JP4445951B2 - エリア推定システム及びエリア推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エリア推定システム及びエリア推定方法に関する。
近年、ユーザに対して現在いる場所に応じたサービスが多く存在する。例えば、ユーザの存在する位置をプレゼンス情報としてユーザ間で共有するサービスや、特定の位置にいるユーザに対して広告や情報を提供するPUSH型情報配信などがある。このようなユーザの位置に応じたサービスを提供するためには、ユーザの位置を逐次把握する必要がある。
ユーザの位置を推定する手法として、無線LANの環境が整った空間において、ユーザが所持する無線LANデバイス等で取得された無線LANの各アクセスポイントの電波強度を予め学習し、その学習結果を用いてユーザの位置を推定する装置が知られている(非特許文献1及び特許文献1参照)。又、無線LAN基地局で測定される電波の強度から、ユーザが所持する無線LANデバイスの位置を推定し、ユーザの位置を推定する装置が知られている。
学習機能を用いたロケーション検出方法の検討(NTT 小川智明 吉野修一 清水雅史 電子情報通信学会 信学技報 NS2002−79) WO2004−008795
しかしながら、上記従来技術に係る位置推定装置は、以下に示すような問題点があった。
すなわち、上記従来技術に係る位置推定装置は人の移動等に伴う電波強度の変化を考慮していない。一般的に電波強度は構造物や什器、人や物の移動等により変化する。構造物や什器等については移動が頻繁に生じないことから、電波強度の時間変化は生じない。しかし、人や物の移動は頻繁に生じることから、電波強度の時間変化は大きく生じる。
そのため、上記従来技術のように、予め各エリアにおける電波強度を学習したとしても、人や物の移動等により、推定時の電波強度は大きく変化している可能性が高く、正確な位置推定が困難である。この性質は推定対象の位置が無線基地局から遠ければ遠いほど顕著となることが上記文献にも示されている。又、上記技術に係る位置推定装置は、位置を推定するために、事前に約1mおきにその地点での電波強度を学習しておく必要があり、位置推定のための設定コストが膨大であった。
又、無線LAN基地局で測定される電波強度から位置を推定する場合も、同様に、人や物による遮蔽などにより、基地局からの距離が遠くなればなるほど、電波強度が変化し、誤差が生じやすくなる。
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、人や物の移動により電波強度の変化が頻繁に生じる環境においても、事前の電波強度の学習をすることなく、ユーザの位置推定を可能とするエリア推定システム及びエリア推定方法を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴は、(a)特定の電波受信端末へネットワークを介して電波を送信する、存在エリアが未知である電波発信手段と、(b)電波発信手段が送信した電波を傍受し、当該電波強度を取得する、存在エリアが既知である電波傍受手段と、(c)電波傍受手段からネットワークを介して、電波強度と電波を送信した電波発信端末を一意に識別する電波発信端末IDと電波を傍受した電波傍受端末を一意に識別する電波傍受端末IDとを受信する電波強度受信手段と、(d)電波強度と、電波発信端末IDと、電波傍受端末IDとを関連づけて格納する電波強度格納手段と、(e)電波強度格納手段に格納された電波傍受手段で取得した電波強度によって、電波発信手段の存在エリアを推定する存在エリア推定手段とを備えるエリア推定システムであることを要旨とする。
第1の特徴に係るエリア推定システムによると、エリア推定対象の電波発信手段が電波受信手段に向けて発信した電波を電波傍受手段で受信し、電波強度を取得する。そして、各電波傍受手段で取得した電波強度を比較し、最近傍と判断された電波傍受手段の存在エリアを、位置推定対象の電波発信手段の存在エリアとすることで、人や物の移動により電波強度が頻繁に変化する環境において、事前の学習をすることなく、電波発信手段が存在するエリアを推定することができる。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムにおいて、複数の電波傍受手段で電波発信手段からの電波を傍受した場合、存在エリア推定手段は、電波強度が最も強い電波傍受手段の存在エリアを、電波発信手段の存在エリアと推定してもよい。
このエリア推定システムによると、各電波傍受手段の電波強度の値のみを比較し、最大値の電波傍受手段の存在エリアを推定エリアとすることにより、エリア推定に必要な処理量を軽減するという効果がある。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムは、現在の時刻情報を発信する時刻管理手段を更に備え、電波強度格納手段は、電波強度と、電波発信端末IDと、電波傍受端末IDと、時刻管理手段によって取得された電波傍受手段が電波を傍受した時刻情報とを関連づけて格納してもよい。
このエリア推定システムによると、時刻情報に応じて、電波発信端末が存在するエリアの推定を行うことができる。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムにおいて、存在エリア推定手段は、電波傍受手段によって取得された過去の履歴を含めた複数の電波強度を用いて、電波発信手段の存在エリアを推定してもよい。
このエリア推定システムによると、過去の電波強度履歴も用いて電波強度が最も強い電波傍受手段を特定することにより、人やモノの移動等に起因する一時的な電波の乱れに対しても耐性をもったエリア推定が可能であるという効果がある。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムにおいて、存在エリア推定手段は、電波傍受手段によって取得された最新の電波強度を用いて、電波発信手段の存在エリアを推定してもよい。
このエリア推定システムによると、常に最新の電波強度を用いてエリア推定を行うことが可能であり、エリア推定対象の電波発信手段の最新エリアを特定することが可能であるという効果がある。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムにおいて、存在エリア推定手段は、特定の電波受信端末が電波を受信した時刻と同時刻もしくはそれに最も近い時刻に取得された電波強度が最も強い電波傍受手段の存在エリアを、電波発信手段の存在エリアと推定してもよい。
このエリア推定システムによると、各電波傍受手段において同時刻又は最も近い時刻に取得された電波強度を比較することにより、より高確度で存在エリアを推定することが可能である。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムは、各電波傍受手段で取得された各電波発信手段の電波強度列に対して、時間変動度を算出する電波強度時間変動度比較部を更に備え、存在エリア推定手段は、時間変動度を用いて、電波発信手段の存在エリアを推定してもよい。
このエリア推定システムによると、過去の電波強度履歴の変化量を用いて最も時刻変化の激しい電波傍受手段を特定することにより、電波発信手段が最近傍に存在することに起因する電波強度の揺れを逆に利用することができる。このため、電波発信手段の携行者の動きに起因する電波の乱れに対しても耐性をもったエリア推定が可能である。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムは、各電波傍受手段で取得された各電波発信手段の電波強度列から、特徴量を算出し、特徴量の差の大きさを特定する確信度を算出する確信度決定部を更に備え、存在エリア推定手段は、確信度を用いて、電波発信手段の存在エリアを推定してもよい。
このエリア推定システムによると、電波傍受手段によって取得された過去の履歴を含めた複数の電波強度から算出された特徴量の差の大きさに対して信頼性(確信度)を表す閾値を設定することにより、利用者の要求する信頼性(確信度)を満たす推定結果のみ出力することができる。又、利用者の要求に応じて存在エリア推定を実施する場合、各電波傍受手段で複数の電波強度を取得するために存在エリア推定要求後に数秒間待たなければならないが、確信度決定手段によって利用者の要求する信頼性(確信度)を満たすための最低限の履歴データ数を特定することができ、できる限りリアルタイムなエリア推定が可能である。更に、利用者が要求する信頼性(確信度)を満たす電波傍受端手段が複数存在する場合には、それらを出力することで複数のエリアに跨った、もしくは中間に存在する場合にも適切に推定することが可能である。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムは、電波発信手段の存在エリアもしくは電波発信端末の属性情報に基づいて、エリア推定頻度を決定するエリア推定頻度決定手段を更に備えてもよい。
このエリア推定システムによると、前記電波発信手段の属性や存在エリアに基づいて適切なエリア推定の頻度を決定することが可能となる。これにより、電波発信手段毎に必要に応じた頻度でエリア推定を行うことが可能となり、ネットワークトラフィック、システムへの負荷、電力消費量を軽減することができる。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムは、電波強度格納手段に格納された電波強度履歴もしくは前記電波発信手段の存在エリア履歴を利用して電波発信手段が滞在中であるか移動中であるかを判定する滞在・移動判定部と、滞在・移動判定部の判定結果に基づいてエリア推定に利用する電波強度の履歴数を決定する利用電波強度履歴数決定手段とを更に備え、エリア推定頻度決定手段は滞在・移動判定部の判定結果に基づいてエリア推定頻度を決定してもよい。
このエリア推定システムによると、電波発信手段が滞在中か移動中かに基づいて、適切な利用電波強度履歴数を決定することが可能となる。具体的には電波発信手段が滞在中であれば、利用電波強度履歴数を長くすることで一時的な電波強度の揺れによる誤推定を吸収することができ確信度を向上させることが可能となる。電波発信手段が移動中であれば、利用電波強度履歴数を短くすることで時々刻々変化するエリアを適切に推定することができる。更に、電波発信手段が滞在中か移動中かに基づいて、適切なエリア推定頻度を決定することが可能となる。具体的には電波発信手段が滞在中であれば、エリア推定頻度を長くすることで、ネットワークトラフィック、システムへの負荷、電力消費量を軽減することが可能となる。電波発信手段が移動中であれば、エリア推定頻度を短くすることで、リアルタイムなエリア推定が可能となる。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムにおいて、エリア推定頻度決定手段は、各電波傍受手段で取得された各電波発信手段の電波強度列から算出された特徴量の差の大きさを特定する確信度の変化に応じて、エリア推定頻度を決定してもよい。
このエリア推定システムによると、確信度の変化からエリア移動を予測することで、エリア変更をリアルタイムに推定することが可能である。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムにおいて、エリア推定頻度決定手段は、前記電波発信手段の属性情報、もしくは前記電波傍受手段の属性情報、もしくは前記電波発信手段の存在エリアに対する推定頻度を格納するエリア推定頻度格納部を更に備え、前記エリア推定頻度決定手段は、電波発信端末属性情報格納部から取得した前記電波発信手段の属性情報、もしくは電波傍受端末属性情報格納部から取得した前記電波傍受手段の属性情報、もしくは電波発信端末存在エリア格納部から取得した前記電波発信手段の存在エリアから、対応する推定頻度をエリア推定頻度格納部から取得することで、エリア推定頻度を決定してもよい。
