JP4447707B2 - フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン・ビニルエステル共重合体系のフィルムに関し、また、ヒートシール強度とイージーピール性とのバランスがとれた包装用途向けのエチレン・ビニルエステル共重合体系多層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゼリー、ミルク、ヨーグルト、プリン、とうふ、乳酸飲料等の食品包装や、ブリスター包装、その他日用品や雑貨等の包装として、ボトル、カップ、ないしトレー状のプラスチック容器をプラスチックラミネートフィルムないしアルミ箔ラミネートフィルムで覆った形態が多く採用されている。この包装形態で要求されることは、流通経路に耐える機械的な強度、衛生性の保持および使用時における開封性の良さである。
【0003】
そのような包装に使われる資材の一つとして、イージーピール性フィルムと呼ばれる範ちゅうのフィルムが、蓋材として広く利用されている。しかし、これまでのフィルムは、密封するためのヒートシール強度は高いが、開封時のイージーピール性は必ずしも十分ではなく、両者の間に適度なバランスをとることが求められている。ここでイージーピール性は、単に開封性の容易さのみならず、開封後に開封部に糸引き現象等による樹脂断片の付着残留物がなく、開封部の外観の良さをも含めた総合評価によって、その良否が判定されている。
【0004】
また、そのフィルムが食品包装用途に使用される場合には、特に油性食品を対象にする場合には、溶剤抽出量によって使用制限があるために、溶剤抽出量をできるだけ少なくすることも同時に要請されている。包装形状の設計段階で食品と包装材料との接触面積が小さくなるようにすれば、当然抽出量は減少するが、基本的にはやはり抽出量の少ない包装材料を使用することである。
【0005】
従来のイージーピール性フィルムは、ヒートシール強度とイージーピール性とを考慮して、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルムの使用が主流になっているが、より両性能のバランスを向上させ、さらに溶剤抽出量の少ないフィルムが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、包装適性に優れたフィルム、および包装性が良好なことは勿論のこと、ヒートシール強度とイージーピール性とのバランスがとれており、かつ溶剤抽出量の少ない多層フィルムの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、表面層および補強層とからなる積層体であって、この積層体を構成する材料にはエチレン・ビニルエステル共重合体(A)、ポリオレフィン(B)および粘着性付与剤(C)とが少なくとも含有されており、
(a)エチレン・ビニルエステル共重合体(A)は、そのビニルエステル含量が3〜20重量%であって、積層体中に40〜75重量%含まれており、
(b)ポリオレフィン(B)は、ポリエチレンおよび/またはエチレン・α−オレフィン共重合体であって、積層体中に15〜40重量%含まれており、
(c)粘着性付与剤(C)は、積層体中に5〜20重量%含まれている、
ことを特徴とする多層フィルムに関する。
【0008】
本発明の多層フィルムにおける前記の表面層は、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)を30〜50重量%、ポリオレフィン(B)を30〜50重量%、および粘着性付与剤(C)を15〜30重量%含有し、前記の補強層が、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)を40〜85重量%、ポリオレフィン(B)を10〜35重量%、および粘着性付与剤(C)を5〜25重量%含有している
【0009】
この積層体の好ましい形状は、表面層および補強層とからなる2層フィルムであっても、表面層/補強層/表面層なる構成を持った3層フィルムであってもよく、さらに3層以上のフィルムであってもよい。
【0010】
また表面層は、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)を30〜50重量%、ポリオレフィン(B)を30〜50重量%、および粘着性付与剤(C)を15〜30重量%含有する樹脂組成物であることが好ましく、補強層は、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)を40〜85重量%、ポリオレフィン(B)を10〜35重量%、および粘着性付与剤(C)を5〜25重量%含有する組成物であることが好ましい。
【0011】
【発明の具体的な説明】
フ ィ ル ム
