JP4447205B2 - 超音波式流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波を利用してガス、水などの流体の流量を計測する超音波式流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の超音波式流量計は、図5に示すように、仕切板1により区切られた多層状の流路2よりなる流量測定部3と、前記流量測定部3を挟んで配置された第一の超音波振動子と第二の超音波振動子と、前記超音波振動子の信号を基に流量を算出する流量演算部から構成されているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、4は上流側接続部、5は下流側接続部、6は上流側接続部に接続された入口部、7は下流側接続部に接続された出口部である。
【0004】
上記構成において、多層状の流路2に流体を二次元的に流して、精度の高い流量計測を実現しようとしていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−43015号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来技術では、上流側接続部4が拡大流路形状となっているため、各流路2に均等に流れが入りにくく、超音波で流路全体を計測したときに、その流速分布の影響が現れ、計測精度を低下させるという課題があった。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するもので高精度の流量計測を可能にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、仕切板を介して複数の分割流路に分割して構成した多層流路の上流側に長手方向に一定断面の助走流路を形成した流路と、前記助走流路の先端が突出状態で臨み、流入流体が迂回して前記助走流路に流れ込むようにした上流室と、前記多層流路に配置され、同多層流路を流れる流体を斜めに横切るように超音波が伝播するようにした1対の超音波送受信手段と、前記超音波送受信手段による超音波の伝搬時間に基づいて流量を検出する流量検出手段とを備え、前記助走流路は、断面長方形の矩形状であって、その長さをL、その短片の高さをHとしたとき、L>Hの関係に設定したものである。
【0009】
上記によれば、助走流路内で流速分布が均等になり、層状の各流路へ流入する流量も均等化されるので、精度の高い計測を実現することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、仕切板を介して複数の分割流路に分割して構成した多層流路の上流側に長手方向に一定断面の助走流路を形成した流路と、前記助走流路の先端が突出状態で臨み、流入流体が迂回して前記助走流路に流れ込むようにした上流室と、前記多層流路に配置され、同多層流路を流れる流体を斜めに横切るように超音波が伝播するようにした1対の超音波送受信手段と、前記超音波送受信手段による超音波の伝搬時間に基づいて流量を検出する流量検出手段とを備え、前記助走流路は、断面長方形の矩形状であって、その長さをL、その短片の高さをHとしたとき、L>Hの関係に設定したものである。
【0011】
このように整流作用を発揮する助走流路を設けるとともに、助走流路の先端を上流室に対して突出状態で臨ませ、流入流体が迂回して助走流路に流れ込むようにし、加えて、L>Hの関係に設定したので、助走流路内で流速分布が均等になり、層状の各流路へ流入する流量も均等化されるので、精度の高い計測を実現することができる。
【0012】
そして、望ましくは、流路にごみなどが付着して計測精度を低下させる要因をなくすために、望ましくは、多層流路の少なくとも一部路面を非粘着性材料で表面処理しておく。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0014】
(実施例1)
図1、2において、断面長方形をなす矩形の流路8は、その長辺対向方向を複数の仕切板9を介して多数の分割通路10に分割することで多層流路11を構成している。本実施例では4層構造のものを示す。
【0015】
そして、これら多層流路11の上流側と下流側には一定断面の助走流路12、13が繋がっている。
【0016】
14、15はそれぞれ曲り部16、17を有し、しかも上記流路8とともにU字形状をなす上流室と下流室で、先の助走流路12、13の各先端が突出状態で位置しているものである。
【0017】
ここで、18、19は折返し板、20、21は各分割通路10に臨むごとく配置した一対の超音波振動子からなる超音波送受信手段で、超音波が流体の流れ方向を斜めに横切るごとく、流路8の相対向する短辺側に対設してある。
【0018】
上記超音波送受信手段20、21は流路8の路壁よりを一段凹んだ窪み部22、23に位置するとともに、流路8側は金網、パンチングメタルなどからなる多孔板24、25で覆われ、路壁に段差ができないようにしてある。
【0019】
