JP3672997B2 - 相関式流量計および渦流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、流路の上流側および下流側の各位置において流体の流れに関する情報を検出し、各位置で検出された情報の相互相関値から流量を求める相関式流量計および渦流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の相関式流量計として、管路を挟んで対向し、相互に信号の授受を行う送信部と受信部からなるセンサを管路の流れ方向に間隔を置いて複数配設した構成のものが知られている。かかる相関式流量計においては、各センサにより、各配置位置での流体の流れを反映した情報、例えば各々の配置位置における超音波の伝達特性を測定し、測定結果を表す時系列の測定データを求める。ここで、流体に「流れの乱れ」がある場合には、この乱れに起因した特定の周波数の成分がこの各配置位置での測定データの双方に含まれている。この相関式流量計では、このことを利用し、上記各配置位置での測定データ間の相互相関関係を求めることにより、上記特定周波数の成分が各測定データに現れるタイミングの時間差を求め、流体の流量を求めるのである。
また、渦流量計としては、流体中に設けた渦発生体の後流に発生したカルマン渦の生成数を超音波等のセンサを用いて検出し、その検出結果から流体の流量を測定する渦流量計が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の相関式流量計は、各センサを構成する送信部および受信部が管路を挟んで相互に真正面に位置するように対向しているため、センサ間距離が管路の大きさにより決定され、センサから得られる情報量が制限され、正確な測定が困難になる場合があるという問題があった。また、従来の相関式流量計の場合、低流量域においては前記「流れの乱れ」が持続しないため、流量の計測が困難であるという問題があった。
また、カルマン渦流量計においては、その絶対的な計測下限はカルマン渦の生成下限であり、円管内で一般的にRe数(レイノルズ数)約5000といわれている。しかしながら、管路に漏れ等が発生した場合、カルマン渦の生成数がこの値より小さくなる可能性が高いため、従来の渦流量計により漏れを検知することが困難であるという問題点があった。さらに、ダイナミックレンジの大きな流れにおいて、微少な流量を計測することが困難であるという問題点があった。
【0004】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は流路が狭い場合においても正確な流量計測をすることができる相関式流量計を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、上記「流れの乱れ」が持続しない低流量域においても正確な流量計測を行い得る相関式流量計を提供することにある。また、第3の目的は、高流量からカルマン渦が生成しない微少流量までの広い範囲で流量を安定かつ高精度に測定できる渦流量計を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、複数のセンサと演算手段とを有する相関式流量計であって、前記複数のセンサは前記流路の流れ方向に沿って間隔を置いて配置され、各センサは各々超音波パルスを送信する動作と受信する動作の双方を行い得る一対の送受信部を、前記流路を挟み、かつ該流路の流れ方向に沿って相互にずれた各位置に配置してなるものであり、前記演算手段は、前記各センサの各受信部から得られる各検出信号の相互相関を演算することにより前記流路を流れる流体の流量を求める相関演算手段と、前記複数のセンサのうち少なくとも一のセンサにおける超音波パルスの伝送方向を交互に切り替え各送受信部から得られる各検出信号に基づき各伝送方向での超音波パルスの伝搬時間差を求め、この伝搬時間差から流体の流速を求める流速算出手段とを具備することを特徴とする相関式流量計である。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、前記流速算出手段によって求められた流速から流量を求め、該流量と前記相関演算手段によって求められた流量とを切り替えて出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の相関式流量計である。