JP4447720B2 - 超音波式渦流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管路の途中に渦発生体を設け、該渦発生体後方に発生する渦が超音波に与える位相変調を検出し、流体の流量または流速を測定する超音波式渦流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超音波式渦流量計として、流路を形成する流量計本体と、該流量計本体の流路内に設けられ渦を発生させる渦発生体と、該渦発生体の下流側に位置して前記流量計本体に設けられ流路内に超音波を送信する超音波送信器と、該超音波送信器と対向して前記流量計本体に設けられ該超音波送信器から送信された超音波を受信する超音波受信器と、前記超音波送信器から送信された送信信号と超音波受信器から受信した受信信号との位相を比較し前記渦発生体によって発生した渦を検出する位相比較器とによって構成されたものが知られている(例えば、特開平3−165220号等)。
【0003】
そこで、このような従来技術による超音波式渦流量計について図4ないし図8に基づき説明する。
【0004】
図中、1は管路の途中に接続される流量計本体で、該流量計本体1は、略円筒形状をなし、その内部には流体が通過する流路1Aが形成されている。
【0005】
2は流量計本体1の流路1A内に設けられた例えば略三角柱形状の渦発生体で、該渦発生体2は、その幅寸法が下流側に向かって漸次テーパ状に縮小すると共に、その最上流側には、流れに直交した一の平面が配設されている。そして、渦発生体2は、流路1Aに流体が流れると、いわゆるカルマン渦と呼ばれる渦A,Bを左,右交互に発生させる。なお、渦発生体2は、三角柱形状に限らず円柱形状、四角柱形状であってもよい。
【0006】
3は流量計本体1の流路1Aに超音波を送信する超音波送信器で、該超音波送信器3は、渦発生体2の下流側に位置して流量計本体1に設けられた圧電素子等からなる送信用超音波センサ3Aと、該送信用超音波センサ3Aに接続された発信器3Bとによって構成されている。そして、送信用超音波センサ3Aは、該発信器3Bから出力される矩形波状の送信信号V1 (図5参照)に応じて駆動し、例えば50Hz 〜1MHz程度の略一定となった周波数f0 の超音波を流路1Aを横切るように送信している。
【0007】
4は送信用超音波センサ3Aと対向して流量計本体1に設けられた超音波受信器としての受信用超音波センサで、該受信用超音波センサ4は、送信用超音波センサ3Aと同様に圧電素子等によって構成され、送信用超音波センサ3Aから送信された超音波を受信し、略正弦波状の受信信号V0 を出力する。
【0008】
5は受信用超音波センサ4に接続された増幅器で、該増幅器5は受信用超音波センサ4から出力された受信信号V0 を増幅し、後述の波形整形回路6に入力している。
【0009】
6は増幅器5の出力側に接続された波形整形回路で、該波形整形回路6は、例えばゼロクロスコンパレータ等によって構成されている。そして、波形整形回路6は、増幅器5によって増幅した受信信号V0 を波形整形し、矩形波となった整形信号V2 (図5参照)を出力する。
【0010】
7は超音波送信器3の発信器3Bに接続されると共に、波形整形回路6を介して受信用超音波センサ4に接続された位相比較器で、該位相比較器7は、例えば送信信号V1 と整形信号V2 との立ち上がり部位を比較することによって、渦A,Bによって発生する送信信号V1 と整形信号V2 との間の位相差Φを検出し、パルス波からなる検出信号V3 を次段の増幅器8に向けて出力する。
【0011】
9は増幅器8を介して位相比較器7に接続された波形変換回路で、該波形変換回路9は、増幅器8によって増幅したパルス波状の検出信号V3 を平滑化し、正弦波状の渦信号V4 に変換して出力する。
【0012】
10は波形変換回路9に接続された演算回路で、該演算回路10は、波形変換回路9から出力される渦信号V4 に基づいて渦A,Bが発生する周波数を演算する。これにより、演算回路10は、流量計本体1の流路1Aを流れる流体の流量または流速に応じた出力信号を出力する。
【0013】
