JP4449256B2 - 作業情報管理方法および作業情報管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば工事等の作業に関する情報をコンピュータ支援のもとに管理する作業情報管理方法および作業情報管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
工場のような生産施設では、設備の設置や撤去、移転、補修、改修、点検などのための多数の工事が日常的に行われている。こうした工事にあたっては、生産施設を有する工事発注元の事前承認が必要となる。そうした事前承認のための申請は、予め用意された用紙に必要事項を記載して各種申請書類の起票を行い、工事発注元の管理部署に提出することで行われている。そして工事発注元の管理部署では、提出された申請書類を検討し、必要に応じて工事計画等を修正した上で、承認済の証書を工事請負先に発行して、申請にかかる一連の手続が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
こうした申請にあたっては、作業の安全性の確認や同時期に行われる他の工事との日程調整等のため、工事計画の詳細を提示する必要がある。このため、記入洩れ等の不備のない正確な申請書類の記標が困難となっており、またそうした申請書類の作成にかかる業務にたいへんな労力が必要となっている。
【0004】
また、上記安全性の確認自体が困難であることから、それら情報を管理するにも、重点指向の管理等、効率のよい管理を行うことが難しい実情にある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、工事作業等の申請に係る手続の簡易化、ならびに作業情報のより効率のよい管理を行うことのできる作業情報管理方法および作業情報管理システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
【0025】
請求項1記載の発明は、作業情報管理システムとして、申請に必要とされる作業の内容を入力するための作業内容入力手段と、各種作業の内容に対応してそれら作業のリスク度合いを示すリスク情報が格納されたリスク情報格納手段と、前記作業内容入力手段を通じた作業内容の入力に併せて、前記リスク情報格納手段に格納されているリスク情報に基づき当該作業内容に対応するリスク度合いが選択されることで、それら作業内容とリスク度合いとを関連付けして出力する作業情報出力手段と、時間軸を表す項目欄と前記作業内容を表す項目欄とを表示する表示手段とを備え、前記作業内容入力手段は、前記表示手段において前記作業の内容を単位作業別に時間帯を区切って入力するものであり、前記リスク情報は、それら単位作業に対して前記リスク度合いを付与した情報であり、前記作業情報出力手段は、前記入力された単位作業毎にその対応するリスク度合いが選択されることに基づいて該当する作業内容全体としてのリスク評価基準であるリスクレベルを任意の作業内容においてこれに含まれる単位作業の別に選択されたリスク度合いの最高値に基づいて演算し、該演算結果を同作業内容に関連付けして出力するものであることをその要旨とする。
【0026】
上記構成によれば、上記作業内容とリスク度合いとが関連付けされて上記リスク情報格納手段に格納されて管理される。このため、申請時に入力された作業情報をもとに、作業内容にリスク度合いを関連付けて出力することが可能となる。
これにより上記作業が複数ある場合においてもそれらを管理する際の重要度の付与と、それら複数の作業に対する重点指向の管理が可能となり、作業情報の管理業務をいっそう効率よく行うことができるようになる。
その上、時間帯を区切って入力された単位作業に対してリスク度合いが付与されるとともに、それらリスク度合いに基づいて作業内容全体に対するリスク評価基準であるリスクレベルが演算され、その結果が同作業内容に関連付けて出力されるようになる。これにより、複数の作業を同時に管理する場合においても、それら作業ごとに出力されるリスクレベルによってその管理業務がより円滑になされるようになる。また、各々の作業について、リスク度合いの高い単位作業の行われる時間帯を上記リスクレベルと併せて出力することにより、当該作業情報の効率的管理と有効利用を図ることができるようになる。
【0029】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の作業情報管理システムにおいて、前記作業情報出力手段は、前記リスクレベルを1日単位で演算して、その結果を1日分の作業内容に関連付けして出力するとともに、前記単位作業毎に選択されたリスク度合いをそれら単位作業の行われる時間帯に関連付けして出力することをその要旨とする。
【0030】
上記構成によれば、上記作業内容に関連付けられたリスクレベルが1日単位で演算され、その作業を構成する単位作業のリスク度合いが各々の単位作業の行われる時間帯に関連付けて出力される。これにより、日毎および時間帯毎の作業情報をもとにした複数の作業の重点指向による管理業務をより容易かつ効率的に行うことができるようになる。
【0032】
上記構成によれば、任意の作業内容においてこれに含まれる単位作業の別に選択されたリスク度合いの最高値に基づいて上記リスクレベルの演算が行われる。このため、リスクレベルの演算を容易に行うことができるとともに、その演算されるリスクレベルもリスク度合いの最高値を反映してより的確なものとすることができるようになる。
【0033】
請求項3記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の作業情報管理システムにおいて、前記リスク情報は、前記各単位作業に対するリスク度合いを標準化するための情報を含むことをその要旨とする。
【0034】
上記構成によれば、上記各単位作業に対するリスク度合いの標準化が促進され、作業情報の入力者に依らない判断基準の統一された情報による管理ができるようになる。
【0035】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の作業情報管理システムにおいて、前記各単位作業に対するリスク度合いを標準化するための情報が、それら単位作業およびリスクの内容を具体的に画像表示する情報であることをその要旨とする。
【0036】