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、前記各センサの各受信部から得られる各検出信号の時間的変化の振幅に基づいて流量を求め、該流量と前記流速検出手段により求めた流量と前記相関演算手段によって求められた流量とを切り替えて出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の相関式流量計である。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、高流量においては前記相関演算手段によって求められた流量を選択し、低流量においては前記流速算出手段によって求められた流速から得られた流量を選択することを特徴とする請求項2または3記載の相関式流量計である。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、前記流速算出手段が複数のセンサから得られる検出信号に基づいて複数種類の流速を求めるものであり、各流速差が所定値以上となった場合に異常検出信号を出力するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一の請求項に記載の相関式流量計である。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、流路に設けられた渦発生体と、前記渦発生体より後流の流路を挟み、かつ該流路の流れ方向に沿って相互にずれた各位置に配置された送信部と受信部とにより構成されたセンサと、前記センサの受信部から得られる検出信号に基づき、前記渦発生体によって生成されたカルマン渦の発生周波数を求め、該周波数から前記流路を流れる流体の流量を求める演算手段とを具備し、前記センサの送信部は、前記流路に超音波パルスを送信し、前記センサの受信部は、前記流路を介して伝搬された前記超音波パルスを受信し、前記演算手段は、前記送信部の送信タイミングおよび前記受信部の受信タイミングから前記超音波パルスの伝搬時間を求め、さらに該伝搬時間の変化周波数を求め、該変化周波数から前記流量を算出する第1の流量算出手段と、前記センサにおける超音波パルスの伝送方向を交互に切り替え各送受信部から得られる検出信号に基づき各伝送方向での超音波パルスの伝搬時間差を求め、この伝搬時間差から流体の流量を求める第2の流量算出手段とを具備することを特徴とする渦流量計である。
【0011】
また、請求項7に係る発明は、高流量においては前記第1の流量算出手段によって求められた流量を出力し、低流量においては前記第2の流量算出手段によって求められた流量を出力することを特徴とする請求項6記載の渦流量計である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
A.第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態である相関式流量計の構成を示すブロック図である。また、図2はこの相関式流量計の測定動作を示すタイミングチャートである。
【0016】
図1において、超音波送受信器2aおよび3aは、各々、超音波パルスを放射する機能と超音波パルスを受信する機能を併有した装置である。各超音波送受信器2aおよび3aは、図1に示すように、管路1を挟み、流体の流れ方向に沿って相互にずれた各位置に配設されている。
【0017】
タイミング回路5は、一定時間間隔でH(ハイ)レベル、L(ロー)レベルを繰り返すタイミング信号9を出力する。図2(a)にこのタイミング信号9の波形を示す。この相関式流量計においては、このタイミング信号9をトリガとして各部の動作タイミングの制御が行われる。
【0018】
制御回路4aおよびパルス発振器6は、超音波送受信器2aおよび3a間で超音波パルスの伝送を行わせ、かつ、その伝送方向を交互に切り替える役割を果す。
【0019】
