JP4445279B2 - スポット溶接の溶接制御方法及び溶接制御装置 - Google Patents

スポット溶接の溶接制御方法及び溶接制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、電極チップをワークに接触させた後に通電してワークを溶接するスポット溶接の溶接制御方法及び溶接制御装置に関する。
自動車のフレームの溶接にはスポット溶接が多用されている。スポット溶接では、接合すべき部材同士を接触及び加圧させた状態で溶接電流を通電することにより部材の接触部を溶融させて所定の溶接強度を得ている。スポット溶接における接合強度を十分なものとするためには、フレームのプレス成型時の微小な歪みをなくして面圧を高める必要があり、各部材間の面圧を高めるためにスポット溶接時の加圧力を十分大きく設定することがある。
一方、自動車のフレームはより一層の軽量化及び強度の向上が望まれていることから高強度鋼板等が採用されることがあり、各部材間の面圧を高めるための加圧力を非常に大きい値に設定する必要がある。特に、溶接部におけるフレームの歪みの状態は均一であるとは限らないため加圧力は余裕をみてさらに大きめに設定する必要がある。
ところで、加圧力を大きくして各部材間の面圧を大きく設定すると、その部分の接触抵抗が低下することとなり発熱量が低下する。発熱量は接触抵抗に比例するからである。つまり、十分な接合強度を得るための所定の発熱量を発生させるためにはより大きい溶接電流を通電する必要があり、必要以上に面圧を大きくすることはエネルギー効率を低下させる。
電極チップとワークとの接触状態を検知することができると、その時点から加圧力を規定量だけ増加させることができて好適である。電極チップとワークとの接触状態を検知するため、予め溶接電流の通電(被溶接物の挟持)を判定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、溶接チップに跳ね返り現象が発生した場合においても過大電流がワークに通電することを防止できて好適である。
また、挟圧力対応値の変動、安定を判別する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
特公平7−12547号公報 特開平7−60457号公報
ところで、前記特許文献1に記載された方法によれば、電極チップとワークとの間の通電量の有無によって接触状態を検出することから、他の接合部位や治具による電流リークの影響を受けやすく、溶接を行う箇所におけるワークの接触を正確には検出できない場合がある。
また、前記特許文献2に記載された方法によれば、電極チップの消耗量を高精度且つ頻繁に検出・補正する必要があり、生産効率の低下を招く。しかも挟圧力対応値測定手段としてのミクロ的な変位を検出する高精度の変位センサを設ける必要がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、簡便な構成及び手順によって電極チップとワークとの接触状態を確実に検出することのできるスポット溶接の溶接制御方法及び溶接制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、電極チップをワークに接触させて通電し、前記ワークを溶接するスポット溶接の溶接制御方法において、前記電極チップに設けられた超音波送信・受信部から超音波を発信するステップと、前記電極チップを前記ワーク側に移動させる移動ステップと、前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の1回目の受信までの第1往復時間と、前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の2回目の受信までの第2往復時間との差が、前記電極チップと前記ワークとが接触していないときの前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の受信までの往復時間ではなく、且つ所定閾値よりも大きい場合に、前記電極チップと前記ワークとが接触していると判定する判定ステップとを備え、前記判定ステップにて前記電極チップと前記ワークと接触していると判定された後に溶接を行うことを特徴とする。
このように、電極チップに設けられた超音波送信・受信部によって発信した超音波の往復時間を計測することによって、電極チップとワークとの接触状態を簡便な構成によって確実に検出することができる。