従来技術による超音波式渦流量計は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について図4および図5に基づき説明する。
【0014】
まず、発信器3Bを駆動し、渦発生体2の下流側に位置する送信用超音波センサ3Aと受信用超音波センサ4との間に一定の周波数f0 に変調された超音波を伝搬させる。
【0015】
ここで、流量計本体1の流路1Aを流体が通過していないときには、図5に示すように送信信号V1 と整形信号V2 との間に、超音波が流路1Aを横切るのに必要となる時間に応じた一定の位相差Φ0 が生じている。そして、位相比較器7は、送信信号V1 と整形信号V2 との立ち上がり部位の時間差から位相差Φ0 を差し引くことによって位相差Φを検出し、位相差Φに応じた検出信号V3 を出力する。このため、流量計本体1の流路1Aを流体が通過していないときには、検出信号V3 は略0Vに維持されるから、検出信号V3 を平滑化して信号変換した渦信号V4 も略0Vに維持される。
【0016】
一方、流量計本体1の流路1Aを流体が通過すると、渦発生体2の下流側には流体の流速に応じた周波数の渦A,Bが左,右交互に発生する。このとき、送信用超音波センサ3Aと受信用超音波センサ4との間を伝搬する超音波は、渦A,Bによるドップラー効果が作用するから、送信用超音波センサ3A側の渦Aが2つの超音波センサ3A,4間を通過するときには、超音波の伝搬速度は見かけ上速くなり、受信用超音波センサ4側の渦Bが2つの超音波センサ3A,4間を通過するときには、超音波の伝搬速度は見かけ上遅くなる。
【0017】
このため、送信信号V1 と整形信号V2 との間の位相差Φは渦A,Bに応じて増減し、検出信号V3 は渦A,Bによってパルス幅が増減したパルス状の信号となる。そして、渦信号V4 は検出信号V3 を平滑化することによって略正弦波となるから、演算回路10によって渦A,Bが発生する周波数、即ち単位時間当りの渦A,Bの発生数を演算することによって、流路1Aを流れる流体の流量または流速を測定することができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、送信用超音波センサ3Aから送信された超音波を受信用超音波センサ4によって受信した後、ゼロクロスコンパレータ等からなる波形整形回路6によって整形信号V2 を出力している。
【0019】
ここで、超音波を受信する受信用超音波センサ4は、図6に示すような周波数特性を有し、受信用超音波センサ4から出力される受信信号V0 の振幅は、受信用超音波センサ4が受信する超音波の周波数に応じて変化する。
【0020】
即ち、超音波の周波数が周波数f1 よりも低いときには、周波数が高くなる(周波数f1 に近付く)に従って受信信号V0 の振幅は増加する。これに対し、超音波の周波数が周波数f1 よりも高いときには、周波数が高くなる(周波数f1 から遠ざかる)に従って受信信号V0 の振幅は減少する。
【0021】
一方、受信用超音波センサ4が受信する超音波は、渦A,Bのドップラー効果によってその速度が変化するから、この速度の変化に応じて見かけ上の周波数も変化する。このため、受信信号V0 の振幅は、図7に示すように渦A,Bの発生する周波数に応じて略正弦波状に増減し、図7中に二点鎖線で示す超音波信号Sが振幅変調される。
【0022】
また、ゼロクロスコンパレータからなる波形整形回路6は、一般にノイズを除去するためのヒステリシスを有し、+Vt よりも高い電圧となったときに「H」(ハイ)状態の整形信号V2 に切換わり、−Vt よりも低い電圧となったときに「L」(ロー)状態の整形信号V2 に切換わる。
【0023】
このため、図8中の特性線aに示すように受信信号V0 が基準となる振幅で振動しているときには、整形信号V2 は図8中の第2段に示す特性線dとなるのに対し、図8中の特性線bに示すように受信信号V0 のが基準となる振幅よりも大きな振幅で振動しているときには、整形信号V2 は図8中の第3段に示す特性線eとなり、整形信号V2 の立ち上がり位置は、特性線dに比べてΔT1 だけ早くなる。
【0024】
一方、図8中の特性線cに示すように受信信号V0 が基準となる振幅よりも小さい振幅で振動しているときには、整形信号V2 は図8中の第4段に示す特性線fとなり、整形信号V2 の立ち上がり位置は、特性線dに比べてΔT2 だけ遅くなる。