本発明に係わるフィルムは、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)、ポリオレフィン(B)および粘着性付与剤(C)とを少なくとも含有するフィルムである。このフィルムは、それらの成分から構成された単層のフィルムであってもよいし、後述する多層フィルムであってもよい。
【0012】
各成分は、フィルム中に次の割合で均一に混合されている。
(a)エチレン・ビニルエステル共重合体(A)は、そのビニルエステル含量が3〜20重量%であって、全体に40〜75重量%含まれている。
(b)ポリオレフィン(B)は、ポリエチレンおよび/またはエチレン・α−オレフィン共重合体であって、全体に15〜40重量%含まれている。
(c)粘着性付与剤(C)は、全体に5〜20重量%含まれている。
【0013】
このような組成のフィルムであるので、機械的強度およびヒートシール強度が高く、また透明性に優れており、溶剤抽出量も少ないので、包装用フィルムとして利用することができる。
【0014】
積 層 体 の 構 造
本発明に係わる多層フィルムは、少なくとも表面層および補強層とからなる2層構造以上の積層体である。具体的には、表面層/補強層の構造をとる2層フィルム、表面層/補強層/表面層の構造をとる3層フィルム、さらにこれら積層体に別の層が付加した3層以上のフィルムが挙げられる。
【0015】
積層体に共通して言えることは、少なくとも一方の表面層は例えばプラスチック容器へのヒートシール面として利用可能になっており、ヒートシール強度とイージーピール性とのバランスが求められる層である。3層フィルム以上の多層フィルムが持つ他の表面層は、例えば別の蓋材へのラミネート面として使用することができる。また補強層は主にフィルムの機械的強度アップの目的で設けられる層であるが、実際には多層フィルムの溶剤抽出量を減少させる効果も有している。その補強層は、必ずしも1層とは限らず、組成の異なる2層以上に分けて形成されていてもよく、さらに、補強層の外側にポリオレフィンのみからなる樹脂層を積層してもよい。
【0016】
多層フィルムの厚さは、20〜50、好ましくは20〜40、さらに好ましくは20〜30μmで、この厚さの範囲内にあれば、可撓性があり、かつ高い機械的強度を有する包装フィルムとして使用することができる。
【0017】
また表面層と補強層との厚さの構成割合は、2層フィルムの場合には、表面層と補強層との厚み比(%)が、(表面層10〜85):(補強層15〜90)、好ましくは(表面層20〜85):(補強層15〜80)である。3層フィルムの場合には、(表面層10〜70):(補強層10〜80):(表面層10〜70)、好ましくは(表面層20〜80):(補強層20〜70):(表面層20〜80)である。各層の厚み比がこの範囲内にあると、ヒートシール強度とイージーピール性とのバランスがとれた表面層、および機械的強度の高い補強層を形成することができるし、またフィルム全体からの溶剤抽出量を少なくすることができる。
【0018】
構 成 材 料
積層体を構成する樹脂は、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)、ポリオレフィン(B)、および粘着性付与剤(C)とを少なくとも含有している。積層体全体に占めるエチレン・ビニルエステル共重合体(A)は、40〜75、好ましくは48〜70重量%、ポリオレフィン(B)は15〜40、好ましくは20〜35重量%、粘着性付与剤(C)5〜20、好ましくは8以上20未満、より好ましくは10〜17重量%である。ここで、(A)、(B)、および(C)の合計量が100重量%になっている。この組成範囲内にあると、多層フィルムにバランスのよいヒートシール強度とイージーピール性とが付与されると共に、溶剤抽出量が減少し、かつ腰のあるフィルムに成形され、各種の包装適性に優れている。
【0019】
エチレン・ビニルエステル共重合体(A)は、エチレンと、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル等のビニルエステルとの共重合体であって、共重合体中に存在するビニルエステル含量が3〜20重量%の範囲にある。ビニルエステル含量がこの範囲内にあると、ヒートシール強度とイージーピール性とのバランスを良好に保ち、かつ食品充填時に必要な耐熱性を有しているので好都合である。また、この共重合体のメルトフローレート(MFR)は、JIS 6730に準拠して測定した値が、1〜40、好ましくは1.5〜30(g/10分)であると、良好な押出性と高い機械的強度を得る上で望ましい。
【0020】
ポリオレフィン(B)は、ポリエチレンおよび/またはエチレン・α−オレフィン共重合体であって、これらの中から1種類を単独で使用しても、あるいはそれらの重合体を2種類以上組み合わせて混合使用してもよい。このポリオレフィン(B)は、樹脂組成物に耐熱性を付与し、多層フィルムを包装時の高温に耐えさせる効果がある。