この場合、前記移動ステップは、前記電極チップを位置制御によって所定位置まで移動させる位置制御ステップと、前記電極チップを速度制御によって所定速度で移動させる速度制御ステップとを有してもよい
また、前記ワークは、前記電極チップと接触可能に配置された第1ワークと、
前記第1ワークを挟んで該電極チップとは反対側に位置する第2ワークとを有し、前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の3回目の受信までの第3往復時間と前記第2往復時間との差が、該第2往復時間ではなく、且つ所定閾値よりも大きい場合に、前記電極チップと前記第1ワークとの接触面に対する該第1ワークの裏面と前記第2ワークとが接触していると判定するワーク接触判定ステップを備えてもよい
さらに、前記ワーク接触判定ステップにて前記第1ワークの裏面と前記第2ワークとが接触していないと判定された場合に、前記電極チップから該第1ワークに付与される加圧力を所定量増加するステップを備えてもよい
また、本発明は、電極チップをワークに接触させて通電し、前記ワークを溶接するスポット溶接の溶接制御装置において、前記電極チップに設けられた超音波送信・受信部と、前記超音波送信・受信部から超音波を発信させるとともに反射波を受信し、超音波の往復時間を検出する超音波制御部と、前記電極チップを進退駆動させる電極チップ駆動制御部と、前記電極チップに電圧を印加する通電制御部と、を有し、前記電極チップ駆動制御部によって前記電極チップを前記ワークに接触させる際、前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の1回目の受信までの第1往復時間と、前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の2回目の受信までの第2往復時間との差が、前記電極チップと前記ワークとが接触していないときの前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の受信までの往復時間ではなく、且つ所定閾値よりも大きくなった場合に、前記電極チップ駆動制御部は前記電極チップの前記ワークに対する加圧力を規定量増加させた後に前記通電制御部が前記電極チップに電圧を印加することを特徴とする。
このように、電極チップに設けられた超音波送信・受信部によって発信した超音波の往復時間を計測することによって、電極チップとワークとの接触状態を簡便な構成によって確実に検出することができる。また、ワーク間の面圧が必要十分な面圧となり十分な溶接強度でスポット溶接をすることができ、しかも、接触抵抗の低下を抑えることができ、溶接電流を抑制してエネルギー効率を向上させることができる。
本発明に係るスポット溶接の溶接制御方法及び溶接制御装置によれば、簡便な構成及び手順によって電極チップとワークとの接触状態を確実に検出することができる
以下、本発明に係るスポット溶接の溶接制御方法及び溶接制御装置について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図11を参照しながら説明する。本実施の形態に係るスポット溶接の溶接制御方法は溶接制御装置10を用いて行われる。
図1に示すように、溶接制御装置10は、ワークWに対してスポット溶接を行うための装置であって、電極チップ14を備える溶接ガン16と、ワークWに接続されている電極18と、コントローラ20とを有する。
溶接ガン16は、ガン支持部22と、三相交流を駆動源とするサーボモータ24と、その駆動軸(図示せず)に連結されたボールねじ26と、該ボールねじ26の位置を検出する検出器28と、ボールネジ26を覆うカバー30と、ボールねじ26の先端に設けられたホルダ32とを有し、該ホルダ32には前記電極チップ14が保持されている。
前記ボールねじ26は、前記サーボモータ24の回転作用下に変位することにより、前記電極チップ14が上下方向に移動する。電極チップ14の先端から高さD1(図2参照)の箇所には、超音波を発信及び受信する超音波プローブ(超音波送信・受信部)34が設けられている。
コントローラ20は、超音波プローブ34から超音波を発信させるとともに反射波を受信し、超音波の往復時間Tを所定のタイマによって検出する超音波制御部36と、サーボモータ24を制御して電極チップ14を進退駆動させる電極チップ駆動制御部38と、電極チップ14及び電極18に電圧を印加して通電させる通電制御部39と、これらの超音波制御部36、電極チップ駆動制御部38及び通電制御部39を統合的に制御する統括制御部40とを有する。
