JP4446363B2 - 鉄道車輛の側天井ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両の車室内天井部の幅方向端部近傍に取り付けられて使用される側天井ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両の天井部には、内装用の天井板や灯具とそのカバーが取り付けられ、また、天井板の裏側には空調ダクトなどが配置される。また、このうち、天井板は、一般に、車両幅方向中央部分の中天井板と、その両側の側天井板に分割されることが多く、これらの各天井板や灯具、灯具カバー、および空調ダクト等の各部材は、通常、それぞれが個別に車両構体やその構体に固定された受け骨等に対して取り付けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、鉄道車両における上記のような内装材の取付作業は、車両という限られた比較的狭い空間内で行う必要があるため、作業スペースの確保が難しくなって作業性が悪くなるばかりでなく、個々の部材を同時に取り付けることは実質的に不可能であることから、同じスペースで個々の部材を順次取り付けていく必要があって、取付に要する時間が長くなり、ひいては部材の取付コストが高くなるという問題があった。
【0004】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、比較的簡単な構造のもとに内装材の取付作業を容易化して、その取付コストを低減することのできる鉄道車両の側天井ユニットの提供を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の鉄道車両の側天井ユニットは、鉄道車両の幅方向端部近傍の車室内天井部に取り付けられる内装用ユニットであって、内装用の側天井板と、その側天井板の裏面側に所定の空隙を介して配置された板材とが、これらの間に介在する一対の側壁板によって相互に一体化され、その側天井板と板材および各側壁板により囲まれた空間が車両長手方向に伸びて空調ダクトを形成しているとともに、上記一対の側壁板のうちの一方の側壁板に対して空調ダクトと反対側に所定の空隙を介して外側壁板が一体化され、この外側壁板と上記一方の側壁板の間の空隙の上下は板材および側天井板によって閉じられて車両長手方向に伸びる空気だまりを形成し、かつ、その一体化構造体には、灯具および灯具カバーが一体化されているとともに、上記空気だまりは上記一方の側壁板に形成された切欠き部を介して上記空調ダクトに連通し、その空気だまりの下面の側天井板および/または外側壁板に、車室内に向けて開口する吹出口が形成されていることによって特徴付けられる(請求項1)。
【0006】
ここで、本発明においては、上記外側壁板を、上記空気だまりの壁体を形成する縦壁部と灯具カバーとを一体化した構造とし、上記灯具は上記縦壁部に取り付けられる構成(請求項2)を好適に採用することができる。
【0007】
本発明は、車両天井部に取り付ける必要のある内装材のうち、一体化可能なものをあらかじめ相互に一体化してユニット化しておくことにより、内装材の車両内での取付回数と時間を短縮して、所期の目的を達成しようとするものである。
【0008】
すなわち、内装用の側天井板の裏面側に、一対の側壁板を介して板材を固着することにより、その板材と側天井板並びに両側壁板で囲まれた空間を形成し、その空間を車両長手方向に伸びる空調ダクトとして用い、更に、一対の側壁板のうちの一方の側壁板に対して空調ダクトと反対側に所定の空隙を介して外側壁板を一体化し、この外側壁板と上記一方の側壁板の間の空隙の上下を板材および側天井板によって閉じ、その空間を車両長手方向に伸び、かつ、空調ダクトに対して連通する空気だまりとして用いることにより、簡単な構造のもとに側天井板と空調ダクトおよび空気だまりが一体化されてなる一体化構造体が得られる。そして、この一体化構造体の空気だまりの下面の側天井板および/または外側壁板に、車室内に向けて開口する吹出口を形成するとともに、更に灯具および灯具カバーを一体化することで、車室内の側天井部分の内装材はこの側天井ユニットを取り付けるだけでよく、限られた車室内での部品の取付回数が少なくなり、内装材の取付に要する時間を短縮することができる。
【0009】
また、請求項2に係る発明のように、外側壁板を、空気だまりの壁体を形成する縦壁部と灯具カバーとを一体化した構造とし、灯具はその縦壁部に取り付ける構成を採用することで、取付作業を更に簡素化することができる。
【0010】
