JP4447608B2 - 抽出方法及びその装置 - Google Patents
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Description
2.本発明の方法及び装置は常温で抽出することで、漢方薬或いは植物中の有効成分を破壊させることなく完全に保留することができる。特に熱に対して敏感性が強く、酸化分解して破壊しやすい成分の抽出に適している。また、原料のもともとの味を保つことができ、従来の漢方薬の煎じる製法或いは水抽出、アルコール抽出の加熱還流法で調製し得た漢方薬が炭化されることによって苦味を招く可能性がある点を解決し、よって実際の利用において重要な価値を有している。
3.本発明の方法及び装置は、水を溶剤としており、従来方法における脱アルコール工程或いは超臨界流体抽出方法における流体と分離するステップをなくすことができる。これは生産手順を減少させ、コストを節約するだけでなく、水溶剤が漢方薬或いは植物に対していかなる化学変化を発生させず、漢方薬或いは植物の活性成分が破壊されないということを充分に保証できるものである。
4.本発明の方法及び装置は、水を溶剤として採用しており、超臨界CO 2と比較して、水の溶解度が超臨界CO 2よりもはるかに大きいため、抽出率、生産効率を向上させ、実際の生産において、大きな先進性を有している。
5.本発明の方法及び装置は、水を溶剤として採用しており、超臨界CO 2と比較して、全抽出工程において高圧空気圧縮機の稼動を必要とせず、生産コストを節約できる。しかも水は圧縮不可であるため、水の高圧処理は、気体に対する圧縮よりもはるかにしやすく、エネルギー消耗は従来技術の数十分の1にすぎず、全生産技術はさらに操作しやすい。
6.本発明の方法及び装置は、水を溶剤として採用しており、超臨界CO 2の抽出方法と比較して、気体が高圧である状況において何れ一定の危険性があるため、本発明の方法は安全性においてより高い信頼性を有している。
7.本発明の方法の生産技術は簡単であり、操作しやすく、労働力と大量の有機溶剤を節約し、三廃汚染を減少させる。しかも本発明の装置は、ストックの装入、入水、抽出、濃縮が一体化しており、GMP基準の実施に有利であるだけでなく、体積が小さく、抽出缶の容積は約140Lであるが、従来の生産技術における1トン缶の生産量に相当する。
8.本発明の方法及び装置は、高圧で臨界抽出するため、抗酸化、殺菌作用をも有し、製品の品質を保証し向上させるのに有利である。一般的に、製品を抽出缶から出すとき、基本的にはすでに完成品とすることができ、後続する簡単な濃縮、乾燥工程だけで済む。
9.本発明の方法及び装置は、水を溶剤として採用しているが、非線形振動と臨界高圧抽出を利用して、原料中の水溶性及び脂溶性の成分を抽出することができる。従って漢方薬(植物薬及び動物薬)及び植物を含む複数種の原料、ひいては本発明を使用して抽出するに適するいかなる物質に対して抽出することができる。
10.本発明の方法と装置を用いる抽出は、有機溶剤を使用せず、しかも常温で行うため、化学変化が発生する条件がなく、原料のほとんど全成分を抽出することができ、漢方薬の有効成分の一部分を抽出することによって害のある副作用を発生させる可能性を減少させることができる。
本実施例は、当帰の抽出を例として挙げる。薬典では当帰中のフェルラ酸の含有量を評価基準とする。フェルラ酸が脂溶性物質であるため、本発明の方法と設備を活用して関連する対照実験を行うことにより、本発明の方法が水を溶剤として、同時に水溶性と脂溶性成分を抽出することができるだけでなく、一定の抽出率を備え、薬材或いは植物の利用率を向上させることが可能であるという点を充分に説明できる。
実施例1で残留した薬かすに対し、抽出缶に再度常温水溶液15kgを加え、2回目の抽出を行った。圧力を30MPaに保ち、抽出温度を妥当な30℃まで上げ、1時間抽出し、得た抽出液は、淡いだいだい色のやや透明がかった乳化液で、その比重は1.000である。液体に苦味はなく、当帰のもともとのすがすがしい香りを保ち、沈殿もほとんどない。2週間放置した後も依然として乳化状態を保ち、新しく沈殿析出したものはない。これは当帰抽出液の性能が充分安定していることを説明している。