すなわち、タイミング信号9がHレベルになると、制御回路4aは、超音波送受信器2aを送信機として動作させ、超音波送受信器3aを受信機として動作させる。また、パルス発振器6は、図2(b)に示すように、タイミング信号9のレベル変化をトリガとしてパルスを出力する。制御回路4aは、このパルスに基づき、送信機として設定されている超音波送受信器2aに送信信号を供給する。この結果、図2(c)に示すように、超音波送信器2aにより、管路中に超音波パルス12aが流体中に放射され、図2(d)に示すように超音波送受信器3aによって受信される。ここで、超音波パルス12aは、管路1内の流体を伝搬して超音波送受信器3aに至るため、図2(d)に示すように、超音波パルス12aの送信タイミングから伝搬遅延時間相当遅れたタイミングで超音波送信器3aに受信されることとなる。このようにして超音波送受信器3aによって受信された超音波パルス12aは、制御回路4aを通して超音波検出器7aに入力される。
【0020】
次にタイミング信号9がLレベルとなると、制御回路4aは、超音波送受信器3aを送信機として動作させ、超音波送受信器2aを受信機として動作させる。また、タイミング信号9のレベル変化により、再びパルス発振器6によってパルスが出力され(図2(b)参照)、制御回路4aにより超音波送受信器3aに送信信号が印加される。そして、超音波送受信器3aから超音波パルス12aが放射され(図2(c)参照)、この超音波パルス12aは前述の場合とは逆方向に伝搬して超音波送受信器2aで受信され、超音波検出器7aに入力される。
【0021】
このように超音波送受信器2aおよび3a間において、一方から他方へ、他方から一方へという具合に、超音波パルス12aが交互に伝送され、各超音波送受信器によって受信された超音波パルスが超音波検出器7aへ供給されるのである。
【0022】
超音波検出器7aは、このようにして受信した超音波パルスの増幅および波形整形を行い、所定の値以上の超音波信号を受信した場合に超音波パルス到達タイミング信号8aを出力する。
【0023】
伝搬時間検出器10aは、タイミング回路5からのタイミング信号9と、超音波検出器7aからの超音波パルス到達タイミング信号8aにより超音波の伝搬時間(図2(e)参照)を計測し、さらに伝搬時間に比例した電圧信号へと変換し伝搬時間信号11aを出力する。
【0024】
ここで、超音波送受信器2aと超音波送受信器3aとは同様の構造であり、各々、流体の流れ方向に沿って相互にずれた状態で設置されている。従って、上流側に設置された超音波送受信器2aから下流側に設置された超音波送受信器3aへと伝搬する超音波パルスは、流体の流速に応じた分だけその伝搬速度が増加することとなり、伝搬時間が短くなることとなる。一方、これとは逆方向に伝搬する超音波パルスにおいては、流体の流速に応じた分だけその伝搬速度が減少することとなり、伝搬時間が長くなることとなる。
【0025】
伝搬時間差検出器13aは、超音波送受信器2aから超音波送受信器3aへ超音波パルスを伝搬させたときに伝搬時間検出器10aから出力される伝搬時間信号11aと、これとは逆の経路で超音波パルスを伝搬させたときに伝搬時間検出器10aから出力される伝搬時間信号11aとの差を求め、この差から管路内の流体の流速を検出し、流速信号14aを出力する。
【0026】
一方、超音波送受信器2aおよび3aの下流側には、これらと同様な超音波送受信器2bおよび3bが管路1を挟んで設置されている。また、この超音波送受信器2bおよび3bに対応し、以上説明したものと全く同様な役割を果す制御回路4b、超音波検出器7b、伝搬時間検出器10bおよび伝搬時間差検出器13bが設けられている。これらにより、上述と同様な手順で超音波送受信器2bおよび3bの設置位置に対応した流速信号14bが求められる。
【0027】
平均化回路15は、伝搬時間差検出器13aから求めた流速信号14aと伝搬時間差検出器13bから求めた流速信号14bの平均化を行い、流速信号から流速を求め、超音波流量計測結果16を出力する。
【0028】
また、伝搬時間検出器10aから出力される伝搬時間信号11aと、伝搬時間検出器10bから出力される伝搬時間信号11bは信号処理回路17に入力される。この信号処理回路17は、伝搬時間検出器10aから順次得られた伝搬時間信号11aの時系列データと、伝搬時間検出器10bから順次得られた伝搬時間信号11bの時系列データとの相互相関を演算することにより、相関式流量計測結果18を出力する。
【0029】
判定器19では、超音波流量計測結果16から流量を求め、低流量では超音波流量計測結果16を、高流量では相関式流量計測結果18を管路1を流れる流体の流量として出力する。
【0030】
