JP4405167B2 - 超音波式渦流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波式渦流量計に係り、特に被測流体中に超音波を送信して渦発生体の下流に発生するカルマン渦を検出して被測流体の流量を測定する超音波式渦流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、従来の超音波式渦流量計では、被測流体が流れる流路内に流れ方向と直交する方向に延在形成された渦発生体を設け、渦発生体の下流には1組または2組の超音波センサを設けて渦発生体の下流に発生するカルマン渦を検出するように構成されている。1組の超音波センサは、互いに対向するように流路内に設けられており、一方が超音波を送信する送信側であり、他方が被測流体中を伝搬した超音波を受信する受信側となる。
【0003】
この種の超音波式渦流量計では、流路中に流速に比例して交番的に発生するカルマン渦の中を伝搬して受信された超音波の受信信号と、送信側に供給される超音波の送信信号とを位相比較することで超音波がカルマン渦から受けるドップラー効果を正弦波的な位相変調量(渦信号)として検出している。
【0004】
また、2組の超音波センサを用いた超音波式渦流量計では、カルマン渦の流れに対して相対的な相反する方向から流体を伝搬した2つの超音波信号同士を位相比較することにより、被測流体の音速変化の影響をキャンセルしてカルマン渦から受ける位相変調量としての位相変化のみを抽出するように構成されている。
【0005】
上記のように構成された従来の超音波式渦流量計では、理論的には超音波がカルマン渦から受けるドップラー効果を位相変化として抽出する構成であるため、被測流体の種類によらずカルマン渦を検出することができる。
【0006】
一般的に、渦信号には、フローノイズや配管振動などから受ける外乱ノイズが重畳されている。そのため、フィルタを採用することで渦信号本来のきれいな正弦波を得ることが出来る。また、交番的な位相差信号からなる渦信号を波形整形するフィルタとしては、カットオフ周波数を固定にしたバンドパスフィルタやカットオフ周波数を渦信号の周波数にあわせて変化させるトラッキングフィルタがある。
【0007】
そして、その場合にはノイズを含んだ渦信号からカルマン渦本来の基本周波数を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transformation)で検出し、その周波数が中心になるようにバンドパスフィルタのカットオフ周波数を設定したり、バンドパスフィルタのカットオフ周波数を広い範囲でスイープ(変化)させて渦信号の振幅が最大になるようにカットオフ周波数を設定する必要がある。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−296084号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の超音波式渦流量計では、トラッキングフィルタの場合に渦信号の周波数を検出するための高速フーリエ変換(FFT)処理やカットオフ周波数のスイ一プ処理は回路が複雑になると同時に周波数検出に時間がかかるといったなどの問題があった。
【0010】
また、超音波式渦流量計は、被測流体に気泡が混入されている場合、超音波は気体中を伝搬しないため、気泡の影響を受けやすい。そのため、流体中に気泡が存在すると、外乱ノイズだけでなく、気泡から受ける大きなノイズが渦信号に重畳し、大きな気泡が多量に混入された場合には、カルマン渦の検出ができなくなるおそれもある。
【0011】
さらに、被測流体中に気泡が混入すると、気泡通過の際に超音波の伝搬が遮られることにより受信電圧が振幅変調(AM:amplitude modulation)が、回路内での信号処理の段階で位相変調として渦信号に重畳される。
【0012】
このような気泡による受信電圧の振幅変調量は、伝搬する超音波ビーム幅と気泡の大きさの関係に左右され、位相差に現れる気泡によるノイズは、渦信号の振幅よりも大きくなる場合がある。
【0013】