当帰の粗粉(実施例1の当帰粗粉と同じロット)5kgを量り、常温で12時間浸し、抽出缶に投入し、その後、常温水溶液約15kgを加えた。抽出条件は表1のとおりである。
表1:
中国薬典2000版の第一部付録VIDにおいて提供されているHPLCに基づいて検出した。
フェルラ酸対照品0773−9910(中国薬品生物製品検出所が提供)
フェルラ酸対照品0.0050gを精密に量り、メチルアルコールを加え、1mlごとに10μgのフェルラ酸対照品を含んだ溶液を精製した。次に、対照品溶液10μlを精密に吸い取り、クロマトグラフ(STD−10Avp、日本島津公司)に注入して測定を行い、フェルラ酸対照クロマトグラムを得た。図10で示すように、縦座標は時間(分)であり、フェルラ酸は30分前後にピークに達していることを説明している。
実施例1で抽出して得た抽出液15mlを精密に吸い取り、栓錐形の瓶に入れ、90%メチルアルコール溶液−塩酸(100:1)の混合溶液10mlを精細に加え、重量を測り、30分間超音波処理を行い、室温まで温度を下げてから、再度重量を測り、減少した重量分を上記混合液で補充し、濾過して濾液を取得した。10μlの濾液を精密に吸い取り、高効率液相クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを得た。図11で示すように、クロマトグラフのデータ処理機により、生薬1kgあたりフェルラ酸0.1803gが含有されていることを算出した。
実施例2で抽出して得た抽出液を取り、上記2)記載のようにフェルラ酸含有量検出工程を行い、図12のように液体クロマトグラフを得た。最終的に生薬1kgあたりフェルラ酸0.0577gが含有されていることが算出された。実施例1の抽出液検出結果と比較し、本発明の方法では、1回目に抽出した後、すでに薬液中のフェルラ酸の大部分が抽出されたことを説明している。
当帰粗粉(実施例1の当帰粗粉と同一ロット)600gを量り、それの6倍量の70%のエタノールで加熱還流して2度抽出した。1回目は4倍量で、2回目は2倍量であり、共に2時間かけ、濾過し、濾液をあわせ、濾液からエタノールを回収し、1000mlまで濃縮した(即ち1ml抽出液あたりは0.6gの当帰かけらに相当)。得た液体は、深い茶褐色でやや透明がかっており、苦味を有し、多少沈殿している。
実施例1で本発明の方法を用いて抽出した後残留した薬かす1.35kgを量り(乾燥薬材600gに相当)、温水で洗った後、70%のエタノールを1800ml加え、2時間で加熱還流して抽出して、濾過し、濾液からエタノールを回収して1000mlまで濃縮した(即ち1ml抽出液あたりは0.6gの当帰かけらに相当)。得た液体は、淡い黄色でやや透明であり、多少沈殿した。
1)比較例1の抽出液におけるフェルラ酸含有量の検出
比較例1で得た還流抽出液をとり、実施例4中の2)記載のように検出工程を行い、図13のように液体クロマトグラムを得た。最終的に生薬1kgに含有されるフェルラ酸は0.4952gであることを算出した。
該比較例におけるフェルラ酸含有量は、本発明の方法で得たフェルラ酸よりも高いが、当帰中の有機成分は、フェルラ酸以外にフェルラ酸ナトリウム、フェルラ酸エステルなど十数種類の成分もある。エタノール抽出方法を採用した場合フェルラ酸含有量が高かったという原因は、フェルラ酸エステル類が脂肪分を除去してフェルラ酸を生成したことで、原料成分を変化させたからである。本発明の方法は、水を用いて溶剤としているため、基本的に原料成分を変化させず、また成分の生物活性を破壊しない。該比較例は、従来のエタノール抽出方法によって原料成分が変化することを実質的に説明している。それに対し本発明の方法は全成分を抽出し、成分活性を変化させず、また化学的変化を発生させないものである。
2)比較例2の抽出液におけるフェルラ酸含有量の検出
比較例2から得た抽出液を1ml精密に吸い取り、純水14mlを加え、それからの検出過程は実施例4中の2)記載のように行い、図14のように液体クロマトグラムを得た。
5 抽出缶
7 原料ポンプ
8 原料液缶
10 トップリッド
18 シーリングバルブ
N1 ベントホール
N2 コンダクター接続ホール
Claims (19)
- 原料を粉砕して浸漬し、圧力25MPa−35MPa、周波数18KHz−33KHzの範囲における複数の異なる周波数による振動を付与する非線形振動のもと、水を溶剤とし、0℃−50℃の温度条件で抽出を行うと、原料活性成分を含有する抽出液を得ることが可能なステップを含むことを特徴とする抽出方法。