なお、本発明の側天井ユニットの車両天井部に対する取付構造については特に限定されるものではないが、車両天井部の構体ないしは受け骨に当該ユニットを締結するための締結部材をあらかじめ仕込ませておくことが、ユニットの取付時間をより短縮することができて好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の側天井ユニットを鉄道車両の出入台に取り付けた状態を、車両の横断方向に沿って切断した部分断面図であり、図2はその側天井ユニットの拡大図である。また、図3には図2のA−A断面図を、図4には同じく図2のB−B断面図を示し、図5には図2の底面図を示す。
【0012】
本発明に係る側天井ユニット1は、車両構体2の天井部の幅方向端部近傍に取り付けられる。車両構体2の天井部には、車両長手方向に沿って伸びる複数本、例えば4本の受け骨2a,2b・・・・が固定されており、側天井ユニット1はそのうちの最も端に位置する受け骨2aと、それに隣接する受け骨2bの間に差し渡されるように固定される。
【0013】
側天井ユニット1は、内装用の側天井板11と、その裏面側に所定の空隙Gを介して配置される板材12と、側天井板11と板材12の間に介在してこれらを一体化し、かつ、上記した空隙Gの両側を閉塞する一対の側壁板13,14と、一方の側壁板13側に固着され、灯具カバー15aを兼ねる外側壁板15、およびその外側壁板15に固定された灯具16によって構成されている。一つの側天井ユニット1の車両長手方向への長さは、灯具16の車両長手方向への配設ピッチと等しい。すなわち、一つの側天井ユニット1には一つの灯具16が取り付けられる。そして、これらの各部材はあらかじめ下組みされてユニット化された状態で、車両内に持ち込まれる。
【0014】
各側壁板13,14はそれぞれ断面略コ字形をしており、空隙Gの両側を閉塞する縦壁部13a,14aと、その上下両側において略90°に屈曲する一対の屈曲部13b,13cおよび14b,14cを有し、上側の各屈曲部13b,14bに対して板材12が固着されるとともに、下側の各屈曲部13c,14cには、これらの下面を覆うように側天井板11が固着されている。
【0015】
また、受け骨2a,2bに対する側天井ユニット1の取り付けは、この例において、受け骨2a,2b側にそれぞれカーテンレール21を設けて、そのカーテンレール21により取付ボルト22の頭部をあらかじめ支持しておく一方、側天井ユニット1には、各側壁板13,14の上側の屈曲部13b,14bにそれぞれ貫通孔を形成しておき、その各貫通孔に取付ボルト22の胴部を挿入してナット23で締結することによって行われている。また、外側壁板13の上側の屈曲部13bには、中天井板3の一端部がねじ止めされている。
【0016】
外側壁板15は、側壁板13の屈曲部13b,13cの先端間を繋ぐ縦壁部15bと、その縦壁部15bの下端から斜め上方に湾曲してせり出した灯具カバー15aとが一体化されてものであり、灯具16は縦壁部15bに固着されて、灯具カバー15aによってその斜め下方が覆われた状態となる。そして、この外側壁板15は、一方の側壁板13の上側の屈曲部13bの先端部近傍に固着されている。従って、この外側壁板15の縦壁部15bと、側壁板13の縦壁部13a並びに上下の屈曲部13b,13cの間によって、断面略矩形の空隙gが形成された状態となる。なお、図2においてLはライナーである。
【0017】
以上のような側天井ユニット1を車両の長手方向に複数個連続的に取り付けることにより、車両天井部の側天井の上方には、車両長手方向に伸びる空隙Gおよびgが形成されることになり、空隙Gは空調装置(図示せず)に接続されて空調ダクト17として用いられるとともに、空隙gは以下に示すように空気だまり18として用いられる。
【0018】
側天井ユニット1の一方の側壁部13の縦壁部13aには、車両長手方向に一定のピッチで切欠き部130が形成されており、この切欠き部130によって、空調ダクト17と空気だまり18とが連通している。また、外側壁板15の縦壁部15bには、灯具17の取付位置に隣接して吹出口150が形成されており、外側壁板15の下側の屈曲部15cとそこに密着固定されている側天井板11にも、所定のピッチで吹出口110が形成されている。
【0019】
以上の構成により、空調装置から吐出された風は空調ダクト17を通って車両長手方向に誘導されるともに、切欠き部130を介して空気だまり18に導かれた後、吹出口150および110から車室内に吹き出し、乗客に対してドラフト感を与えることなく、温度調節された風を供給することができる。
【0020】
そして、以上の実施の形態においては、側天井ユニット1を車両構体2の受け骨2a,2bに対して固定するだけで、側天井板11、灯具16および灯具カバー15a、空調ダクト17、吹出口110,130を含む空気だまり18が車両に対して取り付けられることになり、これらの内装材を車両内の限られたスペースで個々に取り付けていた従来の施工方法に比して、その取付回数並びに取付所要時間を大幅に短縮化することができる。