【0025】
この結果、位相比較器7は、受信信号V0 の振幅の変化による整形信号V2 の立ち上がり位置の変化をも位相差Φの変化として検出し、検出信号V3 のパルス幅が変化する。このため、検出信号V3 を平滑化した渦信号V4 も、その振幅が増減する。
【0026】
さらに、図6に示すように超音波送信器3から出力される超音波の周波数f0 が受信用超音波センサ4の特性の変曲点である周波数f1 よりも低いときには、超音波の周波数が渦A,BによってΔfだけ増減しても、超音波の周波数が高くなるに従って受信信号V0 の振幅が大きくなる。このため、渦Aによって超音波の周波数が周波数f0 よりも低くなったときには、受信信号V0 の振幅は小さくなるから、整形信号V2 の立ち上がり位置が遅くなり、検出信号V3 のパルス幅は増加する。一方、渦Bによって超音波の周波数が周波数f0 よりも高くなったときには、受信信号V0 の振幅は大きくなるから、整形信号V2 の立ち上がり位置が早くなり、検出信号V3 のパルス幅は増加する。このため、渦信号V4 の振幅は、図5中に二点鎖線で示す特性線gのように増加し、検出感度を向上することができる。
【0027】
これに対し、図6に示すように超音波送信器3から出力される超音波の周波数f0 ′が受信用超音波センサ4の特性の変曲点である周波数f1 よりも高いときには、超音波の周波数が渦A,BによってΔfだけ増減すると、超音波の周波数が高くなるに従って受信信号V0 の振幅が小さくなる。このため、渦Aによって超音波の周波数が周波数f0 ′よりも低くなったときには、受信信号V0 の振幅は大きくなるから、整形信号V2 の立ち上がり位置が早くなり、検出信号V3 のパルス幅は減少する。一方、渦Bによって超音波の周波数が周波数f0 ′よりも高くなったときには、受信信号V0 の振幅は小さくなるから、整形信号V2 の立ち上がり位置が遅くなり、検出信号V3 のパルス幅は減少する。このため、渦信号V4 の振幅は、図5中に点線で示す特性線hのように減少し、検出感度が低下するという問題がある。
【0028】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、超音波の周波数に拘らず流体の流量または流速の検出感度を向上することができるようにした超音波式渦流量計を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明は、流路を形成する流量計本体と、該流量計本体の流路内に設けられ渦を発生させる渦発生体と、該渦発生体の下流側に位置して前記流量計本体に設けられ流路内に超音波を送信する超音波送信器と、該超音波送信器と対向して前記流量計本体に設けられ該超音波送信器から送信された超音波を受信する超音波受信器と、該超音波受信器から出力された受信信号を矩形波に波形整形した整形信号を出力するヒステリシスコンパレータと、前記超音波送信器から送信された送信信号と該ヒステリシスコンパレータから出力された整形信号との位相を比較し前記渦発生体によって発生した渦を検出する位相比較器とからなる超音波式渦流量計に適用される。
【0030】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、超音波受信器には超音波の周波数に応じて受信信号に振幅変調された超音波信号を復調する振幅復調器を接続し、該振幅復調器から出力される振幅復調信号と位相比較器から出力される渦信号とを加算する加算器を設け、前記位相比較器から出力される渦信号から振幅復調器から出力される振幅復調信号を減算する減算器を設け、前記加算器から出力される加算信号と減算器から出力される減算信号とを用いて流体の流量または流速を計測する構成としたことにある。
【0031】
