JP2000035353A - 伝搬時間計測方法及び装置並びに超音波式流量計 - Google Patents

伝搬時間計測方法及び装置並びに超音波式流量計

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JP2000035353A
JP2000035353A JP11049689A JP4968999A JP2000035353A JP 2000035353 A JP2000035353 A JP 2000035353A JP 11049689 A JP11049689 A JP 11049689A JP 4968999 A JP4968999 A JP 4968999A JP 2000035353 A JP2000035353 A JP 2000035353A
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signal
transmission signal
detection
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Hiroyoshi Kawana
弘悦 川名
Toshihiro Harada
鋭博 原田
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Yazaki Corp
Original Assignee
Yazaki Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小流量での超音波伝搬時間の計測を安定して
正確に行うことを可能にした伝搬時間計測方法及び装置
並びに小流量の流体流量の計測を安定して正確に行うこ
とを可能にした超音波式流量計を提供する。 【解決手段】 一対の音響トランスジューサTD1,T
D2を流体管路に流体の流れ方向に一定距離離間して対
向するように配置した。送信信号発生手段2は、予め定
めた位置に位相を反転したマーカの挿入されている送信
信号を発生する。受信信号処理手段31は、送信側超音
波トランスジューサからの超音波を受信して受信側超音
波トランスジューサが発生する検出信号中の位相反転部
分を検出する。計時手段12は、送信信号に挿入したマ
ーカの送信タイミングから検出信号から検出した位相反
転部分の受信タイミングまでの時間を伝搬時間として計
測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は伝搬時間計測方法及
び装置並びに超音波式流量計に係り、特に超音波を利用
してガスなどの流量を計測する超音波式流量計に用いら
れる伝搬時間計測方法及び装置並びに超音波式流量計に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、超音波式流量計として、図9の概
要構成ブロック図に示すものが考えられている。同図に
おいて、流体管路21の一部に超音波振動子22、23
を対向するように配置し、流体管路21の上流側に配置
した超音波振動子22(=送信側振動子として機能)か
ら発せられた超音波を流体管路21の下流側に配置した
超音波振動子23(受信側振動子として機能)が検出す
るまでの時間t1及び超音波振動子23(送信側振動子
として機能)から発せられた超音波を超音波振動子22
(受信側振動して機能)が検出するまでの時間t2を計
測する(図10(a)、(b)参照)。
【0003】この場合において、時間t1及び時間t2
は、超音波振動子22と超音波振動子23との間の距離
をL、音速をC、流体の流速をV、流体の流量をQ、流
体管路の断面積をAとすると、 t1=L/(C+V) ……(1) t2=L/(C−V) ……(2) V=L/2・((t2−t1)/(t1・t2)) ……(3) Q=K・A・V =K・A・{L/2・((t2−t1)/(t1・t2))} ……(4) となる。ただし、Kは、流体の種類などで定まる係数で
ある。
【0004】ところで、図9には示していないが、従来
の超音波式流量計では、送信側振動子が発した超音波を
受信側振動子が受信するまでの伝搬時間t1、t2を計
測するため、図11に示すように受信側振動子が超音波
を受信することで発生する検出信号を増幅回路24によ
り増幅して増幅検出信号を得、この増幅検出信号を次の
比較部25にて所定の基準値と比較し、比較部25は比
較の結果を図示しない計時部に送る。又は、比較部25
をゼロクロス比較部として構成し、増幅検出信号をゼロ
クロス比較部25にて0値と比較し、その比較の結果を
図示しない計時部に送る。そして、計時部では、送信側
振動子に超音波を発生させる図示しないスタート部から
すでに送られている信号から比較部25からの信号まで
の経過時間を計時し、この経過時間を伝搬時間t1、t
2として求める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した超音波式流量
計では、図10(b)から明らかなように、流体の流量
が大流量である場合には時間t1と時間t2との時間差
Δtが長いため、計測精度上の問題はないが、流体の流
量が小流量である場合には、時間t1と時間t2との時
間差Δtが非常に短くなり、上述したような伝搬時間の
計測の仕方では、僅かなノイズが重畳しても大きな計測
誤差が生じるようになる。特に、一定の微少な流量値以
上の連続的な流量の存在によって配管の微少漏洩を監視
するような場合には、この誤差が監視結果を誤らせてし
まう致命的な問題になることがある。
【0006】よって本発明は、小流量での超音波伝搬時
間の計測を安定して正確に行うことを可能にした伝搬時
間計測方法及び装置、並びに小流量の流体流量の計測を
安定して正確に行うことを可能にした超音波式流量計を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
なされた請求項1記載の発明は、流体管路に流体の流れ
方向に一定距離離間して対向するように配置した一対の
音響トランスジューサの一方を送信側、他方を受信側と
して使用し、送信側音響トランスジューサの発生する超
音波が受信側音響トランスジューサに到達するまでの時
間を伝搬時間として計測するようにした伝搬時間計測方
法において、予め定めた位置に位相を反転したマーカの
挿入されている送信信号により前記送信側音響トランス
ジューサを駆動して超音波を発生させ、前記送信側音響
トランスジューサからの超音波を受信して前記受信側音
響トランスジューサが発生する検出信号中の位相反転部
分を検出し、前記送信信号に挿入したマーカの送信タイ
ミングから前記検出信号から検出した位相反転部分の受
信タイミングまでの時間を前記伝搬時間として計測する
ようにしたことを特徴とする伝搬時間計測方法に存す
る。
【0008】請求項1記載の伝搬時間計測方法によれ
ば、送信側音響トランスジューサを駆動する送信信号に
は、予め定めた位置に位相を反転したマーカの挿入され
ていて、受信側音響トランスジューサが超音波を受信し
て発生する検出信号中の位相反転部分を検出し、送信信
号に挿入したマーカの送信タイミングから検出信号から
検出した位相反転部分の受信タイミングまでの時間を伝
搬時間として計測するようにしているので、ノイズが重
畳しても影響を受けることなく、位相反転部分を確実に
検出することができる。
【0009】請求項2記載の発明は、流体管路に流体の
流れ方向に一定距離離間して対向するように配置した一
対の音響トランスジューサと、該一対の音響トランスジ
ューサの一方を送信側とし、該送信側音響トランスジュ
ーサを駆動して超音波を発生させる送信信号を発生する
送信信号発生手段と、前記一対の音響トランスジューサ
の他方を受信側とし、該受信側音響トランスジューサが
前記送信側音響トランスジューサからの超音波を受信し
て発生する検出信号を受信処理する受信信号処理手段
と、前記送信信号と前記検出信号とに基づいて、前記送
信側音響トランスジューサによる超音波の発生から受信
側音響トランスジューサに超音波が到達するまでの時間
を伝搬時間として計測する計時手段とを備える伝搬時間
計測装置において、前記送信信号発生手段は、予め定め
た位置に位相を反転したマーカの挿入されている送信信
号を発生し、前記受信信号処理手段は、前記送信側超音
波トランスジューサからの超音波を受信して前記受信側
超音波トランスジューサが発生する検出信号中の位相反
転部分を検出し、前記計時手段は、前記送信信号に挿入
したマーカの送信タイミングから前記検出信号から検出
した位相反転部分の受信タイミングまでの時間を前記伝
搬時間として計測することを特徴とする伝搬時間計測装
置に存する。
【0010】請求項2記載の伝搬時間計測装置によれ
ば、送信信号発生手段が発生する送信信号には、予め定
めた位置に位相を反転したマーカの挿入されており、送
信側超音波トランスジューサからの超音波を受信して受
信側超音波トランスジューサが発生する検出信号中の位