【0021】
ポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリエチレン、中低圧法中・高密度ポリエチレン、チーグラー系触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、メタロセン系触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等を挙げることができる。そのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定した値が、0.5〜20、好ましくは1〜10(g/10分)である。
【0022】
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと、5〜50、好ましくは8〜40モル%のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンの例としては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜20のα−オレフィンを挙げることができ、これらα−オレフィンは単独で用いられていても、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。中でも、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。この共重合体は、非晶性ないし低結晶性の重合体であって、密度が0.85〜0.90(g/cm3)であり、ASTM D−1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.2〜30(g/10分)であることが好ましい。
【0023】
粘着性付与剤(C)としては、プラスチックやゴムに配合される一般の粘着性付与剤が使用でき、例えば、脂肪族系、脂環族系、あるいは芳香族系の炭化水素系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂等を挙げることができ、これらの中でも特に炭化水素系樹脂が好ましい。これら粘着性付与剤を配合することによって、樹脂組成物に高いヒートシール強度を付与することができる。
【0024】
また樹脂中には、必要に応じて酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤等の添加剤を本発明の目的からはずれない範囲内で配合することができる。特に、アンチブロッキング剤、スリップ剤を配合することによって、押出加工時、ラミネート加工時、包装作業時等における加工性や作業性を向上させることができる。
【0025】
アンチブロッキング剤としては、シリカ、タルク、クレー、ゼオライト等の無機質粉末を挙げることができる。スリップ剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミド;ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸など脂肪酸のメチレンビスアミドやエチレンビスアミドなどの脂肪酸ビスアミド;ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;水添ひまし油;脂肪酸金属塩等をあげることができる。これらアンチブロッキング剤やスリップ剤は、樹脂中に1000〜2000ppmの量で配合することが好ましい。
【0026】
各層の樹脂組成
表面層および補強層を構成する各材料は、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)、ポリオレフィン(B)、粘着性付与剤(C)、必要に応じてアンチブロッキング剤、スリップ剤、その他の添加剤を配合して樹脂組成物を形成し、それからフィルム成形に供せられる。
【0027】
表面層を構成する樹脂は、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)が30〜50、好ましくは35〜45重量%、ポリオレフィン(B)が30〜50、好ましくは35〜45重量%、粘着性付与剤が15〜30、好ましくは17〜25重量%から構成される組成物であって、各成分がこの範囲内にあるとヒートシール強度とイージーピール性とのバランスがとれ、かつ溶剤抽出量をできるだけ少ない量にコントロールすることができる。
【0028】
補強層を構成する樹脂には、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)が40〜85、好ましくは50〜80重量%、ポリオレフィン(B)が10〜35、好ましくは12〜30重量%、粘着性付与剤が5〜25、好ましくは7〜20重量%が含有されており、この範囲内にあると機械的強度および耐熱性に優れた層を形成することができる。補強層を2層以上に構成する場合には、この樹脂組成の範囲内で各層の組成を変えることが好ましい。
