICCに準拠した色変換に適用することを考えると、L* a* b* 色空間のような機器独立色信号を任意の色変換手段によりRGB色信号に変換し、RGB信号にアクロマチック成分とクロマチック成分のUCR処理を行う方法が考えられる。しかしながら、通常のUCR処理と同様に、入力色信号であるRGB色信号と画像記録信号であるYMCKRGB色信号との測色的な一致は考慮されていないため、この手法では測色的な色再現を実現できず、色変換精度が悪いといった問題がある。さらに、通常のUCR処理と同様に、この手法では出力機器の色域を十分に活用できないといった問題があり、HiFiカラーで広がった色域を十分活用できないといった問題がある。
これに対し、5色ないし7色からなるHiFiカラーの色域を3色もしくは4色の組み合わせで構成される色域に分割し、分割色域内において通常の3色もしくは4色のプリンタと同様の手法で測色値からの色変換を行う、所謂分割法と呼ばれる手法が提案されている。例えば特許文献2には、Kおよびその他の色相の近い2色を組み合わせた分割色域を用いて、測色的色再現を実現する色変換処理用のダイレクトルックアップテーブル(以下DLUTと表記する)の係数を決定する手法が提案されている。また、例えば特許文献3には、Kおよびその他の3色を組み合わせた分割色域を用いて測色的色再現を実現する色変換処理用のDLUT係数を決定する方法が提案されている。
これらの文献に記載されている分割法は、それぞれの分割色域内での測色的色再現が保証されるため、色変換精度が高いといった利点がある。Kueppers Techniqueに比べて演算量が多いが、この手法を用いて直接色変換することはまれであり、通常はL* a* b* 色空間から出力機器の5色から7色の色信号への色変換を行うDLUTの格子点パラメータを決定する際に用いられるだけであるため、演算量の多さは問題にならない。
このように分割法は、測色的色再現が保証されるため、色変換精度が高いといった利点を有する。しかし、特許文献3にも述べられているように、分割色域の境界において、色分解値が不連続となり、擬似輪郭が発生するといった本質的な問題がある。そこで特許文献3では、分割法により決定したDLUTの格子点パラメータを平滑化処理することにより、擬似輪郭の発生を抑えている。しかし、平滑化処理により色変換精度が悪化するといった新たな問題が発生する。すなわち分割法では、擬似輪郭の防止と高い色変換精度の実現の両立を図ることができないといった問題がある。
これらの従来技術に対し、発明者は特願2002−360445号において、L* a* b* 色空間などの3変数からなる第1の色信号からYMCに墨および特色を加えた第2の色信号に変換を行う色変換処理方法として、第2の色信号のうちの墨量および特色量を決定し、決定した墨量および特色量と第1の色信号から、第2の色信号の残りのYMC色信号を第1の色信号と測色的に等しくなるように決定する色変換処理方法を提案した。この方法によって、Kueppers Techniqueや分割法の問題点を改善し、測色的色再現の保証と色分解値の連続性を両立させることができる。
この色変換処理方法では、墨量および特色量の決定を、墨量および特色量に関する色信号空間の全探索により決定した墨量および特色量の最大値から最小値の間に決定する方法(以下全探索法と表記する)と、第1の色信号のアクロマチック成分およびクロマチック成分に関するUCR処理により決定する方法(以下UCR法と表記する)で行うことを提案している。全探索法では、画像記録装置の色域をすべて活用することが可能なので、墨量および特色量を変化させても色変換精度は悪化しないという利点を有する。しかし、墨量および特色量に関する色信号空間の全探索に計算時間がかかるといった問題点がある。またUCR法では、高速に墨量および特色量を決定できるといった利点を有するが、UCR率を低くして墨量および特色量を少なくすると再現できる色域が狭くなることにより、色変換精度が悪化するという問題がある。
特に、全探索法では計算時間が墨量および特色量における階調数の色数乗に比例するため、特色の数が多くなると計算時間が大幅に長くなってしまうといった問題がある。例えば階調数を256階調とし、墨に加える特色の数を1色とすると全探索に必要な計算回数は2562 =65536回であるが、特色の数を2色に増やすと計算回数は2563 =16777216回と大幅に増えてしまうことがわかる。すなわち、HiFiカラーで必要な特色の数である3色の場合では、さらに256倍の計算回数が必要になるため、実用的な時間で色変換処理を行うことが困難である。また、計算時間の短縮のために階調数を減らすと、色分解結果の滑らかさが損なわれることによる擬似輪郭の発生や、色変換精度が悪化するなどの問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、HiFiカラーのための色変換処理として、測色的色再現と滑らかな階調表現を保証し、Kueppers Techniqueや分割法の問題点を改善するとともに、これらの問題点を改善した従来技術である全探索法およびUCR法の問題点を改善し、高い色変換精度による色変換処理を高速に実現することが可能なカラー画像処理方法および装置を提供することを目的とするものである。具体的には、測色的色再現と滑らかな階調表現を保証した上で、従来の全探索法の問題である計算時間を高速化することが可能であり、従来のUCR法の問題である墨量および特色量に関するUCR率を低くしても色変換精度が悪化しないカラー画像処理方法および装置を提供することを目的とするものである。さらに、このようなカラー画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラム及びそのようなプログラムを格納した記憶媒体を提供することを目的とするものである。
本発明は、3変数からなる第1の色信号を5以上のN変数からなる第2の色信号に変換するカラー画像処理方法および装置において、第1の変換ステップあるいは第1の変換手段で第1の色信号から第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を決定し、第2の変換ステップあるいは第2の変換手段では、第1の変換ステップあるいは第1の変換手段で決定した第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号と第1の色信号とから第2の色信号の残りの3変数の色信号を第1の色信号と測色的に等しくなるように決定するものであり、第1の変換ステップあるいは第1の変換手段では、第1の色信号から前記第2の色信号の(N−3)変数のうちの1色目の色信号について色域内で入力可能な最大値および最小値の間となるように決定し、第2の色信号の(N−3)変数のうちの2色目以降の色信号については、第1の色信号とすでに決定された第2の色信号の1ないし複数の色信号とから色域内で入力可能な最大値および最小値の間となるように1色ごとに順次決定することを特徴とするものである。
特に、第1の色信号が表色系色座標上の機器独立な色信号であるとき、第1の変換ステップあるいは第1の変換手段では、第2の色信号と該第2の色信号に対応する表色系色座標上の機器独立色信号との関数をあらかじめ求めておき、第1の色信号とすでに決定された前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を入力とし、第2の色信号のうちの(N−3)変数から決定されていない1色の色信号を変化させながら、第2の色信号のうちの(N−3)変数中の残りの未決定の色信号を零として関数を解くことにより、第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号が色域内において入力可能な最大値および最小値を決定するように構成することができる。このような構成によって、第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号に関する色信号空間の全探索を行わないで、第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を決定することが可能となるため、計算時間の大幅な高速化を実現することが可能となる。
従来技術である全探索法に必要な計算時間は(階調数)(N-3) に比例するが、本発明では(階調数)×(N−3)に比例するため、特色の数が多い場合に改善効果が高い。例えば階調数を256階調とし、墨に加える特色の数を1色とすると従来技術である全探索法に必要な計算回数は2562 =65536回であるが、本発明では256×2=512回と大幅に改善されることがわかる。特に、特色の数を2色に増やすと全探索法の計算回数は2563 =16777216回と大幅に増えるが、本発明では256×3=768回とそれほど増えず、特色の数が増えた場合の改善効果が著しい。HiFiカラーで必要な特色の数である3色の場合では、従来技術である全探索法では実用的な時間で色変換処理を行うことが困難であったが、本発明では十分実用的な時間で色変換処理を行うことが可能となる。また、従来技術では計算時間の短縮のために階調数を減らすと、色分解結果の滑らかさが損なわれることによる擬似輪郭の発生や、色変換精度が悪化するなどの問題があったが、本発明では階調数を減らす必要が無いため、擬似輪郭の発生や色変換精度が悪化することは無い。さらに本発明では、第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を、色域内において入力可能である最大値および最小値の間となるように決定しているので、粒状性などの画質を考慮して、第2の色信号の(N−3)変数の色信号を任意に調整しても色変換精度が悪化しない。
さらに、本発明の第2の変換ステップあるいは第2の変換手段は、第1の色信号が表色系色座標上の機器独立な色信号であるとき、第2の色信号と該第2の色信号に対応する表色系色座標上の機器独立色信号との関数をあらかじめ求めておき、第1の色信号と第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を入力として関数を解くことにより第2の色信号の残りの3変数の色信号を決定するように構成することができる。このような構成によって、測色的色再現を保証することができる。それとともに、関数は色域を分割していないので、色分解結果は連続であり、擬似輪郭が発生することがなく、なめらかな階調表現が可能となる。