電極チップ駆動制御部38は、統括制御部40からの信号を受信するインタフェース42と、電極チップ14の位置を制御する位置制御部44と、該電極チップ14の移動速度を制御する速度制御部46と、該速度制御部46に接続される速度変換部48と、サーボモータ24に通電される三相交流を制御する電流制御部50と、該電流制御部50から導出される信号の振幅に応じてパルス幅を変化させるパルス幅変調部52と、パワー素子を備える電力増幅部54とを有する。
電力増幅部54とサーボモータ24との間に設けられた三相電力線のうち2本には電流を検出する電流検出素子56a、56bが設けられており、検出された電流信号Iを電流制御部50へ供給している。また、検出器28によって検出されたボールねじ26の位置信号Zは位置制御部44へ供給されるとともに速度変換部48に供給される。速度変換部48では供給された位置信号Zを微分して速度信号Vを求めて速度制御部46に供給している。このように検出器28は位置制御及び速度制御に用いられるものであり、スポット溶接を行う際のワークWに対する加圧力制御には用いられない。つまり、検出器28の精度はスポット溶接の溶接品質に直接的に影響することがなく、比較的低精度のもので足りる。
位置制御部44では、統括制御部40からインタフェース42を介して供給される位置指令Cz及び位置信号Zに基づいて電極チップ14の位置制御を行うことができる。同様に、速度制御部46では、統括制御部40からインタフェース42を介して供給される速度指令Cv及び速度信号Vとに基づいて電極チップ14の速度制御を行うことができ、電流制御部50では、統括制御部40から供給される加圧力指令Cpと電流信号Iとに基づいてサーボモータ24へ供給する電流の制御を行うことができる。電流制御部50によって行われる電流の制御は、サーボモータ24が発生するトルクを制御することとなり、結果的に電極チップ14のワークWに対する加圧力制御を行うことができる。
コントローラ20は、超音波プローブ34のスピーカを発振させて超音波を発信させるとともに反射波を受信し、超音波の往復時間Tを検出する。
超音波制御部36は、超音波を発信させてその発信時T0(図4参照)から反射波を受信するまでの往復時間T、及び多重反射の受信時の各反射波間の往復時間Tを計測する機能を有するととともに、これらの計測された往復時間Tと設定された閾値とを比較する機能を有する。また、超音波制御部36は、多重反射の受信波が十分に減衰したときには、再度超音波を発信して計測を自動的に続行することができる。超音波制御部36における各反射波間の時間を計測する機能はタイマカウンタ等によって簡便に構成することができる。
超音波プローブ34の超音波発信部としてのスピーカは、超音波受信部としてのマイクと兼用としてもよく、また超音波発信部と受信部は別体型としてもよい。
図2に示すように、ワークWは、一端がU字状の第1ワーク60と該第1ワーク60のU字部に挿入されている第2ワーク62とからなる。第1ワーク60のU字部は上方部60aと下方部60bが側方部60cで接続される形状となっており、下方部60bと第2ワーク62が接触し、第2ワーク62と上方部60aとの間には高さD0の隙間部がある。上方部60aの高さ(厚さ)はD2であり、下方部60bと第2ワーク62の合計高さ(厚さ)はD3である。
第1ワーク60は、高張力鋼等の高強度鋼板であり、プレス成型によって一端がU字状に成型されており、隙間部の高さD0は成型の誤差により多少不均一となる。
第2ワーク62には前記電極18が接続されるとともに電気的に接地されている。電極18はスポット溶接を行う箇所から離れた箇所に設けられており、いわゆるインダイレクト溶接式となっている。
次に、このように構成される溶接制御装置10を用いて、ワークWに対してスポット溶接を行う溶接制御方法について図3を参照しながら説明する。
先ず、ステップS1において、超音波制御部36から超音波プローブ34に対して指示を与え、超音波を発信するとともに反射波を検出して超音波の往復時間Tを計測する。
このとき、図4に示すように、超音波の発信時T0からの超音波の往復時間T11、T12、T13…の経過後に第1反射波100a、第2反射波100b、第3反射波100c…が超音波プローブ34において順次受信される。第1反射波100a、第2反射波100b、第3反射波100c…は、所定のレベルLより大きい受信波として抽出され、ノイズ102と明確に区別される。
また、第1反射波100a、第2反射波100b、第3反射波100c…は包絡線104に沿って漸次減衰し、反射波の受信レベルがレベルLを下回ったときには超音波プローブ34から超音波を再度発信して、往復時間Tの計測を継続する。