相反転部分を受信信号処理手段が検出し、計時手段が送
信信号に挿入したマーカの送信タイミングから、検出信
号から検出した位相反転部分の受信タイミングまでの時
間を伝搬時間として計測しているので、ノイズが重畳し
ても影響を受けることなく、位相反転部分を確実に検出
することができる。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項2に記載の
発明において、前記送信信号発生手段が発生する送信信
号がゼロクロス点において位相反転された予め定めた波
形の周期信号であり、前記受信信号処理手段が、前記受
信側音響トランスジューサからの検出信号をアナログ−
デジタル変換して検出デジタルデータを出力するA/D
変換手段と、該A/D変換手段からの検出デジタルデー
タを1周期別に記録する記録手段と、該記録手段に記録
された1周期前の検出デジタルデータと前記A/D変換
手段からの検出デジタルデータとを順次乗算して乗算デ
ジタルデータを出力する乗算手段と、該乗算手段からの
乗算デジタルデータの極性の反転を検出する反転検出手
段と、前記記録手段に記録されている検出デジタルデー
タによって得た曲線又は一定の正弦波による近似により
曲線のゼロクロス点を位相反転部分の第1の補正点とし
て算出する第1の補正点算出手段とを有し、前記計時手
段は、前記送信側音響トランスジューサによる超音波の
発生から前記反転検出手段による極性の反転の検出まで
の時間を計時し、該計時した時間を前記第1の補正点算
出手段により算出した第1の補正点によって補正して伝
搬時間を計測することを特徴とする伝搬時間計測装置に
存する。
【0012】請求項3記載の伝搬時間計測装置によれ
ば、受信信号処理手段において、A/D変換手段が受信
側音響トランスジューサからの検出信号をアナログ−デ
ジタル変換して検出デジタルデータを出力し、A/D変
換手段からの検出デジタルデータを1周期別に記録手段
が記録し、記録手段に記録された1周期前の検出デジタ
ルデータとA/D変換手段からの検出デジタルデータと
を乗算手段が順次乗算して乗算デジタルデータを出力
し、乗算手段からの乗算デジタルデータの極性の反転を
反転検出手段が検出したとき、第1の補正点算出手段が
記録手段に記録されている検出デジタルデータによって
得た曲線又は一定の正弦波による近似により曲線のゼロ
クロス点を位相反転部分の第1の補正点として算出する
ようになっていおり、計時手段が計時した送信側音響ト
ランスジューサによる超音波の発生から反転検出手段に
よる極性の反転の検出までの時間を、第1の補正点算出
手段により算出した第1の補正点によって補正して伝搬
時間を計測しているので、ノイズが重畳しても影響を受
けることなく、位相反転部分の検出をより正確にかつ簡
単に行うことができる。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項3記載の伝
搬時間計測装置において、前記送信信号発生手段が送信
信号の送信電力を予め定めた設定データにより可変可能
であり、前記A/D変換手段が検出デジタルデータの値
を予め定めた調整率で調整可能であり、前記受信信号処
理手段が、前記記録手段に記録されている検出デジタル
データに基づいて検出デジタルデータの振幅を算出する
振幅算出手段を有し、該振幅算出手段によって算出した
振幅に基づいて、前記送信信号発生手段の送信電力を可
変する設定データと、前記A/D変換手段の調整率とを
設定することを特徴とする伝搬時間計測装置に存する。
【0014】請求項4記載の伝搬時間計測装置によれ
ば、振幅算出手段によって算出した振幅に基づいて、送
信信号発生手段の送信電力を可変する設定データと、A
/D変換手段の調整率とを設定しているので、記録手段
に記録されている検出デジタルデータによって得られる
曲線による近似が常に一定して、位相反転部分の第1の
補正点として求められる曲線のゼロクロス点が一定する
ようになる。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項2記載の伝
搬時間計測装置において、前記送信信号発生手段が発生
する送信信号がゼロクロス点において位相反転された予
め定めた波形の周期信号であり、前記受信信号処理手段
が、前記受信側音響トランスジューサからの検出信号を
アナログ−デジタル変換して検出デジタルデータを出力
するA/D変換手段と、該A/D変換手段からの検出デ
ジタルデータを1周期別に記録する記録手段と、該記録
手段に記録された1周期前の検出デジタルデータと前記
A/D変換手段からの検出デジタルデータとを順次乗算
して乗算デジタルデータを出力する乗算手段と、該乗算
手段からの乗算デジタルデータの極性の反転を検出して
位相反転検出信号を出力する反転検出手段と、前記記録
手段に記録されている検出デジタルデータによって得た
曲線又は一定の正弦波による近似により曲線のゼロクロ
ス点を位相反転部分の第1の補正点として算出する第1
の補正点算出手段、又は前記反転検出手段により極性の
反転を検出した乗算デジタルデータと直前の乗算デジタ
ルデータとによる直線近似により直線のゼロクロス点を
位相反転部分の第2の補正点として算出する第2の補正
点算出手段の少なくとも一方とを有し、前記計時手段
は、前記送信側音響トランスジューサによる超音波の発
生から前記反転検出手段からの位相反転検出信号の出力
までの時間を計時し、該計時した時間を前記第1の補正
点算出手段により算出した第1の補正点によって補正し
て第1の伝搬時間、又は前記第2の補正点算出手段によ
り算出した第2の補正点によって補正して第2の伝搬時
間の少なくとも一方を計測することを特徴とする請求項
2記載の伝搬時間計測装置に存する。
【0016】請求項5記載の伝搬時間計測装置によれ
ば、受信信号処理手段において、A/D変換手段が受信
側音響トランスジューサからの検出信号をアナログ−デ
ジタル変換して検出デジタルデータを出力し、A/D変
換手段からの検出デジタルデータを1周期別に記録手段
が記録し、記録手段に記録された1周期前の検出デジタ
ルデータとA/D変換手段からの検出デジタルデータと
を乗算手段が順次乗算して乗算デジタルデータを出力
し、乗算手段からの乗算デジタルデータの極性の反転を
反転検出手段が検出したとき、第1の補正点算出手段が
記録手段に記録されている検出デジタルデータによって
得た曲線又は一定の正弦波による近似により曲線のゼロ
クロス点を位相反転部分の第1の補正点として算出する
か、第2の補正点算出手段が反転検出手段により極性の
反転を検出した乗算デジタルデータと直前の乗算デジタ
ルデータとによる直線近似により直線のゼロクロス点を
位相反転部分の第2の補正点として算出するようになっ
ており、計時手段が計時した送信側音響トランスジュー
サによる超音波の発生から反転検出手段による極性の反
転の検出までの時間を、第1の補正点算出手段により算
出した第1の補正点によって補正して第1の伝搬時間、
又は第2の補正点算出手段により算出した第2の補正点
によって補正して第2の伝搬時間を計測しているので、
ノイズが重畳しても影響を受けることなく、位相反転部
分の検出をより正確にかつ簡単に行うことができる。
【0017】請求項6記載の発明は、請求項3〜5の何
れかに記載の伝搬時間計測装置において、前記送信信号
発生手段が発生する送信信号がゼロクロス点において位
相反転された2つのマーカが挿入された予め定めた波形
の周期信号であり、前記反転検出手段は前記2つのマー
カのそれぞれを検出して第1及び第2の位相反転検出信
号を出力し、前記A/D変換手段が前記反転検出手段か
らの第1の位相反転検出信号によって検出デジタルデー
タのサンプリング周期を短くすることを特徴とする伝搬
時間計測装置に存する。
【0018】請求項6記載の伝搬時間計測装置によれ
ば、送信信号発生手段の発生する送信信号がゼロクロス
点において位相反転された2つのマーカが挿入された予
め定めた波形の周期信号であり、この2つのマーカの各
々を反転検出手段が検出して第1及び第2の位相反転検
出信号を出力し、反転検出手段からの第1の位相反転検
出信号によってA/D変換手段が検出デジタルデータの
サンプリング周期を短くしているので、第2の位相反転
検出信号に応じて求められる第1又は第2の補正点がよ
り正確に求められ、位相反転部分の検出をより正確にか
つ簡単に行うことができる。
【0019】請求項7記載の発明は、請求項3〜6の何
れかに記載の伝搬時間計測装置において、前記送信信号
発生手段は、前記予め定めた位置に対応する1/4周期
のタイミングで位相を反転した一定周期の方形波を発生
する方形波発生手段と、該方形波発生手段の発生する方
形波を正弦波に変換する方形波−正弦波変換手段とを有
し、該方形波−正弦波変換手段が前記ゼロクロス点にお
いて位相反転された正弦波を前記送信信号として出力す
ることを特徴とする伝搬時間計測装置に存する。
【0020】請求項7記載の伝搬時間計測装置によれ