そのため、気泡の通過に伴い渦信号の振幅よりも大きなノイズが重畳した場合には、誤パルスとなって出力される。また、超音波の伝播を遮るほどの大きな気泡が通過した場合には、受信電圧が確保できなくなり、結果として渦パルスが欠落するという問題が発生する。
【0014】
また、このような渦信号の振幅変調が大きい場合は、渦信号に高速フーリエ変換(FFT)処理を行って基本周波数を検出しても、気泡混入による渦信号の欠落とノイズ出力が不規則に発生する。その結果、渦信号の周波数成分は、本来の渦信号の周波数付近で不規則に変化してしまうため、バンドパスフィルタの中心周波数を設定できなくなってしまうという問題が生じる。
そこで、本発明は、上記課題を解決した超音波式渦流量計を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有する。
上記請求項1記載の発明は、被測流体が流れる流路が形成された流量計本体と、
前記流路内に流れ方向と直交するように設けられた渦発生体と、
所定周期の送信信号により超音波を送信する超音波送信器と、
該超音波送信器から送信された超音波を受信する超音波受信器と、
を備え、
該超音波受信器で受信された前記渦発生体の下流に発生するカルマン渦の影響を受けた受信信号を用いて、当該カルマン渦の発生により当該受信信号に生ずる位相変調量を示す渦信号を生成する渦信号生成手段と、
該渦信号生成手段により生成された渦信号の周期から前記被測流体の流量を演算する演算手段と、
からなる超音波式渦流量計において、
前記渦信号生成手段と前記演算手段との間に設けられ、所定の周波数帯域の周波数を通過させるフィルタ手段と、
前記流量計本体の流路の口径に対応させて前記フィルタ手段を通過させるべき渦信号の周波数の範囲を規定する周波数帯域を記憶する記憶手段と、
前記渦信号から渦信号の周波数を検出する周波数検出手段と、
前記記憶手段に記憶された流量計本体の流路の口径に対応する周波数帯域を読み込み、当該周波数帯域と前記周波数検出手段により検出された周波数とから前記フィルタ手段のカットオフ周波数を演算し、前記フィルタ手段のカットオフ周波数を設定する設定手段と、
を備え、
前記記憶手段には、流路の口径が小さい前記流量計本体の前記周波数帯域を、当該流量計本体の流路の口径よりも大きい流量計本体の周波数帯域よりも高くなるような対応関係のデータが記憶されてなるものであり、渦信号に対して高速フーリエ変換(FFT)処理などの複雑な演算処理を行わず、フィルタの通過周波数帯域をカルマン渦の周波数に追従させることで、比較的簡単な回路構成で安定した渦信号を検出できる。
【0016】
上記請求項2記載の発明は、前記記憶手段には、流路の口径の小さい前記流量計本体に対応する前記周波数帯域の幅を、当該流量計本体よりも流路の口径が大きい前記流量計本体の前記周波数帯域の幅よりも広くなるような対応関係のデータが記憶されてなるものであり、渦信号に対して高速フーリエ変換(FFT)処理などの複雑な演算処理を行わず、フィルタの通過周波数帯域をカルマン渦の周波数に追従させることで、比較的簡単な回路構成で安定した渦信号を検出できる。
【0017】
上記請求項3記載の発明は、前記記憶手段には、前記周波数検出手段に入力される渦信号を小さなヒステリシスでゼロクロスコンパレートした渦パルス信号の周波数をfp(Hz)とした場合、流路の口径が3/8B以下の流量計本体の場合には、前記フィルタ手段の通過域の下限がfp(Hz)となるように記憶され、流路の口径が1/2B以上の流量計本体の場合には前記フィルタ手段の通過域の上限がfp(Hz)となるように記憶されてなるものであり、渦信号に対して高速フーリエ変換(FFT)処理などの複雑な演算処理を行わず、フィルタの通過周波数帯域をカルマン渦の周波数に追従させることで、比較的簡単な回路構成で安定した渦信号を検出できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明になる超音波式渦流量計の一実施例の回路構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示されるように、超音波式渦流量計10は、被測流体が流れる流路12を内部に有する流量計本体14と、流量計本体14の流路12内で被測流体の流れ方向(図1中矢印で示す)と直交する垂直方向に延在する渦発生体16とを有する。この渦発生体16は、上方からみると水平方向の断面が概略五角形になっている。