上記構成によれば、上記単位作業およびリスクの内容が具体的に画像表示されるため、より確実な判断基準の統一化を図ることができるようになる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の作業情報管理システムにおいて、前記作業内容入力手段を通じて入力された情報および前記作業情報出力手段を通じて出力される情報をネットワークを介してその評価者と共有させる手段をさらに備えることをその要旨とする。
【0037】
上記構成によれば、作業内容の入力から作業情報の出力までの一連の業務を、それら情報の評価者による評価も含めて、ネットワークを介してより迅速かつ円滑に進めることができる。また、容易に情報を一元管理することが可能となり、その場合にはその一元化された情報に基づくより的確な業務を容易に遂行することができるようになる。特に、ネットワーク上にサーバを設置し、関係部署の端末とのやりとりにより情報の授受ができるような構成とすれば、たとえばウェブサーバやウェブブラウザなど、既存の技術を利用することにより上記システム構成をより簡便に構築することができるようになる。
【0038】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の作業情報管理システムにおいて、前記共有される情報に対して前記評価者による承認操作が行われることに基づき同情報に電子的に承認情報を付加する手段をさらに備えることをその要旨とする。
【0039】
一般に、上記評価者による申請書類の記載事項の詳細な検討や、同時期に複数の作業が行われる場合の各作業の日程の調整等は、たいへんな労力を要するものとなっている。この点、上記構成によれば、一元管理される作業情報を身近な端末から参照することにより、より迅速かつ簡便に作業申請に対する承認の可否を判断することができるようになる。また、承認操作がなされた場合、その承認情報が上記共有され、一元管理される作業情報に電子的に付加されるため、申請者側においてもその承認の有無を迅速かつ簡便に判断することができるようになる。
【0040】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の作業情報管理システムにおいて、前記申請が工事申請であるとともに、前記作業が工事作業であり、少なくとも前記作業内容入力手段および前記作業情報出力手段は1乃至複数の工事請負先におかれ、前記承認情報を付加する手段は工事発注元におかれることをその要旨とする。
【0041】
上記構成によれば、上述の作業情報管理が工事情報管理に適用されることによって、上記各項における利点もより効果的に得られるようになる。特に同方法の、上記請求項3や4記載の発明との組み合わせにおいては、リスク度合い等も含めて、申請される工事情報が標準化され、それら工事の安全性が統一した基準で的確に把握されるようにもなる。また、工事請負先が複数あり、同時に施工される工事が数多くある場合には、上記工事情報の標準化と安全性の的確な把握とがさらに効果的に行われるようになる。
【0042】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の作業情報管理システムにおいて、前記共有され、かつ前記承認情報の付加された情報を工事現場に掲示するためのリスク評価シートとして印刷出力する手段を前記工事請負先にさらに備えることをその要旨とする。
【0043】
上記構成によれば、上記承認情報の付加された情報を工事請負先にてリスク評価シートとして印刷出力することができる。そのため、工事当日にそのリスク評価シートを照会することにより、同工事の内容やその妥当性を確実に確認することができるようになる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる作業情報管理方法および作業情報管理システムを具体的に実施する一実施の形態を、図1〜図24を使って説明する。
【0045】
なお、本実施の形態においては、本発明を、複数の単位作業からなる1日分の工事情報について、そのリスク評価基準であるリスクレベルを関連付けて管理する工事情報管理方法、およびこれを実現するための工事情報管理システムに適用した場合について詳述する。
【0046】
また、以下の記述においては、コンピュータのソフトウェアにより表示装置の画面上に配置表示される押しボタンについては、これを角括弧”[]”により囲んで、たとえば”[A]ボタン”などと表記することとする。
【0047】
この工事情報管理システムを運用する工事発注元の事業者は、複数の施設により構成された大規模な工場を有しており、同工事発注元の管理部署によって同工場全体の総合的な設備管理が行われている。また上記工場の各施設には、各施設の設備の維持運営を担当する保全部署がそれぞれ個別に設けられている。
【0048】
一方、工事現場での安全管理や警備保障は、工事発注元の保安部署によって行われている。また、工場の各施設への作業者の入退場の管理も、この保安部署によって行われている。そして、この入退場の管理を行うため、工場の各施設には作業者の入退場をチェックするゲートが設けられている。
【0049】
この工場においては、多数の工事請負先によって様々な工事が行われており、それら工事の統括的な管理は、主に工事発注元の管理部署によって行われている。そして本実施の形態における、これら工事にかかる各種情報の管理は、コンピュータネットワーク上に構築した情報管理システムにより行われている。
【0050】
図1は、この工事情報管理システムの全体構成例を模式的に示したものである。図1に示したように、この工事情報管理システムは工事情報管理サーバ10を中心に構成されている。
【0051】
この工事情報管理サーバ10は、工事情報の管理を司るコンピュータシステムとして構成されている。そして同サーバ10は、上記工事にかかる情報を記憶するデータベースとして、工事の詳細な情報が電子ファイルとして各件毎に登録される工事情報データベース(DB)11と、その工事を施工する工事作業者の個人情報が電子ファイルとして登録される作業者情報データベース12と、工事にて行われる各種作業がその作業方法に応じたリスク度合いの情報とともに電子ファイルとして登録されるリスク情報データベース20とを備えている。
【0052】
そしてこのサーバ10は、工事発注元の事業者が敷設しているネットワーク回線を通じて、上述した工事発注元の各部署に備えられているコンピュータ端末13〜16と通信可能になっている。さらに、このサーバ10はインターネットにも接続されており、インターネットに接続可能な工事請負先など工場外部のコンピュータ端末17とも通信できるようになっている。
【0053】
