JP4446144B2 - 多孔質吸音性セラミック成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本願発明はパーライトを主原料として製造された多孔質吸音性レンガ、タイルその他の板状体等の多孔質吸音性セラミック成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
道路や建物等の防音壁を構成する吸音材料には、人間が大きな音として感じやすい400〜4000Hzの周波数域の吸音が求められ、その中でも800〜2000Hzの周波数域の吸音が特に求められている。
従来から代表的な吸音材として、グラスウールやロックウール等の鉱物繊維系吸音材があったが、鉱物繊維系吸音材は、含水すると吸音性能が著しく低下すると共に、繊維からなるため経時的に変形したり、高速気流により飛散又は剥離し易く、紫外線によりバインダーである樹脂が劣化する等の欠点があった。
そこで、同吸音材を樹脂フィルムで覆い、金属製の容器に収めるなどしていたが、非常にコストが高くなっていた。
また、石膏ボードに多数の貫通孔を設けた吸音材も良く知られているが、この穴空き石膏ボードからなる吸音材は、石膏ボードに吸音性能がなく、貫通孔での共鳴により音エネルギーを吸収するものであるから、特定の周波数しか吸音できなかった。そのため、背後に空気層を設けたり、グラスウール等の裏打ち材を背面に取り付けることが行われているが、これらの方法は施工に手間がかかるという問題があった。
他方、従来から珪酸塩鉱物を原料とし、焼成しセラミック化したタイルやレンガは建築材料や炉材等として使用されており、かつ、都市環境や工場環境における激しい騒音対策に、各種セラミック材料が使用されつつある。
しかし、安価で優れた吸音性を有するセラミック材料の提供がなされておらず工費の低減が達成されていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来の事情に鑑み、耐候性を有し、人間が大きな音と感じる周波数域の音に対して優れた吸音効果を示す多孔質吸音性セラミック成形体を提供するものである。すなわち、本発明は下記構成の多孔質吸音性セラミック成形体の製造方法である。
(1)粒径0.10〜3.5mmのパーライト100重量部に対して、フライアッシュ粉末100〜250重量部と、結合材5〜30重量部と水10〜50重量部を添加混合し、得られた混合物を一定形状に成形した後、乾燥し、その後900〜1200℃で焼成することにより、連通気孔の多孔質セラミック体より成り、嵩比重が0.3〜1.2である多孔質吸音性セラミック成形体を製造する方法において、上記パーライトに上記フライアッシュの一部を加えて混合しながら上記結合材と水の一部をスプレーして加え、パーライトの表面がフライアッシュと結合材と水で被覆された造粒体となす第1工程と、更に混合しながらその造粒体の表面にフライアッシュの一部を加え、かつ結合材と水の一部をスプレーして加えて前記造粒体の表面にフライアッシュと結合材と水で被覆された造粒体となす第2工程と、そして更に混合しながら第2工程で得られた造粒体の表面にフライアッシュの残部を加え、かつ結合材と水の残部をスプレーして加えてフライアッシュと結合材と水で被覆された造粒体となす第3工程とを採用して、パーライトの表面がフライアッシュと結合材と水の混合体で被覆された造粒体よりなる半乾式成形用素地を取得した後、該造粒体素地を型枠に投入して型枠内でプレス成形する工程をとることを特徴とする多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
(2)素地が、粒径5〜50μmのフライアッシュ粉末100重量部に対して、更に金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、有機繊維又はウィスカーの内の一種又は2種以上を5〜10重量部添加してなるものであることを特徴とする前項(1)に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
(3)多孔質吸音性セラミック成形体が、レンガであることを特徴とする前項(1)又は(2)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
(4)多孔質吸音性セラミック成形体が、タイルその他の板状体であることを特徴とする前項(1)又は(2)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
また、本願発明に関連する他の態様として、下記の構成の多孔質吸音性セラミック成形体及びその製造方法が挙げられる。
(1)連通気孔の多孔質セラミック体より成り、嵩比重が0.3〜1.5である多孔質吸音性セラミック成形体であって、粒径0.10〜8.0mmのパーライト100重量部に対して、母相材としてのフライアッシュ、スラグ、シリカ、火山噴出物、岩石、又は粘土鉱物から選択される1種以上の焼結物80〜250重量部と、無機系結合材5〜30重量部が囲繞焼結されてなり、かつ前記パーライト粒子同士は、それらの接触部において連通開孔が形成されて、内部気孔が連通気孔となっていることを特徴とする多孔質吸音性セラミック成形体。