このエリア推定システムによると、電波発信手段や電波傍受手段の属性、もしくは電波発信端末の存在エリアに応じて必要最低限の頻度でエリア推定を行うことが可能である。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムにおいて、電波強度格納手段に格納された電波強度履歴を利用して電波発信手段と電波傍受手段との組もしくは各電波傍受手段に対する基準電波強度を決定し、基準電波強度格納手段に格納し、電波傍受手段で取得した電波強度に対して当該基準電波強度からの差分を相対電波強度と決定する相対電波強度決定手段を更に備え、エリア推定手段は、相対電波強度を用いてエリア推定を行ってもよい。
このエリア推定システムによると、電波傍受手段を構成するハードウェアの個体差によって取得した電波強度に差異が発生するという課題に対して、各{電波発信手段,電波傍受手段}もしくは各電波傍受手段における基準電波強度を決定し、その変化量を利用することで、煩雑なキャリブレーション等を行うことなく個体差を解消することができる。
又、第1の特徴に係るエリア推定システムにおいて、前記電波発信手段と前記電波受信手段間の電波の送信に用いられるチャネルが複数ある場合、当該複数のチャネルを特定の時間毎に切り替えて検出するよう前記電波傍受手段に指示するチャネル切替手段を更に備え、電波傍受手段は、前記複数のチャネルに送信される電波を傍受し、当該複数の電波強度を取得し、存在エリア推定手段は、前記複数の電波強度によって、前記電波発信手段の存在エリアを推定してもよい。
このエリア推定システムによると、チャネルの異なるアクセスポイントが複数存在し、それらの通信エリアが重複している場合でも、電波傍受手段は通信可能なチャネルを特定し、複数のチャネルを時間で分割して各チャネルで送信されている電波を傍受し電波強度を取得することで、前記エリア推定手段は正しくエリア推定を行うことが可能である。
又、上記のエリア推定システムにおいて、電波傍受手段は、通信可能なチャネルの使用状況を取得することにより、使用中のチャネルのみ特定の時間毎に切り替えて電波を傍受し、当該複数の電波強度を取得してもよい。
このエリア推定システムによると、通信可能なチャネルが複数存在する場合でも、その使用状況を確認し実際に使用中のチャネルのみ時間で分割して電波強度を取得することにより、不要なチャネル切り替えをなくすことが可能であり、よりリアルタイムにエリア推定を行うことが可能である。
本発明の第2の特徴は、存在エリアが既知である電波傍受手段を用いて、存在エリアが未知である電波発信手段の存在エリアを推定するエリア推定方法であって、(a)電波発信手段が、特定の電波受信端末へネットワークを介して電波を送信するステップと、(b)電波傍受手段が、電波発信手段が送信した電波を傍受し、当該電波強度を取得するステップと、(c)電波強度と電波を送信した電波発信端末を一意に識別する電波発信端末IDと電波を傍受した電波傍受端末を一意に識別する電波傍受端末IDとを関連づけて格納するステップと、(d)格納された電波傍受手段で取得した電波強度によって、電波発信手段の存在エリアを推定するステップとを含むエリア推定方法であることを要旨とする。
第2の特徴に係るエリア推定方法によると、エリア推定対象の電波発信手段が電波受信手段に向けて発信した電波を電波傍受手段で受信し、電波強度を取得する。そして、各電波傍受手段で取得した電波強度を比較し、最近傍と判断された電波傍受手段の存在エリアを、位置推定対象の電波発信手段の存在エリアとすることで、人や物の移動により電波強度が頻繁に変化する環境において、事前の学習をすることなく、電波発信手段が存在するエリアを推定することができる。
本発明によると、人や物の移動により電波強度の変化が生じる環境において、事前の電波強度の学習をすることなく、人や物の正確な位置推定を可能とする位置推定装置及び位置推定方法を提供することができる。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。
<第1の実施の形態>
(エリア推定システム)
第1の実施形態に係るエリア推定システムは、図1に示すように、電波発信端末10と、屋内基地局20と、電波受信端末30と、電波傍受端末40a、40bと、中継装置50と、エリア推定装置100とを備える。
電波発信端末10は、電波発信部11を備え、物理的にはコンピュータ、PDA、携帯電話等とそれに接続された無線LANアダプタで構成される。電波発信部11は、電波受信端末30に対して電波を発信する。電波発信端末10としては、ユーザが常に携帯する携帯電話やPDA、ノートパソコンなどが有効である。
電波受信端末30は、電波受信部31を備え、物理的にはコンピュータとそれに接続された無線LANアダプタで構成される。電波受信部31は、電波発信端末10から送信された電波を受信する。尚、電波受信端末30は、電波傍受端末40a、40bを兼ねることも可能である。
電波傍受端末40a、40bは、電波傍受部41a、41bと時刻管理部42a、42bと電波強度送信部43a、43bと電波発信端末属性情報格納部45a、45bとを備え、物理的にはコンピュータとそれに接続された無線LANアダプタで構成される。
電波傍受部41a、41bは、電波発信端末10から電波受信端末30に向けて発信される電波を傍受し、その電波を発信した電波発信端末10を一意に識別する電波発信端末IDと電波強度を取得する。
時刻管理部42a、42bは、電波傍受部41a、41bからの要求に応じて現在時刻を送信する。現在時刻は、コンピュータ間で時刻を定期的に同期するプログラムを実行しても良いし、各電波傍受端末40a、40bがNTPサーバ等から時刻を取得しても良い。
電波強度送信部43a、43bは、電波傍受部41a、41bで取得した、電波発信端末IDと電波傍受端末を一意に識別する電波傍受端末IDと電波強度と電波強度取得時刻とをエリア推定装置100へ送信する。電波発信端末IDや電波傍受端末IDは、例えば無線LANアダプタに割り当てられたMACアドレス等を利用する。電波傍受端末40a、40bとしては、ほとんど移動しないノートパソコンやデスクトップパソコンなどが有効である。
電波発信端末属性情報格納部45a、45bは、(電波発信端末ID,携帯ユーザ名)の2つ組データを格納する。携帯ユーザ名は、電波発信端末を携帯しているユーザ名が格納される。尚、後に詳述するが、後述する所望パケットの抽出処理を電波傍受端末で実施する場合には、電波発信端末属性情報格納部44a、44bに、電波発信端末の属性情報が格納される。
屋内基地局20は、物理的には無線アクセスポイントで構成され、電波発信端末10が発信した電波を中継し、電波受信端末30に発信する。
中継装置50は、物理的にはハブもしくはルータで構成され、電波強度送信部43a、43bからエリア推定装置100へ送信された、電波発信端末IDと電波傍受端末IDと電波強度とを中継する。
エリア推定装置100は、電波強度受信部110と、格納部120と、操作部130と、存在エリア推定部140と、表示部150とを備え、物理的にはコンピュータとそれに接続された有線LANアダプタもしくは無線LANアダプタで構成される。格納部120は、電波発信端末属性情報格納部121と、電波傍受端末属性情報格納部122と、電波強度格納部123と、電波発信端末存在エリア格納部124とを備える。尚、格納部120は、RAM等の内部記憶装置を用いても良く、ハードディスクやフレキシブルディスク等の外部記憶装置を用いても良い。
電波強度受信部110は、電波強度送信部43a、43bから送信された、電波発信端末IDと電波傍受端末IDと電波強度と電波強度取得時刻とを受信し、電波強度格納部123に格納する。
電波発信端末属性情報格納部121は、(電波発信端末ID,携帯ユーザ名)の2つ組データを格納する。携帯ユーザ名は、電波発信端末を携帯しているユーザ名が格納される。
電波傍受端末属性情報格納部122は、(電波傍受端末ID,存在エリア)の2つ組データを格納する。存在エリアには、例えば「山田席」、「鈴木席」といったエリアの名前が格納される。
電波強度格納部123は、(電波発信端末ID,電波傍受端末ID,電波強度,電波強度取得時刻)の4つ組データを格納する。
操作部130は、電波発信端末属性情報格納部121及び電波傍受端末属性情報格納部122に格納される情報を入力可能とする。例えば、操作部130は、管理者等によって電波傍受端末属性情報格納部122の存在エリアや電波発信端末属性情報格納部121のユーザ名を入力可能とする。操作部130としては、キーボードやマウスなどが有効である。
存在エリア推定部140は、電波強度格納部123から、電波発信端末ID毎に、ある一定時間幅に各電波傍受端末で取得された電波強度を少なくとも一つ以上取得する。各電波傍受端末で取得された電波強度が2つ以上存在する場合には、それらの平均値、中間値、最大値を用いる。中間値(メジアン)とは、データを昇順に並べた場合に真ん中に来る値である(ただし、データ数が偶数の場合はその2つの平均値)。その上で電波強度が最大の電波傍受端末を最近傍電波傍受端末と特定し、最近電波傍受端末IDを電波発信端末ID、推定を行う時間幅のうちの最新時刻(以下において、「推定時刻」という。)と関連づけて、電波発信端末存在エリア格納部124に格納する。
このように、複数の電波傍受部41a、41bで電波発信端末10からの電波を傍受した場合、存在エリア推定部140は、過去の履歴を含めた複数の電波強度を用いて、最近傍電波傍受端末のエリアを電波発信端末10の存在エリアと推定する。
又、存在エリア推定部140は、過去の履歴ではなく、電波傍受部41a、41bによって取得された最新の電波強度を用いて、電波発信端末10の存在エリアを推定してもよい。
更に、エリア推定装置100の電波強度受信部110は、電波発信端末10から電波を受信した時刻を、電波受信端末30からも取得してもよい。この場合、存在エリア推定部140は、電波受信端末30が電波を受信した時刻と同時刻もしくはそれに最も近い時刻に取得された電波強度が最も強い電波傍受端末40a、40bの存在エリアを、電波発信端末10の存在エリアと推定してもよい。
そして、存在エリア推定部140は、電波発信端末属性情報格納部121及び電波傍受端末属性情報格納部122から電波発信端末の携帯ユーザ名及び最近傍電波傍受端末の存在エリアを取得し、推定時刻と関連づけて表示部150に表示する。
電波発信端末存在エリア格納部124は、(電波発信端末ID,電波傍受端末ID,推定時刻)の3つ組データを格納する。
表示部150は、存在エリア推定部140によって推定された電波発信端末の存在エリアと推定時刻を表示する。表示部150としては、モニタなどの画面が有効であり、液晶表示装置(LCD)、発光ダイオード(LED)パネル、エレクトロルミネッセンス(EL)パネル等が使用可能である。
(エリア推定方法)
続いて、第1の実施形態に係るエリア推定方法について、図2を用いて説明する。
