JP4449363B2 - 図書入出庫方法及び自動書庫 - Google Patents

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Description

本発明は、図書館などにおける図書入出庫方法及びそれを実現する自動書庫に係り、特に、運用上の不便を抑えた図書入出庫方法及び自動書庫に関するものである。
図書を大量に収蔵する図書館などにおいて、図書の入出庫の動作及びその入出庫における情報の管理を自動化した自動書庫が実用化されている。従来の自動書庫では、複数冊の図書をコンテナに収容し、そのコンテナを棚に収納する。棚は、コンテナの幅・高さより少しだけ大きい開口幅・高さを有する区画を上下左右に多数並べたものである。その棚に沿って移動する搬送手段としてのスタッカークレーンは、コンテナを移載又は把持するフォーク或いはアームを有し、指定された区画にアクセスしてコンテナを出し入れし、そのコンテナを棚の一端まで搬送することができる。自動書庫の一画若しくは別室には、作業員がコンテナから図書を出し入れする作業場所があり、この作業場所から棚の一端まではコンベア又は天井走行機などによる搬送ラインが設けられる。この搬送ラインと搬送手段との間でコンテナが受け渡しされる。
棚の各区画にはアドレスが付けられており、一方、個々の図書には識別番号が付けられているので、どの図書がどの区画に存在しているかは、常に、データベースに記憶され、管理されている。
図書は大きさ(高さ・幅・厚さ)がまちまちであるため、コンテナの三次元サイズが一律であると、スペース的な効率がよくないという見方があり、特許文献1では、コンテナをA4版用、B5版用、A5版用にサイズ別に複数種類用意し、棚の方もそれぞれのサイズ別にコンテナを収納できるよう開口高さを異ならせた区画が並ぶ領域を棚の長手方向に分割形成している。なお、コンテナには図書を立てて収容することになっており、開口から見て図書の表紙又は裏表紙が正面に向くようにして図書の厚さ方向に図書が並べ置かれることになる。従って、それぞれのサイズ用のコンテナは、高さのみならず開口幅も異なっている。
特許文献1の技術によれば、コンテナは棚の区画から取り出された後、必ず元の区画に戻されるので、個々のコンテナは収納先の区画アドレスが固定的に決まってしまうが、図書は収容するべきコンテナの種類が決まっているほかは、どのコンテナに収容するかは自由である。よって、個々の図書が保管される先は、棚の領域は決まっていてもその領域のどこにかは決まっていない。この方式をサイズ別フリーロケーション方式という。
特開平7−285621号公報
上記方式では、コンテナをサイズ別に用意し、棚もサイズ別に領域を作ったので、スペース的な効率は向上した。しかし、棚にサイズ別の領域を設けたために、棚の一端(作業場所があるほうの端)から各領域までの距離が著しく異なる。例えば、棚の一端からA4版領域、B5版領域、A5版領域の順番で配置すると、A4版領域は比較的棚の一端に近いが、A5版領域は棚の一端から大変に遠い。このため搬送手段が指定された区画へ到達するまでの時間に図書の大きさによって差が出るという問題があり、図書館作業者や利用者からすると、特定の大きさの図書の取り出しに時間が掛かるという不満が生じてしまう。
また、上記方式では、図書は図書の大きさにより収容するべきコンテナの種類が決まっており、異なる種類のコンテナには収容しないことになっている。従って、自動書庫全体において図書の大きさ毎に最大保管図書量が決まり、あるサイズの領域に余裕があっても、その領域には他の大きさの図書を保管させることができない。
このように、従来の方式はスペース的な効率を優先した反面でサイズ別の領域を規定したことによる運用上の不便が生じており、長期的に見ると経済的なロスがあることが否めない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、運用上の不便を抑えた図書入出庫方法及び自動書庫を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の方法は、複数冊の図書を収容するためのコンテナは横幅を含む外形寸法を均一にすると共にコンテナの上部を開放して図書の大きさに関わらず図書を立てて収容するようにし、上記コンテナの底の幅方向中央列とその幅方向両外側に、板状の中仕切りを立てるための奥行き方向に等間隔に並ぶ複数の穴をそれぞれ配置し、上記コンテナに幅の大きい図書を2列で収容するときには、上記中央列の穴に上記中仕切りを立てて、上記コンテナに幅の小さい図書ばかりを2列で収容するときには、上記両外側の穴にそれぞれ上記中仕切りを立てるものとし、コンテナを収納するための複数の区画を上下及び横方向に並べた棚は区画の開口の横幅を均一にすると共に開口の高さを異ならせておき、これから収納するコンテナに収容した図書の最高の高さに基づいて該コンテナを出し入れ可能な開口の高さを有する区画を探して該コンテナの収納先とするものである。