また、第1の変換ステップあるいは第1の変換手段において、第2の色信号のうちの(N−3)変数中の未処理の1色を処理色としたとき、第1の色信号から処理色の色信号に関するUCR率Aを決定し、処理色が色域内において入力可能である最大値MAXおよび最小値MINから、処理色の色信号SIGを最大値MAXおよび最小値MINの間となるように
SIG=MIN+(MAX−MIN)×A
により決定するように構成することができる。このような構成によって、粒状性などの画質を考慮して、第1の色信号に応じて第2の色信号の(N−3)変数の色信号を任意に調整することが可能となり、さらに、調整を行っても色変換精度が悪化しない。
SIG=MIN+(MAX−MIN)×A
により決定するように構成することができる。このような構成によって、粒状性などの画質を考慮して、第1の色信号に応じて第2の色信号の(N−3)変数の色信号を任意に調整することが可能となり、さらに、調整を行っても色変換精度が悪化しない。
第2の色信号は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色にレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した5色ないし7色の変数とすることができる。これによって、HiFiカラーの色変換処理を実現することができる。
また、第1の変換ステップあるいは第1の変換手段において決定される第2の色信号の(N−3)変数の色信号は、ブラックとレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した2色ないし4色の変数とし、第2の変換ステップあるいは第2の変換手段において決定される3変数の色信号はイエロー、マゼンタ、シアンの変数とすることができる。これによって、粒状性等の画質を考慮して、墨量(K)と特色量(RGB)を任意に設定することが可能となる。
さらに、第1の変換ステップにおいて決定される第2の色信号の(N−3)変数の色信号は、ブラックとレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した2色ないし4色の変数からなり、1色目に決定される色がブラックであるように構成することができる。このような構成によって、粒状性等の画質に関連が強い墨量を任意に設定することが可能となり、さらに、色変換精度の高い色変換を実現することが可能となる。
さらに、第1の変換ステップにおいて決定される第2の色信号の(N−3)変数の色信号は、ブラックとレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した2色ないし4色の変数からなり、1色目に決定される色がブラックであるように構成することができる。このような構成によって、粒状性等の画質に関連が強い墨量を任意に設定することが可能となり、さらに、色変換精度の高い色変換を実現することが可能となる。
第1の色信号として、測色値であるL* a* b* 色信号を用いることができる。これによって、測色的な色再現の一致を実現することができる。
このような本発明の構成によって、HiFiカラーに対する色変換処理として要求される測色的色再現を保証するだけでなく、従来の測色的色再現を保証した分割法の問題である擬似輪郭の発生のない、滑らかな階調表現が可能なカラー画像処理方法および装置を提供することが可能となる。加えて、従来の全探索法の問題である計算時間を大幅に短縮することが可能であり、従来のUCR法の問題である墨量および特色量に関するUCR率を低くしても色変換精度が悪化しない、あるいはUCR率をそれほど低くせずに色再現可能なカラー画像処理方法および装置を提供することが可能となる。さらに、粒状性等の画質を考慮して、墨量や特色量を任意に制御することが可能なカラー画像処理方法および装置を提供することが可能となる。
さらに、上述のような構成のカラー画像処理方法あるいはカラー画像処理装置を用いて複数の第1の色信号のそれぞれについて第2の色信号を求め、第1の色信号と第2の色信号との対をパラメータとして、任意の第1の色信号を第2の色信号に変換する色変換手段を設けた構成とすることができる。特に色変換手段として、3入力N出力のダイレクトルックアップテーブルを用いることができる。これにより、色変換処理を高速に実行することができるだけでなく、色変換精度が高い変換処理を実現することができる。
また、上述のような本発明のカラー画像処理方法は、コンピュータに実行させるカラー画像処理プログラムとして構成することもできる。さらに、そのようなカラー画像処理プログラムは、記憶媒体に格納して構成することもできる。
本発明によれば、第2の色信号の墨量および特色量を表す(N−3)変数の色信号のうちの1色目を色域内において入力可能である最大値および最小値の間となるように第1の色信号から決定し、(N−3)変数の色信号のうちの2色目以降は、第1の色信号とすでに決定した色信号から色域内において入力可能である最大値および最小値の間となるように1色ごとに順次決定し、このようにして決定した第2の色信号のうちの墨量および特色量を表す(N−3)変数の色信号と第1の色信号とから第2の色信号の残りの3変数の色信号を第1の色信号と測色的に等しくなるように決定する。特に、第2の色信号と該第2の色信号に対応する表色系色座標上の機器独立色信号との関数をあらかじめ求めておき、第1の色信号とすでに決定された第2の色信号のうちの墨量および特色量を表す(N−3)変数の色信号とを入力とし、第2の色信号のうちの(N−3)変数から決定されていない1色の色信号を変化させながら、第2の色信号のうちの(N−3)変数中の残りの未決定の色信号を零として関数を解くことにより、第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号が色域内において入力可能な最大値および最小値を決定する。
これにより、第2の色信号のうちの墨量および特色量を表す(N−3)変数の色信号に関する色信号空間の全探索を行わないで、第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を決定することが可能となるため、従来技術である全探索法に比べて、計算時間の大幅な短縮を実現することができる。さらに、本発明では、第2の色信号のうちの墨量および特色量を表す(N−3)変数の色信号を、色域内において入力可能である最大値および最小値の間となるように決定しているので、粒状性などの画質を考慮して、第2の色信号の(N−3)変数の色信号を任意に調整しても、色変換精度が悪化せずに高精度な色変換を実現することが可能となった。
さらに、このようにして決定した第2の色信号のうちの墨量および特色量を表す(N−3)変数の色信号と第1の色信号から、画像出力装置の残りの3変数の色信号であるYMC色信号を第1の色信号と測色的に等しくなるように、例えば画像出力装置の色変換モデルから数値解法を用いて決定することにより、測色的色再現を保証することが可能となった。特に、従来の測色的色再現を保証した分割法では、擬似輪郭の発生が問題であった。しかし本発明では、色域を分割せずに画像出力装置の色変換モデルを構成しているため、擬似輪郭の発生のない、滑らかな階調表現が可能となった。
さらに本発明によれば、演算量の多い色変換処理を予め行って3次元のDLUTの色変換パラメータを決定しておき、そのような3次元のDLUTで直接色変換するように構成することができる。これによって、実際の色変換処理時には非常に高速な色変換を実現することが可能になる。また、ハードウェアで本発明を実現した場合、演算量が少ないため、簡易なハードウェアで実現することができる。
このように本発明は、様々な効果を奏するものである。
図1は、本発明のカラー画像処理装置を用いたカラーDTPシステムの一例を示すブロック図である。図中、11は原稿編集装置、12は画像処理装置、13は画像出力装置、21は編集装置通信部、22はフォーマット変換部、23はラスタライズ部、24は色変換部、25は出力装置通信部である。まず、本発明のカラー画像処理装置が適用されるシステムの一例としてカラーDTPシステムを取り上げ、その構成例から説明する。
図1に示すカラーDTPシステムは、全体として、原稿編集装置11、画像処理装置12および画像出力装置13によって構成されている。原稿編集装置11は、電子的な印刷原稿を作成する装置であり、ページ記述言語やラスターイメージデータの電子原稿データを画像処理装置12に出力するものである。具体的に、原稿編集装置11としてはパーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータ上で各種DTPアプリケーションにより原稿を編集する場合と、専用のコンピュータにより原稿を編集する場合がある。
汎用のコンピュータを使用する場合は、各種のDTPソフトウェアを用いて電子原稿を編集する。作成された電子原稿は例えばAdobe社のPostScript(登録商標)プリンタドライバによりページ記述言語であるPostScript(登録商標)に変換され、イーサネット(登録商標)などのネットワークによって画像処理装置12に出力される。DTP用パソコンから画像処理装置12に送出する際のページ記述言語としては、PostScript(登録商標)に限られるものではなく、ページ記述言語であればどのようなものでも良いことは明らかである。
専用のコンピュータを使用する場合はColor Electric Prepress System(以下CEPSと表記する)と呼ばれる専用のワークステーションとアプリケーションにより電子原稿を編集することができる。作成された電子原稿は例えばラスターイメージデータの標準規格であるTIFF/ITフォーマットや印刷用の電子データとして広く普及しているScitexフォーマット等のラスター情報の形式で、イーサネット(登録商標)などのネットワークにより画像処理装置12に出力される。もちろん、CEPSから画像処理装置12に送出するラスター情報としてはTIFF/ITフォーマットに限られるものではなく、ラスター形式の画像データであればどのような画像フォーマットを用いても良いことは明らかである。