第1の実施形態に係るエリア推定装置100を動作させるにあたっては、まず、端末の属性情報を登録する(S101)。具体的には、管理者が操作部130を介して、電波傍受端末属性情報格納部122に電波傍受端末40a、40bのMACアドレスと存在エリアを登録する。図3に、電波傍受端末属性情報格納部122に格納された傍受端末情報の例を示す。又管理者が操作部130を介して、電波発信端末属性情報格納部121に電波発信端末10のMACアドレスと携行者名を登録する。図4に電波発信端末属性情報格納部121に格納された発信端末情報の例を示す。
後述する所望パケットの抽出処理を電波傍受端末で実施する場合には、ここで登録された電波発信端末の属性情報は、電波発信端末属性情報格納部121への登録処理をトリガーとして、各電波傍受端末の電波発信端末属性情報格納部45a、45bにも登録される。
次に、電波発信端末10が電波を発信する(S102)。具体的には、電波発信端末10が電波受信端末30にICMP Echo Requestパケットを発信する。ここで、エリア推定装置100もしくは電波傍受端末40a、40bが電波受信端末30を兼ねても良い。ICMP Echo Requestパケットを送信する間隔はT0秒おきに定期的に発信しても良く、長期周期T1秒毎に短期周期T2秒間隔でNdp回発信しても良い。または、ユーザがボタンを押すなどの明示的な動作をトリガーとしてICMP Echo Requestパケットを発信するのでも良い。
次に、電波発信端末10が発信したICMP Echo Requestパケットを電波傍受端末40a、40bは傍受し、パケット情報とその電波強度を取得する(S103)。電波強度は、無線LANカードのデバイスドライバにアクセスすることで取得可能である。Windows(登録商標)の場合には、NDIS対応の無線LANカードに対して、DeviceIoControl等の関数を利用することにより取得できる。Linuxの場合には、Procfilesystem上から該当ファイルを読み込むことで取得できる。
無線ネットワーク上には電波発信端末10が発信したICMP Echo Requestパケット以外のパケットも流れていることから、傍受したパケットから所望のパケットを抽出する必要がある。この抽出処理については、エリア推定装置が実施しても良く、電波傍受端末が実施しても良い。電波傍受端末が実施する場合について以下で述べる。
インフラストラクチャモードの場合、抽出するパケットの条件としては、IP層におけるパケット送信端末のMACアドレス、宛先端末のMACアドレスがそれぞれ電波発信端末のMACアドレス、電波受信端末のMACアドレスであること、MAC層における送信端末のMACアドレス、受信端末のMACアドレスがそれぞれ電波発信端末のMACアドレス、アクセスポイントのMACアドレスであることが挙げられる。一方、アドホックモードの場合、抽出するパケットの条件としては、MAC層における送信端末のMACアドレス、受信端末のMACアドレスがそれぞれ電波発信端末のMACアドレス、電波受信端末のMACアドレスであることが挙げられる。
パケット情報から所望のパケットのみを抽出する処理については、デバイスドライバから出力されたパケットに対して実施するのでも良いが、デバイスドライバ内で行う方がより望ましい。しかし電波発信端末の数が膨大になると、デバイスドライバで保持することが困難である。そのような場合には、デバイスドライバ内で宛先MACアドレスによる抽出を行い、その後、送信元MACアドレスによる抽出を行うことが望ましい。
次に、エリア推定装置100は、電波傍受端末40a、40bから取得した電波強度を格納する(S104)。具体的には、電波傍受端末40a、40bは、電波傍受部41a、41bで取得した電波発信端末10とそれが発信したパケットの電波強度に加えて、自電波傍受端末40a、40bを一意に特定するMACアドレスと、時刻管理部42a、42bから取得した電波強度の取得時刻とを関連づけて、電波強度送信部43a、43bから有線ネットワークを経由してエリア推定装置100に送信する。エリア推定装置100では、電波強度受信部110において、電波発信端末IDと、電波傍受端末IDと、電波強度と、取得時刻とを受信し、電波強度格納部123に格納する。前述した所望パケットの抽出処理をエリア推定装置で実施する場合には、電波強度格納部に格納する前に、上述した抽出処理を実施する。電波強度格納部123に格納された電波強度情報の例を図5に示す。
次に、エリア推定装置100は、取得した電波強度から電波発信端末10の存在エリアを推定する(S105)。具体的には、定期的に、あるいは電波強度格納部123に新たな電波強度情報が格納されたことをトリガーとして、各電波傍受端末40a、40bに対して現在の時刻から過去N秒間に取得された電波強度を電波強度格納部123より取得する。ここで、各電波傍受端末40a、40bにおいて少なくとも1つ以上の電波強度が得られるようにNを設定する。ある電波傍受端末について複数の電波強度が得られた場合には、存在エリア推定部140は、平均値、中間値、最大値を計算し、それを当該電波傍受端末の電波強度とする。そして電波傍受端末間で電波強度を比較し、最大値を有する電波傍受端末を最近傍電波傍受端末とする。存在エリア推定部140では、電波発信端末存在エリア格納部124に、電波発信端末ID、最近傍電波傍受端末ID、推定時刻を格納する。
電波発信端末存在エリア格納部124に格納された推定エリア情報の例を図6に示す。図6の例では、図5で示した電波強度格納部123を用いて、推定を開始した時刻を2005-11-1-08:01:50:11とし、N=2とした場合である。この場合、2005-11-1-08:01:50:10〜2005-11-1-08:01:50:11に取得された電波強度を用いて最近傍電波傍受端末を特定している。更に、存在エリア推定部140は、電波発信端末10の携帯ユーザ名及び最近傍電波傍受端末の存在エリアを電波発信端末属性情報格納部121及び電波傍受端末属性情報格納部122から取得し、表示部150に表示する。この場合、表示部150には、「鈴木氏−鈴木席」、「吉田氏−吉田席」と表示される。
又、エリア推定装置100は、過去の履歴ではなく、電波傍受部41a、41bによって取得された最新の電波強度を用いて、電波発信端末10の存在エリアを推定してもよい。例えば、図5で示した電波強度格納部123において、最新の時刻である2005-11-1-08:01:50:11における電波強度を用いて、電波発信端末10の存在エリアを推定する。
更に、エリア推定装置100は、電波発信端末10から電波を受信した時刻を、電波受信端末30からも取得してもよい。この場合、エリア推定装置100は、電波受信端末30が電波を受信した時刻と同時刻もしくはそれに最も近い時刻に取得された電波強度が最も強い電波傍受端末40a、40bの存在エリアを、電波発信端末10の存在エリアと推定してもよい。
(作用及び効果)
第1の実施形態に係るエリア推定システム及びエリア推定方法によると、エリア推定対象の電波発信部11が電波受信部31に向けて発信した電波を電波傍受部41a、40bで傍受し、電波強度を取得する。そして、各電波傍受部41a、40bで取得した電波強度を比較し、最近傍と判断された電波傍受部の存在エリアを、位置推定対象の電波発信端末10の存在エリアとすることで、人や物の移動により電波強度が頻繁に変化する環境において、事前の学習をすることなく、電波発信端末10が存在するエリアを推定することができる。
又、存在エリア推定部140は、複数の電波傍受部41a、41bで電波発信部11からの電波を傍受した場合、電波強度が最も強い電波傍受部41a、41bの存在エリアを、電波発信端末10の存在エリアと推定する。このため、各電波傍受部41a、41bの電波強度の値のみを比較し、最大値の電波傍受部の存在エリアを推定エリアとすることにより、エリア推定に必要な処理量を軽減するという効果がある。
又、第1の実施形態に係るエリア推定システムは、現在の時刻情報を発信する時刻管理部42a、42bを備え、電波強度格納部123は、電波強度と、電波発信端末IDと、電波傍受端末IDと、時刻管理部によって取得された電波傍受部が電波を傍受した時刻情報とを関連づけて格納する。このため、時刻情報に応じて、電波発信端末が存在するエリアの推定を行うことができる。
又、存在エリア推定部140は、電波傍受部41a、41bによって取得された過去の履歴を含めた複数の電波強度を用いて、電波発信端末10の存在エリアを推定する。このように、過去の電波強度履歴も用いて電波強度が最も強い電波傍受部41a、41bを特定することにより、人やモノの移動等に起因する一時的な電波の乱れに対しても耐性をもったエリア推定が可能であるという効果がある。
又、存在エリア推定部140は、電波傍受部41a、41bによって取得された最新の電波強度を用いて、電波発信端末10の存在エリアを推定してもよい。この場合、常に最新の電波強度を用いてエリア推定を行うことが可能であり、エリア推定対象の電波発信端末10の最新エリアを特定することが可能であるという効果がある。
又、存在エリア推定部140は、特定の電波受信端末30が電波を受信した時刻と同時刻もしくはそれに最も近い時刻に取得された電波強度が最も強い電波傍受部41a、41bの存在エリアを、電波発信端末10の存在エリアと推定してもよい。この場合、各電波傍受部41a、41bにおいて同時刻又は最も近い時刻に取得された電波強度を比較することにより、より高確度で存在エリアを推定することが可能である。
又、第1の実施形態に係るエリア推定システムにおいて、電波傍受端末40a、40bとエリア推定装置とを接続するネットワークは有線である。このように、電波傍受部41a、41bは有線ネットワークを介して取得した電波強度を電波強度受信部110へ送信するため、無線ネットワークの帯域を圧迫することを防ぐことが可能である。
(変形例)
続いて、第1の実施形態に係るエリア推定装置の変形例について説明する。
上記実施形態に係るエリア推定システムは、屋内基地局20を備えていたが、屋内基地局20が無くても電波発信端末10と電波受信端末30間をアドホックモードで接続すれば、エリア推定装置100を稼働することが可能である。この変形例の構成図を図7に示す。このような構成にすることで、屋内基地局20を用いることなく端末のみでエリア推定システムを構築することができるという効果がある。
又、上記実施形態に係るエリア推定システムは、中継装置50を備えていたが、中継装置50が無くても電波傍受端末40a、40bとエリア推定装置100間の通信を無線ネットワークで行うことにより、エリア推定装置100を稼働することが可能である。このような構成にすることで、特に有線ネットワークを有しない環境においても利用することが可能となる。
又、上記実施形態に係るエリア推定システムにおいて、存在エリアが未知である電波発信端末10から電波受信端末30に向けてICMP Echo Requestパケットを発信していた。しかし、電波受信端末30もしくはエリア推定装置100が電波発信端末属性情報格納部から電波発信端末のIPアドレスを取得し、当該電波発信端末10へICMP Echo Requestパケットを発信し、その応答パケットであるICMP Echo Replyパケットを電波傍受端末40a、40bで傍受し、電波強度を取得することでエリア推定を行うことも可能である。そのためには事前に、管理者が電波発信端末属性情報格納部において、電波発信端末IDに対応するIPアドレスを格納する。電波発信端末属性情報格納部の例を図8に示す。このような構成にすることで、存在エリアが未知である電波発信端末10が携帯電話等であり、電波発信のプログラム等を実行することが困難な場合にも、特に改善等を行うことなくエリア推定を行うことが可能である。