次に、信号処理回路17において行われる相互相関演算の内容について説明する。まず、管路1における流体の流れに乱れがあると、各超音波送受信器3a、3bにより測定される信号はこの乱れによって変調を受ける。このため、伝搬時間検出器10aおよび10bから順次得られる伝搬時間信号11aおよび10bの各時系列データは、この乱れに対応した時間的変化を呈することになる。ここで、各超音波受信器3a、3bは、流体の流れ方向に間隔を置いて配置されている。従って、伝搬時間信号11aの時系列データに特定の乱れが現れると、これに対応した乱れが伝搬時間信号11bの時系列データに現れるまでには、流速に比例する時間遅れτを要することとなる。
【0031】
すなわち、伝搬時間信号11aの時系列データの時間的変化を関数f(t)によって表し、伝搬時間信号11bの時系列データの時間的変化を関数g(t)によって表すものとすると、これらの関数f(t)およびg(t)は、前記τの時間差に相当する位相差を持ったほぼ同一の波形の関数(厳密には、振幅が微少に減衰した波形の関数)となるのである(図4参照)。
【0032】
本実施形態における信号処理回路17は、以上の事実を利用するものであり、上記f(t)とg(t−τ)との積を一定の区間(0〜T)を時間を積分した下記式が最大となる場合(すなわち、両関数の位相差が無くなる場合)のτ、すなわち、流体の乱れが送受信器3aに検出されてから送受信器3bに検出されるまで要する時間を求め、この結果に基づいて相関式流量計測結果18を求める。
【数1】
【0033】
なお、図2のタイミングチャートでは超音波送受信器2a、3aが交互に発信、受信を行っている状態を示しているが、相関演算処理においては、このうち一方向分の流れの乱れが検出できれば良い。このため、本実施形態においては、タイミング信号9がHレベルの時だけ伝搬時間信号を取り出して相互相関演算を行うようにしている。
【0034】
B.第2の実施形態
図3は本発明の第2の実施形態による相関式流量計の構成を示すものであり、図4は伝搬時間信号11a、11bから求められる時間tを変数とする関数f(t)およびg(t)を示し、図5は関数から求められる平均振幅と流量は比例することを示している。上記第1の実施形態においては、判定器19により流量の判定を行った。これに対し、本実施形態では、判定器20により上記関数f(t)またはg(t)の平均振幅Aを求め、この平均振幅Aから流量vを求める。そして、低流量ではこのようにして求めた流量vを、高流量では関数f(t)およびg(t)の相互相関演算により求めた流量を、管路1を流れる流体の流量として出力する。
【0035】
C.第3の実施形態
図6は本発明の第3の実施形態による相関式流量計の構成を示すものであり、上記第1の実施形態において、判定器19に異常自己診断機能を加えたものを判定器21とし、流速信号14aおよび14bに基づいて2つの流速差を求め、それがある一定値以上を示した時をセンサの異常と判断して、全ての流速信号の入力を遮断して異常を知らせるようにしている。
【0036】
D.第4の実施形態
上記第1の実施形態においては、伝搬時間検出器10a、10bにより、伝搬時間をそれに比例した電圧信号へと変換していた。これに対し、本実施形態による相関式流量計においては、クロックをカウントすることにより伝搬時間計測を行い、そのカウント値(デジタル信号)を伝搬時間信号11a、11bとして出力する。このようにすることにより、A/Dコンバータを使用せずに相互相関演算を行うためのデジタル信号を得ることができる。
【0037】
E.第5の実施形態
図7に本発明の第5の実施形態による渦流量計の構成を示す。
この図において、前述した図1の相関式流量計における各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0038】
図中、22は渦発生体であり、管路1内に設けられ、同管路1に流体が流れたとき、この渦発生体22の後流にカルマン渦30が発生する(図8、9参照)。そして、本実施形態における超音波送受信器2aおよび3aは、管路1を挟み、かつこのカルマン渦30の間隔に略等しい距離だけ流れ方向にずらされて配設されている(図8、9参照)。
【0039】
23は伝搬時間検出器であり、タイミング回路5からのタイミング信号9と超音波検出器7aからの超音波パルス到達タイミング信号8aを入力する。そして、タイミング信号9がLレベルになってから最初に超音波パルス到達タイミング信号8aを受けるまでの時間、すなわち、超音波送受信器3aから超音波送受信器2aへの超音波パルス12aの伝搬時間を計測する。さらに、この伝搬時間をその長さに比例した電圧レベルに変換し、この電圧信号を低域通過フィルタを通した後に伝搬時間信号24として出力する。