ば、前記送信信号発生手段において、方形波発生手段が
予め定めた位置に対応する1/4周期のタイミングで位
相を反転した一定周期の方形波を発生し、この方形波発
生手段の発生する方形波を方形波−正弦波変換手段が正
弦波に変換してゼロクロス点において位相反転された正
弦波を送信信号として出力するようになっているので、
方形波発生手段の発生している方形波の周期を管理する
ことによって、予め定めた位置に対応するタイミングで
位相反転した方形波を簡単に発生することができ、また
この方形波発生手段の発生した方形波を方形波−正弦波
変換手段が正弦波に変換することによって、ゼロクロス
点において位相反転された正弦波を送信信号として確実
に発生することができる。
【0021】請求項8記載の発明は、流体管路に流体の
流れ方向に一定距離離間して対向するように配置した一
対の音響トランスジューサと、該一対の音響トランスジ
ューサの一方を送信側又は送信側に、他方を受信側又は
送信側となるように交互に切り換える切換手段と、該切
換手段によって送信側に切り換えられた前記送信側音響
トランスジューサを駆動して超音波を発生させる送信信
号を発生する送信信号発生手段と、前記切換手段によっ
て受信側に切り換えられた前記受信側音響トランスジュ
ーサが前記送信側音響トランスジューサからの超音波を
受信して発生する検出信号を受信処理する受信信号処理
手段と、前記送信信号と前記検出信号とに基づいて、前
記送信側音響トランスジューサによる超音波の発生から
受信側音響トランスジューサに超音波が到達するまでの
2つの時間を第1及び第2の伝搬時間として計測する計
時手段と、該計時手段によって計測した前記第1及び第
2の伝搬時間の差によって前記流体管路に流れる流体の
流速を求める流速計測手段と、該流速計測手段により計
測した流速に流体管路の断面積と定数を乗じて流量を求
める流量演算手段とを備える超音波式流量計において、
前記送信信号発生手段は、予め定めた位置に位相を反転
したマーカの挿入されている送信信号を発生し、前記受
信信号処理手段は、前記送信側超音波トランスジューサ
からの超音波を受信して前記受信側超音波トランスジュ
ーサが発生する検出信号中の位相反転部分を検出し、前
記計時手段は、前記送信信号に挿入したマーカの送信タ
イミングから前記検出信号から検出した位相反転部分の
受信タイミングまでの時間を前記伝搬時間として計測す
ることを特徴とする超音波式流量計に存する。
【0022】請求項8記載の超音波式流量計によれば、
送信信号発生手段が発生する送信信号には、予め定めた
位置に位相を反転したマーカの挿入されており、送信側
超音波トランスジューサからの超音波を受信して受信側
超音波トランスジューサが発生する検出信号中の位相反
転部分を受信信号処理手段が検出し、計時手段が送信信
号に挿入したマーカの送信タイミングから、検出信号か
ら検出した位相反転部分の受信タイミングまでの時間を
第1及び第2の伝搬時間として計測し、第1及び第2の
伝搬時間の差によって流速計測手段が流体管路に流れる
流体の流速を求め、計測した流速に流体管路の断面積と
定数を乗じて流量演算手段が流量を求めているので、ノ
イズが重畳しても影響を受けることなく安定して正確に
求められた第1及び第2の伝搬時間の差によってより正
確に流量を計測することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は本発明による超音波式流量
計の一実施の形態を示す図であり、超音波式流量計は、
図9について上述したと同様に、図示しない流体管路内
に対向するように配置され、一方が送信信号によって超
音波を発生して送出し、他方が超音波を受信して受信し
た超音波に応じた検出信号を出力することを、交互に切
り換えられて行う一対の音響トランスジューサTD1及
びTD2と、音響トランスジューサTD1、TD2に超
音波を発生させるための送信信号を発生する送信信号発
生手段としてのデジタル周波数シンセサイザ2とを有す
る。
【0024】デジタル周波数シンセサイザ2としては、
例えば以下のように構成されたものが使用される。ま
ず、正弦波を所定の分解能にて分解した離散値のデジタ
ルデータとして読み出し専用のメモリに格納しておき、
後述するマイクロコンピュータ(μCOM)からなる演
算制御部3からの送信要求に応じて、演算制御部3によ
り予め設定された周波数にて決定されるサンプリング周
期にてメモリに格納してあるデジタルデータを順次読み
出して出力する。この場合、予め設定された周波数によ
っては、決定されたサンプリング周期に対応するデジタ
ルデータがメモりに格納されていないことがあるが、こ
のようなときには前後のデジタルデータに基づいて補間
を行ってデジタルデータを作成して出力する。このデジ
タルデータを出力している過程において、演算制御部3
により予め設定された位相反転位置において、それまで
のものと極性を反転したデジタルデータを出力すること
によって、図2(a)に示すようなデジタルデータに基
づく階段状の送信信号を出力する。
【0025】デジタル周波数シンセサイザ2が送信要求
に応じて出力する階段状の送信信号は切換手段としての
送信電力調整部4に送られ、ここで演算制御部3により
予め設定された送信電力となるようにデジタルデータの
変更が加えられる。送信電力調整部4はデジタル周波数
シンセサイザ2の発生する送信信号を演算制御部3から
の選択信号により選択された音響トランスジューサTD
1又はTD2に対し、ローパスフィルタ(LPF)5a
又は5bを介してそれぞれ供給するための切り換え動作
も行う。LPF5a及び5bは例えば送信電力調整部4
とトランス結合するためのトランスのインダクタンス
と、抵抗と、コンデンサによって構成され、階段状送信
信号の低域成分のみを通過させて正弦波に近似した図2
(b)に示すような波形の送信信号を形成する。
【0026】送信電力調整部4によって切り換えられる
ことによって、一方の音響トランスジューサTD1又は
TD2はLPF5a又は5bを介して供給される送信信
号により駆動されて超音波を発生し、他方の音響トラン
スジューサTD2又はTD1は一方の音響トランスジュ
ーサTD1又はTD2が発生する超音波を受信し、この
受信した超音波に応じた検出信号を発生する。他方の音
響トランスジューサTD2又はTD1の発生する検出信
号はLPF5b又は5aを介して増幅回路6に入力さ
れ、ここで適当なレベルまで増幅された後、A/D変換
手段としてのアナログ/デジタル(A/D)変換器7に
入力される。A/D変換器7は、演算制御部3によって
予め設定されたサンプリング周期で検出信号をサンプリ
ングしてデジタルデータ化し、検出デジタルデータを出
力する。なお、A/D変換器7は、演算制御部3によっ
て予め設定された調整率で検出デジタルデータの値を調
整するプログラマブルゲイン調整機能を有するものとな
っている。
【0027】A/D変換器7がA/D変換して出力する
検出デジタルデータは読み出し書き込み自在のメモリで
ある記録手段としてのサイクリングRAM8と乗算手段
としての乗算器9とに入力される。サイクリングRAM
8は演算制御部3によって予め設定されたA/D変換器
7のサンプリング周期にて入力されるデジタルデータを
サイクリングに、すなわち、1周期別に記録する。サイ
クリングRAM8に記録したデジタルデータはμCOM
3によって読み込まれてμCOM3に取り込まれると共
に、乗算器9に対して出力される。乗算器9は、A/D
変換器7からサンプリング毎に入力される検出デジタル
データとRAM8に記録されている1周期前の対応する
検出デジタルデータとを順次乗算して出力する。
【0028】乗算器9の出力する乗算デジタルデータは
デジタルフィルタ処理部10に入力され、ここでデジタ
ル状態でフィルタ処理が行われる。フィルタ処理された
乗算デジタルデータは反転検出手段としての検出回路1
1とμCOM3とに入力される。検出回路11は、デジ
タルフィルタ処理部10によってデジタルフィルタ処理
された乗算デジタルデータを入力し、この入力したデジ
タルデータがμCOM3によって予め設定された一定レ
ベル以上となったことを検出して入力信号検出信号を発
生し、これをμCOM3に対して出力する。検出回路1
1はまた、デジタルフィルタ処理部10からのデジタル
フィルタ処理された乗算デジタルデータの極性が負にな
ったことを検出して位相反転検出信号を発生し、これを
μCOM3と計時手段としてのカウンタ回路12に対し
て出力する。
【0029】カウンタ回路12は、μCOM3がデジタ
ル周波数シンセサイザ2に対して送信要求信号を出力す
るタイミングで、μCOM3から初期化信号が入力され
て時間の計時を開始し、位相反転検出信号の入力に応じ
てカウンタ値をμCOM3に対して出力する。よって、
カウンタ回路12のカウンタ値は、送信信号の送信から
位相反転検出までのおおよその時間を表し、このカウン
タ値を補正して正確な超音波の伝搬時間を求めることが