外出等の理由でICMP Echo Requestパケットを送信できない電波発信端末10に対しては、ICMP Echo Requestパケットを設定回数だけ送信できなかった時点で、ICMP Echo Requestパケットの送信を停止する。送信を停止した電波発信端末については、設定時間後に再度ICMP Echo Requestパケットを送信するようにするか、管理者からの明示的な要求に基づいて再度ICMP Echo Requestパケットを送信するようにすると良い。
更に、エリア推定装置が電波発信端末へICMP Echo Requestパケットを送信する際にも、全ての全波発信端末へ送信する場合にはブロードキャストパケットを利用することにより、無線ネットワーク区間のトラフィックを軽減することができる。
又、上記実施形態に係るエリア推定システムにおいて、存在エリアが未知である電波発信端末10から電波受信端末30に向けてICMP Echo Requestパケットを発信していたが、存在エリアが未知である電波発信端末10が発信する電波であれば何でも良い。例えば、電波発信端末が通常定期的に発信しているProbeRequest等のマネージメントパケットやPS-Poll等の制御パケット、及び電波発信端末がデータ通信を行う際のデータパケット等を利用してエリアを推定することも可能である。このようにすることで、エリア推定のための通信量を減らすことが可能である。
又、上記実施形態に係るエリア推定システムにおいて、電波傍受端末40a、40bの電波強度送信部43a、43bは、ある時間幅に取得した電波強度列を送信するが、電波強度送信部43a、43bは、ある時間幅に取得した電波強度列の平均値、中間値、最大値を計算し、その計算結果を、電波発信端末10を一意に特定するMACアドレスと、自電波傍受端末40a、40bを一意に特定するMACアドレスと、時刻管理部42a、42bから取得した電波強度の取得時刻とを関連づけて送信することも可能である。このようにすることで、電波強度送信のための通信量を減らすことが可能である。
又、上記実施形態に係るエリア推定システムにおいて、電波傍受端末40a、40bの電波強度送信部43a、43bは、電波傍受部41a、41bで取得した電波強度とその関連情報を電波強度送信部43a、43bからエリア推定装置100に非同期で送信していた。しかし、電波強度受信部110が電波強度を送信するタイミングを制御しても良い。具体的には、管理者が予め電波傍受端末属性格納部に新たに各電波傍受端末IDに対するIPアドレスを登録する。電波傍受端末属性格納部の例を図9に示す。そして、電波強度受信部110が電波傍受端末格納部に登録された電波傍受端末の電波強度送信部へ送信要求を出し、送信要求を受けた電波強度送信部が電波強度受信部110に取得した電波強度とその関連情報を送信する。送信制御の方法としては、電波傍受端末全体で同時に一台の電波強度送信部しか送信要求を与えないようにしても良く、中継装置もしくは屋内基地局に接続している電波傍受端末集合に対して、同時に一台の電波強度送信部しか送信要求を与えないようにしても良い。又、電波傍受端末属性格納部に登録されている電波傍受端末のいくつかは動作していない可能性があるため、送信要求に対する返答が設定回数返ってこなかった場合には、送信要求対象から外す。送信要求対象から外した電波傍受端末については、設定時間後もしくは管理者の明示的な要求により再度、送信要求を送信する。
このように構成することで、特に電波傍受端末40a、40bとエリア推定装置100間の通信を無線ネットワークで行う場合には、電波強度送信部から電波強度受信部へ送信されるパケットの衝突・再送を防ぐことができ、パケット再送によるネットワークのトラフィック増大を防ぐことが可能となる。
又、上記実施形態に係るエリア推定システムにおいて、電波傍受端末40a、40bは電波傍受部41a、41bをそれぞれ一つ有することを前提としていたが、電波傍受端末が複数の電波傍受部を有しても良い。物理的には電波傍受部をUSB型の無線LANアダプタとすることで、電波傍受端末に複数の電波傍受部を搭載することは可能である。又、USBハブやUSB延長ケーブルを利用することにより、距離的に離れた複数のエリアに対応づけることが可能である。このように構成することで、電波傍受端末の台数を軽減することができ、ハードウェアコストを低下することが可能となる。
更に、電波傍受端末が複数の電波傍受部を有する場合、電波強度送信部は各電波傍受部で取得した電波発信端末の電波強度を送信する必要がある。ただし各電波発信端末に対して、同一の電波傍受端末に接続されている全ての電波傍受部で取得された受信レベルを比較し、電波強度最大の電波傍受部についてのみ、電波強度を電波発信端末ID、電波傍受端末IDと関連づけて送信するようにしても良い。このように構成することで、エリア推定装置に送信するデータ量を削減することができ、トラフィック量を軽減することができる。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、存在エリア推定部140は、ある電波傍受端末40a、40bについて複数の電波強度が得られた場合には、平均値、中間値、最大値等を計算し、これらを当該電波傍受端末の電波強度としていた。
第2の実施の形態では、電波強度時間変動度比較部141を追加することで、存在エリア推定部140は、各電波傍受端末40a、40bの時間変動度により、最近傍電波傍受端末を特定する。
(エリア推定システム)
第2の実施の形態に係るエリア推定システムは、図10に示すように、電波発信端末10と、屋内基地局20と、電波受信端末30と、電波傍受端末40a、40bと、中継装置50と、エリア推定装置100とを備える。電波発信端末10、屋内基地局20、電波受信端末30、電波傍受端末40a、40b、中継装置50については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
又、エリア推定装置100は、電波強度受信部110と、格納部120と、操作部130と、存在エリア推定部140と、表示部150とを備える。電波強度受信部110、格納部120、操作部130、表示部150については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
存在エリア推定部140は、電波強度時間変動度比較部141を備える。
電波強度時間変動度比較部141は、各電波傍受端末40a、40bで取得された各電波発信端末10の電波強度列に対して、時間変動度を算出する。電波傍受端末Yで現在時刻から過去N秒間に取得された電波発信端末Xの電波強度列[XY1,…, XYn]の時間変動度は、以下の式によって算出される。
Figure 0004445951
ただし、
Figure 0004445951
は、[XY1,…, XYn]の平均値を表す。
そして、存在エリア推定部140は、各電波傍受端末40a、40b間で時間変動度を比較し、時間変動度が最大の電波傍受端末を最近傍電波傍受端末とする。
(エリア推定方法)
続いて、第2の実施形態に係るエリア推定方法について、図2を用いて説明する。
ステップS101〜ステップS104については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、エリア推定装置100は、取得した電波強度から電波発信端末10の存在エリアを推定する(S105)。具体的には、定期的に、あるいは電波強度格納部123に新たな電波強度情報が格納されたことをトリガーとして、各電波傍受端末40a、40bに対して現在の時刻から過去N秒間に取得された電波強度を電波強度格納部123より取得する。そして、エリア推定装置100は、各電波傍受端末40a、40bで取得された各電波発信端末10の電波強度列に対して、時間変動度を算出する。そして、各電波傍受端末40a、40b間で時間変動度を比較し、時間変動度が最大の電波傍受端末を最近傍電波傍受端末とする。
(作用及び効果)
第2の実施の形態に係る推定システムによると、過去の電波強度履歴の変化量を用いて、最も時刻変化の激しい電波傍受端末を特定することにより、電波発信端末が最近傍に存在することに起因する電波強度の揺れを逆に利用することが可能である。このため、電波発信端末の携行者の動きに起因する電波の乱れに対しても耐性をもったエリア推定が可能になり、高確度な推定が可能となる。
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態では、存在エリア推定部140はある電波傍受端末について複数の電波強度が得られた場合には、平均値、中間値、最大値、分散等を計算し、当該電波傍受端末の電波強度とし、それを比較することで最近傍端末を特定していた。
第3の実施の形態では、確信度決定部142を追加することで、存在エリア推定部140は、各電波傍受端末40a、40bにおける電波強度の平均値、中間値、最大値、分散等の特徴量に対して、これらの差の大きさを特定する確信度により、利用者の要求する信頼性を満たす推定エリアのみを出力する。
(エリア推定システム)
第3の実施の形態に係るエリア推定システムは、図11に示すように、電波発信端末10と、屋内基地局20と、電波受信端末30と、電波傍受端末40a、40bと、中継装置50と、エリア推定装置100とを備える。電波発信端末10、屋内基地局20、電波受信端末30、電波傍受端末40a、40b、中継装置50については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
又、エリア推定装置100は、電波強度受信部110と、格納部120と、操作部130と、存在エリア推定部140と、表示部150とを備える。電波強度受信部110、格納部120、操作部130、表示部150については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
存在エリア推定部140は、確信度決定部142を備える。
確信度決定部142は、各電波傍受端末40a、40bで取得された各電波発信端末10の電波強度列から特徴量を算出し、これらの差の大きさを特定する確信度を算出する。特徴量とは、電波強度列の平均値、中間値、最大値、分散等である。電波傍受端末TMjで現在時刻から過去N秒間に取得された電波発信端末MBkの電波強度列の特徴量FQ(MBk,TMj,N)に対する確信度は、以下の式(2)又は(3)によって算出される。
Figure 0004445951
Figure 0004445951
ただし、
Figure 0004445951
は、電波傍受端末集合[TM1,…,TMm]で取得された電波発信端末MBkの特徴量[FQ(MBk,TM1,N),…,FQ(MBk,TMm,N)]の平均値を表す。又は、TMj以外の電波傍受端末集合[TM1,…,TMj-1,TMj+1,…,TMm]で取得された電波発信端末MBkの特徴量[FQ(MBk,TM1,N),…,FQ(MBk,TMj-1,N),FQ(MBk,TMj+1,N),…,FQ(MBk,TMm,N)]の平均値を表す。又、Constは定数を表す。又、電波傍受端末については電波発信端末の近辺に存在する電波傍受端末に限定するとより効果的である。これは、例えば、電波発信端末の電波強度が上位M個の電波傍受端末を利用する等により限定することが可能である。
