JP3651110B2 - 超音波流速計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波を用いて、気体や液体の流速を求める超音波流速計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波流速計は、図9に示すように、測定経路101に設置した第一の超音波プローブ102と、第一の超音波プローブ102を駆動する発振回路103と、発振回路103の発振周波数を設定する周波数設定部104と、発振回路103の発振開始信号を送ると同時にタイマー105をスタートさせる制御部106と、第一の超音波プローブ102の上流あるいは下流に設置し第一の超音波プローブ102の発した超音波を受信する第二の超音波プローブ107と、第二の超音波プローブ107の受信信号と基準電圧108を比較し大小関係が反転したときタイマー105をストップさせる比較器109からなり、タイマー105の計測時間より被測定流体の流速を測定ように構成されている。
【0003】
そして上記超音波流速計は制御部106からのスタート信号によって、発振回路103は周波数設定部104によって設定された動作周波数により一定時間発振を行い、超音波送信子を駆動する。超音波振動子から発せられた超音波は被測定流体中を伝搬し時間t経過後に第二の超音波プローブ107によって検出される。検出された受信信号を比較器109において基準電圧108と比較し、基準電圧108と受信信号との電圧の関係が反転したときにストップ信号をタイマー105におくり、タイマー105をストップさせる。この時のタイマー105の時間出力値tを次式に代入することにより被測定流体の流速を求める(音波送受信器間の流れ方向の有効距離をL、音速をc、被測定流体の流速をv、aは受信信号を受けてから比較器7の出力が反転するまでの遅れ時間、第一の超音波プローブから第二の超音波プローブへの方向を正とする)。これを式で表すと次式のようになる。
【0004】
v=(L/(t−a))−c
また、第一の超音波プローブ102と第二の超音波プローブ107を切り替え、上流から下流また逆に下流から上流への伝搬時間を測定し、次式により速度vを求める方法もある(上流から下流への伝搬時間t1、下流から上流への伝搬時間t2とする)。
【0005】
v=L/2(1/t1−1/t2)+a
この方法によれば温度の変化による音速の変化の影響を受けずに流体の速度を測定することが出来るので流速などの測定に広く利用されている。
【0006】
そして第一の超音波プローブ102の共振周波数fr(以後frと記す)が温度や個体のばらつき等の要因で変化した場合、第二の超音波プローブ107で電気信号に変換され出力される波形の立ち上がり特性が図10(B)に示すように変化する。なお、図10(A)は駆動周波数と駆動電圧−電流の関係を示した図である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では第一の超音波プローブ102の共振周波数fr(以後frと記す)が温度や個体のばらつき等の要因で変化した場合、第二の超音波プローブ107で電気信号に変換され出力される波形の立ち上がり特性が図10(B)に示すように変化する。この立ち上がり特性の変化は、駆動周波数とfrとの関係が変わるためである。このため基準電圧108と受信信号の大小関係が反転するタイミングがずれ、測定時間tが変動することとなり、正確な測定を行なうことができないという課題があった。なお、図10(A)は駆動周波数と駆動電圧−電流の関係を示した図である。
【0008】
また、比較器を二つ備え、第一の比較の出力によって第二の比較器をアクティブとし、第二の比較器の基準電圧をより波形の時間変化率が大きい0ボルト付近とし、アクティブとなった後の第二の比較器の出力でタイマーをストップする構成としているものもある。この構成では受信波形のより時間変化率の大きなタイミングでタイマーストップ時間を検知する事が出来るが、前記した理由により、第一の比較器によるタイミング判定で検知タイミングの変動が起こると言う課題があった。
【0009】
本発明は上記課題を解決するもので、正確な時間測定を実現することによって、精度が良く、温度などの変動要因に影響を受けない超音波流速計実現することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波流速計においては、第一の超音波プローブへ駆動周波数を出力する発振回路の出力周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、発振回路の発振開始信号を送る制御部と、第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧とを比較する比較器と、発振開始信号によってスタートし比較器の出力によってストップするタイマーとを備え、前記周波数コントロール手段は第一の超音波プローブの共振周波数の変化量に対応して発振回路の発振周波数をコントロールし共振周波数と駆動周との差を一定になるようにしたものである。