また、このサーバ10は、ウェブ(Web)サーバとしての機能を備えており、工事情報管理システムに関する各種サービスを提供するウェブサイト(サービスサイト)を管理している。そして、上記各端末13〜17にて起動されたウェブブラウザから上記サービスサイトがアクセスされることにより、サーバ10と端末13〜17との通信が行われる。この情報通信は、各端末13〜17からのリクエストに応じてサーバ10が処理を行い、その結果をサーバ10がレスポンスとして該リクエストの発信端末に送信し、これを受信した端末がそのブラウザ上に結果を表示することにより行われる。これにより、情報の入力や参照、あるいは修正など、リクエストに応じた各種サービスの処理要求を各端末13〜17からサーバ10に対して行うことができる。たとえば、工事請負先の端末17からサーバ10に工事情報の登録サービスのリクエストを行うと、サーバ10はそのリクエストに応じた画面のデータを端末17に送信する。そして端末17は、サーバ10から受信した画面のデータを登録のための画面としてブラウザの画面上に表示する。端末17はその画面に、各種情報が入力される入力欄と、その入力欄に入力されるべき事項や入力の仕方等の案内情報とを表示し、案内情報に従った入力欄への情報入力により、必要な工事情報の登録が行えるようになっている。
【0054】
さらにこのサーバ10は、メールサーバとしての機能も有しており、工事発注元の各部署および工事請負先との間での電子メール(E−mail)の配信サービスも併せ行っている。
【0055】
図2は、上記構成のシステムを利用して管理される工事について、その手続の業務フロー例を示したフローチャートである。
図2に示したように、まず工事請負先が、工事の施工に先だってその工事に関する詳細な情報を端末17から入力して、工事情報管理システムに登録する(図1および図2のステップS1)。
【0056】
次に、工事発注元の管理部署は工事が登録された旨の通知を受信し、同部署に備えられている端末13からこの登録された工事情報を工事情報管理システムに照会して承認の可否を判断し、承認すべき工事に対して同システム上で電子承認する(図1および図2のステップS2)。なお、この段階で、管理部署は必要に応じて上記登録された工事情報に修正を加えることができる。
【0057】
次に、たとえば火気の取り扱いなど、工事に含まれる作業内容によって工事発注元の保安部署の承認が必要な場合には、同保安部署が同部署に備えられている端末14から上記工事情報を工事情報管理システムに照会して承認の可否を判断し、承認すべき工事に対して同システム上で電子承認する(図1および図2のステップS3)。
【0058】
次に、承認された上記工事情報について、その旨の連絡を工事建屋の保全部署など工事発注元の関係各部署に通知する(図1および図2のステップS4)。
次に、同工事情報が承認された旨の連絡を、工事請負先に通知する(図1および図2のステップS5)。
【0059】
次に、工事請負先はこの工事の承認通知を受けて、端末17から同工事に必要となる工事通知書などの各種証書およびリスク評価シートの印刷用データを工事情報管理システムに要求して、送信されてきたこれらの印刷用データをプリンタ18により印刷する(図1および図2のステップS6)。
【0060】
そして工事当日に、工事請負先は工事現場に入場する際にこれら印刷した各種証書類をゲートにて提示し、そのゲートにおいて工事発注元はハンディ端末19などを使って工事および工事を施工する作業者を工事情報管理システムに照会して照合する(図1および図2のステップS7)。また、工事請負先は持参したリスク評価シートを工事現場に掲示して、工事の内容が確認できるようにする。
【0061】
他方、工事発注元の管理部署は、工事当日、端末13から工事情報管理システムに当日施工される工事一覧を照会し、それら各々の工事について安全パトロールなど必要に応じた処置を行う(図2ステップS8)。
【0062】
最後に、完了した工事について工事請負先がその結果を工事情報管理システムに登録する(図1および図2のステップS9)。
上記のような業務フローが迅速かつ円滑に行われるように、この工事情報管理システムは、以下に詳述するように動作する。
【0063】
まず、工事請負先によって端末17から工事情報の登録がなされる。
図3は、この工事請負先による工事情報の登録について、サーバ10が行う処理例を示すフローチャートである。
【0064】
図3に示したように、工事請負先によって端末17のブラウザからサーバ10が管理する上記サービスサイトのトップページにアクセスがなされると(図3ステップS101)、サーバ10は端末17に工事情報管理システムへのログイン画面を送信する。端末17に表示されたログイン画面に正しい工事請負先コードとそのパスワードが入力されてそれらがサーバ10に送信される(図3ステップS102)と、サーバ10は工事情報を入力する入力画面を端末17に送信する(図3ステップS103)。なお、サーバ10に送信された工事請負先コードまたはそのパスワードが正しくない場合には、サーバ10はそのエラーメッセージを表示する画面を端末17に送信する(図3ステップS111)。
【0065】
そして、上記工事情報は、以下の図4〜図11に示す入力画面により工事請負先の端末17から入力される(図3ステップS103、S104)。
図4に示した画面は、工事届起票の入力画面例であり、この画面においてはその工事の概要、たとえば工事名称や管理番号、工事場所、そして火気使用の有無などの情報が入力される。
【0066】
また、図5に示した画面は作業期間の入力画面例であり、この画面においては工事月日とその作業時間およびその工事に使われる火気の使用時間などが入力される。
【0067】
また、図6に示した画面は工事エリアの入力画面例であり、この画面においてはあらかじめ登録されている建屋レイアウトのうち工事を施工するエリアが選択されて入力される。
【0068】
また、図7に示した画面は作業手順の入力画面例であり、この画面においてはその1日分の工事に含まれる単位作業が時間帯を区切るかたちで入力される。このとき、各単位作業のリスクを回避または低減するために採られる作業方法が、上記単位作業の各々の入力に対応して選択される。ここで、「単位作業」とは、たとえば「既設ケーブル断線撤去」や「電源盤設置」などのように、1つのまとまった目的のためになされる作業の単位を指している。この作業方法が選択されると、その各々の単位作業にはリスク情報データベース20に格納されているリスク度合いが関連付けられて入力される。