そして、存在エリア推定部140は、確信度を各電波傍受端末40a、40bに対して算出し、閾値と比較する。閾値を超える確信度を有する電波傍受端末が1つ以上存在する場合には、その電波傍受端末IDと確信度を電波発信端末存在エリア格納部124に格納する。図12は、電波発信端末ID「00:11:22:33:44:A1」の電波発信端末に対して閾値を超える電波傍受端末が「00:11:22:33:44:02」と「00:11:22:33:44:03」との2つ存在する場合の例である。この場合、表示部150には、「鈴木氏−鈴木席,吉田席付近」と表示される。一方、閾値を超える確信度を有する電波傍受端末が1つも存在しない場合には、閾値を下げるか、閾値を超える確信度を有する電波傍受端末が存在するまで以下のいずれか、もしくは複数の手法を採用する。
1)確信度最大の電波傍受端末IDと確信度を電波発信端末存在エリア格納部124に格納する。
2)α秒間待ち、現在時刻から過去(N+α)秒間に取得された電波強度列を利用して再計算する。
3)N秒間待ち、現在時刻から過去N秒間に取得された電波強度列を利用して再計算する。
4)N秒間待ち、現在時刻から過去N秒間に取得された電波強度列を利用して再計算し、前回の確信度との和を取る。
(エリア推定方法)
続いて、第3の実施形態に係るエリア推定方法について、図2を用いて説明する。
ステップS101〜ステップS104については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、エリア推定装置100は、取得した電波強度から電波発信端末10の存在エリアを推定する(S105)。具体的には、定期的に、あるいは電波強度格納部123に新たな電波強度情報が格納されたことをトリガーとして、各電波傍受端末40a、40bに対して現在の時刻から過去N秒間に取得された電波強度を電波強度格納部123より取得する。そして、エリア推定装置100は、各電波傍受端末40a、40bで取得された各電波発信端末10の電波強度列から特徴量を算出し、これらの差の大きさを特定する確信度を算出する。そして、エリア推定装置100は、確信度を各電波傍受端末40a、40bに対して算出し、閾値と比較し、閾値を超える確信度を有する電波傍受端末が1つ以上存在する場合には、その電波傍受端末IDと確信度を電波発信端末存在エリア格納部124に格納する。
(作用及び効果)
第3の実施形態に係るエリア推定システム及びエリア推定方法によると、利用者の要求する信頼性を満たす推定結果のみ出力することができる。又、利用者の要求に応じて存在エリア推定を実施する場合、各電波傍受端末で複数の電波強度を取得するために存在エリア推定要求後に数秒間待たなければならないが、確信度決定手段によって利用者の要求する信頼性(確信度)を満たすための最低限の履歴データ数を特定することができ、できる限りリアルタイムなエリア推定が可能である。更に、利用者が要求する信頼性(確信度)を満たす電波傍受端手段が複数存在する場合には、それらを出力することで複数のエリアに跨った、もしくは中間に存在する場合にも適切に推定することができる。
又、存在エリア推定部140は、第1〜第3の実施の形態において説明した、電波強度が最大である電波傍受端末を特定する手法、時間変動度最大の電波傍受端末を特定する手法、あるいは、確信度が閾値を超えた電波傍受端末を特定する手法を組み合わせて利用することも可能である。このように組み合わせて利用することにより、更に、高確度なエリア推定を実現することができる。
<第4の実施の形態>
第1の実施の形態では、存在エリア推定部140は、1秒おきといった静的な時間間隔でエリア推定を実施していた。又、エリア推定に利用する電波強度の履歴数も一定であった。
第4の実施の形態では、エリア推定頻度決定部を追加することで、電波発信部の存在エリアもしくは/及び電波発信部の属性情報に基づいてエリア推定頻度を決定する。又、滞在・移動判定部を追加することで、電波発信部を携行するユーザがエリア滞在中かエリア移動中かを判定し、エリア推定頻度決定部はその判定結果に基づいてエリア推定頻度を決定する。更に、利用電波強度履歴数決定部を追加することで、ユーザがエリア滞在中かエリア移動中に基づいて利用する電波強度履歴数を決定する。
(エリア推定システム)
第4の実施の形態に係るエリア推定システムは、図13に示すように、電波発信端末10と、屋内基地局20と、電波受信端末30と、電波傍受端末40a、40bと、中継装置50と、エリア推定装置100とを備える。電波発信端末10、屋内基地局20、電波受信端末30、電波傍受端末40a、40b、中継装置50については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
又、エリア推定装置100は、電波強度受信部110と、格納部120と、操作部130と、存在エリア推定部140と、表示部150と、エリア推定頻度決定部160と、滞在・移動判定部180と、利用電波強度履歴数決定部19とを備える。電波強度受信部110、格納部120、操作部130、表示部150については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
滞在・移動判定部180は、電波発信端末10のエリア移動もしくはエリア滞在を判定する。具体的には、滞在・移動判定部180は、存在エリア推定部140が、エリア推定実施後に電波発信端末存在エリア格納部124及び電波傍受端末属性情報格納部122を参照し、現在時刻から過去Ts秒間の間に推定された当該電波発信端末の存在エリアが同一であれば「エリア滞在中」と判定する。ここで、Tsは少なくとも電波発信端末存在エリア格納部124に推定結果がひとつ以上含まれるように設定する。そして存在エリアが同一でなければ、滞在・移動判定部は、電波発信端末10が「エリア移動中」と判定する。
又は、滞在・移動判定部180は、電波発信端末の近傍に存在する電波傍受端末で取得された当該電波発信端末の電波強度もしくは確信度の時間変化からエリア滞在中かエリア移動中かを判定する。近傍の電波傍受端末集合の少なくとも1つにおいて、現在時刻から過去Tsd秒間の間、当該電波発信端末の電波強度もしくは確信度が閾値THsdを超えていれば、エリア滞在中と判定する。一方、エリア滞在中と判定されず、かつ、近傍の電波傍受端末集合の少なくとも1つもしくは2つにおいて、当該電波発信端末の電波強度もしくは確信度が閾値THmdを下回れば、エリア移動中と判定する。
エリア推定頻度決定部160は、滞在・移動判定部180の判定結果に基づき、エリア推定頻度を決定する。
1) エリア移動中:基本エリア推定間隔
2) エリア滞在中:min(基本エリア推定間隔の定数倍,最大許容エリア推定間隔)もしくはmin(基本エリア推定間隔のn倍,最大許容エリア推定間隔)
ここで基本エリア推定間隔は事前に設定しておく。nはエリア推定頻度決定部がエリア移動中・エリア滞在中の判定を実施し「エリア滞在中」と判定された回数である。
なお、ICMP Echo Request信号/ICMP Echo Reply信号の送信は、上記で決定したエリア推定頻度毎にTdp秒間隔でNp回送信する。Tdpについては、リアルタイム性とシステム負荷を勘案した上で事前に設定し、Npについてはノイズに耐えうるエリア推定に必要な電波強度データ数を勘案した上で事前に設定する。最適なTdp,Npについては実験的に得られるものであり、Tdp=0.5〜1秒,Np=1〜10に設定することが妥当である。さらに滞在時と移動時でそれぞれTdp及びNpを設定しても良い。
又、エリア推定時に利用する履歴データの時間範囲Nについては、一回のエリア推定に対して送信されたICMP Echo Request信号の電波強度をすべて利用できる秒数と(現在時刻−エリア変更時刻)の小さい方を取ることが有用である。
前者については、すなわちN > Tdp×Np+αであることが望ましい。αはICMP Echo Request信号の遅延時間を表す。後者について、エリア変更時刻は、電波発信端末存在エリア格納部124において、最近傍電波傍受端末が変化した最新の時刻を指す。
利用電波強度履歴数決定部190は、ユーザがエリア滞在中かエリア移動中に基づいて利用する電波強度履歴数を決定する。
又、存在エリア推定部140は、エリア推定頻度決定部160によって決定された頻度に応じて、存在エリアの推定を行う。存在エリア推定部140のその他の機能については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
(エリア推定方法)
続いて、第4の実施形態に係るエリア推定方法について、図14を用いて説明する。
ステップS201については、図2のステップS101と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、電波発信端末10が電波を発信する(S202)。具体的には、電波発信端末10が電波受信端末30にICMP Echo Requestパケットを発信する。ここで、エリア推定装置100もしくは電波傍受端末40a、40bが電波受信端末30を兼ねても良い。ICMP Echo Requestパケットを送信する間隔はエリア推定頻度決定部によって決定された推定頻度とする。もしくはエリア推定頻度決定部によって決定された推定頻度毎に短期周期T2秒間隔でNdp回発信しても良い。
ステップS203〜ステップS205については、図2のステップS103〜ステップS105と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、エリア推定装置100は、電波発信端末10のエリア移動もしくはエリア滞在を判定する(S206)。具体的には、滞在・移動判定部180は、エリア推定実施後に電波発信端末存在エリア格納部124及び電波傍受端末属性情報格納部122を参照し、現在時刻から過去Ts秒間の間に推定された当該電波発信端末の存在エリアが同一であれば「エリア滞在中」と判定する。ここで、Tsは少なくとも電波発信端末存在エリア格納部124に推定結果がひとつ以上含まれるように設定する。そして存在エリアが同一でなければ、滞在・移動判定部180は、電波発信端末10が「エリア移動中」と判定する。そして、エリア滞在中およびエリア移動中のそれぞれについて、ICMP Echo Request信号/ICMP Echo Reply信号の送信頻度、及びエリア推定頻度を決定する。
次に、エリア推定装置100は、電波発信端末10のエリア移動もしくはエリア滞在に基づき、エリア推定頻度を決定する(S207)。具体的には、上記滞在・移動判定部180において電波発信端末10がエリア移動中であると判定されれば、エリア推定頻度決定部160は、移動時のエリア推定頻度及びICMP Echo Request信号の送信頻度を設定する。一方、エリア滞在中であると判定されれば、滞在時のエリア推定頻度及びICMP Echo Request信号の送信頻度を設定する。ここで一般的には移動時のエリア推定頻度>滞在時のエリア推定頻度、移動時のICMP Echo Request信号の送信頻度>滞在時のICMP Echo Request信号の送信頻度と設定するのが望ましい。
同時に、エリア推定装置100は、電波発信端末10のエリア移動もしくはエリア滞在に基づき、利用する電波強度履歴を決定する(S208)。具体的には、上記多罪・移動判定部において電波発信端末10がエリア移動中であると判定されれば、利用電波強度履歴数決定部190は、移動時の履歴数を設定する。一方、エリア滞在中であると判定されれば、滞在時の履歴数を設定する。ここで一般的には移動時の履歴数<滞在時の履歴数と設定するのが望ましい。
(作用及び効果)