一対の超音波送受信手段20、21による超音波の伝搬時間に基づいて流量検出手段26がその時々の流量を検出するものである。
【0020】
そして、仕切板9の厚みdは、超音波の波長(例えば、0.7mm)より短くなるようにしている(例えば、0.3mm)。
【0021】
また、助走流路12、13は、長さLが短辺高さHよりも長くなるように設定してある。
【0022】
上記の構成において、U字状の流路の一方から流れ込んでくる流体は、上流室14で流速が減速され、均一化されて突出した助走流路12の周辺から流入することでさらに均一した流れを実現している。
【0023】
そして、流れ方向に長い助走流路12でさらに流れがスムーズになり、多層流路11の各分割通路10に均等に分かれて流れ込むことができる。
【0024】
すなわち、助走流路12は、高さ方向よりも長さ方向に大きいので、同助走流路12の入口から角度を持って流入してきた流れも長さ方向に方向転換して修正されていくのである。
【0025】
よって、多層流路11の各分割通路10に均等に流体が流入することとなる。これら各分割通路10の均等な流れの中を超音波が伝搬することで、流れによって発生する伝搬時間を精度よく計測することができるのである。
【0026】
また、分割流路10は非常に狭い隙間(例えば、1mmから4mm、最適には2mm前後)になっており、超音波が通路高さ方向に対して全域を通過することになるので、流速分布の影響を受けずに計測することができる。
【0027】
よって、伝搬時間から流量値に換算する補正係数(流量係数とも言う。)も、小流量から大流量まで同じ値をとることができる。
【0028】
加えて、流速分布の影響を受けないので、流体の種類(例えば、空気と都市ガス13A、LPガスなど)にも関係なく、補正係数は同じ値をとることができるのである。
【0029】
そして、分割流路10が非常に狭い空間であるので、脈動流が発生した場合でも、狭い通路の不規則な流れ分布の中を超音波が通過伝搬することとなり、その結果、伝搬時間はその不規則な脈動流の影響を受けた時間となって、脈動流の流れを的確に計測することができるのである。
【0030】
さらに、多層流路11の下流側も上流側と対称な形状としているので、脈動流が発生して逆流した場合でも、同様に逆流を精度よく計測することができる。よって、脈動流の場合でも、正流、逆流とも精度の高い流量計測を行うことができる。
【0031】
例えば、ガスメータのような場合に、脈動流が発生しても正逆正しく計測することができるので、ガス流量を精度よく計測することができる。
【0032】
なお、逆流が起こり得ないものでは当然下流側の助走通路13は省略することも考えられる。
【0033】
仕切板9の厚みdは、超音波の波長よりも短くしているので、超音波の伝搬の障害になりにくく、高い信号レベルで送受信することができる。
【0034】
その結果、信号のSNがよく、超音波の送受信を精度良く行い、結果に流量計測の精度を高くして計測することができる。
【0035】
超音波送受信手段20、21が設置された多層流路11の側面には、同超音波送受信手段20、21を取り付ける窪み部22、23が形成されているが、路壁面と平行で段差がないように多孔板24、25が覆設している。
【0036】
したがって、この多孔板24、25によって、流れが窪み部22、23に侵入して乱流を起こすことがなくなり、幅広い流量範囲で精度の高い流量計測が行えるとともに、脈動流が発生しても渦の発生を抑制し、精度良く流量計測ができる。
【0037】
そして、多孔板24、25として金網を採用した場合は、メッシュサイズとして50から500の範囲(最適値としては、120から200メッシュ)に設定すれば、波長0.7mm付近の超音波周波数では、効率良く音波を透過させることができ、超音波の送受信を高い感度で行うことができ、流量計測の精度を高めることができる。
【0038】
多層流路11の仕切板9は奇数枚数(例えば、3枚)等間隔に配置されており、中央に位置する1枚が超音波送受信手段20、21における超音波送受信領域の中央に位置するようにしている。
【0039】
超音波送受信手段20、21の感度分布は、一般的に中央部が最も強いので、最も強い部分に仕切板9の1枚がくるようにして感度を分割することで、各分割通路10に均等に超音波を伝播させることができるのである。
【0040】
均等に分配された超音波によって送受信することで、各分割通路10をそれぞれ正確に計測でき、総合的にも精度の高い流量計測を実現することができるのである。
【0041】
なお、偶数枚数の仕切板9を配置したものでも、相互の間隔を調整することでそのうちの1枚を超音波送受信手段20、21における超音波送受信領域の中央に位置させることができる。
【0042】
もちろん、この場合、分割通路10には流体が二次限的に流動する要件を満足しなければならない。
【0043】
ところで、多層流路11の一部である仕切板9に非粘着性材料、例えば、テフロン(R)やフッ素を表面処理すれば、狭い隙間にごみなどの付着を防止することができ、耐久性や信頼性を向上することができるのである。
【0044】