電子原稿での色信号としては、カラーDTPにおいては出力機器として印刷機を想定することが一般的であり、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの所謂YMCK色信号を用いて、電子原稿の色が指定される。また、近年色再現性の拡大により画質向上を狙ったHiFiカラー印刷と呼ばれる5色以上のインクを用いた印刷技術が存在するが、その場合は通常、特色としてレッド、グリーンおよびブルーを1色ないし3色加えた5色ないし7色の色信号を用いて電子原稿を表現する。特色については、DTPソフトウェア上に色見本ごとに測色値が定義されており、Pantone社などのメーカと色見本の番号を電子原稿上で指定することにより、L* a* b* 色信号などの測色値で色が指定される。さらに、最近ではデジタルカメラの普及とsRGB色空間などのRGB色信号の色再現標準化により、カラーDTPにおいてもRGB色信号を用いて色を指定することが一般的になってきている。
この例におけるカラーDTPシステムは、印刷所や電子原稿を作成する印刷所のクライアントで使用されているものを想定しているが、本発明はこれに限るものでなく、オフィスや家庭などで使用されるカラーDTPシステムであっても良い。例えばオフィスや家庭においては、電子原稿上の色信号としては、ディスプレイの色空間が使用されており、sRGB色空間が一般的に用いられる。
画像処理装置12は、全体として、編集装置通信部21、フォーマット変換部22、ラスタライズ部23、色変換部24および出力装置通信部25によって構成されており、原稿編集装置11から入力されたコード情報やラスター情報の電子原稿を、画像出力装置13で出力可能な形式に変換して画像出力装置13に出力する。
原稿編集装置11から送信されるYMCK、YMCKRGB、RGBおよびL* a* b* 等の色信号で指定された電子原稿は、編集装置通信部21によってLAN等のネットワークを通じて受け取られ、フォーマット変換部22およびラスタライズ部23に転送される。ページ記述言語はラスタライズ部23によって画像出力装置13で出力可能な形式のラスター形式の画像データに変換されると同時に、色変換処理が行われ、機器独立の色空間であるL* a* b* 色信号に変換される。TIFF/ITのようなラスター形式の画像データはフォーマット変換部22において解像度変換およびフォーマット変換処理され、画像出力装置13で出力可能な形式のラスター形式の画像データに変換される。同時に、色変換処理が行われ、機器独立の色空間であるL* a* b* 色信号に変換される。
ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から転送されるL* a* b* 色信号は、色変換部24により画像出力装置13の色空間の画像記録信号であるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックおよび1色以上の特色を含む5色以上の変数からなる画像記録信号に変換される。以下の説明では、特色の具体例としてレッドを想定し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックとともにレッド、グリーンを用いたYMCKRGの6色の画像記録信号に変換されるものとする。もちろん、使用する特色はレッド、グリーンに限定されるものではないし、特色の数は2色に限られるものではない。
色変換部24で色変換された画像記録信号は出力装置通信部25に転送される。出力装置通信部25では、色変換部24までの処理が施された画像記録信号を蓄積し、適宜画像出力装置13に転送することにより、画像処理装置12と画像出力装置13との処理速度の違いを吸収する。そして、画像出力装置13において、YMCKRGの6色のラスター形式の画像記録信号に従って、用紙上に画像が形成される。
ここで、ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22におけるYMCK、YMCKRGBおよびRGB色信号からL* a* b* 色信号への色変換処理については、公知のICCの仕様に基づくCMSにより実現することが可能である。なお、入力信号がL* a* b* 色信号の場合は色変換処理を行わないようにすれば良い。さらに、この例において色変換部24は、入力される色信号がL* a* b* 色信号に限定されるものではなく、XYZ等の表色系座標上の機器独立色空間となるように構成しても良い。また、デバイス色空間であるRGB色空間であってもsRGB色空間のように測色値への変換が定義されている色空間を用いても良いのは明らかである。
画像出力装置13としては、この例では6色以上の色信号で画像を記録するものであればどのような装置でもよい。例えば電子写真方式のカラープリンタ、印刷、インクジェット方式、熱転写方式および銀塩写真方式などのカラー画像出力装置であれば、どのような画像出力装置でもよい。もちろん、5色色信号で画像を記録する装置の場合には、色変換部で5色の画像記録信号に変換すればよい。
次に、本発明のカラー画像処理装置あるいは本発明のカラー画像処理方法を実現した構成である色変換部24について説明する。図2は、色変換部の第1の実施の形態を示すブロック図である。図中、31は最大・最小墨量決定部、32は墨量決定部、33,35は最大・最小特色量決定部、34,36は特色量決定部、37はYMC決定部、38は画像記録信号出力部である。
ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から色変換部24に転送されたL* a* b* 色信号は、最大・最小墨量決定部31、墨量決定部32、最大・最小特色量決定部33,35、特色量決定部34,36およびYMC決定部37に入力される。
最大・最小墨量決定部31では、入力されたL* a* b* 色信号から画像出力装置13の色域内で再現可能な墨量Kの最大値(以後最大墨量maxKと表記する)と最小値(以後最小墨量minKと表記する)を決定し、墨量決定部32に転送する。墨量決定部32では、入力されたL* a* b* 色信号から墨量Kに関するUCR率(以後墨入れ率と表記する)を決定し、墨量Kを入力された最大墨量maxKと最小墨量minKとの間の値になるように墨入れ率を用いて決定する。そして、墨量Kを最大・最小特色量決定部33,35、YMC決定部37および画像記録信号出力部38に転送する。
最大・最小特色量決定部33では、入力されたL* a* b* 色信号および墨量Kから画像出力装置13の色域内で再現可能な特色量Rの最大値(以後最大特色量maxRと表記する)と最小値(以後最小特色量minRと表記する)を決定し、特色量決定部34に転送する。特色量決定部34では、入力されたL* a* b* 色信号から特色量Rに関するUCR率(以後特色R入力率と表記する)を決定し、特色量Rを入力された最大特色量maxRと最小特色量minRとの間の値になるように特色R入力率を用いて決定する。そして、特色量Rを最大・最小特色量決定部35、YMC決定部37および画像記録信号出力部38に転送する。
最大・最小特色量決定部35では、入力されたL* a* b* 色信号および墨量K、特色量Rから画像出力装置13の色域内で再現可能な特色量Gの最大値(以後最大特色量maxGと表記する)と最小値(以後最小特色量minGと表記する)を決定し、特色量決定部36に転送する。特色量決定部36では、入力されたL* a* b* 色信号から特色量Gに関するUCR率(以後特色G入力率と表記する)を決定し、特色量Gを入力された最大特色量maxGと最小特色量minGとの間の値になるように特色G入力率を用いて決定する。そして、特色量GをYMC決定部37および画像記録信号出力部38に転送する。
YMC決定部37では、ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から入力されたL* a* b* 色信号と、墨量決定部32から入力された墨量K色信号と、特色量決定部34から入力された特色量R色信号と、特色量決定部36から入力された特色量G色信号とから、墨量がK色信号および特色量がR、G色信号の条件で、入力されるL* a* b* 色信号に測色的に一致する画像出力装置13のYMC色信号を決定し、画像記録信号出力部38に転送する。
画像記録信号出力部38は、墨量決定部32から入力される墨量K色信号と、特色量決定部34から入力される特色量R色信号と、特色量決定部36から入力される特色量G色信号と、YMC決定部37から入力されるYMC色信号を出力装置通信部25に転送する。これにより、色変換部24での色変換処理が完了する。
上述の各部について、より詳細に説明してゆく。最大・最小墨量決定部31は、入力されたL* a* b* 色信号から最大墨量maxKと最小墨量minKを決定する。そのために、予め、画像出力装置13の画像記録信号YMCKRGとそのときの測色値L* a* b* との関係を関数(以後色変換モデルと表記する)として求めておく。そして、ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から得られるL* a* b* 色信号と、墨量Kおよび特色量R、G(R=G=0)を入力として、色変換モデルを数値的に解くことにより、測色的に一致する画像出力装置13の残りの3色のYMC色信号を算出する。つぎに、墨量Kと得られたYMC色信号とによって再現される測色値と、入力色信号L* a* b* との色差を判定することにより、画像出力装置13の色域内で色再現可能な墨量Kの範囲を求める。その範囲の最大値を最大墨量maxK、最小値を最小墨量minKに決定する。
墨量決定部32では、入力されたL* a* b* 色信号から墨入れ率α(L* ,a* ,b* )を決定し、墨量Kを入力された最大墨量maxKと最小墨量minKとの間の値になるように次式を用いて決定する。
K=minK+(maxK−minK)×α(L* ,a* ,b* ) …(1)
K=minK+(maxK−minK)×α(L* ,a* ,b* ) …(1)