【0069】
ここで、上記リスク情報データベース20の内容について説明する。
まず、たとえば「感電」や「墜落、転落(高所作業)」などのように、作業を行ううえでリスクとなる要因が洗い出され、それぞれの作業を行うときに想定される条件によってそれらが詳細に分類されて、その各々に対してリスク度合いが割り付けられる。図8は、そのリスクとなる要因の例として「感電」について、さまざまな条件による分類例を示したものである。図8に示したように、この例においては対象とする電気の電圧により「低圧」、「高圧」、「特高(特別高圧)」に分類され、さらにその電気が既送電か接続前か、あるいは停電させることが可能かどうか、作業のための保護具は使用可能かどうかなどの詳細な条件により、その作業方法に対するリスク度合いが割り付けられ割り付けられている。
【0070】
これらリスク度合いが割り付けられた作業方法の情報は、図9に示される一覧表にまとめられ、この一覧表に基づいてリスク情報データベース20が構築される。なお、図9は、リスク要因として「墜落、転落(高所作業)」についてまとめられた一覧表の例である。また、これらリスク度合いはその値が大きいほど作業のリスクが高いことを示している。
【0071】
そして、単位作業の入力の際には、図7に示す端末17の画面上に表示される押しボタンが押されることによって、その作業に含まれるリスク要因を回避または低減する作業方法の選択操作が行われる。すなわち、上記押しボタンが押されると、端末17は対応する単位作業に関するリスク情報をリスク情報データベース20から取得するリクエストをサーバ10に送信する。サーバ10は、そのリクエストを受けてリスク情報データベース20を参照し、抽出した情報を端末17に送信する。こうして送信されてきた情報を受けて、端末17は図10に例示する当該単位作業を行う方法の入力画面を、作業方法すなわちリスク低減策とそれに割り付けられたリスク度合いの対応表のかたちにて表示する。
【0072】
そして、図10に示した画面におけるリスク低減策の表示欄には、さらに各々のリスク低減策を画像により確認できる情報のアドレスがリンクされている。たとえば、図10に示した画面においてリスク項目としての「昇降手段」に対して「脚立」のリンクを開く操作がなされると、上記図10の画面を表示したときと同じように、「脚立」の画像情報を取得するリクエストがサーバ10に送信され、サーバ10はリスク情報データベース20を参照してその結果を端末17に送信する。こうして送信されてきた情報を受けて、端末17は図11に例示する「昇降手段」のリスク低減策の1つとしての「脚立」の画像とそれに関する注意事項を含む画面を表示する。それとともに、そのリスク低減策を採用する際の禁止行為を画像とともに表示する。このようにして端末17は、工事情報の入力者に、判断基準が統一され、標準化されたデータに基づく単位作業の入力環境を提供する。
【0073】
そして、図11に示した画像が端末17に表示され、リスク低減策についての確認がなされたのちに、図10に示した画面において採用するリスク低減策のチェック(Check)欄がチェックされ、入力された単位作業に対してリスク度合いが関連付けられる。なお、各単位作業に関連付けられるリスク度合いは1つとは限らず、複数のリスク低減策を採用して単位作業が行われる場合には、その単位作業に関連付けられるリスク度合いも複数存在することになる。
【0074】
上記のようにして、1日分の工事に含まれるすべての単位作業について、各々の作業方法が選択され、リスク度合いが関連付けられると、工事情報の入力作業がすべて完了し(図3ステップS104)、端末17からサーバ10に対して該工事情報の登録許可のリクエストが送信される。
【0075】
この登録許可のリクエストを受けて、サーバ10は送信されてきた工事情報をもとに、その日1日分の工事のリスク評価基準であるリスクレベルの演算を行う(図3ステップS105)。
【0076】
ここでサーバ10は、上記1日分の工事のリスクレベルを、図12に例示するリスクレベルの演算手順のフローチャートにしたがって演算する。すなわち、上記工事に含まれる単位作業を順に1つずつ選択し(図12ステップS201)、それに関連付けられているリスク度合いの最大値を各単位作業ごとに求める(図12ステップS202)。次に、その工事に含まれるすべての単位作業についてのリスク度合いの最大値を求めたら、求めたそれら最大値を集計する(図12ステップS203、S204)。そしてサーバ10は、集計したリスク度合いの最大値を図13に例示する判定基準に基づいてその工事のリスクレベルを決定する(図12ステップS205)。
【0077】
こうして、工事情報管理システムは、上記工事に対してリスクレベルを演算し、演算したリスクレベルを同工事に関連付ける(図3ステップS105)。
なお、上記判定基準には、そのリスクレベルに応じて行われるべき処置も規定されており、この情報は工事発注元および工事請負先の双方にて参照される。また、図13に示した判定基準は、工事に含まれる単位作業にそれぞれ関連付けられたリスク度合いの最高値(値のもっとも大きいもの)のうち、さらに一番大きい値に基づいて判断する比較的簡単なものを例示しているが、この例に限らず判定基準は場合により適宜変更してもよい。
【0078】
サーバ10は、上記のように演算され、関連付けられた工事に対するリスクレベルに基づいて、端末17から送信されてきた工事情報のリスク評価を行い(図3ステップS106)、所定の基準を満たすリスクレベルの工事については、これを登録許可するものとしてその工事情報を再度端末17に送信し、同端末17からの工事情報の送信により起票された工事届の内容の確認を促す(図3ステップS107)。この内容の確認のための情報の送信は、端末17から送信されてきた工事情報をすべて端末17に送信してもよいし、たとえば図14に例示する確認画面のように火気使用許可申請の内容など特に重要な情報を表示する画面のみを送信してもよい。
【0079】
そして、端末17にて、先にサーバ10に送信された工事情報の確認がなされて(図3ステップS108)、サーバ10に最終的な登録のリクエストが送信されると(図3ステップS109)、サーバ10は送信されてきた工事情報を工事情報データベース11および作業者情報データベース12に格納して、工事情報管理システムに同工事情報が登録される(図3ステップS110、図1および図2のステップS1)。なお、上記演算されたリスクレベルが所定の基準を満たさない場合には、サーバ10は再度工事届の起票画面を端末17に送信し、先に入力された内容の修正を促す。