往復時間T11、T12、T13…は略等しい値であり、説明の便宜上これらを代表的に往復時間T1としても表記する。同様に、後述する往復時間T21、T22、T23…、往復時間T31、T32、T33…をそれぞれ代表的に往復時間T2及びT3としても表記する。
ところで、超音波は超音波プローブ34から電極チップ14の先端部までの高さD1の距離を往復することから、往復時間T1は理論的には次の(1)式で表される。
T1=2×D1/V1 …(1)
ここで、V1は電極チップ14内における音速で、既知の値である。
超音波制御部36では、計測した超音波の往復時間Tが、T≒T1であることを認識し、電極チップ14が第1ワーク60の上方部60aに対して離間していることを確認できる。
次に、ステップS2において、電極チップ駆動制御部38は電極チップ14を下降させる。このとき、電極チップ14が予め設定された位置に下降するまでは位置指令Czに基づいて位置制御部44の作用下に位置制御を行うことにより、電極チップ14を迅速に動作させてサイクルタイムを短縮することができる。また、電極チップ14が設定された位置に到達した後は、速度指令Cvを電極チップ駆動制御部38に供給して電極チップ14を速度制御によって所定速度で下降させるとよい。これにより、電極チップ14を適切な速度で第1ワーク60に接近及び接触させることができ、電極チップ14に衝撃が加わることがない。
ステップS3において、超音波制御部36は往復時間Tと予め設定された第1閾値A1とを比較することによって、電極チップ14が第1ワーク60の上方部60aに当接したか否かを確認する。電極チップ14が上方部60aに当接したとき、つまりT>A1であるときにはステップS4へ移り、当接する前、つまりT≦A1であるときにはステップS3を続行する。
ここで、往復時間Tは電極チップ14が上方部60aに当接する以前にはT=T1であり、当接後にはT=T2であるものとすると、第1閾値A1は、例えば、その中間値であるA1=(T1+T2)/2として設定するとよい。
図5に示すように、電極チップ14が第1ワーク60の上方部60aに当接したときには、超音波は超音波プローブ34から前記高さD1及び上方部60aの高さD2の距離を往復する。従って、この場合の往復時間T2はT2>T1であり、理論的には次の(2)式で表される。
T2=2×D1/V1 + 2×D2/V2 …(2)
ここで、V2は第1ワーク60の上方部60a内における音速で、既知の値である。
(1)式及び(2)式から、第1閾値A1は、A1=T1+D2/V2として設定される。
また、この場合、図6に示すように、超音波の発信時T0からの超音波の往復時間T21、T22、T23…(=T2)の経過後に第1反射波106a、第2反射波106b、第3反射波106c…が超音波プローブ34において順次受信される。第1反射波106a、第2反射波106b、第3反射波106c…は前記包絡線104よりも急な傾斜の包絡線108に沿って漸次減衰し、反射波の受信レベルがレベルLを下回ったときには超音波プローブ34から超音波を再度発信する。
なお、電極チップ14が消耗して高さD1が多少短くなった場合であっても、その消耗量ΔD1が第1閾値A1と比較して十分に小さいときには、このステップS3の処理において電極チップ14と上方部60aとの接触を検出することができる。
また、電極チップ14が上方部60aに当接する前の段階においては、超音波制御部36において往復時間T1を計測可能であることから、その時点で計測された往復時間T1に基づいて第1閾値A1(及び後述する第2閾値A2)を適宜更新するようにしてもよい。これにより、電極チップ14が消耗して短くなったときにも、自動的に第1閾値A1(及び第2閾値A2)を更新することができる。従って、電極チップ14の長さを計測したり、第1閾値A1を更新するために溶接制御装置10の動作を停止させる必要がなく、生産効率が高い。
さらに、ステップS3においては、往復時間Tの変化幅ΔT(この場合、ΔT=T2−T1)と予め設定された第1変化幅閾値B1とを比較することによって、電極チップ14が第1ワーク60の上方部60aに当接したか否かを確認するようにしてもよい。この場合、電極チップ14が上方部60aに当接したとき、つまりΔT>B1であるときにはステップS4へ移り、当接する前、つまりΔT≦B1であるときにはステップS3を続行するようにする。第1変化幅閾値B1は、例えば、B1=D2/V2として設定される。これにより、電極チップ14の消耗度合いに影響されることなくスポット溶接を適切に行うことができる。また、第1変化幅閾値B1は電極チップ14の消耗に無関係であることから、第1変化幅閾値B1は更新する必要がない。