コンテナは棚の横幅方向に沿って搬送するものとし、コンテナを出し入れ可能な開口の高さを有する複数の区画のうち、入庫口に近い区画を優先的にコンテナの収納先に選んでもよい。
コンテナに既に収容されている図書の冊数を記憶しておき、残りの収容可能冊数とこれから収容しようとする図書の冊数とを照合し、最も適当なコンテナをこれから収容する図書の収容先として選択してもよい。
コンテナに既に収容されている図書の最高の高さを記憶しておき、これから収容しようとする図書の高さよりも高い高さのコンテナをこれから収容する図書の収容先として選択してもよい。
また、本発明の装置は、横幅を含む外形寸法が均一で上部が開放され図書を立てて収容することにより複数冊の図書を図書の大きさに関わらず収容可能にすると共に底の幅方向中央列とその幅方向両外側に奥行き方向に等間隔に並ぶ複数の穴がそれぞれ配置されたコンテナと、上記コンテナに幅の大きい図書を2列で収容するときには、上記中央列の穴に立てられ、上記コンテナに幅の小さい図書ばかりを2列で収容するときには、上記両外側の穴にそれぞれ立てられる板状の中仕切りと、コンテナを出し入れする開口の横幅が均一で高さが異なる複数の区画を上下及び横方向に並べた棚と、その棚に沿って移動して所望の区画のコンテナを出し入れ搬送する搬送手段と、これから収納するコンテナに収容した図書の最高の高さに基づいて該コンテナを収納可能な開口の高さを有する区画を探して該コンテナの収納先とする収納先決定手段とを備えたものである。
これから収容する図書の高さよりも既に収容されている図書の高さが高くかつ収容されている図書の冊数が所定値以下のコンテナのうち上記搬送手段に最寄りの区画にあるコンテナを探して該図書の収容先とする収容先決定手段を備えてもよい。
上記区画は、棚の高さ位置によって開口の高さが異なってもよい。
上記区画は、開口の高さが調節可能に構成されていてもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)搬送距離を平均的に短縮することができる。
(2)図書の大きさによる取り出し所要時間の差がなくなる。
(3)図書のサイズによるコンテナ収容時の制約がなくなる。
(4)図書のサイズ毎に最大保管量が制限されない。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に、本発明に係る棚10の側面を示す。棚10は、開口の横幅wが場所によらず均一で高さが異なる複数の区画11を上下及び横方向に並べたものである。上下方向の場所の区別を段、横方向の場所の区別を番地という。この実施形態では、区画11は、棚10の高さ位置によって開口の高さがh1,h2,h3の3種類に異ならせてある。即ち、下から1段及び2段目には、開口の高さが最も低い「低」の区画が並んでいる。下から5段及び6段目には、開口の高さが最も高い「高」の区画が並んでいる。下から3段及び4段目には、開口の高さが中間の「中」の区画が並んでいる。棚10の段数は任意であると共に、どの種類(開口高さ)の区画を何段目に配分するかは任意である。また、図示例では棚10の横方向の全長に亘って同じ段は同じ種類の区画になっているが、同じ段を全部同じ種類の区画にする必要はない。それは、後述する棚情報により区画の種類が区画個別に管理されているからである。
コンテナ12は、奥行き、横幅及びコンテナ自体の高さが個体によらず均一で上部が開放され図書を立てて収容することにより複数冊の図書13を図書の大きさに関わらず収容可能にしたものである。従って、「低」の区画11に収納されているコンテナ12も「中」の区画11に収納されているコンテナ12も「高」の区画11に収納されているコンテナ12も全く同じサイズである。コンテナ自体の高さは、「低」の区画11の開口の高さh1よりも低くしてある。従って、コンテナ12だけで考えれば(図書がないものとすれば)、コンテナ12はどの種類の区画11にも収納可能である。