【0080】
上記のように工事情報が登録されると、次に、サーバ10はその工事が登録された旨の電子メールを工事発注元の管理部署に送信して通知する。送信された電子メールが同管理部署の担当者によって確認され、必要に応じて端末13からサーバ10にアクセスがなされて上記工事情報が閲覧され、承認される。
【0081】
以下、この工事情報の閲覧と承認が行われる際の、工事情報管理システムの動作を詳細に説明する。
工事情報の閲覧のために、上記サービスサイト上にてアクセスがなされ、工事の一覧を表示する操作がなされると、まず端末13が工事一覧の表示のリクエストをサーバ10に送信する。このリクエストを受けて、サーバ10は工事情報データベース11を参照し、抽出した情報を端末13に送信する。
【0082】
端末13は、送信されてきた情報を受けて、図15に例示する工事通知書一覧の画面を表示する。この一覧表の中から閲覧対象の工事が選択されると、端末13は選択された工事情報を取得するリクエストをサーバ10に送信する。このリクエストを受けて、サーバ10は工事情報データベース11および作業者情報データベース12を参照し、抽出した情報を端末13に送信する。端末13は、送信されてきた情報を受けて、図16に例示する当該工事の工事計画画面を表示する。
【0083】
図16は、冬季の連続休日中に施工される選択された工事について、その工事計画を表示する画面の例である。この図16に示した画面から、工事の施工が予定されている期日の詳細日程表欄の[表示]ボタンが押されると、端末13は選択された工事のうちの指定された期日の分についての工事情報を取得するリクエストをサーバ10に送信する。このリクエストを受けて、サーバ10は工事情報データベース11および作業者情報データベース12を参照し、抽出した情報を端末13に送信する。端末13は、送信されてきた情報を受けて図17に例示する詳細日程表の画面を表示する。
【0084】
この画面においては、その工事のその日に行われる単位作業が時間帯を区切るかたちで表示される。また、各単位作業に対して関連付けられているリスク度合いが、採用されるリスク低減策とともにリスクの要因別に表示される。さらに、この1日分の工事に対してリスク評価を行って演算されたリスクレベルも表示される。こうして、この期日の工事の詳細が容易に把握されるようになっている。なお、上記各単位作業に関連付けられたリスク度合いの表示欄には、その単位作業に対するリスク低減策の一覧情報のアドレスがリンクされている。そして、そのリンクが指定されると、端末13はサーバ10にリクエストを送信して、図18に例示するリスク低減策の確認画面を表示する。このリスク低減策の確認画面には、その単位作業を行うために採用されるリスク低減策がそのチェック(Check)欄に表示される。さらに、各リスク低減策には先に図10に示した画像情報を含むリスク低減策の詳細についての情報のアドレスがリンクされており、それらを適宜表示させて内容を確認することができるようになっている。これら各リスク項目に対するリスク低減策の一覧とその画像情報を表示するときの端末13とサーバ10との情報のやりとりは、先の図7にて例示した作業手順の入力画面からリスク低減策を選択して入力するときと同様に行われる。
【0085】
また、同様に上記サービスサイト上において、期日と建屋とを指定して工事一覧を表示する操作がなされると、端末13はその期日および建屋の情報を含む工事一覧の表示のリクエストをサーバ10に送信する。このリクエストを受けて、サーバ10は工事情報データベース11を参照し、抽出した情報をその建屋レイアウトの情報とともに端末13に送信する。端末13は、送信されてきた情報を受けて、図19に例示する期日と建屋とが指定された建屋別工事一覧画面を、その建屋のレイアウトとともに表示する。こうして、指定した期日の指定した建屋において、複数の工事が互いに干渉しあうことはないか、その工事において火気が使用されることがあるか、その工事現場付近に危険物はないか、などが容易に把握されるようになっている。
【0086】
上記画面の表示により、工事発注元の管理部署において、サーバ10から登録の通知を受けた工事についての安全性が確認され、承認の判断がなされて、上記サービスサイト上における電子承認のための画面表示操作が行われると、端末13はその工事についての承認操作のリクエストをサーバ10に送信する。このリクエストを受けて、サーバ10は同工事を承認するための画面を端末13に送信する。端末13は、送信されてきた情報を受けて、図20に例示する承認実行画面を表示する。そして、その画面において[承認]ボタンが押されると、端末13はサーバ10に当該工事の承認のリクエストを送信する。このリクエストを受けてサーバ10は、工事情報データベース11に格納されている当該工事情報に保安部署の承認の情報を追加する(図1および図2のステップS2)。
【0087】
ここで、対象としている工事について変更等の必要がある場合には、同画面の[編集]ボタンが押されて、先に示した図4〜図7および図10、図11の画面が表示され、工事発注元による工事情報の編集が可能とされる。このときの工事情報の編集方法は、上述した工事請負先における工事情報の入力方法と同様である。
【0088】
また、上記工事の施工にあたって、工事発注元の保安部署等、関連部署の承認がさらに必要となる場合には、上記管理部署の承認に際して「保安部署、担当部署の承認を必要とする」のオプション記入欄をチェックしておく。また、対象としている工事が安全性を著しく欠いている、あるいは他の工事との兼ね合いでスケジュールを調整することができない場合には、[却下]ボタンが押されて工事の承認はなされない。
【0089】
上記のように保安部署において工事情報が承認されると、次に、サーバ10はその工事が承認された旨の電子メールを工事発注元の保安部署等の関係各部署に送信して通知する。ここで、上記管理部署における承認の際に、他部署における承認が必要なオプションが選択された場合には、サーバ10はその通知にその旨の内容を含ませておく。そして、保安部署や現場の担当部署等においても各々に備えられている端末14〜16から上記サービスサイトへのアクセスがなされることにより、上記管理部署における承認と同様の手順で、該工事情報が閲覧され承認がなされる(図1および図2のステップS3、S4)。
【0090】