最大・最小特色量決定部33は、入力されたL* a* b* 色信号と、墨量決定部32で決定された墨量Kから、最大特色量maxRと最小特色量minRを決定する。そのために、予め、画像出力装置13の画像記録信号YMCKRGとそのときの測色値L* a* b* との関係を色変換モデルとして求めておき、ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から得られるL* a* b* 色信号と、墨量Kおよび特色量R、G(G=0)を入力として、色変換モデルを数値的に解くことにより、測色的に一致する画像出力装置13の残りの3色のYMC色信号を算出する。つぎに、墨量Kおよび特色量Rと得られたYMC色信号によって再現される測色値と、入力色信号L* a* b* との色差を判定することにより、画像出力装置13の色域内で色再現可能な特色量Rの範囲を求める。その範囲の最大値を最大特色量maxR、最小値を最小特色量minRに決定する。
特色量決定部34では、入力されたL* a* b* 色信号から特色R入力率β(L* ,a* ,b* )を決定し、特色量Rを入力された最大特色量maxRと最小特色量minRとの間の値になるように次式を用いて決定する。
R=minR+(maxR−minR)×β(L* ,a* ,b* ) …(2)
R=minR+(maxR−minR)×β(L* ,a* ,b* ) …(2)
最大・最小特色量決定部35および特色量決定部36も最大・最小特色量決定部33および特色量決定部34と同様である。最大・最小特色量決定部35は、入力されたL* a* b* 色信号と、墨量決定部32で決定された墨量K、特色量決定部34で決定された特色量Rから、最大特色量maxGと最小特色量minGを決定する。そのために、予め、画像出力装置13の画像記録信号YMCKRGとそのときの測色値L* a* b* との関係を色変換モデルとして求めておき、ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から得られるL* a* b* 色信号と、墨量Kおよび特色量R、Gを入力として、色変換モデルを数値的に解くことにより、測色的に一致する画像出力装置13の残りの3色のYMC色信号を算出する。つぎに、墨量Kおよび特色量R、Gと得られたYMC色信号によって再現される測色値と、入力色信号L* a* b* との色差を判定することにより、画像出力装置13の色域内で色再現可能な特色量Gの範囲を求める。その範囲の最大値を最大特色量maxG、最小値を最小特色量minGに決定する。
特色量決定部36では、入力されたL* a* b* 色信号から特色G入力率γ(L* ,a* ,b* )を決定し、特色量Rを入力された最大特色量maxGと最小特色量minGとの間の値になるように次式を用いて決定する。
G=minG+(maxG−minG)×γ(L* ,a* ,b* ) …(3)
G=minG+(maxG−minG)×γ(L* ,a* ,b* ) …(3)
YMC決定部37は、ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から得られるL* a* b* 色信号と、墨量決定部32から得られる墨量K色信号と、特色量決定部34から得られる特色量R色信号と、特色量決定部36から得られる特色量G色信号とから、上述の色変換モデルを数値的に解くことにより、画像出力装置13の墨量がK色信号で特色量がR、G色信号であり、かつ入力されるL* a* b* に測色的に一致する画像出力装置13の残りの3色のYMC色信号を決定する。
画像記録信号出力部38は、画像出力装置13に入力する画像記録信号YMCKRGを出力装置通信部25に転送する。
次に、各部における処理について具体的に説明してゆく。まず、画像出力装置13の色変換モデルの作成方法について説明する。画像出力装置13の画像記録信号YMCKRGの任意の組み合わせに対する色パッチを画像出力装置13にてプリントアウトし、測色計を用いてその時の測色値L* a* b* を測定しておく。
例えば画像記録信号YMCKRGの組み合わせとして、各色の網点面積率が20%刻みの6×6×6×6×6×6=46656個のパッチの組み合わせを画像出力装置13でプリントアウトし、測色する。測色は、例えば測色計としてX−Rite社の測色計であるX−Rite938を使用し、測定条件はD50、2度視野のL* a* b* を測定することにより行うことができる。測定に用いる色パッチの数は任意の数を使用することが可能であるが、色変換モデルの高精度化のためにできるだけ多いパッチ数が望ましい。測定に用いた表色系としては、ここでは均等色空間であるL* a* b* 表色系を使用したが、XYZ表色系などの他の表色系でも良い。ただし、色変換モデルを解く際に色差を評価するため、均等色空間が好ましい。
次に、得られた複数のYMCKRGとL* a* b* のデータセットを教師データとして、ニューラルネットワークに学習させる。ここでYMCKRGとL* a* b* との関係は、次の関数で表すことが出来る。
(L* ,a* ,b* )=F(Y,M,C,K,R,G) …(4)
ここで、(4)式をそれぞれの色成分に分解すると以下のようになる。
L* =FL(Y,M,C,K,R,G) …(5)
a* =Fa(Y,M,C,K,R,G) …(6)
b* =Fb(Y,M,C,K,R,G) …(7)
(L* ,a* ,b* )=F(Y,M,C,K,R,G) …(4)
ここで、(4)式をそれぞれの色成分に分解すると以下のようになる。
L* =FL(Y,M,C,K,R,G) …(5)
a* =Fa(Y,M,C,K,R,G) …(6)
b* =Fb(Y,M,C,K,R,G) …(7)
色変換モデルとして使用するニューラルネットワークとしては、例えば文献「フレキシブルUCRによる高精度色変換〜ニューラルネットワークによる高精度プリンタモデル〜」、村井和昌、Japan Hard Copy ’94論文集、pp.181−184に示されているニューラルネットワークを用い、バックプロパゲーション法により学習を行うことができる。この文献における画像記録信号はYMCK4色であるが、ニューラルネットワークにおける1層目の細胞数を4個から6個に増やすことにより、画像記録信号が6色のHiFiカラー用の色変換モデルとして使用することが可能である。もちろん、色変換モデルとしてニューラルネットワークを用いるほか、他の多項式モデルや変換テーブル方式の色変換モデルも適用することが可能である。
次に、色変換モデルの数値解法について説明する。ここで、関数Fの逆関数は一意に求まらない。しかしL* a* b* を与え、YMCKRGの中の3変数を適切に決めれば、(4)式から残りの3変数を求めることができる。例えば、KおよびR、Gを与えるとYMCを決定することができる。ここで、再現すべき色をL* a* b* とし、与える墨量および特色量をKおよびR、Gとすると、再現すべき色と画像記録信号YMCと墨量Kおよび特色量R、Gの時の色との色差ΔE* abは画像記録信号YMCの関数として次式で定義される。
ΔE* ab(Y,M,C)=((L* −FL(Y,M,C,K,R,G))2 +(a* −Fa(Y,M,C,K,R,G))2 +(b* −Fb(Y,M,C,K,R,G))2 )1/2 …(8)
ΔE* ab(Y,M,C)=((L* −FL(Y,M,C,K,R,G))2 +(a* −Fa(Y,M,C,K,R,G))2 +(b* −Fb(Y,M,C,K,R,G))2 )1/2 …(8)
非線形方程式である(4)式を解くということは、色差ΔE* abが零になるYMCの値を求めることと同じなので、(4)式を解くという問題を、色差ΔE* abを目的関数とすることによって、目的関数ΔE* abを最小化するYMCを求めるという非線形最適化問題に捉えなおすことができる。従って、シンプレックス法などの非線形最適化手法により(4)式を解くことができる。なお、シンプレックス法については、例えば「非線形計画法」、今野浩著、日科技連出版社、pp.284−287にアルゴリズムが紹介されている。シンプレックス法はこのような多変数関数の最適化に適した手法であり、高速に最適値を求めることが可能である。もちろん、シンプレックス法に限らず、非線形最適化手法であればどのような方法を適用しても良く、2分法や黄金分割探索法などの他の非線形最適化手法を適用しても良い。また、ニュートン法などの非線形方程式の数値解法を適用して色変換モデルを解いても良い。
このように、色変換モデルを解くことにより、L* a* b* 色信号と墨量Kおよび特色量R、Gから、画像出力装置13の墨量がK色信号および特色量がR、G色信号であり、かつ入力されるL* a* b* に測色的に一致する画像出力装置13の残りの3色のYMC色信号を決定することができる。また、上述の色変換モデルは、画像出力装置13の色域を分割しないで構成するため、従来技術である分割法で問題となる分割色域境界部における色分解結果の不連続性が原理的に発生せず、擬似輪郭のない滑らかな階調表現が可能となる。
次に、最大・最小墨量決定部31における最大墨量maxKおよび最小墨量minKの決定方法と、最大・最小特色量決定部33における最大特色量maxRおよび最小特色量minRの決定方法、および最大・最小特色量決定部35における最大特色量maxGおよび最小特色量minGの決定方法について説明する。先ほど示したように、色変換モデルである(4)式にL* a* b* を与え、YMCKRGの中の3変数を適切に決めれば、数値解法により残りの3変数を求めることができる。すなわち、入力されるL* a* b* 色信号に対して、墨量Kおよび特色量R、Gを決定すれば、残りのYMCを決定することができる。ここで、色変換モデルである(4)式を解くときに使用する目的関数である(8)式は、入力色信号であるL* a* b* 色信号と、画像出力装置13で決定したYMCKRG色信号で色再現させた色との色差を表しており、色差が零の場合は入力色信号が画像出力装置13の色域内であることを表し、色差が零より大きい場合は入力色信号が画像出力装置13の色域外であることを表している。従って、予め設定した墨量Kと特色量R、Gの組み合わせに対し、目的関数である(8)式の色差を判定することにより、その墨量Kと特色量R、Gの組み合わせが、色域内で再現可能か、不可能かを判定することができる。測色的色再現を保証し、画像出力装置13の色域を最大限使用することが可能な墨量Kおよび特色量R、Gを決定するためには、色域内で再現可能な墨量Kおよび特色量R、Gの範囲を求めて、その範囲内に墨量Kおよび特色量R、Gを設定すれば良い。