このように構成することにより、位相比較器は、ヒステリシスコンパレータによって受信信号を矩形波に波形整形された整形信号と超音波送信器から送信された送信信号とを比較することによって渦発生体によって発生した渦を検出し、この検出結果に基づいて渦信号を出力することができる。一方、振幅復調器は受信信号に振幅変調された超音波信号を復調する。そして、加算器は振幅復調器から出力される振幅復調信号と位相比較器から出力される渦信号とを加算し、減算器は渦信号に対し振幅復調信号を減算する。このため、渦信号と振幅復調信号との増減が同じ位相(同相)で変化するときには、加算器から出力される加算信号の振幅が渦信号の振幅よりも増加し、渦信号と振幅復調信号との増減が逆の位相(逆相)で変化するときには、減算器から出力される減算信号の振幅が渦信号の振幅よりも増加する。
【0032】
この結果、渦信号と振幅復調信号とが同相、逆相のいずれで変化するときであっても、加算信号と減算信号とのうちいずれか一方の振幅は渦信号の振幅よりも大きくなるから、加算信号と減算信号とを用いることによって流体の流量または流速を計測することができる。
【0033】
また、請求項2の発明は、加算器と減算器とには加算器から出力される加算信号と減算器から出力される減算信号とのうち振幅の大きな信号を選択する選択器を接続する構成としたことにある。
【0034】
これにより、選択器は加算信号と減算信号とのうち振幅の大きな信号を選択するから、選択器によって選択した選択信号を用いることによって、渦が発生する周波数を演算し、流路を流れる流体の流量または流速を計測することができる。
【0035】
また、請求項3の発明は、振幅復調器は、ヒステリシスコンパレータの前段側で超音波受信器に接続する構成としたことにある。
【0036】
これにより、振幅復調器はヒステリシスコンパレータの前段側で超音波受信器に接続したから、超音波受信器が超音波を受信するときに受信信号に変調した超音波信号を振幅復調器によって復調することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による超音波式渦流量計を図1ないし図3を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施の形態では、前述した従来技術と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0038】
図中、11は波形整形回路6の前段側で受信用超音波センサ4に増幅器5を介して接続された振幅復調回路で、該振幅復調回路11は、超音波の周波数に応じて受信信号V0 に振幅変調(AM変調)された正弦波状の超音波信号S(図7参照)を復調して振幅復調信号V5 を出力する。
【0039】
12は位相比較器7に波形変換回路9を介して接続されると共に、振幅復調回路11に接続された加算回路で、該加算回路12は、波形変換回路9から出力される渦信号V4 と振幅復調回路11から出力される振幅復調信号V5 とを加算し、正弦波状の加算信号V6 を出力する。
【0040】
13は位相比較器7に波形変換回路9を介して接続されると共に、振幅復調回路11に接続された減算回路で、該減算回路13は、波形変換回路9から出力される渦信号V4 に対し振幅復調回路11から出力される振幅復調信号V5 を減算し、正弦波状の減算信号V7 を出力する。
【0041】
14は加算回路12と減算回路13とに接続された選択回路で、該選択回路14は、加算回路12から出力される加算信号V6 の振幅と減算回路13から出力される減算信号V7 の振幅とを比較し、これら2つの信号V6 ,V7 のうち振幅の大きい信号を選択信号V8 として出力する。
【0042】
15は選択回路14に接続された演算回路で、該演算回路15は、選択回路14から出力される選択信号V8 に基づいて渦A,Bが発生する周波数を演算し、流量計本体1の流路1Aを流れる流体の流量または流速に応じた出力信号を出力する。また、演算回路15には、表示回路16が接続され、該表示回路16は、演算回路15の演算結果である流体の流量等を表示する。
【0043】
本実施の形態による超音波渦流量計は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0044】
まず、発信器3Bを駆動し、渦発生体2の下流側に位置する送信用超音波センサ3Aと受信用超音波センサ4との間に一定の周波数f0 に変調された超音波を伝搬させる。
【0045】
ここで、図6に示すように超音波送信器3から出力される超音波の周波数f0 が受信用超音波センサ4の特性の変曲点である周波数f1 よりも低い場合について検討する。