こうして、対象としている工事について、工事発注元にて必要とされるすべての部署の承認がなされると、サーバ10はその旨の電子メールを工事請負先の端末17に送信して通知する(図1および図2のステップS5)。そして、工事発注元にて工事情報の編集が行われた場合には、その通知にその旨の内容を含ませておく。
【0091】
上記のように、工事発注元での承認がなされると、工事請負先により上記サービスサイトがアクセスされて、当該工事を施工するにあたって必要となる各種証書などのデータがダウンロードされて、工事請負先により同証書類が印刷される。
【0092】
以下、上記各種証書類が印刷される際の工事情報管理システムの動作を、図21に例示する手順の概念図を参照しつつ詳細に説明する。
図21に示されるように、まず工事請負先の端末17から、対象としている工事を施工するにあたって必要となる各種証書類の印刷用データをダウンロードするリクエストをサーバ10に送信する。このリクエストを受けて、サーバ10は工事情報データベース11を参照し、抽出した情報をもとに書式情報を含む印刷用データを作成して端末17に送信する。そして、工事請負先においてこの印刷用データの印刷操作がなされると、そこに備えられているプリンタ18が上記各種証書類を印刷する(図1および図2のステップS6)。
【0093】
上記工事請負先にて印刷される各種証書類としては、図21に示したように、たとえば工事通知書、火気使用承諾書、設備使用承諾書、詳細日程と作業手順書、および作業者リスト、そしてリスク評価シートなどが挙げられる。そして、これら各種証書類には、それが工事発注元によって承認されていることを証明する承認印も上記印刷用データの一部として付与される。また、この工事発注元の工事を請け負って頻繁に工事現場に入退場する作業者のうち工事発注元が承認した者については、その作業者個人に対して、たとえば1年間有効の立入許可証もダウンロードして印刷できるようになっている。
【0094】
上記各種証書類の例として、図22は作業者リストを、図23はリスク評価シートを示したものである。図22に示したように、上記作業者リストには、その工事を施工する作業者のリストが、各人の会社名、住所、緊急連絡先、資格、免許、および経歴などとともに印刷される。また、図23に示したように、上記リスク評価シートには、その工事に含まれる主要なリスク要因を、リスク項目の一覧および各項目に対するリスク低減策とそれに関連付けられているリスク度合い、そしてそのリスク項目を含む単位作業が、工事名称などその工事の概要を示すヘッダとともに印刷される。このリスク評価シートには、その工事に関連付けられているリスクレベルも明確に印刷されており、そのリスク評価結果が容易に確認できるようになっている。
【0095】
こうして印刷された各種証書は、工事の当日、工事現場に出向く工事請負先にて持参され、工事発注元の工場におけるゲートにて、承認済みの工事通知書と作業者リストなどが提示される。そのゲートにおいてハンディ端末19などにより該工事とその作業者との照合操作がなされると、サーバ10に照合のリクエストが送信される。このリクエストを受けて、サーバ10は工事情報データベース11および作業者情報データベース12を参照して、送信されてきた工事と作業者の情報を事前に登録されている情報と照合する(図1および図2のステップS7)。
【0096】
一方、工事発注元においては、工事当日、管理部署などにより重要な工事に対して安全パトロールや現場監督の配置などの必要な処置がとられる。
まず、管理部署において上記サービスサイトがアクセスされ、先に図15にて例示した工事通知書一覧からその日に行われる工事の一覧の表示操作がなされると、端末13がその一覧表を表示するリクエストを送信する。このリクエストを受けて、サーバ10は工事情報データベース11を参照し、抽出した情報を端末13に送信する。端末13は、送信されてきた情報を受けて、図24に例示するその日またはその日を含む連続休日中に施工される工事の一覧表を表示する。
【0097】
図24は、冬季の連続休日中に施工される工事の一覧が表示されている場合の画面について示している。図24に示したように、この施工工事一覧表の画面ではその期日に施工される工事の一覧が、各々に関連付けられているリスクレベルとともに表示され、管理部署の担当者によってそれら工事の重点指向の管理が容易に行えるようになっている。すなわち、この施工工事一覧表により安全パトロール等何らかの処置が必要な工事が把握される。そして、それら処置の必要な工事については、先の図17に示した詳細日程表の表示操作等により、その工事に含まれる単位作業とそのリスク軽減策およびリスク度合いがその時間帯に関連付けられて確認される。それに基づいて、現場監督の配置や安全パトロールなどが管理部署の担当者などによって実施される(図2ステップS8)。
【0098】
この際、必要に応じて詳細日程表などが適宜印刷され、該工事現場において工事通知書やリスク評価シートなどの各種証書類と照合され、その工事および作業者の妥当性が確認される。なお、この安全パトロールは、工事発注元の管理部署のみならず工事請負先によって適宜なされてもよい。
【0099】
上記のような手続きおよび処理にしたがって工事が完了されると、工事請負先によって再度、工事情報管理システムのサービスサイトがアクセスされ、その結果の登録操作がなされると、端末17が同結果を登録するリクエストをサーバ10に送信する。このリクエストを受けて、サーバ10は工事情報データベース11に同結果を格納する。こうして、上記工事結果の情報が工事情報管理システムに登録される(図1および図2のステップS9)。
【0100】
以上説明したように、本実施の形態にかかる工事情報管理方法および工事情報管理システムによれば、以下のような多くの優れた効果を得ることができるようになる。
【0101】
(1)上記工事情報管理システムによれば、工事に含まれる単位作業の作業方法(リスク低減策)と、それによるリスクの程度を客観的数値であらわしたリスク度合いによって、すべての単位作業が標準化される。したがって、これら工事に関わる複数の担当者、および複数の工事請負先あるいは工事発注元などにおいて、単位作業に対する認識が統一される。そして、この統一された認識に基づいて工事を施工することにより、工事情報を的確に管理することができるようになる。
【0102】
(2)さらに工事情報の入力時において、上記単位作業を行う方法、すなわちリスク低減策を画像情報とともに表示することにより、それら単位作業とそのリスク低減策のあいまい性が排除され、標準化がいっそう徹底して行われるようになる。このため、工事関係者の認識をより容易かつ精度高く統一することができるようになる。