【0021】
そして、上流側に対向する渦発生体16に被測流体が衝突しながら下流側へ流れる過程において、カルマン渦17が渦発生体16の下流側左右で交互に発生する。このカルマン渦17の周波数が被測流体の流速に比例しているため、被測流体中に発生するカルマン渦17の数を検出することにより被測流体の流速を求め、あらかじめ入力された口径から流量を算出する。
【0022】
なお、超音波式渦流量計10の口径には大小さまざま存在し、また、渦発生体の上流側端面の大きさ(渦発生体の大きさ)もさまざま存在するが、本実施の形態においては口径と渦発生体の大きさとは比例の関係にあり、即ち、口径が大きくなれば渦発生体の大きさもそれに比例して大きくなるように設定されている。
【0023】
次に、本実施の形態の超音波渦流量計10の詳細構造について以下に説明する。
【0024】
また、渦発生体16の下流側の流路内壁には、超音波送信器20と超音波受信器22とが対向するように取り付けられている。そして、超音波送信器20及び超音波受信器22は、圧電素子からなる超音波センサを有しており、駆動回路24から超音波送信器20に駆動信号が入力されると、超音波送信器20から送信された超音波が流路12を流れる被測流体中を伝搬して超音波受信器22によって受信される。
【0025】
そして、渦発生体16の下流には、流路12内を流れる被測流体の流速に比例した周期でカルマン渦17が発生する。その際、流路12内を伝搬する超音波は、渦発生体16の下流に発生するカルマン渦17を通過する過程で変調される。そのため、超音波受信器22から出力された検出信号と駆動信号との位相差からカルマン渦17の発生周波数(渦信号)を検出し、この周波数に基づいて流路12内を流れる被測流体の流量を計測する。
【0026】
超音波送信器20及び超音波受信器22は、流量演算部26に接続されている。そして、流量演算部26は、超音波送信器20に入力される駆動信号と超音波受信器22から出力された受信信号の位相差から得られたカルマン渦17の周波数に基づいて流路12を流れる被測流体の流量を演算する。
【0027】
また、流量演算部26は、上記駆動回路24、受信回路28、位相比較回路29(渦信号生成手段)、フィルタアンプ回路(増幅回路)30、コンパレート回路32、演算回路34を有する。そして、演算回路(CPU)34は、A/D変換部36、バンドパスフィルタ部38(フィルタ)、カウンタ部40、周波数設定部42(設定手段)、メモリ44(記憶手段)、流量積算部46(演算手段)を有し、バンドパスフィルタ処理とフィルタのカットオフ周波数演算処理、流量演算を行う。
【0028】
駆動回路24は、一定周期の励振信号を出力する発振器を有しており、発振器からの励振信号に基づいて電圧を正弦波状に変化させた駆動信号を超音波送信器20に対して出力する。
【0029】
超音波受信器22は、流路12を伝搬した超音波信号を受信すると、受信信号を受信回路28に出力する。受信回路28では、受信信号を増幅して位相比較回路29に出力する。そして、位相比較回路29では、駆動回路24から出力された駆動信号と、受信回路28から出力された受信信号との位相差を示す信号(渦信号)を生成する。位相比較回路29から出力された渦信号は、フィルタアンプ回路30で増幅されて演算回路(CPU)34のA/D変換部36に入力されてデジタル信号に変換された後、バンドパスフィルタ部38でフィルタ処理される。
【0030】
また、位相比較回路29から出力された渦信号は、コンパレート回路32でゼロクロスコンパレートされてハイレベルとローレベルとのみからなる2値の信号(渦パルス信号)に変換されてカウンタ部40に入力される。そして、カウンタ部40では、渦パルス信号の周波数を計測する。
【0031】