できる。具体的には、伝搬時間は送信信号の送信開始か
ら位相反転までの時間と1サンプリング時間とをカウン
タ値から差し引いたものに補正値を加算して求めること
ができる。
【0030】演算制御部として働くμCOM3は、予め
定めたプログラムに従って処理を行う中央処理ユニット
(CPU)31と、プログラムや各種の固定データを格
納した読み出し専用のメモリであるROM32と、処理
の過程で各種のデータを格納するデータエリアや処理の
過程で使用するワークエリアなどが形成された書き込み
読み出し自在のメモリであるRAM33とを有する。
【0031】μCOM3のCPU31は、電池電源の投
入によって動作を開始し、デジタル周波数シンセサイザ
2に送信信号を発生させる制御と、デジタル周波数シン
セサイザ2の発生する送信信号によって一方の音響トラ
ンスジューサの発生する超音波を他方の音響トランスジ
ューサに受信させて検出信号を発生させる制御と、検出
信号についての処理とを行う。
【0032】具体的には、伝搬時間を計測する計測周期
がくると、デジタル周波数シンセサイザ2に対して発信
周波数の設定データと位相判定位置の設定データとを出
力する。CPU31はまた、送信電力調整部4に対し送
信電力の設定データと送信側音響トランスジューサの選
択データとを、A/D変換器7に対しA/D変換したデ
ジタルデータの値を調整する調整率の設定データを、A
/D変換器7とサイクリングRAM8に対してサンプリ
ング周期の設定データを、検出回路11に対し入力信号
検出レベルの設定データを、そしてカウンタ回路12に
対してタイムアウトの設定データをそれぞれ出力する。
【0033】上述のように超音波の送受信の準備ができ
たところで、デジタル周波数シンセサイザ2とカウンタ
回路12に対して送信要求信号を出力すると、デジタル
周波数シンセサイザ2が図2(a)に示すような階段状
の送信信号を発生し、カウンタ回路12が時間の計時を
開始する。デジタル周波数シンセサイザ2の発生する送
信信号は、選択信号によって送信側として選択された例
えば音響トランスジューサTD1に対し、LPF5aに
より図2(b)のような波形に処理されて供給される。
送信信号が供給された送信側音響トランスジューサTD
1は送信信号によって駆動されて超音波を発生する。
【0034】送信側音響トランスジューサTD1が発生
した超音波は流体管路内の流体中を伝搬して受信側音響
トランスジューサTD2によって受信される。流体中を
伝搬する超音波は流体の流速の影響を受け、その伝搬速
度は流体の流れと同一方向に伝搬するときには静止流体
中よりも速い速度で伝搬し、伝搬時間は短くなり、逆方
向の場合は長くなる。
【0035】受信側音響トランスジューサTD2は超音
波を受信することによって、受信した超音波の波形に応
じた検出信号を発生し、これをLPF5bを介して増幅
回路6に供給する。増幅回路6は検出信号を所定レベル
に増幅した後A/D変換器7に供給する。A/D変換器
7は設定データによって設定されたサンプリング周期で
検出信号をサンプリングして検出デジタルデータに変換
すると共に、設定データによって設定された調整率でそ
の値を調整して検出デジタルデータを出力する。図3
(b)は図3(a)の送信信号によって発生された超音
波を受信した音響トランスジューサが発生する検出信号
をA/D変換器7によってデジタルデータに変換して得
た検出デジタルデータを示し、図3(c)は上記調整率
で調整され検出デジタルデータの値が全体的に増大され
た後の検出デジタルデータを示している。
【0036】A/D変換器7によってデジタルデータに
変換して得られた検出デジタルデータはRAM8に供給
されて1周期別に記録される。この記録の際、1周期の
開始点を、デジタルフィルタ処理部10の出力値が所定
のしきい値を越えた点で認識する。同じ検出デジタルデ
ータは乗算器9に対しても供給され、サイクリングRA
M8に記録された1周期前の検出デジタルデータと乗算
される。この乗算デジタルデータは図3(d)に示すよ
うになり、位相反転位置を境に正から負になっている。
乗算デジタルデータはデジタルフィルタ処理部10に供
給されてデジタルフィルタ処理された後検出回路11に
供給される。デジタルフィルタ処理では、検出回路11
における位相反転マークを正確に検出するために、サイ
クリングRAMのデータを平滑化している。検出回路1
1はデジタルフィルタ処理された後の乗算デジタルデー
タを入力する毎に、設定データによって設定された入力
信号検出レベル以上であるかどうかを監視し、入力信号
検出レベル以上の乗算デジタルデータが入力されたとき
入力信号検出信号を発生し、これをμCOM3のCPU
31に対して入力する。
【0037】μCOM3のCPU31は、デジタルフィ
ルタ処理された乗算デジタルデータが供給されており、
検出回路11から入力信号検出信号が入力されると、後
の直線近似による補正点の算出のために、乗算デジタル
データを読み込んでRAM33内のデータエリアに順次
格納する。
【0038】ところで、位相反転される前の検出デジタ
ルデータが乗算器9に供給されている間は、相前後する
周期の対応する検出デジタルデータは同一の極性となっ
ているので、乗算の結果得られる乗算デジタルデータは
正となっている。しかし、相前後する検出デジタルデー
タの全体或いは一部分(位相反転前の周期が半周期分が
あるかどうかによって異なる)に位相反転部分がある
と、その位相反転位置に対応する検出デジタルデータの
乗算を境に乗算デジタルデータの極性が負となるように
なる。そこで検出回路11はフィルタ処理された後の乗
算デジタルデータを入力する毎に、入力した乗算デジタ
ルデータの極性が負であるかどうかを監視し、負の乗算
デジタルデータが入力されたとき位相反転検出信号を発
生し、これをカウンタ回路12とμCOM3のCPU3
1に対して入力する。
【0039】送信要求信号の入力によって計時を開始し
ているカウンタ回路12は位相反転検出信号の入力に応
じてそのときのカウント値をμCOM3のCPU31に
対して出力すると共に、位相反転検出信号を入力したμ
COM3のCPU31はカウンタ回路12が出力してい
るカウンタ値を読み込みRAM33のデータエリアの所
定のエリアに格納する。このカウンタ値は送信側におい
てマーカとして挿入された位相反転位置のおおよその位
置を表すもので、このカウンタ値を補正して実際の位相
反転位置を算出する。この実際の位相反転位置の算出の
ために、RAM33内のデータエリアに格納してあるフ
ィルタ処理後の乗算デジタルデータに基づいて直線近似
による補正点の算出を近似的に行う。
【0040】この直線近似による補正点の算出は、実際
に負となった乗算デジタルデータの点と、負になる直前
の乗算デジタルデータの点とを直線にて結び、サンプリ
ング時間をその両者の大きさの比で按分して求めた時間
を負になる直前のサンプリングタイミング時間に加算す
ることで行う。
【0041】μCOM3のCPU31は上記位相反転検
出信号の入力に応じてサイクリングRAM8に記録して
いる検出デジタルデータに基づく曲線又は一定の正弦波
の近似によって位置検出を行う。この位置検出は、近似
して得た曲線の0クロス点とサンプリング点との位相差
を求めるもので、この位相差によってカウンタ値を補正
して乗算デジタルデータの実際の極性反転点を算出して
送信側においてマーカとして挿入された位相反転位置を
検出する。
【0042】また、サイクリングRAM8に記録してい
る検出デジタルデータに基づいて得た余弦波の自乗値と
正弦波の自乗値との加算値の平方根によって受信データ
の振幅を求め、この求めた振幅をその後の送信電力とA
/D変換器7のゲイン調整率を設定するために利用す
る。なお、送信電力及びA/D変換値の調整率は、曲線
を求めるための検出デジタルデータが一定の条件で得ら
れたものであることを保障するためのものである。
【0043】上述のようにして一方の音響トランスジュ
ーサTD1を送信側として行った超音波の送受信によっ
て流体の流れ方向での超音波の伝搬時間を計測し終わ
り、カウンタ回路12が設定データにより設定したタイ
ムアウト時間が経過したところで、デジタル周波数シン
セサイザ2とカウンタ回路12に対して送信要求信号を
出力して、デジタル周波数シンセサイザ2が図2(a)
に示すような階段状の送信信号を発生させ、カウンタ回
路12に時間の計時を開始させる。しかし、デジタル周
波数シンセサイザ2の発生する送信信号は、今度は、選
択信号によって送信側として選択された音響トランスジ
ューサTD2に対し、LPF5bにより図2(b)のよ
うな波形に処理されて供給される。送信信号が供給され
た送信側音響トランスジューサTD2は送信信号によっ
て駆動されて超音波を発生する。そして、この超音波を
受信側となる音響トランスジューサTD1によって受信
して上述したと同様の処理を繰り返す。
【0044】この処理が終了すると、、直線近似と曲線