【0029】
一方、この積層体に使われるエチレン・ビニルエステル共重合体(A)中のビニルエステル含量は、前述したように3〜20重量%の範囲にあるが、ビニルエステル含量の異なる2種類以上のエチレン・ビニルエステル共重合体を準備し、それらの特性の違いを利用して表面層と補強層とに別々のエチレン・ビニルエステル共重合体を使用することもできる。例えば、ビニルエステル含量の小さなエチレン・ビニルエステル共重合体を表面層に用いて、ヒートシール強度とイージーピール性とのバランスを一層高め、ビニルエステル含量の大きなエチレン・ビニルエステル共重合体を補強層に用いて、機械的な強度を持たせ、積層体全体として溶剤抽出量のより少ないフィルムを得ることができる。また、表面層にビニルエステル含量の少ないエチレン・ビニルエステル共重合体を主体的に含む層を配置し、表面層から遠ざかるにつれてビニルエステル含量の多いエチレン・ビニルエステル共重合体を主体的に含む層を積層していくと、ヒートシール性とイージーピール性とのバランスがとり易く、高い機械的強度および少ない溶剤抽出量が達成され易くなるので好適である。
【0030】
表面層および補強層を形成する各樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、JIS 6730に準拠して測定した値が1〜40、好ましくは1.5〜30(g/10分)の範囲にあることが押出成形性を良好にし、高い機械的強度を得る上で好ましい。特に、補強層を形成する樹脂組成物の密度およびMFRよりも、表面層を形成する樹脂組成物の密度が大きく、MFRが小さいと、多層フィルムの腰が高くなり、フィルム成形性が向上する。
【0031】
アンチブロッキング剤およびスリップ剤は、表面層および補強層のいずれか一方または両方に配合してもよいが、表面層のみへの配合によっても一層高いブロッキング防止効果を得ることができる。その際、表面層への配合量は、通常の単層フィルムへの配合量よりも少なくてすみ、アンチブロッキング剤を3000〜5000ppm、スリップ剤を1000〜2000ppm配合することで十分であって、本発明の一つの特徴になっている。それによって、成形機ダイに付着する目やにの発生量を少なくし、冷却ロールの汚れを少なくすることができるので成形作業上好ましく、また配合量を少なくできたことによって透明性の高いフィルムを得ることができる。
【0032】
このような樹脂組成物は、ヘンシェルミキサー、押出機、バンバリミキサー、ニーダー、プラベンダー等のミキサーを用いて均一混合し、必要に応じて混練り操作を加えてより一層均一な組成物を得ることができる。
【0033】
多層フィルムの製法
多層フィルムの成形は、表面層を形成するフィルムおよび補強層を形成するフィルムを予め別々に製造してからドライラミネーションによって積層体とすることもできるし、予め形成した補強層を形成するフィルム上に、表面層を形成する樹脂組成物を押出ラミネーションすることによって積層体を製造することもできる。あるいは、予め形成した表面層を形成するフィルム上に、補強層を形成する樹脂組成物を押出ラミネーションすることによって積層体を製造することもできる。
【0034】
より好ましい多層フィルムの成形は、表面層および補強層を共押出成形法によって共押出フィルムとして一挙に成形する方法である。すなわち、表面層を形成する樹脂組成物および補強層を形成する樹脂組成物を各々別々の押出機に供給し、Tダイ方式あるいはインフレーション方式のフィルム成形機先端に取り付けた共押出ダイから両溶融樹脂組成物を2層以上の積層体として押出し、冷却し、引き取る方法である。
【0035】
このようにして製造された多層フィルムは、食品、医薬、医療器具等の各種包装用フィルムとして利用することができる。特に、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等で形成されたボトル、カップ、トレー等の食品包装用硬質容器に対する蓋材として好適に使用することができる。この際、多層フィルムの表面層側を前記容器の開口部周辺にヒートシールによって接着させ、容器の密封が行われる。包装形態上あるいは使用時の要請から、多層フィルムの補強層の外側に、場合によっては他方の表面層の外側に、アルミ箔等の金属層や他の樹脂層をラミネート加工して使用することもできる。
【0036】
【実施例】
次に本発明を実施例を通して説明するが、本発明はそれら実施例によって限定されるものではない。
【0037】
なお、本実施例で使用した原料は次の通りである。
(1)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA−1):
酢酸ビニル含量10重量%
(2)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA−2):