ここで、色域内で再現可能な墨量Kおよび特色量R、Gの範囲の決定方法について説明する。通常、画像出力装置の色信号の階調数は256階調程度に量子化されているが、このような場合に、墨量Kと特色量R、Gの全ての組み合わせを計算すると、2563 =16777216通りもの色差を(8)式を用いて判定する必要がある。従来技術である全探索法では、このような墨量Kと特色量R、Gの全ての組み合わせを計算するため、色変換処理に必要な計算時間が長いといった問題点がある。特に、全探索法では計算時間が墨量および特色量における階調数の色数乗に比例するため、特色の数が多くなると計算時間が大幅に長くなってしまい、HiFiカラーで必要な特色の数である3色の場合では、実用的な時間で色変換処理を行うことが困難である。
そこで、本発明では最大墨量maxKおよび最小墨量minKを決定する際に、墨量Kと特色量R、Gの全ての組み合わせにおける色差を評価せず、特色量R、Gを一定値に固定することにより、色差の計算回数を大幅に減らしている。具体的には、特色量R、Gを零とおき、墨量Kについてのみ全ての階調値の色差を判定するように最大・最小墨量決定部31を構成している。
最大特色量maxRおよび最小特色量minRについても同様に、墨量決定部32において決定された墨量Kを固定し、また特色量Gを零とおき、特色量Rについてのみ全ての階調値の色差を判定するように最大・最小特色量決定部33を構成することができる。最大特色量maxGおよび最小特色量minGについても同様であり、墨量決定部32において決定された墨量Kおよび特色量Rを固定し、特色量Gについてのみ全ての階調値の色差を判定するように最大・最小特色量決定部35を構成することができる。
これにより、本発明で最大墨量maxKおよび最小墨量minKと、最大特色量maxRおよび最小特色量minR、最大特色量maxGおよび最小特色量minGを決定するために必要な色差の計算回数は、256×3=768通りと、従来技術である全探索法に比べて計算時間を大幅に短縮することが可能となる。特に、本発明では計算時間が墨量および特色量における階調数に色数をかけた数に比例するため、全探索法のように特色の数が多い場合に計算時間が大幅に長くなることはなく、HiFiカラーで必要な特色の数である3色の場合においても、実用的な時間で色変換処理を行うことが可能である。
なお、入力色信号L* a* b* が色域外のため最大墨量maxKおよび最小墨量minK、最大特色量maxRおよび最小特色量minR、最大特色量maxGおよび最小特色量minGが求められない場合がある。このような場合では、色差の判定結果のうち、色差が最小となる墨量Kおよび特色量R、Gを、最大墨量maxKおよび最小墨量minKと最大特色量maxRおよび最小特色量minRと最大特色量maxGおよび最小特色量minGとして決定すれば良い。
上述の例では最大墨量maxKおよび最小墨量minKを決定する際に、特色量R、Gを零に設定したが、特色量R、Gの設定値はこれに限るものではないのは明らかである。ただし、特色量R、Gを零より大きい値に設定した場合では、色域内において特色量Rが色再現上不要な領域の色変換精度が悪化するため、零に設定することが望ましい。最大墨量maxRおよび最小墨量minRを決定する場合も同様であり、特色量Gの設定値は零に限るものではないが、同様の理由により零に設定することが望ましい。
また、上述の例では墨量K、特色量R、特色量Gの順に決定しているが、決定する順番はこれに限るものではなく、先に特色量Rや特色量Gを決定してから、次に墨量Kを決定するように構成しても良い。もちろん、他の特色を用いる場合も同様である。ただし、後で示すように、特色量Rを先に決定した場合では、墨量Kを先に決定する場合よりも色変換精度が悪化するため、墨量Kを先に決定することが望ましい。
また、上述の例では、墨量Kおよび特色量R、Gの再現可能範囲を、墨量Kおよび特色量R、Gの全ての階調値の色差を評価することにより算出した。しかし、再現可能範囲の決定方法はこれに限られものではなく、2分探索アルゴリズムなど、他の方法により最大墨量maxKおよび最小墨量minKと、最大特色maxRおよび最小特色minR、最大特色maxGおよび最小特色minGを求めても良い。また、階調値の一部の色差を評価することにより求めても良いことは明らかである。
次に、墨量決定部32では、最大・最小墨量決定部31で決定した最大墨量maxKおよび最小墨量minKと、ラスタライズ部23もしくはフォーマット変換部22から入力される入力色信号L* a* b* より、上述した(1)式に基づいて、墨量Kを最小墨量minKから最大墨量maxKの間の値となるように決定する。(1)式における墨入れ率α(L* ,a* ,b* )は、入力色信号L* a* b* の関数として設定することにより、粒状性等の画質を考慮して墨量Kを任意の値に制御することが可能である。具体的には高明度部や高彩度部に墨入れを行うと粒状性が悪化することから、明度が高い領域や彩度の高い領域の墨入れ率を零になるように墨入れ率α(L* ,a* ,b* )を設定すればよい。また、墨入れ率αは入力色信号L* a* b* 色信号を入力とする関数とせず、定率としても良い。
上述の例では、墨量Kを最小墨量minKから最大墨量maxKの間の値となるように決定したが、最小墨量minKが零より大きい領域に墨入れを行いたくない場合には、最小墨量を零に設定しても良い。ただし、最小墨量を零に設定すると低明度部の色域が狭くなり、色変換精度が悪化するので、最小墨量を考慮して墨量Kを決定した方が望ましい。
特色量決定部34では、最大・最小特色量決定部33で決定した最大特色量maxRおよび最小特色量minRと、ラスタライズ部23もしくはフォーマット変換部22より入力される入力色信号L* a* b* より、上述した(2)式に基づいて、特色量Rを最小特色量minRから最大特色量maxRの間の値となるように決定する。(2)式における特色R入力率β(L* ,a* ,b* )は、入力色信号L* a* b* の関数として設定することにより、粒状性等の画質を考慮して特色量Rを任意の値に制御することが可能である。具体的には低彩度部に特色を入力すると粒状性が悪化することから、彩度の低い領域の特色R入力率を零になるように特色R入力率β(L* ,a* ,b* )を設定すればよい。また、特色R入力率βは入力色信号L* a* b* 色信号を入力とする関数とせずに、定率としても良い。
特色量決定部36も同様であり、最大・最小特色量決定部35で決定した最大特色量maxGおよび最小特色量minGと、ラスタライズ部23もしくはフォーマット変換部22より入力される入力色信号L* a* b* より、上述した(3)式に基づいて、特色量Gを最小特色量minGから最大特色量maxGの間の値となるように決定する。(3)式における特色G入力率γ(L* ,a* ,b* )は、入力色信号L* a* b* の関数として設定することにより、粒状性等の画質を考慮して特色量Gを任意の値に制御することが可能である。もちろん、特色G入力率βは入力色信号L* a* b* 色信号を入力とする関数とせずに、定率としても良い。
上述の例では、特色量Rを最小特色量minRから最大特色量maxRの間の値となるように、また特色量Gを最小特色量minGから最大特色量maxGの間の値となるように決定したが、最小特色量minRや最小特色量minGが零より大きい領域に特色をのせたくない場合には、最小特色量を零に設定しても良い。ただし、最小特色量を零に設定すると高彩度部の色域が狭くなり、色変換精度が悪化するので、最小特色量を考慮して特色量R、Gを決定した方が望ましい。
YMC決定部37においても、上記の方法により色変換モデルを解くことにより、ラスタライズ部23およびフォーマット変換部22から得られるL* a* b* 色信号と、墨量決定部32および特色量決定部34、36から得られる墨量Kおよび特色量R、Gから、画像出力装置13の墨量がKおよび特色量がR、Gであり、かつ入力されるL* a* b* に測色的に一致する画像出力装置13の残りの3色信号であるYMC色信号を決定することができる。このようにしてYMCKRG色信号を決定することによって、測色的色再現を保証することが可能である。また、使用する色変換モデルが画像出力装置13の色域を分割していないため、従来技術である分割法における問題点である擬似輪郭の発生がない。
上述の説明では、墨量Kおよび特色量R、Gを先に決定してから、測色的色再現を保証する残りのYMC色信号を決定するものとして説明したが、先に決定する色信号は墨量Kおよび特色量R、Gに限られるものではない。例えば、Y、M、C色信号を先に決定してから、墨量Kおよび特色量R、Gを決定するなど、上述のように6色の色信号を決定する場合には、そのうちの3色を先に決定すればよい。また、画像出力装置13に渡す色信号の数として、YMCK4色のプロセスカラーに特色であるレッドおよびグリーンの2色を追加した6色のHiFiカラーの例を示しているが、特色はレッドおよびグリーンに限られるものではないし、特色の数についても2色に限られるものではない。例えばYMCK4色のプロセスカラーに特色であるレッド1色を追加した5色の場合や、YMCK4色にオレンジとグリーンを追加した6色の場合や、レッド、グリーンおよびブルーを追加した7色の場合についても、同様な方法で色変換処理を行うことができる。
5色の場合には、最大・最小特色量決定部35および特色量決定部36を用いず、あるいは設けずに構成すればよい。また7色の場合には、4色を決定してから残りの3色を決定することになる。3色までは上述の構成により決定でき、その場合の4色目の値を例えば零として処理を行えばよい。そして、4色目の決定は、それまでの3色の決定値を用いて最大量および最小量を決定し、その間となるように入力されるL* a* b* 色信号を用いて決定すればよい。