【0046】
この場合、超音波の周波数が渦A,BによってΔfだけ増減すると、超音波の周波数が高くなるに従って受信信号V0 の振幅が大きくなる。このため、渦Aによって超音波の周波数が周波数f0 よりも低くなったときには、受信信号V0 の振幅は小さくなるから、整形信号V2 の立ち上がり位置が遅くなり、検出信号V3 のパルス幅は増加する。一方、渦Bによって超音波の周波数が周波数f0 よりも高くなったときには、受信信号V0 の振幅は大きくなるから、整形信号V2 の立ち上がり位置が早くなり、検出信号V3 のパルス幅は増加する。
【0047】
この結果、波形変換回路9から出力される渦信号V4 の振幅は、図2に示すように受信信号V0 の振幅が変化しないときに比べて増加し、流量等の検出感度が向上している。このとき、振幅復調回路11は、受信信号V0 から復調した振幅復調信号V5 を出力し、この振幅復調信号V5 は、渦信号V4 と同相で変化する。このため、振幅復調信号V5 は、渦信号V4 が増加するときに増加し、渦信号V4 が減少するときに減少している。
【0048】
次に、加算回路12は同相で変化する振幅復調信号V5 と渦信号V4 とを加算するから、加算回路12から出力される加算信号V6 は、その振幅が渦信号V4 よりも増加する。一方、減算回路13は渦信号V4 から振幅復調信号V5 を減算するから、減算回路13から出力される減算信号V7 は、その振幅が渦信号V4 よりも減少する。
【0049】
そして、選択回路14は、加算信号V6 の振幅と減算信号V7 の振幅とを比較し、振幅の大きい加算信号V6 を選択するから、加算信号V6 と等しい選択信号V8 を出力する。最後に、演算回路15は、渦信号V4 よりも振幅の大きくなった選択信号V8 を用いて渦A,Bが発生する周波数、即ち単位時間当りの渦A,Bの発生数を演算し、流路1Aを流れる流体の流量または流速を測定する。
【0050】
次に、図6に示すように超音波送信器3から出力される超音波の周波数f0 ′が受信用超音波センサ4の特性の変曲点である周波数f1 よりも高い場合について検討する。
【0051】
この場合、超音波の周波数が渦A,BによってΔfだけ増減すると、超音波の周波数が高くなるに従って受信信号V0 の振幅が小さくなる。このため、渦Aによって超音波の周波数が周波数f0 ′よりも低くなったときには、受信信号V0 の振幅は大きくなるから、整形信号V2 の立ち上がり位置が早くなり、検出信号V3 のパルス幅は減少する。一方、渦Bによって超音波の周波数が周波数f0 ′りも高くなったときには、受信信号V0 の振幅は小さくなるから、整形信号V2 の立ち上がり位置が遅くなり、検出信号V3 のパルス幅は減少する。
【0052】
この結果、波形変換回路9から出力される渦信号V4 の振幅は、図3に示すように受信信号V0 の振幅が変化しないときに比べて減少し、流量等の検出感度が低下している。このとき、振幅復調回路11は、受信信号V0 から復調した振幅復調信号V5 を出力し、この振幅復調信号V5 は、渦信号V4 と逆相で変化する。このため、振幅復調信号V5 は、渦信号V4 が増加するときに減少し、渦信号V4 が減少するときに増加している。
【0053】
次に、加算回路12は逆相で変化する振幅復調信号V5 と渦信号V4 とを加算するから、加算回路12から出力される加算信号V6 は、その振幅が渦信号V4 よりも減少する。一方、減算回路13は渦信号V4 から振幅復調信号V5 を減算するから、減算回路13から出力される減算信号V7 は、その振幅が渦信号V4 よりも増加する。
【0054】
そして、選択回路14は、加算信号V6 の振幅と減算信号V7 の振幅とを比較し、振幅の大きい減算信号V7 を選択するから、減算信号V7 と等しい選択信号V8 を出力する。最後に、演算回路15は、渦信号V4 よりも振幅の大きくなった選択信号V8 を用いて渦A,Bが発生する周波数、即ち単位時間当りの渦A,Bの発生数を演算し、流路1Aを流れる流体の流量または流速を測定する。
【0055】