近似により、流体の流れと同一の順方向と逆方向の両方
向での超音波の伝搬時間t1及びt2の計測が行われ
る。その後両近似によって求めた伝搬時間t1及びt2
についての2つの時間差(t2−t1)を求め、この2
つの時間差に基づいて1つの伝搬時間差を求める。この
求めた伝搬時間差により上記式(3)を変形した式、 V=1/2L・C2 ・(t2−t1) ……(3′) の計算を行って流体の流速Vを、この流速Vに基づいて
上記式(4)の計算を行って流量をQをそれぞれ求め
る。
【0045】なお、上記式(3′)は、以下のようにし
て求められたものである。 t2・t1=L2 /(C+V)・(C−V)=L2 /(C
2 −V2 )であり、流速Vは音速Cに比べて極めて小さ
な数値であるので、式中のV2 はC2 に比べて極めて小
さく無視でき、t2・t1=L2 /C2とすることで、書
き直されたものである。式中のCは固定値を使用するこ
とができるが、温度や圧力などによって変化するので、
時事刻々変化する音速を別途測定したものを用いるよう
にしてもよい。また、時間差(t2−t1)によらず、 V=L/2・((1/t1)−(1/t2)) ……(3″) の計算によって求めた2つの流速に基づいて1つの流速
を求めるようにしてもよい。
【0046】以上概略説明した動作の詳細な説明をμC
OM3のCPU31が行う処理を示す図4のフローチャ
ートを参照して以下説明する。
【0047】μCOM3のCPU31はその動作の開始
後ステップS1において計測周期となったか否かを判定
する。この計測周期は別途予め定められるもので、一定
或いはランダム周期とされる。ステップS1の判定がY
ESになると、ステップS2に進んでデジタル周波数シ
ンセサイザ2に対して発信周波数の設定データを出力す
る。続いてステップS3に進んで検出回路11に対する
入力信号検出レベルの設定データを出力する。その後ス
テップS4に進んでA/D変換器7に対する調整率の設
定データを出力する。また、次のステップS5ではデジ
タル周波数シンセサイザ2に対する位相反転位置の設定
データを出力し、続くステップS6においてカウンタ回
路12に対し初期化信号を出力すると共にタイムアウト
の設定データを出力する。このタイムアウトの設定デー
タは、超音波を送信させる送信要求を出力してから、一
定時間経過しても超音波が受信されないとき、どこかに
エラーが生じたと判断し、再度送信要求を出力するため
のものである。次のステップS7では送信電力調整部4
に対する送信電力の設定データを出力し、次のステップ
S8では送信電力調整部4に対する送信側音響トランス
ジューサの選択データを出力し、超音波の送受信のため
の全ての準備が整ったところでステップS9に進んで送
信要求信号をデジタル周波数シンセサイザ2に対して出
力する。
【0048】送信要求信号を入力したデジタル周波数シ
ンセサイザ2は、上記ステップS2で出力された設定デ
ータにより定められた周波数で、かつ上記ステップS5
で出力された設定データにより定めた位置に位相反転か
らなるマーカを挿入した階段状の正弦波を送信信号とし
て発生し、この送信信号はLPFを介して上記ステップ
S8で出力された選択データにより定められた音響トラ
ンスジューサに対して供給される。送信信号が供給され
た送信側の音響トランスジューサは送信信号によって駆
動されて超音波を発生するようになる。
【0049】ステップS9において送信要求信号を出力
したCPU31はステップS9′に進んで上記ステップ
S6にて設定したタイムアウト時間が経過したか否かを
判定し、時間が経過せず判定がNOのときにはステップ
S10に進んで検出回路11からの入力信号検出信号が
入力されるか否かを判定し、入力信号検出信号が入力さ
れていないときには上記ステップS9′に戻って再度タ
イムアウト時間が経過したか否かを判定し、ステップS
9′又はステップS10の判定がYESになるのを待
ち、入力信号検出信号が入力されてステップS10の判
定がYESになるとステップS11に進む。また、ステ
ップS9′の判定がYESになると、すなわち、どこか
にエラーが生じて一定のタイムアウト時間が経過しても
入力信号検出信号が入力されないときには、上記ステッ
プS6に戻って再度ステップS6からの処理を開始す
る。
【0050】ステップS11に進んだときには、ここで
デジタルフィルタ10からのフィルタ出力を読み込みR
AM33内のデータエリアの所定領域に格納する。その
後ステップS12に進んで検出回路11からの位相反転
検出信号が入力されるのを待ち、位相反転検出信号が入
力されてステップS12の判定がYESになるとステッ
プS13に進む。ステップS13においてはカウンタ回
路12のカウンタ値を読み込んでRAM33内のデータ
エリアの所定エリアに格納する。
【0051】その後ステップS14に進んで上記ステッ
プS11において読み込みRAM33内のデータエリア
の所定領域に格納したフィルタ出力に基づいて直線近似
による補正点を算出する。続いてステップS15に進ん
でサイクリングRAM8に記録されている検出デジタル
データを読み込みRAM33内の所定領域に格納する。
その後ステップS16に進んで上記ステップS15にお
いて読み込みRAM33内のデータエリアの所定領域に
格納した検出デジタルデータに基づく曲線を求め、この
曲線近似による補正点を算出してからステップS17に
進み、ここで両方向の計測が終了したか否かの判定を行
う。この判定は、位相反転検出の回数をカウントするこ
とによって行う。ステップS17の判定がNOのとき、
すなわち、流体の流れと同一方向と逆方向の両方向の計
測が終わっていないときには、上記ステップS6に戻っ
て上述した動作を繰り返し、上述したと逆方向の計測を
行う。
【0052】両方向の計測が終了してステップS17の
判定がYESになるとステップS18に進み、ここで上
記ステップS14において算出した補正点によって補正
して求めた順方向と逆方向の伝搬時間の時間差と、上記
ステップS16において算出した補正点によって補正し
て求めた順方向と逆方向の伝搬時間の時間差とを求め
る。その後ステップS19に進んで上記ステップS18
において求めた両時間差により超音波の順方向と逆方向
の伝搬時間差と、この伝搬時間差による流速と、この流
速に流体管路の断面積と定数を乗じた流量とをそれぞれ
求める。このことによって今回の計測周期における瞬時
流量を計測することができ、これに計測周期を乗じるこ
とによって通過流量を求めることができる。その後ステ
ップS20に進んで上記ステップS16における検出デ
ジタルデータにより求めた曲線によって受信データの振
幅を求め、この求めた振幅によって送信電力と調整率を
求める。このステップS20において求めた送信電力と
調整率は次の周期において、ステップS7で出力する送
信電力の設定データとステップS4で出力する調整率の
設定データを定めるために利用される。
【0053】以上フローチャートに基づいて行った説明
から明らかなように、μCOM3のCPU31は、A/
D変換器7、サイクリングRAM8、乗算器9、デジタ
ルフィルタ処理部10、検出回路11などと共に受信信
号処理手段を構成し、特に、サイクリングRAM8に記
録されている検出デジタルデータによって得た曲線又は
一定の正弦波による近似により曲線のゼロクロス点を位
相反転部分の第1の補正点として算出する第1の補正点
算出手段と、検出回路11により極性の反転を検出した
乗算デジタルデータと直前の乗算デジタルデータとによ
る直線近似により直線のゼロクロス点を位相反転部分の
第2の補正点として算出する第2の補正点算出手段とし
ての他、サイクリングRAM8に記録されている検出デ
ジタルデータに基づいて検出デジタルデータの振幅を算
出する振幅算出手段と、第1及び第2の伝搬時間の差に
よって流体管路に流れる流体の流速を求める流速計測手
段と、計測した流速に流体管路の断面積と定数を乗じて
流量を求める流量演算手段として働いている。
【0054】なお、上述した実施の形態では、直線近似
により求めた時間差と曲線近似により求めた時間差の両
方を利用しているが、曲線近似或いは直線近似のみよっ
てもノイズに影響されない伝搬時間の計測が可能であ
る。
【0055】また、上述した実施の形態では、送信信号
発生手段としてデジタル周波数シンセサイザ2を使用し
ているが、この場合、正弦波を所定の分解能にて分解し
た離散値のデジタルデータとして読み出し専用のメモリ
に格納しておき、マイクロコンピュータ(μCOM)か
らなる演算制御部3からの送信要求に応じて、演算制御
部3により予め設定された周波数にて決定されるサンプ
リング周期にてメモリに格納してあるデジタルデータを
順次読み出して出力し、このデジタルデータを出力して
いる過程において、演算制御部3により予め設定された
位相反転位置において、それまでのものと極性を反転し
たデジタルデータを出力することによって、図2(a)
に示すような階段状の送信信号を出力し、この階段状送