演算回路(CPU)34の周波数設定部42は、メモリ44に記憶されたデータ(流量計の口径や流量範囲(渦周波数範囲)などの各流量計別の個別情報)、及びカウンタ部40で計測した渦パルス信号の周波数に基づいて、渦信号を通過させるバンドパスフィルタ部38のカットオフ周波数を設定する。
【0032】
従って、演算回路(CPU)34内では、A/D変換部36でA/D変換された渦信号は上記で設定されたカットオフ周波数に基づいてデジタルトラッキングフィルタ(B.P.F)処理された後にパルス列に変換・積算して流量演算し、流量信号を出力する。
【0033】
ここで、上記流量演算部26による流量演算、及びカットオフ周波数の設定方法について説明する。
駆動回路24は、超音波送信器20を駆動することで被測流体中に超音波を伝搬させる。そして、被測流体中を伝搬した超音波は、交番的に発生するカルマン渦17からの位相変調を受けて超音波受信器22で受信され、電気信号に変換される。
【0034】
超音波受信器22で受信された超音波信号は、受信回路28で増幅されパルス状の矩形波に波形整形される。受信回路28で波形整形された超音波信号は、渦検出回路としての位相比較回路29で駆動信号と位相比較され、この位相差を示す信号(渦信号)が位相比較回路29より出力される。
【0035】
即ち、カルマン渦17が発生している場合には、位相比較回路29はカルマン渦17に同期した交番的な正弦波を位相差信号(渦信号)として出力する。この渦信号は、アンプフィルタ回路30で増幅され、流路12の内径(流量計の口径)ごとに決まる渦信号周波数範囲のバンドパスフィルタ部38を通過した後に、流量積算部46に入力され流量演算される。
【0036】
また、渦信号は、コンパレート回路32でゼロクロスコンパレートされ、渦パルスとして演算回路(CPU)34のI/Oポートに入力される。演算回路34では、I/Oポートに入力された渦パルスをカウンタ部40に入力して周波数を算出し、口径と流量範囲を基にA/D変換部36から入力された渦信号に与えるバンドパスフィルタ部38の中心周波数を設定(カットオフ周波数の設定)する。
【0037】
メモリ44(記憶手段)には、流量計の口径に対応させて通過させるべき渦信号の周波数の範囲(渦周波数範囲)や当該流量計で測定可能な流量計測可能範囲などの流量計の口径別の個別情報が予め登録されている。
【0038】
また、周波数設定部42は、流量計の口径が指定されると、当該口径に対応する渦周波数範囲を含む個別情報をメモリ44から読み込み、当該渦周波数範囲をバンドパスフィルタ部38のカットオフ周波数の範囲として設定するものである。
【0039】
より具体的には、周波数設定部42は、カウンタ部40に入力される欠落やノイズ誤出力を含んだ渦信号を小さなヒステリシスでゼロクロスコンパレートした渦パルス信号の周波数をfp(Hz)とした場合、流量計の口径が3/8B以下の場合には、バンドパスフィルタ部38の通過域を(fp(Hz)〜fp×3(Hz))の範囲になるように周波数fpに追従させ、流量計の口径が1/2B以上の場合にはバンドパスフィルタ部38の通過域を(1/4×fp(Hz)〜fp(Hz))の範囲になるように周波数fpに追従させる。
【0040】
ここで、上記渦パルス周波数とバンドパスフィルタ部38のカットオフ周波数の関係について図2乃至図5に示す実験結果を参照して説明する。
超音波式渦流量計10において、流路12の内径(流量計の口径)と、超音波の伝搬ビームと、流体内に発生する気泡の状態を実験的に確認し、各条件での渦信号の状態から流路12の内径ごとに渦信号の中心周波数とバンドパスフィルタ部38のカットオフ周波数の関係を以下のように設定する。
【0041】
流路12の内径が小さい場合には、超音波伝搬ビーム幅も狭くなるため、伝搬ビーム幅に対する気泡径の比率が大きくなり、少量の気泡混入でも超音波が遮られて渦パルスは欠落状態になる傾向が強い。
【0042】
これに対して、流路12の内径が大きい場合には、超音波ビーム幅も広いため、超音波ビームに対する気泡径の比率が小さくなり、渦信号の欠落状態は少なくなる。その反面、流体中の気泡通過による受信信号の振幅変調の影響により、渦信号に高周波の大きなノイズが重畳する。
【0043】
そのため、流量パルスは、そのノイズの誤出力により実際の渦信号周波数よりも高くなる。