かくして、本実施の形態では、受信用超音波センサ4には振幅復調回路11を接続し、該振幅復調回路11と位相比較器7とには加算回路12と減算回路13とを接続する構成としたから、振幅復調回路11によって受信信号V0 に振幅変調された超音波信号Sを復調して振幅復調信号V5 を出力し、加算回路12によって振幅復調信号V5 と渦信号V4 とを加算し、減算回路13によって渦信号V4 から振幅復調信号V5 を減算することができる。このため、渦信号V4 と振幅復調信号V5 とが同相で変化するときには、加算回路12から出力される加算信号V6 が渦信号V4 よりも振幅が増加し、渦信号V4 と振幅復調信号V5 とが逆相で変化するときには、減算回路13から出力される減算信号V7 が渦信号V4 よりも振幅が増加する。
【0056】
この結果、渦信号V4 と振幅復調信号V5 とが同相、逆相のいずれで変化するときであっても、加算信号V6 と減算信号V7 とのうちいずれか一方の信号は、渦信号V4 よりも大きな振幅で変化するから、加算信号V6 と減算信号V7 とを用いることによって、流体の流量等を高精度に検出することができる。
【0057】
また、加算回路12と減算回路13とには加算信号V6 と減算信号V7 とのうち振幅の大きな信号を選択する選択回路14を接続したから、選択回路14によって選択した選択信号V8 を用いることによって、渦A,Bが発生する周波数を演算し、流路を流れる流体の流量または流速を測定することができる。特に、選択回路14は加算信号V6 と減算信号V7 とのうち振幅の大きな信号を選択するから、流体が低速で流れるときのように、渦A,Bが小さいときであっても、渦A,Bが発生する周波数を正確に測定することができ、流量または流速の検出感度を高めることができる。
【0058】
さらに、受信用超音波センサ4と位相比較器7との間には波形整形回路6を接続し、振幅復調回路11は波形整形回路6の前段側で受信用超音波センサ4に接続する構成としたから、位相比較器7は波形整形回路6によって矩形波に波形整形された整形信号V2 と超音波送信器3の送信信号V1 とを比較することによって渦発生体2によって発生した渦A,Bを検出することができる。
【0059】
また、位相比較器7から出力される渦信号V4 は、受信用超音波センサ4の周波数特性と波形整形回路6とのヒステリシスによって、その振幅が超音波信号Sに応じて増減する。このとき、振幅復調回路11は受信用超音波センサ4に接続したから、受信用超音波センサ4から出力される受信信号V0 に変調された超音波信号Sを復調することができる。このため、振幅復調回路11から出力された振幅復調信号V5 を位相比較器7から出力された渦信号V4 に加算、減算することによって、渦信号V4 よりも振幅の大きな加算信号V6 、減算信号V7 を出力することができる。
【0060】
なお、前記実施の形態では、波形変換回路9と振幅復調回路11とに減算回路13を接続するものとしたが、減算回路13に代えて、振幅復調回路11に接続され振幅復調回路11から出力される振幅復調信号V5 の正負を反転する反転回路と、該反転回路と波形変換回路9とに接続され反転回路から出力される反転信号と波形変換回路9から出力される渦信号とを加算する加算回路とを設ける構成としてもよい。
【0061】
また、前記実施の形態では、位相比較器7に直接的に波形変換回路9を接続するものとしたが、従来技術と同様に位相比較器7と波形変換回路9との間に増幅器8を接続してもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、位相比較器は、ヒステリシスコンパレータによって受信信号を矩形波に波形整形された整形信号と超音波送信器から送信された送信信号とを比較することによって渦発生体によって発生した渦を検出し、この検出結果に基づいて渦信号を出力することができる。また、超音波受信器には振幅復調信号を出力する振幅復調器を接続し、振幅復調信号と渦信号とを加算する加算器を設け、渦信号から振幅復調信号を減算する減算器を設ける構成としたから、振幅復調器によって受信信号に振幅変調された超音波信号を復調して振幅復調信号を出力し、加算器によって振幅復調信号と渦信号とを加算し、減算器によって渦信号から振幅復調信号を減算することができる。このとき、渦信号と振幅復調信号とが同相で変化するには、加算信号が渦信号よりも振幅が増加し、渦信号と振幅復調信号とが逆相で変化するときには、減算信号が渦信号よりも振幅が増加する。このため、渦信号と振幅復調信号とが同相、逆相のいずれで変化するときであっても、加算信号と減算信号とのうちいずれか一方の信号は、渦信号よりも大きな振幅で変化するから、加算信号と減算信号とを用いることによって、流体の流量等を高精度に検出することができる。