【0011】
この本発明によれば、共振周波数と駆動周波数との差を常に一定として測定を行っているので、受信波形の立ち上がりが安定し、高精度の超音波流速計を実現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は上記目的を達成するため流体の流れる測定経路に設置した第一の超音波プローブと、前記超音波振動子を駆動する発振回路と、前記発振回路の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送ると同時にタイマーをスタートさせる制御部と、前記第一の超音波プローブの上流あるいは下流に設置し前記第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧を比較し大小関係が反転したときに前記タイマーをストップさせる比較器を設けたものである。
【0013】
また周波数コントロール手段は超音波プローブの共振周波数と駆動周波数の比を一定としたものである。
【0014】
また、周波数コントロール手段に温度検知手段とデータ変換テーブルを設けたものである。
【0015】
さらに、流速ゼロ判定器と、温度検知手段にタイマーから得られる時間情報を温度に変換する温度変換器設けたものである。
【0016】
さらにまた、流体の流れる測定経路に設置した第一の超音波プローブと、前記第一の超音波プローブを駆動する発振回路と、前記発振回路の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送ると同時にタイマーをスタートさせる制御部と、前記第一の超音波プローブの上流あるいは下流に設置し前記第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧を比較し大小関係が反転したときに前記タイマーをストップさせる比較器と、第一の超音波プローブと第二の超音波プローブを切換える切換手段を設けたものである。
【0017】
そしてまた、流体の流れる測定経路に設置した第一の超音波プローブと、前記超音波振動子を駆動する発振回路と、前記超音波振動子の駆動電圧波形と駆動電流波形を検知し位相差を出力する駆動検知回路と、前記発振回路の発振周波数を前記駆動検知回路の出力に基づいてコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送ると同時にタイマーをスタートさせる制御部と、前記第一の超音波プローブの上流あるいは下流に設置し前記第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧を比較し大小関係が反転したときに前記タイマーをストップさせる比較器を設けたものである。
【0018】
そしてさらに、流体の流れる測定経路に設置した圧電振動子と、前記圧電振動子を駆動する発振回路と、前記圧電振動子に取り付けられ駆動電流と同位相の信号を出力するセンサ電極と、前記センサ電極の出力と前記圧電振動子の駆動電圧を比較し位相関係に応じた値を周波数コントロール手段に出力する位相比較器と、前記発振回路の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送ると同時にタイマーをスタートさせる制御部と、前記圧電振動子の上流あるいは下流に設置し前記圧電振動子の発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧を比較し大小関係が反転したときに前記タイマーをストップさせる比較器を設けたものである。
【0019】
本発明は上記構成によって、第一の超音波プローブのfrと駆動周波数の関係がほぼ一定となるよう前記周波数コントロール手段が周波数をコントロールするので、温度や第一の超音波プローブの個体ばらつきによってfrが変わっても、駆動周波数との関係が変わらず、受信信号の立ち上がり波形はほぼ同じとなる。このため第一の超音波プローブから超音波を発してから比較器によって受信タイミングを判定するまでの経過時間がほぼ一定となる。
【0020】
また第一の超音波プローブのfrと駆動周波数の比が一定となるよう前記周波数コントロール手段が周波数をコントロールするので、温度や第一の超音波プローブの個体ばらつきによってfrが変わっても、駆動周波数との関係が変わらず、受信信号の立ち上がり波形はほぼ同じとなる。このため第一の超音波プローブから超音波を発してから比較器によって受信タイミングを判定するまでの経過時間がほぼ一定となる。
【0021】
また、温度検知手段から得た温度情報を、予め温度とfrの関係を設定したデータ変換テーブルのデータと照合し、駆動周波数とfrの関係が常に一定となるように駆動周波数をコントロールする。
【0022】
さらに、流速ゼロ判定器により流速ゼロを判定した場合、タイマーの出力値と被測定流体の温度は相関があり、超音波プローブの温度はほぼ被測定流体の温度に等しいので、タイマーの出力値を基に音速データ変換テーブルから超音波プローブのfrとほぼ一定の関係の駆動周波数求めることができるようになる。