【0044】
また、渦信号の欠落状態で渦パルス周波数と本来の渦周波数との偏差と、気泡混入による誤出力が多くなっている際の渦パルス周波数と本来の渦周波数との偏差を確認したところ、気泡による欠落や誤出力を含んだ渦パルス信号の周波数に基づいて簡易的に渦信号に対するバンドパスフィルタ部38の中心周波数を設定(カットオフ周波数を設定)することが可能になる。そのため、従来のような渦信号に複雑な高速フーリエ変換(FFT)処理を行うことなく、渦周波数を求められる。
【0045】
さらに、変形例として、気泡から受ける超音波の受信振幅変化(AM変調)を監視することにより、渦パルス信号が欠落状態であるか誤出力であるかを判断し、渦信号周波数との偏差を予測することで渦信号に対するバンドパスフィルタ部38のカットオフ周波数を設定することが可能である。
【0046】
図2(A)〜(D)は被測流体(液体)を2L/minの流量で流路12に流したときの渦信号を示す波形図である。図3(A)〜(D)は被測流体(液体)に空気を体積比で1%混入させた時の口径3/8B(流路12の内径)の超音波渦流量計の渦信号を示す波形図である。尚、図2(A)(B)及び図3(A)(B)は、バンドパスフィルタ部38に入力される信号、周波数分析の波形図であり、図2(C)(D)及び図3(C)(D)は、バンドパスフィルタ部38を通過した信号、周波数分析の波形図である。
【0047】
図2(A)〜(D)に示されるように、本来の渦周波数は、約400Hz付近であるが、図3(A)〜(D)に示されるように気泡の混入により渦信号のエンベロープ(包絡線)が不規則にうねることにより渦周波数がランダムに変化するため、中心周波数の特定が困難になっていることが分かる。
【0048】
この時の気泡混入時の渦信号をゼロクロスコンパレートした渦パルス信号の周波数は、パルス欠落により約200Hzに減少している。
【0049】
また、図2(A)〜(D)に示されるように、流量が2L/minの場合、バンドパスフィルタ部38を通過した信号を周波数分析の結果、周波数の低い領域をカットするようにカットオフ周波数を設定することにより、渦信号が安定した波形になることが分かる。
【0050】
また、図3(A)〜(D)に示されるように、口径3/8Bの流量計の場合には、バンドパスフィルタ部38を通過した信号を周波数分析の結果、周波数の低い領域と高い領域をカットするようにカットオフ周波数を設定することにより、渦信号が安定した波形になることが分かる。
【0051】
図4(A)〜(D)は超音波式渦流量計の口径1/2B(流路12の内径)での渦信号を示す波形図である。
【0052】
図4(A)〜(D)に示されるように、口径1/2Bの流量計の場合には、気泡混入なし時の渦信号の周波数は、約60Hzで、気泡混入時の渦パルス信号周波数は約130Hzである。
【0053】
この実験結果から流路12の内径が大きい口径1/2B以上の流量計では、渦パルス信号は気泡によるノイズを誤出力し、基本の渦信号周波数よりも渦パルス信号周波数が高くなる傾向がある。一方、口径3/8Bの流量計では、渦信号の欠落により基本の渦パルス信号周波数よりも渦信号周波数が低くなる傾向がある。
【0054】
また、渦パルス信号周波数と基本の渦信号周波数との偏差は、流量計の口径に拘らずおおよそ2倍〜3倍に近い値になることが分かった。このことから、バンドパスフィルタ部38のカットオフ周波数の範囲は、口径が3/8Bの流量計の場合、渦信号をコンパレートした渦パルスの周波数をfp(Hz)とすると、(fp(Hz)〜fp×3(Hz))の範囲でバンドパスフィルタの通過域を設定すれば基本の渦信号周波数を含めたフィルタが構成でき安定した渦信号を得られる。
【0055】
また、口径1/2B以上の流量計では、(1/4×fp(Hz)〜fp(Hz))の範囲を通過域に設定することで安定した渦信号を得られる。
【0056】
さらに、渦パルスが欠落するかノイズを誤出力してしまうかは、気泡による超音波受信振幅の変化から予測することができるため、超音波の受信振幅変化の状態を監視する。そして、回路的に必要な受信電圧を下回る状況が発生している場合には、渦信号の欠落が多いものと判断して、バンドパスフィルタ部38の通過域を(fp(Hz)〜fp×3(Hz))の範囲に設定することが望ましい。