【0040】
25は信号処理回路であり、伝搬時間信号24を入力し、同信号24の周波数を求め、その周波数から流体の流量を算出し、その値を渦流量計測結果26として出力する。
【0041】
27は伝搬時間差検出器であり、タイミング信号9と超音波パルス到達タイミング信号8aとを入力する。そして、タイミング信号9がHレベルになってから超音波パルス到達タイミング信号8aを受けるまでの時間、すなわち、超音波送受信器2aから超音波送受信器3aへの伝搬時間と、タイミング信号9がLレベルになってから超音波パルス到達タイミング信号8aを受けるまでの時間、すなわち、超音波送受信器3aから超音波送受信器2aへの伝搬時間とをそれぞれ計測する。さらに、これらの伝搬時間の差を計算して、この差から管路1内の流体の流量を求め、その値を超音波流量計測結果28として出力する。
29は判定器であり、管路1内の流量が低流量の場合、超音波流量計測結果28を、また、高流量の場合、渦流量計測結果26を流量として出力する。
【0042】
次に、このように構成された渦流量計の動作を説明する。
流体が管路1内を高流量で流れた場合、図8および図9に示した状態を繰り返すように、渦発生体22の後流に規則的な渦、いわゆるカルマン渦30が交番的に発生する。そして、このカルマン渦30の発生にともない、管路1内には蛇行流が形成される。
【0043】
この状態において、タイミング回路5からタイミング信号9が出力される。これにより、第1の実施形態において前述したように、超音波送受信器2aおよび3a間において一方から他方へ超音波パルス12aが交互に伝搬され、受信された超音波パルスが制御回路4aを介して超音波検出器7aへ入力される。
そして、超音波検出器7aが、この超音波パルスの増幅および波形整形を行い、所定の値以上の超音波信号を受信した場合に超音波パルス到達タイミング信号8aを出力する。
【0044】
次いで、伝搬時間検出器23は、この超音波パルス到達タイミング信号8aを受け、タイミング信号9がLレベルになってから最初に同超音波パルス到達タイミング信号8aが入力されるまでの時間、すなわち、超音波送受信器3aから超音波送受信器2aへの超音波パルス12aの伝搬時間を計測する。そして、この伝搬時間に比例した電圧の伝搬時間信号24を出力する。
【0045】
ここで、この伝搬時間信号24は、図10に示すような波形となる。
すなわち、蛇行流の流れ方向が、図8に示すように超音波送受信器3aから超音波送受信器2aへの伝搬方向と逆方向となった場合、超音波パルス12aの伝搬時間が最も長くなる。したがって、この場合、伝搬時間信号24の電圧レベルは最大となる(図10A)。
【0046】
一方、蛇行流の流れ方向が、図9に示すように超音波送受信器3aから超音波送受信器2aへの伝搬方向と直角方向となった場合、超音波パルス12aの伝搬時間が最も短くなる。したがって、この場合、伝搬時間信号24の電圧レベルは最小となる(図10B)。
【0047】
そして、蛇行流は、図8に示す状態と図9に示す状態との間で徐々に、交互に変化していくので、伝搬時間信号24が図10に示すような波形に形成される。ここで、この伝搬時間信号24の周波数は、カルマン渦30の発生周波数の1/2倍である。
【0048】
このように形成された伝搬時間信号24は、信号処理回路25へ入力される。そして、この信号処理回路25は、同信号24の周波数を求め、次いで、この周波数が渦発生体22の幅に反比例し、かつ流速に比例することから流速を算出する。さらに、この流速から流量を計算し、その値を渦流量計測結果26として出力する。
そして、判定器29は、この渦流量計測結果26を管路1を流れる流体の流量として出力する。
【0049】
また、流体が管路1内を低流量で流れた場合、渦発生体22の後流には、層流が形成される。この場合、伝搬時間差検出器27は、超音波パルス到達タイミング信号8aとタイミング信号9とを入力し、超音波送受信器2aから超音波送受信器3aへの超音波パルス12aの伝搬時間と、その逆の経路で伝搬された超音波パルス12aの伝搬時間とをそれぞれ計測する。そして、これらの伝搬時間の差から管路1内の流体の流速を求め、さらにこの流速から流量を算出した後、その値を超音波流量計測結果28として出力する。