1つの区画11には、複数のコンテナ12が奥行き方向に並べて収納可能である。ただし、ここではコンテナ出し入れのアルゴリズムを分かりやすくするために、1つの区画11に1個のコンテナ12しか収納できないものとする。
図示のように、棚10にはコンテナ12が収納されている区画11ばかりではなく、コンテナ12が収納されていない区画(空き区画;例えば、11a)が適宜な個数存在する。また、高さの高い図書を一冊でも収容したコンテナ12は開口の高さの高い区画11に収納されており、高さの低い図書ばかりを収容したコンテナ12は開口の高さの低い区画11に収納されている。もちろん、高さの低い図書ばかりを収容したコンテナ12を開口の高さの高い区画11に収納することは物理的に可能であるが、後述するコンテナ出し入れのアルゴリズムにより、なるべく図書の高さに合わせた区画11にコンテナ12が収納される。
図2に本発明に係る書庫全体の見取り図を示す。自動書庫20の一画若しくは別室には、作業員がコンテナから図書を出し入れする作業場所21があり、この作業場所21から棚10の一端まではコンベア又は天井走行機などによる搬送ライン22が設けられる。棚10はフロア上に複数列設けられる。棚10は、一番外側に第1列を設け、間隔を空けて第2列を設け、第2列と第3列は互いに背面同士を接し、第4列はまた間隔を空け、第5列は第4列に接するというように、1列が単独又は2列が背中合わせに、かつ3列以上がくっつかないように配列されている。列の総数や各列の長さは任意である。
棚間の間隔には、棚10に沿って移動する搬送手段としてのスタッカークレーン23が設けられている。このスタッカークレーン23は接している両列の棚10にアクセスすることができる。スタッカークレーン23の一端と搬送ライン22との間には受渡し機24が設けられている。また、スタッカークレーン23は、1つの区画に収納されている複数のコンテナのうち開口に一番近いコンテナを出し入れするようになっており、奥のコンテナの出し入れは開口にあるコンテナを別の区画に退避してから行うとよい。ただし、ここでは1つの区画に1個のコンテナしか収納できないものとしている。
作業場所21には、作業員の前でコンテナ12を往復又は周回搬送する入出庫カウンタ25が設けられている。入出庫カウンタ25の個数は1個に限らない。作業員は、この入出庫カウンタ25上のコンテナ12から図書を取り出したり、図書を収容したりすることになる。入出庫カウンタ25には作業員が操作するオペレータコンソール(図示せず)が設けられており、そのオペレータコンソールには図書識別情報を担持したバーコードを読み取るバーコードリーダ、数値や文字を入力するキーボード、マウスなどが装備されている。入出庫カウンタ25又は搬送ライン22の途中に、実際にコンテナに図書を収容した荷姿での高さを計測する通過高さ計測手段が設けられている。
図3に示されるように、本発明に係る通過高さ計測手段31は、コンテナ12の搬送路を跨ぐガントリ32に、互いに水平に対向する発光器33と受光記34のペアを所定の高さごとに設けたものである。各ペアの高さは、図1で説明した「低」、「中」、「高」の区画11の高さh1,h2,h3に対応させてある。実際にコンテナ12に図書13を収容した荷姿での高さがh1,h2,h3を超えているかどうかの厳密な計測は、この通過高さ計測手段31において行うことができる。
図4に、本発明に係るコンテナ12を示す。コンテナ12は、幅Cw及び奥行きdが個体によらず均一に形成された矩形の底41と、その底の四方を囲む壁42とからなる。壁42の高さは、既に述べたように「低」の区画の開口の高さh1よりも低ければよい。このコンテナ12には図書を立てて収容することになっており、区画の開口から見て図書の表紙又は裏表紙が正面に向くようにして図書の厚さ方向に図書が並べ置かれる。コンテナ12の底面42には、中仕切り45を立てるための穴44が幅及び奥行き方向に適宜間隔で配置されている。コンテナ12には1枚ないし2枚の中仕切り45を取り付けることができる。中仕切り45は、壁42とほぼ同じ高さでほぼ同じ奥行きを有する。中仕切り45をコンテナ12の幅方向中央列の穴に立てると、コンテナ12は、幅の大きい図書を2列で収容することができる。幅の小さい図書ばかりを収容するときには、2枚の中仕切り45をそれぞれ中央列より外側の穴44に立てておくと、図書が外側寄りに収容されるので、入出庫カウンタでの作業性がよい。