次に、ステップS4において、電極チップ駆動制御部38は電極チップ14の動作制御を速度制御から加圧力制御にする。つまり、速度制御部46を一時的に無効化するとともに所定の加圧力指令Cpを電流制御部50に供給する。
次に、ステップS5において、超音波制御部36は往復時間Tと予め設定された第2閾値A2とを比較することによって、第1ワーク60の上方部60aが第2ワーク62に当接したか否かを確認する。上方部60aが第2ワーク62に当接したとき、つまりT>A2であるときにはステップS7へ移り、当接する前、つまりT≦A2であるときにはステップS6へ移る。
ここで、往復時間Tは上方部60aが第2ワーク62に当接する以前にはT=T2であり、当接後にはT=T3であるものとすると、第2閾値A2は、例えば、その中間値であるA2=(T2+T3)/2として設定するとよい。
上方部60aが第2ワーク62に当接したときには、図7に示すように、超音波は超音波プローブ34から前記高さD1、上方部60aの高さD2及び、下方部60bと第2ワーク62の合計高さD3の距離を往復する。従って、この場合の往復時間T3はT3>T2であり、理論的には次の(3)式で表される。
T3=2×D1/V1 + 2×D2/V2 + 2×D3/V3…(3)
ここで、V3は下方部60bと第2ワーク62との複合部における等価音速であり、既知の値である。
(2)式及び(3)式から、第2閾値A2は、A2=T2+D3/V3として設定される。
また、この場合、図8に示すように、超音波の発信時T0からの超音波の往復時間T31、T32、T33…(=T3)の経過後に第1反射波110a、第2反射波110b、第3反射波110c…が超音波プローブ34において順次受信される。第1反射波110a、第2反射波110b、第3反射波110c…は前記包絡線108よりも急な傾斜の包絡線112に沿って漸次減衰し、反射波の受信レベルがレベルLを下回ったときには超音波プローブ34から超音波を再度発信する。
さらに、ステップS5においては、往復時間Tの変化幅ΔT(この場合、ΔT=T3−T2)と予め設定された第2変化幅閾値B2とを比較することによって、上方部60aが第2ワーク62に当接したか否かを確認するようにしてもよい。この場合、上方部60aが第2ワーク62に当接したとき、つまりΔT>B2であるときにはステップS7へ移り、当接する前、つまりΔT≦B2であるときにはステップS6へ移るようにする。第2変化幅閾値B2は、例えば、B2=D3/V3として設定される。第2変化幅閾値B2は電極チップ14の消耗に無関係であることから、第2変化幅閾値B2は更新する必要がない。
ステップS6においては、電極チップ駆動制御部38により電極チップ14の加圧力を規定量増加する。つまり、統括制御部40において読み取った電流信号Iに対して、増加する加圧力に相当する電流値を加算した値を加圧力指令Cpとして電流制御部50に与える。
ステップS6の処理を行った後にはステップS5へ戻る。つまり、ステップS5及びS6を繰り返し実行することによって、上方部60aが第2ワーク62に当接するまで電極チップ14の加圧力を徐々に増加する。これにより、第1ワーク60の側方部60cの弾性力や隙間部の高さD0の値にかかわらず、加圧力を適切に増加させて上方部60aを第2ワーク62に確実に接触させることができる。
一方、ステップS7においては、電極チップ駆動制御部38により電極チップ14の加圧力を規定量だけさらに増加させる。つまり、統括制御部40において読み取った電流信号Iに対して、規定量の加圧力に相当する電流値を加算して加圧力指令Cpとして電流制御部50に与える。
このように、当初の隙間部の高さD0の大小にかかわらず、隙間部の高さD0がD0=0となった時点における加圧力から該加圧力を相対的に規定量だけさらに増加させることにより、上方部60aと第2ワーク62との相互間における面圧を必要十分な値に設定することができる。つまり、面圧が不足することにより溶接強度が不十分になることを防止でき、溶接品質が向上する。また、面圧が過剰に大きくなることを防ぎ、接触抵抗が低下することを防止できる。接触抵抗の低下が防止されることから、溶接時の所定発熱量を発生させるための電流が低く抑えられてエネルギー効率が向上する。
なお、このステップS7における加圧力の規定量増加の処理では、加圧力を徐々に増加させるようにしてもよい。