そして、判定器29は、この超音波流量計測結果28を管路1を流れる流体の流量として出力する。
【0050】
以上のように、管路1内の流量が低流量の場合は超音波流量計測結果28が、また、高流量の場合は渦流量計測結果26が流量として出力される。
なお、高流量の場合、蛇行流の流れ方向が超音波パルス12aの伝搬方向と直角方向になった状態(図9)においては、カルマン渦30が伝搬時間に与える影響が非常に小さくなることから、この状態における超音波パルス12aの伝搬時間差は管路1内の平均流速に略比例する。したがって、このときの情報を基にして、伝搬時間信号24に行うフィルタリング処理(図示せず)の定数を変更したり、判定器29からの出力信号の切り換えを決定するためのリファレンス信号として用いることが可能となる。
【0051】
また、この実施形態においては、伝搬時間検出器23は、超音波パルス12aが超音波送受信器3aから超音波送受信器2aへ伝搬されたときの伝搬時間を検出するとしたが、この逆の経路で伝搬されたときの伝搬時間を検出し、その長さに比例した電圧レベルの伝搬時間信号24を出力するとしてもよい。
【0052】
さらに、超音波パルス12aは、超音波送受信器2a、3a間で常に交互に送受信されるとしたが、高流量においてはどちらか1方向のみに伝搬され、カルマン渦30の発生周波数が一定の値以下に低下したことにより交互に送受信し始めるようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、また、請求項1に記載の発明によれば、各センサからの検出信号の相互相関を算出することにより流量を求める相互演算手段と、少なくとも1つのセンサにおける双方向の超音波パルス伝搬時間の差から流速を求める流速算出手段とを設けたため、流れの乱れが発生する高流量および乱れの持続しない微少流量の双方の検出をすることができる。また、請求項2に記載の発明によれば、これら相互演算手段による流量および流速算出手段による流量を切り替えて出力するようにしたので、低流量から高流量までの広い範囲での流量を計測することができる。さらに、請求項3に記載の発明によれば、流速の時間的変化の振幅に基づいて流量を求めるので、信号のS/N比が低く各演算手段が流量を算出するための演算が行えない状態においても流速を求めることができるという効果が得られる。また、請求項4に記載の発明によれば、高流量においては相関演算手段による流量を、また、低流量においては流量算出手段による流量を選択するので、これら相関演算手段および流量算出手段のそれぞれに適した流量検出領域の流量値を出力することができる。さらに、請求項5に記載の発明によれば、いずれか1組のセンサが故障して、相関式流量計が機能しなくなった場合に、異常を検知することが可能である。また、請求項6に記載の発明によれば、カルマン渦により周期的に変化を受ける送受信部間における超音波パルス伝搬時間の周波数から流量を求める第1の流量算出手段と、超音波パルスの伝搬方向の違いから発生する伝搬時間差から流量を求める第2の流量算出手段とを設けたので、カルマン渦が発生する高流量および同渦が生成できない微少流量の双方の検出をすることができる。そして、請求項7に記載の発明によれば、高流量においては第1の流量算出手段からの流量を、また、低流量においては第2の流量算出手段からの流量を出力するようにしたので、同一のセンサにより、高流量からカルマン渦の生成できない微少流量までの広い範囲の流量を安定に計測することができる。それと共に、管路の漏れ等のわずかな流量変化を検出することができるので、通常の渦流量計に漏れ検知機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成図である。
【図2】同実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態の構成図である。
【図4】同実施形態における伝搬時間信号の説明図である。
【図5】同実施形態における流速の変化の平均振幅と流量の関係を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態の構成図である。
【図7】本発明の第5実施形態の構成図である。
【図8】同実施形態における渦発生体の後流に生成されたカルマン渦の様子を示す概念図である。