コンテナ12の底41や壁42の外面には、スタッカークレーンやその他の搬送手段における把持性を高めるための凹部や穴を設けてもよい。
また、コンテナ12の正面や側面の壁には、コンテナ12の識別番号を機器で読取り可能に記録した媒体43が取り付けられている。
図5に、本発明に係る自動書庫の制御・管理装置の構成を示す。
制御・管理装置は、大きく記憶部51、入出力部52、中央制御部53からなる。
まず、記憶部51は、棚情報記憶部511とコンテナ情報記憶部512と図書情報記憶部513とに大別される。
棚情報記憶部511は、全棚の全区画について、区画のロケーションと、各ロケーションへのコンテナの収納状況及び収納されているコンテナの識別番号と、開口の高さによる区画の種類とを記憶するものである。ロケーションとは、図2で説明した「列」、図1で説明した「番地」、「段」、そして1つの区画に複数のコンテナを奥行き方向に並べて収納する場合の「手前奥」の4次元からなる座標である。任意のコンテナの現在ロケーションは、この棚情報記憶部511をコンテナの識別番号で検索して知ることができる。また、この棚情報記憶部511から所望の開口高さを有する空き区画を探すことができる。
コンテナ情報記憶部512は、全コンテナについて、コンテナの識別番号と、収容されている図書の最高の高さ(コンテナ高さ)及び収容されている全図書の識別番号及び冊数とを記憶するものである。このコンテナ情報記憶部512を図書の高さで検索すると、その高さより高いコンテナ高さを有するコンテナを探し出すことができる。また、このコンテナ情報記憶部512を冊数で検索すると、空きコンテナや空きの多いコンテナを探し出すことができる。空きコンテナとは、全く図書が収容されていないコンテナから図書が所定冊数未満収容されているコンテナまでを含む。即ち、空きコンテナとは、図書を収容する余地が残っているコンテナである。
図書情報記憶部513は、全図書について、図書の識別番号と、図書の入出庫履歴及び現在収容されているコンテナの識別番号とを記憶するものである。この図書情報記憶部513を図書の識別番号で検索すると、現在、その図書が在庫されているか否か、どのコンテナに収容されているかを知ることができる。
入出力部52には、出庫したい図書の識別番号を入力する図書識別番号入力手段521、入庫する図書の高さを入力する図書高入力手段522、図書に貼られているバーコードラベルから図書の識別番号を読み取るバーコードリーダ523、実際にコンテナ12に図書13を収容した荷姿での高さを計測する通過高さ計測手段524(図3参照)、図2の入出庫カウンタ25からスタッカークレーン23までの各搬送手段との間で有線或いは無線により動作指令やステータスをやり取りする通信手段525、コンテナ12に添付されている媒体から識別番号を読み取るコンテナ媒体読取手段526などがある。図書高入力手段522は、ここでは図2の入出庫カウンタ25のオペレータコンソールのキーボードであるが、コンピュータ入力可能な計測器を使用してもよい。
中央制御部53は、コンピュータで実行されるプログラムで実現されている。中央制御部53は、これから収納するコンテナに収容した図書の最高の高さに基づいて該コンテナを出し入れ可能な開口の高さを有する区画を記憶部から探して該当する複数の区画のうち、棚の端に近い区画を該コンテナの収納先とする収納先決定手段531と、図書高入力手段で入力したこれから収容する図書の高さよりも既に収容されている図書の最高の高さが高くかつ収容されている図書の冊数が所定値以下のコンテナのうち上記搬送手段に最寄りの区画にあるコンテナを記憶部から探して該図書の収容先とする収容先決定手段532と、図書の識別番号入力手段で入力した図書が収容されているコンテナを記憶部から探し、そのコンテナが収納されている区画のアドレスを記憶部から探す取出コンテナ探索手段533と、目標のコンテナを収納・取出するために通信手段を介して各搬送手段を制御する搬送制御手段534とを備える。これら各手段の細部は、後述する動作説明でさらに明らかになる。
以下、自動書庫の動作を説明する。
まず、1)図書返却動作をこれまで説明した図1〜図5の構成を参照しつつ図6の流れに従い説明する。