- 前記抽出温度は、20℃−50℃であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記抽出時間は、1−3時間であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記原料と水溶剤の質量比が1:3−5であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記原料は、漢方薬あるいは植物であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記抽出液を、包装するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の抽出方法。
- 前記抽出液を、濃縮、乾燥処理するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の抽出方法。
- 缶体と上蓋と、缶体と上蓋を密封する密封構造と、缶体に水を入力し抽出液を出力する導管継手とを有する抽出缶を備える抽出装置であって、前記抽出装置は、抽出缶とつながり、抽出缶内の圧力を100Mpa以下の原料の活性成分を含有する抽出液を得ることができる所定値まで上げて保つようにする高圧ポンプと、抽出缶内部に設けられた、原料缶と18KHz−33KHzの範囲内の複数の異なる周波数による振動を付与する非線形振動装置と、前記上蓋に設けられた、1つの通気口と1つの導体接続孔と、前記抽出缶へ水を入力するための導管継手と繋がる水供給システムと、抽出液を出力するための導管継手を介して前記抽出缶とが接続する原料ポンプと原料液缶とを備え、前記通気口が1つのシーリングバルブと接続され、前記非線形振動装置が導体接続孔を介して前記抽出缶の外部電源とつながることを特徴とする抽出装置。
- 前記非線形振動装置は、複数の異なる周波数による振動を付与する非線形振動を発することのできる一連の複数の振動器からなり、隣接する振動器の軸線は相互に異なる面に垂直して、前記非線形振動器は、球面状の出力曲面を有する2つの端頭部を有し、その2つの端頭部間には、外部に絶縁層を有する振動板が設けられ、導体が振動板と抽出缶の外部電源と接続することを特徴とする請求項8記載の抽出装置。
- 前記原料缶は、円筒形のブラケットであり、その外側はフィルターバッグでくるまれ、ブラケットのトップ端部の中央に前記非線形振動装置を吊りかけるためのつりかぎを設けることを特徴とする請求項8または9記載の抽出装置。
- 前記密封構造は、締め付け金具と、缶体と上蓋間に位置するシーリングワッシャーとで構成され、前記缶体外側には抽出缶内の液体を循環させる循環ポンプをも設けることを特徴とする請求項8あるいは9記載の抽出装置。
- 前記抽出缶の外部には、抽出缶内の温度を20℃−50℃にする温度コントロール装置をも有することを特徴とする請求項8または9記載の抽出装置。
- 前記温度コントロール装置は、抽出缶の外部に設けられた保温加熱層であることを特徴とする請求項12記載の抽出装置。
- 前記水供給システムは、水処理器及び抽出缶に液体を入力する水ポンプを有することを特徴とする請求項8あるいは9記載の抽出装置。
- 前記抽出缶は、抽出液を出力するための導管継手を介して原料ポンプと原料液缶と接続することを特徴とする請求項8あるいは9記載の抽出装置。
- 前記循環ポンプはマグネットポンプであることを特徴とする請求項11記載の抽出装置。
- 前記上蓋におけるシーリングバルブは、空気圧縮機と繋がることを特徴とする請求項8あるいは9記載の抽出装置。
- 前記原料液缶と接続する濃縮システムを更に有することを特徴とする請求項8記載の抽出装置。
- 前記濃縮システムは、トップ部に設けられた空気濾過器と、中央部の霧化室と、霧化室の下方に位置するガスコレクター室及び排気機と、霧化室の中に設置した複数の超音波発生器と、霧化室の側壁に設けた、抽出液を入力するための液体入口と濃縮液を排出するための液体出口とからなる、超音波霧化装置であることを特徴とする請求項18記載の抽出装置。
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