三井・デュポンポリケミカル(株)製品(商品名P−1405C)
酢酸ビニル含量14重量%、密度0.93(g/cm3
MFR3.5(g/10分)、融点90℃
(3)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA−3):
三井・デュポンポリケミカル(株)製品(商品名V−5714)
酢酸ビニル含量16重量%、MFR3.0(g/10分)
【0038】
(4)エチレン・1−ブテン共重合体(EBR):
三井化学(株)製品(商品名タフマー)
1−ブテン含量10重量%、密度0.88(g/cm3
MFR4.0(g/10分)
(5)脂肪族系炭化水素樹脂(C):
荒川化学(株)製品(商品名アルコン)
環球法軟化点115℃
(6)エルカ酸アミド:
日本油脂(株)製品(商品名アルフローP−10)
高級脂肪酸モノアミド型滑剤
融点78〜85℃
(7)シリカ:
米国マンビル社製品(商品名セライト;スパーフロス)
天然無機質添加剤
平均粒径2〜4μm
【0039】
次に、前記の原料を用いて4種類の樹脂組成物(D)、(E)、(F)および(G)を製造した。各樹脂組成物の組成および物性を表1に記した。
【表1】
Figure 0004447707
【0040】
(実施例1〜4)(比較例2)
表面層形成樹脂として表1に記載した樹脂組成物(D)、(F)および(G)を表2に記載した割合でドライブレンドして用い、一方補強層形成樹脂として樹脂組成物(D)および(E)を表2に記載した割合でドライブレンドして用いた。各樹脂を別々の押出機に供給し、Tダイ法によって表面層/補強層/表面層なる構成の3層共押出フィルムを得た。フィルムの総厚は30μmで、厚み比は表面層:補強層:表面層=2:6:2であった。得られたフィルムの物性を測定し、その結果を表3に記した。
【0041】
(実施例5〜8)(比較例3)
表面層形成樹脂として表1に記載した樹脂組成物(D)、(F)および(G)を表2に記載した割合でドライブレンドして用い、一方補強層形成樹脂として樹脂組成物(D)および(E)を表2に記載した割合でドライブレンドして用いた。各樹脂を別々の押出機に供給し、Tダイ法によって表面層/補強層なる構成の2層共押出フィルムを得た。フィルムの総厚は30μmで、厚み比は表面層:補強層=2:6であった。得られたフィルムの物性を測定し、その結果を表3に記した。
【0042】
(比較例1)
樹脂組成物(D)、(F)および(G)を表2に記載した割合でドライブレンドしてから押出機に供給し、Tダイ法によって厚さ30μmの単層フィルムを成形した。得られたフィルムの物性を測定し、その結果を表3に記した。
【0043】
なお、試験方法は次の通りである。
(1)ヒートシール性:
延伸された厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)と、各実施例および比較例で得られたフィルムとを重ね、厚さ20μmの高圧法低密度ポリエチレンを用い、押出ラミネーション法によって積層体を製造した。なお、各実施例および比較例で得られたフィルム面を表
面層側とした。
【0044】
ヒートシーラーを使用して、積層体の表面層側と厚さ300μmのポリプロピレンシート(PP)または厚さ300μmのポリスチレンシート(PS)とをヒートシールし、そのシール強度を測定した。なお、シール条件は、温度を160、180、200℃の3点に変え、圧力0.2MPa、時間1秒で行った。
【0045】
その結果、ヒートシール性を次の通りに判定した。
◎:十分なシール強度が得られると共に、剥離面もきれいであった。○:シール強度は許容範囲内であるが、やや小さく、剥離面はきれいであった。
△:シール強度は小さく、部分的に層剥離による糸引きが起こっていた。
×:シール強度は小さくかつバラツキがあり、層剥離による糸引きが多く起こっていた。
【0046】
(2)溶剤抽出性:
外部公的機関に依頼して、「食品、添加物等の規格基準第三器具及び容器包装Dの2の(1)およびDの2の(2)の3」に基づいて測定した。使用温度は100℃以下で、表面層(ヒートシール面)片面抽出法によった。なお、溶出試験における蒸発残量をppm単位で示した。
【0047】
(3)ヘイズ:
JIS 7105に準拠し、フィルムを4枚重ねた状態で、東洋製作所製の直読式ヘイズメータを用いて測定した。
(4)スリップ性:
傾斜式スリップ測定器を使用して、表面層同士のスベリ性を測定した。(5)降伏点強度:
JIS 7127に準拠し、フィルムの長軸方向(MD)の強度を測定した。
【0048】
(6)加工性:
フィルム成形時における目やにの発生量を、うす茶〜茶色に呈したTダイ先端付着物の発生量、およびその目やにに起因するフィルム表面に発生する筋の有無を総合して評価した。
◎:目やにも筋の発生もなかった。
○:目やにはわずかに発見できたが、筋の発生はなかった。