1)図書返却動作
ステップ101;作業場所21には返却窓口から随時返却された図書が蓄積されている。作業員は、これら返却された図書から入庫する図書を取り出すと共に、入出庫カウンタ25のオペレータコンソール(図書高入力手段522)を操作して、入庫の開始及び図書の高さと入庫冊数を制御・管理装置に入力する。入力する図書の高さは、センチ単位などの高さ値に限らず、菊判、新書判などの書籍判型やJIS紙寸法AB系列の判型を入力して制御・管理装置で高さ値に変換してもよい。一度に入庫する冊数は1冊に限らない。複数冊入庫する場合は、図書の高さは最も高いものだけ入力すればよい。
ステップ102;制御・管理装置は、入庫する図書を収容できる空きのあるコンテナ(空きコンテナ)をコンテナ情報記憶部512から検索する。このとき検索する範囲は、全ての区画である。現在搬送中のコンテナや既に入出庫カウンタ25に届いているコンテナを検索範囲に含めてもよい。検索条件は、入力された図書の高さよりも高いコンテナ高さ(収容されている図書の最高の高さ)を有し、かつ収容されている冊数が所定冊数より少ないことである。続いて、制御・管理装置は、ヒットしたコンテナ全ての現在ロケーション(区画)を棚情報記憶部511から検索する。これらの区画のうち、どの区画にあるコンテナを選ぶかは任意であるが、例えば、スタッカークレーン23が迅速に到着することを鑑み、空き荷のスタッカークレーン23の現在位置に最も近い区画にあるコンテナを選ぶとよい。このようにして、入庫する図書の収容先のコンテナが決定される。
ステップ103;制御・管理装置は、収容先のコンテナを当該ロケーションを有する区画から取り出して入出庫カウンタ25に届けるよう搬送制御手段534で作成した指令を通信手段525により各搬送手段に通知する。
ステップ104;目標の棚の列に接しているスタッカークレーン23は、目標の番地まで移動し、目標の段までフォークを昇降させ、当該区画の開口にフォークを挿入して目標のコンテナを取り出す。スタッカークレーン23から受渡し器24、搬送ライン22を経て入出庫カウンタ25へ当該コンテナが到着する。
ステップ105;入出庫カウンタ25へ到着したコンテナの識別番号はコンテナ識別番号読取手段526によって読み取られる。これにより、制御・管理装置は、到着したコンテナが入庫する図書の収容先として指定したコンテナであるかどうか確認できる。
ステップ106;作業員は、コンテナに収容しようとする図書の識別番号をバーコードリーダ523により読み取る。バーコードリーダ523がない場合は図書識別番号入力手段521により手入力してもよい。
ステップ107;作業員は、図書をコンテナに収容する。
ステップ108;作業員は、入庫の人的作業が終了したことを入出庫カウンタ25のオペレータコンソールを操作して制御・管理装置に通知する。なお、同時に複数冊を同じコンテナに収容する際には、ステップ106〜ステップ107を冊数分繰り返してからステップ108を実行する。
ステップ109;制御・管理装置は、コンテナ情報記憶部512及び図書情報記憶部513の内容を更新する。即ち、コンテナに関しては当該コンテナに収容されている図書の識別番号及び冊数を更新する。図書に関しては当該図書の入出庫履歴及び現在収容されているコンテナの識別番号を更新する。コンテナ高さについては、収容しようとしている図書の高さより高いコンテナ高さのコンテナを呼び出したのであるから、ここでは更新する必要がない。ただし、既に収容されている図書よりも収容しようとしている図書のほうが高さが高い場合には、コンテナ高さを更新する。なお、実際のコンテナの高さは、図書の高さにコンテナの底面の厚みを加えたものになるが、底面の厚みはコンテナによらず均一であるから、図書の高さでもってコンテナ高さを表すようにしてもよい。
ステップ110;入庫の人的作業と情報更新が終了したコンテナは、入出庫カウンタ25から排出して搬送ライン22に送り出す。その途中で、コンテナが高さ計測手段524(31)を通過するときに、荷姿での高さが計測される。
ステップ111;計測された高さがステップ109で更新したコンテナ高さと異なる場合は、図書の収容状態の確認の意味を兼ねて作業員に通知する。作業員が確認し、収容状態に問題がなければ、コンテナ高さ情報を変更して実際の荷姿での高さに合わせる。例えば、高さh1未満としていたコンテナについて実測した荷姿での高さがh1以上、h2未満であれば、当該コンテナの高さをh1以上、h2未満とする。