第4の実施の形態に係るエリア推定システム及びエリア推定方法によると、電波発信端末10がエリア移動中かエリア滞在中かによってエリア推定頻度を動的に変更することができる。その結果、主にエリア滞在中において、推定頻度を減らすことができ、ネットワークトラフィック及びシステムへの負荷を軽減することができる。
(変形例)
又、第4の実施形態では、エリア推定頻度決定部160はユーザがエリア滞在中かエリア移動中かを判定することで、エリア推定頻度を動的に変更していた。これに加え、第3の実施の形態において説明した確信度決定部142が算出した、各電波傍受端末の確信度に応じて、エリア推定頻度を決定してもよい。
まず、確信度決定部142によって算出された確信度が閾値を超えた電波傍受端末に対して、確信度決定部142は確信度の低下幅を算出する。具体的には、電波発信端末存在エリア格納部124を参照し、各電波発信端末10に対して、最近傍電波傍受端末及びその確信度を取得する。そして、次回エリア推定時に、再度最近傍電波傍受端末及びその確信度を取得し、最近傍電波傍受端末が同一であれば、以下の式により確信度低下幅を算出する。
確信度低下幅 = 前回の確信度−今回の確信度
次に、確信度低下幅によってエリア推定頻度を再設定する。具体的には以下の2つの手法が考えられる。
1)確信度低下幅が閾値以上:基本エリア推定間隔
確信度低下幅が閾値以下:min(基本エリア推定間隔の定数倍,最大許容エリア推定間隔)もしくはmin(基本エリア推定間隔のn倍,最大許容エリア推定間隔)
2)確信度低下幅>0の場合:現在のエリア推定間隔/(確信度低下幅×Const)
確信度低下幅<0の場合:現在のエリア推定間隔×|確信度低下幅|×Const
ここで、基本送信間隔は事前に設定しておく。nは、エリア推定頻度決定部がエリア移動中・エリア滞在中の判定を実施し、「エリア滞在中」と判定された回数であり、確信度低下幅は、確信度低下幅の絶対値を、Constは、定数を表す。
上記の構成によると、電波発信端末10が最近傍電波傍受端末の付近に滞在する場合にはエリア推定頻度を減らすことができ、ネットワークトラフィック及びシステムへの負荷を軽減することができる。更に、本手法では確信度の低下幅を用いることで電波発信端末のエリア移動を事前に予測してエリア推定頻度を上げることが可能であり、エリア移動時のリアルタイムな推定が可能である。
<第5の実施の形態>
第4の実施の形態では、エリア推定頻度決定部160は、ユーザやエリアの属性を考慮していなかった。
第5の実施の形態では、エリア推定頻度決定部126を追加することで、電波発信端末や電波傍受端末の属性情報もしくは電波発信端末の存在エリアに基づき適切な頻度でエリア推定を実施する。
(エリア推定システム)
第5の実施の形態に係るエリア推定システムは、図15に示すように、電波発信端末10と、屋内基地局20と、電波受信端末30と、電波傍受端末40a、40bと、中継装置50と、エリア推定装置100とを備える。電波発信端末10、屋内基地局20、電波受信端末30、電波傍受端末40a、40b、中継装置50については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
又、エリア推定装置100は、電波強度受信部110と、格納部120と、操作部130と、存在エリア推定部140と、表示部150と、エリア推定頻度決定部160とを備える。電波強度受信部110、操作部130、表示部150については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
エリア推定頻度決定部160は、電波発信端末属性情報格納部121を参照し、電波発信端末10の属性情報を取得する。更に電波発信端末存在エリア格納部124を参照し、電波発信端末10の存在エリアを取得する。そしてエリア推定頻度格納部126を参照し、電波発信端末10の属性情報および/もしくは存在エリアに対応する推定頻度を取得することで、エリア推定頻度を決定する。
格納部120は、電波発信端末属性情報格納部121、電波傍受端末属性情報格納部122、電波強度格納部123、電波発信端末存在エリア格納部124、エリア推定頻度格納部126とを備える。電波発信端末属性情報格納部121、電波傍受端末属性情報格納部122、電波強度格納部123、電波発信端末存在エリア格納部124については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
エリア推定頻度格納部126は、電波発信端末10の属性情報及び/もしくは存在エリアと対応する推定頻度を格納する。エリア推定頻度格納部126の例を図16に示す。ここで携帯ユーザ名や存在エリアには、「山田氏」や「101会議室」といった明示的な人名や場所名を入れても良いし、「社員」や「会議室」といった特定のカテゴリを示す抽象的な名前を入れても良い。この場合、電波発信端末属性情報格納部121や電波傍受端末属性情報格納部122において、抽象的な名前を格納する必要がある。この例を図17及び図18に示す。
(エリア推定方法)
続いて、第5の実施形態に係るエリア推定方法について、図14を用いて説明する。
ステップS201〜205については、第4の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、エリア推定装置100は、電波発信端末10のエリア移動もしくはエリア滞在を判定し、エリア推定頻度を決定する(S207)。具体的にはエリア推定頻度決定部160は、電波発信端末属性情報格納部121を参照し、電波発信端末10の携帯ユーザ名を取得する。又は、エリア推定頻度決定部160は、電波発信端末存在エリア格納部124を参照し、電波発信端末10の存在エリアを取得する。そしてエリア推定頻度格納部126を参照し、携帯ユーザ名や存在エリアに対応する推定頻度を取得することで、エリア推定頻度を決定する。
(作用及び効果)
第5の実施の形態に係るエリア推定システム及びエリア推定方法によると、電波発信端末10の属性情報もしくは存在エリアによってエリア推定頻度を動的に変更することができる。その結果、電波発信端末の属性や存在エリアに応じて、必要最低限の推定頻度を適用することができ、ネットワークトラフィック及びシステムへの負荷を軽減することができる。
<第6の実施の形態>
第1の実施の形態では、存在エリア推定部140は、電波傍受部41a、41bを構成するハードウェアの個体差を考慮していなかった。
第6の実施の形態では、相対電波強度決定部170を追加することで、煩雑なキャリブレーション等を行うことなくハードウェアの個体差を解消し、エリア推定を実施する。
(エリア推定システム)
第6の実施の形態に係るエリア推定システムは、図19に示すように、電波発信端末10と、屋内基地局20と、電波受信端末30と、電波傍受端末40a、40bと、中継装置50と、エリア推定装置100とを備える。電波発信端末10、屋内基地局20、電波受信端末30、電波傍受端末40a、40b、中継装置50については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
又、エリア推定装置100は、電波強度受信部110と、格納部120と、操作部130と、存在エリア推定部140と、表示部150と、相対電波強度決定部170とを備える。又、格納部120は、電波発信端末属性情報格納部121と、電波傍受端末属性情報格納部122と、電波強度格納部123と、電波発信端末存在エリア格納部124と、基準電波強度格納部125とを備える。
電波強度受信部110、電波発信端末属性情報格納部121、電波傍受端末属性情報格納部122、電波強度格納部123、電波発信端末存在エリア格納部124、操作部130、表示部150については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
相対電波強度決定部170は、電波強度格納部123を参照し、各{電波発信端末,電波傍受端末}もしくは各電波傍受手段について基準電波強度を決定する。又は、相対電波強度決定部170は、電波強度格納部123を参照し、電波発信端末10とその携行ユーザの座席エリアにある電波傍受端末の組もしくは各電波傍受端末について基準電波強度を決定する。
基準電波強度は、各{電波発信端末,電波傍受端末}もしくは電波発信端末とその携行ユーザの座席エリアにある電波傍受端末の組もしくは各電波傍受手段の電波強度履歴において、1)最大値、2)上位N%目の値、3)上位N%以内でかつ最頻値のいずれかを採用することが適当である。Nは自由に設定して良いが、1〜20に設定することが適当である。最頻値とは、電波強度履歴を度数分布と見た際に最も出現頻度が高い電波強度である。
このようにして計算された基準値は、電波発信端末ID及び電波傍受端末IDと関連づけて基準電波強度格納部125に格納される。各{電波発信端末,電波傍受端末}に対して基準電波強度を決定した場合の基準電波強度格納部125の例を図20に、各電波傍受端末に対して基準電波強度を決定した場合の基準電波強度格納部125の例を図21に示す。
又、相対電波強度決定部170は、電波傍受部41a、41bによって取得された電波強度を、電波強度受信部110を介して受信する。そして、相対電波強度を計算する。これは以下の式によって計算される。
相対電波強度=電波傍受部で取得された電波強度−基準電波強度
相対電波強度決定部170は、この式によって算出した相対電波強度を、電波発信端末ID、電波傍受端末ID、電波傍受部で取得された電波強度、取得時刻と関連づけて電波強度格納部123に格納する。各{電波発信端末,電波傍受端末}に対して基準電波強度を決定した場合の電波強度格納部123の例を図22に、各電波傍受端末に対して基準電波強度を決定した場合の電波強度格納部123の例を図23に示す。
存在エリア推定部140は、電波強度格納部123に格納された相対電波強度を利用してエリア推定を行う。その他の存在エリア推定部140の機能は、第1の実施の形態と同様であるのでここでは説明を省略する。
(エリア推定方法)
続いて、第6の実施形態に係るエリア推定方法について、図24を用いて説明する。
第6の実施形態に係るエリア推定装置100を動作させるにあたっては、まず、端末の属性情報及び基準電波強度を登録する(S301)。端末の属性情報(電波傍受端末存在エリア)の登録については、第1の実施の形態と同様(図2のステップS101)であるので、ここでは説明を省略する。又、相対電波強度決定部170は、電波強度格納部123を参照し、各{電波発信端末,電波傍受端末}について基準電波強度を決定する。あるいは、相対電波強度決定部170は、電波強度格納部123を参照し、電波発信端末10とその携行ユーザの座席エリアにある電波傍受端末の組について基準電波強度を決定する。あるいは、相対電波強度決定部170は、電波強度格納部123を参照し、各電波傍受端末について基準電波強度を決定する。エリア推定装置100は、このようにして決定した基準電波強度を、基準電波強度格納部125に格納する。
ステップS302及び303については、図2のステップS102及び103と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、エリア推定装置100は、電波傍受端末40a、40bから取得した電波強度及び相対電波強度を格納する(S304)。電波強度の格納については、第1の実施の形態と同様(図2のステップS104)であるので、ここでは説明を省略する。エリア推定装置100は、電波傍受部41a、41bによって取得された電波強度から相対電波強度を計算し、電波強度格納部123に格納する。