そして、上記実施例のごとく一部ではなく分割通路10全体に表面処理を施すことも考えられる。
【0045】
なお、本実施例は、超音波流量計として説明しているが、ガスメータに利用した場合も同様の効果が得られることは明白である。
【0046】
そして、多層流路を斜めに横切るごとく超音波送受信手段を配置しているが、一回反射させたVパス方式や、多層流路を挟んで流れ方向に対向させたIパス方式にしても同様の効果が得られることは明白である。
【0047】
(実施例2)
図3において、先の実施例1と異なる点は、仕切板9を下流側に傾斜させて設置したことである。
【0048】
このように仕切板9を傾斜させることで、その上にごみなどが落ちても、傾斜と流れによって、下流側にごみが流され落ちて助走流路13を過ぎ、下流室15に落ちていくことになるので、仕切板9の多層流路内にはごみが蓄積しにくい効果がある。
【0049】
なお、下流側に傾斜させた構成で説明したが、上流側に傾斜させた場合でも、脈動流などが発生した場合には同様の効果、すなわち上流室14にごみが落ちる効果が期待できる。
【0050】
そして、U字流路の一方から流れてきたごみは、上流室14に突出した助走流路12の突出状先端部によって上流室14に落下し、多層流路11には流れ込みにくい構成にもなっていることを併せ、さらにごみなどの不純物の詰まり込みが少ない流路とすることができる。
【0051】
(実施例3)
図4において、実施例1と異なる点は、仕切板9とこれらを支持する支持板27と多孔板24、25を一体にして、流路に配置することで多層流路11を構成したことである。
【0052】
ここで、28は仕切板固定枠、29はこれら支持板27と仕切板固定枠28で仕切板9および多孔板24、25をユニット化した仕切板ユニットである。
【0053】
このように、仕切板9と支持板27と多孔板24、25を一体化にして流路に設置することで、仕切板9の平行度を精度良く取り付けることができ、計測精度を高くすることができるとともに、超音波の伝搬時間の差から流量値に換算する補正係数(流量係数とも言う。)も、個体間のばらつきを少なくすることができる。
【0054】
また、仕切板9の支持板27は、超音波の伝搬路30を遮ることがないように上流側と下流側に分けて設置することで、それら仕切板9の間隔の精度を高め、超音波の伝搬をスムーズに行うようにしている。
【0055】
そして、上下に設けることで、流路の対称性を高め、脈動流が発生した場合でも、精度の高い流量計測を実現することができる。
【0056】
さらに、仕切板ユニット29は、多層流路11の側面に埋め込むことで、流路内の出っ張りをなくし、スムーズな流れを実現することで、流量計測の精度を向上している。
【0057】
以上説明した各実施例によれば、流体を流す直管部を備えた流路壁面の窪み部に超音波の伝搬方向に仕切られた複数の分割通路を備えることによって、空気中を伝搬するので感度低下も少なく、通路を分割することによって超音波の直進性が維持され、良好な送受信を行うことができるとともに、流路側面に設けた窪み部内部の開口流路が小さく分割され、渦が発生しにくくなることと、窪み部内部への流体の流入も低減させることができ、脈動が発生しても流量を正しく計測することができるものである。
【0058】
【発明の効果】
このように本発明によれば、整流作用を発揮する助走流路を設けるとともに、助走流路の先端を上流室に対して突出状態で臨ませ、流入流体が迂回して助走流路に流れ込むようにし、加えて、L>Hの関係に設定したので、助走流路内で流速分布が均等になり、層状の各流路へ流入する流量も均等化されるので、精度の高い計測を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の超音波式流量計の縦断面図
【図2】 同装置の横断面図
【図3】 本発明の実施例2の超音波式流量計の縦断面図
【図4】 (a)本発明の実施例3の多層流路の横断面図
(b)同正断面図
【図5】 従来の超音波式流量計の流路断面図
【符号の説明】
8 流路
9 仕切板
10 分割流路
11 多層流路
12、13 助走流路
14 上流室
15 下流室
20、21 超音波送受信手段
24、25 多孔板
26 流量検出手段
Claims (2)
- 仕切板を介して複数の分割流路に分割して構成した多層流路の上流側に長手方向に一定断面の助走流路を形成した流路と、前記助走流路の先端が突出状態で臨み、流入流体が迂回して前記助走流路に流れ込むようにした上流室と、前記多層流路に配置され、同多層流路を流れる流体を斜めに横切るように超音波が伝播するようにした1対の超音波送受信手段と、前記超音波送受信手段による超音波の伝搬時間に基づいて流量を検出する流量検出手段とを備え、前記助走流路は、断面長方形の矩形状であって、その長さをL、その短片の高さをHとしたとき、L>Hの関係に設定した超音波式流量計。
- 多層流路の少なくとも一部路面を非粘着性材料で表面処理した請求項1記載の超音波式流量計。
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