(2)連通気孔の多孔質セラミック体より成り、嵩比重が0.5〜1.0である多孔質吸音性セラミック成形体であって、粒径0.50〜2.0mmのパーライト100重量部に対して、母相材としてのフライアッシュ、シャモット、ウォラストナイト、スラグ、シリカ、火山噴出物、岩石、又は粘土鉱物から選択される1種以上の焼結物100〜200重量部と、無機系結合材10〜20重量部が囲繞焼結されてなり、かつ前記パーライト粒子同士は、それらの接触部において連通開孔が形成されて、内部気孔が連通気孔となっていることを特徴とする多孔質吸音性セラミック成形体。
【0004】
(3)連通気孔の多孔質セラミック体より成り、嵩比重が0.5〜1.0、曲げ強度が10〜28kgf/cm2、圧縮強度が40〜90kgf/cm2である多孔質吸音性セラミック成形体であって、粒径0.50〜2.0mmのパーライト100重量部に対して、母相材としてのフライアッシュの焼結物100〜200重量部と、無機系結合材10〜20重量部が囲繞焼結されてなり、かつ前記パーライト粒子同士は、それらの接触部において連通開孔が形成されて、内部気孔が連通気孔となっていることを特徴とする多孔質吸音性セラミック成形体。
(4)パーライトが、真珠岩、黒よう石又は松脂岩の粉砕物を焼成発泡させたものであることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体。
(5)母相材にガラスが10〜50重量部含有されてなることを特徴とする前項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体。
(6)▲1▼パーライト及び母相材、あるいは▲2▼パーライト又は母相材が、その結晶化のための核形成剤の添加により結晶化されてなることを特徴とする前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体。
【0005】
(7)母相材が、さらに金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、鉱物繊維又はウィスカーから選択される1種以上の短繊維を1〜10重量部含むものであることを特徴とする前項(1)〜(6)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体。
(8)多孔質吸音性セラミック成形体が、レンガであることを特徴とする前項(1)〜(7)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体。
(9)多孔質吸音性セラミック成形体が、タイルその他の板状体であることを特徴とする前項(1)〜(7)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体。
(10)粒径0.10〜3.5mmのパーライト100重量部に対して、フライアッシュ、シャモット、ウォラストナイト、スラグ、シリカ、火山噴出物、岩石、汚泥又は粘土鉱物から選択される1種以上の粉末100〜250重量部と、結合材5〜30重量部と水10〜50重量部を添加混合し、得られた混合物を一定形状に成形した後、乾燥し、その後900〜1200℃で焼成することにより、連通気孔の多孔質セラミック体より成り、嵩比重が0.3〜1.2である多孔質吸音性セラミック成形体を製造することを特徴とする多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
【0006】
(11)粒径0.50〜2.0mmのパーライト100重量部に対して、フライアッシュ、シャモット、ウォラストナイト、スラグ、シリカ、火山噴出物、岩石、汚泥又は粘土鉱物から選択される1種以上の粉末35〜60重量部と、結合材10〜25重量部と水20〜45重量部を添加混合し、得られた混合物を一定形状の型枠内で8〜15kgf/cm2の加圧力でプレス成形した後、乾燥し、その後950〜1150℃で焼成することにより、連通気孔の多孔質セラミック体より成り、嵩比重が0.5〜1.2である多孔質吸音性セラミック成形体を製造することを特徴とする多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
(12)粒径0.50〜2.0mmのパーライト100重量部に対して、フライアッシュの粉末35〜60重量部と、結合材10〜25重量部と水20〜45重量部を添加混合し、得られた混合物を型枠内で8〜15kgf/cm2の加圧力でプレス成形した後、乾燥し、その後950〜1150℃で焼成することにより、連通気孔の多孔質セラミック体より成り、嵩比重が0.5〜1.0、曲げ強度が15〜28kgf/cm2、圧縮強度が40〜90kgf/cm2である多孔質吸音性セラミック成形体を製造することを特徴とする多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