【0023】
また、切換手段によって送受信の方向を切り換え、上流方向と下流方向への超音波の伝搬時間を測定し同一時間となったとき、流速ゼロを判定するようになる。
【0024】
また、図Aに示すように、超音波プローブの駆動電流と駆動電圧の位相の関係は、fr付近で駆動周波数の変化に対応して90度変化している。そこで位相を一定にすることによって、frとの関係をほぼ一定とすることが出来る。そこで、駆動検知回路によって、第一の超音波プローブの駆動電圧と駆動電流の位相を比較し、一定となるように駆動周波数を周波数コントロール手段によってコントロールしているので、第一の超音波プローブのfrと駆動周波数の関係は一定となる。
【0025】
また、圧電振動子に取り付けたセンサ電極は駆動電流と同位相の信号を出力する。よって、前記センサ電極の出力と前記圧電振動子の駆動電圧を比較し位相関係が一定となるよう前記周波数コントロール手段が周波数をコントロールするので、圧電振動子のfrと駆動周波数の関係がほぼ一定となる。
【0026】
以下本発明の第1の実施例を図1を参照して説明する。
(実施例)
流体の流れる測定経路1に設置した第一の超音波プローブ2と、第一の超音波プローブ2を駆動する発振回路3と、発振回路3の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段4と、発振回路3の発振開始信号を送ると同時にタイマー5をスタートさせる制御部6と、第一の超音波プローブ2の上流あるいは下流に設置し第一の超音波プローブ2の発した超音波を受信する第二の超音波プローブ7と、第二の超音波プローブ7の受信信号と基準電圧8を比較し大小関係が反転したときにタイマー5をストップさせる比較器9を備え、周波数コントロール手段4が測定経路1の中に設置した温度検知手段であるサーミスタ10とサーミスタ10の出力を受け発振器3に周波数設定信号を出力するデータ変換テーブル11からなる構成とした。
【0027】
上記構成において、制御部5からのスタート信号によって、発振回路3は周波数コントロール手段4によって設定した動作周波数により一定時間発振を行い、超音波送信子を駆動する。超音波振動子から発せられた超音波は被測定流体中を伝搬し時間t経過後に第二の超音波プローブ7によって検出される。検出された受信信号を、比較器9において基準電圧8と比較し基準電圧8と受信信号との電圧の関係が反転したときにストップ信号をタイマー5におくり、タイマー5をストップさせる。この時のタイマー5の時間出力値tを次式<v=(L/(t−a))−c>に代入することにより被測定流体の流速を求める(音波送受信器間の流れ方向の有効距離をL、音速をc、被測定流体の流速をv、aは受信信号を受けてから比較器9の出力が反転するまでの遅れ時間である)。
【0028】
サーミスタ10は測定経路1の中に設置しているので、被測定流体の温度を測定している。また、第一の超音波プローブ2は被測定流体中に設置しているので、被測定流体とおおよそ同じ温度となっている。そのため、サーミスタ10の測定している温度は第一の超音波プローブ2の温度に等しい。
【0029】
ここで、圧電セラミックを用いた超音波プローブのfrは温度によって図2のように変化する。本発明では、サーミスタ10によって第一の超音波プローブ2の温度を検知し、その温度情報を受けたデータ変換テーブル11は常にfrとの関係を一定に保つ周波数設定信号に変換して発振回路3に出力し、この設定周波数によって第一の超音波プローブ2を駆動するようにしている。
【0030】
この構成をとることによって、前述した理由によって受信信号の立ち上がり速度を常に一定とすることができるので、正確な測定を行うことができる。また、frと駆動周波数の関係を常に一定とすることによって、受信振幅の温度による変動も小さくすることができる。そのため振幅の補正をする必要が無く、安定な測定器を安価に実現することができる。なお、図2ではtrと駆動周波数の関係を差が一定になる関係としているが、差が厳密に一定でなくともほぼ一定であればよい。
【0031】
なお以下に説明する実施例の図面の説明において、図1と同一番符号のものは同一物であるので、詳細な説明は省略する。
【0032】
図3は本発明の第2の実施例であり、流体の流れる測定経路1に設置した第一の超音波プローブ2と、第一の超音波プローブ2を駆動する発振回路3と、発振回路3の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段4と、発振回路3の発振開始信号を送ると同時にタイマー5をスタートさせる制御部6と、第一の超音波プローブ2の上流あるいは下流に設置し第一の超音波プローブ2の発した超音波を受信する第二の超音波プローブ7と、第二の超音波プローブ7の受信信号と基準電圧8を比較し大小関係が反転したときにタイマー5をストップさせる比較器9と測定経路1の流速がゼロを判定し音速データ変換テーブル12に出力する流速ゼロ判定器13と、タイマー5の出力によって発振回路3の発振周波数を設定する音速データ変換テーブル12を備える構成としている。