ステップ112;制御・管理装置は、棚情報記憶部511を検索することにより、コンテナ高さが更新されたコンテナを収納する区画を探し出す。検索する範囲は、当該コンテナのコンテナ高さより高い開口の高さh1,h2,h3の範囲であり、開口の高さが低いほうの種類を優先する。検索条件は、区画が空きであり、かつ棚の端に最も近いことである。棚の端から当該区画までの距離は、ロケーションのデータのうちの番地から明らかである。この距離は、スタッカークレーン23が移動する距離であり、搬送時間に大きく影響する。棚の端に最も近い区画を探すことで、搬送時間が最も短い区画を収納先にすることができる。
ステップ113;制御・管理装置は、コンテナを収納するロケーションを割り付ける。即ち、ステップ112で検索された区画のロケーションを目標値として搬送制御手段534に与える。
ステップ114;制御・管理装置は、ステップ110で入出庫カウンタ25から排出して搬送ライン22に送り出した当該コンテナを当該ロケーションの区画に届けるよう搬送制御手段534で作成した指令を通信手段525により各搬送手段に通知する。
ステップ115;目標の棚の列に接しているスタッカークレーン23は、棚の端まで移動して受渡し器24に臨んで待機する。搬送ライン22は、目標の棚の列にある受渡し器24に当該コンテナを払い出す。受渡し器24から当該コンテナを受け取ったスタッカークレーン23は、目標の番地まで移動し、目標の段までフォークを昇降させ、当該区画の開口にフォークを挿入してコンテナを収納する。
ステップ116;制御・管理装置は、棚情報記憶部511の当該ロケーションのコンテナの収納状況をコンテナ無しからコンテナ有りに変更し、収納するコンテナの識別番号を記憶させる。
以上により図書返却動作が終了する。
以上の図書返却動作によって、図書がどのコンテナに収容され、コンテナがどの区画に収納されるか、一例を図1により説明する。
いま、返却された図書がコンテナに収容したときに高さh2以上のコンテナ高さをもたらす高さを有するとする。上記図書返却動作により当該図書よりも高さの高い図書を収容したコンテナのうち、収容した冊数が所定値未満であって、他のコンテナを搬送中でないスタッカークレーン23の現在地に最も近い区画に収納されているコンテナが収容先に決定される。このコンテナが現在、区画11bに収納されているとする。上記図書返却動作によりスタッカークレーン23は区画11bからコンテナを取り出して入出庫カウンタ25へ払い出す。
入出庫カウンタ25にて、作業員が返却された図書をコンテナに収容したとき、棚10には、さきほど空きになった区画11bの他にもいくつか高さh2以上の空き区画がある。上記図書返却動作によれば、棚10の端に最も近い空きの区画11aが収納先となる。
このようなコンテナの取り出しと収納が繰り返されることによって、個々のコンテナは同じ種類の区画(前例では「高」)の中でロケーションを移動することになる。収納先の決定においてその都度の棚10の端に最も近い区画が選ばれるので、スタッカークレーン23の移動の数多くの繰り返しにおける平均的な移動時間を短くすることができる。従って、長期的には時間効率を高めて経済的な効果を得ることができる。
また、棚10の高さ位置によって開口の高さが異なるようにしたので、図書の大きさによる取り出し所要時間の不公平がなくなり、利用者に迷惑がかからなくなる。
次に、2)図書取出動作を既に説明した図1〜図5の構成を参照しつつ図7の流れに従い説明する。
2)図書取出動作
ステップ151;作業場所21には利用者貸出窓口から随時提出された貸出申込が蓄積されている。作業員は、入出庫カウンタ25のオペレータコンソール(図書コード入力手段521)を操作して、貸出しが申し込まれた図書の出庫を制御・管理装置に通知するべく当該図書の識別番号を入力する。
ステップ152;制御・管理装置は、入力された識別番号を持つ図書を収容しているコンテナを図書情報記憶部513から検索する。さらに制御・管理装置は、そのコンテナが収納されている区画のロケーションを棚情報記憶部511から検索する。
ステップ153;制御・管理装置は、出庫する図書が収容されているコンテナを当該ロケーションの区画から取り出して入出庫カウンタ25に届けるよう搬送制御手段534で作成した指令を通信手段525により各搬送手段に通知する。