【0007】
(13)混合物に、ガラスの結晶化のための核形成剤を添加することを特徴とする(10)〜(12)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
(14)素地の焼成後に、ガラスの結晶化を促進するための徐冷処理を行うことを特徴とする前項(13)記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
(15)結合材が、有機系のものを含むものであることを特徴とする前項(10)〜(14)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
(16)素地が、粒径5〜50μmのフライアッシュ粉末100重量部に対して、更に金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、有機繊維又はウィスカーの内の一種又は2種以上を5〜10重量部添加してなるものであることを特徴とする前項(10)〜(15)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成の製造法。
(17)多孔質吸音性セラミック成形体が、レンガであることを特徴とする前項(10)〜(16)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
(18)多孔質吸音性セラミック成形体が、タイルその他の板状体であることを特徴とする前項(10)〜(16)のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
上記本願発明で主原料として使用されるパーライトは、一般に黒よう岩、真珠岩、松脂岩等の細砕物を850〜1100℃程度で焼成することにより、主に含有水分がガス化しそのガス圧により膨張した中空の球状体であるが、シリカ−アルミナ系のセラミック物質であるため、軽量であるがかなりの耐火度があり、ガラスバルーンなどに比べて機械的強度も高いものである。なお、パーライトに換えてシラス発泡体を用いることもできる。
また、母相材の原料に使用される、フライアッシュ、シャモット、ウォラストナイト、スラグ、シリカ、火山噴出物、岩石、又は粘土鉱物は、いずれも焼成によりかなり高い耐火度と機械的強度を有する焼結物となり、その結果得られる多孔質吸音性セラミック成形体は、火災等には十分に耐える耐火度が高い製品となる。
【0009】
例えば、フライアッシュは、石炭や石油ピッチ等を燃焼させたあとに出る残渣灰であり、火力発電所等から大量に排出されるものであって、現在、その利用技術、利用量が少ないために、各分野にてその利用が鋭意検討されているものであるが、その中でも、粒径5〜50μmのフライアッシュ微粉末が好ましく使用される。
フライアッシュの成分組成は、例えばSiO2:50〜68%、Al2O3:20〜35%、Fe2O3:2〜7%、CaO:0.6〜7%、MgO:0.2〜2%,Na2O:0.1〜2%、K2O:0.3〜1.5%,Ig.loss:2〜4%からなり、非晶質であり、かつ各フライアッシュ粒子は粒径5〜50μmの球状体で内部が中空となっているものである。
よって、フライアッシュ粒子は、転動性がよく、充填性に優れ、かつ焼結性が良い。
【0010】
本願発明の多孔質吸音性セラミック成形体の製造においては、まず成形性を付与させるため、パーライト粒にフライアッシュ微粉末等を混ぜ、それに少量のコーンスターチ、CMC、水ガラス等の結合材(粘結剤)を添加混合した後、所要のレンガ、タイル等の成形体形状に加圧成形する。なお、加圧成形のための結合材としては、通常有機系のもの、例えばコーンスターチ、CMC、アルギン酸ソーダー、PVA、ポリアクリル系エマルジン、多価アルコール系ワックス等が使用されるが、またパーライト及びフライアッシュ粒子等の焼結のための焼結剤を兼ねる結合材として水ガラス(珪酸ナトリウム水溶液=珪酸ナトリウム+水)やアルミナゲル等の無機材料ゲルが好適に使用される。なお、無機系結合材の水ガラスやシリカゲルあるいはアルミナゲルにガラス微粉末を少量添加混合したものも好適な結合材として使用することができる。
【0011】
なお、その際それに加えて、ガラス質を結晶化させて強度をより増強するため、核形成剤を添加することも好ましく、結晶化ガラス製造用に使用される蛍石、銀、金、チタニア、ジルコニア等の公知の核形成剤を添加使用することができる。
その結晶化剤を添加製造する際には、焼成後の冷却時に常法にしたがい、良好な結晶化を生成する冷却温度パターンにしたがって徐冷による温度管理をすべきである。
その結果、製品強度が格段に増強された多孔質吸音性セラミック成形体が提供されることとなる。
【0012】
また、本発明においては補強用や電波吸収用として、各種繊維、例えば金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維、各種セラミック繊維、ウイスカーを配合することができる。