【0033】
なお、流量ゼロ判定器13は図4に示すように測定流路1の中のサーミスタ14と、測定流路1の外のサーミスタ15と、コンパレータ16と、判定電圧17によって構成している。
【0034】
図4のサーミスタ14と、サーミスタ15の中点Aの電圧をV1とする。そしてV2の設定を被測定流体の速度がゼロの時のV1の値にたいしてわずかに小さく設定しておく。この場合、流速がゼロの場合はV1>V2となり、コンパレータ16の出力はHIとなる。ここで、被測定流体が流れると、サーミスタ14は熱が奪われ内部抵抗が大きくなる。サーミスタ15の熱は奪われることが無く、内部抵抗の値は変化しない。このため、V1はさがり、V1<V2と電圧の関係が反転するため、コンパレータ17の出力はLOに変化し被測定流体が流れていることがわかる。
【0035】
そこで、コンパレータ16の出力がHIの場合つまり被測定流体の速度が無い場合の超音波の伝搬時間Tは、
T=L/C、C=D+E×温度(C:音速、D・E:被測定流体固有の定数)
(1気圧の空気の場合 C=331.5+0.6×温度)
となる。被測定流体の温度とTは上式に示すに示す相関がある。つまり被測定流体の流速ゼロの時の伝搬時間Tと超音波プローブ2のfrは相関がある。この相関をもとにをコンパレータ16の出力がHIのときの伝搬時間Tの情報によって超音波プローブ2のfrと駆動周波数との関係を一定とするように音速データ変換テーブル12は周波数設定出力を更新する。このため被測定流体の流速がゼロとなるたびに駆動周波数は更新されほぼfrとの関係を一定に保つことができる。
【0036】
この構成では、超音波プローブのfrを推定するのに伝搬時間Tを用いている。そのため正確な温度測定器は必要が無い。また、流速ゼロの判定は簡単な構成で実現することができるので、高精度の流速測定器を安価に実現することができる。
【0037】
図5は本発明の第3の実施例であり、流体の流れる測定経路1に設置した第一の超音波プローブ2と、第一の超音波プローブ2を駆動する発振回路3と、発振回路3の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段4と、発振回路3の発振開始信号を送ると同時にタイマー5をスタートさせる制御部6と、第一の超音波プローブ2の上流あるいは下流に設置し第一の超音波プローブ2の発した超音波を受信する第二の超音波プローブ7と、第二の超音波プローブ7の受信信号と基準電圧8を比較し大小関係が反転したときにタイマー5をストップさせる比較器9と、第一の超音波プローブ2と第二の超音波プローブ7を切換える切換手段18からなり、前記タイマー5の計測時間より被測定流体の流速を測定する構成とし、制御部6からの切り換え信号を受けた切換手段18によって超音波プローブの送受信の方向を切り換え、上流方向と下流方向への超音波の伝搬時間を測定する。この両方向への伝搬時間情報を制御部6で受けとり比較を行う。比較を行った結果同一時間であると判断したとき、つまり被測定流体の速度がゼロであるとき制御部6はこのときの伝搬時間情報を周波数コントロール手段4へ出力する。周波数コントロール手段4には伝搬時間情報によって超音波プローブのfrとの関係を一定に保つ駆動周波数を設定してあり、その周波数設定信号を発振回路3へ出力し超音波プローブを駆動する。
【0038】
この構成によれば、被測定流体の流速がゼロであることを判断するために、上流と下流方向への超音波の伝搬時間が同一であるかどうかを比較しているので、他のセンサー等の方法によって判断する場合と比較して、余分な構成が少なくてすみ、安価な超音波流速計を実現することが出来る。
【0039】
図6は本発明の第4の実施例であり、流体の流れる測定経路1に設置した第一の超音波プローブ2と、超音波プローブ2を駆動する発振回路3と、超音波プローブ2の駆動電圧波形と駆動電流波形を観測しこの2波形の位相差に応じた位相差信号を出力する駆動検知回路4と、発振回路3の駆動周波数を駆動検知回路19の出力に基づいてコントロールする周波数コントロール手段4と、発振回路2の発振開始信号を送ると同時にタイマー5をスタートさせる制御部6と、第一の超音波プローブ2の上流あるいは下流に設置し第一の超音波プローブ2の発した超音波を受信する第二の超音波プローブ7と、第二の超音波プローブ7の受信信号と基準電圧8を比較し大小関係が反転したときにタイマー5をストップさせる比較器9からなり、タイマー5の計測時間より被測定流体の流速を測定する構成とし、駆動検知回路19の出力がほぼ一定となるよう周波数コントロール手段4が周波数をコントロールするようになっている。
【0040】