最後に画像記録信号出力部38により出力装置通信部25に画像出力装置13に入力する画像記録信号であるYMCKRG色信号を転送することにより、色変換部24での色変換処理が完了する。
図3は、本発明と従来技術との色変換特性の比較結果の説明図である。本発明の有効性を確認するために、色変換部24を本実施例のように構成した場合と、特許文献1(米国特許第4812899号明細書)に代表されるKueppers TechniqueをICCに準拠した色変換処理に適用した場合と、特許文献3(特開平2001−136401号公報)に代表される分割法をICCに準拠した色変換処理に適用した場合と、先行出願(特願2002−360445号)で提案したUCR法および全探索法について、色変換精度を評価し、その結果を図3に示している。
本発明においては、(1)式ないし(3)式の墨量および特色量に関するUCR率を定率と設定し、墨量および特色量に関するUCR率を同時に0%、50%および100%と変化させた場合の色変換精度を、入力色信号と画像出力装置13での再現色との平均色差ΔE* abで評価した。入力色信号としては、Pantone社の特色色見本における測色値L* a* b* のうち、画像出力装置13の色域内で再現可能な色見本の測色値L* a* b* を抽出した値を用いた。色変換精度としては、この値を入力色信号とした場合における画像出力装置13での再現色を色変換モデルから予測した測色値L* a* b* と、入力色信号との平均色差ΔE* abを算出することにより評価を行った。本発明の墨量および特色量の決定順序としては、上述の構成のように先に墨量Kを決定してから特色量R、Gを決定する方法(図3で×と実線で示す)と、先に特色量R、Gを決定してから墨量Kを決定する方法(図3で×と破線で示す)の2通りの場合について色変換精度の評価を行った。
本発明以外の色変換部24の構成については、Kueppers Techniqueの場合は、公知の3入力3出力DLUTによりL* a* b* 色信号からRGB色信号への変換を行い、RGB色信号からYMCKRG色信号への変換は特許文献1の実施例をそのまま適用した。なお、特許文献1においては、UCR率は定義されていないが、墨に相当するアクロマチック成分および特色に相当するクロマチック成分に関するUCR関数は定率の100%であると考えられる。図3においても○印で示したようにUCR率100%の点のみとなっている。
分割法の場合は、L* a* b* 色信号からYMCKRG色信号への変換は、本発明と同等な墨と特色の使用方法とするために、特許文献3の実施例におけるmax Black(最大墨量に相当する)およびmax HFC(最大特色量に相当する)の条件と、min Black(最小墨量に相当する)およびmin HFC(最小特色量に相当する)の条件をそのまま適用した。max Blackおよびmax HFCの条件は墨量および特色量に関するUCR率が100%の場合と同等であり、min Blackおよびmin HFCの条件は墨量および特色量に関するUCR率が0%の場合と同等であると考えられる。分割法では墨量および特色量に関するUCR率について、0%と100%以外の任意のUCR率は設定不可能であるので、本発明で色変換精度を評価した墨量および特色量に関するUCR率50%の場合は、評価することが不可能である。図3においてはUCR率が0%と100%について△印によって示している。
また、全探索法とUCR法については、墨量および特色量に関するUCR率を同時に0%、50%および100%と変化させた場合の評価を行った。その他の条件については、先行出願の実施例をそのまま適用した。なお、図3においては全探索法を用いた場合を□印と実線により示し、UCR法を用いた場合を□印と破線により示している。
図3から分かるように、Kueppers Techniqueでは、他の方法に比べて著しく色変換精度が悪い。これは、Kueppers Techniqueでは、通常のUCR処理と同様に、入力色信号であるRGB色信号と画像記録信号であるYMCKRG色信号との測色的な一致は考慮されていないためである。Kueppers Techniqueは処理が簡便なため、色処理に必要な計算量が少なく、色変換結果の連続性も保証されているという利点があるものの、平均色差ΔE* abが10を超えているため、色差が容易に知覚でき、HiFiカラー用の色変換処理として十分な性能があるとは言いがたい。
また分割法では、墨量および特色量に関するUCR率が0%でも100%の場合でも平均色差ΔE* abは3以下を実現しており、色差は容易には知覚されないレベルである。これは、分割法が測色的な色再現を保証しているためである。しかしながら、特許文献3に記載されているように、分割法では分割色域の境界において、色分解値が不連続となり、擬似輪郭が発生するといった本質的な問題がある。また、墨量および特色量に関するUCR率を任意の値に調整することができないため、粒状性等の画質を考慮して、墨量および特色量を調整することが不可能である。
さらに全探索法では、墨量および特色量に関するUCR率が0%から100%までの全ての領域において、平均色差ΔE* abは2以下を実現しており、色差は容易には知覚されないレベルであると考えられる。これは全探索法では測色的な色再現を保証していることに加えて、UCR率を低くしても色域が変化しないためである。一方、UCR法では墨量および特色量に関するUCR率が50%以上の領域で平均色差ΔE* abは2以下を実現しており、全探索法との差は少ないが、UCR率が0%の領域では平均色差ΔE* abは3以上と悪化しており、全探索法との差が大きくなることがわかる。平均色差ΔE* abが3から6までの間では、同じ色と判定されるレベルではあるが、色差が知覚されるため、UCR法でUCR率を低くすると、全探索法との色変換精度の差が問題になると考えられる。これは、UCR法では測色的色再現を保証しているものの、UCR率を低くした場合に、色域が狭くなってしまうことが原因である。一方、全探索法では墨量および特色量を決定するために墨量および特色量に関する色空間の全探索を行う必要があり、色変換に必要な計算時間が問題である。
本発明の色変換方法では、図3より分かるように、墨量Kを最初に決定することにより、全探索法と同等の色変換精度が得られている。つまり、本発明では従来技術である全探索法に比べて色変換に必要な計算時間を大幅に短縮することを実現した上で、全探索法と同等の色変換精度を実現することが可能であることがわかる。また、特色量を最初に決定した場合では、UCR率0%の平均色差はUCR法よりも低いが、全探索法よりも平均色差が1程度悪化することがわかる。すなわち、色変換精度の観点からは、本発明において墨量Kを最初に決定する方が、特色量Rを最初に決定するよりも望ましいことがわかる。これは、特色量を先に決定してしまうと、後で決定する墨量Kを調整しても色差が大きくなってしまう色が存在するためであると考えられる。なお、本発明では色域を分割しない色変換モデルを用いて色変換を行うので、色分解結果の連続性は保証されており、分割法で問題となる擬似輪郭の発生はない。
以上の結果より、本発明は従来技術である全探索法同等の色変換精度を、全探索法よりも大幅に短縮した計算時間で達成することが可能であり、従来技術であるKueppers TechniqueやUCR法よりも色変換精度が大幅に優れていることが確認された。なお、本発明や全探索法と同等の色変換精度を実現可能な従来技術としては分割法があるが、分割法では分割色域の境界において、色分解値が不連続となり、擬似輪郭が発生するといった本質的な問題がある。一方、本発明はKueppers Techniqueや分割法およびUCR法に比べてまだ演算量が多いが、上述のような手法を用いて直接色変換することはまれであり、通常は次に説明する本発明の第2の実施例として示すように、L* a* b* 色空間から出力機器の5色から7色の色信号への色変換を行うDLUTの格子点パラメータを決定する際に用いられるだけであるため、演算量の多さは問題にならない。
このように、入力色信号であるL* a* b* 色信号から画像出力装置13の墨量Kおよび特色量R、Gについて、他の色は零もしくは先に決めた値に設定することによって、1色ごとに画像出力装置13の色変換モデルを数値解法で解くことにより求めた色域内における色再現可能な範囲と、L* a* b* 色信号から決定される墨入れ率および特色R入力率、特色G入力率から決定する。これにより、墨量および特色量に関する色空間の全探索を行う必要がないので、従来技術である全探索法に比べて計算時間を大幅に短縮することが可能であり、粒状性等の画質を考慮して、墨量および特色量を入力色信号であるL* a* b* 色信号に対して任意に制御することが可能であり、画像出力装置の色域を全て活用することが可能となる。さらに、上述のように墨量Kおよび特色量R、Gと入力色信号L* a* b* から画像出力装置13の残りの3変数色信号YMCを機器独立色信号であるL* a* b* と測色的に等しくなるように画像出力装置13の色変換モデルを数値解法で決定することにより、測色的色再現を保証することが可能となる。特に、従来の測色的色再現を保証した分割法では擬似輪郭の発生が問題であったが、本発明では色域を分割せずに画像出力装置13の色変換モデルを構成しているため、擬似輪郭の発生のない、滑らかな階調表現が可能となる。
図4は、色変換部の第2の実施の形態を示すブロック図である。図中、41は3次元DLUT色変換部である。この色変換部24の第2の実施の形態では、色変換部24を3入力6出力の3次元DLUT色変換部41にて構成した例を示している。
3次元DLUT色変換部41は、L* a* b* 色信号を入力とし、そのL* a* b* 色信号に対応するYMCKRG色信号を出力する3次元のダイレクトルックアップテーブル(DLUT)で構成されている。例えば、入力のL* a* b* 色信号の各軸を16分割した値を入力アドレスとし、立方体補間により補間演算を行って画像出力装置13の画像記録信号YMCKRGを算出する3次元のDLUTとすることができる。もちろん、補間方式としては立方体補間方式に限らず、公知の補間方式であれば三角柱補間や四面体補間などの他の方式を適用しても良い。また、入力の各軸の分割数も16分割に限るものではないことは明らかである。