信信号の低域成分のみを通過させて正弦波に近似した図
2(b)に示すような送信信号を形成している。この構
成の場合、正弦波を所定の分解能にて分解した離散値の
デジタルデータを格納する読み出し専用のメモリを必要
とする他、発生しようとする送信信号の周波数によって
は、メモりに格納されているデジタルデータに基づいて
補間を行って新しいデジタルデータを作成して出力する
ことも必要になる。
【0056】この点、送信信号発生手段を図5に示すよ
うに構成した場合には、デジタルデータを格納するメモ
リや新たなデジタルデータの作成を必要としなくなる。
すなわち、送信信号発生手段が、デジタルシンセサイザ
に代えて、演算制御部3からの送信要求に応じて正弦波
を発生して出力する正弦波発振回路2aと、正弦波発振
回路2aの出力する正弦波をそのゼロクロス点において
演算制御部3から出力される位相反転指示に応じて位相
反転し、正弦波のゼロクロス点で位相反転した正弦波を
出力する位相反転回路2bとによって構成されている。
位相反転回路2bは、正弦波発振回路2aからの正弦波
を非反転増幅し入力した正弦波と同位相の正弦波を出力
する非反転増幅器2b1と、出力が非反転増幅器2b1
の出力と相互接続され、正弦波発振回路2aからの正弦
波を反転増幅しこの入力した正弦波と逆位相の正弦波を
出力する反転増幅器2b2と、演算制御部3からの位相
反転指示に応じて切り替えられ、正弦波発振回路2aか
らの正弦波を非反転増幅器2b1又は反転増幅器2b2
の一方に入力するように切り替えられる切替スイッチ2
b3とを有し、相互接続された両増幅器の出力に位相反
転指示のタイミングで位相反転された正弦波を出力する
ように構成されている。
【0057】この構成の送信信号発生手段では、位相反
転回路2bが正弦波をゼロクロス点で正確に位相反転す
るように、演算制御部3は正弦波発振回路2aの発生す
る正弦波をサンプリングして入力し、サンプリング値が
0になるタイミング、すなわち、π/2n(n=0、
1、2…)のタイミングで位相反転指示を位相反転回路
2bに対して出力するようになっている必要がある。位
相反転のタイミングを正確なものにするには、正弦波の
サンプリングを高速で行うことになるが、サンプリング
速度を高速にすると、これを行う演算制御部3を構成し
ているμCOMの電源消費が大きくなり、電池電源を使
用した場合には、その消耗が早く電池交換が速まること
になる。また、高速サンプリングを行っても、ファーム
ウエア処理の遅延によって正確な位相反転には限度があ
る。
【0058】図6は上述したような位相反転タイミング
制御の高精度化を容易に実現した送信信号発生手段の例
を示し、同図において、プログラムに従って動作するμ
COMからなる演算制御部3は、予め定めた位置に対応
する1/4周期のタイミングで位相を反転した一定周期
の方形波を発生する方形波発生手段として働き、図7
(a)に示すように、送信信号の送信開始に応じて1/
4周期の間Hレベルになり、その後1/2周期毎にLレ
ベル及びHレベルを繰り返し、マーカを挿入するタイミ
ングである1/4周期のタイミングに相当するLレベル
の中間点で位相が反転するように1/4周期のLレベル
及びHレベルを連続させ、その後1/2周期毎にLレベ
ル及びHレベルを繰り返す方形波を発生する。方形波発
生手段の発生する図7(a)の方形波は方形波−正弦波
変換回路2dに入力される。
【0059】方形波−正弦波変換回路2dは、方形波を
正弦波に変換してゼロクロス点において位相反転された
正弦波を送信信号として出力し、具体的には、抵抗Rと
コンデンサCによる充放電の時定数C・Rにより方形波
を正弦波に変換するCR回路によって構成されており、
図7(a)の方形波が入力されると、同図7(b)に示
すように、方形波の位相反転箇所に対応するゼロクロス
点において位相の反転した正弦波を送信信号として出力
する。
【0060】演算制御部3を構成しているμCOMは、
図8のフローチャートに示すような処理を行うことによ
って図7(a)に示すような方形波を出力ポートOに発
生する。
【0061】すなわち、μCOMのCPUは方形波発生
処理の最初のステップS1において、送信信号の予め定
められた発生タイミングが来るのを待ち、ステップS1
の判定がYESとなって発生タイミングがきたら、ステ
ップS2に進んでCPUの出力ポートOをHレベルにす
るとともに1/4周期タイマをスタートさせ、かつ送信
開始フラグFに1をセットしてから、1/4周期の時間
が経過して1/4タイマがタイムアウトになるのを待つ
(ステップS3)。その後1/4周期の時間が経過して
1/4周期タイマがタイムアウトになると(ステップS
3のYES)、次にステップS4に進んでCPUの出力
ポートOをLレベルにするとともに1/2周期タイマを
スタートさせ、1/2周期タイマがタイムアウトになる
のを待つ(ステップS5)。その後1/2周期タイマが
タイムアウトになると(ステップS5のYES)、ステ
ップS6に進んでCPUの出力ポートOをHレベルにす
るとともに1/2周期タイマをスタートさせ、かつ方形
波の発生周期を計数する周期カウンタCをインクリメン
トしてから、1/2周期タイマがタイムアウトになるの
を待つ(ステップS7)。
【0062】その後1/2周期タイマがタイムアウトに
なると(ステップS7のYES)、ステップS8に進ん
で送信開始フラグFに1がセットされているかどうかに
よって、発生している方形波が送信開始から位相反転前
のものであるかどうかを判断する。発生している方形波
が位相反転前のものであるときには(ステップS8のY
ES)、ステップS9に進んで周期カウンタCの計数値
が位相反転前に発生すべき周期数xになっているかどう
かを判定し、位相反転前にx周期の方形波を発生してい
ないとき(ステップS9のNO)には、ステップS4に
戻って上述した処理を繰り返し、さらに1周期の方形波
を発生する。以上の処理を繰り返し、位相反転前に予め
定めたx周期分の方形波を発生すると(ステップS9の
YES)、ステップS10に進んでCPUの出力ポート
OをLレベルにするとともに1/4周期タイマをスター
トさせ、かつ送信開始フラグFに0をセットするととも
に周期カウンタCをクリアしてから、1/4周期の時間
が経過して1/4周期タイマがタイムアウトになるのを
待つ(ステップS11)。
【0063】その後1/4周期の時間が経過して1/4
周期タイマがタイムアウトになると(ステップS11の
YES)、次にステップS12に進んでCPUの出力ポ
ートOをHレベルにするとともに1/4周期タイマをス
タートさせ、1/2周期タイマがタイムアウトになるの
を待つ(ステップS13)。その後1/4周期タイマが
タイムアウトになる(ステップS13のYES)ことに
よって、方形波の位相反転処理が完了する。その後、上
述したステップS4に戻ってステップS4〜ステップS
7の処理を行って位相反転後の1周期分の方形波の発生
処理を行い、1周期分の方形波を発生し終わるとステッ
プS8に進む。
【0064】ステップS8においては、送信開始フラグ
Fに1がセットされているかどうかによって、発生して
いる方形波が送信開始から位相反転前のものであるかど
うかを判断するが、上述したように、位相反転前のx周
期の方形波の発生を終わりステップS10において送信
開始フラグFに0がセットされているので、ステップS
8の判定はNOになるので、ステップS14に進む。
【0065】ステップS14においては、周期カウンタ
Cの計数値が位相反転後に発生すべき周期数yになって
いるかどうかを判定し、位相反転後にy周期の方形波を
発生していないとき(ステップS14のNO)には、ス
テップS4に戻って上述したステップS4〜ステップS
7の処理を繰り返し、さらに1周期の方形波を発生す
る。ステップS4〜ステップS7の1周期分の方形波を
発生する処理を繰り返し、位相反転後に予め定めたy周
期分の方形波を発生すると(ステップS14のYE
S)、ステップSに進んで出力ポートOをLレベルにす
るとともに周期カウンタCをクリアしてから、上述した
ステップS1に戻って1送信信号分の方形波の発生を終
了し、次の送信信号の発生タイミングを待つ。
【0066】以上フローチャートに基づいて説明したこ
とから明らかなように、演算制御部3を構成しているμ
COMのCPUは、予め定めた位置に対応する1/4周
期のタイミングで位相を反転した一定周期の方形波を発
生する方形波発生手段として働いている。
【0067】上述した実施の形態では、ゼロクロス点に
おいて位相を反転した正弦波からなる送信信号を発生す
るために、1/4周期のタイミングで位相を反転した一
定周期の方形波を発生し、これを正弦波に変換するよう
にしているが、正弦波に変換したときゼロクロス点て位
相反転するような波形の方形波は、簡単な回路使用し、
しかも周期管理によって任意の周期のものを自在にかつ
高精度に形成できる。このことによって、正弦波発生回
路の発生する正弦波にゼロクロス点で直接に位相反転を