次に、ステップS8において、通電制御部39により電極チップ14と電極18との間に電圧を印加して所定電流の通電制御を行い、スポット溶接を行う。このとき、溶接電流は電極チップ14、上方部60a、第2ワーク62及び電極18の順の経路を流れる。これにより、図9に示すように、電極チップ14の近傍でワークWが溶融してナゲット120が生成され、上方部60aと第2ワーク62とが接合される。
次に、ステップS9において、溶接電流の通電を停止した後、電極チップ駆動制御部38により電極チップ14を上昇させる。このとき、電極チップ駆動制御部38は位置制御により電極チップ14を所定の高さまで移動させる。
このように本実施の形態に係るスポット溶接の溶接制御方法及び溶接制御装置10によれば、電極チップ14を上方部60aに接触させる際、電極チップ14に設けられた超音波プローブ34から超音波を発信するとともに該超音波の反射波の検出を行い、超音波の往復時間Tが第1閾値A1を超えることに基づいて電極チップ14と上方部60aとの接触を確実に検知することができる。また、その後に加圧力を増加させた後、超音波の往復時間Tが第2閾値A2を超えることに基づいて上方部60aと第2ワーク62との接触を確実に検知することができる。
さらにこの後、電極チップ14の加圧力を規定量増加させることにより、上方部60aと第2ワーク62との面圧を適切な圧力に保持することができ、溶接品質の低下を防ぐとともに、発熱のための溶接電流が過大となることを防止できる。しかも、溶接制御装置10は高精度なセンサ等が不要な簡便な構成であり、その制御手順も簡潔である。
本実施の形態に係るスポット溶接の溶接制御方法及び溶接制御装置10によれば、第1ワーク60の上方部60aと第2ワーク62が確実に接触している状態で通電を開始することができる。これにより、第1ワーク60と第2ワーク62隙間部がなくなることから、隙間部における不要な放電等を防止できる。
また、ワークWの支持形態は上述した形態に限らず、ワークWの下方を受けブロックで支持して、電極チップ14と受けブロックとによりワークWを挟持して溶接するようにしてもよい。
さらに、図10に示すように、ワークWの支持形態は電極チップ14と対向してワークWを挟持する電極チップ130を設け、該電極チップ130を前記電極18の代わりとして用いる両押し式としてもよい。
さらにまた、溶接制御装置10は、図11に示すように、袋構造のワークW1における隙間部132に対して、いわゆる片押し溶接として適用してもよい。この場合、隙間部132の上側部材134に電極チップ14が接触したことを検出した後、加圧力を増加して隙間部132をなくし、上側部材134と下側部材136が接触した後に、さらに規定量だけ加圧力を増加してスポット溶接を行うとよい。
なお、これらの場合には、受けブロックや電極チップ130の影響を考慮して前記第2閾値A2の値を設定するとよい。
以上の説明では、ワークWにおけるスポット溶接を行う面が略水平であるものとして説明したが、ワークWの向きは任意方向に設定可能であって、電極チップ14はワークW、W1等の溶接面に対して略直角となるように設定すればよい。
また、超音波プローブ34から発信する超音波は、ワークW、W1との接触状態の検出の用途以外にも、スポット溶接を行った後にナゲット120が正常に生成されているか否かの調査用途に用いてもよい。
本発明に係るスポット溶接の溶接制御方法及び溶接制御装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
本実施の形態に係るスポット溶接の溶接制御装置の概略ブロック図である。 電極チップがワークに当接する前段階における電極チップとワークとの位置関係を示す模式図である。 本実施の形態に係るスポット溶接の溶接制御方法の手順を示すフローチャートである。 電極チップがワークに当接する前段階における超音波の受信波形を示すグラフである。 電極チップがワークに当接した段階における電極チップとワークとの位置関係を示す模式図である。 電極チップがワークに当接した段階における超音波の受信波形を示すグラフである。 電極チップがワークに当接し、ワークの隙間部がなくなった段階における電極チップとワークとの位置関係を示す模式図である。 電極チップがワークに当接し、ワークの隙間部がなくなった段階における超音波の受信波形を示すグラフである。 電極チップによりワークを押圧するとともに通電してスポット溶接を行う段階における電極チップとワークとの位置関係を示す模式図である。 両押し式でスポット溶接を行う際の電極チップとワークとの位置関係を示す模式図である。 袋構造のワークを片押し式でスポット溶接を行う際の電極チップとワークとの位置関係を示す模式図である。
符号の説明
10…溶接制御装置 14…電極チップ