ここでは色変換部24を3次元のダイレクトルックアップテーブルにて構成したが、3入力6出力の色変換が行えればこれに限られわけではなく、ニューラルネットワークなどの公知の色変換方式であれば他の色変換方式を適用しても良い。さらに、色変換部24に入力する色信号は、L* a* b* 色信号に限定されるものではなく、XYZ等の表色系座標上の機器独立色空間となるように構成しても良い。また、デバイス色空間であるRGB色空間であってもsRGB色空間のように測色値への変換が定義されている色空間を用いても良い。
図5は、色変換部の第2の実施の形態における3次元DLUT色変換部41の色変換パラメータの決定処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、上述の色変換部24の第1の実施の形態における各部で行う処理とほぼ同様である。
まず、S1において画像出力装置13の画像記録信号YMCKRGの任意の組み合わせに対する色パッチを画像出力装置13にてプリントアウトし、測色計を用いてその時の測色値L* a* b* を測定しておく。画像記録信号YMCKRGの組み合わせおよび測色条件は、上述の第1の実施の形態と同様でよい。
S2において、S1で得られた複数のYMCKRGとL* a* b* のデータセットを教師データとして、色変換モデルであるニューラルネットワークに学習させる。ニューラルネットワークは、上述の第1の実施で用いたものと同様のものでよい。
S3において、3次元DLUT色変換部41の入力アドレス値L* a* b* に対して、特色量R、Gを零とおき、墨量Kを振りながらL* a* b* とKおよびR、Gをニューラルネットワークに入力して数値解法で解くことにより、色域内において色再現可能な墨量Kの範囲である最大墨量および最小墨量を求める。色変換モデルであるニューラルネットワークの数値解法や最大墨量および最小墨量の決定方法については上述の第1の実施の形態と同様でよい。
S4において、あらかじめ決定した墨入れ関数により3次元DLUT色変換部41の入力アドレス値L* a* b* に対する墨入れ率を求め、最大墨量、最小墨量および墨入れ率から、墨量Kを決定する。墨量Kの決定には、例えば上述の第1の実施の形態で示した(1)式を用い、第1の実施の形態と同様な方法を用いて決定することができる。
S5において、3次元DLUT色変換部41の入力アドレス値L* a* b* に対して、墨量KをS4で決定した値とおき、また特色量Gを零として、特色量Rを振りながらL* a* b* とKおよびR、Gをニューラルネットワークに入力して数値解法で解くことにより、色域内において色再現可能な特色量Rの範囲である最大特色量maxRおよび最小特色量minRを求める。色変換モデルであるニューラルネットワークの数値解法や、最大特色量maxRおよび最小特色量minRの決定方法については上述の第1の実施の形態と同様でよい。
S6において、あらかじめ決定した特色入力関数より3次元DLUT色変換部41の入力アドレス値L* a* b* に対する特色R入力率を求め、最大特色量maxR、最小特色量minRおよび特色R入力率から、特色量Rを決定する。特色量Rの決定には、例えば上述の第1の実施の形態で示した(2)式を用い、第1の実施の形態と同様な方法を用いて決定することができる。
特色量Gについても同様に、S7において、3次元DLUT色変換部41の入力アドレス値L* a* b* に対して、墨量KをS4で決定した値とおき、また特色量RをS6で決定した値とおき、特色量Gを振りながらL* a* b* とKおよびR、Gをニューラルネットワークに入力して数値解法で解くことにより、色域内において色再現可能な特色量Gの範囲である最大特色量maxGおよび最小特色量minGを求める。色変換モデルであるニューラルネットワークの数値解法や、最大特色量maxGおよび最小特色量minGの決定方法については上述の第1の実施の形態と同様でよい。
S8において、あらかじめ決定した特色入力関数より3次元DLUT色変換部41の入力アドレス値L* a* b* に対する特色G入力率を求め、最大特色量maxG、最小特色量minGおよび特色G入力率から、特色量Gを決定する。特色量Gの決定には、例えば上述の第1の実施の形態で示した(3)式を用い、第1の実施の形態と同様な方法を用いて決定することができる。
S9において、3次元DLUT色変換部41の入力アドレス値L* a* b* とS4で決定した墨量Kと、S6で決定した特色量Rと、S8で決定した特色量Gをニューラルネットワークに入力して数値解法で解くことにより、測色的に一致するYMCの値を算出する。ニューラルネットワークの数値解法は、上述の第1の実施の形態と同様な方法を用いればよい。
最後にS10において、S7により得られた画像記録信号YMCと、S4により得られた墨量Kと、S6により得られた特色量Rと、S8により得られた特色量Gを3次元DLUT色変換部41の格子点に設定することにより、3次元DLUT色変換部41の色変換パラメータを決定することができる。
このようにして3次元DLUT色変換部41の色変換パラメータを予め決定しておく。なお、3次元DLUT色変換部41に設定されるのは、例えば入力のL* a* b* 色信号の各軸を16分割した格子点におけるYMCKRGの値である。実際に入力されるL* a* b* 色信号は格子点に限らず、任意のL* a* b* 色信号が入力される。従って、色変換処理を行う際には、入力されたL* a* b* 色信号に基づいて1ないし複数の格子点のアドレスを生成してYMCKRGの値を読み出し、補間処理を行うことによって、入力されたL* a* b* 色信号に対応するYMCKRG色信号を得ることになる。
このように第2の実施の形態では、上述の第1の実施の形態で示した構成のように色変換部24で色変換処理を行う際に演算量の多い処理を行わずに、予め作成しておいたダイレクトルックアップテーブルで直接色変換するので、非常に高速に色変換を実現することが可能になる。また、ハードウェアで構成した場合、演算量が少ないため簡易な構成とすることができる。
なお、このようなDLUTの格子点のYMCKRGの値を求める際に必要な演算量は、従来技術である全探索法などと比べて格段に少なく、DLUTを形成する際にも本発明の利点を活かすことができる。
図6は、本発明のカラー画像処理装置の機能またはカラー画像処理方法をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体の一例の説明図である。図中、101はプログラム、102はコンピュータ、111は光磁気ディスク、112は光ディスク、113は磁気ディスク、114はメモリ、121は光磁気ディスク装置、122は光ディスク装置、123は磁気ディスク装置である。
上述の各実施の形態で説明した色変換部24の機能、あるいはさらに図1に示した色変換部24以外の画像処理装置12の構成の一部または全部を、コンピュータにより実行可能なプログラム101によって実現することが可能である。その場合、そのプログラム101およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶することも可能である。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。例えば、光磁気ディスク111,光ディスク112(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク113,メモリ114(ICカード、メモリカードなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
これらの記憶媒体にプログラム101を格納しておき、例えばコンピュータ102の光磁気ディスク装置121,光ディスク装置122,磁気ディスク装置123,あるいは図示しないメモリスロットにこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラム101を読み出し、本発明の画像処理装置の機能または画像処理方法を実行することができる。あるいは、予め記憶媒体をコンピュータ102に装着しておき、例えばネットワークなどを介してプログラム101をコンピュータ102に転送し、記憶媒体にプログラム101を格納して実行させてもよい。
もちろん、一部の機能についてハードウェアによって構成することもできるし、すべてをハードウェアで構成してもよい。また、原稿編集装置11の構成も含めたプログラムとして構成することもできるし、あるいは画像出力装置13における制御プログラムとともに1つのプログラムとして構成することもできる。もちろん、他の用途に適用する場合には、その用途におけるプログラムとの一体化も可能である。
11…原稿編集装置、12…画像処理装置、13…画像出力装置、21…編集装置通信部、22…フォーマット変換部、23…ラスタライズ部、24…色変換部、25…出力装置通信部、31…最大・最小墨量決定部、32…墨量決定部、33,35…最大・最小特色量決定部、34,36…特色量決定部、37…YMC決定部、38…画像記録信号出力部、41…3次元DLUT色変換部、101…プログラム、102…コンピュータ、111…光磁気ディスク、112…光ディスク、113…磁気ディスク、114…メモリ、121…光磁気ディスク装置、122…光ディスク装置、123…磁気ディスク装置。
Claims (20)
- 3変数からなる第1の色信号を5以上のN変数からなる第2の色信号に変換するカラー画像処理方法において、前記第1の色信号から前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を決定する第1の変換ステップと、決定した前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号と前記第1の色信号とから前記第2の色信号の残りの3変数の色信号を前記第1の色信号と測色的に等しくなるように決定する第2の変換ステップを有し、前記第1の変換ステップでは、前記第1の色信号から前記第2の色信号の(N−3)変数のうちの1色目の色信号について色域内で入力可能な最大値および最小値の間となるように決定し、前記第2の色信号の(N−3)変数のうちの2色目以降の色信号については、前記第1の色信号とすでに決定された前記第2の色信号の1ないし複数の色信号とから色域内で入力可能な最大値および最小値の間となるように1色ごとに順次決定することを特徴とするカラー画像処理方法。