【0103】
(3)上記工事に含まれるすべての単位作業にリスク度合いを関連付け、それら関連付けたリスク度合いを集計して、それをもとに工事のリスク評価基準であるリスクレベルを演算する。これにより、複数の工事を扱う際にそれら工事に対して重要度の付与が可能になって重点指向の管理が容易に行えるようになり、工事情報を効率的に管理することができるようになる。
【0104】
(4)上記工事に対するリスクレベルが1日単位で出力されるため、またその工事に含まれる単位作業がそれの行われる時間帯に関連付けされるため、工事をいっそうきめ細かく管理することができる。これにより、安全パトロールの実施や現場監督の配置など、それら工事を管理するための、日毎あるいは時間帯別のスケジュールを容易に立案することができるようになる。また、工事に含まれる作業内容とその工数を的確に把握することができるため、それにかかるおおよその費用の算出が可能となり、適正なコスト管理ができるようになる。
【0105】
(5)こうして、工事に関する情報がきめ細かく管理されるため、工事を申請の段階で、あるいは工事を施工するときに、各単位作業に対するリスク低減策を的確に把握することが可能となり、危険を回避して工事の安全性を確実に確保することができるようになる。
【0106】
(6)リスク度合いの最高値に基づいて工事に関連付けられるリスクレベルの演算が行われる。このため、リスク度合いの高い単位作業、すなわち危険性の高い作業が重点指向されるかたちで工事情報を管理することができるようになる。
【0107】
(7)上記工事情報の入力は、工事を施工する工事請負先によって行われる。したがって、安易な予想によらない正確な情報に基づいて工事を管理することができるようになる。
【0108】
(8)上記工事情報管理システムはコンピュータネットワーク上に構築されるため、工事請負先および工事発注元における工事情報の登録や確認、承認、そしてメンテナンスなど、さまざまな情報の授受がきわめて迅速に行われるようになる。そしてこの効果は、工事請負先や工事発注元の関係各部署が地理的に離隔しているほど、またその数が多いほど顕著に得られる。
【0109】
(9)また、上記システムをサーバ10とそれをアクセスする端末(クライアント)13〜17にて構成することにより、工事情報を一元的に管理することが容易になり、工事請負先および工事発注元においていっそう的確に情報を共有することができるようになる。
【0110】
(10)しかも、上記システムを社内ネットワークやインターネットなどの既存の基盤のうえに構築するため、同システムを経済的かつ容易に開発することができる。また、利用者にとっては利用しやすく操作性の高いものとすることができる。
【0111】
(11)上記工事にあたっては、これを施工する工事請負先が、工事通知書や作業者リスト、リスク評価シートなど、その工事に関する各種証書類を承認印を含むかたちで各々において印刷する。したがって、当日行われる工事やその工事現場への作業者の入退場などを容易に照合することができる。これにより、不正な工事や部外者の侵入などを未然に防止することができるようになる。
【0112】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態においては、単位作業を行う方法すなわちリスク低減策を選択する際に、そのリスク低減策を画像情報により確認することができる例について説明したが、この画像情報は必ずしも必要ない。画像情報がなくても、単位作業とそのリスク低減策についての認識を統一することができれば、工事情報の好適な標準化を図ることができる。
【0113】
・上記実施の形態においては、工事の登録や承認の依頼、また承認の決定などが工事発注元の関係各部署や工事請負先などに電子メールを使って通知される例について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。たとえば、電話やファクシミリなどによって通知されてもよい。
【0114】
・上記実施の形態において、工事にかかる各種証書類は、工事請負先が工事情報管理サーバ10から送信されてきた書式情報付き印刷用データを印刷することによって発行される例について説明したが、必ずしもこの場合に限定されるものではない。サーバ10から工事請負先に送信する印刷用データは書式情報付きとする必要はない。もっともこの場合には、あらかじめ印刷書式を規定して、標準化しておくことが望ましい。
【0115】
・上記実施の形態においては、工事のリスク評価基準であるリスクレベルは1日単位の工事に対して関連付けられる場合について例示したが、必ずしもこの場合に限定されるものではない。たとえば、半日単位あるいは1週間単位の工事に対してリスクレベルを付与してもよい。
【0116】
・上記実施の形態においては、工事請負先にて工事情報を登録する際のリスク評価の結果に問題がある場合には、同工事情報の入力内容を修正する必要があったが、この修正は必ずしも必要ではない。他にリスク低減策がない場合、あるいは費用の面で制限がある場合など、入力した工事情報の内容の修正をしないでその可否の判断を工事発注元に委ねることができるようにしてもよい。
【0117】
・上記実施の形態においては、工事情報管理システムに対する情報の入力が工事請負先によってなされる場合について例示したが、必ずしもこの場合に限定されるものではない。工事情報の入力が、工事発注元によってなされてもかまわない。
【0118】
・上記実施の形態においては、工事の対象となる施設が1つの工場内にある場合について説明したが、これら工場などは複数あってもよい。その場合、工事発注元の関連各部署が分散して存在していてもよい。
【0119】
・上記実施の形態においては、工事請負先を1つとして説明したが、複数あってももちろんよい。この場合、上記工事情報管理システムが管理するサービスサイトをアクセス可能な端末は複数存在してもよい。そしてその端末は、インターネットを介して同システムにアクセスしてもよいし、工事発注元の敷設するネットワークに直接接続されていてもよい。
【0120】
・上記実施の形態においては、工事請負先、および工事発注元の各部署は各々が備えている固定端末を使用して上記工事情報管理システムにアクセスする場合について例示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。これら端末は他部署のものであってもよいし、該工事と関係のない部署に備えられた端末であってもよい。また、携行可能な携帯端末であってもよい。要は、同システムにアクセスすることができさえすればよい。