挿入する場合のように、発生した正弦波をサンプリング
してゼロクロス点を常時監視するような、電源消費が多
く、しかもコスト高になる高速複雑なファームウエアや
複雑な回路の使用も必要なくなる。
【0068】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、予め定め
た位置に位相を反転したマーカの挿入されている送信信
号によって発生された超音波を受信して発生する検出信
号中の位相反転部分を検出し、送信信号に挿入したマー
カの送信タイミングから検出信号から検出した位相反転
部分の受信タイミングまでの時間を伝搬時間として計測
するようにしていて、ノイズが重畳しても影響を受ける
ことなく、位相反転部分を確実に検出することができる
ので、小流量での超音波伝搬時間の計測を安定して正確
に行うことを可能にし、低流量時から高流量時にわたる
広範な伝搬時間を精度よく計測することができる伝搬時
間計測方法が得られる。ひいては、この伝搬時間計測方
法を超音波流量計に用いることにより精度の高い流量計
測を行うことが可能となる。
【0069】請求項2記載の発明によれば、予め定めた
位置に位相を反転したマーカの挿入されている送信信号
によって発生された超音波を受信して発生する検出信号
中の位相反転部分を検出し、送信信号に挿入したマーカ
の送信タイミングから、検出信号から検出した位相反転
部分の受信タイミングまでの時間を伝搬時間として計測
するようにしていて、ノイズが重畳しても影響を受ける
ことなく、位相反転部分を確実に検出することができる
ので、小流量での超音波伝搬時間の計測を安定して正確
に行うことを可能にし、低流量時から高流量時にわたる
広範な伝搬時間を精度よく計測することができる伝搬時
間計測装置が得られる。更に、この伝搬時間計測装置を
超音波流量計に用いることにより精度の高い流量計測を
行うことが可能となる。
【0070】請求項3記載の発明によれば、請求項2に
記載の発明の作用に加えて、検出信号をアナログ−デジ
タル変換して記録した1周期前の検出デジタルデータと
検出デジタルデータとを順次乗算して乗算デジタルデー
タを出力し、乗算デジタルデータの極性の反転を検出し
たとき、記録されている検出デジタルデータによって得
た曲線又は一定の正弦波による近似により曲線のゼロク
ロス点を位相反転部分の第1の補正点として算出し、超
音波の発生から反転検出手段による極性の反転の検出ま
での時間を、算出した第1の補正点によって補正して伝
搬時間を計測するようにしていて、ノイズが重畳しても
影響を受けることなく、位相反転部分の検出をより正確
にかつ簡単に行うことができるので、安定して精度の高
い伝搬時間計測を行うことが可能となり、ひいては、伝
搬時間計測装置を超音波流量計に用いることにより精度
の高い流量計測を行うことが可能となる。
【0071】請求項4記載の発明によれば、請求項3に
記載の発明の作用に加えて、検出デジタルデータにより
算出した振幅に基づいて、送信電力を可変するととも
に、検出デジタルデータの値を調整するようにしてい
て、記録されている検出デジタルデータによって得られ
る曲線による近似が常に一定して、位相反転部分の第1
の補正点として求められる曲線のゼロクロス点が一定す
るようになるので、安定して精度の高い伝搬時間計測を
行うことが可能となり、精度の高い流量計測を行うこと
が可能となる。
【0072】請求項5記載の発明によれば、請求項2記
載の発明の作用に加えて、記録されている検出デジタル
データによって得た曲線又は一定の正弦波による近似に
より曲線のゼロクロス点を位相反転部分の第1の補正点
として算出するか、極性の反転を検出した乗算デジタル
データと直前の乗算デジタルデータとによる直線近似に
より直線のゼロクロス点を位相反転部分の第2の補正点
として算出するようになっていおり、超音波の発生から
極性の反転の検出までの時間を、第1の補正点によって
補正して第1の伝搬時間、又は第2の補正点によって補
正して第2の伝搬時間を計測するようにしていて、ノイ
ズが重畳しても影響を受けることなく、位相反転部分の
検出をより正確にかつ簡単に行うことができるので、安
定して精度の高い伝搬時間計測を行うことが可能となる
伝搬時間計測装置が得られ、ひいてはこの伝搬時間計測
装置を超音波流量計に用いることにより精度の高い流量
計測を行うことが可能となる。
【0073】請求項6記載の発明によれば、請求項3〜
5記載の発明の作用に加えて、送信信号がゼロクロス点
において位相反転された2つのマーカが挿入された予め
定めた波形の周期信号であり、この2つのマーカの各々
を検出して得られる第1の位相反転検出信号によって検
出デジタルデータのサンプリング周期を短くし、第2の
位相反転検出信号に応じて求められる第1又は第2の補
正点がより正確に求められ、位相反転部分の検出をより
正確にかつ簡単に行うことができるので、安定して正確
な計測が行え、高精度の流量計測を行うことが可能とな
る。
【0074】請求項7記載の発明によれば、請求項3〜
6記載の発明の作用に加えて、方形波の周期を管理する
ことによって、予め定めた位置に対応するタイミングで
位相反転した方形波を簡単に発生することができ、また
この発生した方形波を正弦波に変換することによって、
ゼロクロス点において位相反転された正弦波を送信信号
として確実に発生することができるので、予め定めた位
置に位相を反転したマーカの挿入されている送信信号を
発生するに当たって、大きな電力消費を伴う動作を必要
としなくなるとともに、簡単な回路やファームウエアの
使用によって低コストで高精度の流量計測を行うことが
可能となる。
【0075】請求項8記載の発明によれば、予め定めた
位置に位相を反転したマーカの挿入された送信信号によ
り発生した超音波を受信して発生する検出信号中の位相
反転部分を検出し、送信信号に挿入したマーカの送信タ
イミングから、検出信号から検出した位相反転部分の受
信タイミングまでの時間を第1及び第2の伝搬時間とし
て計測し、第1及び第2の伝搬時間の差によって流体管
路に流れる流体の流速を求め、計測した流速に流体管路
の断面積と定数を乗じて流量を求めるようにしていて、
ノイズが重畳しても影響を受けることなく安定して正確
に求められた第1及び第2の伝搬時間の差によってより
正確に流量を計測することができるので、小流量の流体
流量の計測を安定して正確に行うことを可能にした超音
波式流量計が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波式流量計の一実施の形態を
示す図である。
【図2】デジタル周波数シンセサイザの発生する階段状
の送信信号とLPFを通過した後の送信信号とを示す波
形図である。
【図3】特定の送信信号に対応する検出デジタルデー
タ、調整後の検出デジタルデータ、及び乗算デジタルデ
ータを示す図である。
【図4】図1中のμCOMのCPUが行う処理を示すフ
ローチャートである。
【図5】図1中の送信信号発生手段であるデジタル周波
数シンセサイザの代替構成を示すブロック図である。。
【図6】図1中の送信信号発生手段の他の代替構成を示
すブロック図である。
【図7】図6の構成によって送信信号を発生する原理を
説明するための波形図であるである。
【図8】図6の構成によって送信信号を発生するために
利用する方形波を発生するため、図1中のμCOMのC
PUが行う方形波発生処理を示すフローチャートであ
る。
【図9】従来例の概要構成ブロック図である。
【図10】流量検出の原理説明図である。
【図11】従来例の伝搬時間計測装置の構成例を示す図
である。
【符号の説明】
TD1、TD2 音響トランスジューサ 2 送信信号発生手段(デジタル周波
数シンセサイザ) 2d 方形波−正弦波変換手段(方形波
−正弦波変換回路) 31 受信信号処理手段、第1の補正点
算出手段、第2の補正点算出手段、振幅算出手段、方形
波発生手段、流速計測手段、流量演算手段(CPU) 4 切換手段(送信電力調整部) 7 A/D変換手段(A/D変換器) 8 記録手段(サイクリングRAM) 9 乗算手段(乗算器) 11 反転検出手段(検出回路) 12 計時手段(カウンタ回路)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体管路に流体の流れ方向に一定距離離
    間して対向するように配置した一対の音響トランスジュ
    ーサの一方を送信側、他方を受信側として使用し、送信
    側音響トランスジューサの発生する超音波が受信側音響
    トランスジューサに到達するまでの時間を伝搬時間とし
    て計測するようにした伝搬時間計測方法において、 予め定めた位置に位相を反転したマーカの挿入されてい
    る送信信号により前記送信側音響トランスジューサを駆
    動して超音波を発生させ、 前記送信側音響トランスジューサからの超音波を受信し
    て前記受信側音響トランスジューサが発生する検出信号