図7はfr付近の周波数における、駆動電圧に対する駆動電流の位相の変化を示したものである。超音波プローブの構成によって、この特性は若干変るが、同一の超音波プローブであれば変化はない。つまり、frと駆動電流と駆動電圧の位相差の関係は変わることがない。そこで本発明の構成によると、超音波プローブ2の駆動電流と駆動電圧の位相差を一定に保って駆動しているので、駆動周波数とfrは常に一定の関係で超音波プローブ2を駆動することとなり、受信波形の立ち上がり特性が安定するので、精度のよい超音波流速計を実現することが出来る。
【0041】
図8は本発明の第5の実施例を示した図であり、流体の流れる測定経路1に設置した圧電振動子2と、圧電振動子2を駆動する発振回路3と、圧電振動子2に取り付けられ駆動電流とほぼ同位相の信号を出力するセンサ電極20と、センサ電極20の出力と圧電振動子2の駆動電圧を比較し位相関係に応じた信号を周波数コントロール手段4に出力する位相比較器21と、発振回路3の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段4と、発振回路3の発振開始信号を送ると同時にタイマー5をスタートさせる制御部6と、圧電振動子2の上流あるいは下流に設置し圧電振動子2の発した超音波を受信する第二の超音波プローブ7と、第二の超音波プローブ7の受信信号と基準電圧8を比較し大小関係が反転したときにタイマー5をストップさせる比較器9からなり、タイマー5の計測時間より被測定流体の流速を測定する構成としている。また、位相比較器21の出力がほぼ一定となるよう周波数コントロール手段4が周波数をコントロールする構成としている。
【0042】
この構成によると、センサ電極20の出力信号と圧電振動子2の位相差を一定に保って駆動しているので、駆動周波数とfrは常に一定の関係で圧電振動子2を駆動することとなり、受信波形の立ち上がり特性が安定するので、精度のよい超音波流速計を実現することが出来る。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の超音波流速計は、共振周波数と駆動周波数との差を常に一定として測定を行っているので、受信波形の立ち上がりが安定するため、誤差の少ない時間計測をすることができるので、精度のよい超音波流速計を実現することが出来るという効果がある。
【0044】
第一の超音波プローブの共振周波数frと駆動周波数fとの関係をしめす(f−fr)/frの値がほぼ一定となるように発振回路の発振周波数をコントロールするので、超音波プローブを一定した動作点で駆動する事ができ、受信波形の立ち上がりが安定するため、誤差の少ない時間計測をすることができるので、精度のよい超音波流速計を実現することが出来るという効果がある。
【0045】
また、超音波プローブの共振周波数推定のため超音波プローブの温度求めているが、直接超音波プローブの温度を測定せず被測定流体の温度を測定し超音波プローブの温度を求めているので、簡単な構成で超音波プローブ設置の容易性を損なうことなく共振周波数と駆動周波数の関係を常に一定とすることが出来、構成の簡単な精度のよい超音波流速計を実現することが出来るという効果がある。
【0046】
さらに超音波プローブの共振周波数を推定するのに伝搬時間Tを用いているので正確な温度温度検知手段は必要がなく、流速ゼロの判定は簡単な構成で実現することができる。そのため高精度の流速測定器を安価に実現することができるという効果がある。
【0047】
さらにまた、被測定流体の流速がゼロであることを判断するために、上流と下流方向への超音波の伝搬時間が同一であるかどうかを比較しているので、他のセンサー等の方法によって判断する場合と比較して、余分な構成が要らず、設置が容易で安価な超音波流速計を実現することが出来る。という効果がある。
【0048】
そして、駆動検知回路により直接素子の駆動状態を検知しているので、ここの部品のバラ付きなどにも対応し、精度良く共振周波数と駆動周波数との関係一定に保つことが出来き、受信波形の立ち上がり特性がより安定するので、精度のよい超音波流速計を実現することが出来るという効果がある。
【0049】
そしてさらに、センサ電極から周波数の追従信号を取り出しているので、信号を取り出すための回路を組むことなく、の出力信号と圧電振動子の位相差を一定に保って駆動しているので、信頼性が高く精度のよい超音波流速計を簡単な構成で実現することが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における超音波流量計の全体ブロック図
【図2】同流量部の超音波プローブの共振周波数と温度の関係を示す特性図
【図3】本発明の第2の実施例における超音波流量計の全体ブロック図
【図4】同流量計の流量ゼロ判定器の回路図
【図5】本発明の第3の実施例における超音波流量計の全体ブロック図
【図6】本発明の第4の実施例における超音波流量計の全体ブロック図
【図7】超音波プローブの共振周波数と、駆動電圧−電流の位相差の関係を示した図
【図8】本発明の第5の実施例における超音波流量計の全体ブロック図
【図9】従来の超音波流量計のブロック図
【図10】(A)同流速計における駆動周波数と位相関係の図
(B)同流速計における受信波形の図
【符号の説明】