本願発明で使用される原料の粒度範囲は、微粉末が好ましく、フライアッシュが粒径5〜50μm、ウォラストナイト(珪灰石)は40〜70μm、高炉スラグ微粉末の粒径は10〜100μm及びシリカ微粉末は1μm以下であることが好ましい。
【0013】
特に、水ガラス(珪酸ナトリウム水溶液)を含む結合材は、上記フライアッシュ粉体原料の粒子表面を大いに溶解しゲル化を推進し、まんべんなく包み込みながら焼成温度が上昇するにしたがい粉体相互を強固に焼結する作用を発揮する。よって、850〜1200℃の焼成温度で十分に高強度を発現するセラミック体を形成するための強固な接着成分となる。
なお、該水ガラスを含む結合材の粘性の調整には、粘土鉱物、例えばカオリン微粉末を加えることによって制御することが好ましい。
【0014】
【実施例】
次に本発明実施例に係る吸音性セラミック成形体としての多孔質吸音性レンガの製造の実施例を説明する。
実施例1:
[使用原料]
A.パーライト(黒曜石焼成発泡粒体:平均粒径1.5mm)100重量部、
B.フライアッシュ(平均粒径20μm)167重量部、
C.水ガラス(36°ボーメ、比重1.333)67重量部
【0015】
[製造工程]
本発明の多孔質吸音性レンガの製造は、上記原料で(1)成形素地を造り、(2)次いでレンガ形状に成形し、(3)乾燥後、(4)焼成して多孔質吸音性レンガを製造した。
【0016】
(1)成形素地造りは、まず、パーライト100重量部(A、全量)にフライアッシュ(B)55.7重量部を加え、コンクリートミキサに入れて、2分間混合し、
(a)次いでその上から前記混合を続け(2分間)ながら水ガラス(C)22.3重量部をスプレー(噴霧)して加え、パーライトの表面にフライアッシュが付着した(表面がフライアッシュと水ガラスで被覆された)状態の平均粒径1.7mmの造粒体とし、
(b)更に混合を続け(2分間)ながらその上にフライアッシュ(B)55.7重量部を加え、その上から水ガラス(C)22.3重量部をスプレーして加えて、前記(a)で得られた造粒体の表面に更にフライアッシュが付着した状態の平均粒径1.9mmの造粒体とし、
(c)そして更に混合を続け(2分間)ながらその上にフライアッシュ(B)55.7重量部を加え、その上から水ガラス(C)22.3重量部をスプレーして加えて、前記(b)で得られたパーライト造粒体の表面にフライアッシュが付着した状態の平均粒径2.1mmの造粒体とした。ここで得られた造粒体の水分は13%で、半乾式成形用素地として使用できるものであった。
【0017】
(2)成形は、前記により得られた造粒体素地を金型に投入し、10kgf/cm2でプレス成形し、レンガ形状の成形体を得た。
【0018】
(3)乾燥は、前記成形体を乾燥炉内に入れ、55℃で3時間加熱乾燥した。
前記乾燥物はその縁を荒切りした後、
(4)焼成のため、焼成炉に入れ、昇温速度2.1〜2.3℃/min.で加熱し、750℃で2.5時間保持した後、1100℃まで昇温して3時間保持し、しかる後、降温速度4℃/min.で600℃まで、さらに3℃/min.で400℃まで徐冷してから室温まで放冷した。
【0019】
[製品の特性]
放冷により得られた焼成体の圧縮強度は42.0kgf/cm2、曲げ強度14.6kgf/cm2、かさ比重は0.7の軽量で、独立孔が殆どない連続細孔の多孔質なものであった。
そして、上記の方法で製造された多孔質吸音性レンガの吸音特性を測定し、図1に示した。検体レンガの厚さは114mmのものを使用し、背面空気層のないもの(0mm)、及び50mmのものについての測定値を示した。
図1に示す見られるごとく、1/3オクターブバンド中心周波数125〜4000Hzにおいて残響室法吸音率が、背面空気層が無くても125〜250Hzの低周波数側で0.75〜0.8の高い値を示すとともに、125〜4000Hzの広い周波数範囲でも0.75〜0.9の高い数値であった。
また、従来背面空気層を大きくとることによって、吸音率を大きくすることが行われていたが、本発明の多孔質吸音性レンガによれば、背面空気層が無くても低音領域から高音領域まで優れた吸音材として使用できることが解った。
【0020】
また、上記の方法で製造された多孔質吸音性レンガ(多孔質吸音性セラミック成形体)の粒組織及び連通気孔の状態を図2及び図3に示した。
図2の多孔質吸音性セラミック成形体の拡大外観説明図及び図3の拡大断面説明図に示すごとく、パーライト粒子1の周りを結合材を付随したフライアッシュ2焼結物からなるマトリックスで取り囲んでおり、かつ各パーライト粒子1・・間は連通開孔部3・・で連通されている。
この連通開孔部3・・の形成は、パーライト粒子1が高温加熱されて軟化点ないし溶融点近くになった時、パーライト粒子中空内部の水蒸気等のガス圧が高まっていき、パーライト粒子1同士の接触部においてそれらのガス圧により壁部が突き破られる結果、形成されるものと推測される。こうした連通開孔部が形成される温度は、パーライトの品種によって異なるが900℃〜1200℃、特に好ましくは1000℃〜1150℃である。