【0121】
・上記実施の形態においては、工事情報管理システムをコンピュータネットワーク上に構築する例について説明したが、必ずしもネットワークを必要としない。独立したコンピュータシステム上に同システムを構築しても、工事に含まれる単位作業やそのリスク低減策について標準化を図ることができるようになる。また、それら工事および単位作業に客観的数値であるリスク度合いおよびリスクレベルを関連付けることにより、工事を効率的に管理することができるようになる。
【0122】
・上記実施の形態においては、管理する作業の対象が工事である場合について例示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。その対象は工事に限らず、広く一般産業において行われる作業についても上記実施の形態に準じたかたちで適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる作業情報管理システムの一実施の形態についてそのシステム構成例を示すブロック図。
【図2】同実施の形態について工事情報の管理業務フロー例を示すフローチャート。
【図3】同実施の形態について工事情報の登録時にサーバが行う処理手順例を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態について工事届起票の入力画面の例を示す説明図。
【図5】同実施の形態について作業期間の入力画面の例を示す説明図。
【図6】同実施の形態について工事エリアの入力画面の例を示す説明図。
【図7】同実施の形態について作業手順の入力画面の例を示す説明図。
【図8】同実施の形態についてリスク要因の分類例を示す説明図。
【図9】同実施の形態についてリスク項目の作業条件によるリスク度合い一覧表の例を示す説明図。
【図10】同実施の形態について単位作業に対するリスク低減策の入力画面の例を示す説明図。
【図11】同実施の形態についてリスク低減策の画像情報表示画面の例を示す説明図。
【図12】同実施の形態について工事のリスクレベルを演算する手順例を示すフローチャート。
【図13】同実施の形態について工事のリスクレベルを判定する基準例を示す説明図。
【図14】同実施の形態について火気使用許可申請の確認画面の例を示す説明図。
【図15】同実施の形態について工事通知書一覧の画面例を示す説明図。
【図16】同実施の形態について工事計画の表示画面の例を示す説明図。
【図17】同実施の形態について詳細日程表の画面例を示す説明図。
【図18】同実施の形態についてリスク低減策の確認画面の例を示す説明図。
【図19】同実施の形態について建屋別工事一覧の画面例を示す説明図。
【図20】同実施の形態について電子承認実行の画面例を示す説明図。
【図21】同実施の形態について工事にかかる各種証書類の印刷手順例を示す概念図。
【図22】同実施の形態について印刷された証書としての作業者リストの例を示す説明図。
【図23】同実施の形態についてリスク評価シートの例を示す説明図。
【図24】同実施の形態について施工工事一覧表の画面例を示す説明図。
【符号の説明】
10…工事情報管理サーバ、11…工事情報データベース、12…作業者情報データベース、13〜17…端末、18…プリンタ、19…ハンディ端末、20…リスク情報データベース。
Claims (8)
- 申請に必要とされる作業の内容を入力するための作業内容入力手段と、
各種作業の内容に対応してそれら作業のリスク度合いを示すリスク情報が格納されたリスク情報格納手段と、
前記作業内容入力手段を通じた作業内容の入力に併せて、前記リスク情報格納手段に格納されているリスク情報に基づき当該作業内容に対応するリスク度合いが選択されることで、それら作業内容とリスク度合いとを関連付けして出力する作業情報出力手段と、
時間軸を表す項目欄と前記作業内容を表す項目欄とを表示する表示手段と、
を備え、
前記作業内容入力手段は、前記表示手段において前記作業の内容を単位作業別に時間帯を区切って入力するものであり、
前記リスク情報は、それら単位作業に対して前記リスク度合いを付与した情報であり、
前記作業情報出力手段は、前記入力された単位作業毎にその対応するリスク度合いが選択されることに基づいて該当する作業内容全体としてのリスク評価基準であるリスクレベルを任意の作業内容においてこれに含まれる単位作業の別に選択されたリスク度合いの最高値に基づいて演算し、該演算結果を同作業内容に関連付けして出力するものであることを特徴とする作業情報管理システム。 - 前記作業情報出力手段は、前記リスクレベルを1日単位で演算して、その結果を1日分の作業内容に関連付けして出力するとともに、前記単位作業毎に選択されたリスク度合いをそれら単位作業の行われる時間帯に関連付けして出力する
請求項1記載の作業情報管理システム。 - 前記リスク情報は、前記各単位作業に対するリスク度合いを標準化するための情報を含む
請求項1または2に記載の作業情報管理システム。 - 前記各単位作業に対するリスク度合いを標準化するための情報が、それら単位作業およびリスクの内容を具体的に画像表示する情報である
請求項3記載の作業情報管理システム。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の作業情報管理システムにおいて、
前記作業内容入力手段を通じて入力された情報および前記作業情報出力手段を通じて出力される情報をネットワークを介してその評価者と共有させる手段をさらに備える
ことを特徴とする作業情報管理システム。 - 請求項5記載の作業情報管理システムにおいて、
前記共有される情報に対して前記評価者による承認操作が行われることに基づき同情報に電子的に承認情報を付加する手段をさらに備える
ことを特徴とする作業情報管理システム。 - 前記申請が工事申請であるとともに、前記作業が工事作業であり、少なくとも前記作業内容入力手段および前記作業情報出力手段は1乃至複数の工事請負先におかれ、前記承認情報を付加する手段は工事発注元におかれる
請求項6記載の作業情報管理システム。 - 請求項7記載の作業情報管理システムにおいて、
前記共有され、かつ前記承認情報の付加された情報を工事現場に掲示するためのリスク評価シートとして印刷出力する手段を前記工事請負先にさらに備える
ことを特徴とする作業情報管理システム。
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