1 測定経路
2 第一の超音波プローブ
3 発振回路
4 周波数コントロール手段
5 タイマー
6 制御部
7 第2の超音波プローブ
8 基準電圧
9 比較器
10 温度検知手段
13 流速判定器
18 切換回路
19 駆動検知回路
20 センサ電極
21 位相比較器

Claims (7)

  1. 測定経路に設置した第一の超音波プローブと、前記第一の超音波プローブへ駆動周波数を出力する発振回路と、前記発振回路の出力周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送る制御部と、前記第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧とを比較する比較器と、前記発振開始信号によってスタートし前記比較器の出力によってストップするタイマーとを備え、前記周波数コントロール手段は前記第一の超音波プローブの共振周波数の変化量に対応して前記発振回路の発振周波数をコントロールし前記共振周波数と前記駆動周波数との差を一定になるようにした超音波流速計。
  2. 測定経路に設置した第一の超音波プローブと、前記第一の超音波プローブへ駆動周波数を出力する発振回路と、前記発振回路の出力周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送る制御部と、前記第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧とを比較する比較器と、前記発振開始信号によってスタートし前記比較器の出力によってストップするタイマーとを備え、周波数コントロール手段は超音波プローブの共振周波数と駆動周波数の比を一定とする超音波流速計。
  3. 第一の超音波プローブの温度を測定する温度検知手段を備えた請求項1または2記載の超音波流速計。
  4. 測定経路に設置した第一の超音波プローブと、前記第一の超音波プローブを駆動する発振回路と、前記発振回路の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送る制御部と、前記第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧を比較する比較器と、前記発振開始信号によってスタートし前記比較器の出力によってストップするタイマーと、流速ゼロを判定する流速判定器とを備え、前記周波数コントロール手段は前記流速判定器の出力と前記タイマーの出力に基づき前記発振回路の発振周波数をコントロールする超音波流速計。
  5. 測定経路に設置した第一の超音波プローブと、前記第一の超音波プローブを駆動する発振回路と、前記発振回路の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送る制御部と、前記第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧を比較する比較器と、前記発振開始信号によってスタートし前記比較器の出力によってストップするタイマーと、前記第一の超音波プローブと前記第二の超音波プローブの接続先を相互に切換える切換手段を備え、周波数コントロール手段は上流方向と下流方向への超音波の伝搬時間が同一時間となったときの超音波の伝播時間から発振周波数をコントロールする超音波流速計。
  6. 測定経路に設置した第一の超音波プローブと、前記第一の超音波プローブを駆動する発振回路と、前記発振回路の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送る制御部と、前記第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧を比較する比較器と、前記発振開始信号によってスタートし前記比較器の出力によってストップするタイマーと、前記超音波振動子の駆動電圧波形と駆動電流波形の位相差に応じた信号を出力する駆動検知回路とを備え、前記周波数コントロール手段は駆動検知回路の出力をほぼ一定とする超音波流速計。
  7. 測定経路に設置した第一の超音波プローブと、前記第一の超音波プローブを駆動する発振回路と、前記発振回路の発振周波数をコントロールする周波数コントロール手段と、前記発振回路の発振開始信号を送る制御部と、前記第一の超音波プローブの発した超音波を受信する第二の超音波プローブと、前記第二の超音波プローブの受信信号と基準電圧を比較する比較器と、前記発振開始信号によってスタートし前記比較器の出力によってストップするタイマーと、前記超音波プローブに取り付けられ駆動電流と一定の関係を持った信号を出力するセンサ電極と、前記センサ電極の出力と前記圧電振動子の駆動電圧を比較し位相関係に応じた値を、周波数コントロール手段に出力する位相比較器とを備え、周波数コントロール手段によって前記位相比較器の出力をほぼ一定とする超音波流速計。
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