【0057】
また、受信振幅変化が必要電圧を下回らないまでも気泡により振幅変調を受けている場合には、ノイズ分を誤出力している可能性が高いと考えられるので、バンドパスフィルタ部38の通過域を(1/4×fp(Hz)〜fp(Hz))の範囲に設定することが望ましい。
【0058】
ここで、変形例について説明する。
図5は変形例の要部を拡大して示す縦断面図である。尚、図5において、上記図1に示す実施例と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図5に示されるように、超音波式渦流量計50では、前述した超音波式渦流量計10に振幅監視回路52、振幅判定部(設定手段)54を付加したものである。
【0060】
振幅監視回路52では、超音波受信を受信回路28で振幅(AM)復調した振幅変化分のエンベロープ信号(包絡線)を演算回路34のA/D変換部36に入力する。演算回路34では、A/D変換部36でデジタル信号に変換されたエンベロープ信号(包絡線)が振幅判定部54に入力される。
【0061】
振幅判定部54では、超音波受信信号(電圧値)の振幅が予め登録された規定値を下回っていないかどうかを判定する。そして、振幅判定部54は、受信電圧が規定値を下回る頻度が多い場合(図2(A)を参照)には、渦パルスが欠落状態にあると予測してバンドバスフィルタ部38の通過域を決定する。
【0062】
さらに、振幅判定部54は、受信電圧が規定値を下回らない範囲で振幅変調を受けている場合(図3(A)、図4(A)を参照)には、ノイズによる誤出力の状態と判定してバンドバスフィルタ部38の通過域を決定する。
【0063】
尚、上記実施の形態では、一対の超音波センサが対向する位置に配置された構成を一例として挙げたが、これに限らず、複数の超音波送信器、超音波受信器を設ける構成として一対の受信信号との位相差からカルマン渦を検出する構成でも良いのは勿論である。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、渦信号生成手段と演算手段との間に設けられ、所定の周波数帯域の周波数を通過させるフィルタ手段と、流量計本体の流路の口径に対応させて前記フィルタ手段を通過させるべき渦信号の周波数の範囲を規定する周波数帯域を記憶する記憶手段と、渦信号から渦信号の周波数を検出する周波数検出手段と、記憶手段に記憶された流量計本体の流路の口径に対応する周波数帯域を読み込み、当該周波数帯域と周波数検出手段により検出された周波数とからフィルタ手段のカットオフ周波数を演算し、フィルタ手段のカットオフ周波数を設定する設定手段と、を備え、前記記憶手段には、流路の口径が小さい前記流量計本体の前記周波数帯域を、当該流量計本体の流路の口径よりも大きい流量計本体の周波数帯域よりも高くなるような対応関係のデータが記憶されてなるため、渦信号に対して高速フーリエ変換(FFT)処理などの複雑な演算処理を行わず、フィルタの通過周波数帯域をカルマン渦の周波数に追従させることで、比較的簡単な回路構成で安定した渦信号を検出できる。
【0065】
上記請求項2記載の発明によれば、記憶手段には、流路の口径の小さい流量計本体に対応する周波数帯域の幅を、当該流量計本体よりも流路の口径が大きい流量計本体の周波数帯域の幅よりも広くなるような対応関係のデータが記憶されてなるため、渦信号に対して高速フーリエ変換(FFT)処理などの複雑な演算処理を行わず、フィルタの通過周波数帯域をカルマン渦の周波数に追従させることで、比較的簡単な回路構成で安定した渦信号を検出できる。
【0066】
上記請求項3記載の発明によれば、記憶手段には、周波数検出手段に入力される渦信号を小さなヒステリシスでゼロクロスコンパレートした渦パルス信号の周波数をfp(Hz)とした場合、流路の口径が3/8B以下の流量計本体の場合には、フィルタ手段の通過域の下限がfp(Hz)となるように記憶され、流路の口径が1/2B以上の流量計本体の場合にはフィルタ手段の通過域の上限がfp(Hz)となるように記憶されてなるため、渦信号に対して高速フーリエ変換(FFT)処理などの複雑な演算処理を行わず、フィルタの通過周波数帯域をカルマン渦の周波数に追従させることで、比較的簡単な回路構成で安定した渦信号を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる超音波式渦流量計の一実施例の回路構成を示すブロック図である。