次に、エリア推定装置100は、電波強度格納部123に格納された相対電波強度を利用してエリア推定を行う(S305)。
(作用及び効果)
第6の実施の形態に係るエリア推定システム及びエリア推定方法によると、電波傍受部41a、41bを構成するハードウェアの個体差によって取得した電波強度に差異が発生するという課題に対して、各{電波発信端末,電波傍受端末}もしくは各電波傍受端末における基準電波強度を決定しその差分を利用することで、煩雑なキャリブレーション等を行うことなく個体差を解消することができる。更に、存在エリア推定部140は、電波強度が最大の電波傍受端末を最近傍電波傍受端末と特定することから、各{電波発信端末,電波傍受端末}もしくは各電波傍受端末における最近傍時の電波強度、即ち、電波強度履歴の最大値付近を基準電波強度として設定しておくだけで個体差を解消することができる。
(変形例)
又、第6の実施形態では、相対電波強度決定部が基準電波強度を自動的に決定していたが、管理者が操作部から基準電波強度格納部を参照し、事前のキャリブレーション結果に基づいて手動で修正することも可能である。この手法では事前にキャリブレーションを行う必要があるが、より正確な基準値を設定することができ、エリア推定精度を向上することが可能となる。
又、第6の実施形態では、基準電波強度を電波強度値(定数)としていたが、現在の電波強度を引数とした関数として定義することも可能である。各{電波発信端末,電波傍受端末}に対して関数を決定した場合の基準電波強度格納部125の例を図25に、各電波傍受端末に対して関数を決定した場合の基準電波強度格納部125の例を図26に示す。
<第7の実施形態>
第1の実施形態では、存在エリア推定部140は、屋内基地局20が複数存在し、それぞれ異なるチャネルを使用することを想定していない。
第7の実施形態では、チャネル切替部180を追加することで、異なるチャネルを使用する複数の屋内基地局が存在するような環境でも、エリア推定を実施する。
(エリア推定システム)
第7の実施の形態に係るエリア推定システムは、図27に示すように、電波発信端末10と、屋内基地局20a、20bと、電波受信端末30と、電波傍受端末40a、40bと、中継装置50と、エリア推定装置100とを備える。電波発信端末10、屋内基地局20a、屋内基地局20b、電波受信端末30、中継装置50については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
又、電波傍受端末40a、40bは、電波傍受部41a、41bと、時刻管理部42a、42bと、電波強度送信部43a、43bと、チャネル切替部44a、44bとを備える。時刻管理部42a、42bについては、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
チャネル切替部44a、44bは、電波発信端末10と電波受信端末30の電波の送信に用いられるチャネルを特定する。チャネルの特定方法としては、各電波受信端末30に対して手動で設定しても良く、自動的に設定しても良い。自動的に設定するためには、各電波傍受端末40a、40bは、各チャネル上でエリア推定用に利用している屋内基地局のビーコン信号を受信し、エリア推定システムのSSIDを利用しているビーコン信号を検知したチャネルを特定する(パッシブスキャン)か、もしくは各チャネルでプローブ要求を送信し、エリア推定システムの屋内基地局20a、20bからのプローブ応答によりチャネルを特定する(アクティブスキャン)。この結果特定したチャネルを、更に以下の2つの方法のいずれかにより絞り込む。第1の方法は、ビーコン信号を検知した屋内基地局20a、20bと接続し、通信信号を送信することで、通信可能なチャネルを特定する。第2の方法は、ビーコン信号の電波強度を取得し、設定した下限値を上回るチャネルのみを特定する。
そして、チャネル切替部44a、44bは、電波発信端末10と電波受信端末30の電波の送信に用いられるチャネルが複数ある場合、当該複数のチャネルを特定の時間毎に切り替えて検出するよう電波傍受手段41a、41bに指示する。
電波傍受手段41a、41bは、設定された複数のチャネルを特定の時間毎に切り替えて、各チャネルで電波発信端末10から送信される信号を傍受し、電波強度を取得する。又、通信可能なチャネルの使用状況を取得することにより、電波傍受手段41a、41bは、使用中のチャネルのみ特定の時間毎に切り替えて電波を傍受してもよい。
電波強度送信部43a、43bは、あるチャネルで電波発信端末10から送信された信号を傍受し、電波強度を取得できた場合、現在のチャネルでエリア推定装置100に電波強度を送信するか、チャネル切替部44a、44bが通信可能な別のチャネルに切り替えた後で、エリア推定装置100に電波強度を送信する。
又、エリア推定装置100は、電波強度受信部110と、格納部120と、操作部130と、存在エリア推定部140と、表示部150とを備える。又、格納部120は、電波発信端末属性情報格納部121と、電波傍受端末属性情報格納部122と、電波強度格納部123と、電波発信端末存在エリア格納部124とを備える。
電波強度受信部110は、電波強度送信部43a、43bから送信された、複数の電波強度を受信し、存在エリア推定部140は、複数の電波強度によって、電波発信端末10の存在エリアを推定する。
エリア推定装置100のその他の機能については、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
(エリア推定方法)
続いて、第7の実施形態に係るエリア推定方法について、図28を用いて説明する。
第7の実施形態に係るエリア推定装置100を動作させるにあたっては、まず、端末の属性情報を登録する(S401)。端末の属性情報(電波傍受端末存在エリア)の登録については、第1の実施形態(図2のステップS101)と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、電波傍受端末40a、40bは、電波発信端末10と電波受信端末30の電波の送信に用いられるチャネルを特定する(S402)。
ステップS403については、図2のステップS102と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、電波傍受端末40a、40bは通信可能なチャネル上の信号を傍受し、電波強度を取得する(S404)。このとき、チャネル切替部44a、44bは、通信可能なチャネルが複数存在する場合には、特定の時間毎に通信可能なチャネルを切り替える。特定の時間毎とは、例えば1秒毎などである。それに応じて、電波傍受端末40a、40bは各チャネルにおいて、移動端末が送信した信号を傍受し、電波強度を取得する。
次に、エリア推定装置100は、電波傍受端末40a、40bから取得した複数の電波強度を格納し(S405)、複数の電波強度によって、電波発信端末10の存在エリアを推定する(S406)。
(作用及び効果)
第7の実施の形態に係るエリア推定システム及びエリア推定方法によると、チャネルの異なる基地局(アクセスポイント)が複数存在し、それらの通信エリアが重複している環境において、電波発信端末10が基地局間を移動しハンドオフが生じる場合でも、電波傍受端末40a、40bが通信可能なチャネルを特定の時間で切り替え、各チャネルの信号を傍受し、電波強度を取得することで、正しくエリア推定を行うことが可能である。
又、電波傍受部41a、41bは、通信可能なチャネルの使用状況を取得することにより、使用中のチャネルのみ特定の時間毎に切り替えて電波を傍受し、当該複数の電波強度を取得してもよい。このため、通信可能なチャネルが複数存在する場合でも、その使用状況を確認し実際に使用中のチャネルのみ時間で分割して電波強度を取得することにより、不要なチャネル切り替えをなくすことが可能であり、よりリアルタイムにエリア推定を行うことが可能である。
(変形例)
続いて、第7の実施形態に係るエリア推定装置の変形例について説明する。
上記実施形態に係るエリア推定システムは、通信可能なチャネルを対象としている。しかし、ビーコン信号のみ検知可能なチャネルに対しても、通信可能なチャネルと同様に信号を傍受しても良い。この場合信号を傍受することは可能だが、取得した電波強度を送信することはできないため、ビーコン信号のみ検知可能なチャネルと通信可能なチャネルを分けて管理し、取得した電波強度は、通信可能なチャネルで送信するようにする必要がある。
又、上記実施形態に係るエリア推定システムは、特定の時間毎に通信可能なチャネルを切り替える。しかし、特定の条件に応じて、各チャネルにおける傍受時間を変更することも可能である。以下に、特定の条件を3つ例示する。
条件1は、屋内基地局20a、20bが送信するビーコン信号もしくはプローブ応答信号の強度に応じて、信号が強いほど時間を長くするよう設定する。
条件2は、スキャンモードとキャプチャモードという2つのモードを作り、スキャンモードで電波発信端末10から送信された信号を傍受したか否かにより、キャプチャモードに切り替えるか否か決定する。この場合、スキャンモードとキャプチャモードとで、それぞれ傍受時間Ts、Tcを設定する。Tsは、最低1つの信号を傍受できる最短時間を設定することが望ましい。例えば、1秒と信号を1つ傍受した時間の短い方等で設定する。Tcは、エリア推定に必要な時間を設定することが望ましい。例えば、2秒〜3秒等である。スキャンモードとキャプチャモードとの切り替えには、間欠傍受方式と重み付き傍受方式の2つの方式がある。間欠傍受方式は、通信可能な全チャネルをスキャンモードで傍受し、電波発信端末10からの信号を傍受できたチャネルのみ、キャプチャモードで信号を傍受する。通信可能チャネルが、1、6、11チャネルである場合の間欠傍受方式の例を図29に示す。図29では、スキャンモードで各チャネルを傍受したときには、1つも信号を傍受できなかったため、再び各チャネルを順番に傍受している。そして、チャネル1のみで電波発信端末10からの電波を傍受したため、チャネル1のみキャプチャモードで電波発信端末10からの信号を傍受する。重み付き傍受方式は、スキャンモードで利用可能チャネルを順番に傍受し、電波発信端末10からの電波を傍受できた場合には、引き続きキャプチャモードで信号を傍受する。通信可能チャネルが1、6、11チャネルである場合の重み付き傍受方式の例を図30に示す。図30では、スキャンモードで各チャネルを順番に傍受し、2巡目のチャネル1で電波発信端末10からの信号を傍受できたため、引き続きキャプチャモードで信号を受信する。
条件3は、屋内基地局20a、20bに接続している電波発信端末数を、電波傍受端末40a、40bが屋内基地局20a、20bからのビーコン信号等で定期的に受信し、電波発信端末数が1以上の屋内基地局のチャネルのみ信号を傍受する。屋内基地局が送信するビーコン信号に、接続中の電波発信端末数を載せるためには、ビーコン信号を改良する必要があるが、IEEE802.11e等では標準仕様となっている。
<その他の実施形態>
本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、上記実施形態に係るエリア推定システムは、電波発信端末10と電波受信端末30間で無線LANの利用を想定していたが、アクティブ無線タグを用いても良い。この場合、電波発信端末10として無線タグを、電波受信端末30、電波傍受端末40a、40bとして無線タグリーダを利用する。