    中の位相反転部分を検出し、 前記送信信号に挿入したマーカの送信タイミングから前
    記検出信号から検出した位相反転部分の受信タイミング
    までの時間を前記伝搬時間として計測するようにしたこ
    とを特徴とする伝搬時間計測方法。
  2. 【請求項2】 流体管路に流体の流れ方向に一定距離離
    間して対向するように配置した一対の音響トランスジュ
    ーサと、該一対の音響トランスジューサの一方を送信側
    とし、該送信側音響トランスジューサを駆動して超音波
    を発生させる送信信号を発生する送信信号発生手段と、
    前記一対の音響トランスジューサの他方を受信側とし、
    該受信側音響トランスジューサが前記送信側音響トラン
    スジューサからの超音波を受信して発生する検出信号を
    受信処理する受信信号処理手段と、前記送信信号と前記
    検出信号とに基づいて、前記送信側音響トランスジュー
    サによる超音波の発生から受信側音響トランスジューサ
    に超音波が到達するまでの時間を伝搬時間として計測す
    る計時手段とを備える伝搬時間計測装置において、 前記送信信号発生手段は、予め定めた位置に位相を反転
    したマーカの挿入されている送信信号を発生し、 前記受信信号処理手段は、前記送信側超音波トランスジ
    ューサからの超音波を受信して前記受信側超音波トラン
    スジューサが発生する検出信号中の位相反転部分を検出
    し、 前記計時手段は、前記送信信号に挿入したマーカの送信
    タイミングから前記検出信号から検出した位相反転部分
    の受信タイミングまでの時間を前記伝搬時間として計測
    することを特徴とする伝搬時間計測装置。
  3. 【請求項3】 前記送信信号発生手段の発生する送信信
    号がゼロクロス点において位相反転された予め定めた波
    形の周期信号であり、 前記受信信号処理手段が、前記受信側音響トランスジュ
    ーサからの検出信号をアナログ−デジタル変換して検出
    デジタルデータを出力するA/D変換手段と、該A/D
    変換手段からの検出デジタルデータを1周期別に記録す
    る記録手段と、該記録手段に記録された1周期前の検出
    デジタルデータと前記A/D変換手段からの検出デジタ
    ルデータとを順次乗算して乗算デジタルデータを出力す
    る乗算手段と、該乗算手段からの乗算デジタルデータの
    極性の反転を検出する反転検出手段と、前記記録手段に
    記録されている検出デジタルデータによって得た曲線又
    は一定の正弦波による近似により曲線のゼロクロス点を
    位相反転部分の第1の補正点として算出する第1の補正
    点算出手段とを有し、 前記計時手段は、前記送信側音響トランスジューサによ
    る超音波の発生から前記反転検出手段による極性の反転
    の検出までの時間を計時し、該計時した時間を前記第1
    の補正点算出手段により算出した第1の補正点によって
    補正して伝搬時間を計測することを特徴とする請求項2
    記載の伝搬時間計測装置。
  4. 【請求項4】 前記送信信号発生手段が送信信号の送信
    電力を予め定めた設定データにより可変可能であり、 前記A/D変換手段が検出デジタルデータの値を予め定
    めた調整率で調整可能であり、 前記受信信号処理手段が、前記記録手段に記録されてい
    る検出デジタルデータに基づいて検出デジタルデータの
    振幅を算出する振幅算出手段を有し、 該振幅算出手段によって算出した振幅に基づいて、前記
    送信信号発生手段の送信電力を可変する設定データと、
    前記A/D変換手段の調整率とを設定することを特徴と
    する請求項3記載の伝搬時間計測装置。
  5. 【請求項5】 前記送信信号発生手段の発生する送信信
    号がゼロクロス点において位相反転された予め定めた波
    形の周期信号であり、 前記受信信号処理手段が、前記受信側音響トランスジュ
    ーサからの検出信号をアナログ−デジタル変換して検出
    デジタルデータを出力するA/D変換手段と、該A/D
    変換手段からの検出デジタルデータを1周期別に記録す
    る記録手段と、該記録手段に記録された1周期前の検出
    デジタルデータと前記A/D変換手段からの検出デジタ
    ルデータとを順次乗算して乗算デジタルデータを出力す
    る乗算手段と、該乗算手段からの乗算デジタルデータの
    極性の反転を検出して位相反転検出信号を出力する反転
    検出手段と、前記記録手段に記録されている検出デジタ
    ルデータによって得た曲線又は一定の正弦波による近似
    により曲線のゼロクロス点を位相反転部分の第1の補正
    点として算出する第1の補正点算出手段、又は前記反転
    検出手段により極性の反転を検出した乗算デジタルデー
    タと直前の乗算デジタルデータとによる直線近似により
    直線のゼロクロス点を位相反転部分の第2の補正点とし
    て算出する第2の補正点算出手段の少なくとも一方とを
    有し、 前記計時手段は、前記送信側音響トランスジューサによ
    る超音波の発生から前記反転検出手段からの位相反転検
    出信号の出力までの時間を計時し、該計時した時間を前
    記第1の補正点算出手段により算出した第1の補正点に
    よって補正して第1の伝搬時間、又は前記第2の補正点
    算出手段により算出した第2の補正点によって補正して
    第2の伝搬時間の少なくとも一方を計測することを特徴
    とする請求項2記載の伝搬時間計測装置。
  6. 【請求項6】 前記送信信号発生手段の発生する送信信
    号がゼロクロス点において位相反転された2つのマーカ
    が挿入された予め定めた波形の周期信号であり、 前記反転検出手段は前記2つのマーカの各々を検出して
    第1及び第2の位相反転検出信号を出力し、 前記A/D変換手段が前記反転検出手段からの第1の位
    相反転検出信号によって検出デジタルデータのサンプリ
    ング周期を短くすることを特徴とする請求項3〜5の何
    れかに記載の伝搬時間計測装置。
  7. 【請求項7】 前記送信信号発生手段は、前記予め定め
    た位置に対応する1/4周期のタイミングで位相を反転
    した一定周期の方形波を発生する方形波発生手段と、該
    方形波発生手段の発生する方形波を正弦波に変換する方
    形波−正弦波変換手段とを有し、該方形波−正弦波変換
    手段が前記ゼロクロス点において位相反転された正弦波
    を前記送信信号として出力することを特徴とする請求項
    3〜6の何れかに記載の伝搬時間計測装置。
  8. 【請求項8】 流体管路に流体の流れ方向に一定距離離
    間して対向するように配置した一対の音響トランスジュ
    ーサと、該一対の音響トランスジューサの一方を送信側
    又は送信側に、他方を受信側又は送信側となるように交
    互に切り換える切換手段と、該切換手段によって送信側
    に切り換えられた前記送信側音響トランスジューサを駆
    動して超音波を発生させる送信信号を発生する送信信号
    発生手段と、前記切換手段によって受信側に切り換えら
    れた前記受信側音響トランスジューサが前記送信側音響
    トランスジューサからの超音波を受信して発生する検出
    信号を受信処理する受信信号処理手段と、前記送信信号
    と前記検出信号とに基づいて、前記送信側音響トランス
    ジューサによる超音波の発生から受信側音響トランスジ
    ューサに超音波が到達するまでの2つの時間を第1及び
    第2の伝搬時間として計測する計時手段と、該計時手段
    によって計測した前記第1及び第2の伝搬時間の差によ
    って前記流体管路に流れる流体の流速を求める流速計測
    手段と、該流速計測手段により計測した流速に流体管路
    の断面積と定数を乗じて流量を求める流量演算手段とを
    備える超音波式流量計において、 前記送信信号発生手段は、予め定めた位置に位相を反転
    したマーカの挿入されている送信信号を発生し、 前記受信信号処理手段は、前記送信側超音波トランスジ
    ューサからの超音波を受信して前記受信側超音波トラン
    スジューサが発生する検出信号中の位相反転部分を検出
    し、 前記計時手段は、前記送信信号に挿入したマーカの送信
    タイミングから前記検出信号から検出した位相反転部分
    の受信タイミングまでの時間を前記伝搬時間として計測
    することを特徴とする超音波式流量計。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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