【図9】同実施形態における渦発生体の後流に生成されたカルマン渦の様子を示す概念図である。
【図10】同実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 :管路(流路)
2a・b:超音波送受信器(センサ)
3a・b:超音波送受信器(センサ)
4a・b:制御回路 (以下、演算手段)
5 :タイミング回路
6 :パルス発振器
7a・b:超音波検出器
10a・b:伝搬時間検出器
13a・b:伝搬時間差検出器(流速算出手段)
15 :平均化回路
17 :信号処理回路(相関演算手段)
19 :判定器
20 :判定器
21 :判定器 (以上、演算手段)
22 :渦発生体
23 :伝搬時間検出器(第1の流量算出手段) (以下、演算手段)
25 :信号処理回路(第1の流量算出手段)
27 :伝搬時間差検出器(第2の流量算出手段)
29 :判定器 (以上、演算手段)
30 :カルマン渦
Claims (7)
- 複数のセンサと演算手段とを有する相関式流量計であって、
前記複数のセンサは前記流路の流れ方向に沿って間隔を置いて配置され、
各センサは各々超音波パルスを送信する動作と受信する動作の双方を行い得る一対の送受信部を、前記流路を挟み、かつ該流路の流れ方向に沿って相互にずれた各位置に配置してなるものであり、
前記演算手段は、
前記各センサの各受信部から得られる各検出信号の相互相関を演算することにより前記流路を流れる流体の流量を求める相関演算手段と、
前記複数のセンサのうち少なくとも一のセンサにおける超音波パルスの伝送方向を交互に切り替え各送受信部から得られる各検出信号に基づき各伝送方向での超音波パルスの伝搬時間差を求め、この伝搬時間差から流体の流速を求める流速算出手段とを具備することを特徴とする相関式流量計。 - 前記流速算出手段によって求められた流速から流量を求め、該流量と前記相関演算手段によって求められた流量とを切り替えて出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の相関式流量計。
- 前記各センサの各受信部から得られる各検出信号の時間的変化の振幅に基づいて流量を求め、該流量と前記流速検出手段により求めた流量と前記相関演算手段によって求められた流量とを切り替えて出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の相関式流量計。
- 高流量においては前記相関演算手段によって求められた流量を選択し、低流量においては前記流速算出手段によって求められた流速から得られた流量を選択することを特徴とする請求項2または3記載の相関式流量計。
- 前記流速算出手段が複数のセンサから得られる検出信号に基づいて複数種類の流速を求めるものであり、各流速差が所定値以上となった場合に異常検出信号を出力するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一の請求項に記載の相関式流量計。
- 流路に設けられた渦発生体と、
前記渦発生体より後流の流路を挟み、かつ該流路の流れ方向に沿って相互にずれた各位置に配置された送信部と受信部とにより構成されたセンサと、
前記センサの受信部から得られる検出信号に基づき、前記渦発生体によって生成されたカルマン渦の発生周波数を求め、該周波数から前記流路を流れる流体の流量を求める演算手段とを具備し、
前記センサの送信部は、前記流路に超音波パルスを送信し、
前記センサの受信部は、前記流路を介して伝搬された前記超音波パルスを受信し、
前記演算手段は、
前記送信部の送信タイミングおよび前記受信部の受信タイミングから前記超音波パルスの伝搬時間を求め、さらに該伝搬時間の変化周波数を求め、該変化周波数から前記流量を算出する第1の流量算出手段と、
前記センサにおける超音波パルスの伝送方向を交互に切り替え各送受信部から得られる検出信号に基づき各伝送方向での超音波パルスの伝搬時間差を求め、この伝搬時間差から流体の流量を求める第2の流量算出手段とを具備することを特徴とする渦流量計。 - 高流量においては前記第1の流量算出手段によって求められた流量を出力し、低流量においては前記第2の流量算出手段によって求められた流量を出力することを特徴とする請求項6記載の渦流量計。
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