【図2】被測流体(液体)を2L/minの流量で流路12に流したときの渦信号を示す波形図である。
【図3】被測流体(液体)に空気を体積比で1%混入させた時の口径3/8B(流路12の内径)の超音波渦流量計の渦信号を示す波形図である。
【図4】超音波式渦流量計の口径1/2B(流路12の内径)での渦信号を示す波形図である。
【図5】超音波式渦流量計の変形例の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10,50 超音波式渦流量計
12 流路
14 流量計本体
16 渦発生体
17 カルマン渦
20 超音波送信器
22 超音波受信器
24 駆動回路
26 流量演算部
28 受信回路
29 位相比較回路(渦信号生成手段)
32 コンパレート回路
34 演算回路
36 A/D変換部
38 バンドパスフィルタ部(フィルタ部)
40 カウンタ部
42 周波数設定部(設定手段)
44 メモリ(記憶手段)
46 流量積算部(演算手段)
52 振幅監視回路
54 振幅判定部

Claims (3)

  1. 被測流体が流れる流路が形成された流量計本体と、
    前記流路内に流れ方向と直交するように設けられた渦発生体と、
    所定周期の送信信号により超音波を送信する超音波送信器と、
    該超音波送信器から送信された超音波を受信する超音波受信器と、
    を備え、
    該超音波受信器で受信された前記渦発生体の下流に発生するカルマン渦の影響を受けた受信信号を用いて、当該カルマン渦の発生により当該受信信号に生ずる位相変調量を示す渦信号を生成する渦信号生成手段と、
    該渦信号生成手段により生成された渦信号の周期から前記被測流体の流量を演算する演算手段と、
    からなる超音波式渦流量計において、
    前記渦信号生成手段と前記演算手段との間に設けられ、所定の周波数帯域の周波数を通過させるフィルタ手段と、
    前記流量計本体の流路の口径に対応させて前記フィルタ手段を通過させるべき渦信号の周波数の範囲を規定する周波数帯域を記憶する記憶手段と、
    前記渦信号から渦信号の周波数を検出する周波数検出手段と、
    前記記憶手段に記憶された流量計本体の流路の口径に対応する周波数帯域を読み込み、当該周波数帯域と前記周波数検出手段により検出された周波数とから前記フィルタ手段のカットオフ周波数を演算し、前記フィルタ手段のカットオフ周波数を設定する設定手段と、
    を備え、
    前記記憶手段には、流路の口径が小さい前記流量計本体の前記周波数帯域を、当該流量計本体の流路の口径よりも大きい流量計本体の周波数帯域よりも高くなるような対応関係のデータが記憶されてなることを特徴とする超音波式渦流量計。
  2. 前記記憶手段には、流路の口径の小さい前記流量計本体に対応する前記周波数帯域の幅を、当該流量計本体よりも流路の口径が大きい前記流量計本体の前記周波数帯域の幅よりも広くなるような対応関係のデータが記憶されてなることを特徴とする請求項1に記載の超音波式渦流量計。
  3. 前記記憶手段には、前記周波数検出手段に入力される渦信号を小さなヒステリシスでゼロクロスコンパレートした渦パルス信号の周波数をfp(Hz)とした場合、流路の口径が3/8B以下の流量計本体の場合には、前記フィルタ手段の通過域の下限がfp(Hz)となるように記憶され、流路の口径が1/2B以上の流量計本体の場合には前記フィルタ手段の通過域の上限がfp(Hz)となるように記憶されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波式渦流量計。
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