【0021】
なお、以上の実施の形態においては、本発明に係る側天井ユニット1を鉄道車両の出入台に取り付けた例を示したが、出入台に限らず客室にも適用し得ることは勿論である。
【0022】
また、外側壁板15の構造を、縦壁部15aと、その下端から斜め上方に湾曲させて灯具カバー15bとを一体化した構造とすることは必ずしも必要ではないが、取付作業の更なる簡素化という上で有用である。
【0023】
更に、吹出口については、上記の実施の形態のように横向きの吹出口130と下向きの吹出口110の双方を設けるほか、いずれか一方としてもよい。
【0024】
更にまた、側天井ユニット1の車両に対する取り付け構造についても、上記のようにカーテンレール21とそれに頭部が支持された取付ボルト22およびナット23を用いるほか、受け骨2a,2bに対して直接的にねじ止めする等の他の公知の方法を採用し得ることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、車両構体に対して側天井ユニットを取り付けるだけで、車両天井部の端部に取り付けられるべき内装材の殆ど全て、つまり側天井板と、空調ダクト、空気だまり、灯具および灯具カバーが取り付けられた状態となり、これらの各内装材を個々に取り付ける従来の構造ないしは施工方法に比して、内装材の取付工数を大幅に削減することができ、工期を大幅に短縮化することができると同時に、内装材の取付コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る側天井ユニット1を鉄道車両の出入台に取り付けた状態を車両横断方向に沿って切断した部分断面図である。
【図2】図1における側天井ユニット1の拡大図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】図2の底面図である。
【符号の説明】
1 側天井ユニット
11 側天井板
12 板材
13,14 側壁板
13a,14a 縦壁部
13b,13c,14b,14c 屈曲部
15 外側壁板
15a 灯具カバー
15b 縦壁部
16 灯具
17 空調ダクト
18 空気だまり
110,150 吹出口
130 切欠き部
2 車両構体
2a,2b 受け骨
3 中天井板
G,g 空隙
Claims (2)
- 鉄道車両の幅方向端部近傍の車室内天井部に取り付けられる内装用ユニットであって、
内装用の側天井板と、その側天井板の裏面側に所定の空隙を介して配置された板材とが、これらの間に介在する一対の側壁板によって相互に一体化され、その側天井板と板材および各側壁板により囲まれた空間が車両長手方向に伸びて空調ダクトを形成しているとともに、上記一対の側壁板のうちの一方の側壁板に対して空調ダクトと反対側に所定の空隙を介して外側壁板が一体化され、この外側壁板と上記一方の側壁板の間の空隙の上下は板材および側天井板によって閉じられて車両長手方向に伸びる空気だまりを形成し、かつ、その一体化構造体には、灯具および灯具カバーが一体化されているとともに、上記空気だまりは上記一方の側壁板に形成された切欠き部を介して上記空調ダクトに連通し、その空気だまりの下面の側天井板および/または外側壁板に、車室内に向けて開口する吹出口が形成されていることを特徴とする鉄道車両の側天井ユニット。 - 上記外側壁板は、上記空気だまりの壁体を形成する縦壁部と灯具カバーとを一体化した構造を有し、上記灯具は上記縦壁部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の側天井ユニット。
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JP36541699A JP4446363B2 (ja) | 1999-12-22 | 1999-12-22 | 鉄道車輛の側天井ユニット |
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Family Applications (1)
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JP36541699A Expired - Lifetime JP4446363B2 (ja) | 1999-12-22 | 1999-12-22 | 鉄道車輛の側天井ユニット |
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-
1999
- 1999-12-22 JP JP36541699A patent/JP4446363B2/ja not_active Expired - Lifetime
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