- 前記第1の色信号は表色系色座標上の機器独立な色信号であり、前記第1の変換ステップでは、前記第2の色信号と該第2の色信号に対応する表色系色座標上の機器独立色信号との関数をあらかじめ求めておき、前記第1の色信号とすでに決定された前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を入力とし、前記第2の色信号のうちの(N−3)変数から決定されていない1色の色信号を変化させながら、前記第2の色信号のうちの(N−3)変数中の残りの未決定の色信号を零として前記関数を解くことにより、前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号が色域内において入力可能な最大値および最小値を決定することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像処理方法。
- 前記第1の色信号は表色系色座標上の機器独立な色信号であり、前記第2の変換ステップでは、前記第2の色信号と該第2の色信号に対応する表色系色座標上の機器独立色信号との関数をあらかじめ求めておき、前記第1の色信号と前記第1の変換ステップで決定された前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号とを入力として前記関数を解くことにより前記第2の色信号の残りの3変数の色信号を決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラー画像処理方法。
- 前記第1の変換ステップでは、前記第2の色信号のうちの(N−3)変数中の未処理の1色を処理色とし、前記第1の色信号から前記処理色の色信号に関するUCR(Under Color Removal)率Aを決定し、前記処理色が色域内において入力可能である前記最大値MAXおよび前記最小値MINから、前記処理色の色信号SIGを前記最大値MAXおよび前記最小値MINの間となるように
SIG=MIN+(MAX−MIN)×A
により決定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のカラー画像処理方法。 - 前記第2の色信号は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色にレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した5色ないし7色の変数からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のカラー画像処理方法。
- 前記第1の変換ステップにおいて決定される前記第2の色信号の(N−3)変数の色信号は、ブラックとレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した2色ないし4色の変数からなり、前記第2の変換ステップにおいて決定される3変数の色信号はイエロー、マゼンタ、シアンの3色の変数からなることを特徴とする請求項5に記載のカラー画像処理方法。
- 前記第1の変換ステップにおいて決定される前記第2の色信号の(N−3)変数の色信号は、ブラックとレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した2色ないし4色の変数からなり、1色目に決定される色がブラックであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のカラー画像処理方法。
- 前記第1の色信号はL* a* b* 色信号であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のカラー画像処理方法。
- 3変数からなる第1の色信号を5以上のN変数からなる第2の色信号に変換するカラー画像処理装置において、前記第1の色信号から前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を決定する第1の変換手段と、該第1の変換手段で決定した前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号と前記第1の色信号とから前記第2の色信号の残りの3変数の色信号を前記第1の色信号と測色的に等しくなるように決定する第2の変換手段を有し、前記第1の変換手段は、前記第1の色信号から前記第2の色信号の(N−3)変数うちの1色目の色信号について色域内で入力可能な最大値および最小値の間となるように決定し、前記第2の色信号の(N−3)変数のうちの2色目以降の色信号については、前記第1の色信号とすでに決定された前記第2の色信号の1ないし複数の色信号とから色域内で入力可能な最大値および最小値の間となるように1色ごとに順次決定することを特徴とするカラー画像処理装置。
- 前記第1の色信号は表色系色座標上の機器独立な色信号であり、前記第1の変換手段は、前記第2の色信号と該第2の色信号に対応する表色系色座標上の機器独立色信号との関数をあらかじめ求めておき、前記第1の色信号とすでに決定された前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号を入力とし、前記第2の色信号のうちの(N−3)変数から決定されていない1色の色信号を変化させながら、前記第2の色信号のうちの(N−3)変数中の残り未決定の色信号を零として前記関数を解くことにより、前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号が色域内において入力可能な最大値および最小値を決定することを特徴とする請求項9に記載のカラー画像処理装置。
- 前記第1の色信号は表色系色座標上の機器独立な色信号であり、前記第2の変換手段は、前記第2の色信号と該第2の色信号に対応する表色系色座標上の機器独立色信号との関数をあらかじめ求めておき、前記第1の色信号と前記第2の色信号のうちの(N−3)変数の色信号とを入力として前記関数を解くことにより前記第2の色信号の残りの3変数の色信号を決定することを特徴とする請求項9または請求項10に記載のカラー画像処理装置。
- 前記第1の変換手段は、前記第2の色信号のうちの(N−3)変数中の未処理の1色を処理色とし、前記第1の色信号から前記処理色に関するUCR(Under Color Removal)率Aを決定し、前記処理色が色域内において入力可能である前記最大値MAXおよび前記最小値MINから、前記処理色の色信号SIGを前記最大値MAXおよび前記最小値MINの間となるように
SIG=MIN+(MAX−MIN)×A
により決定することを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載のカラー画像処理装置。 - 前記第2の色信号は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色にレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した5色ないし7色の変数からなることを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1項に記載のカラー画像処理装置。
- 前記第1の変換手段において決定される前記第2の色信号の(N−3)変数の色信号は、ブラックとレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した2色ないし4色の変数からなり、前記第2の変換手段において決定される3変数の色信号はイエロー、マゼンタ、シアンの3色の変数からなることを特徴とする請求項13に記載のカラー画像処理装置。
- 前記第1の変換手段において決定される前記第2の色信号の(N−3)変数の色信号は、ブラックとレッド、グリーン、ブルーのうちの少なくとも1色を追加した2色ないし4色の変数からなり、1色目に決定される色がブラックであることを特徴とする請求項13または請求項14に記載のカラー画像処理装置。
- 前記第1の色信号はL* a* b* 色信号であることを特徴とする請求項9ないし請求項15のいずれか1項に記載のカラー画像処理装置。
- 3変数からなる第1の色信号を5以上のN変数からなる第2の色信号に変換するカラー画像処理装置において、複数の第1の色信号と該第1の色信号のそれぞれについて請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の画像処理方法あるいは請求項9ないし請求項16のいずれか1項に記載の画像処理装置によって求めた第2の色信号との対をパラメータとして任意の第1の色信号を第2の色信号に変換する色変換手段を有することを特徴とするカラー画像処理装置。
- 前記色変換手段は、3入力N出力の補間機能を有したダイレクトルックアップテーブルで構成されていることを特徴とする請求項17に記載のカラー画像処理装置。
- 3変数からなる第1の色信号を5以上のN変数からなる第2の色信号に変換する処理をコンピュータに実行させるカラー画像処理プログラムにおいて、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のカラー画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするカラー画像処理プログラム。
- 3変数からなる第1の色信号を5以上のN変数からなる第2の色信号に変換する処理をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記憶媒体において、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のカラー画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読取可能な記憶媒体。
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