ステップ154;目標の棚の列に接しているスタッカークレーン23は、目標の番地まで移動し、目標の段までフォークを昇降させ、当該区画の開口にフォークを挿入して目標のコンテナを取り出す。スタッカークレーン23から受渡し器24、搬送ライン22を経て入出庫カウンタ25へ当該コンテナが到着する。
ステップ155;入出庫カウンタ25へ到着したコンテナの識別番号はコンテナ識別番号読取手段526によって読み取られる。これにより、制御・管理装置は、到着したコンテナが出庫する図書を取り出すために指定したコンテナであるかどうか確認できる。
ステップ156;制御・管理装置は、入出庫カウンタ25のオペレータコンソールに出庫する図書の図書名、識別番号等を表示する。
ステップ157;作業員は、入出庫カウンタ25上のコンテナから当該図書を取り出す。
ステップ158;作業員は、取り出した図書の図書バーコードをバーコードリーダ523で読み取る。図書識別番号入力手段521から手入力してもよい。
ステップ159;作業員は、出庫の人的作業が終了したことを入出庫カウンタ25のオペレータコンソールを操作して制御・管理装置に通知する。
ステップ160;制御・管理装置は、コンテナ情報記憶部512及び図書情報記憶部513の内容を更新する。即ち、当該コンテナに収容されている図書の識別番号から出庫した図書の識別番号を抹消し、収容冊数を1冊減らす。当該図書の入出庫履歴に今回の出庫を追加し、現在収容されているコンテナの識別番号を抹消する。コンテナ高さが図書を取り出したことによって低くなるようであれば、作業員は図書高入力手段522により当該コンテナの中で最も高い図書の高さを入力する。
ステップ161;出庫の人的作業と情報更新が終了したコンテナは、入出庫カウンタ25から排出して搬送ライン22に送り出す。その途中で、コンテナが通過高さ計測手段524(31)を通過するときに、荷姿での高さが計測される。
ステップ162;計測された高さがコンテナ高さと異なる場合は、図書の収容状態の確認の意味を兼ねて作業員に通知する。作業員が確認し、収容状態に問題がなければ、コンテナ高さを変更して実際の荷姿での高さに一致させる。例えば、高さh2以上としていたコンテナを実測した荷姿での高さがh1以上、h2未満であれば、当該コンテナはh1以上、h2未満とする。
ステップ163;制御・管理装置は、棚情報記憶部511を検索することにより、コンテナ高さが更新されたコンテナを収納する区画を探し出す。検索する範囲は、当該コンテナのコンテナ高さより高い開口の高さh1,h2,h3の範囲であり、開口の高さが低いほうの種類を優先する。検索条件は、区画が空きであり、かつ棚の端に最も近いことである。
ステップ164;制御・管理装置は、コンテナを収納するロケーションを割り付ける。即ち、ステップ163で検索された区画のロケーションを目標値として搬送制御手段534に与える。
ステップ165;制御・管理装置は、ステップ161で入出庫カウンタ25から排出して搬送ライン22に送り出した当該コンテナを当該ロケーションの区画に届けるよう搬送制御手段534で作成した指令を通信手段525により各搬送手段に通知する。
ステップ166;目標の棚の列に接しているスタッカークレーン23は、棚の端まで移動して受渡し機24に臨んで待機する。搬送ライン22は、目標の棚の列にある受渡し機24に当該コンテナを払い出す。受渡し機24から当該コンテナを受け取ったスタッカークレーン23は、目標の番地まで移動し、目標の段までフォークを昇降させ、当該区画の開口にフォークを挿入してコンテナを収納する。
ステップ167;制御・管理装置は、棚情報記憶部511の当該ロケーションのコンテナの収納状況をコンテナ無しからコンテナ有りに変更し、収納するコンテナの識別番号を記憶させる。
以上により図書取出動作が終了する。
図書取出動作においては、取り出した後のコンテナを高さの適合する最寄りの区画に収納するので、スタッカークレーン23の移動量を短くして所要時間を短縮することができる。
次に、棚についての他の実施形態を説明する。
棚10は、主柱81およびコンテナ受け材82から構成される。主柱81には取り付け窓83が上下方向に所定のピッチで複数設けられている。一方、コンテナ受け材82には、窓83に掛け止めるためのフック84が設けられており、コンテナ受け材82を掛け止める窓83の高さ位置を選んで区画の開口の高さを調節できる。