16…溶接ガン 18…電極
20…コントローラ 24…サーボモータ
34…超音波プローブ 36…超音波制御部
38…電極チップ駆動制御部 39…通電制御部
40…統括制御部 44…位置制御部
46…速度制御部 48…速度変換部
50…電流制御部 60…第1ワーク
60a…上方部 60b…下方部
60c…側方部 62…第2ワーク
100a、106a、110a…第1反射波
100b、106b、110b…第2反射波
100c、106c、110c…第3反射波
120…ナゲット W…ワーク

Claims (5)

  1. 電極チップをワークに接触させて通電し、前記ワークを溶接するスポット溶接の溶接制御方法において、
    前記電極チップに設けられた超音波送信・受信部から超音波を発信するステップと、
    前記電極チップを前記ワーク側に移動させる移動ステップと、
    前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の1回目の受信までの第1往復時間と、前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の2回目の受信までの第2往復時間との差が、前記電極チップと前記ワークとが接触していないときの前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の受信までの往復時間ではなく、且つ所定閾値よりも大きい場合に、前記電極チップと前記ワークとが接触していると判定する判定ステップとを備え、
    前記判定ステップにて前記電極チップと前記ワークと接触していると判定された後に溶接を行うことを特徴とするスポット溶接の溶接制御方法。
  2. 請求項1記載のスポット溶接の溶接制御方法において、
    前記移動ステップは、前記電極チップを位置制御によって所定位置まで移動させる位置制御ステップと、前記電極チップを速度制御によって所定速度で移動させる速度制御ステップとを有することを特徴とするスポット溶接の溶接制御方法。
  3. 請求項1又は2記載のスポット溶接の溶接制御方法において、
    前記ワークは、前記電極チップと接触可能に配置された第1ワークと、
    前記第1ワークを挟んで該電極チップとは反対側に位置する第2ワークとを有し
    前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の3回目の受信までの第3往復時間と前記第2往復時間との差が、該第2往復時間ではなく、且つ所定閾値よりも大きい場合に、前記電極チップと前記第1ワークとの接触面に対する該第1ワークの裏面と前記第2ワークとが接触していると判定するワーク接触判定ステップをさらに備えることを特徴とするスポット溶接の溶接制御方法。
  4. 請求項3記載のスポット溶接の溶接制御方法において、
    前記ワーク接触判定ステップにて前記第1ワークの裏面と前記第2ワークとが接触していないと判定された場合に、前記電極チップから該第1ワークに付与される加圧力を所定量増加するステップをさらに備えていることを特徴とするスポット溶接の溶接制御方法。
  5. 電極チップをワークに接触させて通電し、前記ワークを溶接するスポット溶接の溶接制御装置において、
    前記電極チップに設けられた超音波送信・受信部と、
    前記超音波送信・受信部から超音波を発信させるとともに反射波を受信し、超音波の往復時間を検出する超音波制御部と、
    前記電極チップを進退駆動させる電極チップ駆動制御部と、
    前記電極チップに電圧を印加する通電制御部と、
    を有し、
    前記電極チップ駆動制御部によって前記電極チップを前記ワークに接触させる際、前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の1回目の受信までの第1往復時間と、前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の2回目の受信までの第2往復時間との差が、前記電極チップと前記ワークとが接触していないときの前記超音波送信・受信部が超音波を発信してから反射波の受信までの往復時間ではなく、且つ所定閾値よりも大きくなった場合に、前記電極チップ駆動制御部は前記電極チップの前記ワークに対する加圧力を規定量増加させた後に前記通電制御部が前記電極チップに電圧を印加することを特徴とするスポット溶接の溶接制御装置。
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