△:目やにが部分的に薄茶色で点在し、その箇所に薄い筋が発生していた。
×:目やにが部分的に茶色になって発生しており、その箇所で筋の発生がはっきりと確認できた。
また、Tダイより押出された溶融樹脂を冷却するキャスティングロールの汚れ具合を比較し、ロール汚れを評価した。
◎:ほとんど汚れはなかった。
○:ほんのわずかに汚れが見えた。
△:実用上は問題がない程度の白い汚れがあった。
×:白く汚れていた。
【0049】
【表2】
Figure 0004447707
【0050】
【表3】
Figure 0004447707
【0051】
【発明の効果】
本発明に係わるフィルムは、機械的強度およびヒートシール強度が高く、また透明性に優れ、かつ溶剤抽出量が少ないことから包装用フィルムとして利用することができる。
【0052】
また、本発明に係わる多層フィルムは、積層体を構成するエチレン・ビニルエステル共重合体(A)、ポリオレフィン(B)、および粘着性付与剤(C)とが特定の割合で混合された組成物になっているので、高いヒートシール強度を維持しつつイージーピール性をも保持すると言う、互いに相矛盾する物性を満たしている。また、この多層フィルムにはエチレン・ビニルエステル共重合体(A)に加えてポリオレフィン(B)を含有しているので、耐熱性があり、包装時の加熱にも耐えることができ、高温充填時におけるヒートシール部からの破損を防止することができる。
【0053】
さらに、油性食品に接した場合を想定したフィルム成分からの油溶物質の移行についても、多層フィルムの溶剤抽出量を小さくすることができたので、衛生性を保持させることができた。従って、この多層フィルムは、油性および脂肪性食品の容器蓋材として好適に利用することができる。
【0054】
さらに、この多層フィルムは、少量のアンチブロッキング剤およびスリップ剤を表面層に配合することで、フィルムのブロッキングを十分に防止することができ、また成形機ダイに付着する目やにの発生量を少なくし、冷却ロールの汚れを少なくすることができる。また、この多層フィルムを他の材料とラミネート加工する場合にも、加工機のロール汚れを少なくすることができる。従って、この多層フィルムは、成形加工作業性を良好にし、透明性の高いフィルムにすることができる。

Claims (7)

  1. 表面層および補強層とからなる積層体であって、この積層体を構成する材料にはエチレン・ビニルエステル共重合体(A)、ポリオレフィン(B)および粘着性付与剤(C)とが少なくとも含有されており、
    (a)エチレン・ビニルエステル共重合体(A)は、そのビニルエステル含量が3〜20重量%であって、積層体中に40〜75重量%含まれており、
    (b)ポリオレフィン(B)は、ポリエチレンおよび/またはエチレン・α−オレフィン共重合体であって、積層体中に15〜40重量%含まれており、
    (c)粘着性付与剤(C)は、積層体中に5〜20重量%含まれており、
    前記の表面層が、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)を30〜50重量%、ポリオレフィン(B)を30〜50重量%、および粘着性付与剤(C)を15〜30重量%含有し、前記の補強層が、エチレン・ビニルエステル共重合体(A)を40〜85重量%、ポリオレフィン(B)を10〜35重量%、および粘着性付与剤(C)を5〜25重量%含有していることを特徴とする多層フィルム。
  2. 前記の積層体が、表面層および補強層とからなる2層フィルムであることを特徴とする請求項に記載の多層フィルム。
  3. 前記の2層フィルムの厚さが20〜50μmであり、表面層と補強層との厚み比(%)が(10〜85):(15〜90)であることを特徴とする請求項に記載の多層フィルム。
  4. 前記の積層体が、表面層/補強層/表面層とからなる3層フィルムであることを特徴とする請求項に記載の多層フィルム。
  5. 前記の3層フィルムの厚さが20〜50μmであり、各層の厚み比(%)が、(表面層10〜70):(補強層10〜80):(表面層10〜70)であることを特徴とする請求項に記載の多層フィルム。
  6. 前記のエチレン・α−オレフィン共重合体が、エチレン・プロピレン共重合体またはエチレン・1−ブテン共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  7. 前記の粘着性付与剤(C)が、脂肪族系、脂環族系、および芳香族系の炭化水素系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、およびスチレン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
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