連通気孔は、(1)こうしたパーライト粒子1・・間の連通開孔部3・・だけでなく、(2)パーライト粒子1・・間に形成される隙間4や(3)マトリックス内のフライアッシュ粒子同士の間に形成される微小な隙間5によっても構成されるものである。
【0021】
参考例1:本例では、実施例1と同様にして多孔質吸音性レンガを製造したが、実施例1と異なる点は、使用原料としてフライアッシュに代えて高炉スラグ微粉末を使用し、最高焼成温度を1100℃で3時間に代えて、1120℃で3時間とした点である。得られた多孔質吸音性レンガの吸音特性は実施例1で得られたものと同程度であったが、圧縮強度が少し高いものであった。
【0022】
参考例2:本例では、実施例1と同様にして多孔質吸音性レンガを製造したが、実施例1と異なる点は、使用原料のBとして、フライアッシュ(平均粒径20μm)80重量部と高炉スラグ微粉末20重量部を混合した微粉末を使用し、1100℃で2時間焼成した結果、得られた多孔質吸音性レンガの吸音特性は実施例1で得られたものと同程度であった。
【0023】
【発明の効果】
上記の通り本願発明によれば、低音領域から高音領域までの広い音域にわたって吸音特性の優れた吸音性レンガや吸音性タイル等の多孔質吸音性セラミック成形体が提供される。そして、その製造原料はフライアッシュ等の安価なものが使用されるため、製品の製造コストも低くすることができる。
また、本願発明により得られる多孔質吸音性セラミック成形体は、その拡大外観説明図及び拡大断面説明図に示すごとく、パーライト粒子の周りが結合材を付随したフライアッシュ焼結物からなるマトリックスで取り囲まれ、かつ各パーライト粒子間は連通開孔部で連通されている。
連通気孔は、(1)こうしたパーライト粒子間の連通開孔部だけでなく、(2)パーライト粒子間に形成される隙間や(3)マトリックス内のフライアッシュ粒子同士の間に形成される微小な隙間によっても構成される。
そして、本発明方法によれば、パーライト粒に良好な成形性が付与され、かつ連通孔を有する均質な多孔質吸音性セラミック成形体が取得できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例により得られた多孔質吸音性レンガの吸音特性を示すグラフ図。
【図2】本発明実施例により得られた多孔質吸音性セラミック成形体の拡大外観説明図。
【図3】本発明実施例により得られた多孔質吸音性セラミック成形体の拡大断面説明図。
【符号の説明】
1:パーライト、
2:フライアッシュ、
3:パーライト粒子間の連通開孔部、
4:パーライト粒子間に形成される隙間、
5:マトリックス内のフライアッシュ粒子同士の間に形成される微小な隙間
Claims (4)
- 粒径0.10〜3.5mmのパーライト100重量部に対して、フライアッシュ粉末100〜250重量部と、結合材5〜30重量部と水10〜50重量部を添加混合し、得られた混合物を一定形状に成形した後、乾燥し、その後900〜1200℃で焼成することにより、連通気孔の多孔質セラミック体より成り、嵩比重が0.3〜1.2である多孔質吸音性セラミック成形体を製造する方法において、上記パーライトに上記フライアッシュの一部を加えて混合しながら上記結合材と水の一部をスプレーして加え、パーライトの表面がフライアッシュと結合材と水で被覆された造粒体となす第1工程と、更に混合しながらその造粒体の表面にフライアッシュの一部を加え、かつ結合材と水の一部をスプレーして加えて前記造粒体の表面にフライアッシュと結合材と水で被覆された造粒体となす第2工程と、そして更に混合しながら第2工程で得られた造粒体の表面にフライアッシュの残部を加え、かつ結合材と水の残部をスプレーして加えてフライアッシュと結合材と水で被覆された造粒体となす第3工程とを採用して、パーライトの表面がフライアッシュと結合材と水の混合体で被覆された造粒体よりなる半乾式成形用素地を取得した後、該造粒体素地を型枠に投入して型枠内でプレス成形する工程をとることを特徴とする多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
- 素地が、粒径5〜50μmのフライアッシュ粉末100重量部に対して、更に金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、有機繊維又はウィスカーの内の一種又は2種以上を5〜10重量部添加してなるものであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
- 多孔質吸音性セラミック成形体が、レンガであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
- 多孔質吸音性セラミック成形体が、タイルその他の板状体であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の多孔質吸音性セラミック成形体の製造法。
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