本発明の一実施形態を示す自動書庫の棚の側面図である。 本発明の一実施形態を示す自動書庫のフロアの見取り図である。 本発明の一実施形態を示す通過高さ計測手段の斜視図である。 本発明の一実施形態を示すコンテナの構造図である。 本発明の一実施形態を示す自動書庫の制御・管理装置の構成図である。 本発明の一実施形態を示す図書返却動作の流れ図である。 本発明の一実施形態を示す図書取出動作の流れ図である。 本発明の一実施形態を示す棚の構造図(部分)である。
符号の説明
10 棚
11 区画
12 コンテナ
13 図書
20 自動書庫
23 スタッカークレーン
25 入出庫カウンタ
31 通過高さ計測手段
511 棚情報記憶部
512 コンテナ情報記憶部
513 図書情報記憶部
531 収納先決定手段
532 収容先決定手段
533 取出コンテナ探索手段

Claims (8)

  1. 複数冊の図書を収容するためのコンテナは横幅を含む外形寸法を均一にすると共にコンテナの上部を開放して図書の大きさに関わらず図書を立てて収容するようにし、
    上記コンテナの底の幅方向中央列とその幅方向両外側に、板状の中仕切りを立てるための奥行き方向に等間隔に並ぶ複数の穴をそれぞれ配置し、
    上記コンテナに幅の大きい図書を2列で収容するときには、上記中央列の穴に上記中仕切りを立てて、上記コンテナに幅の小さい図書ばかりを2列で収容するときには、上記両外側の穴にそれぞれ上記中仕切りを立てるものとし、
    コンテナを収納するための複数の区画を上下及び横方向に並べた棚は区画の開口の横幅を均一にすると共に開口の高さを異ならせておき、これから収納するコンテナに収容した図書の最高の高さに基づいて該コンテナを出し入れ可能な開口の高さを有する区画を探して該コンテナの収納先とすることを特徴とする図書入出庫方法。
  2. コンテナは棚の横幅方向に沿って搬送するものとし、コンテナを出し入れ可能な開口の高さを有する複数の区画のうち、入庫口に近い区画を優先的にコンテナの収納先に選ぶことを特徴とする請求項1記載の図書入出庫方法。
  3. コンテナに既に収容されている図書の冊数を記憶しておき、残りの収容可能冊数とこれから収容しようとする図書の冊数とを照合し、最も適当なコンテナをこれから収容する図書の収容先として選択することを特徴とする請求項1又は2記載の図書入出庫方法。
  4. コンテナに既に収容されている図書の最高の高さを記憶しておき、これから収容しようとする図書の高さよりも高い高さのコンテナをこれから収容する図書の収容先として選択することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の図書入出庫方法。
  5. 横幅を含む外形寸法が均一で上部が開放され図書を立てて収容することにより複数冊の図書を図書の大きさに関わらず収容可能にすると共に底の幅方向中央列とその幅方向両外側に奥行き方向に等間隔に並ぶ複数の穴がそれぞれ配置されたコンテナと、
    上記コンテナに幅の大きい図書を2列で収容するときには、上記中央列の穴に立てられ、上記コンテナに幅の小さい図書ばかりを2列で収容するときには、上記両外側の穴にそれぞれ立てられる板状の中仕切りと、
    コンテナを出し入れする開口の横幅が均一で高さが異なる複数の区画を上下及び横方向に並べた棚と、その棚に沿って移動して所望の区画のコンテナを出し入れ搬送する搬送手段と、これから収納するコンテナに収容した図書の最高の高さに基づいて該コンテナを収納可能な開口の高さを有する区画を探して該コンテナの収納先とする収納先決定手段とを備えたことを特徴とする自動書庫。
  6. これから収容する図書の高さよりも既に収容されている図書の高さが高くかつ収容されている図書の冊数が所定値以下のコンテナのうち上記搬送手段に最寄りの区画にあるコンテナを探して該図書の収容先とする収容先決定手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の自動書庫。
  7. 上記区画は、棚の高さ位置によって開口の高さが異なることを特徴とする請求項5又は6記載の自動書庫。
  8. 上記区画は、開口の高さが調節可能に構成されていることを特徴とする請求項5〜7いずれか記載の自動書庫。
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