【0063】
また、請求項2の発明によれば、加算器と減算器とには加算信号と減算信号とのうち振幅の大きな信号を選択する選択器を接続する構成としたから、選択器によって選択した選択信号を用いることによって、渦が発生する周波数を演算できる。また、選択器は加算信号と減算信号とのうち振幅の大きな信号を選択するから、流体が低速で流れるときのように渦が小さいときであっても、渦が発生する周波数を正確に測定することができ、流量または流速の検出感度を高めることができる。
【0064】
また、請求項3の発明によれば、振幅復調器はヒステリシスコンパレータの前段側で超音波受信器に接続したから、超音波受信器が超音波を受信するときに受信信号に変調した超音波信号を振幅復調器によって復調することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による超音波式渦流量計の全体構成を示すブロック図である。
【図2】渦信号と振幅復調信号とが同相で変化するときの渦信号、振幅復調信号、加算信号、減算信号、選択信号の時間変化を示す特性線図である。
【図3】渦信号と振幅復調信号とが逆相で変化するときの渦信号、振幅復調信号、加算信号、減算信号、選択信号の時間変化を示す特性線図である。
【図4】従来技術による超音波式渦流量計の全体構成を示すブロック図である。
【図5】送信信号、整形信号、検出信号、渦信号の時間変化を示す特性線図である。
【図6】超音波の周波数と受信用超音波センサから出力される受信信号の振幅の増幅度との関係を示す特性線図である。
【図7】受信信号、整形信号の時間変化を示す特性線図である。
【図8】受信信号の振幅が変化したときの整形信号の時間変化を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 流量計本体
1A 流路
2 渦発生体
3 超音波送信器
4 受信用超音波センサ(超音波受信器)
6 波形整形回路
7 位相比較器
11 振幅復調回路(振幅復調器)
12 加算回路(加算器)
13 減算回路(減算器)
14 選択回路(選択器)
Claims (3)
- 流路を形成する流量計本体と、該流量計本体の流路内に設けられ渦を発生させる渦発生体と、該渦発生体の下流側に位置して前記流量計本体に設けられ流路内に超音波を送信する超音波送信器と、該超音波送信器と対向して前記流量計本体に設けられ該超音波送信器から送信された超音波を受信する超音波受信器と、該超音波受信器から出力された受信信号を矩形波に波形整形した整形信号を出力するヒステリシスコンパレータと、前記超音波送信器から送信された送信信号と該ヒステリシスコンパレータから出力された整形信号との位相を比較し前記渦発生体によって発生した渦を検出する位相比較器とからなる超音波式渦流量計において、
前記超音波受信器には超音波の周波数に応じて受信信号に振幅変調された超音波信号を復調する振幅復調器を接続し、該振幅復調器から出力される振幅復調信号と前記位相比較器から出力される渦信号とを加算する加算器を設け、前記位相比較器から出力される渦信号から前記振幅復調器から出力される振幅復調信号を減算する減算器を設け、前記加算器から出力される加算信号と該減算器から出力される減算信号とを用いて流体の流量または流速を計測する構成としたことを特徴とする超音波式渦流量計。 - 前記加算器と減算器とには加算器から出力される加算信号と減算器から出力される減算信号とのうち振幅の大きな信号を選択する選択器を接続する構成としてなる請求項1に記載の超音波式渦流量計。
- 前記振幅復調器は前記ヒステリシスコンパレータの前段側で前記超音波受信器に接続する構成としてなる請求項1または2に記載の超音波式渦流量計。
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