又、上記実施形態に係るエリア推定システムは、Bluetoothを用いても良い。この場合、Bluetooth端末が電波発信端末10、あるいは電波受信端末30、電波傍受端末40a、40bのいずれかを担う。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
第1の実施形態に係るエリア推定システムの構成ブロック図である。 第1〜第3の実施形態に係るエリア推定方法を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る電波傍受端末属性情報格納部の一例である。 第1の実施形態に係る電波発信端末属性情報格納部の一例である。 第1の実施形態に係る電波強度格納部の一例である。 第1の実施形態に係る電波発信端末存在エリア格納部の一例である。 第1の実施形態に係るエリア推定システムの変形例の構成ブロック図である。 第1の実施形態の変形例に係る電波発信端末属性情報格納部の一例である。 第1の実施形態の変形例に係る電波傍受端末属性情報格納部の一例である。 第2の実施形態に係るエリア推定システムの構成ブロック図である。 第3の実施形態に係るエリア推定システムの構成ブロック図である。 第3の実施形態に係る電波発信端末存在エリア格納部の一例である。 第4の実施形態に係るエリア推定システムの構成ブロック図である。 第4の実施形態に係るエリア推定方法を示すフローチャートである。 第5の実施形態に係るエリア推定システムの構成ブロック図である。 第5の実施形態に係るエリア推定頻度格納部の一例である。 第5の実施形態に係る電波発信端末属性情報格納部の一例である。 第5の実施形態に係る電波傍受端末属性情報格納部の一例である。 第6の実施形態に係るエリア推定システムの構成ブロック図である。 第6の実施形態に係る基準電波強度格納部の一例である(その1)。 第6の実施形態に係る基準電波強度格納部の一例である(その2)。 第6の実施形態に係る電波強度格納部の一例である(その1)。 第6の実施形態に係る電波強度格納部の一例である(その2)。 第6の実施形態に係るエリア推定方法を示すフローチャートである。 第6の実施形態の変形例に係る基準電波強度格納部の一例である(その1)。 第6の実施形態の変形例に係る基準電波強度格納部の一例である(その2)。 第7の実施形態に係るエリア推定システムの構成ブロック図である。 第7の実施形態に係るエリア推定方法を示すフローチャートである。 第7の実施形態に係るエリア推定システムにおいて、間欠傍受方式を説明するための図である。 第7の実施形態に係るエリア推定システムにおいて、重み付傍受方式を説明するための図である。
符号の説明
10…電波発信端末
11…電波発信部
20、20a、20b…屋内基地局
30…電波受信端末
31…電波受信部
40a、40b…電波傍受端末
41a、41b…電波傍受部
42a、42b…時刻管理部
43a、43b…電波強度送信部
44a、44b…チャネル切替部
45a、45b…電波発信端末属性情報格納部
50…中継装置
100…エリア推定装置
110…電波強度受信部
120…格納部
121…電波発信端末属性情報格納部
122…電波傍受端末属性情報格納部
123…電波強度格納部
124…電波発信端末存在エリア格納部
125…基準電波強度格納部
126…エリア推定頻度格納部
130…操作部
140…存在エリア推定部
141…電波強度時間変動度比較部
142…確信度決定部
150…表示部
160…エリア推定頻度決定部
170…相対電波強度決定部
180…滞在・移動判定部
190…利用電波強度履歴数決定部

Claims (12)

  1. 特定の電波受信端末へネットワークを介して電波を送信する、存在エリアが未知である電波発信手段と、
    所定時間内に前記電波発信手段が送信した電波を複数回傍受し、傍受毎の複数の電波強度によって構成される電波強度列を取得する、存在エリアが既知である電波傍受手段と、
    前記電波傍受手段からネットワークを介して、前記電波強度列と前記電波を送信した電波発信端末を一意に識別する電波発信端末IDと前記電波を傍受した電波傍受端末を一意に識別する電波傍受端末IDとを受信する電波強度受信手段と、
    前記電波強度列と、前記電波発信端末IDと、前記電波傍受端末IDとを関連づけて格納する電波強度格納手段と、
    各電波傍受手段によって前記電波発信端末からの信号が複数回傍受される場合において、前記電波傍受手段毎に、所定時間内における傍受毎の複数の電波強度によって構成される電波強度列の変化量を示す電波強度時間変動度を算出する電波強度時間変動度比較手段と、
    各電波傍受手段によって前記電波発信端末からの信号が複数回傍受される場合において、前記電波傍受手段毎に、所定時間内における傍受毎の複数の電波強度によって構成される電波強度列の平均値、中間値、最大値、分散の何れかを示す特徴量を算出し、前記電波傍受手段毎に、前記電波傍受手段に対応する特徴量と、他の電波傍受手段に対応する特徴量との差の大きさを特定する確信度を算出する確信度決定手段と、
    前記確信度の低下幅に応じて、エリア推定頻度を上げるエリア推定頻度決定手段と、
    前記エリア推定頻度決定手段により決定されるエリア推定頻度で、閾値を超える前記確信度に対応する電波傍受手段のうち、最大の電波強度時間変動度に対応する電波傍受手段の存在エリアを、前記電波発信手段の存在エリアであると推定する存在エリア推定手段と
    を備えることを特徴とするエリア推定システム。
  2. 現在の時刻情報を発信する時刻管理手段を更に備え、
    前記電波強度格納手段は、前記電波強度列と、前記電波発信端末IDと、前記電波傍受端末IDと、前記時刻管理手段によって取得された前記電波傍受手段が電波を傍受した時刻情報とを関連づけて格納することを特徴とする請求項1に記載のエリア推定システム。
  3. 前記存在エリア推定手段は、前記電波傍受手段によって取得された過去の履歴を含めた複数の電波強度を用いて、前記電波発信手段の存在エリアを推定することを特徴とする請求項2に記載のエリア推定システム。
  4. 前記存在エリア推定手段は、前記電波傍受手段によって取得された最新の電波強度を用いて、前記電波発信手段の存在エリアを推定することを特徴とする請求項2に記載のエリア推定システム。
  5. 前記存在エリア推定手段は、前記特定の電波受信端末が電波を受信した時刻と同時刻もしくはそれに最も近い時刻に取得された電波強度が最も強い電波傍受手段の存在エリアを、前記電波発信手段の存在エリアと推定することを特徴とする請求項2に記載のエリア推定システム。
  6. 前記電波発信手段の存在エリアもしくは前記電波発信端末の属性情報に基づいて、エリア推定頻度を決定するエリア推定頻度決定手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエリア推定システム。
  7. 前記電波強度格納手段に格納された電波強度履歴もしくは前記電波発信手段の存在エリア履歴を利用して電波発信手段が滞在中であるか移動中であるかを判定する滞在・移動判定手段と、
    前記滞在・移動判定手段の判定結果に基づいて、エリア推定に利用する電波強度の履歴数を決定する利用電波強度履歴数決定手段とを更に備え、
    前記エリア推定頻度決定手段は、前記滞在・移動判定手段の判定結果に基づいてエリア推定頻度を決定することを特徴とする請求項1に記載のエリア推定システム。
  8. 前記電波発信手段の属性情報、もしくは前記電波傍受手段の属性情報、もしくは前記電波発信手段の存在エリアに対する推定頻度を格納するエリア推定頻度格納部を更に備え、
    前記エリア推定頻度決定手段は、電波発信端末属性情報格納部から取得した前記電波発信手段の属性情報、もしくは電波傍受端末属性情報格納部から取得した前記電波傍受手段の属性情報、もしくは電波発信端末存在エリア格納部から取得した前記電波発信手段の存在エリアから対応する推定頻度を前記推定頻度格納部から取得することで、エリア推定頻度を決定することを特徴とする請求項7に記載のエリア推定システム。
  9. 電波強度格納手段に格納された電波強度履歴を利用して電波発信手段と電波傍受手段との組もしくは各電波傍受手段に対する基準電波強度を決定し、基準電波強度格納手段に格納し、前記電波傍受手段で取得した電波強度に対して当該基準電波強度からの差分を相対電波強度と決定する相対電波強度決定手段を更に備え、
    前記エリア推定手段は、前記相対電波強度を用いて、エリア推定を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のエリア推定システム。
  10. 前記電波発信手段と前記電波受信手段間の電波の送信に用いられるチャネルが複数ある場合、当該複数のチャネルを特定の時間毎に切り替えて検出するよう前記電波傍受手段に指示するチャネル切替手段を更に備え、
    前記電波傍受手段は、前記複数のチャネルに送信される電波を傍受し、当該複数の電波強度を取得し、
    前記存在エリア推定手段は、前記複数の電波強度によって、前記電波発信手段の存在エリアを推定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のエリア推定システム。
  11. 前記電波傍受手段は、通信可能なチャネルの使用状況を取得することにより、使用中のチャネルのみ特定の時間毎に切り替えて電波を傍受し、当該複数の電波強度を取得することを特徴とする請求項10に記載のエリア推定システム。
  12. 存在エリアが既知である電波傍受手段を用いて、存在エリアが未知である電波発信手段の存在エリアを推定するエリア推定方法であって、
    前記電波発信手段が、特定の電波受信端末へネットワークを介して電波を送信するステップと、
    前記電波傍受手段が、所定時間内に前記電波発信手段が送信した電波を複数回傍受し、傍受毎の複数の電波強度によって構成される電波強度列を取得するステップと、
    電波強度格納手段が、前記電波強度列と前記電波を送信した電波発信端末を一意に識別する電波発信端末IDと前記電波を傍受した電波傍受端末を一意に識別する電波傍受端末IDとを関連づけて格納するステップと、
    各電波傍受手段によって前記電波発信端末からの信号が複数回傍受される場合において、電波強度時間変動度比較手段が、前記電波傍受手段毎に、所定時間内における傍受毎の複数の電波強度によって構成される電波強度列の変化量を示す電波強度時間変動度を算出するステップと、
    各電波傍受手段によって前記電波発信端末からの信号が複数回傍受される場合において、確信度決定手段が、前記電波傍受手段毎に、所定時間内における傍受毎の複数の電波強度によって構成される電波強度列の平均値、中間値、最大値、分散の何れかを示す特徴量を算出し、前記電波傍受手段毎に、前記電波傍受手段に対応する特徴量と、他の電波傍受手段に対応する特徴量との差の大きさを特定する確信度を算出するステップと、
    エリア推定頻度決定手段が、前記確信度の低下幅に応じて、エリア推定頻度を上げるステップと、
    存在エリア推定手段が、前記エリア推定頻度で、閾値を超える前記確信度に対応する電波傍受手段のうち、最大の電波強度時間変動度に対応する電波傍受手段の存在エリアを、前記電波発信手段の存在エリアであると推定するステップと
    を含むことを特徴とするエリア推定方法。
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